JP6414094B2 - ガルバノスキャナ - Google Patents

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Description

この発明は、光学部材を回転させるガルバノスキャナに関する。
従来のガルバノスキャナは、コイルを備えたステータと、永久磁石を備えたロータと、ロータの回転軸に取り付けられたミラーである光学部材と、を有する。そして、ステータがハウジングなどに固定され、ロータの永久磁石からの磁束とコイルを流れる電流との相互作用により発生した駆動トルクによりロータが回転され、光学部材が回転動作される。モータが連続回転動作するのに対し、ガルバノスキャナは基準角度より±数10度の範囲で回転動作する。そして、ロータを加速させる場合のコイルに流れる駆動電流は、ロータを減速させる場合のコイルに流れる駆動電流に対して逆方向に流れる。ガルバノスキャナを適用したレーザ加工機において連続穴加工を行う場合、ガルバノスキャナのロータは、加速、減速、静止の順の動作を繰り返す。ロータが高速に動作すると、駆動電流の周波数が高くなる。このため、ロータの永久磁石に渦電流が流れて渦損が発生し、永久磁石の温度が高くなる。永久磁石の温度が過度に高くなると、熱減磁が発生する。これによって、永久磁石の特性が劣化し、ガルバノスキャナの動作に支障が生じる。
このような状況を鑑み、従来のガルバノスキャナでは、渦電流の経路を遮断するように永久磁石に溝が形成され、渦損による永久磁石の温度上昇を抑える構造が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−43133号公報
特許文献1に開示されるガルバノスキャナでは、永久磁石に形成された溝が渦電流の経路を妨げる位置に形成されるため、渦損による永久磁石の温度上昇が抑えられる。しかし、永久磁石に溝が形成されると、永久磁石の軸方向長さが溝幅の分だけ実質短くなる。このため、ガルバノスキャナのトルクが低下するという不具合がある。また、永久磁石に溝が形成されても、渦電流は、完全に遮断されず溝を迂回して流れる。このため、駆動電流の周波数が高い場合には、永久磁石の温度が限界以上に上昇する課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、永久磁石に発生する渦損を低減し、永久磁石の温度上昇を抑えることができるガルバノスキャナを得ることを目的とする。
この第1の発明に係るガルバノスキャナは、回転軸、およびこの回転軸の周方向に配置された永久磁石を有するロータと、ロータの外径側に空隙を介して配置された複数のコイル、および複数のコイルの外径側に配置されたステータコアを有するステータと、ロータに連結され予め定められた角度範囲内で回転する光学部材とを備え、ステータコアは、ステータの回転軸に垂直な断面において、異なる複数のコイルの隣り合う断面同士の外径側の周方向範囲に位置する第1の部分と、残りの周方向範囲に位置する第2の部分とで構成され、ステータコアの第1の部分における周方向のパーミアンスは、ステータコアの第2の部分における周方向のパーミアンスよりも小さく、ステータコアの第1の部分には、周方向にギャップが形成されているものである。
この第2の発明に係るガルバノスキャナは、回転軸、およびこの回転軸の周方向に配置された永久磁石を有するロータと、ロータの外径側に空隙を介して配置された複数のコイル、および複数のコイルの外径側に配置されたステータコアを有するステータと、ロータに連結され予め定められた角度範囲内で回転する光学部材とを備え、ステータコアは、ステータの回転軸に垂直な断面において、異なる複数のコイルの隣り合う断面同士の外径側の周方向範囲に位置する第1の部分と、残りの周方向範囲に位置する第2の部分とで構成され、ステータコアの第1の部分における周方向のパーミアンスは、ステータコアの第2の部分における周方向のパーミアンスよりも小さく、ステータコアの第2の部分は、内径側に突出する突起を有するものである。
上記のように構成されたガルバノスキャナは、ステータコアの第1の部分における周方向のパーミアンスが、ステータコアの第2の部分における周方向のパーミアンスよりも小さいため、電流によってコイルに発生させる磁束(以下、電流磁束という)の磁路における磁気抵抗が高くなり、電流磁束が減少する。このため、永久磁石に発生する渦損が低減され、永久磁石の温度上昇を抑えることができる。
この発明の実施の形態1に係るガルバノスキャナを示す縦断面図である。 この発明の実施の形態1に係るガルバノスキャナのコイル配置を示す図1における上面図である。 この発明の実施の形態1に係るガルバノスキャナのコイルの上面図を示す図である。 この発明の実施の形態1に係るガルバノスキャナのコイルの図3におけるC−C断面図である。 この発明の実施の形態1に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。 従来例のガルバノスキャナの要部を示す断面図である。 この発明の実施の形態2に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。 この発明の実施の形態3に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。 この発明の実施の形態4に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。 この発明の実施の形態5に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。 この発明の実施の形態5に係るガルバノスキャナのステータコアが打ち抜かれる場合の説明図である。 この発明の実施の形態6に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。 この発明の実施の形態7に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。 この発明の実施の形態8に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。 この発明の実施の形態9に係るガルバノスキャナを示す縦断面図である。 この発明の実施の形態9に係るガルバノスキャナの回転角度とトルクとの関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態9に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構を示す図15における回転軸に垂直なD−D断面図である。 この発明の実施の形態10に係るガルバノスキャナを示す縦断面図である。 この発明の実施の形態10に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構を示す図18における回転軸に垂直なE−E断面図である。 この発明の実施の形態10に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構の変形例を示す図18における回転軸に垂直なE−E断面図である。 この発明の実施の形態11に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構を示す図18における回転軸に垂直なE−E断面図である。 この発明の実施の形態11に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構の変形例を示す図18における回転軸に垂直なE−E断面図である。 この発明の実施の形態12に係るガルバノスキャナを示す縦断面図である。
