JP7059209B2 - 水力機械の軸受装置及び水力機械 - Google Patents

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Description

本発明の実施の形態は、水力機械の軸受装置及びこれを備える水力機械に関する。
立軸水車発電機を構成する水力機械の回転子は、流体潤滑式のスラスト軸受装置によって回転可能に支持される場合がある。図20は、流体潤滑式のスラスト軸受装置の一例として、ティルティング静止板型の一般的なスラスト軸受装置の子午断面図を示している。
図20において、符号101は回転軸を示す。回転軸101には、頂部に回転軸101を通した状態の有頂筒状のスラストカラー2が取り付けられ、スラストカラー2の下部には、回転軸101の回転がスラストカラー2を介して伝わることで回転軸101と一体に回転する環状の回転板3が設けられている。スラスト軸受装置は、潤滑油を貯留する油槽8と、油槽8の内部に設けられるスラスト側静止板4、スプリング6および固定板7と、を備えている。スラストカラー2の下部及び回転板3は、油槽8の内部に配置され、潤滑油に浸漬されている。
スラスト側静止板4は、回転板3の下方において、回転軸101の周囲に間隔を空けて配置され、スラスト側静止板4の上面と回転板3の下面とは、軸方向に隙間を空けて互いに向き合っている。図21は、スラスト側静止板4を軸方向で見た図であり、本例では、スラスト側静止板4が扇形状に形成されている。
スラスト側静止板4は、油槽8の内部でティルティング可能(傾転可能)に支持されるベース板部4Aと、ベース板部4Aの上面に設けられた表面層4Bとを有し、表面層4Bの上面は滑り面をなし、回転軸101の回転時に回転板3を滑り移動可能に支持する。
表面層4Bは、ホワイトメタル等の軸受合金、熱可塑性高分子組成物のポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称す)又はこれらの材料を母材としてガラス繊維などの無機繊維及び/又はカーボンをさらに含む複合材料等から形成されてもよい。ベース板部4Aは、通常、表面層4Bとは異なる材料から形成され、表面層4Bよりも高剛性及び高強度の金属材料から形成される。
ベース板部4Aは、複数のスプリング6を介して油槽8の底部に固定された固定板7に支持され、これにより、スラスト側静止板4はスプリング6の伸縮によってティルティング可能となる。なお、スプリング6に代えて、固定板7から立ち上がるピボットと呼ばれる部品が用いられてもよい。この場合、ベース板部4Aは、その下面でピボットの上部と接触し、接触点を中心にティルティング可能とされる。
また、図中の符号9は、回転軸101のラジアル方向荷重を支持するために設けられたラジアル側静止板9を示している。このラジアル側静止板9も回転軸101の周囲に間隔を空けて複数設けられている。ラジアル側静止板9もスラスト側静止板4と同様に、二層構造で形成されてもよい。
図22は、回転軸101を支持した際のスラスト側静止板4を径方向の外側から見た様子と、その際に回転板3とスラスト側静止板4との間に生じる圧力分布を表したグラフとを併せて示した図である。
以上のような構成を備えるスラスト軸受装置では、回転軸101の回転に伴いスラストカラー2が回転すると、図22に示すように、スラスト側静止板4と回転板3との間に油膜10が形成される。この際、矢印Rで示す回転方向でスラスト側静止板4の下流側の部分と回転板3との間の隙間が上流側よりも狭くなるように傾斜し、スラスト側静止板4と回転板3との間にくさび状の隙間が形成され、油膜10もくさび状をなす。このようなくさび状の隙間は、例えば回転方向に並ぶスプリング6の弾性力を、回転方向の上流側と下流側とで異ならせることで形成され得る。
そして、上述のようにくさび状となったスラスト側静止板4と回転板3との間の油膜10には、回転方向の下流側の油膜圧力が上流側よりも大きくなるような圧力分布PDが発生し、回転子の荷重を支持するための圧力が発生する。これにより、回転板3は油膜10を介してスラスト側静止板4に支持される。この際のスラスト側静止板4の傾きは、油膜10の圧力分布PDによるモーメントとスプリング6からの反力によるモーメントとが釣り合うことに応じ、自動的に調整される。
特開昭62-24023号公報
ところで、大容量の水車発電機ではスラスト軸受装置にかかる荷重が大きくなるため、単位面積当たりの荷重(面圧)が大きくなり、それに伴い摩擦損失も大きくなる。このような摩擦損失は、静止板の構造の改良や表面の改良により低減され得る。
しかしながら、高面圧で荷重を受ける場合には、図22に示される回転板3とスラスト側静止板4との間の隙間hのような隙間が小さくなり、回転軸側と静止板側との接触が生じ易くなる虞がある。
例えば水車発電機において突発的な負荷変動が生じた場合、上述したようなスラスト軸受装置では、スラスト側静止板4が受ける荷重も突発的に大きくなり、図22の二点鎖線で示すように表面層4Bが凹む場合がある。このような凹みが生じた場合には、回転板3とスラスト側静止板4との間の隙間における圧力が低下し、回転板3とスラスト側静止板4とが接近する状況が生じ得る。そのため、表面の改良等により摩擦損失が抑制されたとしても、高面圧で荷重を受けて回転板3とスラスト側静止板4との間の隙間が比較的小さくなるような場合には、回転板3とスラスト側静止板4とが接触し易くなる虞がある。
本発明が解決しようとする課題は、静止板(軸受部分)と回転側の部分とが接触するリスクを低減できる水力機械の軸受装置及び水力機械を提供することである。
上記課題を解決するために、実施形態にかかる水力機械の軸受装置は、回転子を潤滑流体を介して回転可能に支持する水力機械の軸受装置であって、前記回転子の回転軸の径方向外側に取り付けられる筒状の回転部材から前記回転軸の軸方向に離間して前記回転軸の周囲に複数設けられ、前記回転部材から伝わる前記回転子の荷重を支持する静止板を備える。前記静止板は、ベース板部と、前記ベース板部の前記回転部材側を向く面に設けられる表面層とを有する。前記表面層は、前記回転部材側を向く面および前記ベース板部側を向く面のうちの少なくともいずれか一方の面に窪み部を有し、前記窪み部は、前記回転軸の回転方向で下流側に位置する。
