JP6770821B2 - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents
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Description
すなわち、原子力発電所等の放射線管理区域内で発生した放射性物質で汚染された廃棄物は、汚染レベルに関係なく全て放射性廃棄物に区分されて管理されている。この様に放射線管理区域内で発生した廃棄物は放射性廃棄物として管理され、最終的には所定の処理を施した後に放射性廃棄物の処分施設に埋設処分される。この埋設処分(最終処分)により一連の処理・処分が完了する。
放射性廃棄物は、通常はセメントなどにより固形化処理されて、上述の最終処分に供されるのが一般的である。
ところで、福島第一原子力発電所の事故では、発電所敷地外の周辺で大量の汚染土壌等が発生することになった。このように、発電所敷地外で発生した汚染土壌等は、除染作業により収集して仮置場ないしは中間貯蔵施設にて貯蔵するとともに、適切な処理を行って約30年間の貯蔵の後に最終的な処分に供されることになっている。
汚染土壌等は具体的には、建物などの除染や地表土を数センチ除去するなどの除染作業を通して集められ、フレコンパックなどに充填されて仮置き場に集積され、最大3年間仮置き場にて貯蔵保管される。その後、汚染土壌等は中間になっている。
環境省は、福島第一原子力発電所の事故による除染に伴って発生する汚染土壌等の量を、福島県内より約2,800万m3、その他の地域より約1,300万m3の合計約4,100万m3と推定している。この量は、東京ドーム約34杯分の量に相当し、非常に大量な量である。これらの多量の発生汚染土壌等は仮置き場にて約3年間保管された後に、中間貯蔵施設にて30年間保管しその後最終処分に供される。
中間貯蔵施設は、処理設備が併設されて汚染土壌等の処理が行われる計画となっている。福島県内で発生する2,800万m3の土壌を深さ10mのピットにて保管するとなれば、それだけで約2km×2kmの敷地が必要となる。
このような大量の汚染土壌を全量最終処分に供することは最終処分コスト及び最終処分場の確保などの観点より、大きな課題となっている。このため、これら大量の汚染土壌を分別や除染等の処理を行い各放射能濃度に応じて再利用も含めて適切に処置することが求められている。
ところで、発電所敷地外で発生する汚染土壌の物量は発電所敷地内で発生する汚染土壌の物量よりはるかに多い。そのため、これら汚染土壌を除染するには莫大な費用が発生してしまうという課題がある。したがって、発電所敷地外で発生した汚染土壌の除染は効率良く行い、低コストで除染を行うことが極めて重要である。
そこで従来提案の目的は、原子力発電所事故等により原子力発電所外周辺地の土壌や草木等が放射能で汚染され場合の管理および処理・処分を合理的に行うことができる放射能汚染土壌の処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために従来提案は、原子力発電所等の放射線管理区域外における放射能汚染土壌の処理方法において、前記放射能汚染土壌を汚染レベルごとに分別する工程と、分別された前記汚染レベルに応じて放射能濃度を低減する為の処理ないしは処分を施す工程とを有するというものである。
しかし、この提案では土壌から汚染物質を具体的に有効に分離することは出来ないという問題があった。
(1)この発明の汚染土壌の浄化方法は、有害物質による汚染土壌に電解強酸性水、電解強アルカリ性水の順で及ぼすことにより、前記有害物質が収着した粘土・シルトの少なくとも一部を汚染土壌から剥離させて電解強酸性水又は/及び電解強アルカリ性水に移行せしめると共に、前記有害物質が収着した粘土・シルトが移行した電解強酸性水又は/及び電解強アルカリ性水を、分級機構により砂から分離するようにしたことを特徴とする。
また、有害物質による汚染土壌に電解強酸性水、電解強アルカリ性水の順で及ぼすようにしたので、汚染土壌の環境のpHを急激に変動させることになり、粘土・シルトの荷電状態(土壌粒子のゼータポテンシャル)を変化させて粘土・シルトの水中への分散をし易くすることが出来る。
ここで、前記有害物質として、原発事故で降下したセシウム134、セシウム137などの放射性セシウムや、カドミウム、鉛、六価クロムなどの重金属類、PCBやダイオキシンなどの有機物を例示することが出来る。
前記電解強酸性水や電解強アルカリ性水は、有隔膜の電気分解機構により生成させることが出来る。具体的には、例えば有隔膜の陽極側に所定濃度の食塩水(0.5〜20%等)を流すと共に、同陰極側に水を流すことが出来る。
前記電解強酸性水の水素イオン濃度は例えばpH3以下が好ましく、前記電解強アルカリ性水の水素イオン濃度は例えばpH12以上が好ましい。前記電解強酸性水には、例えば電解生成塩素(Cl2、HOCl)が含まれることになる。なお、電解強酸性水と電解強アルカリ性水の酸・アルカリの強度は、汚染土壌に及ぼす時点で該当していたら足り、その後の経過は問わないものである。
前記汚染土壌に電解強酸性水、電解強アルカリ性水の順で及ぼす態様として、汚染土壌に電解強酸性水と電解強アルカリ性水を交互に及ぼすことを例示することが出来る。また、最初に汚染土壌を電解強酸性水に浸漬しておいて、次に前記汚染土壌に電解強アルカリ性水を及ぼすようにすることも出来る。