以下、本発明のガルバノスキャナの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1に係るガルバノスキャナを示す縦断面図である。なお、縦断面図とは、ガルバノスキャナの回転軸を含む平面における断面図である。
図1において、ガルバノスキャナ1は、ハウジング2にベアリング3を介して回転可能に支持された回転軸4に固着されたロータ5と、ハウジング2に固着されてロータ5の外径側に空隙20を介して配置されたステータ7と、回転軸4の軸方向(以下、軸方向という)の一端に固着されロータ5に連結された光学部材であるガルバノミラー10と、軸方向の他端に固着されたエンコーダ板11と、を備えている。
ロータ5は、回転軸4と、接着剤などによって回転軸4の外周面に同軸に固着された円筒形の永久磁石6とを有している。
ステータ7は、ロータ5の外径側に空隙20を介して配置された複数のコイル9と、複数のコイル9の外径側に配置され円筒体に形成されたステータコア8とを有する。ステータコア8は、例えば、絶縁されたパーマロイ粉末を加圧成形した後に熱処理する圧粉鉄心を用いて作製される。なお、ステータコア8は、電磁鋼板などの磁性材料の板材から打ち抜いて作製されても良い。
なお、ステータコア8が円筒体に形成されているものとしているが、ステータコア8は、内周面が円筒面で構成されていればよく、外周面は円筒面でなくてもよい。
ガルバノミラー10は、矩形平板状に形成されている。ガルバノミラー10の表面は、レーザ光線の反射面となる。ロータ5が機械角−4°から+4°程度の予め定める角度範囲内で回転する。このため、ロータ5に連結された光学部材であるガルバノミラー10は、機械角−4°から+4°程度の予め定める角度範囲内で回転する。
エンコーダ板11は、表面にスリットを有する。エンコーダ板11は、センサヘッド23と協働して、ガルバノミラー10の回転角度を制御回路にフィードバックするロータリエンコーダを構成している。なお、ロータリエンコーダは、フィードバック制御に用いられるガルバノミラー10の角度変位を検出する回転角度検出装置であればよい。このため、回転角度検出装置は、ロータリエンコーダに限らず、レゾルバでもよい。
図2は、本実施の形態に係るガルバノスキャナのコイル配置を示す図1における上面図である。なお、図2は、矢印Bに沿って見たときのガルバノスキャナ1の要部を示す図となっている。図2では、ステータコア8およびコイル9の位置関係を示すために、ステータコア8およびコイル9を破線で表している。また、ロータ5、ベアリング3、ガルバノミラー10およびエンコーダ板11は省略されている。
図2に示すように、4個の方形状のコイル9(図2では奥側の1個を省略)が、方形状の平行な一対の長辺を軸方向と平行に、ステータコア8の内周面に周方向に並んで配列され、接着剤またはモールドによってステータコア8に固着されている。隣り合うコイル9は、方形状の長辺が接して配設されている。そして、隣り合うコイル9は、互いに逆向きに巻回して作製されている。このため、隣り合うコイル9の隣接する方形状の長辺に流れる電流の方向は、同じ方向となる。
図3は、本実施の形態に係るガルバノスキャナのコイルの上面図を示す図である。図4は、本実施の形態に係るガルバノスキャナのコイルの図3におけるC−C断面図である。
コイル9は、図3および図4に示すように、銅などの線材を扁平な方形状の枠(図示せず)に必要な回数だけ巻回したものを、図4に示すように、ステータコア8の内周面に沿って円弧状に曲げて成形することによって作製される。
なお、コイル9が方形状の長辺同士を接して周方向に配列されているが、コイル9は、隣り合う方形状の長辺同士が予め定められた隙間だけ離間して周方向に配列されてもよい。
図5は、本実施の形態に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。図5において、永久磁石6の外周面には、永久磁石6の磁極の外周面側の極性であるN(以下、N極という)およびS(以下、S極という)が示されている。永久磁石6には、回転軸4の回転方向(以下、周方向という)に異なる磁極が交互に形成されている。永久磁石6に形成された磁極の数である極数は4極である。また、永久磁石6は、4極に着磁された極異方性磁石であって、例えば、ネオジウムを焼結して成形された磁石である。永久磁石6が極異方性磁石であるため、永久磁石6が発生する磁束24(以下、磁石磁束という)は、永久磁石6の内径側に漏れない。よって、回転軸4は、磁性材料である必要はなく、例えば、SUS304などの非磁性材料であってもよい。
図5において、異なる複数のコイル9の隣り合う断面同士の外径側の周方向範囲に位置するステータコア8を、ステータコア8の第1の部分18としている。また、残りの周方向範囲に位置するステータコア8を、ステータコア8の第2の部分19としている。図2において、ステータコア8は、4個の第1の部分18と、4個の第2の部分19とで構成されている。4個のステータコア8の第1の部分18には、それぞれ周方向に1個のギャップ12が形成されている。ステータコア8の第2の部分19には、周方向にギャップ12が形成されていない。このため、ステータコア8の第1の部分18における周方向のパーミアンスは、ステータコア8の第2の部分19における周方向のパーミアンスよりも小さくなっている。すなわち、ステータ7の回転軸4に垂直な断面において、ステータコア8の第1の部分18における周方向のパーミアンスは、ステータコア8の第2の部分19における周方向のパーミアンスよりも小さい。
このように構成されたガルバノスキャナ1において、永久磁石6の極数が4極であり、コイル9の個数が4個である。永久磁石6の極数とコイル9の個数とが同じである場合、図5に示すように、永久磁石6の磁極の中心が隣り合うコイル9の間にある位置は、ロータ5の回転方向における基準角度となる。そして、永久磁石6の磁石磁束24は、図5の実線の矢印で示されるように、永久磁石6のN極からコイル9を突き抜けてステータコア8に達し、ステータコア8内を周方向の両側に流れ、コイル9を突き抜けて永久磁石6のN極と両隣のS極に入り、永久磁石6内を通って再びN極に戻る2つの磁路を形成する。
