以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
各図では、X1が左方向、X2が右方向、Y1が上方向で第2の方向、Y2が下方向で第1の方向、Z1がローラ部材の回転軸に沿う方向であって手前側、Z2がローラ部材の回転軸に沿う方向であって奥側である。
図1は、本発明の実施形態に係る発電入力装置を表す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る発電入力装置の内部構造を表す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る発電入力装置の内部構造を表す分解斜視図である。
図4は、本実施形態の磁石を表す説明図である。
図1〜図3に表したように、本実施形態に係る発電入力装置1は、第1の筐体11と、第2の筐体12と、第1の筐体11と第2の筐体12との間の内部に設けられた内部構造体2と、を備える。
図2および図3に表したように、内部構造体2は、コア21と、ヨーク部材23と、コイル25と、ローラ部材27と、磁石29と、スライド部材31と、切替えばね部材33と、復帰ばね部材35とを有する。
コア21は、Y1−Y2方向に延びている。コア21は、コイル25を保持するコイル保持部材39の一方の孔(図3ではY1側の孔)39aに通され、コイル25の内部に通され、コイル保持部材39の他方の孔(図3ではY2側の孔)39bに通された状態で保持されている。コア21は、例えば鉄(Fe)などの磁性材料により形成され、磁気回路の少なくとも一部を構成する。磁気回路の詳細については、後述する。
ヨーク部材23は、例えば鉄(Fe)などの磁性材料により形成され、磁気回路の少なくとも一部を構成する。ヨーク部材23は、コア21に接続された、第1のヨーク23aと、第2のヨーク23bと、を有する。図3に表したように、第1のヨーク23aは、コア21の一方の端部(図3ではY1側の端部)21aが第1のヨーク23aの孔26aに通されることにより、コア21に接続されている。第2のヨーク23bは、コア21の他方の端部(図3ではY2側の端部)21bが第2のヨーク23bの孔26bに通されることにより、コア21に接続されている。
コイル25は、コイル保持部材39に保持され、内部にコア21が通されている。言い換えれば、コイル25は、コア21に巻かれている。そのため、コイル25の軸は、Y1−Y2方向に延びている。コイル25の導線の一端は、コイル保持部材39に取り付けられた一方の端子41に電気的に接続されている。コイル25の導線の他端は、コイル保持部材39に取り付けられた他方の端子41に電気的に接続されている。コイル25は、磁気回路を通る磁束の変化により電圧を発生する。コイル25が電圧を発生する構成の詳細については、後述する。
ローラ部材27は、例えば鉄(Fe)などの磁性材料により形成され、磁気回路の少なくとも一部を構成する。ローラ部材27は、ヨーク部材23に対して回動自在に支持され、第1のローラ27aと、第2のローラ27bと、を有する。第1のローラ27aは、第1のヨーク23aの突起部24aに保持され、突起部24aが延びる方向に沿う軸を中心として回動自在に第1のヨーク23aに支持されている。第2のローラ27bは、第2のヨーク23bの突起部24bに保持され、突起部24bが延びる方向に沿う軸を中心とし回動自在に第2のヨーク23bに支持されている。
磁石29は、ローラ部材27に接触して設けられている。具体的には、磁石29は、第1のローラ27aと、第2のローラ27bと、の間に挟まれ、第1のローラ27aの円周面28a(例えば図5参照)、および第2のローラ27bの円周面28b(例えば図5参照)に接触している。なお、第1のローラ27aの円周面28aおよび第2のローラ27bの円周面28bの少なくともいずれかには、例えばゴムなどの非磁性体が設けられていてもよい。この場合には、磁石29は、非磁性体を介して第1のローラ27aの円周面28aおよび第2のローラ27bの円周面28bに間接的に接触する。このように、磁束が磁石29とローラ部材27との間を通過する限りにおいて、例えばゴムなどの非磁性体が第1のローラ27aの円周面28aおよび第2のローラ27bの円周面28bの少なくともいずれかに設けられていてもよい。
図4(a)〜図4(c)に表したように、磁石29は、例えば板状の永久磁石であり、第1の着磁部29aと、第2の着磁部29bと、を有する。第1の着磁部29aは、磁石29のうちのY2側の部分に設けられ、両面において互いに異なる極性を有する。第2の着磁部29bは、磁石29のうちのY1側の部分に設けられ、両面において互いに異なる極性を有する。第1の着磁部29aおよび第2の着磁部29bは、磁石29のうちで互いに隣接している。
第1の着磁部29aの一方の着磁面(図4(a)〜図4(c)ではX2側の面)291aは、例えばN極に着磁されている。第1の着磁部29aの他方の着磁面(図4(a)〜図4(c)ではX1側の面)291bは、例えばS極に着磁されている。一方で、第2の着磁部29bの一方の着磁面(図4(a)〜図4(c)ではX2側の面)292aは、例えばS極に着磁されている。第2の着磁部29bの他方の着磁面(図4(a)〜図4(c)ではX1側の面)292bは、例えばN極に着磁されている。このように、第2の着磁部29bは、第1の着磁部29aの両側の着磁面の極性が互いに入れ替わった極性を両面に有する。
スライド部材31は、操作スライダ31aと、付勢スライダ31bと、を有し、外部からの操作力に基づいてローラ部材27の回転の接線方向に沿うY2方向(第1の方向)に移動する。操作スライダ31aの下部には、復帰ばね部材であるコイルばね35が設けられている。コイルばね35の一端は、操作スライダ31aの下部に取り付けられている。コイルばね35の他端は、第1の筐体11に取り付けられている。コイルばね35は、操作スライダ31aをY1方向(第2の方向)へ付勢している。外部からの操作力が操作スライダ31aに加えられると、操作スライダ31aは、コイルばね35の付勢力に対抗しつつY2方向(第1の方向)へ移動する。外部からの操作力が解除されると、操作スライダ31aは、コイルばね35の付勢力によりY1の方向(第2の方向)へ復帰移動する。
付勢スライダ31bは、操作スライダ31aに対してY2方向(第1の方向)およびY1方向(第2の方向)に摺動自在に保持されている。付勢スライダ31bは、磁石29がY1−Y2方向に移動可能な隙間を内部に有する。言い換えれば、磁石29は、付勢スライダ31bの内部においてY1−Y2方向に移動可能である。磁石29は、磁石保持部材37(図2および図3参照)に保持されている。磁石保持部材37は、磁石29を保持した状態で、付勢スライダ31bに対してY1−Y2方向に摺動自在に保持されている。
