JP6081152B2 - テトラフェニルエテン誘導体から成る発蛍光性化合物 - Google Patents

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本発明は、新規な発蛍光性化合物に関し、特に、各種の生体物質または生体関連物質の存在下に蛍光を発し、それらの物質の検出や測定に用いることのできる発蛍光性化合物(蛍光プローブ)に関する。
臨床検査や新薬の開発には各種の生体物質(生体関連物質)の分析が必須であり、高感度に微量分析が可能な手段として蛍光分析が用いられており、また、そのための発蛍光性化合物も案出されている。
例えば、シグナル伝達系における情報伝達の制御など生体内で重要な役割を果たすリン酸イオン(リン酸基)を分析するための発蛍光性化合物としては、ルテニウム−ビピリジルポリアザ化合物(P.D. Beer他、Angew. Chem.
Int. Ed., 40, 486 (2001):非特許文献1)、亜鉛−ジピコリルアミン二核錯体(特許第4138331号公報:特許文献1)などが提案されている。しかし、リン酸(リン酸イオン)を選択的に認識する発蛍光性化合物は少なく、特に、特定のリン酸構造、例えば、重要な生体物質でATPに見られる三リン酸構造を認識して蛍光を発し得るような発蛍光性化合物の例は見られない。
また、糖尿病の診断マーカーとして知られているグルコースをはじめとする糖を検出・測定するための発蛍光性化合物としては、フェニルボロン酸構造を含有する各種の化合物が本発明者らによって案出されている(例えば、特許第2799837号公報:特許文献2、特許第2883824号公報:特許文献3、特許第2889476号公報:特許文献4など)。
その他の重要な生体物質の例として、生体内の多くの酸化還元反応において補酵素として機能するNAD/NADHおよびNADP/NADPHがある。これらの補酵素系は、酸化還元反応の生成物や酵素活性を調べるなどの目的に利用され、例えば、NADHの蛍光が測定されることがある(例えば、特開平2−265500号公報:特許文献5)が、それらの補酵素のうちの特定のものを認識して発光する発蛍光性化合物は知られていない。
上に例示したような生体物質を検出、測定する従来の発蛍光性化合物の多くは、溶液中の被検出物質の濃度に応じて、その蛍光強度が漸次変化することに基くものであり、低濃度域では蛍光が無く、一方、高濃度になると凝集体を形成して発光しなくなる(消光する)ことがあることが知られている。
これに対して、最近、凝集にともなって蛍光が増大する凝集誘起発光(Aggregation-induced emission:AIE)という現象が見出されている(Y.
Hong. J. W. Y. Lam およびB.Z. Tang,
Chem. Soc. Rev., 2011, 40, 5361-5388:非特許文献2)(J. Wu, W. Liu, J. Ge, H. ZhangおよびP. Wang,
Chem. Soc. Rev., 2011, 40, 3483-3495:非特許文献3)。このAIE利用すれば、これまでにない新しい方式の蛍光分析ができるものと期待されているが、AIEを示す発蛍光性化合物の例はきわめて少ない。
特許第4138331号公報 特許第2799837号公報 特許第2883824号公報 特許第2889476号公報 特開平2−265500号公報
P.D. Beer他、Angew. Chem. Int. Ed., 40, 486 (2001) Y. Hong. J. W. Y. Lam and B.Z.Tang, Chem. Soc. Rev., 2011, 40, 5361-5388 J. Wu, W. Liu, J. Ge, H. Zhangand P. Wang, Chem. Soc. Rev., 2011, 40, 3483-3495
本発明の目的は、各種の生体物質の検出、測定に適用されるように設計することができる基本構造を有しAIEを発現する新規な発蛍光性化合物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、アリールエテン誘導体のうち上記目的を達成し得るものがあることを見出し本発明を導き出した。
かくして、本発明は、下記の一般式(I)で表されることを特徴とする発蛍光性化合物を提供するものである。
式(I)中、XおよびYは、同一または異なっており、それぞれ独立して、下記の式(A)、(B)、(C)または(D)で示される原子団を表し(ただし、XおよびYが共に下記の式(C)で表される原子団である場合を除く。)、nおよびmは1から6の整数を表し、(−CH−)および(−CH−)中の1つまたは2つの−CH−は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−または−CH=CH−で置き換えられてもよい。
