JP2012132753A - 糖鎖相互作用解析法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特定の糖鎖に特異的に結合するウイルスや細菌毒素の検出方法を提供する。
【解決手段】 凝集誘起発光特性を有する化合物に糖鎖を結合させることで、糖鎖との相互作用を分析できる。このような糖鎖化合物を用いた解析を、抗体を結合させたマイクロビーズを用いることにより、糖鎖と特異的な結合を有するウイルス、毒素、たんぱく質に関して、高感度且つ、特異的な相互作用を解析する手段として利用することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、凝集誘起発光特性を有する糖鎖プローブ、すなわち蛍光性糖鎖プローブを用いたウイルス及び細菌毒素、タンパク質等の検出方法あるいは糖鎖結合性を評価する方法に関する。
近年、糖鎖の研究が急速に進展し、様々な機能が解明されてきている。特に、細胞分化、ガン化、免疫反応等への糖鎖の関わりについて新しい事実が明らかにされつつある。例えば、細胞表層における糖鎖は、タンパク質や脂質と相互作用することによって、生体内における細胞分化、ガン化、免疫反応等の重要なプロセスに関与している。また、糖鎖は、細胞表層における細胞認識、接着、細胞間のシグナル伝達において重要な役割を担っていることも明らかになってきている。
一方、重症急性呼吸器症候群(SARS)、エイズ、インフルエンザ等の感染性ウイルス、O-157など病原性微生物が生産するタンパク質毒素(ベロ毒素、コレラ毒素、炭素菌毒素)、BSEプリオン蛋白質による感染症が大きな社会問題となっている。これらウイルスや毒素は、ホスト細胞の表面を被う特定の糖鎖を認識して結合することでヒトに感染するなど、糖鎖と関連していることが知られている。このことは、糖鎖がウイルスの感染予防薬や毒素の捕捉材料、或いは検出用のプローブとして機能し得ることを意味している。
糖鎖と生体分子との相互作用解析には糖鎖アレイが利用されている。例えば、N及びO結合型糖鎖、糖脂質糖鎖などを生体分子の非特異的な吸着を抑制する特殊な表面処理したプラスチック表面に糖還元末端を介して固定化した糖脂質アレイが住友ベークライト株式会社より販売されている。また、表面プラズモン共鳴(SPR)等により、酵素、レクチン、毒素、ウイルスなどとオリゴ糖鎖間の相互作用を解析する方法もよく用いられている。しかし、これらの方法では、洗浄工程により弱い結合が検出することができなかったり、分析対象となるリガンドをカラム担体やアレイへの固定化する工程が煩雑という問題や、高価な測定機器が必要であるといった経済性の問題がある。
また、近年、フロンタルアフィニティークロマトグラフィー(非特許文献1)やエバネッセント波励起型レクチンアレイシステム(非特許文献2)が開発された。エバネッセント波励起型レクチンアレイシステムは、洗浄工程が不要で結合力が比較的弱い糖鎖とレクチン間の結合力を検出することができる。しかしながら、これらは測定精度や測定の簡便さは向上したものの、糖鎖との相互作用を検出するリガンドをカラム担体やアレイへ固定化する必要があることや経済性の問題がある。
また、テトラフェニルエチレン(非特許文献3、4)やホスホールオキシド化合物(非特許文献5)などの凝集することにより蛍光が誘起される化合物が知られている。昨今、テトラフェニルエチレンにシアリルラクトース糖鎖を連結し蛍光性糖鎖プローブを作製し、インフルエンザウイルス溶液中において機能することが発見されている(非特許文献6)。しかしながら、純度の高いウイルス溶液であれば測定できるが、夾雑物が存在する場合、特異的な検出を行うことができないことが課題であった。
J. Hirabayashi et al.: J. Chromatogr. A, 890, 261-271, 2000. A. Kuno et al: Nature Methods, 2, 851-856, 2005. L. Liu et al.: Org. Lett., 10, 4581-4584, 2008. H. Tong et al.: Chem. Commun., 2006, 3705-3707. T. Sanji et al.: Appl. Mater. Interfaces, 1, 270-273, 2009. T. Kato et al.: Biochem. Biophys. Res. Commun., 394, 200-204, 2010.
