JP6957247B2 - 工作機械および工作機械の制御方法 - Google Patents
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Description
例えば、ワークを載置するテーブルの支持構造、あるいは工具を装着するヘッドの支持構造には、三次元移動を可能とするために、X軸、Y軸、Z軸の各軸に沿った直線移動機構が採用される。また、テーブルあるいはヘッドの向きを変えるために、回転移動機構が採用される。
このような案内機構では、案内精度が高いこと、つまり直線運動はなるべく直線に、回転運動はなるべく真円に、という幾何学的精度が求められる。さらに、案内機構においては、高負荷容量で、低摩擦であり、減衰性能が高いことが求められる。
特許文献1をはじめとして一般的な油静圧案内機構では、一対の摺動面のうち一方に静圧室(静圧荷重支持を行うための油が供給される凹部)を形成し、この静圧室に静圧油を供給し、その静圧により他方の摺動面との間で荷重伝達を行う。つまり、一対の摺動面には静圧油が介在するだけであり、一対の摺動面どうしは非接触状態となるので、摺動抵抗を大幅に低減できる。
ただし、油静圧案内機構は、油膜で浮上する構造上、減衰性能には限界がある。また、油膜を形成するための静圧油を供給する供給装置と、静圧油を回収する回収装置が必要である。特に、従来の油静圧案内機構では、静圧油を用いる関係から、空気を用いる空気静圧軸受のように外気に排出することができない。このため、静圧室に供給された静圧油が、外周縁から案内機構の外部へ排出される構造とされる。特に、油静圧案内機構では、排出される静圧油の量がすべり案内に比べて膨大な量となるため、静圧油を回収し、供給装置に戻す回収装置が必要である。従って、案内機構に付随する装置構成や配管類が複雑にならざるを得ない。
すべり案内機構は、それぞれ平滑に形成された一対の摺動面で、その片側に低摺動部材を貼付し、その間に潤滑油を供給しつつ各々を摺動させるものである。一対の摺動面は、低摺動部材を介し、潤滑油による潤滑がなされている。
しかし、従来のすべり案内機構を、単純に油静圧案内機構に置換しても、前述のような特長の相違により、所期の性能が得られない可能性がある。
すなわち、一つの案内機構にすべり案内機構と油静圧案内機構とを設けて併用式とすることで、動圧案内機構の特長である案内精度および減衰性能の高さを得るとともに、油静圧案内機構の特長である高負荷荷重を得ることができる。
この構成では、油静圧案内機構への静圧油の供給圧力が不十分だと、静圧油による荷重負担の補助が十分に行われず、併用式の効果が得られない。
一方、油静圧案内機構への供給圧力が過剰だと、油静圧部分で浮き上がり、つまりすべり案内機構の一対の摺動面の間に隙間が開いた状態となり、すべり案内機構での接触が不十分となって案内精度が低下するほか、動作に支障を来す、あるいは破損などを生じる可能性がある。
従って、静圧油の供給状態は、案内機構で負担される負荷荷重に対して適切に調整されることが求められる。つまり、高負荷荷重の状態では静圧油の供給圧力を増し、低負荷荷重の時は静圧油の供給圧力を減らす、などの調整が求められる。
このため、ワーク重量を駆動機構側で推定し、静圧油の供給を適切に調整できる油静圧案内機構の制御方法が求められていた。
このような本発明によれば、移動部材の等加速度運動を工作機械の切削送り動作、または早送り動作として行うことができるため、重量推定のための特別な移動動作を行う必要がなく、作業効率を高めることができる。
本発明によれば、駆動機構の動作状態の検出において、適切な静圧油の圧力を選択し供給することができるため、重量推定の精度を高めることができる。
この際、案内部材の案内面と移動部材の平滑面との間において、すべり案内機構が油静圧案内機構を囲うように配置されてもよく、あるいはすべり案内機構と油静圧案内機構とが隣接して配置されてもよく、すべり案内機構と油静圧案内機構とが油静圧併用すべり案内機構として機能するように配置されていればよい。
このような構成によれば、上述した工作機械と同様の効果が期待できる。
〔第1実施形態〕