本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−G)の合成スキームを示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−bipy)の合成スキームを示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−Zn)の合成スキームを示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−B)の合成スキームを示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(hetero−TPE)の合成スキームを示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−G)のヌクレオチド(AMP,ADP,ATP)に対する蛍光特性を示す蛍光スペクトル(a)および写真(b)を示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−G)とATPとの混合によって得られる凝集体のDLS測定結果(a)およびSEM写真(b)を示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−G)にヌクレオチド(AMP,ADP,ATP)を添加した蛍光滴定試験の結果を示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−G)の補酵素に対する蛍光特性を示す蛍光スペクトル(a)および写真(b)を示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−G)を用いた補酵素に対する蛍光滴定試験の結果を示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−G)に補酵素を添加した場合のDLS測定の結果を示す。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−G)に亜硫酸ナトリウムを添加して補酵素の蛍光測定を行った場合の補酵素と亜硫酸ナトリウムの付加化合物の化学構造式(a)、蛍光強度を示すグラフ(b)、および蛍光の様子を示す写真(c)である。 本発明の発蛍光性化合物の1例(TPE−Zn)のヌクレオチドに対する蛍光強度を示すグラフ(a)および蛍光の様子を示す写真(b)である。
上記の式(I)で表されるように、本発明の発蛍光性化合物は、アリールエテン(テトラフェニルエテン)構造から成る発光部位、XおよびYで表される認識部位(目的の生体物質を認識しそれらと結合し得る部位)、および発光部位と認識部位との間のスペーサー部位から構成されている。
認識部位のうち、上記(A)で表される原子団は、グアニジウム基であり、この原子団を含む本発明の発蛍光性化合物は、生体液または生理的塩類中でリン酸イオンまたはリン酸基を有する生体物質を認識して蛍光を発する。XまたはYとして、この(A)で表される原子団を有する発蛍光性化合物は、特に、三リン酸(トリフォスフェート)構造を認識してATPを高感度に検出、測定することができるという特性を有する。さらに、(A)で表されるグアニジウム基を有する本発明の発蛍光性化合物は、補酵素系NAD/NADHおよびNADP/NADPHのうち、特にNADPHに対して特異的にAIEを示す特性を有し、その検出、測定に用いることができる。そして、本発明の発蛍光性化合物を用いれば、測定系に適当な付加化合物(adduct)を発生させることにより、その特異的反応性を変化させ、その付加化合物の存在しない場合に検出できないような物質の検出も可能にする。
また、認識部位として上記(B)で表される原子団は、ビピリジン類縁基であり、この原子団を含む本発明の発蛍光性化合物も、リン酸イオンまたはリン酸基を有する生体物質を認識して蛍光を発することができる。
認識部位として上記(C)で表される原子団は、ジピコリルアミン基である。この原子団を含む本発明の原子団は、その原子団を介して、適当な金属、特に亜鉛または銅との錯体の形態で用いられることにより、リン酸イオンまたはリン酸基を有する生体物質を認識して蛍光を発することができる。
認識部位として、上記(D)で表される原子団は、フェニルボロン酸含有原子団であり、生体液または生理的塩類中で、グルコースに代表される糖類を認識し糖類と結合するので、この原子団を有する本発明の発蛍光性化合物は生体液または生理的塩類中の糖類の検出、測定に用いることができる。
上記の式(I)で表される本発明の発蛍光性化合物のうち、合成の容易さなどから、好ましいものとして下記の式(II)で表される化合物を挙げることができる。式(II)中、Xは、前記の式(A)、(B)、(C)または(D)で示される原子団の一つを表す。
上記の式(I)で表される本発明の発蛍光性化合物の別の好ましい例として、下記の式(III)で表される化合物を挙げることができる。式(III)中、Xは前記の式(A)、(B)または(C)で示される原子団の1つを表し、Yは前記の式(A)、(B)または(C)で示される原子団の1つであって、Xで表される原子団とは異なる原子団を表す。
