JP6769676B2 - ハードコート塗料組成物及び成型用ハードコートフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、インモールド成型法やフィルムインサート成型法、または3次元ラミネート成型法、真空成型法、圧空成型法等による、表面が印刷や凹凸形状などで加飾もしくは保護された樹脂成型品の製造に好適に用いられるハードコート塗料組成物、及び該ハードコート塗料組成物を用いた成型用コーティングフィルムに関する。
携帯電話機等の携帯情報端末機器、ノート型パソコン、家電製品、自動車内外装部品などには樹脂成型品が多く使用されている。製品のコモディティ化が進む中、これらの製品においては、デザインによる差別化ニーズが高まっている。従来、樹脂成型品への加飾方法としては、射出成型等による3次元形状の樹脂成型品の表面に、着色塗料を塗装、あるいはスクリーン印刷を施していた。さらに製品の表面保護を目的としてスプレーやディッピングによりクリアコーティングを施す手法が行われていた。
しかし、このような従来方法は、高いデザイン性の加飾を行うことが困難であり、またスプレー塗装などでは使用する塗料等に含まれる揮発性溶剤などの化学物質による作業環境への影響の懸念がある。そこで代替方法として、印刷を施した基材フィルムにコーティング層を設けたデザイン性の高い加飾フィルムを用いるインモールド成型法やフィルムインサート成型法、3次元ラミネート成型法、真空成型法、圧空成型法等が提案されている。
上記インモールド成型法は、射出成型用金型内で同時に真空成型と射出を行い、加飾フィルムを樹脂成型物表面へ積層する技術である。また、上記フィルムインサート成型法は、たとえば加飾フィルムを予め加熱(予備加熱)して真空成型法や圧空成型法や金型間での熱プレスなどにより加飾フィルムの予備成型物を得てから、次工程として射出成型により金型内に予備成型した加飾フィルムを設置し、射出成型による樹脂成型物と積層し、一体化させる方法である。
また、上記3次元ラミネート成型は、熱で軟化させた接着層付きの加飾シートを真空圧空状態で成形体に貼り付ける成型方法である。また、上記真空成型法は、金型内で加飾フィルムを加熱(予備加熱)軟化させた後、加飾フィルムとの間を真空にして引き伸ばして金型に密着させ、金型形状を賦型する成型方法である。また、上記圧空成型法とは、金型内で加飾フィルムを必要に応じて加熱(予備加熱)軟化させた後、加飾フィルムを必要に応じて加熱したガスによる加圧によって金型に密着させ、金型形状を賦型する成型方法である。
以上のような加飾フィルムを利用した成型方法に用いられる成型用ハードコートフィルムとして、従来より種々の構成が提案されている(下記特許文献1〜特許文献4等を参照)。
特開2009−274378号公報 特開2012−81628号公報 特開2012−193265号公報 特開2012−51247号公報
成型用ハードコートフィルムは様々な分野に利用されるようになるに伴い、3次元成型に追従する十分な成型性(伸長性:引き伸ばされても基材フィルム層やコーティング層にクラック等が入らないこと)の他、樹脂成型品表面の成型用ハードコートフィルムは人体に接触する機会が多いため、成型性だけでなく強度も重要視されるようになってきている。例えば、携帯電話機などの樹脂成型品に適用される成型用ハードコートフィルムにおいては、使用中の筐体への傷つき防止のため、成型性の他、たとえばガラス等に代替し得る高い耐擦傷性や鉛筆硬度も要求されている。また、携帯電話機等の用途では、表面の手触り感(触感)も良好であることが要求されている。そのため、コーティング層表面の摩擦係数が小さいものが要求されている。
本発明者は鋭意検討の結果、従来の成型用ハードコートフィルムでは耐擦傷性に改良の余地があることを見出し、また手触り感についても改良の余地があることを見出した。
そこで、本発明は、成型性(伸長性)が良好で、耐擦傷性(強度)、面感(視認性)や触り心地にも優れるハードコート塗料組成物、及び該ハードコート塗料組成物を用いた成型用ハードコートフィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂と、重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂を併用するとともに、無機酸化物微粒子を配合し、しかもその配合量を増やすことで、特に耐擦傷性(強度)に優れ、成型性や面感も良好な成型用ハードコートフィルムが得られることを見出した。また、さらにレベリング剤を用いることで、耐擦傷性は更に向上させることができ、触り心地も向上することを見出した。
すなわち、本発明者は、以下の構成を有する発明によって上記課題を解決できることを見出した。
本発明の構成は以下のとおりである。
第1の発明は、重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂(A)及び重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂(B)を含有するとともに、無機酸化物微粒子を25重量部以上、及びレベリング剤を含むことを特徴とするハードコート塗料組成物である。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記ハードコート塗料組成物における、前記電離放射線硬化型樹脂(A)と前記電離放射線硬化型樹脂(B)の混合比(重量部)が、60:40〜20:80の範囲であることを特徴とするハードコート塗料組成物である。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記ハードコート塗料組成物に、前記レベリング剤として、反応性フッ素系レベリング剤を含有することを特徴とするハードコート塗料組成物である。
