(実施形態1)
図1及び図2には、実施形態1のトイレキャビネット1(以下「キャビネット1」と記載する)が示されている。キャビネット1は、トイレルームの1つの壁2に沿うように、壁2の前方に設置される。本明細書においては、図1に示す設置状態を基準として、壁2に対してトイレキャビネット1が位置する側を前方とし、その反対側を後方とし、平面視において壁2に沿った方向を左右方向として、各構成について説明する。各図において、矢印Xで示す方向が前方であり、矢印Yで示す方向が右方であり、矢印Zで示す方向が上方である。
壁2の前方の床には、便器3が設置される。キャビネット1は、壁2と便器3の間の床に載せ置かれる。便器3は、例えば、腰掛式のタンクレスの水洗便器である。便器3は、床に設けられた下水管(図示せず)に接続されている。便器3は、利用者が壁2側に背を向けて座る向きに設置されている。キャビネット1は、壁2と便器3と間の狭いスペースに配置されている。
キャビネット1は、内部に収納空間S1を有するキャビネット本体4と、第一前パネル5と、第二前パネル6と、手洗装置7と、扉パネル8と、下第一前パネル9と、下第二前パネル10と、カウンター11と、サイドパネル12を備える。キャビネット1はさらに、キャビネット本体4の前側に第一前パネル5を取り付けるための部材として、受け具13、引掛け具14、及び第二引掛け具15を備える。
まず、キャビネット本体4について説明する。
キャビネット本体4は、前方に開放された箱状である。図3Aには、キャビネット本体4を後側から視た図が示されている。この図では、キャビネット本体4が有する後板40(図1参照)の図示が省略されている。
キャビネット本体4は、後板40と、一対の側板41,42と、天板43と、底板44とを有する。一対の側板41,42、天板43、及び底板44は、矩形枠状に組み立てられている。後板40、一対の側板41,42、天板43、及び底板44で囲まれる空間が、前方に開放される収納空間S1である。
キャビネット本体4は、収納空間S1を複数の空間に分ける複数の仕切板をさらに有する。複数の仕切板は、収納空間S1を上側の空間と下側の空間に分ける第一横板45及び第二横板46と、上側の空間を左右に分ける第一縦板47と、下側の空間の下部を左右に分ける第二縦板48と、第二縦板48と側板41の間に架け渡される第三横板49とを含む。横板45,46,49のそれぞれは、天板43及び底板44に対して平行である。縦板47,48のそれぞれは、側板41,42に対して平行である。第二横板46は、第一横板45の下に重なっている。
収納空間S1は、上第一空間S2、上第二空間S3、下第一空間S4、及び下第二空間S5を含む。上第一空間S2は、後板40と天板43と第一横板45と一対の側板41,42で囲まれる空間のうち、第一縦板47よりも側板42側の空間である。上第二空間S3は、後板40と天板43と第一横板45と一対の側板41,42で囲まれる空間のうち、第一縦板47よりも側板41側の空間である。
下第一空間S4は、後板40と、第二横板46と、側板42と、側板41の上半部(第三横板49よりも上側の部分)と、底板44の左半部(第二縦板48よりも側板41側の部分)と、第二縦板48と、第三横板49とで囲まれた空間である。下第二空間S5は、後板40と、側板41の下半部(第三横板49よりも下側の部分)と、底板44の右半部(第二縦板48よりも側板42側の部分)と、第二縦板48と、第三横板49とで囲まれた空間である。
続いて、第一前パネル5について説明する。
図1、図3Aに示すように、第一前パネル5は、下第一空間S4のうち、下第二空間S5よりも上方の左側の領域を前側から塞ぐように、キャビネット本体4に着脱自在に取り付けられる。第一前パネル5は、例えば、表面に防水加工が施された木質の板材である。第一前パネル5の前方には便器3が位置し、第一前パネル5と便器3との間は狭いスペースとなっている。
第一前パネル5は、矩形板状であり、下端部に切欠き50を有する。切欠き50は、第一前パネル5の下端部の左右方向の中央部分に位置する。切欠き50は、第一前パネル5の下端部を前後方向に貫通するとともに、下方に向けて開口している。
続いて、第二前パネル6について説明する。