上述した本発明の発蛍光性化合物を用いる生体物質の検出、測定においては、被検物質が一定以上の濃度になると凝集(Aggregation)に伴う急激な蛍光の発生が認められる。すなわち、蛍光発生に閾値が存在して、被検物質のOn/Off検出が可能となる。
本発明の発蛍光性化合物は、既知の反応を工夫することにより合成することができる。
例えば、図1には、上記の式(II)に属する本発明の化合物の例として、テトラフェニルエテン構造の末端(X)にスペーサー部位を介して、前記(A)で表されるグアニジウム基が結合した発蛍光性化合物(TPE−G)の合成スキームが示されている。
図2には、式(II)に属する本発明の化合物の別の例として、テトラフェニル構造の末端(X)にスペーサー部位を介して、前記(B)で表されるビピリジン類縁基が結合した発蛍光性化合物(TPE−bipy)の合成スキームが示されている。
図3には、式(II)に属する本発明の化合物の別の例として、テトラフェニル構造の末端(X)にスペーサー部位を介して、前記(C)で表されるジピコリルアミン基が結合し、この基を介してZn錯体を形成している発蛍光性化合物(TPE−Zn)の合成スキームが示されている。
図4には、式(II)に属する本発明の化合物の更に別の例として、テトラフェニルエテン構造の末端(X)にスペーサー部位を介して、前記(D)で表されるフェニルボロン酸含有原子団が結合した発蛍光性化合物(TPE−B)の合成スキームが示されている。
さらに、図5には、上記の式(III)に属する本発明の化合物の例として、テトラフェニルエテン構造の末端(X)および(Y)に、スペーサー部位を介して、それぞれ、前記(A)で表されるグアニジウム基および(C)で表されるジピコリルアミン基が結合した発蛍光性化合物(hetero−TPE)の合成スキームが示されている。
以下、本発明をさらに具体的に説明するために実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
TPE−Gの合成
図1に示す合成スキームに従って、本発明の発蛍光性化合物TPE−Gを合成した。
<化合物2)の合成>
4,4’−dimethoxybenzophenone1(5.00g,20.6mmol)とそれに亜鉛粉末(6.66g,10.7mmol)を100mlのTHFに加え、TiCl(7.50mL,68.4mmol)をゆっくりと滴下した。その後、15時間加熱還流した。反応溶液が室温まで冷却した後、100mlの水を加えた。溶液をクロロホルム100mlで三回抽出し、それぞれの抽出液を纏めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ液を減圧濃縮した。粗製物はシリカゲルカラムクロマトグラフで分離精製し、分離物をクロロホルム:ヘキサン=2:1の溶媒から再結晶した。白色結晶として化合物2を3.43グラム得た。収率74%。
1H NMR(300MHz, DMSO-d6)δ6.85(d, J=8.7Hz, 8H),6.69(d, J=8.7Hz, 8H),3.68(s, 12H)
MS(ESI)m/z 452.2(M+).
<化合物3)の合成>
化合物2(6.01g,13.3mmol)を100mlのクロロホルムに溶解し、寒剤を入れた氷浴で冷却しながら、2MBBrの塩化メチレン溶液(37.2mL,74.4mmol)をゆっくりと滴下した。氷浴を外し、室温で12時間撹拌した後、水50mlを加えた。生じた沈殿物をろ取し、アセトン:水=1:1で再結晶した。白色結晶として化合物3を5.26グラム得た。収率92%。
1H NMR(300MHz, DMSO-d6)δ9.24(s, 4H),6.70(d, J=8.6Hz, 8H),6.48(d, J=8.6Hz, 8H)
<化合物5)の合成>
3−bromopropylamine hydrobromide4(5.00g,22.8mmol)を乾燥した100mlのジクロロメタンに溶解し、それにBocO(5.48g,25.1mmol)とtriethylamine(3.5mL,25.1mmol)を加えた。反応混合物は室温で14時間撹拌した。その後、100mlのジクロロメタンを加え、1M塩酸水溶液、水、食塩水の順に洗浄した。有機相は無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ液を減圧濃縮した。粗製物はシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、無色オイル状物として化合物5を5.17グラム得た。収率95%。
1H NMR(CDCl3, 300MHz)δ4.65(br s, 1H),3.45(t, J=6.5Hz, 2H),3.28(q, J=6.5Hz, 2H),2.05(quint, J=6.5Hz, 2H),1.45(s, 9H).
