JP2007007752A - 主軸工具先端の変位補正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡便かつ精確に主軸の変位を補正可能な変位補正方法を提供すること。
【解決手段】 主軸の先端に設けられた工具ホルダを介して所定の工具を脱着可能な数値制御工作機械において、(1)実際の工作機械運転に先立ち、主軸を最高回転数Nで回転および停止させたときの運転経過時間tと工具先端の変位量G1およびG2を一回のみ実測し、(2)この実測値に基づいて、変位量G1およびG2を、主軸の発熱・放熱に伴う変位量F1およびF2と、工具ホルダの引き込みに伴う変位量E1およびE2との和により求め、(3)実際の工作機械運転の回転開始時には、回転数nについて、適当な補正係数hを変位量G1に乗じた変位量h・G1を計算し、この変位量を打ち消す量を回転時補正量として工具先端の位置指令値を補正し、(4)工作機械運転の回転停止時には、主軸の回転数nについて、補正係数hを変位量G2に乗じた変位量h・G2を計算し、この変位量を打ち消す量を回転停止時補正量として工具先端の位置指令値を補正する。
【選択図】 図1
【解決手段】 主軸の先端に設けられた工具ホルダを介して所定の工具を脱着可能な数値制御工作機械において、(1)実際の工作機械運転に先立ち、主軸を最高回転数Nで回転および停止させたときの運転経過時間tと工具先端の変位量G1およびG2を一回のみ実測し、(2)この実測値に基づいて、変位量G1およびG2を、主軸の発熱・放熱に伴う変位量F1およびF2と、工具ホルダの引き込みに伴う変位量E1およびE2との和により求め、(3)実際の工作機械運転の回転開始時には、回転数nについて、適当な補正係数hを変位量G1に乗じた変位量h・G1を計算し、この変位量を打ち消す量を回転時補正量として工具先端の位置指令値を補正し、(4)工作機械運転の回転停止時には、主軸の回転数nについて、補正係数hを変位量G2に乗じた変位量h・G2を計算し、この変位量を打ち消す量を回転停止時補正量として工具先端の位置指令値を補正する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、工作機械において、主軸の回転中に生じた熱による変位および回転に伴う遠心力による変位に対応し、工具先端の位置を補正する方法に関するものである。
CNC、マシニングセンタなどの工作機械には、モータによって回転駆動される主軸が設けられている。この主軸には、工具ホルダを介して、所定の工具が取り付けられる。主軸は、モータの発熱や主軸自体の回転摩擦などの発熱および放熱によって膨張または収縮するため、工具先端位置が変位する。また、主軸の回転によって生じた遠心力が、工具ホルダ部分を僅かに変形させ、テーパ部が拡開し、工具ホルダが引上軸の付勢力で主軸の内側方向(縮む方向)に引き込まれ、工具先端位置を変位させるという問題もある。このように、工具先端位置が変位すると、ワークと工具との関係に位置ずれが生じてしまい、精度の高い加工を行うことが困難となる。
上記問題に対し、工具先端位置の変位を補正する技術が提案されている。例えば、熱膨張による変位の問題に対して、特開2003−245844号では、発熱と放熱による主軸の変位量を主軸の平均速度に基づいた変位関数から補正値を求めている。
また、遠心力に伴う工具ホルダの引き込みの問題に対して、特開平7−223146号では、複数の回転数と各回転数における工具の変位量とを補正テーブルに記憶しておき、この補正テーブルに基づいて、補正値を求めている。
また、遠心力に伴う工具ホルダの引き込みの問題に対して、特開平7−223146号では、複数の回転数と各回転数における工具の変位量とを補正テーブルに記憶しておき、この補正テーブルに基づいて、補正値を求めている。
しかし、発熱と放熱に基づく主軸の変位量を主軸の平均速度から推定する方法では、推定式に必要な各種パラメータを取得するために、多大な時間をかけて、実際の工作機械を運転させる必要がある。
また、工具ホルダの引き込みの問題について、補正テーブルを用いる方法では、精確な予測を行うためには回転数と変位量とが組になった多くのデータ組を記憶しておく必要がある。加えて、この方法を発熱と放熱に基づく主軸の変位量と組み合わせるには、困難が大きい。