第4の発明は、上記第1乃至第3のいずれかの発明において、前記レベリング剤の含有量は、前記ハードコート塗料組成物中、電離放射線硬化型樹脂(前記電離放射線硬化型樹脂(A)と前記電離放射線硬化型樹脂(B)との総和)100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の範囲であることを特徴とするハードコート塗料組成物である。
第5の発明は、上記第1乃至第4のいずれかの発明において、前記無機酸化物微粒子の平均粒径が5nm〜50nmの範囲であることを特徴とするハードコート塗料組成物である。
第6の発明は、上記第1乃至第5のいずれかの発明において、前記ハードコート塗料組成物が、溶媒としてエステル系有機溶媒及びアルコール系有機溶媒を含有することを特徴とするハードコート塗料組成物である。
第7の発明は、上記第6の発明において、前記ハードコート塗料組成物における、前記エステル系有機溶媒と前記アルコール系有機溶媒の混合比(重量部)が、80:20〜40:60の範囲であることを特徴とするハードコート塗料組成物である。
第8の発明は、上記第1乃至第7のいずれかの発明のハードコート塗料組成物を、基材フィルム上に塗工し形成されるハードコート層を有することを特徴とする成型用ハードコートフィルムである。
第9の発明は、上記第8の発明において、前記ハードコート層の膜厚が、0.5μm〜3μmの範囲であることを特徴とする成型用ハードコートフィルムである。
第10の発明は、上記第8又は第9の発明において、前記基材フィルムとして、アクリルフィルム、または、アクリルとポリカーボネートの積層フィルムを用いることを特徴とする成型用ハードコートフィルムである。
本発明のハードコート塗料組成物を用いることにより、成型性(伸長性)が良好で、耐擦傷性(強度)、面感(視認性)や触り心地にも優れる成型用ハードコートフィルムを提供することができる。
また、上記ハードコート塗料組成物における、電離放射線硬化型樹脂(A)と電離放射線硬化型樹脂(B)の混合比(重量部)が、60:40〜20:80の範囲であることが、本発明の効果を高める上で好適である。
また、本発明においては、上記ハードコート塗料組成物に、レベリング剤を含有することが、本発明の効果をさらに向上させる上で重要である。レベリング剤としては、特に反応性フッ素系レベリング剤を含有することが好適である。
また、上記レベリング剤の含有量は、ハードコート塗料組成物中、電離放射線硬化型樹脂(上記電離放射線硬化型樹脂(A)と上記電離放射線硬化型樹脂(B)との総和)100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の範囲であることが特に好適である。
また、本発明においては、上記無機酸化物微粒子の平均粒径が5nm〜50nmの範囲であることが好適である。
また、本発明においては、上記ハードコート塗料組成物が、溶媒としてエステル系有機溶媒及びアルコール系有機溶媒を含有することが、本発明の効果を高める上で好適である。
また、上記ハードコート塗料組成物における、エステル系有機溶媒とアルコール系有機溶媒の混合比(重量部)が、80:20〜40:60の範囲であることが、本発明の効果を高める上で好適である。
また、本発明に係るハードコート塗料組成物を、基材フィルム上に塗工し形成されるハードコート層を有する成型用ハードコートフィルムは、ハードコート層の膜厚が、0.5μm〜3μmの範囲であることが好適である。
また、上記基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アクリルフィルム、または、アクリルとポリカーボネートの積層(例えば二層)フィルムを用いることが好適であり、アクリルフィルム、または、アクリルとポリカーボネートの積層フィルムがより好ましい。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるわけではない。
なお、明細書等の記載において、特に断りのない限り、「○○〜△△」とは、「○○以上△△以下」を意味するものとする。
本発明に係る成型用ハードコートフィルムは、本発明に係るハードコート塗料組成物を、基材フィルム上に塗工し形成されるハードコート層を有するものである。
この本発明に係るハードコート塗料組成物は、重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂(A)及び重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂(B)を含有するとともに、無機酸化物微粒子(C)を25重量部以上、及びレベリング剤を含むことを特徴とするものである。
[基材フィルム]
まず、上記基材フィルムについて説明する。