また、上記課題を解決するために、他の実施形態にかかる水力機械の軸受装置は、回転子を潤滑流体を介して回転可能に支持する水力機械の軸受装置であって、静止板を備える。前記静止板は、前記回転子の回転軸の径方向外側に取り付けられる筒状の回転部材から前記回転軸の軸方向に離間して、前記回転軸の周囲に複数設けられ、前記回転部材から伝わる前記回転子の荷重を支持する。前記静止板は、その前記回転部材側を向く面に窪み部を有し、前記窪み部は、前記回転軸の回転方向で下流側に位置する。前記窪み部の少なくとも一部は、前記回転軸の回転方向で下流側に開放しておらず、前記窪み部は、前記回転軸の径方向に長尺状に延びている。
さらに、上記課題を解決するために、実施形態にかかる水力機械は、前記水力機械の軸受装置を備える。
本発明によれば、静止板(軸受部分)と回転側の部分とが接触するリスクを低減できる。
第1の実施の形態にかかる軸受装置及びこの軸受装置によってその回転軸が支持される水力機械の概略的な子午断面図である。 図1のII―II線に沿う、図1に示す軸受装置のスラスト側静止板の断面図と、回転軸側に設けられる回転板とスラスト側静止板との間に生じる圧力分布を表したグラフとを併せて示した図である。 第2の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の断面図である。 第3の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の平面図である。 図4のV-V線に沿う、図4に示す軸受装置のスラスト側静止板の断面図と、回転軸側に設けられる回転板とスラスト側静止板との間に生じる圧力分布を表したグラフとを併せて示した図である。 第4の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の断面図である。 第5の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の平面図である。 第6の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の断面図である。 第7の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の平面図である。 図9のX-X線に沿う断面図である。 第8の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の平面図である。 図11のXII-XII線に沿う断面図である。 第9の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の平面図である。 図13のXIV-XIV線に沿う断面図である。 第10の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の平面図である。 第11の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の平面図である。 第12の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の平面図である。 図17のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。 第13の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板の平面図である。 一般的なスラスト軸受装置の概略的な子午断面図である。 図20に示したスラスト軸受装置のスラスト側静止板を軸方向で見た図である。 図20に示したスラスト軸受装置が回転軸を支持した際のスラスト側静止板を径方向の外側から見た様子と、回転軸側に設けられる回転板とスラスト側静止板との間に生じる圧力分布を表したグラフとを併せて示した図である。
以下に、添付の図面を参照して各実施の形態を詳細に説明する。なお、各実施の形態の構成部分のうちの、図20に示した一般的な軸受装置の構成部分と同様のものには同一の符号が示されている。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる水力機械の軸受装置1及び軸受装置1によってその回転子の回転軸101が支持される水力機械100の概略的な子午断面図である。本実施の形態にかかる軸受装置1は、立軸水車発電機を構成する水力機械100の回転子の回転軸101を回転自在に支持するティルティング静止板型のスラスト軸受装置である。回転軸101は、水車のランナー200に水車主軸201を介して接続されており、これにより、回転軸101は、ランナー200の回転に伴い、その回転軸線Aを中心に回転するようになっている。
実施の形態の説明では、単に軸方向と言う場合、その方向は、回転軸101の回転軸線A上の方向又は回転軸線Aに平行な方向のことを意味する。また、単に径方向と言う場合、その方向は、回転軸線Aに対して直交する方向を意味する。
回転軸101には、頂部に回転軸101を通した状態の有頂筒状のスラストカラー2が取り付けられる。スラストカラー2は、頂部に回転軸101の外周面を固定し、回転軸101と同軸状に且つ回転軸101の径方向外側に位置している。スラストカラー2の下部には、回転軸101の回転がスラストカラー2を介して伝わることで回転軸101と一体に回転する環状の回転板3が設けられる。回転板3の下面は軸方向で下側を向いており、平坦面として形成されている。
本実施の形態に係る軸受装置1は、潤滑流体としての潤滑油を貯留する油槽8と、油槽8の内部に設けられるスラスト側静止板4、スプリング6、及び固定板7と、を備えている。スラストカラー2の下部及び回転板3は、油槽8の内部に配置され、潤滑油に浸漬されている。スラスト側静止板4は、スラストカラー2及び回転板3から伝わる回転子の荷重を潤滑油を介して支持する。なお、スラスト側静止板4は、水を介して回転子の荷重を支持してもよく、この場合、油槽8に相当する水が貯留される。この際の油槽に対応する部分は、潤滑流体槽と称してもよい。