<化合物6)の合成>
化合物3(1.00g,2.33mmol)、炭酸カリウム(2.60g,18.8mmol)および化合物5(2.5g,10.5mmol)を20mlの乾燥DMFに加え、70℃で10時間加熱した。室温まで反応液の温度を戻した後、水50mlを加えた。生じた沈殿物をろ取し水で洗浄した。得られた固体を100mlのジクロロメタンに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ液を減圧濃縮した。粗製物はシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、白色固体として化合物6を1.34グラム得た。収率56%。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ6.91(d, J=8.8Hz, 8H),6.62(d, J=8.8Hz, 8H),4.78(br s, 4H),3.95(t, J=6.1Hz, 8H),3.30(q, J=6.1Hz, 8H),1.94(quint, J=6.1Hz,
8H),1.44(s, 36H);
<化合物7)の合成>
化合物6(825mg,0.805mmol)を5mlのジクロロメタンに溶解し、TFA(5mL,65.3mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。その後、反応液をエーテルに空け、生じた白色沈殿をろ取し、エーテルで洗浄後乾燥した。白色固体として化合物7を660mg得た。収率79%。
1H NMR(300MHz, DMSO-d6)δ7.98(s, 12H),6.85(d, J=8.8 Hz, 8H),6.70(d, J=8.8Hz, 8H),3.97(t, J=5.8Hz, 8H),2.95(t, J=7.4Hz, 8H),1.97(quint, J=6.6Hz,
8H)
<化合物8)の合成>
化合物7(600mg,0.56mmol)を15mlのジクロロメタンに懸濁し、EtN(0.6mL,4.33mmol)と1−H−pyrazole−1−(N,N’−bis(tert−butyloxycarbonyl))carboxamidine(1.21g,3.89mmol)を加えた。反応混合溶液を室温で72時間撹拌し、溶媒を減圧溜去した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、白色固体として化合物8を523mg得た。収率59%。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ11.5(s, 4H),8.66(t, J=4.7Hz, 4H),6.91(d, J=8.6Hz, 8H),6.69(d, J=8.6Hz, 8H),3.98(t, J=5.3Hz, 8H),3.62(q, J=5.8Hz, 8H),2.03(quint, J=5.8Hz, 8H),1.50(s, 36H),1.49(s, 36H);
<TPE−Gの合成>
化合物8(492mg,0.31mmol)を5mlのジクロロメタンに溶解し、TFA(5mL,65.3mmol)を加え、室温で13時間撹拌した。反応混合溶液をエーテルに空け、生じた沈殿物をろ取し、エーテル洗浄した後、乾燥した。粗製物はTFAのジクロロメタン溶液に溶解し、エーテルに空け、生じた沈殿物をろ取し乾燥した。白色固体としてTPEを153mg得た。収率40%。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ7.87(t, J=5.4 Hz, 4H),7.29(br-s, 16H),6.85(d, J=8.7Hz, 8H),6.69(d, J=8.7Hz, 8H),3.93(t, J=5.9Hz, 8H),3.24(q, J=6.4Hz, 8H),1.89(quint, J=6.4Hz, 8H);
MS(ESI)m/z 1135.2([M-CF3COO-]+
Calc. for C50H60F12N12O12(TPE):C, 48.08; H, 4.84; N, 13.46. Found: C, 47.78; H, 4.86; N, 13.22.
TPE−bipyの合成
図2に示す合成スキームに従って、本発明の発蛍光性化合物TPE−bipyを合成した。
<化合物11)の合成>
2−クロロ−5−メトキシカルボニルピリジン(1.3g、7.6mmol)をm−キシレン20mlに溶解し、PdCl2(PPh3)2(0.27g、0.04mmol)と2−トリメチルスズピリジン(2.1g、8.6mmol)を加え、20時間加熱還流した。放冷後エーテルで希釈し、中性アルミナを通してろ過した。ろ液を数回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後シリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、白色固体として1.13gの化合物10を得た。収率70%。
次いで、得られた化合物10(1.13g、5.3mmol)をエタノール/水1:1 20mlに懸濁し、KOH(0.35g、6.3mmol)を水2mlに溶解したものを添加し、室温で3時間撹拌した。その後、濃縮してエタノールを留去し、1mol/L塩酸を中性になるまで添加した。得られた懸濁液をクロロホルムで三回抽出し、抽出液を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、淡黄色固体として化合物11を0.8g得た。収率75%。
<TPE−Bipyの合成>
化合物7(600mg、0.56mmol)を塩化メチレン(15ml)に懸濁し、化合物11(0.5g、2.5mmol)、トリエチルアミン(0.6ml、4.33mmol)、DMAP(0.1ml)を加えた。溶液を氷冷下、WSC(1.7g、8.9mmol)を加え24時間撹拌した。溶媒を濃縮乾固し、粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、TPE−Bipy0.5g(収率36%)を得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ9.22(s, 4H),8.54-8.88(m, 8H),8.15-8.40(m, 8H),7.67-7.84(m, 4H),7.15-7.33(m, 4H),6.90(d, J=8.7Hz, 8H),6.72(d, J=8.7Hz, 8H),3.65(t, J=6.4Hz, 8H),3.06(q, J=6.4Hz, 8H),1.77(quint, J=6.4Hz, 8H);
MS(ESI)m/z 1353.4.(M+1)
Calc. for C82H72N12O4(TPE-bipy):C, 72.76; H, 5.36; N, 12.41. Found: C, 72.55; H, 5.48; N, 12.20.
