JP6769749B2 - 測定対象物質の測定方法、キット、複合体および化合物 - Google Patents
測定対象物質の測定方法、キット、複合体および化合物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6769749B2 JP6769749B2 JP2016119971A JP2016119971A JP6769749B2 JP 6769749 B2 JP6769749 B2 JP 6769749B2 JP 2016119971 A JP2016119971 A JP 2016119971A JP 2016119971 A JP2016119971 A JP 2016119971A JP 6769749 B2 JP6769749 B2 JP 6769749B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substance
- complex
- polymerization
- group
- monomer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
Description
なお、本発明において、数値範囲を表す「a〜b」等の表記は、a以上、b以下と同義であり、aおよびbをその範囲内に含むものとする。
工程1で得られた複合体と、前記物質Aと特異的に結合する物質Cとを結合させる工程2、
工程2で得られた系中で、前記重合開始能を有する部位により反応し、かつ、重合することで着色または発光するモノマーまたはオリゴマーを重合させる工程3、および、
前記モノマーまたはオリゴマーを重合することで生じる、着色または発光により前記物質Aまたは物質Cを測定する工程4を含む、
前記物質Aまたは物質Cの測定方法。
[4] 前記モノマーが反応性基を有するテトラフェニルエチレンまたはその誘導体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の測定方法。
[5] 前記テトラフェニルエチレンまたはその誘導体が下記式(1)で表される、[4]に記載の測定方法。
前記重合開始能を有する部位により反応し、かつ、重合することで着色または発光するモノマーまたはオリゴマーとを含む、
前記物質Aまたは前記物質Aと特異的に結合する物質Cを測定するためのキット。
[10] さらに、物質Cと特異的に結合する物質A以外の物質A'を含む、[8]または[9]に記載のキット。
前記物質Aまたは前記物質Aと特異的に結合する物質Cを測定するための複合体。
また、本発明によれば、従来と比べ、短時間、高感度で被検物質を測定、定量等することができる。従って、本発明によれば、高感度の検出や診断等を行うことができ、次世代高感度検出・診断装置等に好適に利用できると考えられる。
本発明に係る被検物質の測定方法(以下「本方法」ともいう。)は、
特異的結合物質Aを含み、重合開始能を有する複合体を調製する工程1、
工程1で得られた複合体と、前記物質Aと特異的に結合する物質Cとを結合させる工程2、
工程2で得られた系中で、前記重合開始能を有する部位により反応し、かつ、重合することで着色または発光するモノマーまたはオリゴマー(以下「モノマー等」ともいう。)を重合させる工程3、および、
前記モノマー等を重合することで生じる、着色または発光により前記物質Aまたは物質Cを測定する工程4を含む。
なお、本発明における被検物質とは、具体的には、前記物質Aまたは物質Cのことである。
また、本方法は、ELISA法、CLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)、イムノクロマト法等における増感方法としても使用できる。
本方法は、特異的結合物質Aを含み、重合開始能を有する複合体を調製する工程1を含む。
本方法では、この工程1で得られた複合体を用いることで、具体的には、この複合体上または複合体付近において、重合することで着色または発光するモノマー等を重合させることで、短時間、高感度で被検物質を測定、定量等することができる。
前記物質Aは、特異的結合性を有する物質であれば特に制限されず、具体的には、前記物質Cと特異的に結合する物質である。
前記物質Aは、複合体を構成する成分であり、本方法の使用態様により、被検物質ともなる成分でもある。
なお、本発明において、「結合」とは、吸着等を含む概念である。
物質Aは、1種単独でもよく、2種以上の混合物でもよい。
より具体的には、免疫グロブリン、サイトカイン、ホルモン、アルブミン、グロブリン、プロテインA、プロテインG、プロテインL、Fc結合タンパク、(ストレプト)アビジン、レクチン、濾胞刺激ホルモンなどの蛋白ホルモン、これらの機能性変異体等が挙げられる。
連ペプチド等が挙げられる。
なお、前記抗体としては、いずれのイムノグロブリンクラスおよびサブクラスでもよく、さらには抗体断片でもよい。抗体断片とは、前述の抗体の一部分を意味し、具体的にはF(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、Disulfide−linked Fv、single chain Fv(scFv)およびその重合体等がこれにあたる。
前記核酸としては、DNA、RNA、GNA、LNA、PNA、TNA、プラスミド、ファージ、合成オリゴヌクレオチド等が挙げられる。
前記糖類としては、ヘパリン、ルイスX、ガングリオシド、グルコース等の糖類または多糖類が挙げられる。
前記ビタミン類としては、ビオチン等が挙げられる。