本発明に用いることのできる基材フィルムとしては、特に限定されないが、熱成型可能な材料であって、伸長時応力が低く、弱い力で伸ばすことが可能な材料であることが好ましい。本発明においては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)フィルム等のアクリルフィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、アクリルとポリカーボネートの積層(例えば二層)フィルムなどを好ましく使用することができる。上記PETフィルムの場合、汎用の二軸延伸PETフィルムを用いてもよいが、より良好な成型性を得るためには、二軸延伸易成型PETフィルムを用いることが特に好ましい。この二軸延伸易成型PETフィルムは、熱軟化温度が低く、弱い力で伸ばすことができ、しかも比較的安価な材料である。
また、上記アクリルフィルム、ポリカーボネート(PC)フィルムは、いずれも無延伸フィルムで、いずれの成型法にも好適に利用することができる。また、上記アクリルフィルムは、質感に優れているため、特に好適に用いることができる。
本発明の上記基材フィルムとしては、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アクリルフィルム、または、アクリルとポリカーボネートの積層フィルムを用いることが好適であり、アクリルフィルム、または、アクリルとポリカーボネートの積層フィルムがより好ましい。
上記基材フィルムの厚みについては、特に制限はないが、ハードコート層の加工条件、及び基材フィルムの経済性、機械的強度、ハンドリング性等の関係から、25μm〜150μm程度の範囲であることが好ましい。
上記基材フィルムの表面に対して、コロナ処理や低温プラズマ処理等の表面処理、フィルムの走行性の改善を目的とした滑材の添加、基材フィルムの成膜時或いは成膜後に熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を用いた易接着処理を行うこともできる。また、帯電防止性を付与する目的で静防処理等も行うことができる。
[ハードコート層]
次に、上記ハードコート層について説明する。
本発明において、上記ハードコート層は、本発明に係るハードコート塗料組成物を基材フィルム上に塗工して形成される。
この本発明に係るハードコート塗料組成物は、上記のとおり、重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂(A)及び重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂(B)を含有するとともに、無機酸化物微粒子を25重量部以上、及びレベリング剤を含むものである。
本発明に係るハードコート塗料組成物に含まれる樹脂としては、被膜を形成する樹脂であれば特に制限なく用いることができるが、特にハードコート層表面に硬度(耐擦傷性、鉛筆硬度)を付与し、また紫外線等の露光量によって架橋度合を調節することが可能であり、ハードコート層の伸長性と表面硬度(耐擦傷性、鉛筆硬度)の調節が可能になるという点で、電離放射線硬化型樹脂を用いることが好適である。
本発明に用いられる電離放射線硬化型樹脂は、紫外線(以下「UV」と略記する。)や電子線(以下「EB」と略記する。)を照射することによって硬化する透明な樹脂であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等の中から適宜選択することができる。電離放射線型樹脂として好ましいものは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するUVまたはEBにて硬化可能な多官能アクリレートからなるものが挙げられる。分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するUVまたはEB硬化可能な多官能アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリアクリレート、ビスフェノールA ジグリシジルエーテルのジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸及び/またはその無水物とアクリル酸とをエステル化することによって得ることができるポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なお、多官能アクリレートは3種以上混合して用いてもよい。
本発明のハードコート塗料組成物において特徴的な構成は、上記のとおり、重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂(A)及び重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂(B)を併用することである。
なお、本発明において、電離放射線硬化型樹脂の重量平均分子量Mwは、標準サンプルにポリスチレンを使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
このように、ハードコート塗料組成物の樹脂成分として、重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂(A)と、重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂(B)を混合して用いることにより、成型用ハードコートフィルムの成型性(伸長性)、耐擦傷性(強度)のいずれの特性も向上させることが可能となる。
上記の重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂(A)の中でも、JIS K 5600に規定される鉛筆硬度がB〜Hを有する電離放射線硬化型樹脂であることが好ましい。