上記の状況に鑑み、本発明の目的は、蛍光性糖鎖プローブを用いて、糖鎖との相互作用を高感度かつ簡便かつ安価に測定する方法、並びに標的分子の検出方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、凝集誘起発光特性(AIE:Aggregation-Induced Emission)を有する蛍光性糖鎖プローブを、マイクロビーズ表面に結合したウイルスやタンパク質と作用させることで、溶液中で引き起こる結合力の弱い特異的な結合を高感度に分析できることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、凝集誘起発光特性を有する蛍光性糖鎖プローブと、ビーズ様の担体上に固定化された標的分子を接触させ、次いで蛍光を測定することを特徴とする、標的分子と糖鎖との相互作用を解析する方法である。
本発明の好ましい態様において、標的分子は、タンパク質、ウイルス、又は毒素である。また、本発明の好ましい態様において、蛍光の検出はフローサイトメーターを用いて行われる。
また、本発明は、上記の相互作用解析方法を用いて、標的分子を検出する方法でもある。
本発明では、蛍光性リガンドである糖鎖プローブと、マイクロビーズ等の担体上に固定化された標的分子との間で相互作用による結合を形成させることを特徴とする。標的分子が担体上に固定化されていることにより、蛍光糖鎖プローブと標的分子を接触させた溶液を、そのままフローサイトメーター等による蛍光検出に供することができる。、このため、非常に簡便な操作で標的分子への特異的な結合検出できる。また、洗浄工程が不要なため、比較的結合力が弱い糖鎖との相互作用についても、高感度で検出することができる。
SSAレクチンを結合させたビーズ及び、RCA120レクチンを結合させたビーズを抗体にてフローサイトメーターを用いて解析した結果を示す。 SSAレクチンを結合させたビーズ及び、RCA120レクチンを結合させたビーズをα2,6−シアリルラクトース蛍光糖鎖プローブと作用させてフローサイトメーターを用いて解析した結果を示す。 抗HBsモノクローナル抗体を結合させたビーズを抗体にてフローサイトメーターを用いて解析した結果を示す。 抗HBsモノクローナル抗体を結合させたビーズを用いて、HBs抗原ウイルス様粒子とα2,3−シアリルラクトース蛍光糖鎖プローブの結合をフローサイトメーターにより解析した結果を示す。 抗HBsモノクローナル抗体を結合させたビーズを抗体にてフローサイトメーターを用いて解析した結果を示す。 抗HBsモノクローナル抗体を結合させたビーズを用いて、HBs抗原ウイルス様粒子とα2,3−シアリルラクトース蛍光糖鎖プローブの結合をフローサイトメーターにより解析した結果を示す。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明で用いる蛍光性糖鎖プローブは、テトラフェニルエチレンやホスホールオキシド化合物などの、凝集誘起発光性すなわち凝集することにより蛍光が誘起される化合物に、ウイルスや毒素などに特異的に結合する糖鎖を導入されたものである。
導入する糖鎖としては、ベロ毒素と結合するGb3、コレラ毒素と結合するGM1、破傷風毒素と結合するGD1b、ボツリヌス毒素と結合するGT1bやGQ1b、ウエルシュ菌のデルタ毒素と結合するGM2、或いは、ヒトインフルエンザウイルスと結合するα2-6シアリルラクトース、トリインフルエンザウイルスと結合するα2-3シアリルラクトース、ノロウイルスと結合する血液型抗原であるH(O)、A、Leb型抗原などが挙げられる。
標的分子をマイクロビーズ表面に結合させる方法としては、市販の官能基を持つマイクロビーズを用いて、直接タンパク質やウイルスなどの標的分子を結合させることもできるが、抗体を結合させることにより、抗原を特異的にマイクロビーズ表面に結合させることができる。
使用するマイクロビーズとしては、たとえば、官能基をもつアクリル系ポリマー微粒子である親水性のマイクロビーズ(鎌倉テクノサイエンス)や、フローサイトメーターによって識別される特徴的な蛍光特性(蛍光波長、蛍光強度)を有するマイクロビーズ(日本ベクトン・ディッキンソン)などを用いることができる。
マイクロビーズへの抗体などのタンパク質を固定化する方法としては、マイクロビーズ表面にアミノ基が存在する場合は、グルタルアルデヒド水溶液を用いて架橋反応により結合させることができる。また、日本ベクトン・ディッキンソンのBDTM CBA Functional Beadを用いる場合、ビーズ表面にチオール基が存在するため、タンパク質に含まれる遊離アミノ基をSulfosuccinimidyl4-N-maleimidomethyl cyclohexane 1-carboxylate(Sulfo-SMCC)により活性化することによりビーズに結合させることができる。抗体を結合したマイクロビーズを抗体が認識する抗原が存在する溶液中に添加し、4℃から37℃でインキュベートすることにより抗原をマイクロビーズ上に特異的に結合させることができる。