また、工具ホルダの引き込みの問題について、補正テーブルを用いる方法では、精確な予測を行うためには回転数と変位量とが組になった多くのデータ組を記憶しておく必要がある。加えて、この方法を発熱と放熱に基づく主軸の変位量と組み合わせるには、困難が大きい。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡便かつ精確に主軸の変位を補正可能な変位補正方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、第一の発明に係る主軸工具先端の変位補正方法は、主軸の先端に設けられた工具ホルダを介して所定の工具を脱着可能な数値制御工作機械において、(1)実際の工作機械の運転に先立ち、主軸を停止した状態から最高回転数Nで回転させた回転開始時からの運転経過時間tと工具先端の変位量G1と、最高回転数Nで回転する状態から停止させた回転停止時までの運転経過時間tと工具先端の変位量G2とを一回のみ実測し、(2)上記実測値に基づいて、回転開始時の工具先端の変位量G1(t)を運転経過時間tに伴って工具先端を伸ばす方向に変位するF1(t)と、工具先端を縮める方向に変位するE1(t)との和として計算する式と、回転停止時の変位量G2(t)を運転経過時間tに伴って工具先端を縮める方向に変位するF2(t)と、工具先端を伸ばす方向に変位するE2(t)との和として計算する式とを求め、(3)実際の工作機械の回転開始時には、主軸の回転数nに対して、補正係数h(n,N)を変位量計算式G1(t)に乗じた変位量h・G1(t)を計算し、この変位量を打ち消す量を回転時補正量として工具先端の位置指令値を補正し、(4)工作機械の回転停止時には、主軸の回転数nに対して、補正係数h(n,N)を変位量計算式G2(t)に乗じた変位量h・G2(t)を計算し、この変位量を打ち消す量を回転停止時補正量として工具先端の位置指令値を補正することを特徴とする。
本発明において、F1(t)、F2(t)、E1(t)及びE2(t)の形としては、例えば下記式を用いることができる。
F1(t)=F1(0)−(F1(0)−F1(N))・(1−exp(−t/τd1))。但し、F1(0)は初期変位量、F1(N)は最終到達変位量、τd1は加速時の時定数である。
F2(t)=F2(0)−(F2(0)−F2(N))・(1−exp(−t/τd2))。但し、F2(0)は初期変位量、F2(N)は最終到達変位量、τd2は減速時の時定数である。
F1(t)=F1(0)−(F1(0)−F1(N))・(1−exp(−t/τd1))。但し、F1(0)は初期変位量、F1(N)は最終到達変位量、τd1は加速時の時定数である。
F2(t)=F2(0)−(F2(0)−F2(N))・(1−exp(−t/τd2))。但し、F2(0)は初期変位量、F2(N)は最終到達変位量、τd2は減速時の時定数である。
E1(t)=E1(0)−(E1(0)−E1(N))・(1−exp(−t/τe1))。但し、E1(0)は初期変位量、E1(N)は最終到達変位量、τe1は加速時の時定数である。
E2(t)=E2(0)−(E2(0)−E2(N))・(1−exp(−t/τe2))。但し、E2(0)は初期変位量、E2(N)は最終到達変位量、τe2は減速時の時定数である。
E2(t)=E2(0)−(E2(0)−E2(N))・(1−exp(−t/τe2))。但し、E2(0)は初期変位量、E2(N)は最終到達変位量、τe2は減速時の時定数である。
補正係数h(n,N)を表す式としては、nが0からNまで増加するに従って増加し、n=Nのときに1となる式であればよい。このとき、例えばh(n,N)=n2/N2を採用することができる。
工具ホルダと工具を固定するために採用される方式として、定圧予圧方式と定位置予圧方式との二種類がある。ここで定圧予圧方式とは、コイルバネ、ウェーブワッシャ等のバネを使って予圧を加える構造であり、温度に対する予圧量変化が少ない利点がある一方、構成部品の増加、剛性が低い等の欠点がある。定位置予圧方式とは、機械的な位置関係をもとに予圧を得る構造であり、構成部品が単純となり、比較的剛性が高いという利点がある一方、温度に対する予圧変化が大きい、摩耗による予圧抜けがある等の欠点が認められる。現在の数値制御工作機械については、定位置予圧方式よりも定圧予圧方式の方が多く採用されている。しかしながら、定位置予圧方式の長所を生かすために、この方式を採用するための開発が模索されている。本発明の補正方法は、定圧予圧方式または定位置予圧方式のいずれにも適用することができるが、定位置予圧方式に好ましく適用することができる。但し、その理由については、必ずしも技術的に十分に解明されていないところもある。
