JP6768264B2 - 工作機械の案内機構および工作機械 - Google Patents
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Description
例えば、ワークを載置するテーブルの支持構造あるいは工具を装着するヘッドの支持構造には、三次元移動を可能とするために、X軸、Y軸、Z軸の各軸に沿った直線移動機構が採用される。また、テーブルあるいはヘッドの向きを変えるために、回転移動機構が採用される。
このような案内機構では、案内精度が高いこと、つまり直線運動はなるべく直線に、回転運動はなるべく真円に、という幾何学的精度が求められる。さらに、案内機構においては、高負荷容量で、低摩擦であり、減衰性能(吸振性能)が高いことが求められる。
油静圧案内機構では、一対の摺動面のうち一方に静圧室を形成し、この静圧室に潤滑油を供給し、その静圧により他方の摺動面との間で荷重伝達を行う。つまり、一対の摺動面には潤滑油が介在するだけであり、一対の摺動面どうしは非接触状態となるので、摺動抵抗を大幅に低減できる。
すべり案内機構は、それぞれ平滑に形成された一対の摺動面の間に潤滑油を供給しつつ、各々を摺動させるものである。一対の摺動面は、潤滑油による潤滑がなされるものの、相互に固体接触が維持される。
ただし、油静圧案内機構は、油膜で浮上する構造上、減衰性能には限界がある。また、油膜を形成するための潤滑油を供給する供給装置と、潤滑油を回収する回収装置が必要である。とくに、従来の油静圧案内機構では、潤滑油を用いる関係から、空気を用いる空気静圧軸受のように外気に排出することができない。このため、静圧室に供給された潤滑油が、外周縁から案内機構の外部へ排出される構造とされる。とくに、油静圧案内機構では、排出される潤滑油の量がすべり案内に比べて膨大な量となるため、潤滑油を回収し、供給装置に戻す回収装置が必要である。従って、案内機構に付随する装置構成や配管類が複雑にならざるを得ない。
しかし、従来のすべり案内機構を、単純に油静圧案内機構に置換しても、前述のような特長の相違により、所期の性能が得られない可能性がある。
しかし、従来の油静圧案内機構では、その構造上、静圧室に供給された潤滑油が、外周縁から摺動構造の外部へと排出されることになる。
従って、すべり案内機構と油静圧案内機構とを併用した場合、外部に排出された潤滑油が、回収できずに溢れ出す可能性があり、溢れ出した潤滑油がすべり案内機構に達し、好ましくない影響を及ぼす可能性がある。
この密閉式の油静圧案内機構では、外周をシールして油静圧構造を密閉するとともに、従来は周囲から外部に排出していた潤滑油を全て回収して循環させる。従って、この密閉式の油静圧案内機構では、油静圧式の案内機構でありながら、潤滑油が外部へ溢れ出すことが防止できる。
具体的に、本発明の工作機械の案内機構は、以下のような構成を備える。
従って、油静圧案内機構とすべり案内機構とを併設しても、油静圧案内機構から溢れ出した潤滑油が、すべり案内機構に好ましくない影響(異種の潤滑油が混合する等)を及ぼす可能性を解消できる。
潤滑油は、供給経路から供給され、静圧室内を流通しつつ静圧を発生し、静圧室から回収経路へと回収される。
流通式の油静圧構造において、回収経路から回収された潤滑油を、供給経路に再利用することで、循環式の油静圧構造とすることができる。
本発明において、供給経路および回収経路は、相対移動する2部材自体に形成された通路や、これらに接続された配管を利用することができる。これらの供給経路および回収経路には、それぞれ潤滑油を駆動するポンプ、潤滑油を貯留するタンクなどを接続することができ、その途中に潤滑油の圧力や流量などの状態を検知する計器等を設置してもよい。
なお、回収経路においては、外部から密閉される配管に限らず、外気開放された経路、例えば樋などの従来の油静圧案内機構に利用されていた回収経路を用いることもできる。
なお、案内部材と移動部材との移動は相対的であり、例えば移動部材が工作機械に固定的に設置され、この移動部材に対して案内部材が移動するものでもよい。
このような本発明では、供給経路からの潤滑油が静圧室の外周側に供給され、供給された潤滑油は静圧室を中心向きに流通し、静圧室の中心部に接続された回収経路から回収される。