また、上記の重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂(B)の中でも、上記鉛筆硬度がH〜4Hを有する電離放射線硬化型樹脂であることが好ましい。その様な電離放射線硬化型樹脂(B)としては、例えば市販品として、UN−3320HS(根上工業社製)、UN-904(根上工業社製)等を挙げることができる。
本発明においては、上記の電離放射線硬化型樹脂(A)と電離放射線硬化型樹脂(B)の混合比(重量部)は、60:40〜20:80の範囲であることが好ましい。この混合比率外であると、上記の電離放射線硬化型樹脂(A)と電離放射線硬化型樹脂(B)を併用することの効果が得られ難くなり、成型性(伸長性)、耐擦傷性(強度)のいずれの特性も向上させることが難しくなる。
また、上記ハードコート塗料組成物に含まれる電離放射線硬化型樹脂の光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類などの公知のものが利用できる。
本発明のハードコート塗料組成物に用いられる電離放射線硬化型樹脂は、本発明の効果、すなわち成型性と耐擦傷性及び面感や触り心地の効果を阻害しない範囲で、フェノール樹脂、ウレア樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ、ケイ素樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を併用することができる。
また、本発明のハードコート塗料組成物においては、上記の重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂(A)及び重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂(B)を含有するとともに、無機酸化物微粒子及びレベリング剤を含有させることが重要である。このように、上記電離放射線硬化型樹脂(A)と電離放射線硬化型樹脂(B)を併用するとともに、無機酸化物微粒子を配合し、しかもその配合量を増やすことで、特に耐擦傷性(強度)に優れ、成型性や面感も良好な成型用ハードコートフィルムが得られる。
この場合、無機酸化物微粒子の平均粒径は5nm〜50nmであることが好ましく、より好ましくは5nm〜40nm、さらに好ましくは平均粒径10nm〜40nmである。無機酸化物微粒子の平均粒径が5nm未満であると、耐擦傷性(強度)をよりいっそう向上させることが困難である。一方、平均粒径が50nmを超えると、成型用ハードコートフィルムの透過率やヘイズに影響が出やすくなる。
なお、無機酸化物微粒子の平均粒径は、例えば動的光散乱法を用いた粒度分布計(日機装社製、装置名:Nanotrac150)を用いて測定することができる。
無機酸化微粒子は、上記範囲の平均粒径を示す単粒物、又はより微細な1次粒子が造粒してなる造粒物でもよい。その様な1次粒子としては、平均1次粒径1nm〜25nmが好ましく、1nm〜20nmが更に好ましい。なお、平均1次粒径は、例えば比表面積測定装置ASAP−2010(株式会社島津製作所製)を用いてBET法により比表面積を測定し、平均1次粒径(nm)=6×103/(密度(g/cm3)×比表面積(m2/g))の式に従い算出できる。
本発明において上記無機酸化物微粒子としては、例えばアルミナやシリカなどを挙げることができる。これらの中でも、アルミニウムを主成分とするアルミナは高硬度を有するため、シリカよりも少ない添加量で効果を得られることから特に好適である。
本発明において、無機酸化物微粒子の含有量は、ハードコート塗料組成物中、25重量部以上であることが必要である。無機酸化物微粒子の含有量が25重量部未満であると、充分な耐擦傷性の向上効果が得られ難い。一方、無機酸化物微粒子の含有量が50重量部を超えると、耐擦傷性の向上効果は頭打ちとなる上、ハードコート層の伸び率や面感、触り心地が低下し、さらにはヘイズが上がってしまい、成型用ハードコートフィルムを用いた成型体の視認性が損なわれることがある。従って、無機酸化物微粒子の含有量は、50重量部以下であることが望ましい。
本発明においては、無機酸化物微粒子の含有量は、30重量部〜45重量部の範囲であることが特に好ましい。
また、本発明においては、上記ハードコート塗料組成物に、さらにレベリング剤が含まれることが重要である。レベリング剤を用いることで、耐擦傷性は更に向上させることができ、面感や触り心地も向上する。
本発明において用いられるレベリング剤としては、塗料組成物に少量配合することで表面張力を調整できるものであれば特に限定されるものではないが、特に反応性フッ素系レベリング剤を含有することが好ましい。
上記反応性フッ素系レベリング剤とは、分子内にパーフルオロアルキル基等のアルキル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換されたフッ素基を有しかつ電離放射線硬化型樹脂と重合反応を行うことができる重合基を有するレベリング剤である。その様なレベリング剤としては、メガファックRSシリーズ(例えば、メガファックRS−90やメガファックRS−55)(DIC株式会社製)、フタージェント610AD(株式会社ネオス製)等を挙げることができる。
