JP2020020348A - 回転軸部材支持装置及び研削盤 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成によって潤滑油を効率よく供給して流すことができ、静圧流体軸受の焼き付きを抑制可能な静圧流体軸受を有する回転軸部材支持装置を提供すること。【解決手段】回転軸部材支持装置70は、回転軸部材72の外周面と対向する軸受部材92の軸受面93に凹状に形成された静圧ポケット94を有する軸受90を備えている。軸受90は、動圧発生ランド95にて第一静圧ポケット部94aに隣接し且つ第一静圧ポケット部94aに連通するように軸線方向に沿って設けられていて、供給口94cから第一静圧ポケット部94aに供給された潤滑油を貯留するように軸受面93の径方向における深さが第一静圧ポケット部94aの径方向における深さに比べて小さく、貯留した潤滑油を回転軸部材72と動圧発生ランド95との間に流入させる軸方向溝96を備える。【選択図】図4
Description
本発明は、回転軸部材支持装置及びこの回転軸部材支持装置を備えた研削盤に関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に開示された流体軸受が知られている。この従来の流体軸受は、動圧の発生に伴って潤滑油が発熱しやすいランド部において潤滑油を排出するための排出孔が設けられている。又、従来から、例えば、下記特許文献2に開示された流体軸受装置も知られている。この従来の流体軸受装置は、回転軸部材に動圧を作用させる方向にU字形状の静圧ポケットが設けられるとともに、その他の方向に四角形状の静圧ポケットが設けられている。更に、従来から、例えば、下記特許文献3に開示された静圧軸受装置も知られている。この従来の静圧軸受装置は、U字形状の軸受ポケットで囲まれているランド部に凹部が設けられている。
一般に、静圧流体軸受を有する回転軸部材支持装置では、静圧流体軸受に設けられた静圧ポケットに潤滑油が供給され、供給された潤滑油によって回転軸部材が静圧支持される。又、静圧流体軸受を有する回転軸部材支持装置では、回転軸部材が偏心した場合に、回転軸部材の外径と静圧流体軸受の内径との差によって形成される楔状隙間における潤滑油の楔効果によって動圧を発生させて回転軸部材が動圧支持される。このような回転軸部材支持装置においては、特に、静圧流体軸受において動圧が発生する状況では、潤滑油が流体摩擦によって発熱し、その結果、回転軸部材及び静圧流体軸受の内部に熱膨張が生じて焼き付きが生じる虞がある。
この点に関し、上述した従来の流体軸受では、動圧の発生するランド部に設けられた排出孔を介して発熱した潤滑油が排出されるため、回転軸部材及び静圧流体軸受の熱膨張が抑制される。又、上述した従来の流体軸受装置及び従来の静圧流体軸受装置では、楔状隙間が大きく潤滑油の発熱が小さくなる四角形状の静圧ポケットやランド部の凹部を有しており、これらの静圧ポケットや凹部における相対的に低温の潤滑油が回転軸部材に接触することにより、回転軸部材及び静圧流体軸受の熱膨張が抑制される。
ところで、潤滑油は、楔状隙間への供給量が減少するほど、換言すれば、流れが滞るほど、流体摩擦によって発熱しやすくなる。従って、潤滑油の発熱、ひいては、回転軸部材及び静圧流体軸受の熱膨張による焼き付けを抑制するには、楔状隙間の全体に十分な潤滑油を供給して流すことが肝要である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡単な構成によって潤滑油を効率よく供給して流すことができ、静圧流体軸受の焼き付きを抑制可能な静圧流体軸受を有する回転軸部材支持装置及びこの回転軸部材支持装置を備えた研削盤を提供することにある。
本発明に係る回転軸部材支持装置は、軸受ハウジングと、軸受ハウジングに嵌着された軸受部材と、回転軸部材の外周面と対向する軸受部材の軸受面に凹状に形成された静圧ポケットと、静圧ポケットによって包囲されて軸受面に形成された動圧発生ランドと、静圧ポケットに設けられて潤滑油を調圧して静圧ポケットに供給する供給口と、を有する静圧流体軸受を備え、静圧流体軸受によって回転軸部材を回転可能に支持する回転軸部材支持装置であって、静圧ポケットは、軸受部材の軸方向に沿って延設された第一静圧ポケット部と、軸受部材の周方向に沿って延設され、且つ、第一静圧ポケット部と連通する第二静圧ポケット部と、から構成されており、静圧流体軸受は、動圧発生ランドにて第一静圧ポケット部に隣接し且つ第一静圧ポケット部に連通するように軸線方向に沿って設けられていて、供給口から第一静圧ポケット部に供給された潤滑油を貯留するように軸受面の径方向における深さが第一静圧ポケット部の径方向における深さに比べて小さく、貯留した潤滑油を回転軸部材と動圧発生ランドとの間に流入させる凹部を備える。
又、本発明に係る研削盤は、上記回転軸部材支持装置により回転可能に支持されて、砥石車を保持する回転軸部材と、潤滑油を貯留するタンクと、タンクと静圧流体軸受とを接続して潤滑油を流通させる流通路と、流通路に配設され、タンクに貯留された潤滑油を静圧流体軸受の静圧ポケットに供給する潤滑油供給装置と、静圧流体軸受から排出された潤滑油をタンクに還流させる還流路と、を備える。
これらによれば、回転軸部材支持装置の静圧流体軸受は、第一静圧ポケット部に沿って、即ち、軸線方向に沿って設けられて潤滑油を貯留して回転軸部材と動圧発生ランドとの間に潤滑油を供給する凹部を設けることができる。これにより、凹部は、回転軸部材の軸線方向に沿って回転軸部材と動圧発生ランドとの間、具体的には、楔状隙間の全体に潤滑油を十分に供給することができる。従って、簡単な構成によって潤滑油を効率よく供給して流すことができ、静圧流体軸受の焼き付きを抑制することができる。
(1.研削盤の概要)