図1には、本実施形態における門形構造の工作機械110が示されている。工作機械110には、X軸,Y軸,Z軸の各軸移動機構の案内機構130として、後述する油静圧案内機構1およびすべり案内機構10が用いられている。
工作機械110においては、テーブル112をX軸方向に移動させるとともに、ヘッド115をY軸方向に、ラム116をZ軸方向に、それぞれ移動させることで、ワーク119に対してツール118を三次元で相対移動させることができ、これによりワーク119に任意の形状を加工することができる。
さらに、工作機械110には制御装置140が接続されている。
さらに、制御装置140は、本発明の油圧調整装置を兼ねており、その詳細については後述する。
駆動機構150は、案内機構130に支持された移動部分を駆動するものであり、図6および図7に示すように、各軸移動機構121〜123の駆動を行うための駆動モータ(X軸移動機構121のX軸モータ211,Y軸移動機構122のY軸モータ221,Z軸移動機構123のZ軸モータ231)を有している。
図2から図4において、案内機構130は、案内部材29および案内部材29に対して移動する移動部材2を有する。
移動部材2は、案内部材29と対向する面の内側に凹部25が形成された板材であり、凹部25には、案内部材29と対向する面に静圧面26を有する静圧ユニット20が嵌め込まれる。本実施形態では、凹部25は静圧ユニット20の厚さよりも深く形成されていて、静圧油が供給されない場合の金属接触を防止する。
また、案内部材29には、移動部材2と対向する面に案内面28が形成される。
これらの移動部材2と案内部材29とは、移動部材2の凹部25に静圧ユニット20を嵌めこんで、静圧面26および動圧面27が案内面28と対向するように配置される。
この際、静圧面26と案内面28との間に油静圧案内機構1が形成されるとともに、動圧面27と案内面28との間にすべり案内機構10が形成される。
すなわち、案内機構130は、油静圧案内機構1とすべり案内機構10とで構成される油静圧併用すべり案内機構である。
なお、静圧ユニット20は分離せず、移動部材2に油静圧案内機構1を直接形成しても良い。
図3および図5に示すように、すべり案内機構10は、移動部材2の動圧面27と案内部材29の案内面28とを接触させて、移動部材2の負荷荷重を支持している。この時、すべり案内機構は、油静圧案内機構1の外周を囲うように形成されている。
また、動圧面27には、全面にわたって連続して、4フッ化エチレンなどの低摩擦性材料で形成されたシートが貼られ、動圧面27と案内面28との摺動により案内部材29に対する移動部材2の移動を許容する。
図3から図5に示すように、油静圧案内機構1は、外部から供給される加圧された静圧油Oにより、移動部材2の負荷荷重を静圧浮上支持するものである。このため、油静圧案内機構1には、静圧油Oを供給および回収するために給油構造4と、油回収構造5とが接続されている。
そして、シール部材3の内側の、外側平面24と案内面28との間に円形の静圧部R(リセス部)が形成され、内側平面23と案内面28との間に降圧部L(ランド部)が形成される。すなわち、静圧部Rの周囲はシール部材3でシールされている。
図3に示すように、給油構造4は、油静圧案内機構1に繋がる給油路40と、静圧油Oを貯留する油タンク41と、静圧油Oを油静圧案内機構1に供給する給油装置42と、により構成される給油ユニット44と、給油路40に設置された油圧制御弁43とを有する。給油装置42により加圧された静圧油Oが給油路40を通して静圧部R(リセス部)内に供給される。
このため、給油装置42は、モータ422の回転数を上げることにより、静圧部R(リセス部)の静圧油Oの圧力を上げることができる。供給圧力の増加による浮上力により、荷重支持が可能となる。ただし、荷重支持が負荷荷重を上回ると、移動部材2が浮き上がり、静圧面26と案内面28との間に隙間ができる。
一方、モータ422の回転数を下げることにより、静圧部R(リセス部)の静圧油Oの供給圧力を下げることができる。