前記汚染土壌に電解強酸性水と電解強アルカリ性水を交互に及ぼす態様として、該土壌にかけ流したりシャワー状に噴霧したり浸漬したりすることを例示できる。
ここで、例えば前記粘土・シルトは、岩石が熱作用や化学作用を受けて変性した二次鉱物であって、その層間に陽イオン(例えば放射性セシウムや重金属類)が収着し易い性質を有するものである。
前記分級機構として、複数の貫通部を有するふるい方式や遠心手段を具備するサイクロン方式を例示することが出来る。
前記分級機構の目の態様として、メッシュ状(例えば網の目状)やスリット状(例えば細長線状)の貫通部が形成されているものを例示することが出来る。
また、前記各洗浄槽は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部を有する分級機構を具備するようにすると、有害物質が収着した粘土・シルトが移行した電解強酸性水又は/及び電解強アルカリ性水を砂から分離することが出来る。
また、前記アルカリ性水すすぎ槽は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部を有する分級機構を具備するようにすると、有害物質が収着した粘土・シルトが移行したすすぎ水を砂から分離することが出来る。
このようにすると、汚染土壌から有害物質を実際に選択的に分離して活性炭に移行させることが出来る。
このようにすると、排出水中の有害物質を活性炭に吸着・濃縮しこれを焼却して減容化することが出来る。
有害物質が収着した粘土・シルトの少なくとも一部を汚染土壌から剥離させることが出来るので、土壌から汚染物質を具体的に有効に分離することができる汚染土壌の浄化方法を提供することが出来る。
また、有害物質による汚染土壌に電解強酸性水、電解強アルカリ性水の順で及ぼすようにしたので、汚染土壌の環境のpHを急激に変動させることになり、粘土・シルトの荷電状態を変化させて粘土・シルトの水中への分散をし易くすることが出来る。
汚染土壌を除染機1と除染機2とで、電解強酸性水が及ぼされる酸洗浄槽から電解強アルカリ性水が及ぼされるアルカリ洗浄槽へと移行せしめるようにしたので、これらの装置により有害物質による汚染土壌に電解強酸性水、電解強アルカリ性水の順で及ぼすことが出来る。
また、前記各洗浄槽は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部を有する分級機構を具備するようにしており、この機構により有害物質が収着した粘土・シルトが移行した電解強酸性水、電解強アルカリ性水を土壌から分離することが出来る。
〔実施形態1〕
図1に示すように、この実施形態の汚染土壌の浄化方法は、有害物質による汚染土壌1(保管放射能汚染土壌としてフレコンバッグ2に収容)を5mm以下に分級(放射能濃度が20,000Bq/kg以上であった)して、電解強酸性水3、電解強アルカリ性水4の順で及ぼすことにより、前記有害物質が収着した粘土・シルトの少なくとも一部を汚染土壌1から剥離させて電解強酸性水3、電解強アルカリ性水4に移行せしめるようにした。
前記電解強酸性水3や電解強アルカリ性水4は、有隔膜の電気分解機構(電解水生成装置5)により生成させた。すなわち、有隔膜の陽極側に所定濃度(約3%)の食塩水を流すと共に(電解強酸性水3が生成)、同陰極側に水を流した(電解強アルカリ性水4が生成)。そして、前記電解強酸性水3の水素イオン濃度はpH3以下になるよう調整し、前記電解強アルカリ性水4の水素イオン濃度はpH12以上になるよう調整した(電流密度6A/dm2)。
前記電解強酸性水3には、電解生成塩素(Cl2、HOCl)が含まれることになる(残留塩素濃度は数百ppmであった)。この電解生成塩素が汚染土壌1中の有機物を分解することにより、有害物質が収着している粘土・シルトが土壌から剥離し易くなる。
前記汚染土壌1に電解強酸性水3、電解強アルカリ性水4の順で及ぼす態様として、汚染土壌1に電解強酸性水3と電解強アルカリ性水4を交互に2回及ぼすようにした(除染機1と除染機2)。また、前記汚染土壌1に電解強酸性水3と電解強アルカリ性水4を交互に及ぼす態様として、該土壌にかけ流し浸漬するようにした。
前記1mm回転スクリーンの目を透過した1mm未満の土壌には、放射能濃度が高い粘土・シルトが含まれており、これを電解酸性水除去装置と電解アルカリ性除去装置に移行させ、pH調整したりPACを添加したりして有害物質を含む粘土・シルトを沈降分離した。これは高濃度放射性土壌であり、放射能濃度が30,000Bq/kg以上であった。
前記除染機1のアルカリ洗浄槽9から排出された汚染土壌1を、除染機2の電解強酸性水3が及ぼされる酸洗浄槽8から電解強アルカリ性水4が及ぼされるアルカリ洗浄槽9へと移行せしめるようにし(土壌は図示右方向に移動)、前記各洗浄槽は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部7を有する分級機構6(120μm回転スクリーン)を具備するようにした。前記回転スクリーンはモータMにより回転駆動される。
この除染機2のアルカリ洗浄槽9から排出された土壌の放射能濃度は、3,000Bq/kg以下にまで低減されていた(除染埋戻し土壌10)。