操作スライダ31a、付勢スライダ31b、および磁石保持部材37は、例えば樹脂材料により形成されている。磁石保持部材37は、磁石29の周囲を覆っており、磁石29に衝撃が加わることを抑えることができる。つまり、磁石保持部材37は、緩衝部材として機能する。また、磁石29が付勢スライダ31bに直接的に接触した状態でY1−Y2方向に摺動する場合と比較すると、磁石保持部材37は、磁石29をY1−Y2方向に円滑に移動させることができる。つまり、磁石保持部材37は、付勢スライダ31bに対する摺動性を向上させる機能を有する。
切替えばね部材33は、例えばねじりコイルばねであり、付勢スライダ31bをY1方向およびY2方向に付勢している。切替えばね部材33は、第1のねじりコイルばね33aと、第2のねじりコイルばね33bと、を有する。図2および図3に表したように、第1のねじりコイルばね33aは、付勢スライダ31bのX2側に設けられている。第2のねじりコイルばね33bは、付勢スライダ31bのX1側に設けられている。つまり、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bは、X1−X2方向に並んで配置されている。
第1のねじりコイルばね33aの一端は、付勢スライダ31bに取り付けられている。第1のねじりコイルばね33aの他端は、第2の筐体12に取り付けられている。第2のねじりコイルばね33bの一端は、付勢スライダ31bに取り付けられている。第2のねじりコイルばね33bの他端は、第2の筐体12に取り付けられている。
図2と図5に示すように、第1のねじりコイルばね33aの付勢スライダ31bに取付けられた一端が、第2の筐体12に取付けられた他端よりもY1側に位置するときは、第1のねじりコイルばね33aが、付勢スライダ31bをY1方向へ付勢する。一方で、付勢スライダ31bがY2方向へ移動し、第1のねじりコイルばね33aの付勢スライダ31bに取付けられた一端が、第2の筐体12に取付けられた他端よりもY2側に位置すると、第1のねじりコイルばね33aは、付勢スライダ31bをY2方向へ付勢する。同様に、第2のねじりコイルばね33bの付勢スライダ31bに取付けられた一端が、第2の筐体12に取付けられた他端よりもY1側に位置するときは、第2のねじりコイルばね33bは、付勢スライダ31bをY1方向へ付勢する。一方で、付勢スライダ31bがY2方向へ移動し、第2のねじりコイルばね33bの付勢スライダ31bに取付けられた一端が、第2の筐体12に取付けられた他端よりもY2側に位置すると、第2のねじりコイルばね33bは、付勢スライダ31bをY2方向へ付勢する。このようにして、切替えばね部材33は、付勢スライダ31bをY1方向およびY2方向に付勢している。
次に、本実施形態に係る発電入力装置の動作について、図面を参照しつつ説明する。
以下では、説明の便宜上、第1の筐体11および第2の筐体12を省略し、内部構造体2を表す図面を用いて説明する。
図5は、本実施形態の操作スライダが自由位置にある状態を表す斜視図である。
図6は、本実施形態の操作スライダが自由位置にある状態を表す側面図および断面図である。
図6(a)は、本実施形態の内部構造体2をX2方向に見たときの側面図である。図6(b)は、図6(a)に表した切断面C1−C1における断面図である。
図5〜図6(b)に表したように、外部からの操作力が操作スライダ31aに作用していないときには、操作スライダ31aは、復帰ばね部材であるコイルばね35の付勢力でY1側に復帰させられている。
このときには、図6(a)に表したように、第1のねじりコイルばね33aの付勢スライダ31bに取付けられた一端が、第2の筐体12に取付けられた他端よりもY1側に位置する。そのため、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、Y1方向の成分Fayを有する。また、第2のねじりコイルばね33bの付勢スライダ31bに取付けられた一端が、第2の筐体12に取付けられた他端よりもY1側に位置する。そのため、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbは、Y1方向の成分Fbyを有する。これにより、付勢スライダ31bは、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bの付勢力によりY1側に付勢されて復帰している。このとき、操作スライダ31aと付勢スライダ31bとの間には、隙間S2が第2スライド31bのY2側に形成されている。
また、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、Z1方向の成分Fazを有する。第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbは、Z2方向の成分Fbzを有する。このように、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbの成分Fbzとは反対方向の成分Fazを有する。
これにより、Z1−Z2方向において、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faの成分Fazと、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbの成分Fbzと、を互いに相殺することができる。これにより、一方向だけの付勢力が付勢スライダ31bに対して加わることを抑え、付勢スライダ31bのより円滑な移動を実現することができる。これは、図7〜図12(b)に関して後述する状態においても同じである。
図5および図6(b)に表したように、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第1の着磁部29aに存在する。第1のローラ27aは、磁性材料により形成されているため、第1の着磁部29aの一方の着磁面291a(図4(a)〜図4(c)参照)に磁気的に吸引されている。また、第2のローラ27bは、磁性材料により形成されているため、第1の着磁部29aの他方の着磁面291b(図4(a)〜図4(c)参照)に磁気的に吸引されている。
このとき、図6(a)に表したように、付勢スライダ31bと磁石保持部材37との間には、隙間S1が磁石保持部材37のY1側に形成されている。
図6(b)に表したように、第1のローラ27aの回転中心271aと、第2のローラ27bの回転中心271bと、を結ぶ仮想直線L1は、第1の着磁部29aと、第2の着磁部29bと、の間の境界面29cに対して平行であり、仮想直線L1磁石29の移動方向であるY1−Y2方向と直交している。第1のローラ27aの回転中心271aと、第2のローラ27bの回転中心271bと、を結ぶ仮想直線L1は、第1のローラ27aと磁石29との接触位置と、第2のローラ27bと磁石29との接触位置と、を結ぶ仮想直線に相当する。