テトラフェニルエチレンなどの凝集誘起発光特性を有する化合物に糖鎖を導入する方法としては、公知の方法で人工的に合成することもできるが、糖鎖プライマー法により合成される糖鎖化合物を用いることや、予め1つ以上の糖を導入しておき糖鎖を合成する酵素により糖を付加することにより、より複雑な糖鎖を導入することが可能である。
糖鎖プライマー法により合成される糖鎖化合物は、アグリコンにアジド基が導入されているため、アルキン基を持つ凝集誘起発光性化合物を合成すれば、クリックケミストリーやStaudinger反応により、容易に蛍光性糖鎖プローブを作製することができる。
糖鎖プライマー法による糖鎖合成は、動物細胞を糖鎖が得られるような条件下にて培養することで行うことができる。動物細胞は特に限定されず、所望の糖鎖化合物の種類に応じて様々な動物細胞が用いられ得る。動物細胞の例としては、ヒト由来、マウス由来、サル由来、ラット由来などの哺乳動物細胞が挙げられ、特にB16マウスメラノーマ細胞、ラットPC12細胞、マウスNeuro2a細胞、ラットRBL−2H3細胞、ヒトMOLT−4細胞、ヒトHL−60細胞、サル腎臓由来ベロ細胞などが好適に用いられ得る。培養は、通常の動物細胞の培養条件に従って行う。
糖鎖化合物が得られるような条件とは、例えば、上記の動物細胞を、室温から45℃までの温度の間で1時間から70時間までの間の時間で血清が加えられたDMEM/F12などの培養培地で前培養した後、無血清の糖鎖プライマーを添加した培地に置換してさらに培養を行い、糖鎖伸長反応を行うことなどである。糖鎖プライマーは、用いられる細胞種、所望の糖鎖構造により任意に選択することができる。
好ましい糖鎖プライマーの例としては、式(I):
(G1)x(G2)y(G3)z−L−N (I)
で表される化合物が挙げられる。ここで、式中、G1、G2及びG3は、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体を表す。Lは、−O−(CH−、−S−(CH−、及び−NH−(CH−から選択される連結基を表す。x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数であり、好ましくは0〜5、さらに好ましくは0から3であり、x、y及びzの全てが同時に0であることはない。また、mは、8〜20の整数であり、好ましくは8〜16、特に好ましくは12である。単糖としては、限定はされないが、ペントース及びヘキソースを使用するのが好ましい。またアルドース、ケトースのいずれも使用することができる。
このような糖鎖プライマーを各種細胞の培地に添加して細胞を培養すると、細胞は、プライマーを取り込み、その糖鎖部分に更に糖を付加してグリコシル化し、その糖付加生成物を細胞内には蓄積せずに細胞外に分泌する。付加される糖は、細胞により異なる。
得られる細胞培養物または細胞培養物から細胞を除いた上清は、糖鎖プライマーから伸長して得られた生成物である糖鎖を含有する。この細胞培養物または細胞培養物の上清をそのまま、あるいは上清を固体吸着剤等と接触させるなどして濃縮および/または精製工程に供した後に、クリックケミストリーライゲーション反応により本発明の蛍光性糖鎖プローブの作製に使用することができる。
アジド基とアルキン基との反応は、クリックケミストリーライゲーション反応において行い得る。Cu(PPhBrを触媒として用いる方法や、電子線照射による方法等が知られている。
より詳細には、トリアゾール環が形成されるように、還流溶媒(トルエン等)中において生成物がもたらされるのに充分な時間(例えば、30〜40時間)にてアジド基とアルキン基とを反応させる。反応混合物に触媒(銅等)を添加することによって、反応を室温にて水性溶媒中で進行させ、トリアゾール環成分を得ることができる。Cu(II)をCu(I)に還元するための還元剤の存在下で触媒量のCu(II)を添加することによって触媒される。好ましい還元剤には、アスコルビン酸塩、金属銅、キノン、ヒドロキノン、ビタミンK1、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+、および印加電位が含まれる。さらに好ましい還元剤には、Al、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnから成る群より選択される金属が含まれる。
アジド基とアルキン基とのクリックケミストリーライゲーション反応は、金属銅と接触している溶液中で反応を行うことによっても触媒され得る。金属銅は、そのクリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に直接的または間接的に寄与する。好ましい方式では、前記溶液は、水溶液である。この場合アジド基を有する糖鎖とアルキン基を有する反応化合物とは、等モル量で存在しうる。