TPE−Znの合成
図3に示す合成スキームに従って、本発明の発蛍光性化合物TPE−Znを合成した。
<化合物12)の合成>
化合物7(1.05g、1.68mmol)をアセトニトリル(100ml)に懸濁し、2−クロロメチルピリジン塩酸塩(2.21g、13.5mmol)を加えた。炭酸カリウム(4.65g、33.6mmol)とヨウ化カリウム(2.23g、13.4mmol)を加え、22時間加熱還流した。放冷し沈殿物をろ別後、溶液を濃縮乾固し、粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、淡黄色固体として化合物12を1.33gを得た。収率58%。
1H NMR
(300 MHz, DMSO-d6) δ8.43(m, 8H), 7.59(m, 8H), 7.43(m, 8H), 7.16(m, 8H), 6.86(d, J=8.8
Hz, 8H), 6.59(d, J=8.8 Hz, 8H), 3.87(t, J=6.2 Hz, 8H), 3.72(s, 16H), 2.55(t,
J=6.2 Hz, 8H), 1.85(quint, J=6.2 Hz, 8H);
13C
NMR(75 MHz, DMSO-d6) δ159.5, 156.9, 148.9, 138.3, 136.6, 136.4, 132.1, 122.7, 122.2,
113.8, 65.1, 59.9, 50.0, 26.7.
<TPE−Znの合成>
化合物12(50mg、0.0370mmol)をメタノール5mlに溶解し、硝酸亜鉛Zn(NO)−6HO(44mg、0.148mmol)を水(1ml)に溶解した溶液を添加した。得られた溶液を室温で30分撹拌後、溶媒を蒸発させて乾燥し、次いで水(3ml)を添加した。得られた水溶液をろ過し、凍結乾燥して、淡黄色固体としてTPE−Znを得た(収率:定量)。
元素分析C86H88N20O28Zn4(TPE-Zn):計算値:C, 48.92; H, 4.20; N, 13.27。実測値:C, 49.03; H, 4.11; N, 13.00。
TPE−Bの合成
図4に示す合成スキームに従って、本発明の発蛍光性化合物TPE−Bを合成した。
<化合物13)の合成>
化合物7(600mg、0.56mmol)を塩化メチレン(15ml)に懸濁し、トリエチルアミン(0.6ml、4.33mmol)、DMAP(0.1ml)を加えた。塩化メチレン(3ml)に溶解した3−クロロカルボニルピリジン塩酸塩(0.5g、2.8mmol)を5℃以下で滴下した。その後室温で3時間撹拌した。溶媒を濃縮乾固し、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、白色の化合物13を0.37g得た。収率63%。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ9.05(s, 4H),8.10-8.85(m, 12H),6.86(d, J=8.7Hz, 8H),6.73(d, J=8.7Hz, 8H),3.70(t, J=5.9Hz, 8H),3.11(q, J=6.4Hz, 8H),1.82(quint, J=6.4Hz, 8H);
MS (ESI) m/z 1045.2(M+1)
Calc. for C82H72N12O4
(13): C, 71.25; H, 5.79; N, 10.72. Found: C, 71.04; H, 5.99; N, 10.54.
化合物13(0.37g、0.35mmol)をアセトニトリル(20ml)に懸濁し、2−ブロモメチルフェニルボロン酸プロピレンエステル(0.45g、1.8mmol)を加え、5時間加熱還流する。その後溶媒を濃縮乾固し、得られた粗製物シリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、TPE−B0.32g(収率44%)を得た。
1H NMR(300MHz, CD3OD)δ9.44(s, 4H),9.05-9.22(m, 4H),8.35-8.90(m, 8H),7.37-7.86(m, 20H),6.80(d, J=8.7Hz, 8H),6.65(d, J=8.7Hz, 8H),4.65(d, J=6.8Hz, 16H),3.66(t, J=5.9Hz, 8H),3.04(q, J=6.4Hz, 8H),2.35(d, J=6.8Hz, 8H),1.80(quint, J=6.4Hz, 8H);
Calc. for C82H72N12O4
(TPE-B): C, 59.33; H, 10.42; N, 10.72. Found: C, 59.08; H, 10.66; N, 10.36.