図3に示すように、油回収構造5は、前述のとおり、油静圧案内機構1内に形成されるとともに、静圧油Oを静圧面26外に開放する回収穴50を有する。また、油回収構造5は、回収穴50に繋がる回収路51を有する。
図5に示すように、油静圧案内機構1では、加圧された静圧油Oが、給油路40から供給され、外部溝21と内部溝22との間に形成された静圧部R内に流入する。この時、外部溝21と内部溝22とは連通溝30により連通されているため、この間の静圧油Oの油静圧は供給圧Psと等しくなる。このため、静圧部Rでは定圧領域が形成される。
静圧油Oは、静圧部Rを通った後、降圧部Lを通り回収穴50で回収される。この時、回収穴50では大気圧程度となるため、静圧油Oの排出圧Peは圧力開放される。このため、降圧部Lでは、静圧油Oの油静圧が、シール部材3で囲われた円形領域の半径rの内側に向かうにつれて降下し、回収穴50に到達した時点で大気圧程度に開放される。
このように、内部溝22の内側に形成された降圧部Lが静圧油Oの圧力降下部として作用することにより、外部溝21と内部溝22との間に形成された受圧領域面積の静圧部Rで荷重支持用の静圧を確保することができる。すなわち、静圧部Rが荷重を支持する静圧室として機能する。
最終的に、油静圧案内機構1に供給された静圧油Oは、回収穴50から全量回収される。その際、静圧部Rの周囲がシール部材3でシールされているため、静圧油Oが外部に漏れ出すことが防止される。
図6および図7に示すように、本実施形態では、各案内機構130における油静圧案内機構1に供給する静圧油Oの油静圧を調整するために、制御装置140に油圧調整装置が構成されている。
なお、前述したように、本実施形態では、制御装置140は工作機械110の各部全般の制御を行うものであり、多様な機能を有するものであるが、以下では各軸移動機構121〜123の案内機構130に関する部分について説明する。
表示部1412は、グラフィックディスプレイ等の表示画面で構成され、操作部1411による操作内容を表示するとともに、工作機械110の動作状態あるいは測定結果を表示する。
図6および図7に示すように、油圧調整部70は、NC・主制御部142と、PC・シーケンス制御部143とを有する。これらのNC・主制御部142およびPC・シーケンス制御部143は、工作機械110の制御装置140として基本的な構成である。
ただし、本実施形態においては、制御装置140が制御する各軸移動機構121〜123の案内機構130における、油静圧案内機構1に供給する静圧油Oの油静圧を調整する機能を、制御装置140に追加するための油圧調整部70を構成するものとされている。
プログラム制御部144は、外部からロードされた動作プログラム(Mコード)を解析し、NC・主制御部142の各部を制御する。
モータ制御部145は、プログラム制御部144の制御のもとで、工作機械110の駆動機構150である各軸モータ211〜231と、給油装置42のモータ422との動作を制御する。
シーケンスプログラム制御部146は、外部からロードされた動作プログラム(Mコード)を解析し、PC・シーケンス制御部143の各部を制御する。
動作指令部147は、操作盤141からの外部操作に基づき、シーケンスプログラム制御部146、入出力制御部148およびNC・主制御部142へのマニュアル指令および設定変更を行う。
入出力制御部148は、シーケンスプログラム制御部146の制御の基で、工作機械110のセンサ101(各部に設置されたトルクセンサや加速度センサなど)の出力信号を処理する。
また、シーケンスプログラム制御部146には、ワーク重量演算部73でのワーク119の重量Wの演算に参照されるデータや、供給状態調整部74での指令を作成する際に参照される判定用データHが格納されるデータ記憶部75が設置されている。
図8に示すように、油静圧案内機構1に供給する静圧油Oの油静圧調整は、油静圧調整動作により行うことができる。
本実施形態では、工作機械110の加工プログラム中において、ツール118がワーク119に対して加工していない状態の時(切削送り動作時、または、早送り動作時)に、各軸移動機構121〜123のセンシングを行って、ワーク119の重量Wを算出し、油静圧の調整を行う。