前記脂質としては、レシチンを含む物質が挙げられ、具体的には、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン等が挙げられる。
前記ホルモン類としては、チロキシン等が挙げられる。
前記神経伝達物質としては、グルタミン酸、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、アセチルコリン、グリシン、ペプチド性神経伝達物質等が挙げられる。
前記複合体は、前記物質Aを含み、かつ、重合開始能を有すれば(重合開始能を示す部位を有すれば)特に制限されない。
重合開始能を有する部位は、複合体を調製する際に用いる化合物等の原料と反応した別の物質から間接的に生じる部位(基)でもよいが、複合体を調製する際に用いる化合物等の原料由来の部位(基)であることが好ましく、重合開始剤または増感剤由来の重合開始能を有する部位(基)であることがより好ましい。
また、前記増感剤としては、光増感剤が好ましい。
前記重合開始剤および増感剤はそれぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよく、重合開始剤および増感剤を併用してもよい。
このような例としては、前記物質Cと特異的に結合する一次抗体と該一次抗体に結合した二次抗体とを含む複合体であって、該二次抗体に重合開始剤または増感剤が結合した複合体や、前記物質Cと特異的に結合する抗原と該抗原に結合した抗体とを含む複合体であって、該抗体に重合開始剤または増感剤が結合した複合体が挙げられる。
本方法は、工程1で得られた複合体と、前記物質Aと特異的に結合する物質Cとを結合させる工程2を含む。
前記物質Cとしては、前記物質Aと特異的に結合すれば特に制限されず、その具体例としては、前記物質Aとして例示した物質と同様の物質が挙げられる。
このように、前記複合体と物質Cとの結合体が固定化されることで、例えば、イムノクロマト法などにおいて、所定の場所、例えば、着色または蛍光ライン等により、被検物質を測定することができる。
また、前記複合体と物質Cとを結合させる際には、複合体をPBS等の臨床診断分野等で通常用いられる液に溶解させた溶液を用いてもよい。
前記物質A、A'、C、複合体および固相担体はそれぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記洗浄工程を行うことで、所望の場所以外の場所に存在する遊離の物質A、A'、Cまたは複合体を除去することができ、該遊離の物質により、被検物質の誤測定を抑制することができる。
また、前記ブロッキング工程を行うことで、前記物質A、A'、Cまたは複合体を前記固相担体上等にトランスファー(ブロッティング)した後に、非特異的な結合部位を予め飽和させておくことで、被検物質を測定する際のバックグラウンドが高くなることを抑制することができる。
本方法は、工程2で得られた系中で、前記重合開始能を有する部位により反応し、かつ、重合することで着色または発光するモノマー等を重合させる工程3を含む。
前記重合は、複合体が存在する場所またはその付近においてのみ起こる。
前記モノマー等としては、重合することで着色または発光するモノマーまたはオリゴマーであれば特に制限されない。モノマー等は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
なお、本発明において、「重合することで着色または発光する」とは、重合する前は、着色しておらず、または、光(例:紫外線)を照射しても発光せず、重合することで初めて着色する、または、光を照射すると発光する、好ましくは、蛍光を生じることをいう。
凝集発光物は、モノマーの段階では蛍光を発することはなく、重合により凝集すると光照射により蛍光を生じ、さらに凝集しても濃度消光しないため、前記工程4において、高蛍光強度のシグナルを得ることができ、該蛍光強度をもとに被検物質を定量することもできる。
該ラジカル重合性のエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基を含む基が好ましい。
また、前記イオン重合性基としては、エポキシ基を含む基等が挙げられる。
反応性基を導入する方法としては特に制限されず、従来公知の方法、反応性基を有する化合物を用いて、該化合物由来の基を導入する方法が挙げられる。
なお、本発明における反応性基は、反応性基を有する化合物由来の、反応性基を含む基であってもよい。
前記テトラフェニルエチレンの誘導体とは、テトラフェニルエチレン骨格を有する化合物のことをいう。
前記反応性基を有するテトラフェニルエチレンまたはその誘導体としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
前記a〜dはそれぞれ独立して、1または2が好ましく、1がより好ましい。
前記工程3の際には、より短時間で被検物質を測定、定量等することができる等の点から、さらに、架橋剤を用いることが好ましい。
架橋剤は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記架橋剤としては、例えば、多官能重合性不飽和基含有化合物が挙げられ、特開2016−19973号公報に記載の化合物等を用いることができる。
これらの中でも、N,N'−メチレンビスアクリルアミド、N−[トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]アクリルアミド等の多官能(メタ)アクリルアミド化合物が好ましい。