レベリング剤として反応性フッ素系レベリング剤を用いることで、本発明の効果をより得られやすくなる。このような反応性フッ素系レベリング剤を用いることにより、紫外線等照射後、より高強度なハードコート層が得られ、耐擦傷性を更に向上させることができる。また、フッ素基を含有するため、無機酸化物微粒子を高配合量で配合した系でも、ハードコート層表面の摩擦係数は低くなり、良好な面感、触り心地を得ることができる。
本発明において、上記レベリング剤の含有量は、ハードコート塗料組成物中、電離放射線硬化型樹脂(前記電離放射線硬化型樹脂(A)と電離放射線硬化型樹脂(B)との総和)100重量部に対して0.3〜1.0重量部の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.3〜0.5重量部の範囲内である。レベリング剤の含有量が0.3重量部未満であると、耐擦傷性や面感、触り心地の向上効果が十分に得られない。一方、レベリング剤の含有量が1.0重量部を超えると、表層に非硬化性の成分が増加するため耐擦傷性が低下する。
また、上記ハードコート塗料組成物に添加するその他の添加剤として、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、表面張力調整剤(上記レベリング剤以外)、防汚剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて含有してもよい。
本発明の成型用ハードコートフィルムにおける上記ハードコート層は、上述のハードコート塗料組成物を適当な溶媒に溶解、分散した塗料を上記基材フィルム上に塗工、乾燥して形成される。溶媒としては、含有される前記電離放射線硬化型樹脂の溶解性に応じて適宜選択でき、少なくとも固形分(樹脂、レベリング剤、重合開始剤、その他添加剤)を均一に溶解あるいは分散できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、エステル類( 酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類( ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類、アミド類などが例示できる。また、溶媒は単独で使用しても2種類以上を混合して使用してもよい。
本発明においては、上記ハードコート塗料組成物が、溶媒として上記のエステル系有機溶媒及びアルコール系有機溶媒を含有することが特に好ましい。このように、エステル系有機溶媒とアルコール系有機溶媒の混合溶媒を用いることにより、基材フィルムに対する適度な浸食性を得ることができるため白化を防ぐことができ、基材フィルムと塗工層間の強固な密着性と高い視認性を得ることができる。
この場合、上記エステル系有機溶媒とアルコール系有機溶媒の混合比(重量部)は、80:20〜40:60の範囲であることが好ましい。この混合比率外であると、上記のエステル系有機溶媒とアルコール系有機溶媒を併用することの適切な効果が得られ難くなる。また、溶媒の揮発性や溶解性のバランスが変化するために塗工層の塗工状態が悪化(ハジキの発生等)する。
上記ハードコート層の塗工方法については、特に制約はないが、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、ファウンテンバー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工など、塗膜厚さの調整が容易な方式で塗工が可能である。なお、塗工したハードコート層の塗膜厚さは、マイクロメーターで実測することにより測定可能である。
本発明において、上記ハードコート層の膜厚(塗膜厚さ)は、特に制約されるわけではないが、例えば0.5μm〜3μmの範囲であることが好適であり、より好ましくは1〜3μmである。ハードコート層の膜厚が0.5μmよりも薄いと、十分な耐擦傷性が得られ難くなる。また、膜厚が3μmよりも厚いと、良好な伸長性が得られ難くなる。
本発明の成型用ハードコートフィルムにおいては、上記ハードコート塗料組成物を含有する塗料を基材フィルム(アクリルフィルム)に乾燥塗膜厚1〜3μmで塗工後、紫外線または電子線照射により硬化させた幅15mm×長さ150mmの試験片を作製し、温度120℃で、当該試験片を引張速度50mm/分、チャック間距離40mmにて引っ張った際に、上記ハードコート塗料組成物からなるコーティング層にクラックが入るまでの伸び率が15%以上(JIS K5600−5−4に規定する試験法準拠)であることが好ましい。
上記のように伸び率が15%以上であれば、例えば携帯電話機等の樹脂成型品など、耐擦傷性(強度)が併せ求められる多くの用途において十分な成型性を備えることができる。
また、本発明の成型用ハードコートフィルムにおいては、上記基材フィルムのハードコート層を設けた側とは反対面に、直接あるいは適当なプライマー層を介して印刷層などの加飾層や、着色・接着フィルムなどを設けてもよい。また、上記ハードコート層の上に更にオーバーコート層などを設けることも可能である。
上記加飾層は、例えば絵柄層及び/又は隠蔽層、金属蒸着層等により構成される。ここで、絵柄層は、模様や文字等とパターン状の絵柄を表現するために設けられる層であり、隠蔽層は全面ベタ層であり樹脂等の着色等を隠蔽するために設けられる層である。また、金属蒸着層は、一部或いは全面を金属調に蒸着した層であり、樹脂等の着色等を隠蔽するために設けられる層、或いは樹脂層を金属調に表現することを目的に設けられる層である。
