JP6769040B2 - 電子装置の検査方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の電子装置は、サーミスタを用いて発熱部品の温度を検出し、発熱部品が許容温度を超えて加熱することの無いように、発熱部品に供給される電流量を制限している。
また、この電子装置は、発熱部品に対して基板とは反対側に設けられたヒートシンクと発熱部品との間に、熱伝導材としての放熱ゲルが充填されている。これにより、発熱部品が発する熱は、放熱ゲルを経由してヒートシンクに放熱される。
本発明の第1実施形態を図1〜図9に示す。本実施形態の電子装置1は、種々の製品の制御等に適用することが可能なものである。ここでは、その一例として、車両の電動パワーステアリング装置において運転者による操舵を補助するためのアシストトルクを発生するモータ2を駆動制御する電子装置1について説明する。
まず、電子装置1の構成について説明する。
図1および図2に示すように、電子装置1は、基板10、複数のスイッチング素子20、ヒートシンク30、マイコン40およびサーミスタ50等を備えている。
ヒートシンク30は、アルミ等の熱伝導性のよい材料により形成され、所定の熱マスを有する。また、ヒートシンク30は、基板10等を支持する筐体としても機能するものである。
以下の説明において、基板10のヒートシンク30側の面を第1面11と称し、ヒートシンク30と反対側の面を第2面12と称することとする。すなわち、ヒートシンク30は、基板10の第1面11側に位置している。
スイッチング素子20は、例えばMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)である。なお、スイッチング素子20として、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等を適用してもよい。4個のスイッチング素子20およびシャント抵抗25は、「発熱部品」の一例に相当する。
コネクタ28は、モータ2、バッテリ3(図4参照)および車両の各種センサ等との電気的接続に用いられる。
マイコン40およびカスタムIC41は、スイッチング素子20、シャント抵抗25、コンデンサ26およびリレー27などの比較的大電流が流れる電子部品に対し、基板10の長手方向に離れた位置に設けられている。これにより、スイッチング素子20等に大電流が流れることによるノイズの影響を低減することが可能である。
サーミスタ50は、例えばNTCまたはPTCサーミスタであり、サーミスタ50自身の温度変化により、抵抗値が変化する。なお、基板10の第2面12にサーミスタ50を設けることで、サーミスタ50自身の熱が放熱ゲル33を経由してヒートシンク30へ伝わることが防がれる。
サーミスタ50からの出力は、マイコン40に入力される。マイコン40は、サーミスタ50の出力によりサーミスタ50の温度を検出する検出部として機能する。検出部としてのマイコン40が検出する温度はサーミスタ50の温度であるが、その温度はスイッチング素子20の発熱温度、またはサーミスタ50が設けられた位置の基板10の温度に相当するものである。
4個のスイッチング素子20は、例えばHブリッジ回路を構成している。以下の説明において、適宜、電源側に接続される2個のスイッチング素子20をそれぞれ第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22と称し、グランド側に接続される2個のスイッチング素子20をそれぞれ第3スイッチング素子23、第4スイッチング素子24と称することとする。
第1、第2スイッチング素子21、22の接続点は、リレー27およびチョークコイル29を経由して、バッテリ3の正極と接続される。チョークコイル29は、ノイズを低減する。
バッテリ3と並列に接続されたコンデンサ26は、電荷を蓄えることにより、スイッチング素子20への電力供給を補助したり、サージ電圧などのノイズ成分を抑制したりする。
第3、第4スイッチング素子23、24の接続点は、シャント抵抗25を経由してバッテリ3の負極と接続される。シャント抵抗25は、モータ2に通電される電流の検出に用いられる。
第1、第3スイッチング素子21,23の接続点と、第2、第4スイッチング素子22,24の接続点の間に直流モータ2が接続される。
まず、制御部42が第3スイッチング素子23のオフ、第2スイッチング素子22のオフ、第1スイッチング素子21のオン、第4スイッチング素子24のオンをこの順で瞬時に行うと、バッテリ3の正極から電流が、チョークコイル29、リレー27、第1スイッチング素子21、モータ2、第4スイッチング素子24、シャント抵抗25、バッテリ3の負極に、この順で流れる。これにより、モータ2は、所定の方向(以下「正方向」という)に回転する。
ところで、上述したように制御部42がモータ2の回転方向を正方向から逆方向に変えるとき、制御部42が第4スイッチング素子24のオフを行うと、それまで第1スイッチング素子21、モータ2、第4スイッチング素子24の順に流れていた電流は、一瞬のみ、第1スイッチング素子21、モータ2、第2スイッチング素子22の順に回流する。