前記複合体中の重合開始能を有する部位が光重合開始剤または光増感剤由来の部位である場合には、光照射、具体的には放射線照射により重合することができる。
この場合であって、i線を含む放射線を用いる場合、低濃度の被検物質を高感度で測定できる等の点から、露光量としては、好ましくは10〜20000mJ/cm2、より好ましくは20〜2000mJ/cm2である。
本方法は、前記モノマー等を重合することで生じる、着色または発光により、好ましくは蛍光により、前記物質Aまたは物質Cを測定する工程4を含む。
本方法では、被検物質である前記物質Aまたは物質Cが存在する場合にのみ着色または発光(好ましくは蛍光)が生じ、該着色または発光を測定することで、被検物質を測定、診断、定量等することができる。
具体的には、本方法では、前記複合体が存在する場所またはその付近においてのみ、前記モノマー等の重合が起こり、そこで、着色または発光する。そして、該複合体が存在する場所は、前記物質Aまたは物質Cが存在する場所でもあるため、前記着色または発光を測定することで、被検物質である物質Aまたは物質Cを検出、定量等することができる。
また、前記発光は、蛍光であることが好ましく、該蛍光は、重合体に光を照射することで生じる蛍光をマルチラベルリーダーARVO X5などを用いて確認することができる。
本発明のキットは、前記物質Aまたは前記物質Aと特異的に結合する物質Cを測定するためのキットであり、本方法に好適に用いられる。
該キットは、特異的結合物質Aを含み、重合開始能を有する複合体と、
前記重合開始能を有する部位により反応し、かつ、重合することで着色または発光するモノマー等とを含む。
さらに、該キットは、前記物質Aと特異的に結合する物質C含んでもよく、物質Cと特異的に結合する物質A以外の物質A'を含んでもよい。
また、該キットは、臨床診断分野等で用いられる従来公知の部材、例えば、前記固相担体等を含んでいてもよい。
4−ヒドロキシベンゾフェノン0.991g(5mmol)、金属亜鉛末817mg(2.5当量、12.5mmol)を、ジムロート冷却器装着の3つ口フラスコに入れ、窒素置換後、テトラヒドロフラン120mlを加えた。ドライアイス−アセトンでフラスコを冷却し、ここに四塩化チタン2.37g(2.5当量、12.5mmol)を5分間かけ滴下した。滴下終了から30分後、反応容器の冷却を止め、室温で12時間撹拌した。次いで、60℃に加温し、7時間反応させた。溶媒を留去し、残渣を一度酢酸エチルに溶解させ、シリカゲルカラムで粗くろ過することで、粗生成物を得た。次いで、この粗生成物を再度、シリカゲルカラムで分離(酢酸エチルとヘキサンとの混合液。体積比で50:50)し、化合物(A)535mg(収率59%)を得た。なお、本合成例によってE体、Z体の異性体が約1:1の割合の混合物として得られた。
1H−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:7.1〜7.0ppm(ベンゼン環上水素、8H)、6.9〜6.8ppm(ベンゼン環上水素、約4H)、6.6〜6.5ppm(ベンゼン環上水素、約4H)
1H−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:7.2〜7.0ppm(ベンゼン環上水素、12H)、6.9〜6.8ppm(ベンゼン環上水素、約2H)、6.6〜6.5ppm(ベンゼン環上水素、約2H)、4.2〜4.0ppm(−CH2−CH3、4H)、1.3〜1.1ppm(−CH2−CH3、6H)
31P−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:−5.9ppm
1H−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:7.2〜7.0ppm(ベンゼン環上水素、16H)、4.2〜4.0ppm(−CH2−CH3、8H)、1.3〜1.1ppm(−CH2−CH3、12H)
31P−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:−5.9ppm
1H−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:7.2〜6.9ppm(ベンゼン環上水素、16H)、6.2ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、5.7ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、4.2〜4.0ppm(−CH2−CH3、4H)、1.9ppm(メタクリル基メチル水素、3H)、1.3〜1.1ppm(−CH2−CH3、6H)
31P−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:−5.9ppm
1H−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトσ:7.2〜6.7ppm(ベンゼン環上水素、16H)、6.3ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、5.7ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、1.9ppm(メタクリル基メチル水素、3H)
31P−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトσ:−6.8ppm