図5に表した二点鎖線の矢印のように、第1の着磁部29aの一方の着磁面291aから出た磁束は、第1のローラ27aと、第1のヨーク23aと、コア21と、第2のヨーク23bと、第2のローラ27bと、をこの順に通り、第1の着磁部29aの他方の着磁面291bに入る。これにより、操作スライダ31aが自由位置にある状態において、磁気回路が構成されている。
図7は、本実施形態の操作スライダが押し込まれたときの状態を表す斜視図である。
図8は、本実施形態の操作スライダが押し込まれたときの状態を表す側面図および断面図である。
図8(a)は、本実施形態の内部構造体2をX2方向に見たときの側面図である。図8(b)は、図8(a)に表した切断面C2−C2における断面図である。
外部からY2方向(第1の方向)の操作力(押圧力)が操作スライダ31aに作用すると、操作スライダ31aは、コイルばね35の付勢力に対抗しつつY2方向へ移動する。操作スライダ31aがY2方向へ移動すると、操作スライダ31aで付勢スライダ31bがY2方向へ押され、操作スライダ31aとともに付勢スライダ31bがY2方向へ移動する。
付勢スライダ31bがY2方向へ移動すると、図6(a)に示すように、それまで磁石保持部材37のY1側に形成されていた隙間S1がなくなり、付勢スライダ31bが磁石保持部材37の上部に接触する。その代りに、図8(a)に表したように、付勢スライダ31bと磁石保持部材37との間には、隙間S3が磁石保持部材37のY2側に形成される。なお、付勢スライダ31bのY2側に形成されていた隙間S2は、維持されたままである。
操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY2方向へさらに移動すると、磁石保持部材37は、付勢スライダ31bから力を受け、磁石29を保持した状態でY2方向へ移動する。すると、図7および図8(a)に表したように、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bは、中立姿勢になる。
本願明細書において、「中立姿勢」とは、ねじりコイルばねの一端の位置が、ねじりコイルばねの他端の位置に対して水平面(X−Z平面)において並んだ姿勢をいう。あるいは、「中立姿勢」とは、ねじりコイルばねが任意の部材(本実施形態では付勢スライダ31b)に与える付勢力が、水平方向の成分のみを有し、鉛直方向(Y1−Y2方向)の成分を有していない姿勢をいう。
第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にあるとき、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bのそれぞれのたわみが最大となる。第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にあるとき、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbとつり合っている。
図7および図8(b)に表したように、操作スライダ31aの押し込み時において、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある場合には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第1の着磁部29aに存在する。具体的には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、境界面29cの近傍の第1の着磁部29a側に存在する。言い換えれば、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第1の着磁部29aから第2の着磁部29bへ変化する直前の状態である。
そのため、第1のローラ27aは、第1の着磁部29aの一方の着磁面291a(図4(a)〜図4(c)参照)に磁気的に吸引されている。また、第2のローラ27bは、第1の着磁部29aの他方の着磁面291b(図4(a)〜図4(c)参照)に磁気的に吸引されている。そして、図5に関して前述した磁気回路と同じ磁気回路が構成されている。言い換えれば、図5に関して前述した磁気回路(図5に表した二点鎖線の矢印参照)が維持されている。図6(b)に関して前述したように、仮想直線L1は、第1の着磁部29aと、第2の着磁部29bと、の間の境界面29cに対して平行である。
図9は、本実施形態の操作スライダが最も押し込まれたときの状態を表す斜視図である。
図10は、本実施形態の操作スライダが最も押し込まれたときの状態を表す側面図および断面図である。
図10(a)は、本実施形態の内部構造体2をX2方向に見たときの側面図である。図10(b)は、図10(a)に表した切断面C3−C3における断面図である。
図7〜図8(b)に関して前述した中立姿勢から、操作スライダ31aがコイルばね35の付勢力に対抗しつつY2方向へさらに移動すると、第1のねじりコイルばね33aの付勢スライダ31bに取付けられた一端が、第2の筐体12に取付けられた他端よりもY2側に移動する。そのため、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faが、Y2方向の成分Fayを有するように変換させられる。また、第2のねじりコイルばね33bの付勢スライダ31bに取付けられた一端も、第2の筐体12に取付けられた他端よりもY2側に移動する。そのため、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbも、Y2方向の成分Fbyを有するように変換させられる。これにより、付勢スライダ31bは、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bによりY2方向に付勢される。
このとき、付勢スライダ31bが操作スライダ31aとは別体として設けられ、隙間S2が第2スライド31bのY2側に形成されているため、付勢スライダ31bは、操作スライダ31aとは独立してY2方向に移動することができる。これにより、付勢スライダ31bの動きと、操作スライダ31aの動きと、を別の動きに設定することができ、付勢スライダ31bは、外部操作の速度(操作スライダ31aの速度)にほとんど影響を受けることなく、より速い速度で移動することができる。つまり、付勢スライダ31bは、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bの付勢力によりY2方向へ加速される。