第二前パネル6は、下第一空間S4のうち、下第二空間S5よりも上方の右側の領域を前側から塞ぐように、キャビネット本体4に着脱自在に取り付けられる。下第一空間S4のうち下第二空間S5よりも上方の領域は、第一前パネル5と第二前パネル6によって左右方向に亘って塞がれる。第二前パネル6の前方には便器3が位置しない空きスペースとなっている。
第二前パネル6は、前後方向に着脱するように、キャビネット本体4に取り付けられる。第二前パネル6は、例えば、面ファスナーによって、キャビネット本体4に取り付けられる。
第二前パネル6は、上端部に前方に突出した箱状の突出カバー部60を有する。突出カバー部60は、第二前パネル6の上端部の左右方向の中央部分に位置する。突出カバー部60は、後方及び上方に開口した箱状である。第二前パネル6のうち、突出カバー部60を除いた残りの部分は、略矩形板状である。第二前パネル6は、左右方向の長さが、第一前パネル5よりも短く、上下方向の長さが、第一前パネル5と同じである。第二前パネル6は、例えば、樹脂成型品である。
続いて、手洗装置7について説明する。
手洗装置7は、上第二空間S3を前側から塞ぐように、キャビネット本体4に取り付けられている。手洗装置7は、扁平な矩形の箱状のベース部70と、ベース部70の下部から前方に延長されたボウル部71と、水栓72と、人感センサー(図示せず)と、制御装置73と、給水管74と、排水管75とを有する。
ベース部70が、キャビネット本体4に対して取り付けられる。ボウル部71は、底部に、排水孔(図示せず)と、排水孔の孔縁から下方に延長されたL字状の排水筒710とを有する。排水筒710の下流端は、後方に向けて開口している。ベース部70とボウル部71は、例えば、樹脂成型品である。
水栓72は、吐水口720と、操作レバー721とを有する。水栓72は、ベース部70に取り付けられている。水栓72には、人感センサーが内蔵されている。人感センサーは、例えば、水栓72の吐水口720に近づいた物体(利用者の手等)の有無を検知する。
制御装置73は、電磁弁と、人感センサーの検知結果に応じて電磁弁の開閉を制御する制御回路とを有する。電磁弁と制御回路は、制御装置73の筐体730内に収納されている。制御装置73は、ビス等の固定部材によって、キャビネット本体4に取り付けられる。制御装置73は、下第一空間S4のうち、第二前パネル6によって塞がれる空間に配されている。電磁弁には、上水道からの水が供給される。
給水管74は、一端(下流端)が水栓72に接続され、他端(上流端)が電磁弁に着脱自在に接続される。給水管74は、フレキシブルな管740(例えばホース)と、その他端(上流端)に設けられたねじ式接続部741を有する。ねじ式接続部741を回転操作することによって、給水管74は電磁弁に対して簡単に着脱させることができる。
排水管75は、上流側に位置する封水用のトラップ部750と、トラップ部750よりも下流側に位置する蛇腹状の変形部751と、下流端に位置するねじ式接続部752を有する。排水管75は、上流端が手洗装置7の排水筒710に接続され、下流端が便器3の排水構造に着脱自在に接続される。排水管75は、下第一空間S4のうち、第一前パネル5によって塞がれる空間と第二前パネル6によって塞がれる空間に亘るように配されている。
ねじ式接続部752を回転操作することによって、排水管75は便器3の排水構造に対して簡単に着脱させることができる。便器3の排水構造とは、便器3に内蔵され、外部の下水管に接続されるトラップケースであり、トラップケースには可動式の排水トラップが封水姿勢と止水姿勢とを切替できるように収納されている。手洗装置7の排水は、便器3の排水構造を介して外部の下水管へと排水される。
続いて、扉パネル8について説明する。
扉パネル8は、上第一空間S2を開閉するように、キャビネット本体4の前側に取り付けられる。扉パネル8は、矩形板状である。扉パネル8は、その左端部を中心にして全体が回転するように、キャビネット本体4に取り付けられている。扉パネル8は、例えば、表面に防水加工が施された木質の板材である。
続いて、下第一前パネル9について説明する。