このような潤滑油の中心回収を行うことで、油静圧案内機構としての潤滑油の流量を低減することができる。
これに対し、本発明では、中心回収を行うために、圧力保持部は回収用の開口周辺に形成すればよく、その周長は格段に短くて済む。このため、潤滑油の流量を大幅に低減させることができ、潤滑油の供給装置、供給経路および回収経路を小型化、簡素化することができる。
つまり、油静圧案内機構およびすべり案内機構が、案内部材の案内面を共用するので、各機構にそれぞれ案内面を準備する構造に比べて簡略化することができ、移動機構全体として小型化することができる。
本発明において、油静圧案内機構の主要な構造(油静圧構造を形成する静圧室など)およびすべり案内機構の主要な構造(給油溝など)は、基本的に何れも移動部材側に設置すればよい。ただし、これらのうち何れか一方を案内部材側に設置してもよい。
さらに、互いに相対移動する2部材としては、軸受部材とこの軸受部材に軸支されて回転する回転軸と、であってもよい。
同じ構成で、回転軸側に静圧案内機構、すべり案内機構を組み込むこともできる。この場合、軸受側からロータリジョイントを介して回転側に、油静圧案内機構用の潤滑油およびすべり案内機構用の潤滑油を供給する等の構成を採用することができる。
なお、本発明はラジアル軸受に適用することもできる。この場合、回転軸の外周面と軸受の内周面との間に、油静圧案内機構およびすべり案内機構を曲面状に形成することになる。
この際、静圧室内の潤滑油は、供給経路から静圧室に供給され、静圧室内において案内部材からの荷重を支持するとともに、静圧室の外周側から内側向きに移動し、中心部の回収経路から全量が回収される。
そして、静圧室の外周においては、静圧室を包囲するシール部により、潤滑油はシール部よりも外側へ漏れ出すことがなく、これにより密閉式の油静圧案内機構を形成することができる。
静圧室においては、静圧室に同心円状の等圧溝を形成して静圧室を内側と外側とに区画し、内側を圧力保持部(ランド)とし、外側を静圧室本体(リセス)とすることができる。内側の圧力保持部と外側の静圧室本体とが同じ深さでも、これらより深い等圧溝を形成することで、内側の圧力保持部によって静圧室本体における圧力保持効果を生じさせることができる。これにより、静圧室本体において、潤滑油の静圧による荷重負担を行うことができ、油静圧案内構造としての機能を得ることができる。
静圧室の平面形状は、例えば円形、楕円形あるいは長円形とすることができ、正方形や長方形などの矩形あるいは他の多角形状としてもよい。矩形や多角形とする場合も、各々の頂点は円弧状などとし、角張った部分を丸めることが望ましい。
シール部材としては、静圧室の底面と対向する案内部材の案内面とにそれぞれ密接することでシール性を確保するものが好ましく、静圧室の深さより高さが大きなエラストマ素材による成形品などが利用できる。例えば耐油性のOリング等も利用可能であるが、静圧室内の高圧に対応できかつ潤滑油の漏出を防止できるように、適宜リップシール等を追加することも有効である。
シール部の平面形状は、静圧室の輪郭に沿った形状とすればよく、静圧室に準じた円形、矩形あるいは他の形状とすることができる。
供給経路は、静圧室の回収経路よりも外周側に連通されていればよく、静圧室の外周近傍あるいはシール部のシール溝の内側などに連通させてもよい。この際、供給経路はシール溝の任意の位置に連通されていればよいが、周方向にむらができないように、シール部の複数箇所に連通させてもよい。
このようにすべり案内機構の潤滑油と油静圧案内機構の潤滑油とを同じものとすれば、油静圧案内機構から潤滑油の漏れ出しが生じて互いに混じることがあっても、同じ潤滑油なので問題が生じない。
例えば、外周をシールされているため、油静圧案内機構からの潤滑油の漏れ出しは僅かであり、すべり案内機構における潤滑油の混合の問題は十分許容できる。一方、油静圧案内機構は外周をシールされているため、すべり案内機構から漏れ出した潤滑油が油静圧案内機構の潤滑油に混合することが抑制される。
さらに、油静圧案内機構から油静圧用の潤滑油が漏れ出し、すべり案内機構の潤滑油に混合しても、すべり案内機構から排出される潤滑油は廃棄されることが一般的であり、問題はない。