本発明の静圧流体軸受を有する回転軸部材支持装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態において、回転軸部材支持装置は、図1に示す研削盤1に用いられる。研削盤1は、軸状の工作物Wの研削が可能な砥石台トラバース型円筒研削盤である。研削盤1は、主として、ベッド10と、主軸台20と、心押台30と、砥石支持装置40と、定寸装置50と、制御装置60と、を備えている。尚、図1において、Z軸方向は、トラバース方向であり、X軸方向は、トラバース方向と直角な水平方向であり、Y軸方向は、Z軸方向及びX軸方向と直角な鉛直方向である。
本発明の静圧流体軸受を有する回転軸部材支持装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態において、回転軸部材支持装置は、図1に示す研削盤1に用いられる。研削盤1は、軸状の工作物Wの研削が可能な砥石台トラバース型円筒研削盤である。研削盤1は、主として、ベッド10と、主軸台20と、心押台30と、砥石支持装置40と、定寸装置50と、制御装置60と、を備えている。尚、図1において、Z軸方向は、トラバース方向であり、X軸方向は、トラバース方向と直角な水平方向であり、Y軸方向は、Z軸方向及びX軸方向と直角な鉛直方向である。
ベッド10は、平面矩形状に形成されており、設置面(床)上に固定される。このベッド10の上面には、砥石支持装置40を構成する後述の砥石台トラバースベース41を摺動可能とする一対のZ軸ガイドレール11a,11bが、互いに平行にZ軸方向に沿って延設されて固定されている。一対のZ軸ガイドレール11a,11bの間には、砥石台トラバースベース41をZ軸方向に駆動するためのZ軸ボールねじ11cが配置されている。そして、ベッド10の上面には、Z軸ボールねじ11cを回転駆動するZ軸モータ11dが固定されている。
主軸台20は、主軸台本体21と、主軸22と、主軸モータ23と、主軸センタ24と、を備えている。主軸台本体21は、挿通された主軸22を回転可能に支持している。主軸台本体21は、主軸22の軸方向がZ軸方向を向き、且つ、一対のZ軸ガイドレール11a,11bと平行になるように、ベッド10の上面に固定されている。
主軸22の一端(図1において紙面左側)には、主軸モータ23が設けられている。これにより、主軸22は、主軸モータ23によって主軸台本体21に対してZ軸周りに回転駆動される。尚、主軸モータ23には、主軸モータ23の回転角を検出するエンコーダが設けられている。又、主軸22の他端(図1において紙面右側)には、軸状の工作物Wの軸方向の一端を支持する主軸センタ24が設けられている。
心押台30は、心押台本体31と、心押センタ32と、を備えている。心押台本体31は、挿通された心押センタ32を回転可能に支持している。心押台本体31は、心押センタ32の軸方向がZ軸方向を向くように、且つ、心押センタ32の回転軸が主軸22の回転軸と同軸となるようにベッド10の上面に固定されている。即ち、心押センタ32は、主軸センタ24とともに工作物Wの軸方向の両端を支持し、工作物WがZ軸周りに回転可能となるように配置される。尚、心押センタ32は、工作物Wの長さに応じて、心押台本体31の端面からの突出量の変更が可能となるように構成されている。
(2.砥石支持装置40の構成)
砥石支持装置40は、砥石台トラバースベース41と、後に詳述する回転軸部材支持装置70である砥石台42と、工具としての円盤状の砥石車43と、を備えている。砥石台トラバースベース41は、矩形の平板状に形成されており、ベッド10の上面に設けられた一対のZ軸ガイドレール11a,11b上を摺動可能に設けられている。
砥石支持装置40は、砥石台トラバースベース41と、後に詳述する回転軸部材支持装置70である砥石台42と、工具としての円盤状の砥石車43と、を備えている。砥石台トラバースベース41は、矩形の平板状に形成されており、ベッド10の上面に設けられた一対のZ軸ガイドレール11a,11b上を摺動可能に設けられている。
砥石台トラバースベース41は、Z軸ボールねじ11cのナット部材(図示省略)に連結されており、Z軸モータ11dの駆動により一対のZ軸ガイドレール11a,11bに沿って移動する。尚、Z軸モータ11dには、Z軸モータ11dの回転角を検出するエンコーダが設けられている。
砥石台トラバースベース41の上面には、砥石台42を摺動可能とする一対のX軸ガイドレール41a,41bが、互いに平行に、且つ、X軸方向に沿って固定されて延設されている。砥石台トラバースベース41の上面に固定された一対のX軸ガイドレール41a,41bの間には、砥石台42をX軸方向に駆動するためのX軸ボールねじ41cが配置されており、X軸ボールねじ41cを回転駆動するX軸モータ41dが配置されている。尚、X軸モータ41dには、X軸モータ41dの回転角を検出するエンコーダが設けられている。
砥石台42は、砥石台トラバースベース41の上面に設けられた一対のX軸ガイドレール41a,41b上を摺動可能となるように設けられている。砥石台42は、X軸ボールねじ41cのナット部材(図示省略)に連結されており、X軸モータ41dの駆動により一対のX軸ガイドレール41a,41bに沿って移動可能とされている。これにより、砥石台42は、ベッド10、主軸台20及び心押台30に対して、X軸方向及びZ軸方向(トラバース送り方向)に相対移動可能に構成されている。尚、砥石台42(回転軸部材支持装置70)の詳細については、後述する。
定寸装置50は、研削部位における工作物Wの外径を計測するための装置である。定寸装置50は、計測した外径を表す計測信号を制御装置60に出力する。
制御装置60は、Z軸モータ11d及びX軸モータ41dを含む各モータの駆動を制御する装置である。制御装置60は、各モータを駆動させることにより、工作物W及び砥石車43をZ軸周りに回転させるとともに工作物Wに対する砥石車43のZ軸方向及びX軸方向への相対位置を変更して工作物Wの外周面の研削を行う。
(3.回転軸部材支持装置70(砥石台42)の詳細)
