以下、本発明に係る実施の形態のコンテナによる輸送方法、コンテナによる海上輸送方法、及び、その荷役用具について、図1〜図28の図面を参照しながら説明する。なお、図2〜図28においては、輸送用コンテナ1の奥行き方向をX方向とし、鉛直の上方向をZ方向とし、XYZの右手系として横方向をY方向としている。このX方向は、輸送用コンテナ1の輸送状態では、敷設部材30の長手方向、組立式架台10の長手方向、コイル状物20の長手方向と同じになる。
なお、これらの図面は説明図であり、各図面の相互間で必ずしも整合性が維持されていない場合もある。また、寸法関係や線の方向なども図示及び説明し易いように歪められている場合もある。また、ここでいう「柔らかい」「固い」とは、互いに押し付けたときに、変形が多い方を「柔らかい」といい、変形が少ない方を「固い」ということである。
なお、この実施の形態では、輸送対象物としてコイル状物20を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものでもなく、コイル状の形状をしている物体にも限定されない。なお、本発明は、特に、個体重量が5t(トン)以上25t以下、好ましくは、6t以上かつ15t以下、より好ましくは、7t以上かつ10t以下のコイル状物のときに、他の部材による梱包に対して、本発明の組立式架台10はより効果を発揮できる。
また、面圧に関しても、無梱包状態で平面上に載置したときに、その平面に加わる荷重による面圧(重量/接地面積)が500kg/cm2以上、より好ましくは、600kg/cm2以上であり、さらに、より好ましくは、700kg/cm2以上であるような面圧の重量及び形状の輸送対象物に対して、本発明はより実用的となり、より効果を発揮できる。なお、面圧の上限に関しては、特に制限はないが、例えば、2,500kg/cm2以下、より好ましくは、1,500kg/cm2以下であり、さらに、より好ましくは、1,000kg/cm2以下などが想定される。
また、輸送用コンテナ1として、海上輸送で使用されている20フィート型コンテナ(幅×高さ×長さ=約2.4m×約2.6m×約6.0m)や40フィート型コンテナ(幅×高さ×長さ=約2.4m×約2.6m×約12.2mなどの輸送用コンテナを例にしている。図22に示すように、これらの輸送用コンテナ1では、所定の間隔で設けられた横桁の上に張られた床面2と、コルゲート形状で左右に配置された側壁3と、奥側のコルゲート形状の奥壁4と、手前側の扉5とが備わっている。この輸送用コンテナ1としては、標準的なコンテナを用いることが好ましいが、専用のコンテナであってもよく、本発明は、特定のコンテナに限定されない。
本発明の実施の形態のコンテナによる輸送方法、及び、コンテナによる海上輸送方法で使用する荷役用具は、コイル状物(輸送対象物)20を載置するための組立式架台10と、中央に施設する敷設部材30と、固縛用システム50とを備えて構成される。
この組立式架台10の大きさは、例えば、コイル状物20の大きさが、外形1.3mφ、長さ(身幅、高さ)が1m程度で、重さが9t程度の場合には、案内部材16と固定部材17が無い図7に示すような状態で、幅が1.8m程度、長さが1.4m程度、高さが0.6m程度であるが、コイル状物20の大きさによって異なる。
この組立式架台10は、図2〜図28に示すような、台座部材11、副台座部材12、横桁部材13、支持部材14、連結部材15、案内部材16、固定部材17を有して構成される。また、提携寸法の規格品として製作される組立架台10に多様な外径のコイル状物20への対応性を持たせるために、必要に応じて、楔形状スペーサ18とシート状スペーサ19が加えられる。さらに、図3に示すように、輸送用コンテナの入口側へ組立式架台10を引き出すために、引き出し用ベルト40が使用され、図16及び図17に示すように、輸送用コンテナ1に固縛するために、固縛用ベルト51、締め付け用具52、固縛用金具53等からなる固縛用システム50が用いられる。
なお、この実施の形態では、この荷役用具の内容に関して、組立式架台10の部材の個数としては、台座部材11は1個、副台座部材12は4個、横桁部材13は2個、支持部材14は左右3つずつの計6個、連結部材15は左右2つずつの計4個、案内部材16は左右1つずつの計2個、固定部材17は左右1つずつの計2個となっている。また、敷設部材30は1個、固定具31は2個、引き出し用ベルト40は1本、固縛用ベルト51は2本、締め付け用具52は4個、固縛用金具53は4組となっている。しかし、これらの数は、固定されたものではなく、コイル状物20の大きさや重量によって適宜変更されるものである。
この組立式架台10は、図2に示すように、敷設部材30の上に台座部材11が搭載されるように組み立てられる。この敷設部材30は、底部30aと側部30bと奥部30cとからなり、長尺形状の平板の短辺の両端が上側に折れ曲がった形状をしており、手前側は切り離しのコの字形状となっているが、奥側は平板などで形成される奥部30cで塞いでいる。この敷設部材30は、上側凹の状態で輸送用コンテナ1の床面2の上に配置される。
なお、この敷設部材30は、輸送用コンテナ1の横方向Yの中央に1個敷設してもよく、複数個敷設してもよい。奇数個の場合は、輸送用コンテナ1の横方向の中央に、1個敷設し、他は、その両側に、より好ましくはその1個の敷設部材30に対して、線対称に敷設する。また、偶数個の場合は、より好ましくは、輸送用コンテナ1の横方向Yの中央の直線に対して、線対称に敷設する。
この敷設部材30は上側に凹となっていることにより、押し込み工程と引き出し工程の少なくとも一方で、組立式架台10の移動前に、敷設部材30に対して、グリースやシリコン等の潤滑材をスプレーしたときに、潤滑剤が周囲の外部に流出せずに、底部30aの上面を効率よく濡らすことができる。これにより、組立式架台をより容易に移動できるようにすることができる。
また、組立式架台10の台座部材11の下部がこの凹部に挿入されて、組立式架台10の長手方向Xへの移動時に、台座部材11の横方向(左右方向)Yの動きを規制して、組立式架台10が長手方向Xへのスムーズに移動できるようにする。また、後述する押し込み用部材60もその下部が凹部に挿入されて、長手方向Xへの押し込み作業のときに、押し込み用部材60の横方向Yの動きが規制されて、押し込み用部材60が長手方向Xへのスムーズに移動できるようになる。
また、手前側を切り放しでコの字形状のまま凹部を開放することで、押し込み用部材60を手前側から挿入し易くすることができる。一方、奥側に平面形状の奥部30cを設けて、凹部の奥側が平面で覆われることにより、仮に敷設部材30の奥側が輸送用コンテナ1の内部の奥側の壁面に接触したり、押圧されたりした場合でも、板の端部(凹形状)ではなく、奥部30cの板面の平面で接触又は当接することになるので、輸送用コンテナ1の内部の奥壁4の壁面の損傷を防止又は著しく軽減できる。
また、敷設部材30の長手方向Xに関して予め設定された位置において、側部30bに係合溝30dを設けておく。この係合溝30dは、図17に示すように、固定具31の係合溝31dに係合して、固定具31を予め設定した位置に配置するためのものである。この係合溝30dの位置は、積み込む予定のコイル状物20の長さに対応させて予め設定しておく。なお、係合溝30dの深さを側部30bの高さと同じとすると、敷設部材30の凹部の曲がり強度がこの係合溝30dの部分で低下してしまうので、位置決めに必要な深さ、例えば、3分の1程度の深さとし、残りは、固定具31の係合溝31dの深さで補う。
そして、この敷設部材30のサイズは、例えば、全幅が200mm程度で、左右端の折れ曲がり高さ(外側寸法)が70mm程度である。また、敷設部材30の長さは、輸送用コンテナ1の床面2の長手方向(奥行方向)Xの長さよりもやや短い長さとする。例えば、ドライ・コンテナの標準型の20フィート・コンテナ(内法寸法で長さ=5,899mm、幅=2,352mm、高さ=2,386mm)に対しては、敷設部材30の全長は、5,800mm程度とする。この敷設部材30のサイズは、輸送用コンテナ1のサイズ、及び、輸送対象物であるコイル状物20の大きさや重量に合わせて、適宜変更してもよい。なお、この敷設部材30は比較的長いので、一体物でも、組み立て式の物でもよい。
そして、この敷設部材30は、コイル状物20を載置した組立式架台10の荷重を輸送用コンテナ1の床面2を支える横桁(図示しない)に分散して伝達する役割を持っている上に、組立式架台10を滑って移動させる役割を持っている。さらには、組立式架台10の横方向Yへの移動を規制する役割も持っている。
より詳細には、この長手方向Xに延びて配置されている敷設部材30は、組立式架台10の台座部材11が配置されることにより、コイル状物20を載置した組立式架台10の荷重を受けて、輸送用コンテナ1の床面2の長手方向Xに伝達して、床面2を長手方向Xに所定の間隔を置いて配置されている横桁(図示しない)に荷重を分担支持させる役割を果たす。特に、組立式架台10は横方向Yの中央に配置されるために、床面2の横方向に関して中央部分に荷重が加わることになるので、横桁に荷重を分散することは、構造強度的に重要な役割となる。