なお、油静圧案内機構に供給された大量の潤滑油は回収経路から回収され、例えば供給タンクに戻され、静圧室から外部に漏れ出すことを防止されるが、すべり案内機構に供給された潤滑油は、少量であるため、供給タンクに回収する等はせず、別タンクに回収して廃棄するようにしてよい。
さらに、工作機械の内部のすべり案内機構およびその両端の油静圧案内機構が、同じ案内部材を共用するように配置することもでき、このような共用により案内機構の構造を簡略化することができ、工作機械全体として小型化することができる。
そして、すべり案内機構を有する既存の工作機械に、油静圧案内機構を追加することで、油静圧すべり併用式の案内機構を簡単に実現することができ、その結果、高負荷容量で、低摩擦であり、かつ案内精度が高く、減衰性能が高い工作機械の案内機構を提供することができる。
このような本発明では、前述した本発明の油静圧案内機構で述べた通りの効果を得ることができ、工作機械全体としての有効性を高めることができる。
図1から図6には、本発明に基づく第1実施形態が示されている。
図1において、工作機械10は、X軸方向に延びる基台11を有し、基台11にはテーブル12が支持されている。基台11を挟んで両側には一対のコラム13が設置され、各々の上端にはY軸方向に延びるクロスバー14が設置されている。クロスバー14にはヘッド15が支持され、ヘッド15にはZ軸方向(鉛直方向)に延びるラム16が装着されている。
工作機械10においては、テーブル12をX軸方向に移動させるとともに、ヘッド15をY軸方向に、ラム16をZ軸方向に、それぞれ移動させることで、ワーク19に対してツール18を三次元で相対移動させることができ、これによりワーク19に任意の形状を加工することができる。
これらのX軸移動機構21、Y軸移動機構22、Z軸移動機構23は、それぞれ移動部分(基台11に対するテーブル12など)を移動可能に支持するとともに、これらを所定の移動方向へ案内する案内機構と、移動部分を外部コマンドに基づいて駆動するモータ等を含む駆動機構を備えている。
ヘッド15に形成された第1の溝部151は、クロスバー14の第1のレール141に係合され、X軸方向の位置規制とともに、荷重支持する第2のレール142を中心としてヘッド15が自重により傾くことを規制している。
第2の溝部152の内側には、第2のレール142をX軸方向に挟む第3および第4の移動部材31C,31Dと、第2のレール142をZ軸方向に挟む第5および第6の移動部材31E,31Fが設置されている。これら第3〜第6の移動部材31C〜31Fは、第1のレール141を案内部材として、各々の間に本発明に基づく第3〜第6の案内機構30C〜30Fを構成する。
図3において、案内機構30(第1〜第6の案内機構30A〜30F、図2参照)は、互いに相対移動する移動部材31(移動部材31A〜31F、図2参照)および案内部材である第1および第2のレール141,142を有する。
移動部材31の両端には、第1および第2のレール141,142に対向する側に一段高い部分が形成され、その表面が平滑な平滑面49および摺動面51とされている。また、移動部材31は、自身の厚み方向と直交する方向に一対の側面を有する。
第1および第2のレール141,142は、移動部材31に対向する側の表面が、全長にわたって平滑な案内面39とされている。
この際、平滑面49と案内面39との間には、油静圧案内機構40が形成され、摺動面51と案内面39との間には、すべり案内機構50が形成される。
なお、油静圧案内機構40の外側の平滑面49を、摺動面51より低く切り下げ、案内面39に接触しない逃げ面としてもよい。
供給配管63の途中には、通過する潤滑油を濾過するフィルタ65と、同潤滑油を加圧するポンプ62とが設置されている。
図3および図4において、潤滑油供給装置60は、潤滑油を貯留するタンク69と、タンク69とすべり案内機構50とを接続する供給配管66を有する。
供給配管66の途中には、通過する潤滑油を濾過するフィルタ68と、同潤滑油を適量ずつ間欠的に圧送するポンプ67とが設置されている。