つぎに、ガルバノスキャナ1を用いたレーザ加工における動作について説明する。
ガルバノスキャナ1のガルバノミラー10は、レーザ加工機(図示せず)のレーザ光線の経路内に配置される。そして、エンコーダ板11を用いたロータリエンコーダの出力に基づいて、制御回路(図示せず)によってガルバノミラー10の回転角度が制御される。ガルバノミラー10の回転角度によってレーザ光線の反射方向が変化するため、被加工物へのレーザ光線の入射位置が制御される。
まず、動作前において、ロータ5の回転角度の調整が行われる。具体的には、動作前に、ロータ5が基準角度まで回転する。この状態でコイル9に電流を流すと、図5の点線の矢印で示すコイル9に発生させる電流磁束25と、永久磁石6の磁石磁束24との相互作用によって、ロータ5は、フレミングの左手の法則に従う方向(図5においては、反時計回りの方向)に回転する。ロータ5の回転方向は、コイル9に流す電流方向によって変化する。
ロータリエンコーダからの回転角度情報に基づいて電流方向が制御され、ロータ5は加速されて回転する。ロータ5は、目標の停止角度に近づくと、電流方向が逆方向に制御されて減速され、目標の停止角度に停止する。
ロータ5は、上述のように、加速、減速、停止、加速、・・・の順に回転動作を繰り返す。このため、ガルバノスキャナ1は、被加工物においてレーザ光線の照射位置を変えながら、被加工物に穴を1つずつ順番に開口して加工する。
ここで、連続穴あけ速度を4000[point/sec]とすると、電流周波数は4kHzとなる。コイル9に電流を流すことによって、コイル9の電流磁束25は、永久磁石6の内部に達する。永久磁石6の内部に達した磁界は、4kHzで変化する。このため、渦電流が永久磁石6に流れ、ジュール損によって永久磁石6が発熱する。すなわち、永久磁石6に渦損が発生する。
このとき、ステータコア8は、ステータ冷却装置(図示せず)によって冷却されている。このため、ステータコア8は、ロータ5の温度よりも低い。よって、ロータ5のおける永久磁石6の熱は、ステータコア8へ放熱される。また、永久磁石6の熱は、回転軸4を伝わり軸方向に放熱される。
図6は、従来例のガルバノスキャナの要部を示す断面図である。図6は、従来例のガルバノスキャナ101の図5に対応する断面図である。図6におけるハウジング102、回転軸104、ロータ105、永久磁石106、ステータコア108、コイル109、空隙120、磁石磁束124および電流磁束125は、図5におけるハウジング2、回転軸4、ロータ5、永久磁石6、ステータコア8、コイル9、空隙20、磁石磁束24および電流磁束25に対応する。図6の従来例のガルバノスキャナ101において、ステータコア108には、周方向にギャップ12が形成されていない点で、図5の本実施の形態のガルバノスキャナ1と異なる。従来例のガルバノスキャナ101では、ステータコア108に周方向にギャップ12が形成されていないため、永久磁石106の磁石磁束124、およびコイル109の電流磁束125が、ロータ105の任意の回転角度において妨げられることなく流れる。そして、トルクの発生ともに、永久磁石106に渦損が発生する。よって、永久磁石106の温度が上昇するという課題が従来例のガルバノスキャナ101にはあった。
以下では、本実施の形態に係るガルバノスキャナの作用効果について述べる。
図5に示すように、ステータ7の回転軸4に垂直な断面において、ステータコア8の第1の部分18における周方向のパーミアンスは、ステータコア8の第2の部分19における周方向のパーミアンスよりも小さい。この構成によって、コイル9の電流磁束25の磁路における磁気抵抗が高くなる。図5の点線の矢印で示されるように、4分割されたステータコア8の内2つずつに跨って通るコイル9の電流磁束25が減少する。よって、コイル9の電流磁束25によって永久磁石6に発生する渦損を低減できる。
なお、ギャップ12は、図5に示すように、異なる複数のコイル9の隣り合う断面同士の間の位置に限らず、異なる複数のコイル9の隣り合う断面同士の外径側の周方向範囲に位置するステータコア8の第1の部分18にあればよい。
また、ロータ5が図5に示すような回転角度にある場合、永久磁石6の磁石磁束24はギャップ12を通過しない。このため、コイル9の電流磁束25のみが軽減される。
ここで、図5のガルバノスキャナ1が一般の回転電機に用いられた場合、ロータ5の回転角度の制限がない。このため、ロータ5の回転角度が増加するにつれて、ギャップ12を通過する永久磁石6の磁石磁束24が増加し、永久磁石6の磁石磁束24が次第に減少していく。ロータ5が図5から45°回転すると、永久磁石6の磁石磁束24の全てがギャップ12を通過する。このため、永久磁石6の磁石磁束24が最も減少する。この永久磁石6の磁束の減少に伴って、トルクが減少するという不都合が生じてしまう。
一方、ガルバノスキャナ1は、一般の回転電機とは異なり、ロータ5の回転角度が機械角で−4°から+4°程度の範囲で使用される。このロータ5の回転角度の範囲では、永久磁石6の磁石磁束24がギャップ12を通過しない。このため、永久磁石6の磁石磁束24が減少することはない。
なお、ロータ5の回転角度は、上述の機械角で−4°から+4°に限らず、永久磁石6の磁石磁束24がギャップ12を通過しない予め定められた角度範囲であればよい。予め定められた角度範囲は、例えば、ガルバノスキャナ1における極数とコイル9の個数との関係で定められる。
また、極数とコイル9の個数とは、本実施の形態に示した数に限らず、極数とコイル9の個数とが異なっていてもよい。この場合でも、ロータ5の回転角度は、永久磁石6の磁石磁束24がギャップ12を通過しない予め定められた角度範囲であればよい。
なお、ステータコア8の第1の部分18に形成された周方向のギャップ12に代えて、ギャップ12の位置におけるステータコア8の第1の部分18の磁気抵抗を、残りのステータコア8の第1の部分18の磁気抵抗よりも大きくしてもよい。すなわち、ステータコアの第1の部分18には、周方向にステータコアの第2の部分19よりも磁気抵抗が大きい部分が形成されている。例えば、周方向のギャップ12と同じ位置のステータコア8の第1の部分18に応力を加えることにより、ステータコア8の第1の部分18の磁気抵抗を、残りのステータコア8の第1の部分18の磁気抵抗よりも大きくできる。この構成によっても、ステータコア8の第1の部分18における周方向のパーミアンスは、ステータコア8の第2の部分19における周方向のパーミアンスよりも小さくなる。よって、上述と同様に、コイル9の電流磁束25によって永久磁石6に発生する渦損を低減できる。
なお、図5において、ステータコア8の第2の部分19には、内周面から内径側に突出する突起がないため、ステータコア8と永久磁石6との磁気的空隙20が周方向に均一となる。このため、ロータ5の回転に伴う永久磁石6の磁石磁束24の変化が抑制される。よって、永久磁石6の磁石磁束24によって永久磁石6に発生する渦損を低減できる。
実施の形態2.