あるいは、アジド基とアルキン基とのクリックケミストリーライゲーション反応は、Au、Ag、Hg、Cd、Zr、Ru、Fe、Co、Pt、Pd、Ni、RhおよびWから成る群より選択される金属イオンを有する触媒量の金属塩を添加することにより触媒される。このようなクリックケミストリーライゲーション反応は、前記金属イオンを触媒活性形に還元するための還元剤の存在下で行われる。好ましい還元剤には、アスコルビン酸塩、キノン、ヒドロキノン、ビタミンK1、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+、印加電位、ならびにAl、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnから成る群より選択される金属が含まれる。
予め、化学合成により導入することが容易な、単糖や二糖を蛍光性化合物に導入しておき、糖鎖を合成する酵素により糖鎖を伸長させて、目的の糖鎖を持つ蛍光性糖鎖プローブを作製することもできる。糖鎖を伸長させるのに利用できる酵素として、α1,3−ガラクトース転移酵素、α1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素、β1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素、β1,4−ガラクトース転移酵素、α1,2−マンノース転移酵素、フコース転移酵素、β1,4−N−アセチルグルコサミン転移酵素、α2,3−シアル酸転移酵素、α2,6−シアル酸転移酵素、α−2,8−シアル酸転移酵素等の糖転移酵素や、セレブロシド硫酸基転移酵素やなどの硫酸基転移酵素などが挙げられる。
抗原が結合したマイクロビーズを懸濁した緩衝液中に0.1μMから1mMの終濃度になるように蛍光性糖鎖プローブを添加して混合し、数秒から2時間反応させた後、フローサイトメーターを用いて解析することにより、高感度な検出が可能となる。
なお、マイクロビーズと蛍光性糖鎖プローブを作用させる際や作用させた後に、結合を阻害する化合物を添加することにより、阻害効果を評価することが可能である。
(実施例1)
活性化した亜鉛0.92g(14.0mol)を窒素雰囲気下にて、反応フラスコに計り入れ、テトラヒドロフラン35mlを加えた。次いで、窒素雰囲気下でマイナス10℃以下に冷却した後、塩化チタン0.78ml(7.0mol)を滴下して加え、2時間還流した。その後、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン1.5g(7.0mmol)をテトラヒドロフラン15mlに溶解し加え、更に4時間還流した。その後、室温まで冷却し、50mlの10%炭酸カリウム水溶液を加え、5分間激しく撹拌し、ろ過し、有機相を回収した。水相より酢酸エチル5mlで3回抽出した。有機相と、酢酸エチルによる抽出液を合わせ、溶媒留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で単離して、式(II)の化合物を得た(0.40g、1.0mmol、収率28.6%)。
H NMR(600MHz,CDOD):6.79(d,8H),6.78(d,8H)
13C NMR(600MHz,CDOD):155.3, 138.3, 136.1, 132.4, 114.0。
窒素雰囲気下、反応フラスコに、式(II)の化合物(0.1g、0.25mmol)、3−ブロモ−1−プロピン(0.15g、1.25mmol)、炭酸カリウム(0.35g、2.5mmol)、ジメチルホルムアミド5mlを加え、室温で24時間撹拌した。その後、反応溶液よりクロロホルムによる抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒留去し、シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/ジクロロメタン=1:1)で単離して、式(III)の化合物を得た(0.09g、0.16mol、収率66.3%)。
H NMR(600MHz,CDCl):6.93(d,8H),6.70(d,8H),4.62(s,8H),2.51(s,4H)
13C NMR(600MHz,CDCl):156.1, 138.7, 137.5, 132.6, 114.1, 78.7, 75.5, 55.9
ESI MS: m/z 548.2 ([M+H]: 549.207)。
触媒としてルイス酸であるboron trifluoride etherate(BF・OEt)と、アジド基を導入したアルコールを用いてグリコシル化を行った後、脱アセチル化反応を行うことにより、12‐アジドドデシル‐βラクトシドを得た(Y. Murozuka et al: Chemistry and Biodiversity, 2, 1063, 2005、M.C. Kasuya et al.: Carbohydr. Res., 329, 755, 2000)。