スラスト側静止板4は、回転板3の下方において、回転軸101の周囲に間隔を空けて複数配置されている。スラスト側静止板4の上面と回転板3の下面とは、軸方向に隙間を空けて互いに向き合っている。スラスト側静止板4は、図21で示した例と同様に、平面視で扇形状に形成されている。本実施の形態におけるスラスト側静止板4は回転板3を介してスラストカラー2の下部に対向するが、回転板3を設けずにスラストカラー2の下部に直接的に対向していてもよい。
スラスト側静止板4は、油槽8の内部でティルティング可能(傾転可能)に支持されるベース板部4Aと、ベース板部4Aの上面、すなわちスラストカラー2側を向く面に設けられた表面層4Bとを有し、表面層4Bの上面は滑り面をなし、回転軸101の回転時に回転板3を滑り移動可能に支持する。
表面層4Bは、ホワイトメタル等の軸受合金、熱可塑性高分子組成物のポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称す)又はこれらの材料を母材としてガラス繊維などの無機繊維及び/又はカーボンをさらに含む複合材料により形成されてもよい。ベース板部4Aは、表面層4Bとは異なる材料から形成され、表面層4Bよりも高剛性及び/又は高強度の金属材料から形成されている。本実施の形態では、ベース板部4Aのヤング率が、表面層4Bのヤング率よりも高くなっている。なお、ベース板部4Aは、樹脂を含む材料から形成されてもよい。
ベース板部4Aは、複数のスプリング6を介して油槽8の底部に固定された固定板7に支持され、これにより、スラスト側静止板4はスプリング6の伸縮によってティルティング可能になる。なお、スプリング6に代えて、固定板7から立ち上がるピボットと呼ばれる部品が用いられてもよい。
また、軸受装置1は、回転軸101のラジアル方向荷重を支持するために設けられたラジアル側静止板9をさらに備える。このラジアル側静止板9も回転軸101の周囲に間隔を空けて複数設けられており、スラスト側静止板4と同様に二層構造で形成されてもよい。
図2は、図1のII-II線に沿うスラスト側静止板4の断面図と、スラスト側静止板4が回転軸101を支持した際、回転軸101側に設けられる回転板3とスラスト側静止板4との間に生じる圧力分布を表したグラフとを併せて示す。図2に示すように、本実施の形態における表面層4Bは、そのスラストカラー2(回転板3)側を向く上面に下面側に窪んだ窪み部40を有しており、窪み部40は、回転軸101の回転方向で下流側に位置する。窪み部40は、表面層4Bにおける厚さが一定の部分よりもその厚さが小さくなっている部分のことである。
ここで、「窪み部40は、回転軸101の回転方向で下流側に位置する」という状態とは、図2に示すように、回転軸101の回転方向における窪み部40の中央Ccが、回転軸101の回転方向における表面層4Bの中央Csよりも、回転方向で下流側に位置することを意味する。
本実施の形態では、ベース板部4Aの上下面が平坦面として形成され、互いに平行であり、表面層4Bの下面も平坦面である。したがって、ベース板部4Aの厚さは一定で、表面層4Bの厚さは、窪み部40が形成される位置において部分的に周囲よりも小さくなっている。この例では、ベース板部4Aの厚さに対する表面層4Bの厚さの比は、回転軸101の回転方向で下流側に向かうにしたがい小さくなり、ベース板部4Aの厚さに対する表面層4Bの厚さの比の極小値は、回転方向における表面層4Bの下流側の位置に生じる。回転方向における表面層4Bの下流側の位置とは、回転方向における表面層4Bの中央Csよりも下流側の位置のことを意味する。
図2に示すように、回転軸101の回転に伴いスラストカラー2が回転すると、スラスト側静止板4と回転板3との間に油膜10が形成される。この際、スラスト側静止板4は、矢印Rで示す回転方向でスラスト側静止板4の下流側の部分と回転板3との間の隙間が上流側よりも狭くなるように傾斜し、スラスト側静止板4と回転板3との間にくさび状の隙間が形成される。くさび状となった回転板3とスラスト側静止板4との間の油膜10には、定常状態において、回転方向の下流側の油膜圧力が上流側よりも大きくなるような圧力分布PDが発生し、この圧力によって、回転板3は油膜10を介してスラスト側静止板4に支持される。
本実施の形態では、窪み部40が、圧力分布PDにおける油膜圧力が高い位置に対応して設けられており、詳しくは、圧力分布PDにおける油膜圧力の少なくともピークに対応する位置に設けられている。窪み部40は、その深さが、圧力分布PD上の油膜圧力のピークに対応する位置に近づくにしたがい深くなるように形成され、最深となった後に、その深さが次第に大きくなる。ここで、圧力分布PD上の油膜圧力のピークに対応する位置において、窪み部40の深さが最深となっていてもよい。
本実施の形態では、回転軸101の回転方向における窪み部40の幅が比較的大きく設定されている。具体的に窪み部40は、圧力分布PDにおいてピークの1/3以上1/2以下となる位置に対応して回転方向におけるその両端部が位置するように形成される。なお、回転軸101の回転方向における窪み部40の幅は特に限られるものではなく、例えば圧力分布PDにおけるピークの周辺のみに対応して設けられてもよい。
また本実施の形態では、一つの窪み部40が比較的広い範囲に設けられるが、窪み部40は複数の領域に分割されてもよい。
本実施の形態の作用について説明する。回転軸101の回転に伴いスラストカラー2が回転すると、スラスト側静止板4と回転板3との間に油膜10が形成され、この際、スラスト側静止板4と回転板3との間にくさび状の隙間が形成される。くさび状となった回転板3とスラスト側静止板4との間の油膜10には、図2に示したように、回転方向の下流側の油膜圧力が上流側よりも大きくなるような圧力分布PDが発生する。圧力分布PDにおいては、回転方向の下流側に油膜圧力のピークが生じ、スラスト側静止板4はピークにおいて最も大きい反力を発生させ、回転板3は油膜10を介してスラスト側静止板4に支持される。
このような回転軸101の回転中に、スラスト側静止板4に伝わる回転子からの荷重が大きくなった場合、スラスト側静止板4と回転板3との間の油膜10の油膜圧力は上昇し得る。そして、油膜圧力が上昇した際には、表面層4Bの上面が変形しようとする。ここで、本実施の形態では、表面層4Bの上面に予め窪み部40が設けられているため、表面層4Bの変形が抑制される。そのため、油膜圧力の上昇に伴う表面層4Bの上面の大幅な変形によりスラスト側静止板4と回転板との間の油膜10の油膜圧力が低下することが抑制され、スラスト側静止板4と回転板3とが接近することが抑制される。