上記加飾層(例えば絵柄層及び/又は隠蔽層)は、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷法により形成することができる。また、上記金属蒸着層は、スパッタリングなどの方法で成膜することができる。
以上説明したように、本発明によれば、重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂(A)及び重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂(B)を含有するとともに、無機酸化物微粒子を25重量部以上、及びレベリング剤を含むハードコート塗料組成物を用いることにより、成型性(伸長性)が良好で、耐擦傷性(強度)、面感(視認性)や触り心地にも優れる成型用ハードコートフィルムを提供することができる。
また、上記ハードコート塗料組成物に、レベリング剤として反応性フッ素系レベリング剤を含有させることにより、本発明の効果をさらに向上させることができるので、特に好ましい実施態様である。
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
なお、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
[実施例1]
<コーティング層用塗料の調製>
ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂「UN−3320HS(根上工業社製、重量平均分子量5000)」60部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR−500(大成ファインケミカル社製、重量平均分子量250000)」40部とを主剤とし、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)5部、酸化アルミニウムを主成分とした微粒子「ALPGM30wt%−H01(平均粒径39nm(平均1次粒径15nm)、CIKナノテック社製)」を30部、紫外線吸収剤としてチヌビン292(BASF社製)を0.5部、レベリング剤としてメガファックRS−90(反応性フッ素シロキサン系レベリング剤、DIC社製)を0.4部、を酢酸ブチル/n−プロピルアルコール(NPA)=50/50(重量部)で紫外線硬化性樹脂の塗料中の固形分濃度が20%となるまで希釈し十分攪拌してコーティング層塗料を調製した。
<成型用ハードコートフィルムの作製>
厚さ75μmのアクリルフィルムの片面に上記のコーティング層用塗料をバーコーターで塗工し、80℃で1分間熱風乾燥した後、紫外線光量450mJ/m2で硬化させ、膜厚2μmのコーティング層(ハードコート層)を形成し、本実施例の成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例2]
主剤をウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂「UN−3320HS(根上工業社製)」80部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR−500(大成ファインケミカル社製)」20部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例3]
主剤をウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂「UN−3320HS(根上工業社製)」40部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR−500(大成ファインケミカル社製)」60部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例4]
基材フィルムをアクリル(15μm)/ポリカーボネート(60μm)二層フィルムに変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例5]
上記レベリング剤RS−90の配合部数を0.3部とした以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例6]
主剤をウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂「UN−3320HS(根上工業社製)」85部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR−500(大成ファインケミカル社製)」15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例7]
主剤をウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂「UN−3320HS(根上工業社製)」35部とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR−500(大成ファインケミカル社製)」65部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例8]