工具ホルダと工具を固定するために採用される方式として、定圧予圧方式と定位置予圧方式との二種類がある。ここで定圧予圧方式とは、コイルバネ、ウェーブワッシャ等のバネを使って予圧を加える構造であり、温度に対する予圧量変化が少ない利点がある一方、構成部品の増加、剛性が低い等の欠点がある。定位置予圧方式とは、機械的な位置関係をもとに予圧を得る構造であり、構成部品が単純となり、比較的剛性が高いという利点がある一方、温度に対する予圧変化が大きい、摩耗による予圧抜けがある等の欠点が認められる。現在の数値制御工作機械については、定位置予圧方式よりも定圧予圧方式の方が多く採用されている。しかしながら、定位置予圧方式の長所を生かすために、この方式を採用するための開発が模索されている。本発明の補正方法は、定圧予圧方式または定位置予圧方式のいずれにも適用することができるが、定位置予圧方式に好ましく適用することができる。但し、その理由については、必ずしも技術的に十分に解明されていないところもある。
本発明によれば、主軸工具先端の変位は、予め最高回転数Nにて、一回のみ実測しておけばよいので、簡便な変位補正方法とできる。また、工作機械の回転開始時および回転停止時の主軸工具先端の変位を、それぞれ挙動の異なる二種類の関数により表しているので、従来の一種類のみの関数で表現した場合に比べ、より精確に主軸の変位を補正することができる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
図1には、本実施形態の方法を適用した工作機械の主軸装置を示した。この図には、実際の工具の代わりに、変位量を検出するためのテスト工具2が取り付けられている。図1及び図2を参照しつつ、主軸装置の構成および駆動方法について説明する。
主軸装置の主軸1には、この主軸1を回転させる主軸モータ12が組み込まれている。主軸1の回転数は、回転検出器13によって検出される。主軸1の先端には、図示しないテーパ部が設けられており、ここには工具ホルダが挿入されている。工具ホルダには、所定の工具が脱着可能に組み付けられる。
主軸装置の主軸1には、この主軸1を回転させる主軸モータ12が組み込まれている。主軸1の回転数は、回転検出器13によって検出される。主軸1の先端には、図示しないテーパ部が設けられており、ここには工具ホルダが挿入されている。工具ホルダには、所定の工具が脱着可能に組み付けられる。
テーブルTの上には、二個の変位センサ3、4が設けられている。両センサ3、4は、それぞれスタンド5、6を介して、テーブルTの所定位置に載置されている。両変位センサ3、4は、それぞれ非接触状態でテスト工具2の変位量を測定することができる。このうち、変位センサ3は、テスト工具2のZ方向端面との距離を測定することにより、Z軸方向の変位量を測定する。また、変位センサ4は、テスト工具2の側端面との距離を測定することにより、X方向の変位量を測定する。なお、本発明においては、更にテスト工具2の外周面のY方向からの距離を検出する変位センサを設けることもできる。
図2のブロック図に示すように、プログラム解析部10がNCデータを解析し、そのNCデータ基づいて回転制御部11が主軸モータ12を制御し、回転検出器13が主軸の回転数を検出する。一方、送り制御部14は、NCデータに基づいて送りモータ15(工具2をZ軸方向の正負に移動させる)を制御し、位置検出器16が主軸の位置を検出するようになっている。本実施形態においては、送り制御部14は、後述のように、運転経過時間tの関数であるFx及びEx(但し、xは1または2である)に基づき、変位量Gxを求め、工具先端の位置を補正するようになっている。
次に、図3に示すように、最高回転数Nにおける変位量と運転経過時間tとの関係を一回のみ実測し(S100)、その実測データに基づいて、各パラメータを計算した(S102)。
<変位量の実測>
変位センサ3、4を用い、主軸を停止した状態から最高回転数Nで回転させた回転開始時におけるテスト工具2先端の変位量G1と、最高回転数Nで回転させた状態から停止した状態とした回転停止時におけるテスト工具2先端の変位量G2とを実測した。この結果を図4に示した。横軸は運転経過時間tを示し、縦軸は工具先端の変位量を示した。但し、縦軸は、工具先端を伸ばす方向(Z方向)を正とし、工具先端を縮める方向(−Z方向)を負とした。図より、回転開始時には、主軸の工具先端は、主軸の回転速度の上昇に応じて、急激に縮んだ後、運転経過時間に伴って徐々に伸長し、放熱と発熱のバランスがとれるようになると、その伸びは鈍化して定常状態に達する。
<変位量の実測>