すると、磁石保持部材37は、付勢スライダ31bから力を受け、磁石29を保持した状態でY2方向へ加速される。このとき、隙間S3が磁石保持部材37のY2側に形成されているため、磁石保持部材37は、付勢スライダ31bとは別にY2方向に移動することができる。これにより、磁石29は、外部操作の速度にほとんど影響を受けることなく、より速い速度で移動することができる。
操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY2方向へ移動し、磁石保持部材37が磁石29を保持した状態でY2方向へ移動すると、図9および図10(b)に表したように、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が、第1の着磁部29aから第2の着磁部29bへ変化する。すると、コア21、ヨーク部材23およびローラ部材27を通る磁束の向きが反転する。
すなわち、図9に表した二点鎖線の矢印ように、第2の着磁部29bの他方の着磁面292b(図4(a)〜図4(c)参照)から出た磁束は、第2のローラ27bと、第2のヨーク23bと、コア21と、第1のヨーク23aと、第1のローラ27aと、をこの順に通り、第2の着磁部29aの一方の着磁面292aに入る。これにより、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が、第1の着磁部29aから第2の着磁部29bへ変化したときに、コア21、ヨーク部材23およびローラ部材27を通る磁束の向きが反転する。
すると、コア21に巻かれたコイル25の内部を通る磁束の向きが反転する。これにより、操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY2方向に移動するときに、コイル25に誘導起電力が発生する。
図11は、本実施形態の操作スライダが復帰するときの状態を表す斜視図である。
図12は、本実施形態の操作スライダが復帰するときの状態を表す側面図および断面図である。
図12(a)は、本実施形態の内部構造体2をX2方向に見たときの側面図である。図12(b)は、図12(a)に表した切断面C4−C4における断面図である。
図9〜図10(b)に表した状態から、操作スライダ31aに作用する外部からの操作力が解除されると、操作スライダ31aは、コイルばね35の付勢力によりY1方向へ移動する。操作スライダ31aがY1方向へ移動すると、付勢スライダ31bのY2側に形成されていた隙間S2がなくなり、操作スライダ31aが付勢スライダ31bの下部に接触する。これにより、図12(a)に表したように、操作スライダ31aと付勢スライダ31bとの間には、隙間S4が第2スライド31bのY1側に形成される。
操作スライダ31aがY1方向へさらに移動すると、付勢スライダ31bは、操作スライダ31aからY1方向へ持ち上げられる力を受け、操作スライダ31aとともにY1方向へ移動する。
すると、磁石保持部材37のY2側に形成されていた隙間S3がなくなり、付勢スライダ31bが磁石保持部材37の下部に接触する。これにより、図12(a)に表したように、付勢スライダ31bと磁石保持部材37との間には、隙間S1が磁石保持部材37のY1側に形成される。
操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY1方向へさらに移動すると、磁石保持部材37は、付勢スライダ31bから力を受け、磁石29を保持した状態でY1方向へ移動する。すると、図11および図12(a)に表したように、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bは、中立姿勢になる。
図11および図12(b)に表したように、操作スライダ31aの復帰時において、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある場合には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第2の着磁部29bに存在する。具体的には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、境界面29cの近傍の第2の着磁部29b側に存在する。言い換えれば、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第2の着磁部29bから第1の着磁部29aへ変化する直前の状態である。
そのため、第1のローラ27aは、第2の着磁部29bの一方の着磁面292aに磁気的に吸引されている。また、第2のローラ27bは、第2の着磁部29bの他方の着磁面292bに磁気的に吸引されている。そして、図9に関して前述した磁気回路と同じ磁気回路が構成されている。言い換えれば、図9に関して前述した磁気回路(図9に表した二点鎖線の矢印参照)が維持されている。図6(b)に関して前述したように、仮想直線L1は、第1の着磁部29aと、第2の着磁部29bと、の間の境界面29cに対して平行である。
操作スライダ31aの復帰時において、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある状態から、操作スライダ31aがコイルばね35の付勢力によりY1方向へさらに移動すると、第1のねじりコイルばね33aの一端が第1のねじりコイルばね33aの他端よりもY1側に位置する。そのため、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、Y1方向の成分Fayを有する(図6(a)参照)。また、第2のねじりコイルばね33bの一端が第2のねじりコイルばね33bの他端よりもY1側に位置する。そのため、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbは、Y1方向の成分Fbyを有する(図6(a)参照)。これにより、付勢スライダ31bは、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bによりY1方向に付勢される。
操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY1方向へ移動し、磁石保持部材37が磁石29を保持した状態でY1方向へ移動すると、図5および図6(b)に表したように、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が、第2の着磁部29bから第1の着磁部29aへ変化する。すると、コア21、ヨーク部材23およびローラ部材27を通る磁束の向きが反転する。すなわち、磁束の向きは、図5に関して前述した磁束の向きと同じになる。