上記酸化アルミニウムを主成分とした微粒子「ALPGM30wt%−H01」の配合部数を25部とした以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例9]
上記酸化アルミニウムを主成分とした微粒子「ALPGM30wt%−H01」の配合部数を45部とした以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例10]
上記レベリング剤を、メガファックRS−90からメガファックRS−55(反応性フッ素シロキサン系レベリング剤、DIC社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例11]
上記レベリング剤を、反応性を有しないサーフロンS−611(フッ素系レベリング剤、AGCセイミケミカル社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、及び成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例12]
酢酸ブチル/n−プロピルアルコール=80/20(重量部)に変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、及び成型用ハードコートフィルムを作製した。
[実施例13]
酢酸ブチル/n−プロピルアルコール=40/60(重量部)に変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、及び成型用ハードコートフィルムを作製した。
[比較例1]
レベリング剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、及び成型用ハードコートフィルムを作製した。
[比較例2]
酸化アルミニウムを主成分とした微粒子「ALPGM30wt%−H01」の配合部数を20部とした以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、及び成型用ハードコートフィルムを作製した。
[比較例3]
ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂「UN−3320HS(根上工業社製)」を無配合とし、ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR−500(大成ファインケミカル社製)」100部を主剤して用いた以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、及び成型用ハードコートフィルムを作製した。
[比較例4]
ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂「UN−3320HS(根上工業社製)」100部を主剤とし、ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR−500(大成ファインケミカル社製)」を無配合とした以外は、実施例1と同様にしてコーティング層用塗料、及び成型用ハードコートフィルムを作製した。
以上のようにして作製した実施例及び比較例の各成型用ハードコートフィルムを次の項目について評価し、その結果を纏めて表1に示した。
(1)伸び率
各成型用ハードコートフィルムを、サンプルサイズ幅15mm×長さ150mmの試験片とし、温度120℃で、当該試験片を引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで引張り、表面のコーティング層にクラックが入るまでの引張伸度(%)を測定した。
評価基準は以下のとおりである。
◎:伸び率が20%以上である
○:伸び率が15%以上〜20%未満である。
△:伸び率が10%以上〜15%未満である。
×:伸び率が10%未満である。
(2)鉛筆硬度
JIS K5600に示される試験方法に準拠し、荷重1000gにて鉛筆硬度を測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:鉛筆硬度4H以上
○:鉛筆硬度3H
△:鉛筆硬度2H
×:鉛筆硬度2H未満
(3)耐擦傷性
堅牢度試験機(テスター産業社製)により、コーティング層の摩耗及び摩擦に対する堅牢度試験を行った。各成型用ハードコートフィルムのハードコート面とスチールウール#0000を、荷重1,000g/cm2で200往復にて互いに摩擦し、ハードコート層の表面を目視にて確認した。評価基準は以下のとおりである。
◎:傷の発生無し。
○:5本以下の傷が発生するが、実用上問題無い。
△:傷が6〜10本発生するが、実用の範囲内である。
×:傷が無数に発生する。
(4)触り心地
新東科学株式会社製 Peeling/Slipping/Scratching TESTER HEIDON−14を用いて、各成型用ハードコートフィルムのハードコート面とベンゴットTF−30を重ね合せ、荷重500g、速度100mm/分で動摩擦係数を測定し、指を滑らせたときの触感(触り心地)を以下の基準で評価した。
◎:動摩擦係数が0.20未満であり、指を滑らせた時に抵抗を感じにくく触感(触り心地)が良好である。
○:動摩擦係数が0.20以上0.30未満であり、指を滑らせた時にやや抵抗感があるが、触感に大きな影響はない。
△:動摩擦係数が0.30以上で0.5未満であり、指を滑らせた時に抵抗感を感じ、触感に劣る。
×:動摩擦係数が0.5以上であり、指を滑らせたときに大きく抵抗を感じ、触感に劣る。
(5)面感