それと共に、組立式架台10の台座部材11を敷設部材30の上を滑らせて移動させることにより、組立式架台10の移動を円滑にし、小さい押し込み力や引き出し力で組立式架台10のスムーズな移動を可能にする役割を持つ。これにより、組立式架台10を輸送用コンテナ1の奥側への押し込み作業と、組立式架台10の奥側からの引き出し作業が小さい力で容易となる。
さらに、この敷設部材30は、この敷設部材30の上に組み立てられた組立式架台10の台座部材11の横方向Yへの移動を抑止する役割を果たす。また、輸送用コンテナ1との位置関係で、敷設部材30の横方向Yの輸送用コンテナ1の床面2への配置位置により、組立式架台10の横方向Yの位置決めがなされる。
また、この敷設部材30は、組立式架台10を輸送用コンテナ1の奥側に押し込むときに使用する押し込み用部材60の移動が真っ直ぐ長手方向Xになるように案内する役割も備えている。
そのため、この敷設部材30は、荷重を支持して分散させるために、ある程度の強度と剛性が必要となり、また、組立式架台10が滑り易いように、敷設部材30の底部30aの上面を滑り易い滑面にして形成することが好ましい。そのため、硬くて荷重を分散させ易く、また、滑面とし易い金属材料を用いることが好ましく、一般構造用圧縮鋼材(SS)、アルミニウム合金などの金属材料を用いることが好ましい。
次に、この敷設部材30に嵌合する固定具31について説明する。図18に示すように、この固定具31は、2つの垂直壁31aとそれを結合する接続壁31bとからなり、上から見てH字形状に形成されている。そして、この垂直壁31aの下側に設けられた係合溝31dを、敷設部材30の係合溝30dに嵌め込むことにより、固定具31を敷設部材30に配置する。
この固定具31は、敷設部材30の上で、組立式架台10の長手方向Xの前後2個所(輸送用コンテナ1の手前側と奥側)のそれぞれに固定配置される。敷設部材30の上に配置される組立式架台10が1組のときは、計2個となり、敷設部材30の上に配置される組立式架台10が2組のときは、計4個となり、敷設部材30の上に配置される組立式架台10が3組のときは、計6個となる。
この固定具31は、組立式架台10の組立時と組立式架台10の押し込み時において、敷設部材30に対する組立式架台10の位置を確定するための位置決めの機能を有している。つまり、押し込み工程においては、奥側の固定具31を起点として、組立式架台10の輸送時の前後位置を定めることで、輸送時の組立式架台10の位置を位置決めする。
また、組立式架台10の手前側に設ける固定具31は、組立式架台10が敷設部材30の長手方向Xに移動するのを抑制する機能を有している。つまり、組立式架台10の前後に配置された固定具31、31は、組立式架台10の輸送用コンテナ1の長手方向Xへの移動を抑止する効果を発揮し、固定部材17の外側面17cのコルゲート形状による組立式架台10の長手方向Xへの移動抑止機能を補完する。
また、奥側の固定具31は、図19に示すように、組立式架台10の台座部材11の長手方向Xへの移動を防止するための部材となる。この奥側に配置される固定具31とコイル状物20との隙間に関しては、台座部材11の奥側に隙間埋め部材(チョッキング部材)71A、72Bを固定して配置して、隙間埋め部材71A、72Bをコイル状物20の奥側に当接させることでコイル状物20の奥側への移動を抑制する。この隙間埋め部材71A、72Bをサイズ(特に長手方向Xの長さ)を変えて幾つか用意しておき、この隙間埋め部材71A、72Bの長さを変化させることで、コイル状物20の長手方向Xの長さの変化に簡単に対応することできる。これらの台座部材11の奥側に固定される隙間埋め部材71A、72B等で奥側チョッキング機構70が構成される。
一方、輸送用コンテナ1の輸送時に、手前側に配置される固定具31は、図20に示すように、コイル状物20の長手方向Xへの移動を抑止するための手前側チョッキング機構80に使用される。この固定具31の垂直壁31aが、図20に示すように、コイル状物20の端面に当接する門型形状のスタンド(当接部材)81と、固定具31の垂直壁31aとの間に、隙間埋め部材(チョッキング部材)82を挿入して、コイル状物20の長手方向Xの移動を抑制する。
この固定具31は、敷設部材30に配置され移動抑止効果を発揮するため、ある程度の強度が必要である。そのため、固定具31の材料としては、敷設部材30と同様、一般構造用圧延鋼材(SS)やアルミニウム合金などの金属材料を用いることが好ましい、例えば、市販の250mmのH鋼を用いてもよい。しかしながら、必要に応じて、軽量化のために他の材料を用いてもよい。
また、隙間埋め部材71A、72B、82には、比較的硬い材料で、しかも、現場で長さ調整が切断加工などで簡単にできる材料が好ましく、例えば、廃プラスチック(PP(発泡ポリプロピレン)、PE(発泡ポリエチレン))のリサイクル材や発泡ポリエチレンの発泡倍率が8倍の材料を用いることができる。あるいは、隙間埋め部材71A、72B、82として、幾つかのサイズを用意しておいたり、楔形状の補助材を小さい隙間に対して加えたりしてもよい。
台座部材11は、図2に示すように、コイル状物20の長手方向Xに延びる角柱形状の基部11aとその上に予め設定された間隔(所定の間隔)で配置された第1突起部11bと第2突起部11cと固定用溝11dを有して形成されている。基部11aは、敷設部材30の凹部に挿入されて、かつ、移動できる形状およびサイズで形成されている。長さは、輸送対象物のコイル状物20の長さに応じて、コイル状物20の長さとほぼ同じ長さ、または、それ以上の長さで形成されることが好ましい。また、荷重分散の考え方からは、この台座部材11の長さは、輸送用コンテナ1の床面2を支持する横桁の間隔よりも長く形成することがより好ましい。
前方(X方向)から見ると基部11aの上で、第1突起部11bと第2突起部11cが重なって配置されており、側方(Y方向)から見ると、長尺の板状の基部11aの上に間隔を置いて壁形状の第1突起部11bの対と第2突起部11cの対が交互に配置されて、その後方に固定用溝11dが配置されている。この第1突起部11bの対の間には図5に示すように支持部材14が嵌り、第2突起部11cの対の間には図3に示すように横桁部材13が嵌る。そして、図20に示すように、台座部材11の上に、奥側チョッキング機構70の隙間埋め部材71A、72Bが配置され、固定用溝11dに固定用部材72が嵌められて、台座部材11と隙間埋め部材71Aの長手方向Xのズレの発生を防止する。
この台座部材11は、組立式架台10の幅方向Yの中心位置に配置され、敷設部材30の上に配置され、組立式架台10の組立時の基準となる。また、支持部材14に加わるコイル状物20の荷重を、敷設部材30を介して輸送用コンテナ1の床面2を支持する横桁に分散させる。さらに、組立式架台10の押し込み作業や引き出し作業では、敷設部材30の上を滑る役割もある。つまり、組立式架台10の組立時の基準となる役割と、荷重の分散用部材の役割と移動時の滑り部材の役割を備えている。
そのため、この台座部材11は、滑り易い材料で形成することがより好ましい。この台座部材11の材料としては、例えば、廃プラスチック(PP、PE)のリサイクル材を用いる。この廃プラスチックのリサイクル材は、木材と異なり、滑り易い特性があるため、組立式架台10の輸送用コンテナ1の内部での押し込み作業や引き出し荷役をより容易にスムーズに行うことができるようになる。さらに、この廃プラスチック(PE、PP)のリサイクル材は、金型により様々な形状の製品が成形可能で、その上、木材とほぼ同様の加工が可能である。そして、強度的にも、木材に比べ圧縮荷重に優れており、耐衝撃性、対候性、耐薬品性、コスト面も優れている等、多くのメリットがある材料である。この台座部材11は、型成形品としてもよく、角材などからの切り出し成形品であってもよい。
副台座部材12は、図3に示すように、台座部材11と同様に、コイル状物20の長手方向Xに延びる角柱形状の基部12aとその上に予め設定された間隔(所定の間隔)で配置された第3突起部12bと第4突起部12cを有して形成されている。前方(X方向)から見ると基部12aの上に第3突起部12bと第4突起部12cが重なって配置されており、側方から見ると、長尺の基部12aの上に所定の間隔を置いて壁形状の第3突起部12bの対と第4突起部12cの対が交互に配置されている。この第3突起部12bの対の間には、の支持部材14が裏表で2個嵌り、第4突起部12cの対の間には横桁部材13が嵌る。この副台座部材12の長さは、荷重分散の考え方から、台座部材11の長さとほぼ同じ長さに形成され、副台座部材12の断面形状は、台座部材11の断面形状より幅が狭く形成される。
この副台座部材12は、輸送用コンテナ1の床面2に直接接触して配置され、コイル状物20の荷重を、支持部材14を介して受けて輸送用コンテナ1の床面2の横桁に分散させて伝達する荷重分散の機能を持っている。また、副台座部材12は、長手方向Xから見て台座部材11の両方の側方に左右対称に配置されて、組立式架台10が横方向Yへ傾斜しないように荷重を支持しながら、組立式架台10の押し込み作業や引き出し作業では、輸送用コンテナ1の床面2の上を滑ることで、組立式架台10の移動を円滑にする役割を持つ。これにより、小さい押し込み力や引き出し力で組立式架台10の移動を円滑に行うことができる。その結果、組立式架台10をスムーズに押し込むことが容易となり、また、組立式架台10の引き出し作業も容易となる。