よって、本実施の形態によれば、スラスト側静止板4(軸受部分)と回転側の部分である回転板3とが接触するリスクを低減できる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について図3を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図3に示すように、本実施の形態では、表面層4Bがそのベース板部4A側を向く下面に上面側に窪んだ窪み部40を有しており、窪み部40は、回転軸101の回転方向で下流側に位置している。
また、ベース板部4Aは、窪み部40に入り込み、その厚さが部分的に大きくなっている。すなわち、本実施の形態では、表面層4Bの上面とベース板部4Aの下面とが平坦面として形成され、互いに平行であり、表面層4Bの下面には窪み部40があり、ベース板部4Aの上面には隆起部がある。したがって、スラスト側静止板4では、表面層4Bの厚さが、窪み部40が形成される位置において部分的に周囲よりも小さくなるとともに、ベース板部4Aの厚さが、窪み部40が形成される位置において部分的に周囲よりも大きくなっている。
本実施の形態の作用について説明する。本実施の形態では、圧力分布PDにおける油膜圧力が高い位置に対応して表面層4Bの下面に設けられた窪み部40により、表面層4Bの厚さが小さくなるとともに、ベース板部4Aの厚さが、窪み部40が形成される位置において大きくなる。一方で、第1の実施の形態で説明した通り、ベース板部4Aは、表面層4Bよりも高剛性及び/又は高強度の例えば金属材料から形成されている。これにより、スラスト側静止板4における窪み部40が位置する部分での剛性が向上する。その結果、油膜圧力の上昇に伴う表面層4Bの上面の大幅な変形によってスラスト側静止板4と回転板3との間の油膜10の油膜圧力が低下することが抑制され、スラスト側静止板4と回転板3とが接近することが抑制される。
よって、本実施の形態によっても、スラスト側静止板4(軸受部分)と回転側の部分である回転板3とが接触するリスクを低減できる。なお、本実施の形態における窪み部40も、圧力分布PDにおける油膜圧力がピークの1/3以上となる範囲内に対応させて設けることが好ましい。ただし、窪み部40は回転方向の下流側にある限り、その形成位置は特に限られるものではない。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について図4及び図5を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図4は、第3の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の平面図である。図5は、図4のV-V線に沿うスラスト側静止板4の断面図と、回転板3とスラスト側静止板4との間に生じる圧力分布を表したグラフとを併せて示した図である。図4及び図5に示すように、本実施の形態では、窪み部40が表面層4Bの上面に設けられ、回転軸101(図1参照)の径方向に長尺状に延びるように形成されている。
なお、窪み部40が径方向に長尺状に延びるように形成される状態とは、窪み部40の長手方向が径方向に概ね沿う状態を意味する。ただし、窪み部40が径方向に対して傾斜する場合には、窪み部40の長手方向が径方向に対して30度以下の角度をなすように形成されることが望ましい。
また、図4に示すように、窪み部40の少なくとも一部は、回転軸101の回転方向で下流側に開放していない、より具体的には、本実施の形態における窪み部40は全体的に、回転軸101の回転方向で下流側に開放していない。言い換えると、表面層4Bには、回転方向で窪み部40の下流側に位置して、窪み部40の最深位置に対して立ち上がり、窪み部40の全体を下流側に開放させないように構成される下流側縁部41が設けられている。
また、図5に示すように、本実施の形態における窪み部40は、その深さが回転方向で下流側に向かうにしたがい大きくなるように形成され、最深位置がその下流端に位置する。ただし、このような窪み部40の断面形状は特に限定されるものではなく、例えばステップ形状であってもよいし、湾曲状であってもよい。
また、図5には回転板3とスラスト側静止板4との間に生じる圧力分布を表したグラフが示され、二点鎖線は、定常状態における圧力分布PDを示している。本実施の形態では、窪み部40が、回転軸101の回転方向で、圧力分布PDのピークに対応する位置よりも下流側に設けられ、スラスト側静止板4の回転方向下流端に近接している。詳細は後述するが、本実施の形態における窪み部40は第1の実施の形態で説明した油膜圧力の上昇に伴う表面層4Bの変形抑制機能を有する一方で、回転子の荷重が突発的に大きくなった際に、回転子を引き離す方向へ向けて瞬間的に且つ局所的に立ち上がる圧力上昇を引き起こす機能も有している。このような圧力上昇は、窪み部40が回転板3に極力近い部分に設けられる程、大きい値を取り易くなる。そのため、窪み部40はスラスト側静止板4の回転方向下流端に近接しているが、その位置は特に限られるものではない。
ただし、上述の圧力上昇を引き起こし易くすることを考慮すると、図4に示すように、回転軸101の回転方向におけるスラスト側静止板4の寸法をYとした場合に、窪み部40は、スラスト側静止板4の下流端から(1/4)・Y以下の範囲内に形成されることが好ましい。
本実施の形態の作用について説明する。まず、本実施の形態においても、回転軸101の回転に伴いスラストカラー2が回転すると、スラスト側静止板4と回転板3との間に油膜10が形成される。この際、くさび状となった回転板3とスラスト側静止板4との間の油膜10には、回転方向の下流側の油膜圧力が上流側よりも大きくなるような圧力分布PDが発生する。そして、回転板3が油膜10を介してスラスト側静止板4に支持される。