センシングをONとする指令入力があったら(処理S102)、圧力設定部71は油静圧案内機構1への静圧油Oの供給圧力を予め設定された所定の圧力に調整する(処理S103)。
この際、圧力設定に先立って、静圧油Oの供給圧力を特定の値に設定し、重量が既知である複数のワークをX軸移動機構121により等加速度運動させた時の慣性質量をイナーシャとして測定し、測定結果から得られた測定イナーシャと、それぞれのワーク重量から導き出された設計イナーシャとをプロットする。この静圧油Oの供給圧力の設定から測定イナーシャおよび設計イナーシャのプロットに至る操作を複数の異なる供給圧力に設定して行い、得られたプロットの中で偏差が小さく、かつ過剰でない供給圧力を所定の圧力として選択する。
ワーク重量演算部73は、受領した駆動電流値Iと加速度Ar、およびデータ記憶部75に予め記憶されたX軸モータ211のトルク係数Ktから、イナーシャJmを、Jm=I・Kt/Arの関係式により算出する(処理S107)。
そのため、トルクTの測定においては、加速時のトルク値と減速時のトルク値との平均値を取ることが好ましい。この場合、加速時の粘性抵抗および摺動抵抗と減速時の粘性抵抗および摺動抵抗とが相殺できるので、ワーク119の加減速に使用された分だけのトルク値をトルクTとして求めることができ、ワーク119の純粋な慣性質量として正確なイナーシャJmを推定できる。
さらに、モータ制御部145は、出力された指令に従って、各軸モータ211〜231の動作を制御することにより、各軸移動機構121〜123の切削送り動作、または早送り動作の速度または加速度を調整する。
つまり、加工動作における駆動機構150の設定を、ワーク119の重量に応じて適切に調整できる。
そして、処理S112で加工動作終了と判定されたら、センシング動作をOFFにし(処理S112)、給油装置42のモータ422を0FFにする(処理S113)。
つまり、工作機械110の加工動作時における実際の移動を繰り返す間に、常時センシングによる自動調整を行うことができる。そしてこのような動作の繰り返しにより、移動の間の各時点での状況に応じて油静圧の調整が実行される。
このような実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
本実施形態において、ワーク119の重量が未知な場合であっても、ワーク119の重量Wを推定し、推定した重量Wに基づいて静圧油Oの油静圧を適切に調整できる。
また、工作機械110の加工プログラム中に重量の推定操作を設定しておけば、加工プログラム中の指示されたタイミングで自動的に油静圧を調整できる。従って、加工に伴ってワーク119の重量Wが変動した場合でも、油静圧の適切な調整を維持することができる。
さらに、供給状態調整部74から出力された指令に従って、各軸モータ211〜231の動作を制御することにより、加工動作における駆動機構150の設定を、ワーク119の重量Wに応じて適切に調整できる。
例えば、ワーク119の負荷荷重が大きい場合には、静圧部Rに供給される静圧油Oの圧力を増し、油静圧案内機構1による高負荷荷重の確保を優先することができる。
従って、本実施形態では、油圧調整部70により、ワーク119の重量Wに応じて油静圧案内機構1とすべり案内機構10との荷重負担のバランスを調整でき、案内機構130としての特性を、ワーク重量に応じて変更することができる。
図9には、本発明に基づく第2実施形態のフローチャートが示されている。
本実施形態において、工作機械110、油圧調整部70を含む制御装置140、案内機構130、油静圧案内機構1およびすべり案内機構10の基本構成は共通であり、重複する説明は省略するとともに、相違する構成について、以下に説明する。
本実施形態では、加工プログラムの実行に先立ち、別途の専用プログラムにてワーク119の重量Wの測定動作を実施するようにしている。
図9において、油圧調整部70は、上記第1実施形態の処理S101,S102に替えて(図8参照)、処理S201を実施する。
この処理S201では、静圧油調整の指示の入力を待機する。