そのため、この副台座部材12は、滑り易い材料で形成することがより好ましい。例えば、この副台座部材12は、台座部材11と同じ材料、つまり、廃プラスチックのリサイクル材で形成することができる。
横桁部材13は、図4に示すように、角柱形状をした部材であり、台座部材11の第2突起部11cの対の間と副台座部材12の第4突起部12cの対の間に配置され、この横桁部材13と台座部材11と副台座部材12により、井桁状に組み立てられる。
この横桁部材13は、組立式架台10を長手方向Xに移動させる場合に、組立式架台10の井桁構造が崩れないようにして、台座部材11と副台座部材12の移動量がずれないようにする役割を果たす。言い換えれば、組立式架台10の押し込み作業及び引き出し作業のときに、台座部材11に加わる長手方向Xの力を副台座部材12に伝達して分散する機能を持っている。
この横桁部材13の材料には、台座部材11と副台座部材12の材料と同じ材料を用いて、組立式架台10の材料の種類の減少を図ることが好ましい。
図3では、組立後の組立式架台10を輸送用コンテナ1の奥側から入口側に引き出すときに使用する引き出し用ベルト40を台座部材11の後方(奥側)と両側方に密着させて前方に引き出して配置している。この引き出し用ベルト40は、図5及び図6に示すように、組立式架台10の組立後は、中央係合凹部14caの側面の隙間を通ることになる。この引き出し用ベルト40としては、市販品のラッシング用のベルトを用いることができる。
支持部材14は、図5及び図6に示すように、コイル状物20の横方向(幅方向)Yに延び、かつ、長手方向Xと交差した方向に配置される部材である。この支持部材14は、横方向Yに関して、載置されるコイル状物20の中心より一方側に配置され、コイル状物20の荷重を支持する荷重支持部14aと、この荷重支持部14aに接続している延長部14bを備えている。
荷重支持部14aは、組立式架台10が組み立てられた状態では、横方向Yに関して、組立式架台10の中心よりも一方側に配置される部分となり、延長部14bは組立式架台10の中心よりも他方側に配置される部分となる。コイル状物20の荷重は主に荷重支持部14aに加わり、延長部14bには殆んど加わらない。
この支持部材14は、図5に示すように、下辺部14c、外辺部14d、上辺部14e、斜辺部14f、中辺部14g、内辺部14hで囲まれた板状の形状をしている。この下辺部14cは、図6に示すように、組立式架台10が組み立てられて、板面14iが鉛直状態となった状態では、下側に配置される部分である。この下辺部14cには、中央係合凹部14caと2つの側方係合凹部14cbが設けられている。
中央係合凹部14caは荷重支持部14aと延長部14bとの接続部分に設けられている。この中央係合凹部14caは、台座部材11の第1突起部11bの対の間に配置されて、台座部材11と係合するための凹部である。また、側方係合凹部14cbは、幅方向(Y方向)に関して、中央係合凹部14caから予め設定された間隔で荷重支持部14aの下側の2個所に設けられている。この側方係合凹部14cbは、副台座部材12の第3突起部12bの対の間に配置されて、副台座部材12と係合するための凹部である。
また、図5に示すように、外側となる部分の外辺部14dは荷重支持部14aに属し、直線状に形成されている。この外辺部14dに連続する上辺部14eは、荷重支持部14aに属し、直線状に形成され、この上辺部14eには、連結部材15の連結用凹部15aが係合する上部係合凹部14eaが設けられている。
そして、この上辺部14eに接続し、コイル状物20に直接的又は間接的に接する凹部形状の斜辺部14fが設けられている。この斜辺部14fは、コイル状物20に接し易いように円弧形状や、楕円形状などの曲線形状に形成することが好ましいが、コイル状物20との間に後述するスペーサ18、19を配置するような場合は折れ線形状や斜め直線形状であってもよい。この斜辺部14fには、連結部材15の連結用凹部15aが係合する斜部係合凹部14faが設けられている。この斜辺部14fに接続して、中辺部14gが設けられており、この中辺部14gと下辺部14cとの間に内辺部14hが設けられている。
1組の組立式架台10に必要な支持部材14の個数は、コイル状物20の重量と長さに関係する偶数個となる。この支持部材14は、コイル状物20の重量を直接支持して、その下側に配置される台座部材11及び敷設部材30と副台座部材12にコイル状物20の重量を伝達して、コイル状物20の重量をこの4つの部材11、30、12、14で支持する。
また、この支持部材14は同じ形状で形成されているが、配置時には、図6に示すように、長手方向Xから見て表側と裏側で左右に配置されて、組み立て後の形状が長手方向Xから見て左右対称な形状になるように配置される。
この支持部材14は、横方向Yに配置され、コイル状物20を固定する役割と共に、コイル状物20の荷重を受けて、台座部材11と副台座部材12に伝達する役割を持つ。この支持部材14は、コイル状物20の荷重を負担するためある程度の強度が必要であるが、比較的大きな部材であるので、軽量化のためには軽い材料で形成されることが望ましい。
この支持部材14の材料としては、軽くしなやかなで割れや欠けが発生し難い素材である、発泡ポリプロピレン(PP)、発泡ポリエチレン(PE)、発泡スチロール(PS)等の発泡素材がより好ましく、そのなかでも、発泡ポリエチレンが好ましい。この発泡ポリエチレンは、硬さに粘りが加わった優れた耐荷重性、高い断熱性、高い耐水性を有し、高い耐衝撃性で衝動・振動を吸収軽減できる。この発泡ポリエチレンは、発泡スチロールと比較して欠けが発生し難く、しなやかで曲げても割れにくい素材である。また、発泡ポリプロピレンは、発泡ポリエチレンに比べて特に耐熱性に優れている。
また、この発泡ポリエチレンは、従来の木材と異なり含水率はほぼゼロであるため、コイルの汗かきによるダメージリスクを軽減できる。その上、非常に軽いので、組立式架台10の大幅な軽量化を図ることができ、組立の部品が軽いので組立作業が容易になり、少人数で可能となる。また、使用後は、焼却処分をしてもよく、あるいは、リサイクルしてもよいという非常に高い環境性能を有している。なお、強度面と軽量化のバランスを考えると、発泡ポリエチレンの中でも、発泡ポリエチレンの発泡倍率20倍のものが好ましい。
連結部材15は、図7に示すように、長手方向Xに延びる角材形状の部材で形成されている。この長尺部材の一方の長辺の間の面において3箇所に予め設定された間隔で、支持部材14の上部係合凹部14ea又は斜部係合凹部14faと係合する連結用凹部15a(ここでは3か所)が設けられている。この連結部材15は全く同じ形状に形成してもよく、別の形状に形成してもよい。この連結部材15は、支持部材14の上側を連結して井桁構造を維持するための機能を有している。この連結部材15は、支持部材14と同じ材料で形成することが好ましい。
この連結部材15を1組の組立式架台10では4個用いる。その4個のうちの2個の連結部材15のそれぞれの3個の連結用凹部15aを、それぞれが対応する支持部材14の上部係合凹部14eaに係合させる。さらに、4個のうちの2個の連結部材15のそれぞれの3個の連結用凹部15aを、支持部材14の斜部係合凹部14faに係合させて、支持部材14を相互に連結する。この連結部材15は、支持部材14の上辺部14e又は斜辺部14fの長手方向Xの位置を固定する部材である。
案内部材16は、図8に示すように、内側面16aと2つの端面16bと外側面16cと上面16dと下面16fとからなる立体である。これらの6面16a、16b、16c、16b、16d、16fは、それぞれ平面形状でその表面は平坦に形成されている。そして、この内側面16aには、支持部材14の外辺部14dと係合する係合溝16aaが上下方向に設けられている。そして、上面16dと下面16fに貫通する軽目穴16eが複数個(ここでは4個)設けられている。また、必要に応じて、持ち運びに便利なように、運搬用溝16g(図8の左側の案内部材16のみに図示)を両方の端面16bに設けることがより好ましい。また、端面16bと外側面16cとの角は丸めて形成して、これにより、輸送用コンテナ1の側壁3の凸部に対して滑り易くすることが好ましい。
この案内部材16の材料としては、軽い材料、例えば、比重が0.04以下、より好ましくは0.03以下の材料を用いることが好ましく、支持部材14の材質と同様に、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡スチロール等の発泡素材を用いることができる。これらのなかでも、発泡ポリエチレンが好ましい。ただし、強度面に関しては、支持部材14の強度よりも弱くした発泡ポリエチレンの発泡倍率が38倍のものが好ましい。発泡倍率を38倍とすることで、発泡倍率20倍の発泡ポリエチレンに比べて、より柔らかく、かつ、収縮性及び復原性に優れた素材にする。