hetero−TPEの合成
図5に示す合成スキームに従って、本発明の発蛍光性化合物hetero−TPEを合成した。
<化合物15)の合成>
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン(5g、23.4mmol)をDMF(100ml)に溶解し、炭酸カリウム(10g、72.5mmol)を加えた。N−(3−ブロモプロピル)−N−ブトキシカルボニルアミド(7.8g、32.8mmol)を添加し、室温で24時間撹拌した。沈殿物をろ別し、濾液を濃縮乾固したのち、粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製した。白色固体として化合物15を8.9g得た。収率72%。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ8.20(s, 2H),7.13(d, J=8.6Hz, 4H),6.92(d, J=8.6Hz, 4H),4.08(t, J=6.2Hz, 4H),3.44(q, J=6.2Hz, 4H),2.04(quint, J=6.2Hz,
4H),1.42(s, 18H)
<化合物16)の合成>
化合物15(8.9g、16.9mmol)を塩化メチレン(100ml)に溶解し、氷冷下トリフルオロ酢酸(7.7g、67.5mmol)を滴下した。その後室温で3時間撹拌したのち、溶媒を濃縮乾固した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、白色固体として化合物16を7.0g得た。収率74%。
<化合物17)の合成>
化合物16(7g、12.6mmol)を塩化メチレン(150ml)に懸濁し、トリエチルアミン(4.9g、49mmol)と1−H−ピラゾール−1−(N,N’−ビス(tert−ブトキシカルボニル))カルボキサミジン(11.6g、37.5mmol)を加えた。室温で72時間撹拌したのち、溶媒を濃縮乾固した。得られた粗製をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、白色固体として化合物17を5.3g得た。収率52%。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ10.2(s, 2H),9.04(t, J=4.7Hz, 2H),7.22(d, J=8.6Hz, 4H),7.05(d, J=8.6Hz, 4H),4.03(t, J=5.3Hz, 4H),3.89(q, J=5.8Hz, 4H),2.03(quint, J=5.8Hz, 4H),1.49(s, 36H)
<化合物18)の合成>
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン(5g、23.4mmol)をDMF(100ml)に溶解し、炭酸カリウム(10g、72.5mmol)を加えた。N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(15.0g、56.2mmol)を添加し、70℃で24時間撹拌した。沈殿物をろ別後、ろ液を濃縮乾固した。得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、淡黄色固体として化合物18を7.3g得た。収率53%。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ8.13(d, J=7.8, 4H),7.71(d, J=7.7,
4H),7.27(d, J=8.6Hz, 4H),7.06(d, J=8.6Hz, 4H),4.11(t, J=6.2Hz, 4H),3.85(q, J=6.2Hz, 4H),2.13(quint, J=6.2Hz, 4H)
<化合物19)の合成>
化合物17(5.3g、6.5mmol)と化合物18(3.83g、6.5mmol)をTHF(100ml)に溶解し、亜鉛粉末(0.42g、6.5mmol)を加え、4塩化チタン(4.7ml、42.9mmol)を滴下したのち24時間加熱還流した。放冷後、100mlの水を徐々に加え過剰の4塩化チタンを加水分解し、水層をクロロホルムで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶液を濃縮乾固した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、白色固体として化合物19を1.1g得た。収率12.2%。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ9.74(s, 2H),9.09(t, J=4.7Hz, 2H),8.08(d, J=7.8, 4H),7.88(d, J=7.7, 4H),7.28-7.35(m, 4H),7.02-7.10(m, 4H),4.02-4.10(m, 8H),3.63-3.90(m, 8H),2.00-2.13(m, 8H),1.51(s, 36H)
<化合物20の合成>