ただし、すべり案内機構50での潤滑油の使用量は、油静圧案内機構40よりも十分に少なく、かつ供給が間欠的である。このような供給条件の相違に対応するために、すべり案内機構50への潤滑油供給経路と、油静圧案内機構40への潤滑油供給経路とは、完全に別系統とされている。
以下、本実施形態の油静圧案内機構40およびすべり案内機構50について説明する。
図4および図5にも示すように、本実施形態において、油静圧案内機構40の平滑面49とすべり案内機構50の摺動面51とは連続した平面である。
すなわち、すべり案内機構50が形成される摺動面51の延長部分に、静圧室41などの構造を形成し、案内部材である第1および第2のレール141,142を対向させて案内面39で覆うことで、油静圧案内機構40が形成される。
静圧室41は、図3および図5では凹部として表されているが、案内機構30として組み立てられた際に、第1および第2のレール141,142の案内面39によって覆われて閉じた空間となる。
供給経路43には、前述した潤滑油供給装置60の供給配管63が接続され、この供給配管63を通して、加圧された潤滑油が静圧室41内に供給される。
回収経路44には、前述した潤滑油供給装置60の回収配管64が接続され、この回収配管64を通して静圧室41からの潤滑油が回収される。
静圧室41の底面は、環状溝411を境に、内側部分412と、外側部分413とに区画されている。外側部分413の一部には、環状溝411からシール部42に至る径方向の連通溝414が形成されている。
この際、静圧室41内の潤滑油は、その静圧により案内面39を浮上支持し、これにより油静圧案内機構40としての機能が得られる。
一方、静圧室41内の潤滑油は、回収経路44から全量回収される。さらに、静圧室41の周囲がシール部42でシールされているため、潤滑油が外部に漏れ出すことが防止される。
さらに、内側部分412と外側部分413とは、同じ高さに設定されている。つまり、内側部分412における静圧室41の深さ(平滑面49に対する)は、外側部分413における深さと同じである。
ただし、内側部分412と外側部分413との間には、環状溝411が形成され、この環状溝411は連通溝414でシール溝421に連通されている。このため、外側部分413においては、連通孔431を通して供給される供給経路43からの潤滑油の圧力と同一の圧力に保持される。
つまり、内側部分412の外側(環状溝411に面した領域)では、外側部分413と同じ圧力であるが、内側に向けて流れるに従って漸次圧力が下がり、回収経路44の連通孔441に至ると大気圧程度となる。
さらに、静圧室41内の潤滑油による静圧支持が、外周側にあって静圧室41のうち主に面積が大きい外側部分413で行われることになり、受圧領域面積を拡大できるとともに、流入したての高圧の潤滑油による効率的な静圧支持を行うことができる。
図4において、すべり案内機構50は、平滑な摺動面51を有する。摺動面51には、縦横に連続した給油溝52が形成されている。
図6にも示すように、給油溝52には給油経路53が連通され、給油経路53には、前述した潤滑油供給装置60の供給配管66が接続されている。
ここで、すべり案内機構50では、給油経路53に供給された潤滑油が、給油溝52により摺動面51の各部へと拡散されることで、摺動面51と案内面39との間の摺動抵抗および摩耗を軽減することができる。
また、すべり案内機構50と油静圧案内機構40とで同じ潤滑油を用いるため、別体のタンク61,69ではなく、同じタンクを共用することもできる。
以上に述べた第1実施形態によれば、油静圧案内機構40およびすべり案内機構50の説明で個々に述べた効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態において、油静圧案内機構40は密閉式の油静圧案内機構であり、外周をシール部42でシールされるとともに、潤滑油は供給経路43から供給され、回収経路44から回収され、タンク61に循環される。
さらに、油静圧案内機構40とすべり案内機構50とを併設しても、油静圧案内機構40から溢れ出した潤滑油が、すべり案内機構50に好ましくない影響を及ぼす可能性を解消できる。