下第一前パネル9は、下第一空間S4のうち、下第二空間S5の側方の左端の領域を塞ぐように、キャビネット本体4に取り付けられる。下第一前パネル9は、矩形板状であり、例えば、表面に防水加工が施された木質の板材である。下第一前パネル9の左右幅は、第一前パネル5のうち、切欠き50よりも左側の部分の左右幅と同じである。下第一前パネル9は、キャビネット本体4の左の側板42と底板44のそれぞれに対して、ダボ等を介して取り付けられる。
続いて、下第二前パネル10について説明する。
下第二前パネル10は、下第二空間S5を塞ぐように、キャビネット本体4に取り付けられる。下第二前パネル10は、矩形板状であり、例えば、表面に防水加工が施された木質の板材である。下第二前パネル10の左右幅は、第一前パネル5のうち切欠き50よりも右側の部分の左右幅と、第二前パネル6の左右幅を足し合わせた長さと同じである。下第二前パネル10は、キャビネット本体4の右の側板41と底板44と第二縦板48と第三横板49のそれぞれに対して、ダボ等を介して取り付けられる。
下第二前パネル10と下第一前パネル9とは、左右方向に離れて位置するようにキャビネット本体4に取り付けられる。下第二前パネル10と下第一前パネル9の間からは、下第一空間S4と後板40が露出する。
続いて、カウンター11について説明する。
カウンター11は、キャビネット本体4の天板43の上に取り付けられる。カウンター11は、左右方向を長手方向とする矩形板状であり、例えば、表面に防水加工が施された木質の板材である。
続いて、サイドパネル12について説明する。
サイドパネル12は、キャビネット本体4の左の側板42の左面に取り付けられる。サイドパネル12は、上下方向を長手方向とする矩形板状であり、例えば、表面に防水加工が施された木質の板材である。サイドパネル12の前端部は、側板42の前端よりも前方に位置する。
続いて、受け具13について説明する。
図3A、図3Bに示すように、受け具13は、キャビネット本体4に取り付けられる。受け具13は、引掛け具14を引っ掛けることができるように構成されている。
本実施形態では、受け具13は、キャビネット本体4の第二横板46の下面に固定される矩形板状の固定部130と、固定部130から下方に延長されたフック部131とを有する。
フック部131は、矩形板状の固定部130の前端から垂下するように延長された垂下片部132と、垂下片部132の下端から前方に延長された底片部133と、底片部133の前端から上方に延長された折り返し片部134とを有する。垂下片部132と折り返し片部134は、互いに平行であり、底片部133は、固定部130に対して平行である。フック部131は、垂下片部132と底片部133と折り返し片部134で囲まれて形成される差込溝135を有する。差込溝135は、上方及び左右方向に開放された溝である。
受け具13は、例えば、金属製であり、一つの帯状の金属板を折り曲げ加工するなどして形成される。なお、受け具13は、樹脂製であってもよい。
本実施形態では、第二横板46の下面に、左右一対の受け具13が固定されている。左右一対の受け具13は、左右方向に距離をおいて位置する。
続いて、引掛け具14について説明する。
引掛け具14は、第一前パネル5に取り付けられる。本実施形態では、引掛け具14は、第一前パネル5の上端部の後面に固定される矩形板状の固定部140と、固定部140から後方に延長されたL字状の引掛け片部141とを有する。
引掛け片部141は、矩形板状の固定部140の上端から後方に延長された上片部142と、上片部142の後端から下方に延長された差込片部143とを有する。固定部140と差込片部143は、互いに平行である。
引掛け具14は、例えば、金属製であり、一つの帯状の金属板を折り曲げ加工するなどして形成される。なお、引掛け具14は、樹脂製であってもよい。
本実施形態では、第一前パネル5の後面の上端部の右端部と左端部にそれぞれ、引掛け具14が1つずつ固定されている。左右一対の引掛け具14の配置は、左右一対の受け具13の配置に対応している。
続いて、第二引掛け具15について説明する。
図1、図3Aに示すように、第二引掛け具15は、第一前パネル5の下端部の後面に、第一前パネル5よりも下方に突出するように取り付けられる。本実施形態では、第二引掛け具15は、矩形板状である。第二引掛け具15は、例えば、金属製である。なお、第二引掛け具15は、樹脂製であってもよい。