化合物1(2g、1.46mmol)をエタノール(50ml)に溶解し、ヒドラジン1水和物(0.36g、7.2mmol)を入れ、5時間加熱還流した。放冷後、析出したフタルヒドラジドをろ別し、ろ液を濃縮乾固した。得られた粗製をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、白色固体として化合物20を1.0g得た。収率61.7%。
1H NMR(300MHz, CD3OD)δ8.43(s-br, 2H),7.07(d, J=8.6Hz, 4H),6.89(d, J=8.6Hz, 4H),3.87-4.11(m, 8H),3.63-3.90(m, 8H),2.00-2.13(m, 8H),1.49(s, 36H)
<化合物21の合成>
化合物20(1g、0.9mmol)をアセトニトリル(20ml)に溶解し、炭酸カリウム(3g、21.8mmol)とヨウ化カリウム(2g、12.0mmol)及び2−クロロメチルピリジン塩酸塩(0.7g、4.2mmol)を加え、24時間加熱還流した。放冷後沈殿物をろ別し、ろ液を濃縮乾固した。得られた粗製をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し、淡黄色固体として化合物21を0.85g得た。収率64%。
1H NMR(300MHz, CDCl3)δ11.5(s, 4H),8.50-8.70(m, 8H),7.06-7.88(m, 8H),6.75-6.93(m, 8H),6.56-6.71(m, 8H),3.70-3.99(m, 8H),3.24-3.60(m, 8H),1.88-2.06(m, 8H),1.48(s, 36H)
<hetero−TPEの合成>
化合物21(0.85g、0.58mmol)を塩化メチレン(30ml)に溶解し、トリフルオロ酢酸(5ml、65.3mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。反応後、エーテルに溶液を添加し、生じた沈殿をろ別したのち少量のエーテルでろ洗後減圧乾燥した。粗製物を少量の塩化メチレンに溶解し、その溶液をエーテルに添加し再沈してろ取、エーテルで洗浄、乾燥し、白色固体として化合物22を249mg得た。収率40%。
1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ11.5(s, 4H),8.50-8.70(m, 8H),7.06-7.88(m, 12H),6.75-6.93(m, 8H),6.56-6.71(m, 8H),3.70-3.99(m, 8H),3.24-3.60(m, 8H),1.88-2.06(m, 8H),1.48(s, 36H)
MS (ESI) m/z 1077.8([M-CF3COO-]+)
Calc. for C64H76N12O4
(13): C, 51.32; H, 4.55; N, 10.25. Found: C, 51.15; H, 4.82; N, 10.03.
TPE−Gの特性試験(1)
実施例1で合成した本発明の発蛍光性化合物TPE−Gについて、その特性を調べた。
<ヌクレオチドに対する蛍光特性>
TPE−Gに、ヌクレオチドとしてAMP、ADPまたはATPを加えて蛍光を測定した。測定条件は以下のとおりである。
TPE−Gの濃度:6μM、HEPESバッファー(5mM、pH7.4)中。
ATP,ADTおよびATPの濃度:それぞれ、20μM、12μMおよび8μM。
励起波長λex:335nm
測定装置:Perkin−ElmerLS55
測定温度:25℃
測定セル:1cm石英セル
測定結果を図6に示す。図6(a)に示されるように本発明の発蛍光性化合物TPE−GはATPを選択的に認識して蛍光を発することが理解される。このことは、紫外線照射下(λex:335nm)で肉眼でも観察された(図6(b)参照)
<凝集体の確認>
TPE−GにATPを添加して紫外可視スペクトルを観察したところ、吸収最大ピークが拡がり且つ310nmから335nmにシフトした。このことは、凝集体(aggregates)が形成していることを示唆していると考えられたので、DLS(dynamic light scattering:ダイナミック光散乱)測定を行ったところ(測定装置:Malvern Zeta sizer Nano-ZS)、水性分散液中に平均直径677±252nmの凝集体の形成が認められた(図7(a)参照)。また、SEM(走査電子顕微鏡:HitachiS−5000)観察によっても、〜1μm程度の凝集体の形成が認められた(図7(b)参照)。
<蛍光滴定試験>
TPE−G(濃度:6μM)に、AMP、ADPまたはATPを逐次添加して蛍光滴定試験を行った。バッファー、励起波長、測定装置、測定温度、測定セルなどの測定条件は、前述の「ヌクレオチドに対する蛍光特性」の項で述べたのと同じである。
その結果を図8に示す。図中、Fはヌクレオチドが存在しない場合の蛍光強度を表し、Fはヌクレオチドが存在する場合の蛍光強度を表し、△F=F−Fである。したがって、△F/Fは蛍光強度の変化の度合いを意味することになる。
図8(b)に示されるように、AMPおよびADPを添加しても実質的な蛍光強度の変化は見られない。これに対して、ATPの添加に対しては、濃度の増加に対して急激に蛍光が発生し、その強度が大きくなり飽和している。図8の(b)はATPの場合の低濃度域を拡大して示されているものであるが、この図から、TPE−Gの蛍光強度はATPの濃度に対してシグモイド状に変化している。すなわち、従来の均一溶液系において蛍光が濃度に応じて漸増する場合に比べて、本発明の発蛍光性化合物を用いると、一定のATP濃度においてターンオンまたはスイッチオン式にATPを検出し得ることが理解される。