つまり、油静圧案内機構40およびすべり案内機構50が、案内部材である第1および第2のレール141,142の案内面39を共用するので、各機構にそれぞれ案内面を準備する構造に比べて簡略化することができ、案内機構30全体として小型化することができる。
図7および図8には、本発明に含まれない第2実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と同様な工作機械10に、本発明に基づく案内機構30を設置したものである。
本実施形態において、工作機械10、案内機構30、油静圧案内機構40およびすべり案内機構50の基本構成は共通であり、重複する説明は省略するとともに、相違する構成について、以下に説明する。
なお、本実施形態において、内側部分412の深さは前述した第1実施形態と同様な数十ミクロン程度であり、外側部分413の深さは、内側部分412よりも深い。
これに対し、本実施形態では、タンク61が共用され、油静圧案内機構40への供給配管63およびすべり案内機構50への供給配管66は同じタンク61に接続されている。
図9および図10には、本発明に基づく第3実施形態が示されている。
前述した第1実施形態および第2実施形態では、移動部材31の両端の表面に連続して摺動面51および平滑面49を設け、油静圧案内機構40およびすべり案内機構50を隣接して設置していた。
これに対し、本実施形態では、油静圧案内機構40およびすべり案内機構50が別体の部材に形成されている。
一方、移動部材31の両端には、ブロック状の補助移動部材48が設置され、この補助移動部材48に油静圧案内機構40が形成されている。
補助移動部材48の平滑面49は、移動部材31の摺動面51と同一面に配置されている。
補助移動部材48の平滑面49には静圧室41、シール部42が形成され、補助移動部材48の内部には供給経路43および回収経路44が形成されている。
これらの静圧室41、シール部42、供給経路43および回収経路44により、第1実施形態あるいは第2実施形態と同様な油静圧案内機構40が形成されている。
図11および図12には、本発明に基づく第4実施形態が示されている。
図11において、本実施形態の工作機械10Sは、第1実施形態の工作機械10(図1参照)と同様に、主軸ヘッド15の上部に第1の溝部151Sを有し、第1の溝部151Sはクロスバー14の第1のレール141Sに係合されている。また、主軸ヘッド15の下部に第2の溝部152を有し、第2の溝部152はクロスバー14の第2のレール142に係合されている。
荷重支持用の案内機構30T(案内機構30CT,30DT,30ET,30FT)は、前述した第1実施形態の案内機構30(案内機構30C,30D,30E,30F)と同様な配置とされている。
これに対し、本実施形態の案内機構30Tにおいては、案内機構30CT,30DT,30ET,30FTが、それぞれの移動部材31CT,31DT,31ET,31FTに、すべり案内機構50のみを備えている。
このようなすべり案内機構50のみを備えた移動部材31CT,31DT,31ET,31FTとしては、前述した第3実施形態における移動部材31(図9参照)と同様な構成とすればよい。
本実施形態において、案内機構30Sは、移動部材31Sに油静圧案内機構40のみを有する。
ただし、第1実施形態の案内機構30Aが、移動部材31Aに油静圧案内機構40およびすべり案内機構50を備えていたのに対し、本実施形態の案内機構30ASでは、移動部材31ASにはすべり案内機構50のみを備えている。
図13において、移動部材31Sは、両側の一段高い部分の表面が平滑面49とされ、それぞれには油静圧案内機構40が2セット形成されている。
油静圧案内機構40の各々の構成は、第1実施形態と同様であり、重複する説明は省略する。
このような案内機構30Sでは、移動部材31Sに計4セットの油静圧案内機構40を有し、案内部材である第1のレール141Sとの間で大荷重を負担することができる。
なお、本発明は、前述した各実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形等は本発明に含まれる。
例えば、各部に設置する油静圧案内機構40の数や配置、寸法などは、実施にあたって適宜設定することができる。例えば、ひとつの案内機構30に、複数の油静圧案内機構40を並列配置してもよい。