このような回転軸101の回転中に、スラスト側静止板4に伝わる回転子からの荷重が大きくなった場合、スラスト側静止板4と回転板3との間の油膜10の油膜圧力が上昇し得る。ここで、本実施の形態では、表面層4Bの上面に予め窪み部40が設けられているため、表面層4Bの変形が抑制される。そのため、油膜圧力の上昇に伴う表面層4Bの上面の大幅な変形によってスラスト側静止板4と回転板3との間の油膜10の油膜圧力が低下することが抑制され、スラスト側静止板4と回転板3とが接近することが抑制される。
一方で、スラスト側静止板4に伝わる回転子からの荷重が突発的に大きくなるような場合には、本実施の形態では、窪み部40に潤滑油が入り込んで下流側縁部41によって下流側への流出が堰き止められる。これにより、図5に示すように、窪み部40と回転板3との間に、瞬間的に且つ局所的に圧力P’が立ち上がり、圧力上昇が生じる。このとき、圧力P’による回転モーメントがスラスト側静止板4に加わり、スラスト側静止板4の傾斜が小さくなるようにスラスト側静止板4が回転板3から引き離される。これにより、スラスト側静止板4と回転板3とが接近することが抑制される。
よって、本実施の形態によれば、スラスト側静止板4と回転板3とが接触するリスクを効果的に低減できるようになる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について図6を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図6は、第4の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の断面図であり、詳しくは、径方向且つ軸方向に沿う面での断面図である。図6に示すように、本実施の形態では、窪み部40の深さが、回転軸101の径方向外側に向かうにしたがい小さくなる。なお、図6においては、紙面右側が径方向外側に対応する。
本実施の形態の作用について説明する。本実施形態においても、第3の実施の形態と同様に、窪み部40に入り込んだ潤滑油が下流側縁部41によって堰き止められることで圧力上昇が生じる。ここで、この圧力上昇は、堰き止められる潤滑油の量に応じて大きくなる。一方で、回転軸101が回転した際の潤滑油の流速は径方向外側である程、大きくなる。ここで、本実施の形態では、窪み部40の深さが回転軸101の径方向外側に向かうにしたがい小さくなるため、窪み部40で堰き止められる潤滑油の流量が均一化される。これにより、窪み部40の堰き止めによって生じ得る圧力上昇の程度が径方向で均一化され、径方向且つ軸方向に沿う面で見た際のスラスト側静止板4が不所望に傾斜することを抑制できる。
以上のような第4の実施の形態によれば、スラスト側静止板4と回転板3とが接触するリスクを効果的に低減できる。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について図7を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図7は、第5の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の平面図である。本実施の形態では、回転軸101の回転方向における窪み部40の幅が、回転軸101の径方向外側に向かうにしたがい小さくなる。窪み部40の深さは一定であるが、第4の実施の形態のように、回転軸101の径方向外側に向かうにしたがい小さくなるようにしてもよい。
本実施の形態においても、第4の実施の形態と同様に、窪み部40で堰き止められる潤滑油の流量が均一化される。これにより、窪み部40の堰き止めによって生じ得る圧力上昇の程度が径方向で均一化され、径方向且つ軸方向に沿う面で見た際のスラスト側静止板4が不所望に傾斜することを抑制できる。したがって、第4の実施の形態と同様の効果が得られる。
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について図8を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第5の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図8は、第6の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の断面図であり、詳しくは、径方向且つ軸方向に沿う面での断面図である。本実施の形態では、表面層4Bにおいて回転軸101の回転方向で窪み部40の下流側に位置する下流側縁部41が、表面層4Bにおける窪み部40よりも上流側に位置する部分よりも低くなっている。
回転軸101の静止時や、回転の起動直後においては、スラスト側静止板4が傾いておらず、表面層4Bと回転板3とが接触する。本実施の形態では、下流側縁部41が、表面層4Bにおける窪み部40よりも上流側に位置する部分よりも低くなっていることで、静止時等における下流側縁部41と回転板3との接触が回避される。これにより、下流側縁部41の摩耗、変形、破壊等を抑制でき、堰き止め機能が損なわれることを抑制できる。
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態について図9及び図10を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第6の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図9は、第7の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の平面図であり、図10は、図9のX-X線に沿う断面図である。本実施の形態では、窪み部40の径方向外側の端部40A及び内側の端部40Bが、窪み部40よりも深さの小さい排出路42を介して径方向外側及び内側へ開放している。なお、排出路42は、窪み部40の径方向外側の端部40A及び内側の端部40Bのうちのいずれか一方のみに対応して設けられてもよい。