1H−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:7.2〜6.9ppm(ベンゼン環上水素、16H)
31P−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:−3.2ppm
1H−NMR(溶媒:d6−Acetone)化学シフトσ:7.1〜7.0ppm(ベンゼン環上水素、2H)、7.0〜6.9ppm(ベンゼン環上水素、2H)、6.8〜6.7ppm(ベンゼン環上水素、6H)、6.7〜6.6ppm(ベンゼン環上水素、6H)、6.2ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、5.7ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、1.9ppm(メタクリル基メチル水素、3H)
1H−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトσ:7.0〜6.9ppm(ベンゼン環上水素、16H)、6.3ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、5.7ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、4.3〜4.1pm(−CH2−CH3、12H)、2.0ppm(メタクリル基メチル水素、3H)、1.3〜1.1ppm(−CH2−CH3、18H)
31P−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトσ:−5.9ppm
1H−NMR(溶媒:d4−Methanol)化学シフトσ:7.0〜6.8ppm(ベンゼン環上水素、16H)、6.2ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、5.7ppm(メタクリル基オレフィン水素、1H)、2.0ppm(メタクリル基メチル水素、3H)
31P−NMR(溶媒:d4−Methanol)化学シフトσ:−4.8ppm
(ビオチン−光開始剤複合体の作製)
アミン末端を有するビオチンであるEZ−Link Amine−PEG2−biotin(ThermoFisher SCIENTIFIC社製) 37.5mg、光開始剤Irgacure2959(BASF社製) 89.6mgおよびWSC[1−Ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide, hydrochloride]((株)同仁化学研究所製) 191.7mgを、0.1M MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)10mlに溶解させ、室温で12時間反応させた。その後、カラムにより、未反応のビオチンを除去し、ビオチン−光開始剤複合体を作製した。
ストレプトアビジン結合ELISAプレート(ThermoFisher SCIENTIFIC社製)のウェルに、作製したビオチン−光開始剤複合体を、2nmol、4nmol、8nmol、16nmol、32nmolまたは64nmolとなるようにPBS(リン酸緩衝生理食塩水)50μlに溶解させた溶液を添加した。次いで、室温で2時間放置した後、PBS 300μlで3回洗浄し、プレートへ複合体を結合させた。そこに、合成例で作製した化合物(III)0.02mgと、架橋剤であるN−[トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]アクリルアミド(和光純薬工業(株)製)0.4mgとをPBS 50μlに溶解させた溶液を添加した。そして、プレートをマルチラベルリーダーARVO X5(Perkin Elmer社製)に設置し、励起波長を355nmに設定することでUVを照射し、重合を開始した。そして、UVを照射し始めた時を0秒として、UVを照射しながら、75秒後、100秒後、150秒後、200秒後または300秒後の各ウェルの蛍光強度(励起波長355nm、蛍光波長465nm)を測定した。その結果、表1に示す通り、露光時間が長くなるにつれ、蛍光強度が増加した。前記複合体が存在する場所で重合が起こり、該重合により、蛍光が発せられるため、蛍光を確認することで、複合体、さらにはビオチンの存在を確認することができる。また、露光量を調整することで、低濃度の前記複合体を用いても蛍光を測定でき、低濃度の複合体、低濃度のビオチンまで検出することができる。
(ビオチン−色素複合体)
光開始剤Irgacure2959をエオシンイソチオシアネート(SIGMA ALDRICH社製)282mgに変更した以外は、実施例1と同様にして、ビオチン−色素複合体を作製した。
実施例1と同様にして、ストレプトアビジン結合ELISAプレートに、ビオチン−色素複合体を、10pmol、20pmol、40pmol、80pmol、160pmolまたは320pmolとなるようPBS 50μlに溶解させた溶液を添加した。そこへ、化合物(III)0.02mg、N−[トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]アクリルアミド0.4mgおよびジメチルアミノエタノール0.002mgをPBS 50μlに溶解させた溶液を添加した。続いて、実施例1と同様にマルチラベルリーダーARVO X5を用いて、505nmの波長の光を照射し、重合を開始した。そして、光照射し始めた時を0秒として、光を照射しつつ、75秒後、100秒後、150秒後、200秒後または300秒後の各ウェルの蛍光強度(励起波長355nm、蛍光波長465nm)を測定した。その結果、表2に示す通り、実施例1と同様に、露光時間が長くなるにつれ、蛍光強度が増加した。露光量を調整することで、低濃度のビオチンまで検出することができることが分かる。