砥石台42としての回転軸部材支持装置70は、図2に示すように、支持台としての砥石台本体71と、回転軸部材72と、静圧流体軸受としての軸受73と、タンク74と、流通路75と、潤滑油供給装置としてのポンプ76と、圧力調整弁77と、還流路78と、を備えている。砥石台本体71は、回転軸部材72を軸受73により回転可能に支持するものである。砥石台本体71の下端部には、図2及び図3に示すように、X軸方向に延びるように形成され、一対のX軸ガイドレール41a,41bに沿って案内される脚部71a,71b(図2においては、脚部71bのみを図示)が設けられている。
砥石台42としての回転軸部材支持装置70は、図2に示すように、支持台としての砥石台本体71と、回転軸部材72と、静圧流体軸受としての軸受73と、タンク74と、流通路75と、潤滑油供給装置としてのポンプ76と、圧力調整弁77と、還流路78と、を備えている。砥石台本体71は、回転軸部材72を軸受73により回転可能に支持するものである。砥石台本体71の下端部には、図2及び図3に示すように、X軸方向に延びるように形成され、一対のX軸ガイドレール41a,41bに沿って案内される脚部71a,71b(図2においては、脚部71bのみを図示)が設けられている。
回転軸部材72は、砥石車43を保持し、回転駆動されるものである。回転軸部材72は、砥石台本体71の上面にて、Z軸周りに回転可能に支持されている。回転軸部材72の一端には、円盤状の砥石車43が同軸で取り付けられている。又、砥石台本体71の上面には、ベルト・プーリ機構79(図1を参照)を介して回転軸部材72を砥石車43とともに回転駆動するための砥石回転用モータ80が固定されている。
軸受73は、静圧流体軸受であり、図3に示すように、回転軸部材72のZ軸方向に沿って離間した位置にて、回転軸部材72を回転可能に支持するものである。軸受73には、回転軸部材72を静圧支持するために、タンク74に貯留されている潤滑油が調圧されて供給されるようになっている(図2を参照)。尚、軸受73(90)の構成については、後に詳述する。
タンク74は、図1乃至図3に示すように、砥石台本体71の上部に配設されており、潤滑油を貯留するものである。具体的に、タンク74は、砥石台本体71の上方(図2において紙面上方)となる上面から下方(図2において紙面下方)に向けて凹むように、且つ、上方を開放するように形成されている。又、タンク74は、軸受73の下方に位置する部位を有するように形成されている。
流通路75は、タンク74と軸受73とを接続しており、タンク74からポンプ76によって汲み上げられた潤滑油を流通させる流路である。尚、本実施形態においては、図2に示すように、流通路75を砥石台本体71の外部に配設するようにするが、砥石台本体71の内部に配設することも可能である。
ポンプ76は、タンク74及び流通路75に接続されており、タンク74の貯留された潤滑油を汲み上げて軸受73に供給するものである。具体的に、ポンプ76は、図2に示すように、吸込口76aがタンク74に貯留された潤滑油に浸漬した状態で、砥石台本体71に固定されている。これにより、ポンプ76は、吸込口76aからタンク74に貯留された潤滑油を汲み上げ、汲み上げた潤滑油を流通路75を介して軸受73に供給する。
ここで、ポンプ76は、制御装置60と電気的に接続されており、作動が制御装置60によって制御されるようになっている。これにより、ポンプ76は、制御装置60によって回転数等が制御されることによって、流通路75を流通する潤滑油の流量や液圧等を調整する。
圧力調整弁77は、図2に示すように、流通路75において軸受73よりも上流側に配設されている。このように配設されることにより、圧力調整弁77は、静圧流体軸受である軸受73に供給される潤滑油の圧力を所定圧力に調圧する。尚、圧力調整弁77としては、例えば、直動式減圧弁等を用いることが可能であり、省略することも可能である。
還流路78は、図2に示すように、軸受73から排出された潤滑油をタンク74に還流させる流路である。本実施形態において、還流路78は、軸受73の下端部がタンク74に向けて開放されることにより形成されている。これにより、軸受73を通過した潤滑油は、還流路78を介して、タンク74に自重によって排出されるようになっている。尚、還流路78については、軸受73及びタンク74を接続するように別途設けられた配管によって構成することも可能である。
(4.軸受90(73)の詳細)
静圧流体軸受である軸受90は、図4に示すように、軸受ハウジング91と、軸受部材92と、軸受面93と、を備えている。そして、回転軸部材72の外周側には軸受面93を有する円筒状の軸受部材92が軸受ハウジング91の内周面に圧入、焼き嵌め等により嵌着一体化されて構成されている。
静圧流体軸受である軸受90は、図4に示すように、軸受ハウジング91と、軸受部材92と、軸受面93と、を備えている。そして、回転軸部材72の外周側には軸受面93を有する円筒状の軸受部材92が軸受ハウジング91の内周面に圧入、焼き嵌め等により嵌着一体化されて構成されている。
又、軸受90は、軸受部材92の軸受面93に設けられた、静圧ポケット94と、動圧発生ランド95と、軸方向溝96と、ドレン溝97と、を有している。これにより、軸受90は、回転軸部材72を静圧支持可能であるとともに動圧支持可能となっている。
静圧ポケット94は、図4に示すように、軸受面93から数mm程度の深さを有するように、U字形状に設けられている。具体的に、静圧ポケット94は、軸受部材92の軸線方向(回転軸部材72の軸線方向と一致する方向であって、例えば、Z軸方向)に沿って延設された第一静圧ポケット部94aと、軸受部材92の周方向(回転軸部材72の周方向と一致する方向)に沿って延設された二本一対の第二静圧ポケット部94bと、から構成されている。静圧ポケット94は、軸受部材92の周方向に沿って複数、例えば、四〜六か所程度設けられている。