各成型用ハードコートフィルムを、10cm×15cmの面積に切り出し、試料フィルムを作製した。この試料フィルムのハードコート層とは反対面に、黒色光沢テープを貼り合わせ、ハードコート面を上面にして、3波長形昼白色蛍光灯(ナショナルパルック、F.L15EX−N15W)を光源として照らし、斜め上方より反射光を目視で観察して、視認性について評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:良好な表面形状であり視認性に優れる。
○:表面形状の均一性が若干劣るが、視認性は実用上問題無い。
△:表面の均一性に劣るが、視認性は実用上用いることができる。
×:表面の均一性が大きく劣り、視認性に劣る。
Figure 0006769676
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例によれば、伸び率を確保しつつ、高い鉛筆硬度や耐擦傷性、良好な面感、触り心地が得られている。したがって、本発明の実施例によれば、成型性と表面強度、面感、触り心地のいずれの特性にも優れる成型用ハードコートフィルムが得られる。
また、高分子量のウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR−500」と低分子量のウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂「UN−3320HS」の混合比(重量部)を、60:40〜20:80の範囲とすることが、本発明の効果を高める上で好ましい。
また、レベリング剤として、特に反応性フッ素系レベリング剤を用いることが、本発明の効果を高める上で好ましい。
これに対し、ハードコート塗料にレベリング剤を添加していない比較例1では、伸び率以外は全体的に評価が悪く、特に耐擦傷性が劣っていた。また、酸化アルミニウム微粒子の配合量が少ない比較例2では、ハードコート面の強度が低く、特に耐擦傷性が劣っていた。また、高分子量のウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「8BR−500」だけを主剤として用いた比較例3では、伸び率や面感の評価は良いものの、鉛筆硬度や耐擦傷性が非常に劣っていた。他方、低分子量のウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂「UN−3320HS」だけを主剤として用いた比較例4では、特に伸び率の評価が悪かった。要するに、比較例では、成型性や表面強度、面感、触り心地のいずれにも優れる成型用ハードコートフィルムを得ることはできない。

Claims (10)

  1. 重量平均分子量Mwが150,000以上の電離放射線硬化型樹脂(A)及び重量平均分子量Mwが10,000以下の電離放射線硬化型樹脂(B)を含有するとともに、前記電離放射線硬化型樹脂(A)と前記電離放射線硬化型樹脂(B)の総和含有量を100重量部とした場合、アルミナ微粒子を25重量部以上、及びレベリング剤を含むことを特徴とするハードコート塗料組成物。
  2. 前記ハードコート塗料組成物における、前記電離放射線硬化型樹脂(A)と前記電離放射線硬化型樹脂(B)の混合比(重量部)が、60:40〜20:80の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のハードコート塗料組成物。
  3. 前記ハードコート塗料組成物に、前記レベリング剤として、反応性フッ素系レベリング剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコート塗料組成物。
  4. 前記レベリング剤の含有量は、前記ハードコート塗料組成物中、電離放射線硬化型樹脂(前記電離放射線硬化型樹脂(A)と前記電離放射線硬化型樹脂(B)との総和)100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハードコート塗料組成物。
  5. 前記アルミナ微粒子の平均粒径が5nm〜50nmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハードコート塗料組成物。
  6. 前記ハードコート塗料組成物が、溶媒としてエステル系有機溶媒及びアルコール系有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のハードコート塗料組成物。
  7. 前記ハードコート塗料組成物における、前記エステル系有機溶媒と前記アルコール系有機溶媒の混合比(重量部)が、80:20〜40:60の範囲であることを特徴とする請求項6に記載のハードコート塗料組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のハードコート塗料組成物を、基材フィルム上に塗工し形成されるハードコート層を有することを特徴とする成型用ハードコートフィルム。
  9. 前記ハードコート層の膜厚が、0.5μm〜3μmの範囲であることを特徴とする請求項8に記載の成型用ハードコートフィルム。
  10. 前記基材フィルムとして、アクリルフィルム、または、アクリルとポリカーボネートの積層フィルムを用いることを特徴とする請求項8又は9に記載の成型用ハードコートフィルム。
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