すると、コア21に巻かれたコイル25の内部を通る磁束の向きが反転する。これにより、操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY1方向に移動するときに、コイル25に誘導起電力が発生する。このように、本実施形態に係る発電入力装置1によれば、操作スライダ31aの押し込み時および復帰時の両方において、コイル25に誘導起電力が発生する。
本実施形態に係る発電入力装置1によれば、磁石29がローラ部材27に接触しているため、磁石29がローラ部材27に接触していない場合と比較すると、磁石29とローラ部材27との間に伝わる磁束密度は高い。これにより、発電入力装置1の発電効率を高めることができる。また、磁石29は、ヨーク部材23に対して回動自在に支持されたローラ部材27と接触している。そのため、磁石29がローラ部材27に接触した状態でY1方向およびY2方向に移動した場合であっても、磁石29およびローラ部材27の摩耗を抑えることができる。また、磁石29がローラ部材27に接触しているため、磁石29とローラ部材27との間の距離がゼロである状態を長期間にわたって保つことができる。これにより、発電入力装置1の寿命を確保することができる。
また、磁石29は、第1のヨーク23aに対して回動自在に支持された第1のローラ27aと、第2のヨーク23bに対して回動自在に支持された第2のローラ27bと、の間に挟まれ、第1のローラ27aの円周面28aおよび第2のローラ27bの円周面28bに接触している。そのため、磁石29は、第1のローラ27aの円周面28aおよび第2のローラ27bの円周面28bに接触しながら、Y1方向およびY2方向に円滑に移動することができる。これにより、磁石29およびローラ部材27の摩耗をより抑えることができる。
また、第1のローラ27aの回転中心271aと、第2のローラ27bの回転中心271bと、を結ぶ仮想直線L1は、第1の着磁部29aと、第2の着磁部29bと、の間の境界面29cに対して平行である。そのため、第1の着磁部29aと第2の着磁部29bとの間の境界面29cが、仮想直線L1を通過するときに、コア21、ヨーク部材23およびローラ部材27を通る磁束の向きが反転する。すなわち、コア21に巻かれたコイル25の内部を通る磁束の向きが反転する。これにより、磁束の変化がより大きくなり、発電入力装置1の発電効率をより高めることができる。
また、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある場合には、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bのそれぞれのたわみが最大となる。さらに、操作スライダ31aの押し込み時において、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある場合には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が第1の着磁部29aから第2の着磁部29bへ変化する直前の状態、すなわち、境界面29cが仮想直線L1を通過する直前の状態である。一方で、操作スライダ31aの復帰時において、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある場合には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が第2の着磁部29bから第1の着磁部29aへ変化する直前の状態、すなわち、境界面29cが仮想直線L1を通過する直前の状態である。
そのため、境界面29cが仮想直線L1を通過するときに、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bは、付勢スライダ31bに対して比較的大きい付勢力を与えることができる。また、境界面29cが仮想直線L1を通過し、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が第1の着磁部29aから第2の着磁部29bへ変化すると、磁石29の第2の着磁部29bは、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bに磁気的に吸引される。すなわち、第2の着磁部29bの一方の着磁面292aは、第1のローラ27aに磁気的に吸引される。また、第2の着磁部29bの他方の着磁面292bは、第2のローラ27bに磁気的に吸引される。一方で、境界面29cが仮想直線L1を通過し、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が第2の着磁部29bから第1の着磁部29aへ変化すると、磁石29の第1の着磁部29aは、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bに磁気的に吸引される。すなわち、第1の着磁部29aの一方の着磁面291aは、第1のローラ27aに磁気的に吸引される。また、第1の着磁部29aの他方の着磁面291bは、第2のローラ27bに磁気的に吸引される。このように、付勢力および吸引力により、コア21に巻かれたコイル25の内部を通る磁束の向きをより短い時間で反転させることができ、より高い誘導起電力を得ることができる。
また、前述したように、付勢スライダ31bが操作スライダ31aとは別体として設けられ、磁石29を保持する磁石保持部材37が付勢スライダ31bとは別体として設けられているため、磁石29は、外部操作の速度にほとんど影響を受けることなく、より速い速度で移動することができる。そのため、外部操作の速度が遅い場合であっても、磁石29をより速い速度で移動させることができ、コア21に巻かれたコイル25の内部を通る磁束の向きをより短い時間で反転させることができる。これにより、より高い誘導起電力を得ることができる。
次に、本発明の他の実施形態に係る発電入力装置について説明する。
図13は、本発明の他の実施形態に係る発電入力装置を表す斜視図である。
図14は、本実施形態に係る発電入力装置の内部構造を表す斜視図である。
図15は、本実施形態に係る発電入力装置の内部構造を表す分解図である。
図13〜図15は、本実施形態に係る発電入力装置1Aは、第1の筐体11と、第2の筐体12と、第1の筐体11と第2の筐体12との間の内部に設けられた内部構造体2Aと、を備える。
図14および図15に表したように、内部構造体2Aは、コア21と、ヨーク部材23と、コイル25と、ローラ部材27と、磁石29と、スライド部材31と、切替えばね部材33と、を有する。