ただし、すべり案内機構50として潤滑油の供給が必要なければ、このようなすべり案内機構50への給油機能を省略してもよい。例えば、油静圧案内機構40から漏れ出す潤滑油の量が、すべり案内機構50で必要な潤滑油量に相当する場合、油静圧案内機構40のシール部42の一部から潤滑油を流出させ、これをすべり案内機構50に供給するようにしてもよい。
図14に示すように、荷重支持用の案内機構30Wは、テーブル12の下面に案内部材31Wを有し、この案内部材31Wは、基台11の上面を案内面39Wとしている。また、移動方向規制用の案内機構30Gは、テーブル12の下面に形成された凸部の両側に一対の案内部材31Gを有し、これらの案内部材31Gは、基台11に形成された凹溝の一対の内側面を案内面39Gとしている。
一方、移動方向規制用の案内機構30Gは、前述したテーブル12やワーク19の重量に比べてずっと大きな切削力を水平方向に受けることがあり、すべり案内機構50では許容面圧を超えてしまう。このため、移動方向規制用の案内機構30Gには、油静圧案内機構40を用いることにより、高負荷への対応が可能となる。
このように、荷重受け用の案内機構30Wあるいは移動方向規制用の案内機構30Gなど、各部案内機構の要求条件に応じて油静圧案内機構40およびすべり案内機構50を使い分けるようにしてもよい。
本発明が適用される工作機械は、前述した工作機械10に限らず、本発明は、相対移動する2部材を有する様々な工作機械に適用することができる。
Claims (7)
- 互いに相対移動する2部材を有する工作機械の案内機構であって、
前記2部材の間には、油静圧案内機構およびすべり案内機構が形成され、
前記油静圧案内機構は、外周をシールされた静圧室と、前記静圧室に潤滑油を供給する供給経路と、前記静圧室から潤滑油を回収する回収経路と、を有し、
前記静圧室は、環状溝を境に内側部分と外側部分とに区画され、前記外側部分の一部に前記環状溝から前記外周に至る径方向の連通溝が形成され、
前記供給経路は、前記静圧室の外周側に潤滑油を供給し、
前記回収経路は、前記静圧室の中心部から潤滑油を回収し、
前記外側部分は、前記連通溝を通して供給される前記供給経路からの潤滑油の圧力と同一の圧力に保持されることを特徴とする工作機械の案内機構。 - 請求項1に記載した工作機械の案内機構において、
前記相対移動する2部材として、案内部材と前記案内部材に沿って相対移動可能な移動部材とを有し、
前記案内部材は、平滑な案内面を有し、
前記油静圧案内機構および前記すべり案内機構は、前記移動部材と前記案内面との間に形成されて前記案内面を共用していることを特徴とする工作機械の案内機構。 - 請求項2に記載した工作機械の案内機構において、
前記移動部材は、前記案内面に対向する前記静圧室と、前記静圧室を包囲するシール部とを有し、
前記静圧室と前記案内面とにより前記油静圧案内機構が形成されていることを特徴とする工作機械の案内機構。 - 請求項2または請求項3に記載した工作機械の案内機構において、
前記移動部材は、前記案内面に対向する摺動面と、前記摺動面に形成された給油溝とを有し、
前記摺動面と前記案内面とにより前記すべり案内機構が形成されることを特徴とする工作機械の案内機構。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載した工作機械の案内機構において、
前記すべり案内機構は、前記工作機械の内部に設置され、前記油静圧案内機構は、前記すべり案内機構の両端に固定されていることを特徴とする工作機械の案内機構。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載した工作機械の案内機構を備えていることを特徴とする工作機械。
- 請求項6に記載した工作機械において、
固定側部材に対して水平方向に移動可能な移動側部材を有し、前記固定側部材と前記移動側部材との間には、水平方向に延びる荷重支持用案内機構と、前記荷重支持用案内機構を中心とした傾きに対抗する傾き防止用案内機構とを有することを特徴とする工作機械。
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