これにより、組立式架台10の押し込み作業及び引き出し作業において、組立式架台10を長手方向Xに移動させる場合に、図13に示すように、案内部材16の外側面16cを輸送用コンテナ1の側壁3の凸部に当接させて、この側壁3の凸部にそって真っ直ぐ移動させて、組立式架台10の移動方向がぶれないようにする。このときに、案内部材16を比較的柔らかい部材とし、角を丸めて形成することで、外側面16cが収縮等の変形し易くする。これにより、組立式架台10が円滑に移動し易くなる。つまり、組立式架台10の移動において、輸送用コンテナ1の側壁3のコルゲート形状の凹凸に対しても案内部材16の外側面16cが負けることでスムーズな押し込み作業及び引き出し作業を実現できるようになる。
固定部材17は、図14に示すように、内側面17aと2つの端面17bと外側面17cと上面17dと下面17fとからなる立体である。この内側面17aには、支持部材14の外辺部14dと係合する係合溝17aaが上下方向に設けられている。そして、上面17dと下面17fに貫通する軽目穴17eが複数個(ここでは4個)設けられている。そして、この固定部材17の外側面17cは、輸送用コンテナ1の側壁3のコルゲート形状の凹凸に嵌合するようにコルゲート形状に形成されている。この点が、案内部材16と形状的に大きく異なる点である。また、必要に応じて、持ち運びに便利なように、運搬用溝17g(図12の左側の固定部材17のみに図示)を両方の端面17bに設けることがより好ましい。なお、この固定部材17の材料としては、案内部材16と同様に、軽い材料、例えば、比重が0.06以下、より好ましくは0.05以下の材料を用いることが好ましいが、案内部材16よりも固い材料で形成するのが好ましく、例えば、発泡ポリエチレンの発泡倍率が20倍のものを用いることができる。
そして、組立式架台10の輸送用コンテナ1の内部での位置決めをした後に、図15に示すように、この固定部材17を案内部材16の上に載せて、案内部材16の上面16dに固定部材17の下面17fを当接させて重ねて二重構造とする。この状態では、この案内部材16の内側面16aは、輸送用コンテナ1の内部の側壁3の凸部に当接する。一方、この固定部材17の内側面17aは、輸送用コンテナ1の内部の側壁3のコルゲート形状の溝(凹部)に嵌って係合する。これにより、この固定部材17は、組立式架台10が輸送用コンテナ1に搬入されたときに、組立式架台10が幅方向Yに加えて長手方向Xに移動しないように固定する役割を果たす。一方、押し込み作業及び引き出し作業のときには、この固定部材17を取り外した状態にすることで、組立式架台10の移動をスムーズに行うことができるようになる。
なお、図15及び図17においては、点線の楕円で示す部分Aにおいては、後述する、図18と図20に示すような固定具31と門型形状のスタンド81と隙間埋め部材71A、71B、82等のチョッキング機構70、80が配置されるが、図の簡便化のために省略している。
また、上記のコンテナによる輸送方法において、図10〜図12に示すように、コイル状物20と組立式架台10との間に隙間が生じる場合、言い換えれば、コイル状物20の外径が組立式架台10の支持部材14の斜辺部14fの内接円の径よりも小さい場合に、この生じた隙間を埋めるために、楔形状スペーサ(ウェッジ・スペーサ)18とシート状スペーサ19を用いる。
この楔形状スペーサ18は、図10に示すように、断面が3角形をした長尺部材であり、楔効果で多様な寸法のコイル状物20と、単一規格で形成される組立式架台10を一体化する。この楔形状スペーサ18の材料としては、支持部材14に対して滑り難く、比較的硬い材料を用いることが好ましく、プラスチックの発泡素材を用いることができる。しかし、比較的大きな隙間を適正に埋めることができればよく、必ずしも、発泡素材の発泡倍率を限定したり、材料を発泡素材に限定したりする必要はない。
この楔形状スペーサ18はコイル状物20と組立式架台10との間の隙間に打ち込まれるような状態になる位置に配置される。これにより、コイル状物20のコイル径に関わらず、即座にバンニング(コンテナに荷物を積み込む作業)が可能となる。また、輸送時の輸送用コンテナ1の動揺によるコイル状物20と組立式架台10の間でズレが発生するのを防止できるようになる。
また、シート状スペーサ19は、図11に示すように、四角形状のシートである。このシート状スペーサ19の材料としては、支持部材14と楔形状スペーサ18に対して滑り難く、コイル状物20に作用する衝撃や加速度を吸収し易い材料を用いることが好ましく、発泡倍率が38倍の発泡ポリエチレンの発泡素材などの材料を用いることができる。このシート状スペーサ19は、コイル状物20を組立式架台10に搭載する際に、組立式架台10とコイル状物20の隙間に敷いて、組立式架台10とコイル状物20の間を埋める部材である。これにより、コイル状物20の外径と組立式架台10の支持部材14の斜辺部14fの内径との差異の調整をシートの厚さを変えることで行うことができる。また、このシート状スペーサ19により、コイル状物20に作用する衝撃や加速度を吸収して、コイル状物20の損傷を防止する。
これらのスペーサ18、19により、図12に示すように、組立式架台10の上に載置したコイル状物20が、組立式架台10の上側の載置面の形状と完全に一致せずに、シート状スペーサ19だけでは、コイル状物20と組立式架台10の間に隙間ができてしまう場合においても、この2種類のスペーサ18、19の組み合わせによりにより、隙間を埋めて、コイル状物20を組立式架台10の斜辺部14fに強固に固定することができる。従って、単一規格の組立式架台10で外径の異なるコイル状物20へ対応が可能となる。
特に、シート状スペーサ19の材料として、発泡素材として、発泡ポリプロピレンを用いた場合には、他の発泡素材と異なり、発泡ポリプロピレンで形成したシート状のスペーサ19は、直角に曲げても折れ破損する恐れがないので、コイル状物20の曲面に沿って曲がる上に、コイル状物20が自重でシート状のスペーサ19に沈み、食い込んでフィットする。そのため、滑り止めも効果と座りの安定度の増加の効果が得られる。従って、このシート状のスペーサ19は、荷作り用の布団代わりに使用でき、隙間埋めとすることで、組立式架台10の上側の凹部の形状に対してサイズ違いのコイル状物20の搭載に、組立式架台10を順応させることができる。
また、楔形状スペーサ18をシート状スペーサ19よりも固く形成することで、楔形状スペーサ18によるコイル状物20と組立式架台10の一体化の効果をより大きくすることができる。
また、図16に示すように、固縛用ベルト51と締め付け用具52と固縛用金具53とからなる固縛用システム50が、組立式架台10の上に載置されたコイル状物20を、輸送用コンテナ1に固縛するために用いられる。この固縛用ベルト51としては、市販のポリエステル製等のラッシングベルトを用いることができる。また、締め付け用具52としては、市販のラチェット、テンショナー(締め機)、ベルト荷締機、ラッシングバックル等を用いることができる。さらに、固縛用金具53は引掛カン(フック)53a、ねじシャックル53b、U字ボルト53c等を備えているが、市販の引掛カン(フック)、ねじシャックル、U字ボルト等を用いることができる。この固縛用金具53のU字ボルト53cは輸送用コンテナ1の床面2の固定部位に予め設けられているか、必要に応じて設ける。
次に、本発明に係る実施の形態のコンテナによる輸送方法について説明する。このコンテナによる輸送方法の積込工程(バンニング工程:コンテナに荷物を積める工程)では、図1に示すように、敷設工程、架台組立工程、輸送対象物搭載工程、奥側位置決め工程、押し込み工程、手前側位置決め工程、固縛工程が行われる。
最初に、敷設部材30の敷設工程では、図2に示すように、輸送用コンテナ1の扉5を開けて、敷設部材30を輸送用コンテナ1の内部に配置する。この敷設工程では、敷設部材30は床面2の上に位置決めして置くだけで、特に固定作業はしなくてもよい。しかし、必要に応じて、敷設部材30を床面2に固定用具を使用しての固定作業を行うことを除外するものではない。
この敷設工程では、1本の敷設部材30が、輸送用コンテナ1の内部において、横方向Yに関して中央に配置される。これにより、コイル状物20の荷重が輸送用コンテナ1の横方向Yに関して中央に加わり、横方向Yに関しての重量バランスが維持できるようになる。なお、通常は、輸送用コンテナ1の1個に対して、1本の敷設部材30で十分であるが、輸送対象物の重量が大きいなどの場合には、輸送用コンテナ1の1個に対して、複数の敷設部材30を用いることもできる。
この敷設部材30の奥側は、輸送用コンテナ1の奥壁4(図22)に当接させて配置することが好ましい。この場合、奥壁4がコルゲート形状の場合には、凸部(規格品のコンテナでは横方向Yの中心は凸部になる)に当接させる。これにより、組立式架台10の押し込み作業時やコンテナ輸送時に、敷設部材30が奥側に移動しようとしても、敷設部材30の奥部30cが奥壁4のコルゲート形状の凸部に平面的に当接しているので、奥側への移動が阻止される。これにより、敷設部材30の移動に起因する奥壁4の損傷の防止や損傷の軽減を図ることができる。なお、組立式架台10の移動が別の規制部材で阻止できると見込まれる場合は、輸送用コンテナ1の奥壁4とは関係なく、奥壁4よりも前の位置に敷設部材30の奥部30cを配置してもよい。