100枚の100mmのディッシュに、細胞数2×10cellsのマウスメラノーマB16細胞を7mlの10%FBSを含むDMEM/F12培地(インビトロジェン)に懸濁して播き、COインキュベターの中で37℃にて48時間、前培養を行った。
前培養後、終濃度50μMになるように12‐アジドドデシル‐βラクトシド及び1%のITSX(GIBCO社製)を添加したDMEM/F12培地に置換し、更に、COインキュベターの中で37℃にて48時間培養し、糖鎖伸長反応を行った。糖鎖伸長反応後、培地を回収し、更にディッシュ表面をPBSで洗浄することにより、培地上清全量を回収した。
得られた培地上清に、25gのスチレン系合成吸着剤ダイヤイオンHP20を加え、16時間振盪し、糖鎖化合物を吸着剤に吸着させた。次に、100mlの水で5回洗浄した後、メタノール 100mlで4回溶出した。その後、溶媒留去させ、強陰イオン交換カラム(SAX)に供し、Sep−Pakカラムを用いて脱塩を行うことにより精製し、12‐アジドドデシル‐α2,3−シアリルラクトシドを得た(T. Kato et al.: J. Chromatogr. A, 1178, 154, 2008)。
100mM 12−アジドドデシル−βラクトシド(25μl)、0.02% TritonX−100を含む20mM Bis−Tris(pH6.0)(975μl)、50mg/ml CMP−NueAc(50μl)、0.05unit α−2,6−シアリルトランスフェラーゼをエッペンドルフチューブ中で混合し、30℃で16時間静置した。その後、強陰イオン交換カラム(SAX)に供し、Sep-Pakカラムを用いて脱塩を行うことにより精製し、12−アジドドデシル−α2,6−シアリルラクトシドを得た。
CuSO・5HO及びアスコルビン酸ナトリウムを触媒とするアジド/アルキンの連結反応による、化合物(III)へのα2,3−シアリルラクトース、α2,6−シアリルの導入及び精製は以下の条件で行った。
10 mM アジド糖鎖化合物、2.5mM 化合物(III)、50mM アスコルビン酸ナトリウム、10mM CuSO4・5H2Oを、DMSO(又は、アセトン)/水=1:1に溶解し、室温で24時間撹拌した。その後、シリカゲルクロマトグラフィ(クロロホルム/メタノール/水=5:4:1)で単離した。
(実施例2)ベクトン・ディッキンソン社のFunctionalビーズA9、E4に、同社のFunctional Bead Conjugation Buffer Setを用いてプロトコルに従い、それぞれSSAレクチン、RCA120レクチンを結合させた。それぞれの10μlの0.5%レクチン固定化ビーズに、1000倍希釈したマウス抗SSAレクチン抗血清(バイオゲート社)および抗RCA60抗体(アブカム社)と反応させた後、1mlのWash buffer(日本ベクトン・ディッキンソン社)で洗浄した後、100倍希釈したgoat anti-mouse IgG-FITC(santa cruz biotechnology社)と作用させ、再度Wash bufferで洗浄した。
その後、500μlのPBSに懸濁し、フローザイトメーター(ベクトン・ディッキンソン社、BDTM LSR II)で解析した(励起:488nm、検出:530nm)。図1に示すように、SSAレクチンを結合させたビーズは抗SSAレクチン抗血清を、RCA120レクチンを結合させたビーズは抗RCA60抗体を反応させた場合において、二次抗体の結合によるFITCの蛍光が観測された。
次に、0.01%の各々のレクチンを結合させたビーズを含む、1mg/mlのCaCl及びMnClを添加した10mM Tris−HCl(pH7.6)(500μl)に、終濃度2.5μMになるようにα2,6−シアリルラクトース蛍光性糖鎖プローブを添加し、蛍光を測定(励起:355nm、検出:450nm)した結果を図2に示す。α2,6結合したシアル酸を特異的に認識することが知られているSSAレクチンを固定化したビーズでは、RCA120レクチンを固定化したビーズに比べ高い蛍光値を示した。
(実施例3)
FunctionalビーズA9にFunctional Bead Conjugation Buffer Setを用いてプロトコルに従い、抗HBsモノクローナル抗体(特殊免疫研究所)結合させた。10μlの0.5%抗体固定化ビーズを、1mlのWash bufferで洗浄した後、100倍希釈したPerCP-CyTM 5.5 Rat Anti-Mouse IgM(ベクトン・ディッキンソン社)中で反応させた後、再度1mlのWash bufferで洗浄した。