なお、300秒露光した時のビオチン濃度に対する蛍光強度の関係を図2に示す。
(色素標識抗体(複合体)の作製)
抗PSA抗体 33mg、エオシンイソチオシアネート 14.1mgおよびWSC 19.2mgを0.1M MES 10mlに溶解させた以外は、実施例1と同様にして、色素標識抗体を作製した。作製した色素標識抗体の520nmにおける吸光度から、抗体1分子あたりの色素標識数を算出すると、平均10分子であった。
ELISAプレート MAXISORP(ThermoFisher SCIENTIFIC社製)に、20μg/mLの濃度になるようにPBSで希釈した未標識の抗PSA抗体を、50μLずつウェルに入れ、4℃で一晩放置し、プレートへ吸着させた。次にブロッキングバッファー(1質量%BSA(牛血清アルブミン)、0.05質量%Tween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)および50mMのPBSの混合液、pH:7.4)を200μlずつウェルに入れ、37℃で5時間放置し、ブロッキングした。
N−[トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]アクリルアミドを用いない以外は、実施例3と同様にして、抗原の検出を試みた。その結果、蛍光を検出できるまでの光照射時間が伸びてしまったが、実施例3と同様に、露光時間が長くなるにつれ、蛍光強度が増加した。露光量を調整することで、低濃度の抗原まで検出することができることが分かる。
(免疫クロマト用メンブレン作製)
ニトロセルロースからなるメンブレン(メルクミリポア社製、商品名:HF120、250mm×25mm)上に、抗PSAモノクローナル抗体および抗Mouse IgGモノクローナル抗体を1mmの幅で別々の場所に塗布し、50℃で30分間乾燥した後、室温で一晩乾燥させ、メンブレン上に抗PSA抗体塗布部(検出ライン)、抗Mouse IgG抗体塗布部(コントロールライン)をそれぞれ設けた。
得られたメンブレンに、濃度既知のPSA抗原(0μg/mlまたは10μg/ml)を含むPSAスタンダード溶液100μlを展開した後、実施例3と同様に作製した色素標識抗体を1μg/mLの濃度で含む溶液を展開し、続いて化合物(III)0.02mg、N−[トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]アクリルアミド0.4mgおよびジメチルアミノエタノール0.002mgを50μlのPBSに溶解した溶液を展開した。
化合物(III)の代わりに化合物(F)を用いた以外は、実施例3と同様にして、抗原の検出を試みた。その結果、蛍光を検出することはできず、抗原を検出できなかった。結果を表5に示す。
化合物(III)の代わりにフルオレセインメタクリレートを用い、蛍光検出の際の励起波長を488nm、蛍光波長を535nmとした以外は、実施例3と同様にして、抗原の検出を試みた。
しかし、フルオレセインメタクリレートは蛍光色素であるため、重合の有無によらず、蛍光強度が検出された。その結果、全てのサンプル、全ての反応時間にて、同程度の蛍光強度を検出した。すなわち、抗原を検出できなかった。結果を表6に示す。
Claims (11)
- 特異的結合物質Aを含み、光重合または熱重合開始能を有する複合体を調製する工程1、
工程1で得られた複合体と、前記物質Aと特異的に結合する物質Cとを結合させる工程2、
工程2で得られた系中で、前記光重合または熱重合開始能を有する部位により反応し、かつ、重合することで着色または発光するモノマーまたはオリゴマーを光重合または熱重合させる工程3、および、
前記モノマーまたはオリゴマーを光重合または熱重合することで生じる、着色または発光により前記物質Aまたは物質Cを測定する工程4を含む、
前記物質Aまたは物質Cの測定方法。 - 前記複合体における光重合または熱重合開始能を有する部位が、重合開始剤または増感剤由来である、請求項1に記載の測定方法。
- 前記モノマーまたはオリゴマーが、ラジカル重合性基を有する凝集誘起発光性の化合物である、請求項1または2に記載の測定方法。
- 前記モノマーがラジカル重合性基を有するテトラフェニルエチレンまたはその誘導体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定方法。
- 前記物質Aが、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、抗体、抗原、酵素、ホルモン、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、糖類、ビタミン類、脂質、薬剤、基質、ホルモン類、神経伝達物質、イミノジ酢酸、2−アミノフェニル硼素酸、4−アミノベンズアミジン、グルタチオンおよびこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の測定方法。
- 前記工程3における光重合または熱重合の際に架橋剤を用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の測定方法。
- 特異的結合物質Aを含み、光重合または熱重合開始能を有する複合体と、