一方、敷設部材30の手前側の位置は、図2に示すように、輸送用コンテナ1の扉5から少し奥に入った位置、言い換えれば、床面2の手前側の端部の近傍の位置とする。これにより、図13に示すように、押し込み工程時において、押し込み用部材60の敷設部材30への配置を容易とする。従って、敷設部材30は、輸送用コンテナ1の床面2の前端の近傍位置から、奥壁4まで配置される。
次の架台組立工程では、図2〜図11に示すように、この敷設部材30の上に、組立式架台10を組み立てる。この架台組立工程では、図11に示すように、案内部材16を組み付けるが、固定部材17が組み付けられていない状態まで組み立てる。
この架台組立工程では、先ず、図2に示すように、台座部材11を敷設部材30の両側の側部30bの間に嵌め込む。これにより、輸送用コンテナ1の輸送時に組立式架台10が長手方向Xには移動できるが、横方向Yにはズレないようにする。言い換えれば、台座部材11の幅を敷設部材30の内側の幅と略同じにして、横方向Yに隙間が殆んど発生しないようにする。
次に、図3に示すように、副台座部材12を床面2の上に予めされた間隔で並べる。この間隔は、支持部材14の中央係合凹部14caと側方係合凹部14cbの間隔に相当する。ここでは、長手方向Xから見て、敷設部材30の両側に副台座部材12を、それぞれ2個ずつ配置する。また、引き出し用ベルト40を台座部材11の前側から後側に、台座部材11の側面に沿わして後端まで延ばす。さらに、後端を巡らせて反対側の側面に沿わして後側から前側に延ばす。これにより、図4に示すように、引き出し用ベルト40の両端が台座部材11の前方に配置された状態となる。
次に、図4に示すように、横桁部材13を配置する。この図4の配置では、2本の横桁部材13が、台座部材11の第2突起部11cの対の間と、4本の副台座部材12の第4突起部12cの対の間に嵌めこまれる。この前後2本の横桁部材13により、長手方向Xに関して、台座部材11と副台座部材12の位置関係が固定される。これにより、井桁構造が完成する。
なお、複数(図4では4個)の副台座部材12を複数(図4では2個)の横桁部材13で連結して、予め一体化してパレット状部材にした上で、組立式架台10に組み立てることもできる。この場合は、副台座部材12を図24に示すような形状にして、楕円のBで示す部分のほぞ切り部に、横から、図25に示すような形状の横桁部材13をスライドで嵌め込む構成とする。これにより、図26に示すように、副台座部材12と横桁部材13を一体化させてパレット状部材にすることができ、横桁部材13を上に持ち上げても副台座部材12も持ち上がり、分解しない。
この場合は、複数の副台座部材12を複数の横桁部材13で連結して平面的に組み立てられたパレット状部材にすることにより、荷役効率を更に高めることが可能となる。つまり、組み立て作業においては、副台座部材12と横桁部材13の連結作業を、輸送用コンテナ1の内部の狭くて作業性が悪い環境下で行うことなく、輸送用コンテナ1の外部の作業性の良い環境下で組み立ててパレット状部材12、13にする。このパレット状部材12、13を、荷役直前にフォークリフトなどで、敷設部材30上の台座部材11の上に設置することで、組立式架台10の組立効率を高めることができる。
次に、図5に示す支持部材14を、図6に示すように、2つ裏表で両方の中央係合凹部14caが重なるように当接して1組にした状態で、台座部材11と副台座部材12の上に立設する。このときに、支持部材14の中央係合凹部14caが台座部材11の第1突起部11bの対の間に配置される。また、支持部材14の側方係合凹部14cbが2個の副台座部材12の第3突起部12bの対の間に配置される。これにより、3組計6個の支持部材14が、長手方向Xに関して間隔を有して、敷設部材30の長手方向Xに配置され、この支持部材14の組の間に横桁部材13がそれぞれ配置されている状態となる。
この支持部材14は、組立式架台10が、組み立てられた状態では、複数(ここでは6個)の支持部材14が、台座部材11(ここでは1個)と、副台座部材12(ここでは2個)と、連結部材15(ここでは2個)と交差する形でそれぞれに係合して立設される。そして、支持部材14は、台座部材11と、副台座部材12と、連結部材15により、長手方向Xの位置を固定されている状態となる。この長手方向Xの間隔に関して、1組の支持部材14の裏表の間では当接した状態で、支持部材14の各組の間隔では、予め設定された等間隔又は不等間隔で支持部材14は配置されている状態となる。
次に、図7に示すように、連結部材15で支持部材14を連結する。外側の2本の連結部材15の連結用凹部15aが支持部材14の上部係合凹部14ea(図5)にそれぞれ嵌め込まれる。また、内側の2本の連結部材15の連結用凹部15aが支持部材14の斜部係合凹部14faにそれぞれ嵌め込まれる。これにより、支持部材14と連結部材15により井桁構造が組まれる。
なお、この連結部材15は、長手方向Xから見て左右の対称位置に配置されるが、その連結部材15の前後方向は、左右で逆に配置される。つまり、長手方向Xから見て右側の前側に支持部材14が表向きに配置される場合には、右側に配置される連結部材15は、それぞれ先端から連結用凹部15aまでの距離が短く、また、左側に配置される連結部材15は、それぞれ先端から連結用凹部15aまでの距離が長くなるように配置される。一方、逆に、長手方向Xから見て左側の前側に支持部材14が表向きに配置される場合には、左側に配置される連結部材15は、それぞれ先端から連結用凹部15aまでの距離が短く、また、右側に配置される連結部材15は、それぞれ先端から連結用凹部15aまでの距離が長くなるように配置される。これにより、長手方向Xに関して左右両側の連結部材15の先端の位置と後端の位置がそれぞれ同じ位置になる。
次に、案内部材16を、図8及び図9に示すように、支持部材14の側方に配置する。この場合には、案内部材16は、支持部材14と輸送用コンテナ1の側壁3の間に嵌め込まれ、案内部材16の下面16fは床面2に当接する。つまり、支持部材14の外辺部14dが案内部材16の係合溝16aaに嵌め込まれ、案内部材16の外側面16cが輸送用コンテナ1の側壁3のコルゲートの形状の凸部に当接するように、案内部材16が組み込まれる。
この案内部材16の組み込みの前後で、コイル状物20の外径と組立式架台10の支持部材14の大きさとの関係で、必要に応じて、図10及び図11に示すように、楔形状スペーサ18とシート状スペーサ19を支持部材14の上に配置する。この楔形状スペーサ18とシート状スペーサ19と案内部材16が組み付けられ、且つ、固定部材17が配置されない状態で、コイル状物20の受け入れ態勢が出来上がったことになる。なお、楔形状スペーサ18とシート状スペーサ19とを予め一体化した部材を用いてもよい。
そして、積込み工程の後半では、輸送対象物搭載工程で、組立式架台10の上にコイル状物20を載置する。その後、奥側位置決め工程で、輸送時の組立式架台10位置決めをし、押し込み工程で、コイル状物20を載置した組立式架台10を、輸送用コンテナ1の輸送時の位置まで押し込んで、手前側位置決め工程で組立式架台10の手前側の位置決めをし、固縛工程で、コイル状物20を固縛用システム50を用いて輸送用コンテナ1に固縛する。
輸送対象物搭載工程では、図12に示すように、その組立式架台10の上にコイル状物20を載置する。輸送用コンテナ1の外部で、フォークリフト(図示しない)などで、コイル状物20の穴部(内径部)にフォーク(爪部)を差し込んで、コイル状物20を持ち上げてから、フォークリフトを前進させて、このコイル状物20を輸送用コンテナ1の内部の組立式架台10の上に移動させる。この移動後に、フォークリフトのフォークを下降させることで、コイル状物20を組立式架台10の上に載置する。コイル状物20が組立式架台10の上に載置された後は、フォークリフトのフォークを少し上昇させて、フォークリフトを後進させて、コイル状物20の穴部(内径部)からフォークを抜く。これにより、輸送対象物搭載工程が終了する。
そして、次の奥側位置決め工程では、固定具31を敷設部材30の定位置に配置する。この奥側の固定具31は組立式架台10の輸送時の位置決めと、組立式架台10の輸送時の奥側への長手方向Xの移動を抑制する役割を果たす。この固定具31の配置は、図18に示すように、敷設部材30の側部30bに予め設けられた係合溝30dに固定具31の係合溝31dに係合して行う。なお、敷設部材30の側部30bに予め設けられた係合溝30dのみで固定具31には係合溝31dを設けることなく、固定具31の垂直壁31aを係合溝30dに係合して係止してもよい。