変位センサ3、4を用い、主軸を停止した状態から最高回転数Nで回転させた回転開始時におけるテスト工具2先端の変位量G1と、最高回転数Nで回転させた状態から停止した状態とした回転停止時におけるテスト工具2先端の変位量G2とを実測した。この結果を図4に示した。横軸は運転経過時間tを示し、縦軸は工具先端の変位量を示した。但し、縦軸は、工具先端を伸ばす方向(Z方向)を正とし、工具先端を縮める方向(−Z方向)を負とした。図より、回転開始時には、主軸の工具先端は、主軸の回転速度の上昇に応じて、急激に縮んだ後、運転経過時間に伴って徐々に伸長し、放熱と発熱のバランスがとれるようになると、その伸びは鈍化して定常状態に達する。
また、回転停止時には、工具先端は急激に伸びた後、主軸の放熱によって縮み、徐々に初めの位置に戻る。こうして、図に示すような総合的な変位曲線が得られた。この変位量の実測は、工作機械を実際に操作する前に一回のみ行えばよい。
<変位量計算式に用いるパラメータの取得>
次に、この実測によって得られた変位曲線に当てはまる計算式を求めた。
上記変位曲線は、従来から説明されている主軸等の発熱による伸長のみでは説明できない。このため、本発明者は、変位曲線を二種類の異なる性格を持つ変位量の和として取り扱うこととした。すなわち、主軸等の発熱による伸長に基づく変位量(F1およびF2)と、工具ホルダ部分における引き込みに基づく変位量(E1およびE2)とである。
次に、この実測によって得られた変位曲線に当てはまる計算式を求めた。
上記変位曲線は、従来から説明されている主軸等の発熱による伸長のみでは説明できない。このため、本発明者は、変位曲線を二種類の異なる性格を持つ変位量の和として取り扱うこととした。すなわち、主軸等の発熱による伸長に基づく変位量(F1およびF2)と、工具ホルダ部分における引き込みに基づく変位量(E1およびE2)とである。
ここでF1は、回転開始時において、運転経過時間tに伴って工具先端を伸ばす方向に変位させ、F2は、回転停止時において、運転経過時間tに伴って工具先端を縮める方向に変位する。また、E1は、回転開始時において、運転経過時間tに伴って工具先端を縮める方向に変位させ、E2は、回転停止時において、運転経過時間tに伴って工具先端を伸ばす方向に変位させる。
F1およびF2は、下記のようにして、計算することができる。主軸の先端工具が初期状態(回転開始時には主軸の回転数が「0」の状態であり、回転停止時には主軸の回転数が「n」の状態である)において、変位量Fx(0)を持っているとき、主軸をn(1/min)で回転させたとき、最終的に到達する変位量をF(n)とすると、Fx(t)は下記式(1)で求められる。
F1およびF2は、下記のようにして、計算することができる。主軸の先端工具が初期状態(回転開始時には主軸の回転数が「0」の状態であり、回転停止時には主軸の回転数が「n」の状態である)において、変位量Fx(0)を持っているとき、主軸をn(1/min)で回転させたとき、最終的に到達する変位量をF(n)とすると、Fx(t)は下記式(1)で求められる。
Fx(t)=Fx(0)−(Fx(0)−Fx(n))・(1−exp(−t/τdx))………式(1)
但し、xは1または2であり、1は回転開始時を、2は回転停止時を示す。また、τd1は加速時の時定数、τd2は減速時の時定数である。
図5には、上記F1(t)およびF2(t)を時系列的に連続させたときの工具先端の変位量の変化を示した。図中、t=0は回転開始時を示し、t=t1は回転停止時を示す。このように、主軸の発熱・放熱に伴う工具先端の変位は、回転開始時においては、運転経過時間tに伴って工具先端を伸ばす方向に、回転停止時においては、運転経過時間tに伴って工具先端を縮める方向にそれぞれ変化する。
但し、xは1または2であり、1は回転開始時を、2は回転停止時を示す。また、τd1は加速時の時定数、τd2は減速時の時定数である。
図5には、上記F1(t)およびF2(t)を時系列的に連続させたときの工具先端の変位量の変化を示した。図中、t=0は回転開始時を示し、t=t1は回転停止時を示す。このように、主軸の発熱・放熱に伴う工具先端の変位は、回転開始時においては、運転経過時間tに伴って工具先端を伸ばす方向に、回転停止時においては、運転経過時間tに伴って工具先端を縮める方向にそれぞれ変化する。
また、E1およびE2は、下記のようにして、計算することができる。主軸の先端工具が初期状態(回転開始時には主軸の回転数が「0」の状態であり、回転停止時には主軸の回転数が「n」の状態である)において、変位量Ex(0)を持っているとき、主軸をn(1/min)で回転させたとき、最終的に到達する変位量をE(n)とすると、Ex(t)は下記式(2)で求められる。