図7は、この発明を実施するための実施の形態2に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態1と異なる。4個に分割されたステータコア8の第2の部分19は、各コイル9の断面の間において、内周面から内径側に突出し周方向に離間している2個の突起13をそれぞれ有する。2個の突起13は、コイル9の断面において、異なるコイル9の断面側の周方向側面と反対側の周方向側面にそれぞれ接して、コイル9の位置決めに用いられる。
本実施の形態2に係るガルバノスキャナ1においても、実施の形態1と同様に、ステータコア8の第1の部分18には、周方向にギャップ12が形成されている。この構成によって、永久磁石6の磁石磁束24を妨げることなく、コイル9の電流磁束25を低減できる。よって、実施の形態1と同様に、コイル9の電流磁束25によって永久磁石6に発生する渦損を低減できる。
また、2個の突起13は、ステータコア8の第2の部分19の内周面から内径側に突出している。このため、突起13がない場合よりも、永久磁石6の磁石磁束24の磁路のパーミアンスを向上できる。よって、永久磁石6の磁石磁束24が増加し、ガルバノスキャナ1のトルクが増加する。
一方、突起13によってコイル9の電流磁束25も増加する。しかし、ステータコア8の第1の部分には、周方向にギャップ12が形成されているため、コイル9の電流磁束25の増加が抑えられる。これにより、トルクの向上と同時に、コイル9の電流磁束25によって永久磁石6に発生する渦損を低減することができる。このため、永久磁石6の過度の温度上昇が抑えられ、永久磁石6の熱減磁による磁石特性の劣化を抑制できる。
なお、突起13の個数は、2個に限らず、2個以上の複数個でもよい。そして、複数個の突起13は、周方向に離間している。
実施の形態3.
図8は、この発明を実施するための実施の形態3に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態2と異なる。ステータコア8の第2の部分19は、各コイル9の断面の間において、ステータコア8の第2の部分19の内周面から内径側に突出する1個の突起13をそれぞれ有する。すなわち、実施の形態2における隣り合う2個の突起13同士の間が同じ材質で埋められ、1個の突起13が形成されている。
この構成によっても、実施の形態1と同様に、ステータコア8の第1の部分18には、周方向にギャップ12が形成されているため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態に係るガルバノスキャナ1において、突起13の回転軸4に垂直な断面積は、実施の形態2の突起13の回転軸4に垂直な断面積よりも大きい。このため、突起13において磁気飽和が起こりにくい。よって、実施の形態1よりもガルバノスキャナ1のトルクが増加する。
なお、突起13によってコイル9の電流磁束25も増加する。このため、ギャップ12を実施の形態1よりも大きくすることによって、コイル9の電流磁束25の増加を抑えながら、永久磁石6の磁石磁束24を増加させる設計が可能となり、設計の自由度が向上する。
また、本実施の形態では、突起13は、各コイル9の断面の周方向側面に接しているが、この形状に限らない。突起13の周方向および径方向の長さなどの形状または個数と、空隙長とを調整することによって、永久磁石6の磁石磁束24の増加と、コイル9の電流磁束25の低減とを両立する設計が可能となる。例えば、突起13の径方向長さを小さくする方法、または突起13における回転軸4に垂直な断面の形状を四角形ではなく三角形にする方法がある。
実施の形態4.
図9は、この発明を実施するための実施の形態4に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態2と異なる。ギャップである平行溝14の内径側には、離間したステータコア8の第1の部分18同士を連結する接続部である薄肉部15がある。
この構成によっても、実施の形態1と同様に、ステータコア8の第1の部分18には、周方向にギャップである平行溝14が形成されているため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、薄肉部15によって離間したステータコア8の第1の部分18同士が連結されている。このため、ステータコア8が一体化され、ステータコア8の部品点数が削減される。また、ステータコア8が一体化されているため、ステータコア8がハウジング2に固定されたときに生じるステータコア8の寸法公差を低減できる。
また、ステータコア8が圧粉鉄心で作製される場合、平行溝14のような幅の狭い溝形状の作製は、金型による成形では困難である。そこで、まず平行溝14がない円筒体のステータコア8が作製される。そして、平行溝14をステータコア8に後加工して形成するのが一般的である。この場合、ステータコア8の外周側から溝加工できるため後加工が容易となる。
なお、ステータコア8が電磁鋼板などの磁性材料の板材から打ち抜いて作製される場合には、ステータコア8を打ち抜く際に平行溝14を形成してもよい。
また、薄肉部15には、コイル9の電流磁束25が流れる。このため、実施の形態1よりもコイル9の電流磁束25が増加する。このコイル9の電流磁束25の増加を抑える必要がある場合には、薄肉部15の径方向長さを、コイル9の電流磁束25によって薄肉部15が磁気飽和する寸法以下にしてもよい。なお、薄肉部15の径方向位置は、平行溝14の内径側に限らず、平行溝14の径方向に沿う任意の位置であってもよい。
実施の形態5.