この固定具31の位置は、予め、この固定具31に組立式架台10(特に台座部材11の後端)が当接した状態で、組立式架台10に固定部材17を組み付けたときに、固定部材17の外側面17cが、輸送用コンテナ1の側壁3のコルゲート形状の凹凸に嵌合するような位置に設定される。
その後、押し込み工程で、コイル状物20を載置した組立式架台10を、図12の輸送用コンテナ1の入口側から、図13の輸送時の位置(奥側の固定具31が設けられている位置)まで押し込む。この押し込み工程では、組立式架台10は敷設部材30の上を滑って移動するので、この移動する前に、組立式架台10の奥側に潤滑材としてグリースまたはシリコンをスプレーして、移動が容易となるようにする。
この組立式架台10の移動状態において、台座部材11は敷設部材30の上を滑り、副台座部材12と支持部材14は床面2の上を滑るので、これらの台座部材11と副台座部材12と支持部材14を滑り易い特性を持つ廃プラスチックのリサイクル材料とすると、この移動が著しく容易となる。
そして、図13の2点鎖線で示すように、角柱形状の押し込み用部材60を敷設部材30の上に配置して、この押し込み用部材60を、輸送用コンテナ1の外部からフォークリフト等を使用して押し込むことで、組立式架台10を敷設部材30の上を滑らせて移動させる。このとき、押し込み用部材60は、その移動方向を敷設部材30に案内された状態で長手方向Xに移動して、組立式架台10を移動させる。そして、この押し込みにより、組立式架台10の端部が奥側の固定具31の位置まで押し込まれると、この押し込み用部材60を、敷設部材30から引き抜いたり、上方に持ち上げたりして敷設部材30から取り外す。これにより、押し込み工程は終了となる。
組立式架台10が輸送時の位置まで押し込まれた後に、手前側位置決め工程で、手前側の固定具31を敷設部材30の定位置に配置する。この手前側の固定具31は組立式架台10の輸送時の位置決めともなるが、組立式架台10の輸送時の手前側への長手方向Xの移動を抑制する役割の方が大きい。この固定具31の配置は、奥側の固定具31の配置と同じで、図18に示すように、敷設部材30の側部30bに予め設けられた係合溝30dに固定具31の係合溝31dに係合して行う。
そして、コイル状物20の奥側では、図19に示すように、台座部材11の奥側の端面に固定具31を当接した状態で、台座部材11の奥側に隙間埋め部材71A、71Bを固定して配置して、隙間埋め部材71A、71Bをコイル状物20の奥側に当接させることでコイル状物20の奥側への長手方向Xの移動を抑制する。これにより、奥側のチョッキング機構70を構成する。
このとき、図19に示すように、台座部材11の固定用溝11dと隙間埋め部材71Aの固定用溝73に固定用部材72を嵌め込んで、隙間埋め部材71Aと台座部材11との間のずれの発生を防止する。また、隙間埋め部材71Aと隙間埋め部材71Bにも固定用溝73を設けて固定用部材72により、隙間埋め部材71Aと隙間埋め部材71Bの間のずれの発生を防止する。
そして、コイル状物20の長さの変化(4巾、5巾等)に対しては、長さの異なる隙間埋め部材(4巾用、5巾用等)71Bを予め用意、または、その場で切断加工して、対応する。特に、この隙間埋め部材71A、71Bとして、図21に示すように、大きさ(特に長さ)の異なる幾つかのサイズの隙間埋め部材71A、71Bを用意しておき、コイル状物20の長さ(身巾)Lbに応じて、この中から最適のサイズの隙間埋め部材71A、71Bを選択できるようにしてことが好ましい。
なお、この固定用部材72は直方体で形成してもよいが、固定用部材72Aのように両側をV字形状に内側に窪ませて形成して、より堅固な連結とすることが好ましい。この場合は、固定用溝11dと固定用溝73の形状も固定用部材72Aの形状に合わせて形成されることになる。
この隙間埋め部材71A、71Bの大きさ、特に上側の隙間埋め部材71Bの長さを変化させることで、コイル状物20の輸送用コンテナ1の長さ方向Xの変化に簡単に対応することできるようになる。
また、図20に示すように、コイル状物20の端面に門型形状のスタンド(当接部材)81を当接するように設けて、この門型形状のスタンド81と固定具31の垂直壁31aとの間に、隙間埋め部材(チョッキング部材)82を挿入して、この手前側チョッキング機構80により、コイル状物20の長手方向Xの移動を抑制する。つまり、固定用具(固定具)31と貨物(コイル状物)20の隙間に、隙間埋め部材82を用いて、隙間を突っ張る、所謂チョッキング作業を行う。なお、図15と図17の楕円で示すAの部分では、この手前側チョッキング機構80を図の簡便化のために省略している。
図21に示すように、このチョッキング機構70、80の隙間埋め部材71B、82の長さを変更することにより、組立式架台10のサイズを変更することなく、長さ(身幅)La、Lb、Lcの異なるコイル状物20に対して、手前側の門型形状のスタンド81の移動量(=隙間埋め部材82の長さの短縮量)ΔSfと奥側の隙間埋め部材71Bの長さの短縮量ΔSaを調整することにより、ある程度まで効率よく対応できる。なお、この図21では、台座部材11では、第1突起部11b及び第2突起部11cの代わりに係合溝11eを設けている。
この手前側位置決め工程の後の固縛工程では、固定部材17を、図14及び図15に示すように、支持部材14の側方で、かつ、案内部材16の上に配置する。この場合には、固定部材17は、支持部材14と輸送用コンテナ1の側壁3の間に嵌め込まれる。つまり、支持部材14の外辺部14dが固定部材17の係合溝17aaに嵌め込まれ、固定部材17の外側面17cの凸部が輸送用コンテナ1の側壁3のコルゲートの形状の凹部に嵌るように、固定部材17が組み込まれる。
次に、図16及び図17に示すように、固縛用ベルト51と締め付け用具52と固縛用金具53とからなる固縛用システム50により、輸送用コンテナ1に固定される。この固縛用システム50では、固縛用ベルト51をコイル状物20の穴部に通すだけで巻回はしない状態で、固縛用ベルト51の先端の固縛用金具53の引掛カン53aで。U字ボルト53cを通したねじシャックル53bを引っ掛ける。この固縛用金具53のU字ボルト53cは予め床面2に止めておく。
そして、この固縛用ベルト51の両端側に設けた2つの締め付け用具52のそれぞれを使用して固縛用ベルト51を締め込んで固縛用ベルト51の張力により、組立式架台10に載置されたコイル状物20を固縛する。この固縛により、コイル状物20が組立式架台10に載置した状態で、輸送用コンテナ1の輸送用の定位置に固定される。
このとき、2つの締め付け用具52を用いて、コイル状物20の両側でそれぞれ固縛用ベルト51に張力を加えることにより、長手方向Xの前後で均等な張力を作用させることが容易にできるようになる。一方のみで引っ張るだけでは、固縛用ベルト51に伸びが生じるために、長手方向Xの前後で均等な張力を作用させることは難しいという問題があるが、固縛用ベルト51を巻回することなく、固縛用ベルト51をコイル状物20の穴部に通すことと、2つの締め付け用具52を用いることでこの問題を解決できる。
つまり、締め付け用具を一つ用いて、固縛用ベルト51のコイル状物20の一方側のみで引っ張るだけでは、固縛用ベルト51に伸びが生じるために、コイル状物20の両側で均等な張力を作用させることは難しいが、2つの締め付け用具52を用いて、コイル状物20の両側でそれぞれ固縛用ベルト51に張力を加えることにより、コイル状物20の両側で固縛用ベルト51に均等な張力を作用させることが容易にできるようになる。
そして、複数のコイル状物20を、一つの輸送用コンテナ1で輸送する場合には、図22に示すように、コイル状物20の数だけ組立式架台10を用意し、架台組立工程から固縛工程を、コイル状物20の数だけ繰り返して、コイル状物20を載置した組立式架台10を敷設部材30の長手方向Xに並べて固定する。この場合に、コイル状物20を載置した組立式架台10のそれぞれは、個別に固定具31、31と固縛用システム50により固定される。
このように、複数のコイル状物20を輸送用コンテナ1の内部に搭載する場合に、組立式架台10の台座部材11が互いに当接しないように配置することで、隣接する組立式架台10、10同士が加速度による移動力を受けないようにすることができる。これにより、一つの輸送用コンテナ1で、複数の組立式架台10を用いて複数のコイル状物20を輸送する場合に、輸送用コンテナ1に長手方向Xの加速度が加わった時でも、それぞれの組立式架台10ごとに固定していることで、輸送用コンテナ1の奥壁4に加わる力が大きくなることを回避できる。
この固縛工程が完了した状態では、コイル状物20と組立式架台10は、長手方向Xに関しての移動は、組立式架台10の前後の固定具31、31と、固定部材17の外側面17cのコルゲート形状の輸送用コンテナ1の側壁3との嵌め合いと、固縛用システム50による固縛とにより止められている。また、自重による組立式架台10と床面2の間の摩擦と、自重による組立式架台10と敷設部材30の間の摩擦も長手方向Xに関しての移動の抑制の効果を発揮している。