ここで、本明細書、要約書及び特許請求の範囲の記載において、「軸線方向に沿って」とは、軸線と厳密に一致する方向を含むとともに、軸線と直交する方向の成分を有していて仮想平面上に投影した場合に軸線と交点を有する方向(例えば、軸線に対して45度以下となる方向)を含む概念である。又、本明細書、要約書及び特許請求の範囲の記載において、「周方向に沿って」とは、軸線に直交する平面と周面との交線と厳密に一致する方向を含むとともに、交線と直交する方向の成分を有していて仮想平面上に投影した場合に交線と交点を有する方向(例えば、交線に対して45度以下となる方向)を含む概念である。
本実施形態において、第一静圧ポケット部94aには、潤滑油を供給する供給口94cが開口されている。供給口94cは、流通路75に連通するように軸受ハウジング91に設けられた潤滑油供給路91a、軸受部材92の外周に設けられて潤滑油供給路91aに連通する環状溝92a、及び、環状溝92aに連通して絞り作用をなす連通孔92bに連通している。
動圧発生ランド95は、U字形状の静圧ポケット94の第一静圧ポケット部94a及び一対の第二静圧ポケット部94bに囲まれた部分に形成されている。動圧発生ランド95は、軸受部材92の軸受面93とほぼ同一の内周面高さを有しており、後述するように、回転軸部材72の回転に伴って動圧を発生させる。
軸方向溝96は、図4に示すように、静圧ポケット94を構成する第一静圧ポケット部94aと連通するとともに、第一静圧ポケット部94aに沿うように隣接して軸線方向に延設されている。ここで、本実施形態においては、軸方向溝96は、一端96a及び他端96bの両端が静圧ポケット94を構成する一対の第二静圧ポケット部94bから離間する、即ち、一端96a及び他端96bを介して一対の第二静圧ポケット部94bと直接的に連通しないようになっている。これにより、軸方向溝96の一端96a及び他端96bと第二静圧ポケット部94bとの間に動圧発生ランド95の一部分が存在し、この一部分は軸方向溝96から第二静圧ポケット部94bに向けて潤滑油が流れることを阻害する堰95aとして機能する。
軸方向溝96は、図5に概略的に展開した断面図により示すように、動圧発生ランド95(軸受面93)から数百μm程度の深さを有するように、即ち、静圧ポケット94を構成する第一静圧ポケット部94aの深さよりも浅くなるように設けられている。そして、第一静圧ポケット部94aと連通する軸方向溝96に満たされた潤滑油は、図6に示すように、動圧発生ランド95に向けて選択的に流れる。
これにより、供給口94cから潤滑油が供給されて第一静圧ポケット部94aから動圧発生ランド95に潤滑油が流れる場合、潤滑油は軸方向溝96を介して供給される。そして、回転軸部材72が回転している状態では、図5に示すように、軸方向溝96に貯留されている潤滑油に回転軸部材72の回転に伴う渦が発生することにより、第一静圧ポケット部94aに貯留されている潤滑油と撹拌(ミキシング)される。潤滑油は回転軸部材72の外周面と動圧発生ランド95との間に形成される隙間(後述する軸受隙間及び楔状隙間)に向けて流入する。
ドレン溝97は、U字形状の静圧ポケット94の第二静圧ポケット部94bに隣接するように、即ち、静圧ポケット94の軸線方向の両端に位置するように、軸受部材92の軸受面93に設けられている。ドレン溝97は、軸受部材92及び軸受ハウジング91に設けられた排出孔92c及び排出孔91bに連通している。尚、排出孔92c及び排出孔91bは、還流路78と連通しており、ドレン溝97に流入した潤滑油は、タンク74に排出されて回収される。
ここで、上述のように構成された軸受90の作用を説明する。ポンプ76によって汲み上げられた潤滑油は、流通路75及び圧力調整弁77を経ることにより数Mpa程度に調圧されて、軸受部材92の外周の環状溝92aから絞り作用をなす連通孔92bを経て最終的に静圧ポケット94に供給される。そして、例えば、5000〜6000rpmで回転する回転軸部材72が軸受部材92に対して偏心していない状態においては、静圧ポケット94内及び軸方向溝96内に充満した潤滑油を回転軸部材72の外周面と動圧発生ランド95を含む軸受面93との隙間(軸受隙間)に強制的に供給することによって潤滑油膜が形成され、静圧が発生する。その結果、偏心していない回転軸部材72は、静圧支持される。
尚、動圧発生ランド95と回転軸部材72との間に軸受隙間が存在する場合には、回転軸部材72が偏心していない。このため、U字形状の静圧ポケット94から流入される潤滑油により、動圧発生ランド95には静圧ポケット94と同一の静圧が発生する。
一方、砥石車43が工作物Wに接触して研削加工を行う場合、回転軸部材72に加工(研削)反力が作用して回転軸部材72の中心軸が偏心される。このように、中心軸が偏心されると、回転軸部材72の外径と動圧発生ランド95(即ち、軸受面93)の内径との差異により、軸受隙間が偏心した側に次第に狭くなる楔状隙間が形成される。この楔状隙間に潤滑油が回転する回転軸部材72の表面につれ廻りを起こして引き込まれることにより、動圧発生ランド95に動圧が発生して回転軸部材72が動圧支持される。
(5.実施例と比較例との対比)
ところで、軸受90においては、回転軸部材72が回転している場合、主として静圧ポケット94の第一静圧ポケット部94aから軸方向溝96を介して動圧発生ランド95に潤滑油が供給される。軸方向溝96は、上述したように、第一静圧ポケット部94aに沿って即ち軸線方向に沿って延設された溝である。従って、楔状隙間に潤滑油が供給される場合、軸方向溝96に貯留された潤滑油は軸線方向に沿って拡がって供給される。
ところで、軸受90においては、回転軸部材72が回転している場合、主として静圧ポケット94の第一静圧ポケット部94aから軸方向溝96を介して動圧発生ランド95に潤滑油が供給される。軸方向溝96は、上述したように、第一静圧ポケット部94aに沿って即ち軸線方向に沿って延設された溝である。従って、楔状隙間に潤滑油が供給される場合、軸方向溝96に貯留された潤滑油は軸線方向に沿って拡がって供給される。
具体的に、図7に示すように、軸方向溝96を備えていない比較品の場合には、静圧ポケット194に設けられた供給口194cから噴出した潤滑油は、点状の供給口194cを中心として回転軸部材72とともに楔状隙間を形成する動圧発生ランド195に供給される。これにより、潤滑油は、図7に示すように、楔状隙間を形成する動圧発生ランド195に対して周方向に沿った一部分に主に供給されるようになる。
この場合、潤滑油が十分に供給される部分(具体的には楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド195の軸線方向における中央部分)においては、流体摩擦によって発熱した潤滑油は流れてタンク74に回収される。ところが、潤滑油が十分に供給されない部分(具体的には楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド195の軸線方向に両端部分)においては、潤滑油が中央部分に比べて相対的に不足しており、その結果、両端部分は流体摩擦によって発熱した潤滑油が滞留する虞がある。
このため、両端部分は、図7に示すように、発熱した潤滑油が滞留することにより、中央部分に比べて相対的に高温になる。従って、軸方向溝96を有していない静圧ポケット194を有する比較品においては、両端部分に対応する回転軸部材72及び動圧発生ランド195における温度が上昇し、その結果、回転軸部材72及び軸受90の軸受部材92に熱膨張が生じて回転軸部材72の外周面と軸受面93(動圧発生ランド195)との間の隙間が縮小する。そして、回転軸部材72及び動圧発生ランド95の熱膨張によって隙間が縮小することにより、更に潤滑油の不足を招き、比較品では最終的に回転軸部材72及び動圧発生ランド195の焼き付きが生じる可能性がある。
これに対して、軸方向溝96を備えている場合には、図6に示すように、潤滑油が軸方向溝96によって一旦貯留され、その後、軸線方向に延設された軸方向溝96から潤滑油が楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド95に供給される。これにより、潤滑油は、図6に示すように、楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド95の中央部分及び両端部分に十分供給される。
その結果、流体摩擦によって発熱した潤滑油はタンク74に回収され、タンク74にて冷却された後、再び供給されるようになり、中央部分及び両端部分においては適切に冷却された潤滑油が供給されることによって温度の上昇が抑制される。従って、回転軸部材72及び軸受部材92の熱膨張が抑制され、回転軸部材72の外周面と軸受面93(動圧発生ランド95)との間の隙間の縮小が抑制される。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態の回転軸部材支持装置70は、軸受ハウジング91と、軸受ハウジング91に嵌着された軸受部材92と、回転軸部材72の外周面と対向する軸受部材92の軸受面93に凹状に形成された静圧ポケット94と、静圧ポケット94によって包囲されて軸受面93に形成された動圧発生ランド95と、静圧ポケット94に設けられて潤滑油を調圧して静圧ポケット94に供給する供給口94cと、を有する静圧流体軸受としての軸受90(73)を備え、軸受90(73)によって回転軸部材72を回転可能に支持する回転軸部材支持装置であって、静圧ポケット94は、軸受部材92の軸線方向に沿って延設された第一静圧ポケット部94aと、軸受部材92の周方向に沿って延設され、且つ、第一静圧ポケット部94aと連通する第二静圧ポケット部94bと、から構成されており、軸受90(73)は、動圧発生ランド95にて第一静圧ポケット部94aに隣接し且つ第一静圧ポケット部94aに連通するように軸線方向に沿って設けられていて、供給口94cから第一静圧ポケット部94aに供給された潤滑油を貯留するように軸受面93の径方向における深さが第一静圧ポケット部94aの径方向における深さに比べて小さく、貯留した潤滑油を回転軸部材72と動圧発生ランド95との間に流入させる凹部としての軸方向溝96を備える。
ここで、回転軸部材支持装置70を砥石台42として備える研削盤1は、砥石台42としての回転軸部材支持装置70により回転可能に支持されて、砥石車43を保持する回転軸部材72と、潤滑油を貯留するタンク74と、タンク74と軸受90(73)とを接続して潤滑油を流通させる流通路75と、流通路75に配設され、タンク74に貯留された潤滑油を軸受90(73)の静圧ポケット94に供給する潤滑油供給装置としてのポンプ76と、軸受90(73)から排出された潤滑油をタンク74に還流させる還流路78と、を備える。
これらによれば、回転軸部材支持装置70の軸受90(73)は、第一静圧ポケット部94aに沿って、即ち、軸線方向に沿って設けられて潤滑油を貯留して回転軸部材72と動圧発生ランド95との間に潤滑油を供給する凹部としての軸方向溝96を設けることができる。これにより、軸方向溝96は、回転軸部材72の軸線方向に沿って回転軸部材72と動圧発生ランド95との間、具体的には、楔状隙間の全体に潤滑油を十分に供給することができる。従って、簡単な構成によって潤滑油を効率よく供給して流すことができ、軸受90(73)の焼き付きを抑制することができる。
これらの場合、軸受90(73)は、軸方向溝96における軸線方向の両端部と第二静圧ポケット部94bとの間に、軸方向溝96と第二静圧ポケット部94bとの連通を遮断する堰95aを有する。
これによれば、堰95aは軸方向溝96に貯留された潤滑油が第二静圧ポケット部94bに流れることを防止することができる。その結果、軸方向溝96は、楔状隙間の全体に潤滑油を十分に供給することができ、軸受90(73)の焼き付きをより抑制することができる。
更に、これらの場合、静圧ポケット94は、第一静圧ポケット部94aの軸線方向におけるそれぞれの端部と、周方向にて互いに離間した二本一対の第二静圧ポケット部94bと、が連結されたU字形状とすることができる。
これによれば、回転軸部材72の回転停止及び回転に拘わらず、回転軸部材72の外周面と軸受面93との間の隙間即ち軸間隙間に適切な大きさの静圧を付与することができる。従って、例えば、回転軸部材72の偏心に伴って軸間隙間におけるキャビテーションの発生を抑制することができ、軸受90(73)は、回転軸部材72と軸受90(73)との間の焼き付き等の発生をより抑制することができて回転軸部材72を安定して回転させることができる。
(6.第一変形例)
上記実施形態においては、軸受90に設けられる軸方向溝96を、静圧ポケット94を構成する第一静圧ポケット部94aに沿って連続的に設けるようにした。ところで、上述したように、静圧ポケット94(より具体的には、第一静圧ポケット部94a)から供給される潤滑油は、楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド95の軸線方向における両端部分において相対的に不足する。
上記実施形態においては、軸受90に設けられる軸方向溝96を、静圧ポケット94を構成する第一静圧ポケット部94aに沿って連続的に設けるようにした。ところで、上述したように、静圧ポケット94(より具体的には、第一静圧ポケット部94a)から供給される潤滑油は、楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド95の軸線方向における両端部分において相対的に不足する。
従って、軸方向溝96を第一静圧ポケット部94aに沿って連続的に設けることに代えて、例えば、図8に示すように、静圧ポケット94(第一静圧ポケット部94a)に連通し、且つ、軸線方向にて供給口94cの両側に配置されるように、軸方向溝96を不連続に(分割して)設けることも可能である。このように、軸方向溝96を軸線方向にて分割して設けた場合であっても、楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド95の中央部分及び両端部分に潤滑油を十分に供給することが可能であるため、上記実施形態と同様の効果が得られる。
(7.第二変形例)
上記実施形態においては、供給口94cを静圧ポケット94の第一静圧ポケット部94aの内部、より詳しくは、第一静圧ポケット部94aの溝幅においてほぼ中央に配置するようにした。これにより、供給口94cから供給された潤滑油が、静圧ポケット94を満たすとともに第一静圧ポケット部94aに連通する軸方向溝96を満たすようにした。これに代えて、例えば、図9に示すように、供給口94cを、第一静圧ポケット部94aと、第一静圧ポケット部94aに沿って設けられる軸方向溝96と、の間、即ち、第一静圧ポケット部94aの溝幅において軸方向溝96側に配置することも可能である。
上記実施形態においては、供給口94cを静圧ポケット94の第一静圧ポケット部94aの内部、より詳しくは、第一静圧ポケット部94aの溝幅においてほぼ中央に配置するようにした。これにより、供給口94cから供給された潤滑油が、静圧ポケット94を満たすとともに第一静圧ポケット部94aに連通する軸方向溝96を満たすようにした。これに代えて、例えば、図9に示すように、供給口94cを、第一静圧ポケット部94aと、第一静圧ポケット部94aに沿って設けられる軸方向溝96と、の間、即ち、第一静圧ポケット部94aの溝幅において軸方向溝96側に配置することも可能である。
これによれば、供給口94cから潤滑油が供給された場合、潤滑油は、静圧ポケット94(第一静圧ポケット部94a及び第二静圧ポケット部94b)を満たすと同時に軸方向溝96を満たすことができる。従って、軸方向溝96を介して、楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド95の中央部分及び両端部分に対して、潤滑油を速やかに供給することができる。更に、第一静圧ポケット部94a及び軸方向溝96に満たされた潤滑油を、上記実施形態と同様に(図5を参照)確実に撹拌することができ、回転軸部材72及び動圧発生ランド95を良好に冷却することができる。
(8.第三変形例)
上記実施形態においては、軸方向溝96の溝幅を一定するようにした。これに代えて、図10に示すように、軸方向溝96を、第一静圧ポケット部94aから離間した側の溝壁が周方向に向けて凸となるように、具体的には、軸方向溝96の溝壁のうちの動圧発生ランド95側の溝壁を動圧発生ランド95に向けて凸となるように設けることも可能である。
上記実施形態においては、軸方向溝96の溝幅を一定するようにした。これに代えて、図10に示すように、軸方向溝96を、第一静圧ポケット部94aから離間した側の溝壁が周方向に向けて凸となるように、具体的には、軸方向溝96の溝壁のうちの動圧発生ランド95側の溝壁を動圧発生ランド95に向けて凸となるように設けることも可能である。
このように、軸方向溝96の一方の溝壁を動圧発生ランド95に向けて凸となるように設けることにより、軸方向溝96に貯留された潤滑油が楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド95に向けて放射状に流れ出やすくなる。これにより、回転軸部材72及び動圧発生ランド95の中央部分及び両端部分に向けてより確実に潤滑油を供給することができ、その結果、回転軸部材72及び動圧発生ランド95の温度上昇に伴う熱膨張を抑制することができる。
(9.第四変形例)
上記実施形態においては、静圧ポケット94の第一静圧ポケット部94aに一つの供給口94cを設けるようにした。これに代えて、図11に示すように、第一静圧ポケット部94aにおいて複数の供給口94cを軸線方向に沿うように設けることも可能である。
上記実施形態においては、静圧ポケット94の第一静圧ポケット部94aに一つの供給口94cを設けるようにした。これに代えて、図11に示すように、第一静圧ポケット部94aにおいて複数の供給口94cを軸線方向に沿うように設けることも可能である。
この場合、それぞれの供給口94cを小径とすることが可能となる。このように、供給口94cを複数設ける場合には、例えば、回転軸部材72及び動圧発生ランド95において温度の上昇が予想される位置に対応して供給口94cを配置することができ、回転軸部材72及び動圧発生ランド95に十分な潤滑油を供給することができる。
(10.その他の変形例)
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び上記各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び上記各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態及び上記各変形例においては、静圧ポケット94を構成する第一静圧ポケット部94aを軸線方向に沿って直線状に設けるようにした。これに代えて、図12に示すように、静圧ポケット94を構成する第一静圧ポケット部94aを曲線状(円弧状)に設けることも可能である。
この場合には、図12に示すように、第一静圧ポケット部94aに沿って設けられる軸方向溝96も、曲線状(円弧状)の第一静圧ポケット部94aに合わせて曲線状(円弧状)に設けられる。このように、静圧ポケット94の第一静圧ポケット部94a及び軸方向溝96を曲線状(円弧状)に設けた場合であっても、楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド95の軸線方向における中央部分及び両端部分に潤滑油を十分に供給することができ、上記実施形態及び上記変形例と同様の効果が得られる。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、軸方向溝96の一端96a及び他端96bが静圧ポケット94を構成する一対の第二静圧ポケット部94bに連通しないように、即ち、一端96a及び他端96bと第二静圧ポケット部94bとの間に動圧発生ランド95による堰95aが形成されるように軸方向溝96を設けるようにした。これにより、動圧発生ランド95によって形成された堰95aが軸方向溝96から楔状隙間に供給された直後の潤滑油の広がりを抑制し、その結果、潤滑油が周方向(下流)に向けて流れることなく軸方向に存在する第二静圧ポケット部94bに向けて即ち第二静圧ポケット部94bに隣接するドレン溝97に向けて流れてしまうことを効果的に抑制できるようにした。
これに代えて、図13に示すように、軸方向溝96の一端96a及び他端96bが一対の第二静圧ポケット部94bのそれぞれに連通するように、軸方向溝96を設けることも可能である。このように、一端96a及び他端96bが第二静圧ポケット部94bと連通する場合、動圧発生ランド95による堰95aが存在しないため、軸方向溝96から動圧発生ランド95に流れた潤滑油は、動圧発生ランド95に供給された直後から第二静圧ポケット部94b(即ち、ドレン溝97)に向けて流れやすくなる。
しかしながら、軸方向溝96の両端部分を第二静圧ポケット部94bと連通させた場合、加工コストを低減して安価に軸方向溝96を設けることが可能となる。そして、この場合においても、軸方向溝96を設けない場合に比べて、楔状隙間を形成する回転軸部材72及び動圧発生ランド95の両端部分に潤滑油を供給すること可能となる。従って、この場合においても、上記実施形態及び上記各変形例と同等の効果が期待できるとともに、軸受90(73)を有する回転軸部材支持装置を備えた研削盤1の製造コストを低減することができる。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、軸方向溝96を静圧ポケット94の第一静圧ポケット部94aに対して動圧発生ランド95の側にのみ設けるようにした。これに加えて、図14に示すように、軸方向溝96を第一静圧ポケット部94aに対して動圧発生ランド95とは反対側にも設けることも可能である。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、二本一対の第二静圧ポケット部94bを一本の第一静圧ポケット部94aと連通するように設け、静圧ポケット94がU字形状となるようにした。これに代えて、一本の第二静圧ポケット部94bを一本の第一静圧ポケット部94aと連通させて静圧ポケット94をL字形状としたり、二本一対の第二静圧ポケット部94bを二本一対の第一静圧ポケット部94aのそれぞれと連通させて矩形状(O字形状)としたりすることも可能である。
更に、上記実施形態及び上記各変形例においては、静圧流体軸受を有する主軸装置を研削盤1に用いるようにした。これに代えて、静圧流体軸受を有する主軸装置を研削盤1以外の装置、例えば、回転軸を有する各種測定器や、車両、船、タービン等のシャフトの軸受装置等に用いることが可能であることは言うまでもない。