図10は、この発明を実施するための実施の形態5に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態4と異なる。ギャップである平行溝14の外径側には、離間したステータコア8の第1の部分18同士を連結する接続部である薄肉部15がある。
この構成によっても、実施の形態1と同様に、ステータコア8の第1の部分18には、周方向にギャップである平行溝14が形成されているため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、実施の形態4と同様に、薄肉部15によって離間したステータコア8の第1の部分18同士が連結されている。このため、ステータコア8が一体化され、ステータコア8の部品点数が削減される。また、ステータコア8が一体化されているため、ステータコア8がハウジング2に固定されたときに生じるステータコア8の寸法公差を低減できる。
また、実施の形態4と同様に、薄肉部15には、コイル9の電流磁束25が流れる。このため、コイル9の電流磁束25の増加を抑える必要がある場合には、薄肉部15の径方向長さを、コイル9の電流磁束25によって薄肉部15が磁気飽和する寸法以下にしてもよい。
また、薄肉部15がコイル9の外径側から離れた位置に設けられている。このため、コイル9の電流磁束25の磁路の長さが、薄肉部15がコイル9の外径側に近い位置にある場合よりも長い。よって、薄肉部15がコイル9の外径側に近い位置にある場合よりも、コイル9の電流磁束25の磁路におけるパーミアンスが減少し、コイル9の電流磁束25が減少する。したがって、実施の形態4よりも、コイル9の電流磁束25によって永久磁石6に発生する渦損を低減できる。
また、平行溝14の外径側に薄肉部15があるため、ステータコア8の外周面とハウジング2との接触面積が増加する。よって、ステータコア8とハウジング2とを強固に固定でき、ガルバノスキャナ1の剛性が向上する。
また、ステータコア8の外周面が円筒面であるため、ステータコア8が圧粉鉄心で作製される場合には、後加工による平行溝14の寸法精度が向上する。
図11は、この発明を実施するための実施の形態5に係るガルバノスキャナのステータコアが打ち抜かれる場合の説明図である。ステータコア8が電磁鋼板などの磁性材料の板材から打ち抜いて作製される場合には、ステータコア8を構成する板材は、隣り合う薄肉部15同士の間のステータコア8の部分22における中心軸が平行になる配置で、電磁鋼板21から打ち抜かれる。その後、打ち抜かれた複数の板材は、軸方向に積層され、直線状のステータコア8が形成される。そして、直線状のステータコア8の薄肉部15が塑性変形され、円環状のステータコア8が形成される。したがって、平行溝14の外径側に、離間したステータコア8の第1の部分18同士を連結する薄肉部15があるステータコア8の形状によって、隣り合う薄肉部15同士の間のステータコア8の部分22における中心軸が平行になる配置で、電磁鋼板21からステータコア8を構成する板材を打ち抜くことができる。このため、電磁鋼板21の材料歩留まりが向上する。
実施の形態6.
図12は、この発明を実施するための実施の形態6に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態2と異なる。ステータコアの第1の部分18におけるギャップ12は、外径側に向かうに従ってギャップ長が拡がる開口型形状に形成されている。
この構成によっても、実施の形態1と同様に、ステータコア8の第1の部分18には、周方向にギャップ12が形成されているため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
ガルバノスキャナ1のトルクを低減せずに、コイル9の電流磁束25によって永久磁石6に発生する渦損を低減するには、永久磁石6の磁石磁束24を減少させずに、コイル9の電流磁束25を減少させる必要がある。
図12において、コイル9の電流磁束25は、ギャップ12において周方向に流れる。一方、ギャップ12を中心として、永久磁石6の磁石磁束24の右側部分が時計回りに流れ、永久磁石6の磁石磁束24の左側部分が反時計回りに流れる。このため、永久磁石6の磁石磁束24は、ギャップ12の開口型形状に沿って減少することなく流れる。よって、永久磁石6の磁石磁束24を減少させずに、コイル9の電流磁束25を減少させることができる。したがって、実施の形態1から5に示すギャップよりも、ステータコア8の第1の部分18における周方向のパーミアンスを小さくできる。このため、永久磁石6の過度の温度上昇が抑えられ、永久磁石6の熱減磁による磁石特性の劣化を抑制できる。
実施の形態7.
図13は、この発明を実施するための実施の形態7に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態6と異なる。ギャップである開口型溝16の内径側には、離間したステータコア8の第1の部分18同士を連結する接続部である薄肉部15がある。
この構成によっても、実施の形態6と同様に、ステータコア8の第1の部分18には、周方向にギャップである開口型溝16が形成されているため、実施の形態6と同様の効果を奏する。
また、薄肉部15によって離間したステータコア8の第1の部分18同士が連結されている。このため、ステータコア8が一体化され、ステータコア8の部品点数が削減される。また、ステータコア8が一体化されているため、ステータコア8がハウジング2に固定されたときに生じるステータコア8の寸法公差を低減できる。
また、薄肉部15には、コイル9の電流磁束25が流れる。このため、実施の形態6よりもコイル9の電流磁束25が増加する。このコイル9の電流磁束25の増加を抑える必要がある場合には、薄肉部15の径方向長さを、コイル9の電流磁束25によって薄肉部15が磁気飽和する寸法以下にしてもよい。
また、実施の形態4では、ステータコア8が圧粉鉄心で作製される場合には、平行溝14をステータコア8に後加工して形成していた。一方、本実施の形態の開口型溝16は、外径側に向かうに従ってギャップ長が拡がる形状である。このため、ステータコア8が圧粉鉄心で作製される場合でも、圧粉鉄心の成形時に開口型溝16を作製でき、開口型溝16の後加工が不要となる。
実施の形態8.