コア21は、X1−X2方向に延びている。これに伴い、コア21に巻かれたコイル25の軸は、X1−X2方向に延びている。コア21およびコイル25の配置において、本実施形態に係る発電入力装置1Aは、図1〜図3に関して前述した発電入力装置1とは異なる。
また、操作スライダ31aの下部には、2つのコイルばね35がX1−X2方向に並んで配置されている。2つのコイルばね35のそれぞれの一端は、操作スライダ31aの下部に取り付けられている。2つのコイルばね35のそれぞれの他端は、第1の筐体11に取り付けられている。2つのコイルばね35は、操作スライダ31aをY1方向へ付勢している。コイルばね35の設置数において、本実施形態に係る発電入力装置1Aは、図1〜図3に関して前述した発電入力装置1とは異なる。
付勢スライダ31bのX2側には、第1のねじりコイルばね33aが設けられている。第1のねじりコイルばね33aの一端は、付勢スライダ31bに取り付けられている。第1のねじりコイルばね33aの他端は、第2の筐体12に取り付けられている。付勢スライダ31bのX1側には、第2のねじりコイルばね33bが設けられている。第2のねじりコイルばね33bの一端は、付勢スライダ31bに取り付けられている。第2のねじりコイルばね33bの他端は、第2の筐体12に取り付けられている。
第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Fa(図18参照)は、X1方向の成分Fax(図18参照)を有する。第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fb(図18参照)は、X2方向の成分Fbxを有する。第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力の水平面(X−Z平面)内の成分において、本実施形態に係る発電入力装置1Aは、図1〜図3に関して前述した発電入力装置1とは異なる。
その他の各部材の構造、材料、および配置は、図1〜図3に関して前述した通りである。また、本実施形態に係る発電入力装置1Aが備える磁石29は、図4に関して前述した通りである。
次に、本実施形態に係る発電入力装置の動作について、図面を参照しつつ説明する。
以下では、説明の便宜上、第1の筐体11および第2の筐体12を省略し、内部構造体2Aを表す図面を用いて説明する。
図16は、本実施形態の操作スライダが自由位置にある状態を表す斜視図である。
図17は、本実施形態の操作スライダが自由位置にある状態を表す側面図および断面図である。
図18は、本実施形態の操作スライダが自由位置にある状態を表す正面図である。
図17(a)は、本実施形態の内部構造体2AをX2方向に見たときの側面図である。図17(b)は、図17(a)に表した切断面C5−C5における断面図である。
図18は、本実施形態の内部構造体2AをZ2方向に見たときの正面図である。
図16〜図18に表したように、外部からの操作力が操作スライダ31aに作用していないときには、操作スライダ31aは、コイルばね35の付勢力によりY1側に位置している。
このときには、図18に表したように、第1のねじりコイルばね33aの一端が第1のねじりコイルばね33aの他端よりもY1側に位置する。そのため、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、Y1方向の成分Fayを有する。また、第2のねじりコイルばね33bの一端が第2のねじりコイルばね33bの他端よりもY1側に位置する。そのため、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbは、Y1方向の成分Fbyを有する。これにより、付勢スライダ31bは、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bの付勢力によりY1側に位置している。そして、図17(a)に表したように、操作スライダ31aと付勢スライダ31bとの間には、隙間S6が第2スライド31bのY2側に形成されている。
また、図18に表したように、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、X1方向の成分Faxを有する。第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbは、X2方向の成分Fbxを有する。このように、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbの成分Fbxとは反対方向の成分Faxを有する。
これにより、X1−X2方向において、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faの成分Faxと、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbの成分Fbxと、を互いに相殺することができる。これにより、一方向だけの付勢力が付勢スライダ31bに対して加わることを抑え、付勢スライダ31bのより円滑な移動を実現することができる。これは、図19〜図27に関して後述する状態においても同じである。
図16および図17(b)に表したように、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第1の着磁部29aに存在する。第1のローラ27aは、磁性材料により形成されているため、第1の着磁部29aの一方の着磁面291a(図4(a)〜図4(c)参照)に磁気的に吸引されている。また、第2のローラ27bは、磁性材料により形成されているため、第1の着磁部29aの他方の着磁面291b(図4(a)〜図4(c)参照)に磁気的に吸引されている。
このとき、図17(a)に表したように、付勢スライダ31bと磁石保持部材37との間には、隙間S5が磁石保持部材37のY1側に形成されている。
図17(b)に表したように、第1のローラ27aの回転中心271aと、第2のローラ27bの回転中心271bと、を結ぶ仮想直線L1は、第1の着磁部29aと、第2の着磁部29bと、の間の境界面29cに対して平行である。第1のローラ27aの回転中心271aと、第2のローラ27bの回転中心271bと、を結ぶ仮想直線L1は、第1のローラ27aと磁石29との接触位置と、第2のローラ27bと磁石29との接触位置と、を結ぶ仮想直線に相当する。
図16に表した二点鎖線の矢印のように、第1の着磁部29aの一方の着磁面291aから出た磁束は、第1のローラ27aと、第1のヨーク23aと、コア21と、第2のヨーク23bと、第2のローラ27bと、をこの順に通り、第1の着磁部29aの他方の着磁面291bに入る。これにより、操作スライダ31aが自由位置にある状態において、磁気回路が構成されている。