Ex(t)=Ex(0)−(Ex(0)−Ex(n))・(1−exp(−t/τex))………式(2)
但し、xは1または2であり、1は回転開始時を、2は回転停止時を示す。また、τe1は加速時の時定数、τe2は減速時の時定数である。
Ex(t)=Ex(0)−(Ex(0)−Ex(n))・(1−exp(−t/τex))………式(2)
但し、xは1または2であり、1は回転開始時を、2は回転停止時を示す。また、τe1は加速時の時定数、τe2は減速時の時定数である。
図6には、上記E1(t)およびE2(t)を時系列的に連続させたときの工具先端の変位量の変化を示した。図中、t=0は回転開始時を示し、t=t1は回転停止時を示す。このように、工具ホルダ部分における引き込みに基づく変位は、回転開始時においては、運転経過時間tに伴って工具先端を縮める方向に、回転停止時においては、運転経過時間tに伴って工具先端を伸ばす方向にそれぞれ変化する。
工具先端の変位は、上記F1とE1、およびF2とE2を加えた量となる。図7には、上記F1、F2、E1、およびE2を加えた変位量G1およびG2と運転経過時間tとの関係を示した。すなわち、t=0〜t1の回転開始時には、G1(t)=F1(t)+E1(t)とし、t≧t1の回転停止時には、G2(t)=F2(t)+E2(t)とした。
工具先端の変位は、上記F1とE1、およびF2とE2を加えた量となる。図7には、上記F1、F2、E1、およびE2を加えた変位量G1およびG2と運転経過時間tとの関係を示した。すなわち、t=0〜t1の回転開始時には、G1(t)=F1(t)+E1(t)とし、t≧t1の回転停止時には、G2(t)=F2(t)+E2(t)とした。
次に、実際の工具先端の変位量について、上記関係式に基づき、下記6個のパラメータを求める。
すなわち、
F(N):主軸最高回転数Nにおける最終到達熱変位量
τd1:加速時の熱変位時定数
τd2:減速時の熱変位時定数
E(N):主軸最高回転数Nにおける工具ホルダの最終到達変位量
τe1:加速時の変位時定数
τe2:減速時の変位時定数である。
こうして、主軸の最高回転数Nにおける各パラメータを推定することができた。
すなわち、
F(N):主軸最高回転数Nにおける最終到達熱変位量
τd1:加速時の熱変位時定数
τd2:減速時の熱変位時定数
E(N):主軸最高回転数Nにおける工具ホルダの最終到達変位量
τe1:加速時の変位時定数
τe2:減速時の変位時定数である。
こうして、主軸の最高回転数Nにおける各パラメータを推定することができた。
<実際の工作機械への適用>
実際に工作機械を運転させるには、必ずしも主軸の最高回転数Nを用いるわけではない。このため、上記パラメータを用いて計算した補正値について、適当な補正係数を用いる必要がある。本実施形態では、そのような補正係数として、h(n,N)=n2/N2を用いた。すなわち、回転開始時には、主軸の回転数nに対して、上記補正係数h(n,N)をG1(t)に乗じた変位量h・G1(t)を計算し、この変位量を打ち消す量を回転時補正量として工具先端の位置指令値を補正する。
実際に工作機械を運転させるには、必ずしも主軸の最高回転数Nを用いるわけではない。このため、上記パラメータを用いて計算した補正値について、適当な補正係数を用いる必要がある。本実施形態では、そのような補正係数として、h(n,N)=n2/N2を用いた。すなわち、回転開始時には、主軸の回転数nに対して、上記補正係数h(n,N)をG1(t)に乗じた変位量h・G1(t)を計算し、この変位量を打ち消す量を回転時補正量として工具先端の位置指令値を補正する。
一方、回転停止時には、主軸の回転数nに対して、補正係数h(n,N)をG2(t)に乗じた変位量h・G2(t)を計算し、この変位量を打ち消す量を回転停止時補正量として工具先端の位置指令値を補正する。
より具体的には、図8に示したフローチャートに従う。なお、このフローチャートは、本発明の要旨に関連する部分のみを抽出したものであり、実際の工作機械において、工具の変換操作、X・Y軸方向への移動等のフロー等については、除いている。
より具体的には、図8に示したフローチャートに従う。なお、このフローチャートは、本発明の要旨に関連する部分のみを抽出したものであり、実際の工作機械において、工具の変換操作、X・Y軸方向への移動等のフロー等については、除いている。
主軸のZ軸方向への変位制御を行う場合には、図8に示すように、まずNCプログラムから主軸指令回転数を読み込み(S104)、変位量G(G1またはG2)を運転経過時間tの関数として、変位量F及び変位量Eの和として、補正値を計算する(S106)。なおこのとき、回転数nが最高回転数Nに満たない場合には、補正係数h(n,N)として、上記の式を用いる。