図14は、この発明を実施するための実施の形態8に係るガルバノスキャナの要部を示す図1における回転軸に垂直なA−A断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態6と異なる。ギャップである閉口型溝17の外径側には、離間したステータコア8の第1の部分18同士を連結する接続部である薄肉部15がある。
この構成によっても、実施の形態6と同様に、ステータコア8の第1の部分18には、周方向にギャップである閉口型溝17が形成されているため、実施の形態6と同様の効果を奏する。
また、実施の形態7と同様に、薄肉部15によって離間したステータコア8の第1の部分18同士が連結されている。このため、ステータコア8が一体化され、ステータコア8の部品点数が削減される。また、ステータコア8が一体化されているため、ステータコア8がハウジング2に固定されたときに生じるステータコア8の寸法公差を低減できる。
また、実施の形態7と同様に、薄肉部15には、コイル9の電流磁束25が流れる。このため、コイル9の電流磁束25の増加を抑える必要がある場合には、薄肉部15の径方向長さを、コイル9の電流磁束25によって薄肉部15が磁気飽和する寸法以下にしてもよい。
また、実施の形態5と同様に、薄肉部15がコイル9の外径側から離れた位置に設けられている。このため、コイル9の電流磁束25の磁路の長さが、薄肉部15がコイル9の外径側に近い位置にある場合よりも長い。よって、薄肉部15がコイル9の外径側に近い位置にある場合よりも、コイル9の電流磁束25の磁路におけるパーミアンスが減少し、コイル9の電流磁束25が減少する。したがって、実施の形態7よりも、コイル9の電流磁束25によって永久磁石6に発生する渦損を低減できる。
また、実施の形態5と同様に、薄肉部15が閉口型溝17の外径側にあるため、ステータコア8の外周面とハウジング2との接触面積が増加する。よって、ステータコア8とハウジング2とを強固に固定でき、ガルバノスキャナ1の剛性が向上する。
また、実施の形態5と同様に、ステータコア8の外周面が円筒面であるため、ステータコア8が圧粉鉄心で作製される場合には、後加工による閉口型溝17の寸法精度が向上する。
実施の形態9.
図15は、この発明を実施するための実施の形態9に係るガルバノスキャナを示す縦断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、実施の形態2から6のいずれかに係るガルバノスキャナ1の構成に加えて、ハウジング2の軸方向一端部側、すなわちステータ7の軸方向一端部側に磁石吸引力低減機構201が設けられた構造となっている。
図16は、本実施の形態に係るガルバノスキャナの回転角度とトルクとの関係を示すグラフである。図16において、横軸は、ロータ5が図7の位置にある場合におけるロータ5の回転角度を0°とし図7の反時計回りの方向を正としたときのロータ5の電気角の回転角度を表す。縦軸は、図7の反時計回りの方向を正としたときのガルバノスキャナ1のトルクを表す。なお、トルクの値は、無通電時の振幅で規格化されている。図16において、破線の波形は無通電時のトルクを表し、実線の波形は通電時のトルクを表す。図16の通電時のトルクは、反時計回りの方向のトルクが発生するように通電した場合のトルクを表している。
実施の形態2から6のいずれかにおけるステータコア8の内径側には突起13があるため、図7のように永久磁石6の磁極の中心が図7の周方向両側の2つの突起13に対して同じ距離にある場合(すなわち、ロータ5の磁極の中心が同じコイル9に隣り合う突起13同士の間の周方向の中央部である中立角度に位置する場合)には、永久磁石6と突起13との間の磁気吸引力である磁石吸引力が周方向に釣り合うため、図16の回転角度0°のおける無通電時のトルクのように、ロータ5には磁石吸引力が発生しない。一方、ロータ5の磁極の中心が中立角度から周方向両側のいずれか一方に回転した場合には、ロータ5の磁極の中心から近い方の突起13の磁石吸引力の方がロータ5の磁極の中心から遠い方の突起13との磁石吸引力よりも大きくなるため、ロータ5の磁極の中心から近い方の突起13に回転する方向のトルクが増加する。
このため、図16において、トルクが反時計方向と時計方向とでそれぞれ異なる値を示すことから、コイル9の電流とトルクとの比例定数であるトルク定数は、回転方向に依存して変化することがわかる。また、突起13に近づくほど磁石吸引力が大きくなるため、図16において、トルクが回転角度ごとに変動することから、トルク定数は、回転角度にも依存して変化することがわかる。回転方向および回転角度の2つに対する依存性のため、ロータ5の回転角度を制御するのに複雑な制御が必要となる。
ここで、本実施の形態のガルバノスキャナでは、磁石吸引力低減機構201を備えることにより、永久磁石6と突起13との間に生じる磁石吸引力の周方向成分を低減させる。
図17は、本実施の形態に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構を示す図15における回転軸に垂直なD−D断面図である。図17において、磁石吸引力低減機構201は、バネ202と、ハウジング207とを有している。バネ202は、ロータ5とハウジング207を介してステータ7とに接続されている。また、バネ202は、ロータ5の磁極の中心が同じコイル9に隣り合う突起13同士の間の周方向の中央部である中立角度からいずれか一方に回転した場合には、回転角度に応じてロータ5が中立角度に戻る方向の復元力が発生するように設置されている。なお、バネ202は、図7のように永久磁石6の磁極の中心が中立角度にあるときに、ロータ5にバネ202による復元力が発生しないように設置されているのが望ましい。
このように、復元力の方向が磁石吸引力の方向と反対になるため、バネ202のバネ定数を調節することで磁石吸引力をキャンセルまたは低減することが可能となる。
なお、図17において、バネ202は、機械式の板バネであるが、渦巻きバネ、ねじりコイルバネ、またはロータ5が中立角度に戻る方向の復元力を生じる流体による他の方式のバネでもかまわない。
この構成によって、ロータ5に発生する磁石吸引力を低減またはキャンセルすることにより、回転方向および回転角度に対するトルク定数の依存性を小さくできるため、ロータ5の回転角度制御が容易となり回転角度制御の精度が向上する。
実施の形態10.