前記光重合または熱重合開始能を有する部位により反応し、かつ、光重合または熱重合することで着色または発光するモノマーまたはオリゴマーとを含む、
前記物質Aまたは前記物質Aと特異的に結合する物質Cを測定するためのキット。 - さらに、前記物質Aと特異的に結合する物質Cを含む、請求項8に記載のキット。
- さらに、物質Cと特異的に結合する物質A以外の物質A'を含む、請求項8または9に記載のキット。
- 特異的結合物質Aを含み、かつ、光重合または熱重合開始能を有する、
前記物質Aまたは前記物質Aと特異的に結合する物質Cを測定するための複合体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016119971A JP6769749B2 (ja) | 2016-06-16 | 2016-06-16 | 測定対象物質の測定方法、キット、複合体および化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016119971A JP6769749B2 (ja) | 2016-06-16 | 2016-06-16 | 測定対象物質の測定方法、キット、複合体および化合物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017223582A JP2017223582A (ja) | 2017-12-21 |
JP6769749B2 true JP6769749B2 (ja) | 2020-10-14 |
Family
ID=60686998
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016119971A Active JP6769749B2 (ja) | 2016-06-16 | 2016-06-16 | 測定対象物質の測定方法、キット、複合体および化合物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6769749B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018043687A2 (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 積水化学工業株式会社 | 診断薬用蛍光粒子及びそれを用いた免疫測定試薬 |
CN110441521A (zh) * | 2018-05-03 | 2019-11-12 | 深圳市疾病预防控制中心 | 检测Zika病毒NS1抗原的试纸条和试剂盒及方法 |
US11162147B2 (en) * | 2018-06-05 | 2021-11-02 | Arizona Board Of Regents On Behalf Of Arizona State University | Apparatuses and methods for detecting nucleic acids |
WO2021193909A1 (ja) * | 2020-03-26 | 2021-09-30 | 積水化学工業株式会社 | 重合体、検査薬、アナライト濃度測定法、及び、アナライト濃度測定装置 |
CN113797382B (zh) * | 2020-06-12 | 2022-09-09 | 四川大学 | 改性γ-聚谷氨酸凝胶止血材料及其制备方法和应用 |
CN112608217B (zh) * | 2020-12-28 | 2022-04-22 | 华南理工大学 | 一种组装调控荧光增强聚集诱导发光材料、微纳米球及制备方法与应用 |
CN113173996B (zh) * | 2021-04-26 | 2022-05-20 | 广东省医疗器械质量监督检验所 | 一种聚集诱导发光肽组装体、制备、检测方法及其应用 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011153096A (ja) * | 2010-01-27 | 2011-08-11 | Kaneka Corp | 蛍光性糖鎖プローブ |
CN102858911B (zh) * | 2010-03-01 | 2014-12-17 | 香港科技大学 | 四苯乙烯发光衍生物、其制备方法以及使用该衍生物的发光器件 |
JP2012132753A (ja) * | 2010-12-21 | 2012-07-12 | Kaneka Corp | 糖鎖相互作用解析法 |
US9475768B2 (en) * | 2011-03-17 | 2016-10-25 | The Hong Kong University Of Science And Technology | Luminogen compounds and the use of the same for biosensing and cellular imaging |
US9228949B2 (en) * | 2011-09-06 | 2016-01-05 | The Hong Kong University Of Science And Technology | Aggregation-induced emission luminogens for metal ion detection |
JP6081152B2 (ja) * | 2012-06-08 | 2017-02-15 | 株式会社同仁化学研究所 | テトラフェニルエテン誘導体から成る発蛍光性化合物 |