静圧油調整の指示が入力されたら、上記第1実施形態の処理S103と同様に、圧力設定部71は油静圧案内機構1への静圧油Oの供給圧力を予め設定された所定の圧力に調整し、上記第1実施形態の処理S105〜処理S111までの処理を実行する。すなわち、上記第1実施形態における処理S104は実行しない。
処理S202では、静圧油調整が解除されたか否かを判定する。処理S202で静圧油調整が解除されたと判定された場合、処理S203で加工プログラムに基づく加工動作を実施する。その後、加工動作が終了したら、給油装置42のモータ422を0FFにする(処理S113)。
このような本実施形態によれば、工作機械110、油圧調整部70を含む制御装置140、案内機構130、油静圧案内機構1およびすべり案内機構10の基本構成が前述した第1実施形態と共通であるため、これらによる効果は同様に得られる。
なお、本発明は、前述した実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形等は本発明に含まれる。
また、油圧調整部70は制御装置140に追加されて油圧調整装置を構成していたが、別体の油圧調整装置を制御装置140に外部接続してもよく、あるいは制御装置140を介さずに各案内機構130の静圧油Oの油静圧を調整するような構成でもよい。
また、案内機構130としては、直線移動に限らず、例えばロータリーテーブルの回転支持機構など、回転する部分の案内機構に適用してもよい。この場合、静圧油Oの圧力設定に先立って、慣性モーメントをイナーシャとして測定する。すなわち、本実施形態のイナーシャは、慣性質量または慣性モーメントである。
Claims (7)
- 案内部材と、前記案内部材に対して移動する移動部材と、
前記移動部材を移動させる駆動機構と、
前記案内部材の案内面と前記移動部材の平滑面との間に構成された油静圧案内機構と、
前記油静圧案内機構への静圧油の供給状態を制御する制御装置とを有する工作機械であって、
前記制御装置は、
前記油静圧案内機構への前記静圧油の供給圧力を所定の圧力に設定する設定手段と、
ワークを積載した前記移動部材を、前記駆動機構により前記案内部材に対して等加速度運動させる等加速度運動手段と、
前記等加速度運動時の前記駆動機構の動作状態から前記ワークの重量を推定するワーク重量推定手段と、
前記ワーク重量推定手段によって推定された前記ワークの重量に応じて、前記制御装置による前記静圧油の供給状態を調整する供給状態調整手段と、
前記設定手段による前記静圧油の圧力設定に先立って、前記静圧油の供給圧力を複数の異なる値に設定し、重量が既知である複数のワークを等加速度運動させた時の慣性質量または慣性モーメントを測定し、測定結果から得られた測定慣性質量または測定慣性モーメントと、それぞれのワーク重量から導きだされた設計慣性質量または設計慣性モーメントとを比較し、前記設計慣性質量または前記設計慣性モーメントに対する前記測定慣性質量または前記測定慣性モーメントの偏差が小さく、かつ過剰でない供給圧力を選択する供給圧力設定手段を有する
ことを特徴とする工作機械。 - 案内部材と、前記案内部材に対して移動する移動部材と、
前記移動部材を移動させる駆動機構と、
前記案内部材の案内面と前記移動部材の平滑面との間に構成された油静圧案内機構と、
前記油静圧案内機構への静圧油の供給状態を制御する制御装置とを有する工作機械であって、
前記制御装置は、
前記油静圧案内機構への前記静圧油の供給圧力を所定の圧力に設定する設定手段と、
ワークを積載した前記移動部材を、前記駆動機構により前記案内部材に対して等加速度運動させる等加速度運動手段と、
前記等加速度運動時の前記駆動機構の動作状態から前記ワークの重量を推定するワーク重量推定手段と、
前記ワーク重量推定手段によって推定された前記ワークの重量に応じて、前記制御装置による前記静圧油の供給状態を調整する供給状態調整手段と、