本実施の形態の作用について説明する。窪み部40に入り込み下流側縁部41で堰き止められた潤滑油は圧力を増加させた後、窪み部40から流出する。下流側縁部41で堰き止められた潤滑油の温度は高温になっており、この際、窪み部40の径方向外側及び内側の端部が完全に閉じられていると、図9の矢印αに示すように、高温の潤滑油が回転方向に沿って隣のスラスト側静止板4に向けて流れ、この隣のスラスト側静止板4と回転板3との間に流入しようとする。ここで、本実施の形態では、窪み部40を径方向外側及び内側へ開放させる排出路42が設けられることで、窪み部40に入り込み下流側縁部41で堰き止められた潤滑油が、排出路42を通ってスラスト側静止板4の径方向外側及び内側へ排出され得る。これにより、隣のスラスト側静止板4と回転板3との間に高温の潤滑油が流入することが抑制されるため、潤滑油の粘度が維持されて、言い換えると低下せず、油膜圧力が発生し易くなる。そのため、隣のスラスト側静止板4と回転板3との間の隙間を適正に確保し易くなる。
このような第7の実施の形態によれば、スラスト側静止板4と回転板3とが接触するリスクを効果的に低減できる。
(第8の実施の形態)
次に、第8の実施の形態について図11及び図12を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第7の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図11は、第8の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の平面図であり、図12は、図11のXII-XII線に沿う断面図である。本実施の形態では、表面層4Bにおいて回転軸101の回転方向で窪み部40の下流側に位置する下流側縁部41が、下流側に向かうに従い厚さが小さくなるように形成される面取り部41Sを含む。本実施の形態では、下流側縁部41における窪み部40と隣接する部分の厚さは一定であり、面取り部41Sが部分的に形成されるが、下流側縁部41の全体が、面取り部41Sとなっていてもよい
また、スラスト側静止板4には、ベース板部4Aの下面から下流側縁部41の面取り部41Sへ貫通する流体通路43が設けられる。流体通路43は円筒状であるが、形状及び設置数は特に限られるものではない。
本実施の形態の作用について説明する。上述のような面取り部41Sが形成されている場合、油膜厚さは面取り部41Sで急拡大するため、面取り部41Sで負圧が生じる。一方で、下流側縁部41で堰き止められた潤滑油の温度は高温になっており、回転方向に沿って隣のスラスト側静止板4に向けて流れ、この隣のスラスト側静止板4と回転板3との間に流入しようとする。ここで、本実施の形態では、面取り部41Sで負圧が生じることで、スラスト側静止板4の下面側の潤滑油が流体通路43を通って面取り部41Sから流出し、高温の潤滑油と混ざる。これにより、隣のスラスト側静止板4と回転板3との間に流入しようとする潤滑油の温度が下がり、潤滑油の粘度が維持されて、言い換えると低下せず、油膜圧力が発生し易くなる。そのため、隣のスラスト側静止板4と回転板3との間の隙間を適正に確保し易くなる。
以上のような第8の実施の形態によれば、スラスト側静止板4と回転板3とが接触するリスクを効果的に低減できる。
(第9の実施の形態)
次に、第9の実施の形態について図13及び図14を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第8の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図13は、第9の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の平面図であり、図14は、図10のXIV-XIV線に沿う断面図である。本実施の形態では、スラスト側静止板4に、ベース板部4Aの径方向内側を向く内周面40iから、下流側縁部41の面取り部41Sへ貫通する流体通路43が設けられる。
本実施の形態の作用について説明する。油槽8内の潤滑油は、回転軸101の回転によって油槽8内で撹拌されており、図13の矢印βで示す遠心方向の流速を持つ。ここで、本実施の形態では、ベース板部4Aの径方向内側を向く内周面40iが遠心方向の流速βと対向するように位置するため、油槽8内の低温の潤滑油が流体通路43に流入し易くなる。そして、下流側縁部41で堰き止められて高温となった潤滑油は、回転方向に沿って面取り部41S側に向けて流れた際に流体通路43から流出した潤滑油によって冷却される。これにより、隣のスラスト側静止板4と回転板3との間に流入しようとする潤滑油の温度が下がり、潤滑油の粘度が維持されて、言い換えると低下せず、油膜圧力が発生し易くなる。そのため、隣のスラスト側静止板4と回転板3との間の隙間を適正に確保し易くなる。
以上のような第9の実施の形態によれば、スラスト側静止板4と回転板3とが接触するリスクを効果的に低減できる。
(第10の実施の形態)
次に、第10の実施の形態について図15を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第9の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図15は、第10の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の平面図である。本実施の形態では、窪み部40が、回転軸101の径方向で複数設けられている。詳しくは、表面層4Bにおける径方向内側と外側とに窪み部40が設けられ、これら2つの窪み部40は、間隔を空けて径方向に並び、表面層4Bの径方向中央を挟んで径方向の一方側と他方側とに設けられている。なお、複数の窪み部40が設けられる場合、その数は特に限られるものではない。また、複数の窪み部40は径方向に並ばずに互いに回転方向にずれていてもよい。
本実施の形態の作用について説明する。定常状態において、スラスト側静止板4の傾斜角が適切で、油膜厚さが十分に確保されている場合には、スラスト側静止板4の下流端側で発生する圧力は、その内側で発生する圧力よりも小さい。また、スラスト側静止板4と回転板3との間においては、スラスト側静止板4の中央下流側付近に最大圧力が発生する。これらの点を考慮すると、窪み部40を過剰に広範囲に設けると、定常状態における油膜圧力が不所望に低下する虞がある。そこで、本実施の形態のように窪み部40を複数設けた場合には、必要な箇所のみに部分的に窪み部40を配置でき、定常運転時の支持容量(能力)を確保し易くなる。