図18は、この発明を実施するための実施の形態10に係るガルバノスキャナを示す縦断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態9と異なる。図18において、磁石吸引力低減機構201は、ステータ7の軸方向一端部側に配置されており、ハウジング2の内部に配置されている。また、ロータ5の永久磁石6は、ステータ7の軸方向一端部側の端面を超えて磁石吸引力低減機構201まで軸方向に伸びている。
図19は、本実施の形態に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構を示す図18における回転軸に垂直なE−E断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態9と異なる。図19において、磁石吸引力低減機構201は、補助ステータコア204と、ハウジング207とを有している。補助ステータコア204は、突起部205と、コアバック206とを有している。さらに、補助ステータコア204は、ステータコア8がロータ5の軸心を中心に電気角で90°回転した形状で配置されている。このため、補助ステータコア204には、周方向にギャップ208が形成されている。また、補助ステータコア204は、ロータ5の永久磁石6の外径側に空隙200を介して配置されている。なお、ハウジング207は、ハウジング2と一体となっていてもよい。
これにより、ステータコア8の突起13に発生する磁石吸引力と、磁石吸引力低減機構201における補助ステータコア204の突起部205に発生する磁石吸引力とが相殺されるため、ステータコア8の突起13に発生する磁石吸引力を低減できる。
相殺が不十分な場合は、補助ステータコア204の突起部205の幅を調節することによって、ステータコア8の突起13に発生する磁石吸引力を適切に低減できる。
また、補助ステータコア204とステータコア8とが同じ形状であるため、共通化によって部品点数を削減できる。
この構成によって、ロータ5に発生する磁石吸引力を低減またはキャンセルすることにより、回転方向および回転角度に対するトルク定数の依存性を小さくできるため、ロータ5の回転角度制御が容易となり回転角度制御の精度が向上する。
図20は、本実施の形態に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構の変形例を示す図18における回転軸に垂直なE−E断面図である。図20の構成は、補助ステータコア204にギャップ208が形成されていない点で図19と異なる。図20において、磁石吸引力低減機構201の補助ステータコア204は、ステータコア8の突起13がロータ5の軸心を中心に電気角で90°回転した形状の突起部205を有している。また、補助ステータコア204には、ギャップ208が形成されていない。このため、図19のように、ギャップ208で磁気抵抗が大きくなることがない。
この構成によっても、図19と同様の効果を得ることができる。さらに、図19の補助ステータコア204よりも、ロータ5に発生する磁気吸引力を低減することができる。
なお、図19および図20における補助ステータコア204は、ステータコア8の突起13がロータ5の軸心を中心に電気角で90°回転した形状で配置されるのが望ましいが、ステータコア8の突起13がロータ5の軸心を中心に電気角で90±22.5°回転した形状で配置されていてもよい。図16の無通電時のトルク波形を上記角度範囲ずらして重ね合わせてもトルクが低減されるため、上記角度範囲であってもロータ5に発生する磁石吸引力を低減することができる。
実施の形態11.
図21は、この発明を実施するための実施の形態11に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構を示す図18における回転軸に垂直なE−E断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態9と異なる。図21において、磁石吸引力低減機構201は、補助ステータコア204と、ハウジング207と、補助ステータコア204の突起部205の代わりとなる永久磁石203とを有する。補助ステータコア204は、コアバック206のみを有している。補助ステータコア204のコアバック206には、隣り合う永久磁石203の間の周方向範囲にギャップ208が形成されている。磁石吸引力低減機構201の永久磁石203は、ロータ5の永久磁石6の外径側に空隙200を介して配置されている。また、永久磁石203の極性は、ロータ5の磁極の中心が図21のように中立角度に位置するときの対向するロータ5の磁極の極性と同じとなっている。また、図21において、永久磁石203の着磁方向は周方向となっている。
ロータ5の磁極の中心が中立角度から周方向両側のいずれか一方に回転した場合には、永久磁石203が、ロータ5の永久磁石6と反発するため、回転角度に応じてロータ5が中立角度に戻る方向の力が発生する。この力の方向が磁石吸引力の方向と反対になるため、磁石吸引力をキャンセルまたは低減することが可能となる。
また、コアバック206には、隣り合う永久磁石203の間の周方向範囲にギャップ208が形成されているため、永久磁石203の磁力を低下させることがない。よって、磁石吸引力をキャンセルまたは低減する力の低下を抑制しながら、コアバック206を分割することができる。コアバック206の分割によって、永久磁石203のコアバック206への固定作業や着磁作業が容易となる。
この構成によって、ロータ5に発生する磁石吸引力を低減またはキャンセルすることにより、回転方向および回転角度に対するトルク定数の依存性を小さくできるため、ロータ5の回転角度制御が容易となり回転角度制御の精度が向上する。
図22は、本実施の形態に係るガルバノスキャナの磁石吸引力低減機構の変形例を示す図18における回転軸に垂直なE−E断面図である。図22の構成は、永久磁石203の着磁方向が径方向となっている点で図21と異なる。図22においても、図21と同様に、永久磁石203の極性は、ロータ5の磁極の中心が図22のように中立角度に位置するときの対向するロータ5の磁極の極性と同じになっている。このため、ロータ5の磁極の中心が中立角度から周方向両側のいずれか一方に回転した場合には、永久磁石203が、ロータ5の永久磁石6と反発するため、回転角度に応じてロータ5が中立角度に戻る方向の力が発生する。この力の方向が磁石吸引力の方向と反対になるため、磁石吸引力をキャンセルまたは低減することが可能となる。
この構成によっても、図21と同様の効果を得ることができる。また、永久磁石203の体積を図21よりも低減できる。
なお、図21および図22におけるコアバック206には、隣り合う永久磁石203の間の周方向範囲にギャップ208が形成されてなくてもよい。
実施の形態12.