また、コイル状物20と組立式架台10は、横方向Yに関しての移動は、組立式架台10の台座部材11が敷設部材30に嵌り込んでいることと、案内部材16の外側面16cと固定部材17の外側面17cの面が輸送用コンテナ1の側壁3との当接と、固縛用システム50による固縛とにより止められている。また、自重による組立式架台10と床面2の間の摩擦と、自重による敷設部材30と床面2の間の摩擦も横方向Yに関しての移動の抑制の効果を発揮している。
また、コイル状物20と組立式架台10は、横傾斜や横揺れに関しての回転は、組立式架台10の両側に配置された案内部材16の床面2と側壁3との当接と、固定部材17の側壁3との当接と、固縛用システム50による固縛とにより止められている。このとき、固定部材17を案内部材16の上に配置しているので、コイル状物20と組立式架台10の重心高さに近い高さで固定部材17を側壁3に当接させているので、より効果が大きくなっている。
そして、コイル状物20の跳ね上がりは、自重と固縛用システム50により防止する。このコイル状物20の重量は、直接的には、支持部材14に加わるが、下側の台座部材11と敷設部材30、副台座部材12に伝達されて、輸送用コンテナ1の床面2の横桁に分散して伝達される。そのため、コイル状物20の重量を分散させることができ、輸送用コンテナ1の床面2のダメージを防止できる。また、敷設部材30と副台座部材12の幅、支持部材14の板厚や個数を増加させることで、容易に、輸送用コンテナ1の床面2に接触する面における単位面積当たりの荷重を小さくすることができる。
この固縛工程が完了すると、輸送工程に移行する。図1に示すように、この輸送工程には、陸上輸送工程用、船積み工程、海上輸送工程、陸揚げ工程、陸上輸送工程などがある。この陸上輸送工程では、トラック、鉄道などの移動手段を使用して、輸送用コンテナ1を発送地から積出港に移動する。また、積出港では、船積み工程で、輸送用コンテナ1をコンテナ船等の船舶に積み込む。そして船舶の航行により、目的地の最寄りの目的港に移動する。
そして、目的港では、陸揚げ工程で、輸送用コンテナ1をコンテナ船等の船舶から陸上げする。その後、陸上輸送工程で、トラック、鉄道などの移動手段を使用して、輸送用コンテナ1を目的港から目的地に移動する。輸送用コンテナ1のこれらの移動と船積み、陸揚げなどは周知のコンテナの移動方法と同じである。これにより、コイル状物20を発送地から目的地に輸送する。
次に、目的地における積み降ろし工程(デバンニング工程:コンテナから荷物を取り出す工程)について説明する。この積み降し工程では、固縛解除工程と、係止具解除工程、引き出し工程、輸送対象物降し工程、架台分解工程、後処理工程とが行われる。
最初の固縛解除工程では、最初に輸送用コンテナ1の扉5を開いて、図17(固定具31の図示は省略)に示す状態から、輸送用コンテナ1における輸送時の位置で、締め付け用具52を緩めて、固縛用ベルト51を解いて、コイル状物20の固縛を解除する。また、固定部材17を上側に抜いて、組立式架台10の長手方向Xの束縛を無くす。
さらに、手前側の固定具31と手前側チョッキング機構80を取り外す。これにより、図13に示すように(但し、押し込み用部材60が無い状態)、コイル状物20を載置した状態の組立式架台10を移動できる状態にする。
この引き出し工程では、組立式架台10は敷設部材30の上を滑って移動するので、この移動する前に、組立式架台10の手前側(前方)の敷設部材30の凹部に潤滑材としてグリースまたはシリコンをスプレーして、移動が容易となるようにする。そして、引き出し用ベルト40の先端部分を、外部の引張具(図示しない)に接続して、この引張具を、フォークリフトや車両や外部のウインチ等により、引き出しことにより、組立式架台10を敷設部材30の上を滑らせて移動させる。この移動により、組立式架台10を輸送用コンテナ1の輸送時の位置から入口側に引き出す。
この引き出し工程が終了して、図14に示すように、組立式架台10が入口側に引き出されると、輸送対象物降し工程で、コイル状物20を組立式架台10から持ち上げて輸送用コンテナ1から取り出す。より詳細には、フォークリフトを前進させて、コイル状物20の穴部(内径部)にフォークを差し込んでから、フォークを少し上昇させる。これにより、コイル状物20を組立式架台10から取り外す。次に、フォークリフトを後進させて、コイル状物20を輸送用コンテナ1の内部から取り出す。そして、コイル状物20を予め設定された所定の場所に移動させる。この輸送対象物降し工程で、により、コイル状物20の輸送は完了する。
この輸送対象物降し工程の後、架台分解工程が行われる。この架台分解工程では、架台組立工程と逆順で、図11の状態からシート状スペーサ19を取り除いて、図10の状態とする。この図10の状態から楔状スペーサ18を取り除いて図9の状態とする。さらに、この図9の状態から案内部材16を上側に抜いて図7の状態にする。その後、連結部材15を取り外して図6の状態とする。また、支持部材14を取り除いて図4の状態とする。さらに、横桁部材13を上方に抜いて図3の状態とする。そして、台座部材11と副台座部材12と引き出し用ベルト40に分解する。この台座部材11を取り除いて図2の状態とする。なお、上記の分解の適当な時期に、奥側チョッキング機構70と奥側の固定具31を取り外す。これにより、架台分解工程が終了する。
また、固縛の解除や組立式架台10の分解においては、図27に示すように、組立式架台10の他の部材14〜19や固縛作業で使用する用具51〜53などを纏める回収兼保管ケース90を別途用意して、組立式架台10の部材14〜19や用具51〜53を、この回収兼保管ケース90に入れる。この回収兼保管ケース90は袋状であっても、比較的剛性のある容器であってもよい。
この回収兼保管ケース90をパレット状部材12、13に固縛して、このパレット状部材12、13をフォークリフトで輸送用コンテナ1の外部に取り出すことにより、組立式架台10の部材14〜19や用具51〜53の保管、管理、移動をより効率的に行うことができるようになる。また、パレット状部材12、13の順組み立て状態での保管ができない場合には、横桁部材13は、副台座部材12から簡単に着脱できるので、副台座部材12と横桁部材13を分解して保管することも容易にできる。
特に、回収兼保管ケース90が直方体の形状になる場合には、図28に示すように、この回収兼保管ケース90の保管や返送時の輸送用コンテナ1への収納が容易となる上、多くのセットのバンニング部材・用具を一括して、一つの輸送用コンテナ1で輸送できるようになる。
この架台分解工程が終了すると、後始末工程で、敷設部材30を輸送用コンテナ1から撤去して、輸送用コンテナ1の内部を清掃して綺麗にする。その一方で、組立式架台10の分解した各部材を処理する。この処理は状況に応じて、各部材を纏めて、例えば、図28に示すように、20組〜30組など多数(図では20組)の回収兼保管ケース90とバンニング用の用具を、輸送用コンテナ1に入れて、発送地に送り返して再利用したり、目的地で焼却処分やリサイクル処分したりする。そして、一連のコンテナの輸送作業を終了とする。
これにより、組立式架台10の一部又は全部の部材11〜17と、コイル状物20の輸送用コンテナ1への固縛作業で使用する用具51〜53等を纏めて入れた回収兼保管ケース90を、単数で又は複数個まとめて、輸送用コンテナ1に入れて、コイル状物20の発送地に返送することができる。これにより、コンパクトにまとめた状態で、組立式架台10の部材11〜17とバンニング作業に必要な用具51〜53を発送地に送ることができるので、これらの輸送コストを減少でき、リサイクルすることで、コイル状物20の輸送費用をよりコストダウンできる。
なお、上記の組立式架台10の組立では、井桁構造などでは、長手方向Xに、台座部材11、副台座部材12、連結部材15を配置し、横方向Yに横桁部材13と支持部材14を配置して、直交状態の井桁構造としている。しかし、これらが交差する角度は90度(degree)、即ち、直交させることが好ましいが、必ずしも、これに限定されず、組み立てられた状態で、強度を確保できればよく、この交差する角度は45度以上で90度以下としてもよい。
また、支持部材14と連結部材15の結合部分の凹部の形状や、支持部材14に係合する案内部材16と固定部材17の相互の結合部分の溝の形状は、角部に生じる応力を分散させて応力集中を回避するために、角形状から円形とすることが好ましい。これにより、結合部分からのクラックが発生することを予防することができる。
なお、輸送用コンテナ1の床面2と面一になる平面を持つ台車を用いる場合は、以下のようになる。この場合の輸送対象物搭載工程では、敷設部材30に台車上の敷設部材を接続して、この台車の敷設部材の上で組立式架台10を組み立てて、クレーンやフォークリフトにより、コイル状物20を組立式架台10上に搭載する。このコイル状物20を搭載した組立式架台10を、台車上の敷設部材から輸送用コンテナ1の内部の敷設部材30に移動する。一方、輸送対象物降し工程においては、敷設部材30に台車上の敷設部材を接続して、コイル状物20が載置された組立式架台10をこの台車の敷設部材の上に一旦移動させてから、クレーンやフォークリフトにより、コイル状物20を吊上げる。