(第11の実施の形態)
次に、第11の実施の形態について図16を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第10の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図16は、第11の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の平面図である。本実施の形態では、表面層4Bが、回転軸101の回転方向で表面層4Bの中央よりも上流側に位置する上流側窪み部50をその上面にさらに有している。上流側窪み部50は、窪み部40と同様に、回転軸101の径方向に長尺状に延びるように形成されている。また、上流側窪み部50は、回転軸101の回転方向で上流側に開放していない、より具体的には、本実施の形態における上流側窪み部50は全体的に、回転軸101の回転方向で上流側に開放していない。
本実施の形態の作用について説明する。回転軸101の回転中においては、突発的にスラスト側静止板4に加わる荷重が小さくなり、過度にスラスト側静止板4の傾斜が小さくなることも想定される。このような事象が生じると、油膜圧力が急減し、スラスト側静止板4と回転板3とが接触するリスクが生じる。ここで、本実施の形態では、スラスト側静止板4と回転板3とが近接した際に、上流側窪み部50に潤滑油が入り込んで圧力上昇を引き起こすことが可能となり、スラスト側静止板4と回転板3との接触が回避され得る。
以上のような第11の実施の形態では、スラスト側静止板4と回転板3とが接触するリスクを効果的に低減できる。なお、上流側窪み部50による圧力上昇を引き起こし易くすることを考慮すると、第3の実施の形態における窪み部40と同様に回転軸101の回転方向におけるスラスト側静止板4の寸法をYとした場合に、上流側窪み部50は、スラスト側静止板4の上流端から(1/4)・Y以下、特に(1/10)・Y以下の範囲内に形成されることが好ましい。
(第12の実施の形態)
次に、第12の実施の形態について図17及び図18を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第11の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図17は、第12の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の平面図であり、図18は、図17のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。本実施の形態では、スラスト側静止板4は、板本体部分401と、回転軸101の回転方向における板本体部分401の下流端面に接続される接続部分402とを有する。そして、接続部分402に窪み部40が設けられている。接続部分402は径方向に長尺状となるように形成されている。本実施の形態では、板本体部分401と接続部分402とが締結部403によって着脱自在に接続されている。
また、板本体部分401はベース板部4Aと表面層4Bとを有し、接続部分402は二層構造にはなっていないが、接続部分402も二層構造になっていてもよい。
本実施の形態では、回転子の荷重を受ける板本体部分401と、窪み部40が設けられる接続部分402とを分離することで、窪み部40の加工が容易になる。また既設のスラスト側静止板(板本体部分401)に、窪み部40を後付けすることができる。
(第13の実施の形態)
次に、第13の実施の形態について図19を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第12の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略する場合がある。
図19は、第13の実施の形態にかかる軸受装置のスラスト側静止板4の平面図である。本実施の形態では、第12の実施の形態で説明した接続部分402の径方向の内側端部が、回転軸101の回転方向とは反対の方向に向けて径方向に対して傾斜している。
本実施の形態では、接続部分402の径方向の内側端部が回転方向とは反対の方向に向けて径方向に対して傾斜することで、遠心方向の流速βを有する潤滑油が窪み部40に流入し易くなり、窪み部40に流入した潤滑油による圧力上昇が生じ易くなる。そのため、第12の実施の形態の構成よりも、スラスト側静止板4と回転板3とが接触するリスクを低減できる。
以上、各実施の形態を説明したが、上記の各実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、ラジアル側静止板9に各実施の形態で説明した窪み部40と同様の窪み部が設けられてもよい。
また、例えばベース板部4Aを支持するスプリング6に代えて、板状の弾性部材でベース板部4Aを支持する構成としてもよい。
1…軸受装置、2…スラストカラー、3…回転板、4…スラスト側静止板、4A…ベース板部、4B…表面層、6…スプリング、7…固定板、8…油槽、9…ラジアル側静止板、10…油膜、40…窪み部、40i…内周面、41…下流側縁部、41S…面取り部、42…排出路、43…流体通路、401…板本体部分、402…接続部分、403…締結部、50…上流側窪み部、100…水力機械、101…回転軸、200…ランナー、201…水車主軸

Claims (10)

  1. 回転子を潤滑流体を介して回転可能に支持する水力機械の軸受装置であって、
    前記回転子の回転軸の径方向外側に取り付けられる筒状の回転部材から前記回転軸の軸方向に離間して前記回転軸の周囲に複数設けられ、前記回転部材から伝わる前記回転子の荷重を支持する静止板を備え、
    前記静止板は、ベース板部と、前記ベース板部の前記回転部材側を向く面に設けられる表面層とを有し、
    前記表面層は、記ベース板部側を向く面窪み部を有し、前記窪み部は、前記回転軸の回転方向で下流側に位置し、
    前記ベース板部は、前記窪み部に入り込み、その厚さが部分的に大きくなる、水力機械の軸受装置。
  2. 前記ベース板部は、前記表面層よりも高剛性の材料から形成される、請求項に記載の水力機械の軸受装置。
  3. 回転子を潤滑流体を介して回転可能に支持する水力機械の軸受装置であって、
    前記回転子の回転軸の径方向外側に取り付けられる筒状の回転部材から前記回転軸の軸方向に離間して前記回転軸の周囲に複数設けられ、前記回転部材から伝わる前記回転子の荷重を支持する静止板を備え、
    前記静止板は、ベース板部と、前記ベース板部の前記回転部材側を向く面に設けられる表面層とを有し、
    前記表面層は、前記回転部材側を向く面に窪み部を有し、前記窪み部は、前記回転軸の回転方向で下流側に位置し、
    前記窪み部の少なくとも一部は、前記回転軸の回転方向で下流側に開放しておらず、
    前記窪み部は、前記回転軸の径方向に長尺状に延び、
    前記窪み部の深さが、前記回転軸の径方向外側に向かうにしたがい小さくなる、水力機械の軸受装置。
  4. 回転子を潤滑流体を介して回転可能に支持する水力機械の軸受装置であって、
    前記回転子の回転軸の径方向外側に取り付けられる筒状の回転部材から前記回転軸の軸方向に離間して前記回転軸の周囲に複数設けられ、前記回転部材から伝わる前記回転子の荷重を支持する静止板を備え、
    前記静止板は、ベース板部と、前記ベース板部の前記回転部材側を向く面に設けられる表面層とを有し、
    前記表面層は、前記回転部材側を向く面に窪み部を有し、前記窪み部は、前記回転軸の回転方向で下流側に位置し、
    前記窪み部の少なくとも一部は、前記回転軸の回転方向で下流側に開放しておらず、
    前記窪み部は、前記回転軸の径方向に長尺状に延び、
    前記回転軸の回転方向における前記窪み部の幅が、前記回転軸の径方向外側に向かうにしたがい小さくなる、水力機械の軸受装置。
  5. 回転子を潤滑流体を介して回転可能に支持する水力機械の軸受装置であって、
    前記回転子の回転軸の径方向外側に取り付けられる筒状の回転部材から前記回転軸の軸方向に離間して前記回転軸の周囲に複数設けられ、前記回転部材から伝わる前記回転子の荷重を支持する静止板を備え、
    前記静止板は、ベース板部と、前記ベース板部の前記回転部材側を向く面に設けられる表面層とを有し、
    前記表面層は、前記回転部材側を向く面に窪み部を有し、前記窪み部は、前記回転軸の回転方向で下流側に位置し、
    前記窪み部の少なくとも一部は、前記回転軸の回転方向で下流側に開放しておらず、
    前記窪み部は、前記回転軸の径方向に長尺状に延び、
    前記窪み部の径方向外側の端部及び内側の端部うちの少なくともいずれかが、前記窪み部よりも深さの小さい排出路を介して径方向外側及び/又は内側へ開放している、水力機械の軸受装置。
  6. 回転子を潤滑流体を介して回転可能に支持する水力機械の軸受装置であって、
    前記回転子の回転軸の径方向外側に取り付けられる筒状の回転部材から前記回転軸の軸方向に離間して前記回転軸の周囲に複数設けられ、前記回転部材から伝わる前記回転子の荷重を支持する静止板を備え、
    前記静止板は、ベース板部と、前記ベース板部の前記回転部材側を向く面に設けられる表面層とを有し、
    前記表面層は、前記回転部材側を向く面に窪み部を有し、前記窪み部は、前記回転軸の回転方向で下流側に位置し、
    前記窪み部の少なくとも一部は、前記回転軸の回転方向で下流側に開放しておらず、
    前記表面層には、前記回転軸の回転方向で前記窪み部の下流側に位置して、前記窪み部を前記下流側に開放させないように構成される下流側縁部が設けられ、前記下流側縁部は、前記表面層における前記窪み部よりも上流側に位置する部分よりも低くなっている、水力機械の軸受装置。
  7. 回転子を潤滑流体を介して回転可能に支持する水力機械の軸受装置であって、
    前記回転子の回転軸の径方向外側に取り付けられる筒状の回転部材から前記回転軸の軸方向に離間して前記回転軸の周囲に複数設けられ、前記回転部材から伝わる前記回転子の荷重を支持する静止板を備え、
    前記静止板は、ベース板部と、前記ベース板部の前記回転部材側を向く面に設けられる表面層とを有し、
    前記表面層は、前記回転部材側を向く面に窪み部を有し、前記窪み部は、前記回転軸の回転方向で下流側に位置し、
    前記窪み部の少なくとも一部は、前記回転軸の回転方向で下流側に開放しておらず、
    前記表面層には、前記回転軸の回転方向で前記窪み部の下流側に位置して、前記窪み部を前記下流側に開放させないように構成される下流側縁部が設けられ、前記下流側縁部は、前記下流側に向かうに従い厚さが小さくなるように形成された面取り部を有し、
    前記静止板には、前記ベース板部の前記回転部材側を向く面とは反対側の面から、前記面取り部へ貫通する流体通路が設けられる、水力機械の軸受装置。
  8. 回転子を潤滑流体を介して回転可能に支持する水力機械の軸受装置であって、
    前記回転子の回転軸の径方向外側に取り付けられる筒状の回転部材から前記回転軸の軸方向に離間して前記回転軸の周囲に複数設けられ、前記回転部材から伝わる前記回転子の荷重を支持する静止板を備え、
    前記静止板は、ベース板部と、前記ベース板部の前記回転部材側を向く面に設けられる表面層とを有し、
    前記表面層は、前記回転部材側を向く面に窪み部を有し、前記窪み部は、前記回転軸の回転方向で下流側に位置し、
    前記窪み部の少なくとも一部は、前記回転軸の回転方向で下流側に開放しておらず、
    前記表面層には、前記回転軸の回転方向で前記窪み部の下流側に位置して、前記窪み部を前記下流側に開放させないように構成される下流側縁部が設けられ、前記下流側縁部は、前記下流側に向かうに従い厚さが小さくなるように形成された面取り部を有し、
    前記静止板には、径方向内側を向く面から、前記面取り部へ貫通する流体通路が設けられる、水力機械の軸受装置。
  9. 前記表面層は、前記回転軸の回転方向で前記表面層の中央よりも上流側に位置する上流側窪み部を、前記回転部材側を向く面にさらに有する、請求項1に記載の水力機械の軸受装置。
  10. 請求項1乃至のいずれかに記載の水力機械の軸受装置を備える、水力機械。
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