前記設定手段による前記静圧油の圧力設定に先立って、前記静圧油の供給圧力を特定の値に設定し、重量が既知である複数のワークを等加速度運動させた時の慣性質量または慣性モーメントを測定し、測定結果から得られた測定慣性質量または測定慣性モーメントと、それぞれのワーク重量から導きだされた設計慣性質量または設計慣性モーメントとをプロットし、前記静圧油の供給圧力の設定から前記プロットに至る操作を複数の異なる供給圧力を設定して行い、得られた前記プロット中で偏差が小さく、かつ過剰でない供給圧力を選択する供給圧力設定手段を有する
ことを特徴とする工作機械。 - 前記等加速度運動手段は、前記移動部材の前記等加速度運動として、前記工作機械の加工をしていない状態での切削送り動作、または早送り動作を用いる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載した工作機械。 - 前記案内部材の案内面と前記移動部材の平滑面との間に構成されたすべり案内機構と、前記油静圧案内機構とにより油静圧併用すべり案内機構が形成される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載した工作機械。 - 前記油静圧案内機構は、外周をシールされた密閉式の静圧室と、前記静圧室に前記静圧油を供給する供給経路と、前記静圧室から前記静圧油を回収する回収経路と、を有するとともに、
前記油静圧案内機構には、前記静圧室に供給される前記静圧油を調節する油圧調整装置が接続されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載した工作機械。 - 案内部材と、前記案内部材に対して移動する移動部材と、
前記移動部材を移動させる駆動機構と、
前記案内部材の案内面と前記移動部材の平滑面との間に構成された油静圧案内機構と、
前記油静圧案内機構への静圧油の供給状態を制御する制御装置とを有する工作機械の制御方法であって、
前記静圧油の供給圧力を複数の異なる値に設定し、重量が既知である複数のワークを等加速度運動させた時の慣性質量または慣性モーメントを測定し、測定結果から得られた測定慣性質量または測定慣性モーメントと、それぞれのワーク重量から導きだされた設計慣性質量または設計慣性モーメントとを比較し、前記設計慣性質量または前記設計慣性モーメントに対する前記測定慣性質量または前記測定慣性モーメントの偏差が小さく、かつ過剰でない供給圧力を選択しておき、
前記移動部材にワークを設置し、
前記油静圧案内機構への前記静圧油の供給圧力を前記複数の異なる値から選択しておいた所定の圧力に設定し、
前記ワークを積載した前記移動部材を、前記駆動機構により前記案内部材に対して等加速度運動させ、
前記等加速度運動時の前記駆動機構の動作状態から前記ワークの重量を推定し、
推定された前記ワークの重量に応じて、
前記制御装置による前記静圧油の供給状態を調整する
ことを特徴とする工作機械の制御方法。 - 案内部材と、前記案内部材に対して移動する移動部材と、
前記移動部材を移動させる駆動機構と、
前記案内部材の案内面と前記移動部材の平滑面との間に構成された油静圧案内機構と、
前記油静圧案内機構への静圧油の供給状態を制御する制御装置とを有する工作機械の制御方法であって、
前記静圧油の供給圧力を特定の値に設定し、重量が既知である複数のワークを等加速度運動させた時の慣性質量または慣性モーメントを測定し、測定結果から得られた測定慣性質量または測定慣性モーメントと、それぞれのワーク重量から導きだされた設計慣性質量または設計慣性モーメントとをプロットし、前記静圧油の供給圧力の設定から前記プロットに至る操作を複数の異なる供給圧力を設定して行い、得られた前記プロット中で偏差が小さく、かつ過剰でない供給圧力を選択しておき、
前記移動部材にワークを設置し、
前記油静圧案内機構への前記静圧油の供給圧力を前記複数の異なる供給圧力から選択しておいた所定の圧力に設定し、
前記ワークを積載した前記移動部材を、前記駆動機構により前記案内部材に対して等加速度運動させ、
前記等加速度運動時の前記駆動機構の動作状態から前記ワークの重量を推定し、
推定された前記ワークの重量に応じて、前記制御装置による前記静圧油の供給状態を調整する
ことを特徴とする工作機械の制御方法。
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