US10444249B2 (en) * | 2013-07-30 | 2019-10-15 | Japan Science And Technology Agency | Ion sensor |
-
2016
- 2016-06-16 JP JP2016119971A patent/JP6769749B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017223582A (ja) | 2017-12-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6769749B2 (ja) | 測定対象物質の測定方法、キット、複合体および化合物 | |
EP1594855B1 (en) | Signalling compounds for use in methods of detecting hydrogen peroxide | |
EP0275260B1 (en) | Method of detecting a substance using enzymatically-induced decomposition of dioxetanes | |
JP3285609B2 (ja) | 標識複合体、及びそれを用いる分析法 | |
JP4074335B2 (ja) | 電子数の多い化学発光性アリール置換1,2−ジオキセタン | |
US20020106687A1 (en) | Dioxetane labeled probes and detection assays employing the same | |
JPH0826054B2 (ja) | 発光性金属キレ−ト標識及び検出手段 | |
KR20130091644A (ko) | 감도가 증가된 균질 화학발광 검정 방법 | |
AU9102398A (en) | Novel compounds for generating chemiluminescence with a peroxidase | |
CN106232771A (zh) | 本发明的镧系螯合物领域的新发色团结构 | |
US7682839B2 (en) | Methods using novel chemiluminescent labels | |
WO2017037408A1 (en) | Method for antigen detection | |
EP1666560A1 (en) | Novel fine fluorescent particle | |
JPH09249659A (ja) | 安定なジオキセタンおよびこれを含む発光組成物 | |
KR101740026B1 (ko) | 4-(4-메틸피페라지닐)스티릴피리딘 유도체가 다중 결합된 라텍스 비드 복합체 및 이를 유효성분으로 포함하는 표적물질 검출용 키트 | |
EP2028250A1 (en) | Luminescence enhancer | |
JPH0472564A (ja) | 免疫測定法 | |
WO2008023489A1 (fr) | Composé dérivé de l'acide squarique, réactif de détection d'une protéine comprenant le composé et procédé de détection d'une protéine utilisant le réactif | |
KR20080054962A (ko) | Dna 서열을 포함하는 폴리다이아세틸렌 센서칩 및 그제조방법 | |
JP4533981B2 (ja) | 核酸と被験物質との結合親和性を測定するための組成物及びその利用 | |
US20200255668A1 (en) | Labeling dye and kit including same | |
JPH09184810A (ja) | カプセル化学分析検定法 | |
JP2002181816A (ja) | 二本鎖核酸の検出試薬と二本鎖核酸検出方法 | |
JP3177964B2 (ja) | 発色方法、該方法を用いる酵素免疫測定法及びイムノクロマト法 | |
JPS61502681A (ja) | 化学発光性ラベル付有機試薬及び有機化合物の分析におけるそれらの利用法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190417 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200122 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200204 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200423 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200707 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200803 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200908 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200924 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6769749 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |