JP7062885B2 - 静圧スライド案内装置及び静圧スライド案内装置を備えた工作機械 - Google Patents
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Description
本発明に係る静圧スライド案内装置は、
基準面となる第一縦案内面及び前記第一縦案内面の法線方向とは反対方向の法線方向となる第二縦案内面を有する固定体と、
前記第一縦案内面に対向する第一縦スライド面及び前記第二縦案内面に対向する第二縦スライド面を有する可動体と、
流体供給装置と、
前記流体供給装置が供給する流体の流体圧を所望の所定流体圧に調圧可能なレギュレータである調圧装置と、
前記第一縦案内面又は前記第一縦スライド面に設けられ、前記流体供給装置によって流体が供給され、前記第一縦案内面と前記第一縦スライド面との間の第一隙間の大きさに応じた流体圧が作用され、前記可動体に対して前記第一隙間の大きさに応じた支持剛性を発揮する静圧支持部と、
前記第二縦案内面又は前記第二縦スライド面に設けられ、前記調圧装置によって前記所定流体圧に調圧された流体が供給されることにより前記可動体を前記第一縦案内面の方向に付勢する付勢力発生部と、
前記流体供給装置から前記静圧支持部への供給経路に設けられ、前記静圧支持部に供給する前記流体の流体圧を前記第一隙間の大きさに応じて変動させる可変絞りと、
前記調圧装置における前記付勢力発生部側の圧力を計測する圧力計と、
を備え、
前記静圧支持部に作用する前記流体圧は、前記可動体の移動に伴い前記第一隙間が小さくなると、上昇する隙間-流体圧関係を有し、
前記可変絞りは、前記静圧支持部に作用する前記流体圧が上昇すると、前記静圧支持部に供給する前記流体の流量を増加するように作用し、
前記調圧装置は、前記圧力計により計測される圧力が前記所定流体圧の大きさに一致するように調圧可能に構成され、
前記調圧装置における前記所定流体圧の大きさは、前記隙間-流体圧関係から得られる静圧支持流体圧範囲であって前記第一隙間の大きさが隙間設定値となるような前記静圧支持部に作用する前記流体圧の範囲である前記静圧支持流体圧範囲と、前記静圧支持部における静圧ポケット面積と、前記付勢力発生部における荷重負荷ポケット面積とに基づいて決定される。
本発明に係る工作機械は、工作物を加工する工具を有した工作機械であって、前記工作機械には上記静圧スライド案内装置が適用される。前記工作物及び工具の一方が前記可動体に設けられ、前記工作物及び工具の他方が前記固定体に設けられる。これにより、上記と同様、固定体に対する可動体の支持剛性が容易に確保できる低コストな静圧スライド案内装置を備えた低コストな工作機械が得られる。
以下に本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。図1には、本発明の静圧スライド案内装置40(図2参照)を適用した研削盤1(工作機械に相当)の実施形態を示す。研削盤1は、砥石台トラバース型研削盤である。図1は、研削盤1の平面図の例を示し、図2は、図1におけるII-II断面図を示す。また、X軸、Y軸、Z軸が記載されている全ての図面において、X軸とY軸とZ軸とは互いに直交している。Y軸は鉛直上向きを示しており、Z軸とX軸は水平方向を示している。Z軸はワーク回転軸方向を示しており、X軸方向は砥石車15(本発明の工具に相当する)が、ワークW(本発明の工作物に相当する)に切り込む方向を示している。
図1に示すように、研削盤1は、床上に固定されたベッド11と、ベッド11に固定されたワークWを回転可能に両端支持する主軸台12及び心押装置13とを備える。さらに、研削盤1は、ベッド11上をZ軸方向及びX軸方向に移動可能な砥石台14と、砥石台14に回転可能に支持される砥石車15と、静圧スライド案内装置40(図2参照)と、主軸台12及び砥石車15を駆動させ、かつワークWに対する砥石車15の位置を制御する制御装置18とを備える。
図2に示すように、静圧スライド案内装置40は、トラバースベース19(固定体に相当する)と、砥石台14(可動体に相当する)と、油圧ポンプ33(流体供給装置に相当する)と、調圧装置38と、複数の可変絞り24と、各可変絞り24を介して油圧ポンプ33と接続される静圧ポケット34(静圧支持部に相当する)及び静圧ポケット36と、調圧装置38を介して油圧ポンプ33と接続される荷重負荷ポケット35(付勢力発生部に相当する)と、圧力計39とを備える。なお、トラバースベース19(固定体)、及び砥石台14(可動体)は、研削盤1(工作機械に相当)と兼用である。そして、静圧ポケット34,36により流体軸受は構成され、可変絞り24の可変する絞りの抵抗の特性により流体軸受の支持剛性が高いものとなっている。
図2に示すように、静圧ポケット34(静圧支持部)は、基準面となる第一縦案内面16aと対向する第一縦スライド面14a1に設けられ、凹状に形成される。静圧ポケット34は、上述した静圧ポケット36と同様、可変絞り24を介して油圧ポンプ33(流体供給装置)と接続される。
流体は、このような流量特性を有する可変絞り24を介して油圧ポンプ33から静圧ポケット34に供給される。このとき、静圧ポケット34内の第一流体圧P1は、流体軸受が支持する負荷により変動し、図5のグラフGr1に示す第一隙間L1と第一流体圧P1との関係となり、この関係に基づき静圧ポケット34内の圧力が調整される。なお、図5のグラフGr1では、横軸が第一隙間L1(μm)であり、縦軸が第一流体圧P1(MPa)である。また、このときの流体軸受の流量は、図4に示す静圧ポケット34内の第一流体圧P1と流体軸受の流量との関係になる。
次に、第一流体圧P1と支持剛性Gとの関係について説明する(図6参照)。図6のグラフGr2は、静圧ポケット34への流体の供給経路に可変絞り24を備えた場合における第一流体圧P1と支持剛性Gとの関係を示す。なお、図6には、参考として、可変絞り24に替えて固定絞りを油圧ポンプ33と静圧ポケット34との間に配置した場合における特性(グラフGr3)を記載してある。
次に、荷重負荷ポケット35について説明する。図2に示すように、荷重負荷ポケット35(付勢力発生部)は、第二縦案内面17aと対向する第二縦スライド面14a2に設けられ、凹状に形成される。荷重負荷ポケット35は、前述したように、調圧装置38を介して油圧ポンプ33と接続される。調圧装置38は、荷重負荷ポケット35に供給する流体圧(第二流体圧P2(図略))を所望の「所定流体圧P2a」(図略)に調圧可能な、所謂、レギュレータである。調圧の操作は、図2に示す圧力計39の値を確認しながら行なえばよい。
次に、作動について説明する。説明においては、基準面側における第一隙間L1の設定値を例えば隙間L1a~L1bとする。また、調圧装置38は、基準面側の静圧ポケット34内の第一流体圧P1が流体圧P1a~P1bとなり、且つ第一隙間L1が設定値(隙間L1a~L1b)となった状態において、第一付勢力F1と第二付勢力F2とが水平方向で釣り合うよう図略の調整部が予め操作され、ある程度調整されているものとする。
なお、上記実施形態では、研削盤1を起動させるときには、調圧装置38の調圧値が予めある程度設定された状態であるものとして説明した。しかし、この態様には限らない。研削盤1を起動させるときには、調圧装置38の調圧値は一切調圧されていなくても良い。この場合、静圧スライド案内装置40を起動し静圧ポケット34及び荷重負荷ポケット35に流体が供給された後に、調圧装置38の調圧を開始すれば良い。調圧に対する時間は多少かかるが、加工精度及び組み付け工数の低減等、上記実施形態と同様の効果が期待出来る。
上記実施形態によれば、静圧ポケット34(静圧支持部)では、支持剛性Gを高くする第一隙間L1と静圧ポケット34に供給された流体の流体圧(第一流体圧P1)との組み合わせ状態を容易に得ることができる。そこで、荷重負荷ポケット35(付勢力発生部)に対し、静圧ポケット34において支持剛性Gを高くする流体圧(第一流体圧P1a~P1b)と釣り合う所定流体圧P2aを調整装置38により調整して供給する。これにより、静圧ポケット34(静圧支持部)では、支持剛性Gを高くする第一隙間L1(隙間L1a~L1b)(設定値)が容易に得られ、静圧ポケット34が、砥石台14(可動体)に対して所望の支持剛性G(G1~G2)を発揮する。この場合、第一隙間L1(隙間L1a~L1b)の大きさを厳密に管理するため、トラバースベース19(固定体)、及び砥石台14(可動体)の各案内面16a,17a間及び各スライド面14a1,14a2間の寸法精度を高精度とする必要がないので、加工工数は低減し低コストとなる。また、上下方向(Y軸方向)の隙間は、重力(負荷)とのバランスによって調整される。しかし、左右方向(Z軸方向)においては、重力とのバランスによることなく静圧ポケット34と荷重負荷ポケット35との隙間を適切に調整でき支持剛性を高く保つことが可能となる。
Claims (4)
- 基準面となる第一縦案内面及び前記第一縦案内面の法線方向とは反対方向の法線方向となる第二縦案内面を有する固定体と、
前記第一縦案内面に対向する第一縦スライド面及び前記第二縦案内面に対向する第二縦スライド面を有する可動体と、
流体供給装置と、
前記流体供給装置が供給する流体の流体圧を所望の所定流体圧に調圧可能なレギュレータである調圧装置と、
前記第一縦案内面又は前記第一縦スライド面に設けられ、前記流体供給装置によって流体が供給され、前記第一縦案内面と前記第一縦スライド面との間の第一隙間の大きさに応じた流体圧が作用され、前記可動体に対して前記第一隙間の大きさに応じた支持剛性を発揮する静圧支持部と、
前記第二縦案内面又は前記第二縦スライド面に設けられ、前記調圧装置によって前記所定流体圧に調圧された流体が供給されることにより前記可動体を前記第一縦案内面の方向に付勢する付勢力発生部と、
前記流体供給装置から前記静圧支持部への供給経路に設けられ、前記静圧支持部に供給する前記流体の流体圧を前記第一隙間の大きさに応じて変動させる可変絞りと、
前記調圧装置における前記付勢力発生部側の圧力を計測する圧力計と、
を備え、
前記静圧支持部に作用する前記流体圧は、前記可動体の移動に伴い前記第一隙間が小さくなると、上昇する隙間-流体圧関係を有し、
前記可変絞りは、前記静圧支持部に作用する前記流体圧が上昇すると、前記静圧支持部に供給する前記流体の流量を増加するように作用し、
前記調圧装置は、前記圧力計により計測される圧力が前記所定流体圧の大きさに一致するように調圧可能に構成され、
前記調圧装置における前記所定流体圧の大きさは、前記隙間-流体圧関係から得られる静圧支持流体圧範囲であって前記第一隙間の大きさが隙間設定値となるような前記静圧支持部に作用する前記流体圧の範囲である前記静圧支持流体圧範囲と、前記静圧支持部における静圧ポケット面積と、前記付勢力発生部における荷重負荷ポケット面積とに基づいて決定される、静圧スライド案内装置。 - 前記第一隙間の前記隙間設定値は、前記第一隙間の大きさと前記第一隙間の大きさに応じた前記流体圧との関係に基づいて、所望の前記支持剛性が得られるよう設定される、請求項1に記載の静圧スライド案内装置。
- 前記固定体は、前記第一縦案内面及び前記第二縦案内面の各直交平面上に一対の水平案内面を有し、
前記可動体は、前記一対の水平案内面にそれぞれ対向する一対の水平スライド面を有する、請求項1又は2に記載の静圧スライド案内装置。 - 工作物を加工する工具を有した工作機械であって、
前記工作機械には請求項1-3の何れか一項に係る静圧スライド案内装置が適用され、
前記工作物及び工具の一方が前記可動体に設けられ、
前記工作物及び工具の他方が前記固定体に設けられる、静圧スライド案内装置を備えた工作機械。
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