1…研削盤、10…ベッド、11a,11b…Z軸ガイドレール、11c…Z軸ボールねじ、11d…Z軸モータ、20…主軸台、21…主軸台本体、22…主軸、23…主軸モータ、24…主軸センタ、30…心押台、31…心押台本体、32…心押センタ、40…砥石支持装置、41…砥石台トラバースベース、41a,41b…X軸ガイドレール、41c…X軸ボールねじ、41d…X軸モータ、42…砥石台(回転軸部材支持装置)、43…砥石車、50…定寸装置、60…制御装置、70…回転軸部材支持装置、71…砥石台本体、71a,71b…脚部、72…回転軸部材、73…軸受(静圧流体軸受)、74…タンク、75…流通路、76…ポンプ(潤滑油供給装置)、76a…吸込口、77…圧力調整弁、78…還流路、79…ベルト・プーリ機構、80…砥石回転用モータ、90…軸受(静圧流体軸受)、91…軸受ハウジング、91a…潤滑油供給路、91b…排出孔、92…軸受部材、92a…環状溝、92b…連通孔、92c…排出孔、93…軸受面、94…静圧ポケット、94a…第一静圧ポケット部、94b…第二静圧ポケット部、94c…供給口、95…動圧発生ランド、95a…堰、96…軸方向溝(凹部)、96a…一端、96b…他端、97…ドレン溝、194…静圧ポケット、194c…供給口、195…動圧発生ランド、W…工作物
Claims (6)
- 軸受ハウジングと、
前記軸受ハウジングに嵌着された軸受部材と、
回転軸部材の外周面と対向する前記軸受部材の軸受面に凹状に形成された静圧ポケットと、
前記静圧ポケットによって包囲されて前記軸受面に形成された動圧発生ランドと、
前記静圧ポケットに設けられて潤滑油を調圧して前記静圧ポケットに供給する供給口と、を有する静圧流体軸受を備え、
前記静圧流体軸受によって前記回転軸部材を回転可能に支持する回転軸部材支持装置であって、
前記静圧ポケットは、
前記軸受部材の軸線方向に沿って延設された第一静圧ポケット部と、前記軸受部材の周方向に沿って延設され、且つ、前記第一静圧ポケット部と連通する第二静圧ポケット部と、から構成されており、
前記静圧流体軸受は、
前記動圧発生ランドにて前記第一静圧ポケット部に隣接し且つ前記第一静圧ポケット部に連通するように前記軸線方向に沿って設けられていて、前記供給口から前記第一静圧ポケット部に供給された前記潤滑油を貯留するように前記軸受面の径方向における深さが前記第一静圧ポケット部の前記径方向における深さに比べて小さく、貯留した前記潤滑油を前記回転軸部材と前記動圧発生ランドとの間に流入させる凹部を備えた、回転軸部材支持装置。 - 前記凹部は、
前記第一静圧ポケット部に沿って延設された軸方向溝であり、
前記静圧流体軸受は、
前記軸方向溝における前記軸線方向の両端部と前記第二静圧ポケット部との間に、前記軸方向溝と前記第二静圧ポケット部との連通を遮断する堰を有する、請求項1に記載の回転軸部材支持装置。 - 前記軸方向溝は、
前記第一静圧ポケット部から離間した側の溝壁が前記周方向に向けて凸となるように設けられる、請求項2に記載の回転軸部材支持装置。 - 前記供給口は、
前記第一静圧ポケット部において前記軸線方向に沿って複数設けられる、請求項1乃至請求項3のうちの何れか一項に記載の回転軸部材支持装置。 - 前記静圧ポケットは、
前記第一静圧ポケット部の前記軸線方向におけるそれぞれの端部と、前記周方向にて互いに離間した二本一対の前記第二静圧ポケット部と、が連結されたU字形状である、請求項1乃至請求項4のうちの何れか一項に記載の回転軸部材支持装置。 - 請求項1乃至請求項5のうちの何れか一項に記載の回転軸部材支持装置により回転可能に支持されて、砥石車を保持する前記回転軸部材と、
前記潤滑油を貯留するタンクと、
前記タンクと前記静圧流体軸受とを接続して前記潤滑油を流通させる流通路と、
前記流通路に配設され、前記タンクに貯留された前記潤滑油を前記静圧流体軸受の前記静圧ポケットに供給する潤滑油供給装置と、
前記静圧流体軸受から排出された前記潤滑油を前記タンクに還流させる還流路と、を備えた研削盤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018142137A JP2020020348A (ja) | 2018-07-30 | 2018-07-30 | 回転軸部材支持装置及び研削盤 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018142137A JP2020020348A (ja) | 2018-07-30 | 2018-07-30 | 回転軸部材支持装置及び研削盤 |
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---|---|
JP2020020348A true JP2020020348A (ja) | 2020-02-06 |
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ID=69589630
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JP2018142137A Pending JP2020020348A (ja) | 2018-07-30 | 2018-07-30 | 回転軸部材支持装置及び研削盤 |
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JP (1) | JP2020020348A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114382781A (zh) * | 2021-12-03 | 2022-04-22 | 中国建筑股份有限公司 | 一种具有偏转自由度的大载荷高刚度平面静压轴承 |
-
2018
- 2018-07-30 JP JP2018142137A patent/JP2020020348A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114382781A (zh) * | 2021-12-03 | 2022-04-22 | 中国建筑股份有限公司 | 一种具有偏转自由度的大载荷高刚度平面静压轴承 |
CN114382781B (zh) * | 2021-12-03 | 2023-07-21 | 中国建筑股份有限公司 | 一种具有偏转自由度的大载荷高刚度平面静压轴承 |
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