本実施形態では、第一前パネル5の下端部の後面のうち、切欠き50よりも右側の部分の左右方向の中央部と、切欠き50よりも左側の部分の左右方向の中央部にそれぞれ、第二引掛け具15が1つずつ固定されている。
図1に示す本実施形態のキャビネット1では、第一前パネル5は、左右一対の引掛け具14が左右一対の受け具13に一対一に引っ掛かることで、第一前パネル5の上端部が、キャビネット本体4に対して吊り支持された状態で取り付けられている。
第一前パネル5は、取付状態において、左側の第二引掛け具15が下第一前パネル9の上端部の後方に位置し、右側の第二引掛け具15が下第二前パネル10の上端部の後方に位置し、第一前パネル5の下端部が第二縦板48の上端部の前方に位置する。これにより、第一前パネル5の下端部は、前後方向の位置ずれが規制されている。
第一前パネル5は、上第一空間S2を閉じる位置にあるときの扉パネル8の真下に位置する。第一前パネル5の下方には、切欠き50の下方に、下第一前パネル9と下第二前パネル10の間の空間が並ぶように、下第一前パネル9と下第二前パネル10が位置する。
第一前パネル5の左方には、サイドパネル12の前端部が位置し、第一前パネル5の右方には、第二前パネル6が位置する。第一前パネル5は、側方(右方)への移動が、第二前パネル6に当たることで不可とされる。
第二前パネル6は、手洗装置7のベース部70の真下に位置し、突出カバー部60内に手洗装置7の排水筒710が収まっている。第二前パネル6は、面ファスナーを介して、キャビネット本体4に着脱自在に取り付けられている。
キャビネット1は、キャビネット本体4の右面が、壁2の右側に直角に並ぶ他の壁20に当たるように設置されている。第一前パネル5の前方に、便器3が位置し、第二前パネル6の前方は、便器3が位置しない空きスペースとなる。
続いて、キャビネット1内の空間を開放する各工程の一例を順に説明する。
まず、図4に示すように、キャビネット本体4から、第二前パネル6を取り外す。このとき、第二前パネル6は、突出カバー部60を掴んで前方に引っ張ることで、キャビネット本体4から取り外すことができる。キャビネット本体4から第二前パネル6を取り外すと、第一前パネル5の側方(右方)には、第一前パネル5の横方向の移動を許容するスペースが形成される。
次いで、図5に示すように、第一前パネル5を掴んで横方向(右方)に移動させる。これにより、左右一対の受け具13から左右一対の引掛け具14が外れて、第一前パネル5の上端部の支持が解除される。またこのとき、第一前パネル5の下端部の後方に、第二縦板48の上端部が位置する状態が解除され、第一前パネル5の下端部の後方への移動が可能となる。ここで、第一前パネル5の横方向の移動は、左右一対の第二引掛け具15を、下第一前パネル9と下第二前パネル10の後面に当てながら、安定して行うことが可能である。
次いで、図6に示すように、第一前パネル5を、上端部が下端部よりも前側に位置するように傾けて、上方に引き上げ、キャビネット本体4から第一前パネル5を取り外す。このとき、第一前パネル5は、下端部を下第一空間S4内へと後方に移動させながら、傾けることができるため、キャビネット本体4の前方(キャビネット本体4と便器3との間)に、大きな空間が必要とならない。そのため、第一前パネル5と便器3との間が狭いスペースとなっていても、取り外しを安定して行うことが可能となっている。なお、第一前パネル5及び第二前パネル6の取り付けは、上述した工程とは逆の工程によって行える。
以上のように本実施形態のキャビネット1では、第一前パネル5と第二前パネル6とをキャビネット本体4から取り外すことで、下第一空間S4を横方向に広く開放させることができる。そのため、本実施形態のキャビネット1では、下第一空間S4に収納された制御装置73、排水管75、及び給水管74のメンテナンスが行いやすい。
(変更例)
続いて、実施形態1のキャビネット1の変更例について説明する。
第二前パネル6は、キャビネット本体4に対して、ねじ等の固定部材によって着脱自在に取り付けられてもよい。
受け具13と引掛け具14は、第一前パネル5の横方向の移動を許容するように引っ掛けることのできる構造であればよく、上述した形状及び取付位置に限らず、適宜変更可能である。