図19は、本実施形態の操作スライダが押し込まれたときの状態を表す斜視図である。
図20は、本実施形態の操作スライダが押し込まれたときの状態を表す側面図および断面図である。
図21は、本実施形態の操作スライダが押し込まれたときの状態を表す正面図である。
図20(a)は、本実施形態の内部構造体2AをX2方向に見たときの側面図である。図20(b)は、図20(a)に表した切断面C6−C6における断面図である。図21は、本実施形態の内部構造体2AをZ2方向に見たときの正面図である。
外部からY2方向の操作力が操作スライダ31aに作用すると、操作スライダ31aは、コイルばね35の付勢力に対抗しつつY2方向へ移動する。操作スライダ31aがY2方向へ移動すると、付勢スライダ31bは、操作スライダ31aから力を受け、操作スライダ31aとともにY2方向へ移動する。
すると、磁石保持部材37のY1側に形成されていた隙間S5がなくなり、付勢スライダ31bが磁石保持部材37の上部に接触する。これにより、図20(a)に表したように、付勢スライダ31bと磁石保持部材37との間には、隙間S7が磁石保持部材37のY2側に形成される。なお、付勢スライダ31bのY2側に形成されていた隙間S6は、維持されたままである。
操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY2方向へさらに移動すると、磁石保持部材37は、付勢スライダ31bから力を受け、磁石29を保持した状態でY2方向へ移動する。すると、図21に表したように、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bは、中立姿勢になる。
第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある場合には、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bのそれぞれのたわみが最大となる。第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある場合において、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbとつり合っている。
図21に表したように、操作スライダ31aの押し込み時において、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある場合には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第1の着磁部29aに存在する。具体的には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、境界面29cの近傍の第1の着磁部29a側に存在する。言い換えれば、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第1の着磁部29aから第2の着磁部29bへ変化する直前の状態である。
そのため、第1のローラ27aは、第1の着磁部29aの一方の着磁面291a(図4(a)〜図4(c)参照)に磁気的に吸引されている。また、第2のローラ27bは、第1の着磁部29aの他方の着磁面291b(図4(a)〜図4(c)参照)に磁気的に吸引されている。そして、図16に関して前述した磁気回路と同じ磁気回路が構成されている。言い換えれば、図16に関して前述した磁気回路(図16に表した二点鎖線の矢印参照)が維持されている。図17(b)に関して前述したように、仮想直線L1は、第1の着磁部29aと、第2の着磁部29bと、の間の境界面29cに対して平行である。
図22は、本実施形態の操作スライダが最も押し込まれたときの状態を表す斜視図である。
図23は、本実施形態の操作スライダが最も押し込まれたときの状態を表す側面図および断面図である。
図24は、本実施形態の操作スライダが最も押し込まれたときの状態を表す正面図である。
図23(a)は、本実施形態の内部構造体2AをX2方向に見たときの側面図である。図23(b)は、図23(a)に表した切断面C7−C7における断面図である。
図24は、本実施形態の内部構造体2AをZ2方向に見たときの正面図である。
図19〜図20に関して前述した中立姿勢から、操作スライダ31aがコイルばね35の付勢力に対抗しつつY2方向へさらに移動すると、第1のねじりコイルばね33aの一端が第1のねじりコイルばね33aの他端よりもY2側に位置する。そのため、図24に表したように、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、Y2方向の成分Fayを有する。また、第2のねじりコイルばね33bの一端が第2のねじりコイルばね33bの他端よりもY2側に位置する。そのため、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbは、Y2方向の成分Fbyを有する。これにより、付勢スライダ31bは、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bによりY2方向に付勢される。
このとき、付勢スライダ31bが操作スライダ31aとは別体として設けられ、隙間S6が第2スライド31bのY2側に形成されているため、付勢スライダ31bは、操作スライダ31aとは別にY2方向に移動することができる。これにより、付勢スライダ31bの動きと、操作スライダ31aの動きと、を別の動きに設定することができ、付勢スライダ31bは、外部操作の速度(操作スライダ31aの速度)にほとんど影響を受けることなく、より速い速度で移動することができる。つまり、付勢スライダ31bは、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bの付勢力によりY2方向へ加速される。
すると、磁石保持部材37は、付勢スライダ31bから力を受け、磁石29を保持した状態でY2方向へ加速される。このとき、隙間S7が磁石保持部材37のY2側に形成されているため、磁石保持部材37は、付勢スライダ31bとは別にY2方向に移動することができる。これにより、磁石29は、外部操作の速度にほとんど影響を受けることなく、より速い速度で移動することができる。
操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY2方向へ移動し、磁石保持部材37が磁石29を保持した状態でY2方向へ移動すると、図22および図23(b)に表したように、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が、第1の着磁部29aから第2の着磁部29bへ変化する。すると、コア21、ヨーク部材23およびローラ部材27を通る磁束の向きが反転する。