図23は、この発明を実施するための実施の形態12に係るガルバノスキャナを示す縦断面図である。本実施の形態に係るガルバノスキャナ1の構成は、以下に述べる点で、実施の形態9と異なる。図23において、磁石吸引力低減機構201は、ハウジング2の軸方向両端部側、すなわちステータ7の軸方向両端部側に配置されている。それぞれの磁石吸引力低減機構201の構成は、実施の形態9から11のいずれかと同じである。
ここで、実施の形態9から11では、ステータコア8の突起13に発生する磁石吸引力と、磁石吸引力低減機構201で発生する力とは、互いに周方向反対の方向であるため、トルクは相殺されるが、磁石吸引力低減機構201に発生する力の軸方向位置が、磁石吸引力の軸方向位置から離れており、磁石吸引力と力とによってロータ5にねじれが発生する。
本実施の形態では、磁石吸引力低減機構201がステータコア8の軸方向両側に配置されているため、軸方向両端に同じ方向のトルクがかかり、反対方向のトルクがそれぞれかかる軸方向の距離が実施の形態9から11に対して半減する。このため、ねじれ共振周波数は、実施の形態9から11よりも高くなり、電流の周波数よりも高く設計することが容易となる。また、磁石吸引力によるトルクも、実施の形態9から11よりも低減することができる。
この構成によって、実施の形態9から11の効果に加えて、ねじれ共振の影響を低減できることから、ロータ5の回転角度制御が容易となり回転角度制御の精度が向上する。
1 ガルバノスキャナ、 2、102、207 ハウジング、 3 ベアリング、 4、104 回転軸、 5、105 ロータ、 6、106、203 永久磁石、 7 ステータ、 8、108 ステータコア、 9、109 コイル、 10 光学部材、 11 エンコーダ板、 12、208 ギャップ、 13 突起、 14 平行溝、 15 薄肉部、 16 開口型溝、 17 閉口型溝、 18 ステータコアの第1の部分、 19 ステータコアの第2の部分、 20、120、200 空隙、 21 電磁鋼板、 22 隣り合う薄肉部同士の間のステータコアの部分、 23 センサヘッド、 24、124 磁石磁束、 25、125 電流磁束、 101 従来例のガルバノスキャナ、 201 磁石吸引力低減機構、 202 バネ、 204 補助ステータコア、 205 突起部、 206 コアバック。

Claims (10)

  1. 回転軸、およびこの回転軸の周方向に異なる磁極が交互に形成された第1の永久磁石を有するロータと、
    前記ロータの外径側に空隙を介して配置された複数のコイル、および前記複数のコイルの外径側に配置されたステータコアを有するステータと、
    前記ロータに連結され予め定められた角度範囲内で回転する光学部材とを備え、
    前記ステータコアは、前記ステータの前記回転軸に垂直な断面において、異なる前記複数のコイルの隣り合う断面同士の外径側の周方向範囲に位置する第1の部分と、残りの周方向範囲に位置する第2の部分とで構成され、
    前記ステータコアの前記第1の部分における周方向のパーミアンスは、前記ステータコアの前記第2の部分における周方向のパーミアンスよりも小さく、
    前記ステータコアの第1の部分には、周方向にギャップが形成されているガルバノスキャナ。
  2. 前記ステータコアの第1の部分における前記ギャップは、外径側に向かうに従ってギャップ長が拡がる請求項に記載のガルバノスキャナ。
  3. 前記ギャップには、離間した前記ステータコアの第1の部分同士を連結する接続部がある請求項または請求項に記載のガルバノスキャナ。
  4. 回転軸、およびこの回転軸の周方向に異なる磁極が交互に形成された第1の永久磁石を有するロータと、
    前記ロータの外径側に空隙を介して配置された複数のコイル、および前記複数のコイルの外径側に配置されたステータコアを有するステータと、
    前記ロータに連結され予め定められた角度範囲内で回転する光学部材とを備え、
    前記ステータコアは、前記ステータの前記回転軸に垂直な断面において、異なる前記複数のコイルの隣り合う断面同士の外径側の周方向範囲に位置する第1の部分と、残りの周方向範囲に位置する第2の部分とで構成され、
    前記ステータコアの前記第1の部分における周方向のパーミアンスは、前記ステータコアの前記第2の部分における周方向のパーミアンスよりも小さく、
    前記ステータコアの第2の部分は、内径側に突出する突起を有するガルバノスキャナ。
  5. 前記突起は、周方向に離間する複数個の突起からなる請求項に記載のガルバノスキャナ。
  6. 前記ステータの軸方向端部側に配置され前記突起と前記第1の永久磁石との間に生じる磁石吸引力の周方向成分を低減する磁石吸引力低減機構とをさらに備えた請求項または請求項に記載のガルバノスキャナ。
  7. 前記磁石吸引力低減機構は、前記ロータと前記ステータとに接続されたバネを有し、
    前記バネは、同じ前記コイルに隣り合う前記突起同士の間における周方向の中央部に前記ロータが戻る方向の復元力を発生する請求項に記載のガルバノスキャナ。
  8. 前記磁石吸引力低減機構は、前記ステータコアの前記突起が前記ロータの軸心を中心に電気角で90°回転した形状の突起部を具備する補助ステータコアを有し、
    前記補助ステータコアは、前記第1の永久磁石の外径側に空隙を介して配置された請求項に記載のガルバノスキャナ。
  9. 前記磁石吸引力低減機構は、前記第1の永久磁石の外径側に空隙を介して配置された第2の永久磁石を有し、
    前記第2の永久磁石は、同じ前記コイルに隣り合う前記突起同士の間における周方向の中央部に前記ロータの前記磁極の中心が位置するときの対向する前記磁極の極性と同じ極性を有する請求項に記載のガルバノスキャナ。
  10. 前記磁石吸引力低減機構は、前記ステータの軸方向両端部側に配置された請求項から請求項のいずれか1項に記載のガルバノスキャナ。
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