第二引掛け具15についても、上述した形状及び取付位置に限らず、適宜変更可能である。第二引掛け具15は、第一前パネル5の下部の周囲の部材(第二縦板48や第三横板49や側板42)に引っ掛かることができるように構成されてもよい。
第一前パネル5の下部には、第二引掛け具15が設けられなくてもよく、受け具13による支持だけで、第一前パネル5はキャビネット本体4に取り付けられてもよい。
キャビネット1は、手洗装置7を備えなくてもよい。また、手洗装置7は、キャビネット1の隣に設置されてもよく、この場合、手洗装置7の制御装置73、給水管74、及び排水管75は、キャビネット1内に収納されることが好ましい。また、キャビネット1は、トイレ用品の収納にだけ用いられてもよく、すなわち、手洗装置7の制御装置73、給水管74、及び排水管75が、収納空間S1に収納されなくてもよい。
手洗装置7の制御装置73は、給水管74に供給される水を温めるヒーターを有してもよい。
キャビネット1は、壁2と便器3と間の狭いスペースに限らず、トイレルームのその他の壁の手前に沿うように配されてもよい。
(実施形態2)
続いて、図7に示す実施形態2のキャビネット1について説明する。以下では、実施形態1のキャビネット1と同様の構成については、図中に同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
実施形態2のキャビネット1は、キャビネット本体4の構造が、実施形態1のキャビネット1とは異なる。
本実施形態のキャビネット本体4では、底板44は、後板40の下端から上方に離れた位置に固定されており、トイレルームの床から上方に離れて位置する。後板40は、底板44よりも下方の部分が露出している。後板40の下面は、トイレルームの床に接している。一対の側板41,42のそれぞれの下面は、底板44の下面と面一である。サイドパネル12の下面も、底板44の下面と面一である。
キャビネット本体4内の収納空間S1は、上第一空間S2と、上第二空間S3と、下空間S6を含む。下空間S6は、後板40と第二横板46と一対の側板41,42と底板44とで囲まれた直方体状の空間である。
底板44は、その前端部に、切欠き440を有する。切欠き440は、底板44の前端部を上下方向に貫通し、かつ前方に開口している。切欠き440の左右方向の位置は、第一前パネル5の切欠き50の左右方向の位置と同じである。手洗装置7の排水管75の下流側の端部は、底板44の切欠き440と第一前パネル5の切欠き50のうち少なくとも一方を通じて、キャビネット1の外側へ引き出される。
底板44は、第一前パネル5の下端部に設けられる左右一対の第二引掛け具15が挿入される左右一対の挿入孔441を有する。左右一対の挿入孔441のそれぞれは、左右方向を長手方向とする長孔であり、少なくとも上方に開口している。
左右一対の第二引掛け具15のそれぞれは、図8に示すように、第一前パネル5の下端部の後面に固定される矩形板状の固定部150と、固定部150の下端から後方に延長された横片部151と、横片部151の後端から垂下した縦片部152を含む。
左右一対の挿入孔441のそれぞれは、左右方向の長さが、縦片部152の左右方向の長さよりも長く、前後方向の長さが、縦片部152の前後方向の長さよりも長い。言い換えると、左右一対の挿入孔441のそれぞれは、第一前パネル5の横方向への移動を許容する左右長さを有し、かつ、第一前パネル5を斜めに傾けることの可能な前後長さを有する。
左右一対の第二引掛け具15の縦片部152が、底板44の左右一対の挿入孔441に挿入され、左右一対の第二引掛け具15の横片部151が、底板44の上面に載せ置かれることで、第一前パネル5の下部は、キャビネット本体4に取り付けられる。
なお、第一前パネル5の上部は、左右一対の引掛け具14が、キャビネット本体4に設けられた左右一対の受け具13に引っ掛かって吊り支持されることで、キャビネット本体4に取り付けられる。
以上説明した実施形態2のキャビネット1においても、キャビネット本体4から第二前パネル6を取り外した後、第一前パネル5を側方(右方)に移動させた後、傾けて上方に持ち上げることで、キャビネット本体4から第一前パネル5を取り外すことができる。