また、この受熱用配線パターン51は、第1スイッチング素子21および第2スイッチング素子22が有するドレイン端子211,221およびソース端子212,222がそれぞれ接続する複数の電力配線パターン14に跨るようにして設けられている。これにより、1個のサーミスタ50を用いて、第1スイッチング素子21と第2スイッチング素子22の両方の発熱温度を検出することが可能である。
電子装置1における放熱ゲル33の放熱機能に関する検査方法について、図5〜図9を参照して説明する。
この検査方法では、先ず、2個の基準製品を用いて、複数の電子装置1を検査する際に使用する上限閾値Tth_maxを設定する。次に、その上限閾値Tth_maxを用いて、複数の電子装置1が備える放熱ゲル33の放熱機能を検査する。
まず、電流パターン選択ステップ(S1)として、検査に使用する電流パターンを選択する。その電流パターンとして、図6(A)〜(D)に示すものが例示される。最初の電流パターン選択ステップ(S1)では、n番目の電流パターンとして、例えば図6(A)に示すものを選択したものとする。
続いて、上限閾値設定ステップ(S6)では、複数の電子装置1が備える放熱ゲル33の放熱機能を検査する際に使用する上限閾値Tth_maxを設定する。図7(A)に示したように、この上限閾値Tth_maxは、第1取得温度Aと取得温度Bとの間の温度に設定する。
これにより、複数の電子装置1を検査する際に使用する上限閾値Tth_maxと、その際の電流パターンが設定される。
なお、図8に示したように、複数の電子装置1を検査する際に使用する上限閾値Tth_maxと共に、下限閾値Tth_minを設定してもよい。
まず、電流パターン選択ステップ(S10)として、上述した電流パターン決定ステップ(S5)で決定した電流パターンを、この検査に使用する電流パターンとして選択する。
一方、検査温度が上限閾値Tth_maxより大きいとき、その所定の電子装置1が放熱ゲル33を備えていないか、または、放熱ゲル33を備えていたとしてもその放熱機能が有効に機能していないものと判定し(S13)、その所定の電子装置1の検査を終了する。
続いて、S10からS13の処理により、複数の電子装置1の検査を順次行ってゆく。
本実施形態の電子装置1は、次の作用効果を奏する。
(1)本実施形態では、サーミスタ50が、基板10に放熱ゲル33が塗布された第1面11とは反対側の第2面12に設けられるので、サーミスタ50自身の熱が放熱ゲル33を経由してヒートシンク30に放熱されることが防がれる。また、サーミスタ50は、複数のスイッチング素子20のうち発熱温度が比較的高いスイッチング素子21,22の温度変化によりサーミスタ50自身の温度が変化する。したがって、電子装置1は、サーミスタ50の出力により、そのスイッチング素子21,22の温度を正確に検出可能である。その結果、電子装置1は、全てのスイッチング素子21〜24に供給する電流量を適切に制限することができる。
なお、サーミスタ50は、複数のスイッチング素子20のうち温度上昇が最も高いスイッチング素子21,22に近い位置に実装することがより好ましい。
これにより、スイッチング素子20が発する熱を受熱用配線パターン51に受熱させ、その熱によりサーミスタ50の温度を変化させることが可能である。したがって、電子装置1は、サーミスタ50により、スイッチング素子20の急峻な温度上昇を敏感に測定することができる。
これにより、スイッチング素子20が発する熱を電力配線パターン14から受熱用配線パターン51に伝熱させ、その熱によりサーミスタ50の温度を変化させることが可能である。したがって、電子装置1は、サーミスタ50により、スイッチング素子20の急峻な温度上昇を敏感に測定することができる。
これにより、1個のサーミスタ50を用いて、複数のスイッチング素子20の温度を検出することが可能である。
これにより、複数のスイッチング素子20の中で、発熱温度が比較的高いスイッチング素子21,22を容易に特定することが可能である。
(6)本実施形態では、上限閾値設定ステップにおいて、第1取得温度と第2取得温度との差が所定の閾値αより大きいとき、検査ステップで使用する上限閾値Tth_maxを設定する。
これにより、第1取得温度と上限閾値Tth_maxとの温度差を大きく確保することが可能である。したがって、検査ステップで検査する所定の電子装置1の温度特性に公差がある場合でも、第1取得温度と上限閾値Tth_maxとの温度差により、その交差を吸収することが可能である。したがって、この検査方法により、所定の電子装置1が備える放熱ゲル33の放熱機能の検査に関し、誤検出を抑制することができる。
これにより、第1取得温度と第2取得温度との差が所定の閾値αより大きいものとなる電流パターン、すなわち検査に用いる適切な電流パターンを選択することが可能である。