一方、120μm回転スクリーンの目を透過した120μm未満の土壌には、放射能濃度が高い粘土・シルトが含まれており、これを電解酸性水除去装置と電解アルカリ性除去装置に移行させ、pH調整したりPACを添加したりして有害物質を含む粘土・シルトを沈降分離した。これは高濃度放射性土壌11であり、放射能濃度が30,000Bq/kg以上であった。
また、前記各洗浄槽は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部7を有する分級機構6を具備するようにしており、この機構により有害物質が収着した粘土・シルトが移行した電解強酸性水3、電解強アルカリ性水4を砂から分離することが出来た。
この汚染土壌の浄化方法は、有害物質による汚染土壌1に電解強酸性水3、電解強アルカリ性水4の順で及ぼすこととしているので、有害物質が収着した粘土・シルトの少なくとも一部を汚染土壌1から剥離させることができ、土壌から汚染物質を具体的に有効に分離することができるという利点を有する。
また、有害物質による汚染土壌1に電解強酸性水3、電解強アルカリ性水4の順で及ぼすようにしたので、汚染土壌1の環境のpHを急激に変動させることになり、粘土・シルトの荷電状態(土壌粒子のゼータポテンシャル)を変化させて粘土・シルトの水中への分散をし易くすることが出来るという利点を有する。
次に、実施形態2を前記実施形態との相違点を中心に説明する。
図2に示すように、この実施形態の汚染土壌の浄化方法は、前記電解強アルカリ性水4が及ぼされた汚染土壌1から、工業用水12でアルカリ性水を洗い流すアルカリ性水すすぎ槽13を具備せしめるようにし、前記アルカリ性水すすぎ槽13は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部7を有する分級機構6を具備するようにした。
また、前記アルカリ性水すすぎ槽13は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部7を有する分級機構6を具備するようにしており、有害物質が収着した粘土・シルトが移行したすすぎ水を砂から分離するようにした。
埋戻しが可能な放射性セシウム濃度が3,000Bq/kg以下の除染土壌と、濃縮土壌とに分離する技術と、その仕組みを明らかにした。この方法の特徴は、材料は、安価な「水」と「食塩」と非常に少ない電気使用量(低電圧で維持費も低価格)で実行可能であり、使用した水も回収・再利用できる点にある。
放射能汚染土壌の除染・減容化方法として、除染効果や顕在性の面から水洗法と粒度選別法の組み合わせが有望視されており、水洗で容易に落ちない土壌物質に付着した放射性セシウムの剥離、洗浄を促進するための提案が色々となされているが、これらの方法では微細な粘度質に強固に結合した放射性セシウムを選択的に除染・減容化できていない。
しかし、本除染・減容化技術は、放射性セシウムをイオンの形で取り出すのではなく、「放射性セシウムが固着した非常に細かい粘土粒子」として、汚染土壌から剥離して、濃縮する技術であり、当社の開発した電気分解技術を応用した「水」と「食塩」と「少ない電気使用量」で可能にした、安価で画期的な除染・減容化技術である。
3 電解強酸性水
4 電解強アルカリ性水
6 分級機構
7 貫通部
8 酸洗浄槽
9 アルカリ洗浄槽
13 アルカリすすぎ槽
Claims (1)
- 有害物質による汚染土壌(1)に電解強酸性水(3)、電解強アルカリ性水(4)の順で及ぼすことにより、汚染土壌(1)の環境のpHを急激に変動させ、粘土・シルトの荷電状態を変化させ、前記有害物質が収着した粘土・シルトの少なくとも一部を汚染土壌(1)から剥離させて電解強酸性水(3)又は/及び電解強アルカリ性水(4)に移行せしめると共に、前記有害物質が収着した粘土・シルトが移行した電解強酸性水(3)又は/及び電解強アルカリ性水(4)を、分級機構(6)により汚染土壌(1)から分離するようにし、
前記汚染土壌(1)を、電解強酸性水(3)が及ぼされる酸洗浄槽(8)から電解強アルカリ性水(4)が及ぼされるアルカリ洗浄槽(9)へと移行せしめるようにし、前記各洗浄槽は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部(7)を有する分級機構(6)を具備するようにし、
汚染土壌(1)を、除染機1で、電解強酸性水(3)が及ぼされる酸洗浄槽(8)から電解強アルカリ性水(4)が及ぼされるアルカリ洗浄槽(9)へと移行せしめるようにし、前記各洗浄槽は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部(7)を有する分級機構(6)を具備するようにし、
前記除染機1のアルカリ洗浄槽(9)から排出された汚染土壌(1)を、除染機2の電解強酸性水(3)が及ぼされる酸洗浄槽(8)から電解強アルカリ性水(4)が及ぼされるアルカリ洗浄槽(9)へと移行せしめるようにし、前記各洗浄槽は有害物質が収着した粘土・シルトが透過できる貫通部(7)を有する分級機構(6)を具備するようにした
ことを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
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