すなわち、図22に表した二点鎖線の矢印ように、第2の着磁部29bの他方の着磁面292b(図4(a)〜図4(c)参照)から出た磁束は、第2のローラ27bと、第2のヨーク23bと、コア21と、第1のヨーク23aと、第1のローラ27aと、をこの順に通り、第2の着磁部29aの一方の着磁面292aに入る。これにより、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が、第1の着磁部29aから第2の着磁部29bへ変化したときに、コア21、ヨーク部材23およびローラ部材27を通る磁束の向きが反転する。
すると、コア21に巻かれたコイル25の内部を通る磁束の向きが反転する。これにより、操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY2方向に移動するときに、コイル25に誘導起電力が発生する。
図25は、本実施形態の操作スライダが復帰するときの状態を表す斜視図である。
図26は、本実施形態の操作スライダが復帰するときの状態を表す側面図および断面図である。
図27は、本実施形態の操作スライダが復帰するときの状態を表す正面図である。
図26(a)は、本実施形態の内部構造体2AをX2方向に見たときの側面図である。
図26(b)は、図26(a)に表した切断面C8−C8における断面図である。
図27は、本実施形態の内部構造体2AをZ2方向に見たときの正面図である。
図22〜図24に表した状態から、操作スライダ31aに作用する外部からの操作力が解除されると、操作スライダ31aは、コイルばね35の付勢力によりY1方向へ移動する。操作スライダ31aがY1方向へ移動すると、付勢スライダ31bのY2側に形成されていた隙間S6がなくなり、操作スライダ31aが付勢スライダ31bの下部に接触する。これにより、操作スライダ31aと付勢スライダ31bとの間には、隙間(図示せず)が第2スライド31bのY1側に形成される。
操作スライダ31aがY1方向へさらに移動すると、付勢スライダ31bは、操作スライダ31aから力を受け、操作スライダ31aとともにY1方向へ移動する。
すると、磁石保持部材37のY2側に形成されていた隙間S7がなくなり、付勢スライダ31bが磁石保持部材37の下部に接触する。これにより、図26(a)に表したように、付勢スライダ31bと磁石保持部材37との間には、隙間S5が磁石保持部材37のY1側に形成される。
操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY1方向へさらに移動すると、磁石保持部材37は、付勢スライダ31bから力を受け、磁石29を保持した状態でY1方向へ移動する。すると、図27に表したように、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bは、中立姿勢になる。
図25および図26(b)に表したように、操作スライダ31aの復帰時において、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある場合には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第2の着磁部29bに存在する。具体的には、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、境界面29cの近傍の第2の着磁部29b側に存在する。言い換えれば、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置は、第2の着磁部29bから第1の着磁部29aへ変化する直前の状態である。
そのため、第1のローラ27aは、第2の着磁部29bの一方の着磁面292aに磁気的に吸引されている。また、第2のローラ27bは、第2の着磁部29bの他方の着磁面292bに磁気的に吸引されている。そして、図22に関して前述した磁気回路と同じ磁気回路が構成されている。言い換えれば、図22に関して前述した磁気回路(図22に表した二点鎖線の矢印参照)が維持されている。図17(b)に関して前述したように、仮想直線L1は、第1の着磁部29aと、第2の着磁部29bと、の間の境界面29cに対して平行である。
操作スライダ31aの復帰時において、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bが中立姿勢にある状態から、操作スライダ31aがコイルばね35の付勢力によりY1方向へさらに移動すると、第1のねじりコイルばね33aの一端が第1のねじりコイルばね33aの他端よりもY1側に位置する。そのため、第1のねじりコイルばね33aが付勢スライダ31bに与える付勢力Faは、Y1方向の成分Fayを有する(図18参照)。また、第2のねじりコイルばね33bの一端が第2のねじりコイルばね33bの他端よりもY1側に位置する。そのため、第2のねじりコイルばね33bが付勢スライダ31bに与える付勢力Fbは、Y1方向の成分Fbyを有する(図18参照)。これにより、付勢スライダ31bは、第1のねじりコイルばね33aおよび第2のねじりコイルばね33bによりY1方向に付勢される。
操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY1方向へ移動し、磁石保持部材37が磁石29を保持した状態でY1方向へ移動すると、図16および図17(b)に表したように、第1のローラ27aおよび第2のローラ27bと、磁石29と、の接触位置が、第2の着磁部29bから第1の着磁部29aへ変化する。すると、コア21、ヨーク部材23およびローラ部材27を通る磁束の向きが反転する。すなわち、磁束の向きは、図16に関して前述した磁束の向きと同じになる。
すると、コア21に巻かれたコイル25の内部を通る磁束の向きが反転する。これにより、操作スライダ31aおよび付勢スライダ31bがY1方向に移動するときに、コイル25に誘導起電力が発生する。このように、本実施形態に係る発電入力装置1Aによれば、操作スライダ31aの押し込み時および復帰時の両方において、コイル25に誘導起電力が発生する。
本実施形態に係る発電入力装置1Aによれば、コア21がX1−X2方向に延び、コア21に巻かれたコイル25の軸がX1−X2方向に延びているため、Y1−Y2方向において発電入力装置1Aの小型化を図ることができる。また、図1〜図12に関して前述した発電入力装置1の効果と同じ効果が得られる。
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。