本実施形態のキャビネット1では、第一前パネル5の下端部に設けられた左右一対の第二引掛け具15の横片部151を底板44の上面に当てながら、第一前パネル5を側方に移動させることができるため、安定した横移動が行える。
(変更例)
実施形態2のキャビネット1についても、上述した実施形態1のキャビネット1の変更例と同様の変更が可能である。
(効果)
以上説明した実施形態1、2及びその変更例のキャビネット1から明らかなように、本発明に係る第一の形態のキャビネット1は、第一の特徴として、下記の構成を具備する。
すなわち、第一の形態のキャビネット1は、キャビネット本体4と、第一前パネル5と、第二前パネル6と、受け具13と、引掛け具14を備える。
キャビネット本体4は、トイレルームの壁2に沿うように、壁2の前方に設置される。第一前パネル5は、キャビネット本体4の前側に取り付けられる。第二前パネル6は、第一前パネル5の横に並ぶように、キャビネット本体4に着脱自在に取り付けられる。受け具13は、キャビネット本体4に設けられる。引掛け具14は、第一前パネル5に設けられる。
第一前パネル5は、第二前パネル6がキャビネット本体4から外れた状態では、受け具13に引掛け具14が引っ掛かる取付位置と、受け具13から引掛け具14が離れる取り外し位置との間で、横方向に移動自在である。
第一前パネル5は、第二前パネル6がキャビネット本体4に取り付けられた状態では、取付位置から取り外し位置への移動が、第二前パネル6に当たることで不可とされる。
第一の特徴を具備することで、第一の形態のキャビネット1では、第二前パネル6をキャビネット本体4から取り外した状態で、第一前パネル5を横方向に移動させることで、キャビネット本体4に対して引っ掛かった状態を解除することができる。そして、第一の形態のキャビネット1では、第一前パネル5を横方向に移動させた後で、第一前パネル5をキャビネット本体4の前方から取り除くことができる。
このように、第一の形態のキャビネット1では、第一前パネル5とその側方に位置する第二前パネル6の両方を、キャビネット本体4から取り外すことができる。そのため、第一の形態のキャビネット1では、キャビネット本体4内の空間を横方向に広く開放することができて、内部のメンテナンスが行いやすい。
また、第一の形態のキャビネット1では、第二前パネル6がキャビネット本体4に取り付けられている状態では、第一前パネル5の横方向への移動を第二前パネル6によって防ぐことができる。そのため、第一の形態のキャビネット1では、第一前パネル5がキャビネット本体4に対して引っ掛かった状態が維持しやすく、例えば、掃除の際などに第一前パネル5に接触するなどしても外れにくい。
また、本発明に係る第二の形態のキャビネット1は、第一の特徴に加えて、下記の第二の特徴を具備する。
すなわち、第二の形態のキャビネット1は、第一前パネル5の下部に設けられた第二引掛け具15をさらに備える。第二引掛け具15は、第一前パネル5が取付位置と取り外し位置のいずれにあるときも、キャビネット本体4に対して引っ掛かることができるように構成されている。
上記の第二の特徴を具備することで、第二の形態のキャビネット1では、第二引掛け具15をキャビネット本体4に対して引っ掛けながら、第一前パネル5を横方向に移動させることができるため、第一前パネル5の横方向の移動が行いやすい。またこの横移動の際に、第一前パネル5の下部が前方へと飛び出すことを抑制することができる。
また、本発明に係る第三の形態のキャビネット1は、第一の特徴及び第二の特徴に加えて、下記の第三の特徴を具備する。
すなわち、第三の形態のキャビネット1は、第二前パネル6の上に位置するように、キャビネット本体4に取り付けられる手洗装置7をさらに備える。手洗装置7は、水栓72と、水栓72を制御する制御装置73と、を有する。制御装置73は、キャビネット本体4内に収納される。
上記の第三の特徴を具備することで、第三の形態のキャビネット1では、手洗装置7の下方において、第一前パネル5と第二前パネル6を取り外すことで、キャビネット本体4内の収納空間を横方向に広く開放することができる。そのため、第三の形態のキャビネット1では、キャビネット本体4内に収納された手洗装置7の制御装置73のメンテナンスが行いやすい。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。