本発明の第2実施形態を図10に示す。以下の説明において、上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、4個のスイッチング素子20のうち発熱温度が比較的高い2個のスイッチング素子21,22が、コネクタ28とは反対側で基板10の長手方向に並んで配置されている。そのため、サーミスタ50は、その2個のスイッチング素子21,22に近い位置で、基板10を挟んで実装されている。これにより、第2実施形態の電子装置1も、第1実施形態と同様に、サーミスタ50の出力により、スイッチング素子21,22の温度を正確に検出し、全てのスイッチング素子20に供給する電流量を適切に制限することができる。
本発明の第3実施形態を図11に示す。第3実施形態では、4個のスイッチング素子20のうち発熱温度が比較的高い2個のスイッチング素子21,22が、基板10の長手方向中央付近において、基板10の短手方向に並んで配置されている。そのため、サーミスタ50は、その2個のスイッチング素子21,22に近い位置で、基板10を挟んで実装されている。これにより、第3実施形態の電子装置1も、第1、第2実施形態と同様に、サーミスタ50の出力により、スイッチング素子21,22の温度を正確に検出し、全てのスイッチング素子20に供給する電流量を適切に制限することができる。
(1)上述した実施形態では、車両の電動パワーステアリング装置に使用されるモータ2を駆動制御する電子装置1を例にして説明した。これに対し、他の実施形態では、電子装置1は、モータ2の駆動に限らず、種々の製品の制御等に適用可能なものである。
この場合でも、本発明は、基板に設置された複数の発熱部品のうち発熱温度が比較的高い発熱部品の近くに温度検出素子が設けられるという位置関係が成立していれば良い。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・基板
20・・・スイッチング素子(発熱部品)
30・・・ヒートシンク
33・・・放熱ゲル(熱伝導材)
40・・・マイコン(検出部)
50・・・サーミスタ(温度検出素子)
Claims (5)
- 基板(10)、前記基板に実装された複数の発熱部品(20〜25)、前記発熱部品に対し前記基板とは反対側に設けられたヒートシンク(30)、前記発熱部品と前記ヒートシンクとの間に充填された熱伝導材(33)、前記基板に前記熱伝導材が充填された面(11)とは反対側の面(12)で複数の前記発熱部品のうち発熱温度が比較的高い前記発熱部品(21,22)の近くに設けられた温度検出素子(50)、および、前記温度検出素子の出力により温度を検出可能な検出部(40)を備えた電子装置(1)が備える前記熱伝導材の放熱機能を検査することの可能な検査方法であって、
前記電子装置の構成を備えた第1の基準製品において、前記発熱部品に所定の電流パターンで電力を供給したときに前記検出部が検出した温度を取得する第1温度取得ステップ(S2)と、
前記電子装置の構成から前記熱伝導材を除いた第2の基準製品において、前記発熱部品に所定の電流パターンで電力を供給したときに前記検出部が検出した温度を取得する第2温度取得ステップ(S3)と、
前記第1温度取得ステップで取得した温度と前記第2温度取得ステップで取得した温度との差(M,N)が、所定の閾値(α)より大きいか否かを判定する判定ステップ(S4)と、
前記第1温度取得ステップで取得した温度と前記第2温度取得ステップで取得した温度との差が前記所定の閾値より大きいとき、前記第1温度取得ステップで検出された温度と前記第2温度取得ステップで検出された温度との間の温度で上限閾値(Tth_max)を設定する上限閾値設定ステップ(S6)と、
前記電子装置の構成を備えた検査品において、前記発熱部品に前記所定の電流パターンで電力を供給し、前記検査品が備える前記検出部が検出した温度が、前記上限閾値より低いか否かを検査する検査ステップ(S11)と、を含む電子装置の検査方法。 - 前記第1温度取得ステップで取得した温度と前記第2温度取得ステップで取得した温度との差が、前記所定の閾値より小さいとき、前記第1温度取得ステップおよび前記第2温度取得ステップにおいて前記電子装置の前記発熱部品に供給する電流パターンを変更する電流パターン変更ステップ(S7)をさらに含む請求項1に記載の電子装置の検査方法。
- 前記電子装置の前記基板は、発熱温度が比較的高い前記発熱部品が実装された面とは反対側の面に、前記温度検出素子が実装される受熱用配線パターン(51)を備える請求項1または2に記載の電子装置の検査方法。
- 前記電子装置の前記受熱用配線パターンは、発熱温度が比較的高い前記発熱部品が有するドレイン端子(211,221)またはソース端子(212,222)が接続する電力配線パターン(14)に対向する位置に設けられるものである請求項3に記載の電子装置の検査方法。
- 前記電子装置の前記受熱用配線パターンは、発熱温度の高い複数の前記発熱部品のドレイン端子またはソース端子が接続する複数の電力配線パターンに対向する位置において、複数の前記電力配線パターンに跨るようにして設けられるものである請求項3または4に記載の電子装置の検査方法。
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