また、輸送用コンテナ1の内部に搭載するコイル状物20の個数は、1個に限定されず、コイル状物20の重量と寸法と、輸送用コンテナ1の大きさの関係で、2個以上であってもよい。この場合は、図22の中段と下段に示すように、一本の敷設部材30の上に、組立式架台10を並べる。
このとき、組立式架台10の台座部材11は互いに当接することなく、組立式架台10毎に、固定具31(及びチョッキング機構70、80)と固定部材17と固縛用システム50によって長手方向Xに関して固定され、長手方向Xの移動を防止される。つまり、隣接する組立式架台10同士が加速度による移動力を受けないようにする。これにより、複数の組立式架台10を長手方向Xに配置した場合に、輸送用コンテナ1に長手方向Xの加速度が加わった時でも、それぞれの組立式架台10ごとに固定していることで、輸送用コンテナ1の奥壁4に加わる力が大きくなることを回避できる。
また、組立式架台10において、下側に配置される台座部材11、副台座部材12を滑り易く、また、比較的強度の高い材料で形成し、上側に配置される支持部材14、連結部材15を比較的強度が低いが、軽量である材料で形成し、側方に配置される案内部材16、固定部材17を圧縮性と復原性が高く、比較的強度が低いが、軽量である材料で形成することが好ましい。また、隙間埋め材71A、71B、82は比較的強度が高く,加工し易い材料で形成することが好ましい。これによりコイル状物20のバンニングに使用する材料の重量の増加が少なくて済む。
例えば、下側に配置される部材11、12、13を比較的強度がある廃プラチックのリサイクル材で形成し、上側に配置される部材14、15を軽量な発泡倍率20倍の発泡ポリエチレンで形成し、側方に配置される部材16、17をより軽量な発泡倍率38倍の発泡ポリエチレンで形成する。
この場合は、発泡ポリエチレンを多量に使用しているので、大幅な軽量化が図れる上に、優れた耐荷重性(硬さ+粘り)、高い断熱性・耐水性、高い耐衝撃性で衝動・振動を吸収軽減できる。また、従来技術のバンニングで使用された木材と異なり、発泡ポリエチレンは、含水率がほぼゼロであるため、優れた防水・耐水性を発揮し、輸送中に結露して、コイル状物20が汗かきによるダメージを受ける等のリスクを著しく軽減することができ、ウエットダメージを回避できる、更に、発泡ポリエチレンは、焼却処分の規制無い上に、廃プラチックのリサイクル材として使用する等のリサイクルも可能であり、安全に焼却が可能で環境に優しいという高い環境性能を持っている。
本発明のコンテナによる輸送方法で使用する組立式架台10は、軽い部材(軽量キット)による組立で形成できるので、熟練者でなくても簡単に組立式架台10を組み立てることができる。また、組立式架台10をキット化することにより組み立て前の在庫スペースの極少化できる。つまり、荷役負荷の軽減、作業の効率化、軽量素材による安全な作業を実現することができる。例えば、作業未経験者の場合でも、慣れれば作業員2名で3分程度で組立式架台10を組立することができる。なお、従来技術の木枠組みによる固定の場合では、作業員2名で約1時間程度(含む:角材の採寸、切り出し)となった例もある。
また、上記のコンテナによる輸送方法において、標準の組立式架台を一つ以上の予め設定した標準のコイル状物の寸法に合わせて構成して、標準の組立式架台を組み立てるのに必要な寸法の支持部材14を標準の支持部材と規格化すると、次のような効果をさらに得ることができる。
この標準の組立式架台を用いる方法によれば、標準の組立式架台とすることにより、パターンキット化ができるので、コイル状物20の寸法が入手できる前に幾つかのパターンで標準の組立式架台の部材を用意しておくことで、つまり、標準のコイル状物毎に、パターンキット(標準化された組み立て材料一式及びその組み立てに必要な道具一式)を予め製作して在庫しておくことで、迅速に標準のコイル状物を載置できる標準の組立式架台を用意できる。
さらに、標準のコイル状物と寸法が多少異なるコイル状物に対しても、また、突然の輸送需要に対しても、柔軟かつ迅速に対応できて、このコイル状物20を載置できる標準の組立式架台を用意できる。
コイル状物20の外径が標準のコイル状物よりも小さい場合は、組立式架台10とコイル状物20との間にスペーサ18、19を敷くことにより、従来方式で実施されている固定及び固縛ができ、コイル状物20と標準の組立式架台とを一体化して、コイル状物20を堅固に固定することができる。
コイル状物20の外径が標準のコイル状物よりも大きい場合は、図23の下側に示す標準の組立て方に対して、図23の上側に示すように、組立式架台10の支持部材14の中央係合凹部14caの切欠きを内辺部14h側に拡張すると共に、支持部材14を標準の位置よりも横方向Yに広げて配置する。つまり、組立式架台10が左右一対の支持部材14を備えて、この一対の支持部材14で、コイル状物20の荷重を直接又は間接で受けるように構成すると共に、組立式架台10において、輸送用コンテナ1の幅方向に関しての支持部材14、14の配置位置を拡縮可能に構成する。そして、これらの支持部材14の上に、シート状スペーサ19を敷くことにより、支持部材14とコイル状物20との間の隙間を埋める。これにより、コイル状物20の外径が大きい場合は、支持部材14を標準の位置よりも横方向Yに広げて配置することで簡単に対応できるようになるので、大径のコイル状物20に容易に対応できるようになる。
このとき、支持部材14の外辺部14dと係合する側の、案内部材16の係合溝16aaと固定部材17の係合溝17aaの深さを広げた分だけ大きくする必要があるが、支持部材14を広げて配置するときに切り取ってもよく、予め深く形成しておき、通常時は詰め物をしておいて、この詰め物を必要に応じて取り除く構成としてもよい。この場合に、詰め物の材料を支持部材14の材料よりも柔らかい材料、押し込みに負け易い材料、例えば、支持部材14の材料が、発泡倍率20倍の発泡ポリエステルであれば、詰め物の材料を発泡倍率38倍の発泡ポリエステルとする。
このコンテナによる輸送方法によれば、様々な寸法と重量のコイル状物20を輸送用コンテナ1で輸送する際に、より広範囲のコイル状物20に対応するためには、組立式架台10における支持部材14の寸法や個数、台座部材11と副台座部材12、横桁部材13、連結部材15の寸法や個数を変更することで、容易かつ柔軟に対応することができる。
このパターンキット化とスペーサ18、19の使用と支持部材14の配置の仕方により、コイル状物20の寸法にぴったり合わせて支持部材14を切り出したり、成形したりする必要が無くなるので、コイル状物20の寸法を入手してからの作業時間(リードタイム)を著しく短縮できる。
そして、本発明の実施の形態のコンテナによる海上輸送方法では、上記のコンテナによる輸送方法を用いて、輸送用コンテナ1を船舶に搭載してコイル状物20を海上輸送する。この方法によれば、コイル状物20を載置した組立式架台10を輸送用コンテナ1に固定し、且つ、コイル状物20を固縛した状態で輸送用コンテナ1を輸送するので、輸送時の輸送用コンテナ1の上下移動や前後運動に伴う荷役によって生じる輸送用コンテナ1への衝撃力を組立式架台10で吸収することができる。また、輸送用コンテナ1の床面2に加わる荷重、及び、衝撃荷重を、組立式架台10の各部材の寸法と配置個数(設置面積)の増加により容易に分散できるので、荷役中に輸送用コンテナ1の床面2を損傷させることを防止できる。
更に、船舶による海上輸送では、船舶は荒天時には大きく揺れて、輸送用コンテナ1には、陸上輸送で発生する横力よりも遥かに大きい横力が発生する場合があるが、これらの横力に関しても、コイル状物20に発生する横力を組立式架台10、特に案内部材16と固定部材17で分散して輸送用コンテナ1に負担させることができ、しかも、支持部材14による台座部材11、副台座部材12への荷重伝達、及び、台座部材11、副台座部材12、支持部材14による輸送用コンテナ1の床面2との接触面積の増加により、容易に輸送用コンテナ1への荷重を分散できるので、輸送中に輸送用コンテナ1を痛めることがなくなる。
その上、コイル状物20を一方通行で輸送する場合であっても、容易に、立体的な組立式架台10を平面部材に分解できるので、容易に梱包して返送することも、輸送先において廃棄処分したり、リサイクルしたりすることも、容易かつ簡単にできるようになる。
次に、実験結果について説明する。引き出し力に関しては、9t(トン)のコイル状物20であっても、6t型のフォークリフトで引き出しが可能であった。また、グリースまたはシリコンを敷設部材30にスプレーすることで、9tのコイル状物20の引き出しに必要な張力を700kgf〜900kgfに軽減できた。
また、耐衝撃性のテストとして、垂直方向の衝撃テストで、輸送用コンテナ1へ加えた加速度(最大垂直加速度:35G)に対して、コイル状物20の最大垂直加速度は6Gとなり、約30Gの加速度が組立式架台10によって吸収され、コイル状物20では移動も損傷もない状態であった。また、輸送用コンテナ1を搭載した車両で時速30km/hからのブレーキングテスト(水平加速度4G〜8Gをインジケータの表示で確認)をしたが、この場合でも、コイル状物20は移動もせず、損傷もない状態であった。