その後、400μlのPBSに懸濁し、フローザイトメーター(ベクトン・ディッキンソン社、BDTM LSR II)で解析した(励起:488nm、検出:690nm)。図3に示す通り、二次抗体の結合による蛍光値の増大が認められ、抗HBsモノクローナル抗体がビーズに結合していることが確認された。
10μlの0.5%抗体固定化ビーズを200μlのPBSで2回洗浄した後、170IUのHBs抗原ウイルス様粒子と20μlのPBS中で4℃にて16時間反応させ後、Wash buffer、10mM Tris−HCl(pH7.6)で順に洗浄した。
その後、洗浄した抗体結合ビーズを、500μlの2.5μM α2,3−シアリルラクトース付加蛍光性糖鎖プローブを含む10mM Tris−HCl(pH7.6)中で5分間反応させ、フローサイトメーターBDTM LSR IIで解析した。ビーズ自身の持つ蛍光(励起:633nm、検出:660nm)と糖鎖プローブによる蛍光(励起:355nm、検出:450nm)を測定した結果を図4に示す。ビーズ自身の蛍光は変わっていないのに対し、糖鎖プローブの結合により生じる蛍光値のシフトが見られた。
(実施例4)
親水性マイクロビーズGN(鎌倉テクノサイエンス社)を0.5%になるように、3.3%グルタルアルデヒド水溶液に分散して、30℃で1時間撹拌した。蒸留水で洗浄した後、0.5mg/mlの抗HBsモノクローナル抗体を含むPBSに1%になるように分散して、30℃で1時間撹拌した。その後、終濃度が4mMとなるようにグリシンを添加し、30℃で更に2時間撹拌した。PBSで洗浄した後、1% BSAを含むPBSに0.5%になるように分散し、4℃で16時間静置した。固定化前と後の抗体溶液のタンパク質濃度をBCAプロテインアッセイリージェント(ピアス)用いて定量した結果、17.0μgの抗体が結合したことが確認された。
10mM Tris−HCl(pH7.6)で洗浄した抗体固定化ビーズを0.005%になるように、100倍希釈したAPC Rat Anti-Mouse IgM(ベクトン・ディッキンソン社)中で反応させた後、再度10mM Tris−HCl(pH7.6)で洗浄し、同バッファーに懸濁した後、フローサイトメーターでBDTM LSR IIで解析した。図5に示す通り、二次抗体の結合による蛍光値の増大が認められ、抗HBsモノクローナル抗体がビーズに結合していることが確認された。
また、10μlの0.5%抗体固定化ビーズを200μlのPBSで2回洗浄した後、170IUのHBs抗原ウイルス様粒子と20μlのPBS中で4℃にて16時間反応させ後、PBS、10mM Tris−HCl(pH7.6)で順に洗浄した。その後、洗浄した抗体結合ビーズを、500μlの2.5μM α2,3−シアリルラクトース付加蛍光性糖鎖プローブを含む10mM Tris−HCl(pH7.6)中で5分間反応させ、フローサイトメーターBDTM LSR IIで解析した。
糖鎖プローブが結合すると生じる蛍光(励起:355nm、検出:450nm)をHBs抗原ウイルス様粒子と反応したビーズと未反応のビーズと比較した結果を図6に示す。HBs抗原ウイルス様粒子と反応したビーズにおいて、強い蛍光値が認められた。

Claims (7)

  1. 標的分子と糖鎖との相互作用を解析する方法であって、凝集誘起発光特性を有する蛍光性糖鎖プローブと、ビーズ様の担体上に固定化された標的分子を接触させ、次いで蛍光を測定することを特徴とする方法。
  2. 標的分子が、タンパク質、ウイルス、又は毒素である請求項1記載の方法。
  3. フローサイトメーターを用いて蛍光の測定を行う、請求項1または2に記載の方法。
  4. 抗体を結合させた担体を用いて、被験物質を担体に固定化する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 蛍光性糖鎖プローブが、下記式(I)で示される構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法:
    (G・・・G)−L−X− (I)
    式中、G、・・Gは、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体を表し、互いに糖鎖を形成するようにグリコシド結合しており、Lは、−O−(CH−、−S−(CH−、及び−NH−(CH−からなる群より選択される1つ以上の連結基を表し、nは2〜100の整数を表し、mは8〜20の整数を表し、Xはトリアゾール環を含むスペーサーを表す。
  6. 蛍光性糖鎖プローブにおける蛍光性化合物が、テトラフェニルエチレン骨格を有し、かつ、凝集誘起発光特性を有するする化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法を用いて、標的分子を検出する方法。
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