TPE−Gの特性試験(2)
<補酵素に対する蛍光特性>
実施例1で合成したTPE−Gに補酵素として、NAD、NADH、NADP、NADPHを加えて蛍光を測定した。補酵素の濃度:15μM、その他の測定条件は、実施例1の場合と同じである。
測定結果を図9に示す。図9(a)に示されるように本発明の発蛍光化合物TPE−GはNADPHを選択的に認識して蛍光を発することが理解される。このことは、紫外線照射下(λex:335nm)で肉眼でも観察された(図9(b)参照)。
<蛍光滴定試験>
TPE−G(濃度:6μM)に、NAD、NADH、NADP、NADPHを逐次添加して蛍光滴定試験を行った。測定条件は、実施例1の場合と同じである。結果を図10に示す。
図10に示されるように、NAD、NADPを添加しても実質的な蛍光強度の変化は見られない。これに対して、NADH、NADPHの添加に対しては、蛍光強度の増加が見られた。TPE−Gの蛍光強度は、NADHに対しては漸増するのに対して、NADPHに対しては濃度の増加に伴って急激に蛍光が発生し、シグモイド状の応答曲線を示している。
このように、補酵素に対して本発明の発蛍光性化合物を用いると、一定のNADPH濃度においてターンオンまたはスイッチオン式にNADPHを検出し得ることが理解される。
<凝集体形成挙動の追跡>
TPE−G(濃度:6μM)に、NAD、NADH、NADP、NADPHを逐次添加し、DLS測定によって凝集体の形成挙動を追跡した。図11に示されるように、NAD、NADHを添加しても実質的な光散乱強度の変化は見られないことから、TPE−Gと凝集体を形成しないことが分かる。これに対して、NADP、NADPHの添加に対しては、光散乱強度の増加が見られたことから、TPE−Gとの凝集体形成が認められた。
光散乱強度は、NADPに対しては40μMから漸増するのに対して、NADPHに対しては発蛍光応答濃度と連動した急激な増加が認められた。このことは、NADPHに対しては、蛍光応答閾値はAIE(凝集誘起発光)に因る臨界会合濃度を反映することを意味している。
<NAD、NADPの蛍光検出>
上記のように、TPE−G(濃度:6μM)に、NAD、NADPを添加しても実質的な蛍光強度の変化は見られない。しかし、亜硫酸ナトリウムを添加(最終濃度:5mM)することで、発蛍光強度の差異が認められた。これは、亜硫酸ナトリウムとの付加反応により得られる、NAD−SO、NADP−SOの負電荷数の差異を識別し、結果としてNADPを認識したものと理解される(図12参照)。このように、本発明の発蛍光性化合物を用いれば、付加化合物(adduct)を発生させることにより、被測定物質に対する特異的反応性を変えることができる。
測定条件:TPE−G濃度:6μM、NAD、NADP濃度:80μM、亜硫酸ナトリウム濃度:5mM、HEPESバッファー(5mM,pH7.4)中。
TPE−Znの特性試験
<ヌクレオチドに対する蛍光特性>
実施例3で合成したTPE−Znに、イオン強度100mMの条件下で、ヌクレオチドとして、AMP、ADP、ATPを加えて蛍光を測定した。ヌクレオチドの濃度:15μM、NaCl濃度:100mM、その他の測定条件は、実施例1の場合と同じである。
測定結果を図13に示す。図13(a)に示されるように本発明の発蛍光化合物TPE−Znは、特に高塩濃度条件下で、ADP、ATPを選択的に認識して蛍光を発することが理解される。このことは、紫外線照射下(λex:335nm)で肉眼でも観察された(図13(b)参照)。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(I)で表されることを特徴とする発蛍光性化合物。
    〔式(I)中、XおよびYは、同一または異なっており、それぞれ独立して、下記の式(A)、(B)、(C)または(D)で示される原子団を表し(ただし、XおよびYが共に下記の式(C)で表される原子団である場合を除く。)、nおよびmは1から6の整数を表し、(−CH−)および(−CH−)中の1つまたは2つの−CH−は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−または−CH=CH−で置き換えられてもよい。〕
  2. 下記の式(II)で表され、式中、Xが前記の式(A)、(B)または(D)で示される原子団の1つを表すことを特徴とする請求項1に記載の発蛍光性化合物。
  3. 下記の式(III)で表され、式中、Xが前記の式(A)、(B)または(C)で示される原子団の1つを表し、Yが前記の式(A)、(B)または(C)で示される原子団の1つであって、Xで表される原子団とは異なる原子団を表すことを特徴とする請求項1に記載の発蛍光性化合物。
  4. XまたはYが、前記の式(C)で示される原子団を表し、該原子団を介してCuまたはZnと錯体を形成していることを特徴とする請求項に記載の発蛍光性化合物。
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