送り制御部にて、上記補正値を考慮しつつ、送りモータを制御する(S108)。この制御は、工作機械の操作が終了するまで行われる(S110)。
送り制御部にて、上記補正値を考慮しつつ、送りモータを制御する(S108)。この制御は、工作機械の操作が終了するまで行われる(S110)。
このように本実施形態によれば、主軸工具先端の変位は、予め最高回転数Nにて、一回のみ実測しておけばよいので、主軸の回転センサを必要とせず、簡便かつ低コストの変位補正方法とできる。また、工作機械の回転開始時および回転停止時の主軸工具先端の変位を、それぞれ挙動の異なる二種類の関数により表しているので、従来の一種類のみの関数で表現した場合に比べ、より精確に主軸の変位を補正することができる。
1…主軸
2…テスト工具(工具)
2…テスト工具(工具)
Claims (1)
- 主軸の先端に設けられた工具ホルダを介して所定の工具を脱着可能な数値制御工作機械において、
(1)実際の工作機械の運転に先立ち、主軸を停止した状態から最高回転数Nで回転させた回転開始時からの運転経過時間tと工具先端の変位量G1と、最高回転数Nで回転する状態から停止させた回転停止時までの運転経過時間tと工具先端の変位量G2とを一回のみ実測し、
(2)上記実測値に基づいて、回転開始時の工具先端の変位量計算式G1(t)を運転経過時間tに伴って工具先端を伸ばす方向に変位するF1(t)と、工具先端を縮める方向に変位するE1(t)との和として計算する式と、回転停止時の変位量計算式G2(t)を運転経過時間tに伴って工具先端を縮める方向に変位するF2(t)と、工具先端を伸ばす方向に変位するE2(t)との和として計算する式とを求め、
(3)実際の工作機械の回転開始時には、主軸の回転数nに対して、補正係数h(n,N)を変位量計算式G1(t)に乗じた変位量h・G1(t)を計算し、この変位量を打ち消す量を回転時補正量として工具先端の位置指令値を補正し、
(4)工作機械の回転停止時には、主軸の回転数nに対して、補正係数h(n,N)を変位量計算式G2(t)に乗じた変位量h・G2(t)を計算し、この変位量を打ち消す量を回転停止時補正量として工具先端の位置指令値を補正することを特徴とする主軸工具先端の変位補正方法。
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JP2005189213A Pending JP2007007752A (ja) | 2005-06-29 | 2005-06-29 | 主軸工具先端の変位補正方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008264883A (ja) * | 2007-04-16 | 2008-11-06 | Jtekt Corp | 加工装置 |
JP2009297840A (ja) * | 2008-06-13 | 2009-12-24 | Sodick Co Ltd | 工作機械および工作機械における変位補正方法 |
JP2014000662A (ja) * | 2012-06-21 | 2014-01-09 | Jtekt Corp | 工具先端位置補正装置 |
JP2020116660A (ja) * | 2019-01-21 | 2020-08-06 | オークマ株式会社 | 工作機械の熱変位補正方法及び熱変位補正装置 |
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2005
- 2005-06-29 JP JP2005189213A patent/JP2007007752A/ja active Pending
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JP2008264883A (ja) * | 2007-04-16 | 2008-11-06 | Jtekt Corp | 加工装置 |
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JP2020116660A (ja) * | 2019-01-21 | 2020-08-06 | オークマ株式会社 | 工作機械の熱変位補正方法及び熱変位補正装置 |
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