JP6766660B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
例えば、誘電体ブロックによる従来技術としては、特許文献1では、放射電極を樹脂成型体に形成し、さらに誘電体ブロックを接着剤で一体化することで高効率を得る複合アンテナが提案されている。
すなわち、特許文献1に記載のような誘電体ブロックによる技術では、放射電極を励振する誘電体ブロックを使用しており、機器毎に誘電体ブロック、放射電極パターン等の設計が必要になり、その設計条件によってアンテナ性能が劣化したり、不安定要素が増加する不都合がある。また、放射電極が樹脂成型体の表面に形成されているため、樹脂成型体上に放射電極パターンを設計する必要があり、実装する通信機器やその用途に応じて、アンテナ設計、金型設計が必要になり、大幅なコストの増大を招いてしまう。さらに、誘電体ブロックと樹脂成型体とを接着剤で一体化するので、接着剤のQ値以外にも接着条件(接着剤の厚み、接着面積等)により、アンテナ性能が劣化したり、不安定要素が増加する不都合がある。
また、特許文献2に記載のようなスイッチ,制御電圧源を用いたアンテナ装置の場合、スイッチで共振周波数の切り替えを行うために、制御電圧源の構成やリアクタンス回路等が必要であり、アンテナ構成が機器毎に複雑化し、設計の自由度が無く、容易なアンテナ調整が困難であるという問題があった。
特に、このアンテナ装置では、第2延在部の先端にグランドに接続される第1グランド接続部が設けられていると共に、第4延在部の途中にグランドに接続される第2グランド接続部が設けられているので、高周波電流を、第2グランド接続部を介してグランドへ効率的に流すことが可能になる。すなわち、第1グランド接続部は給電点に近いため、高周波電流が集中し易く、第2延在部の設計条件やグランド全体の大きさにより、アンテナ性能に影響を及ぼす場合があるが、給電点からみて第1グランド接続部と位相差を有する第2グランド接続部とでグランドに接続することで、高周波電流をグランドに効率的に流すことが可能になり、第1グランド接続部がアンテナ性能に及ぼす影響が低減されると共に第2グランド接続部を介してグランドに高周波電流の一部を流すことで第4延在部の先端側に流す高周波電流を調整することができる。
また、第1グランド接続部と第2グランド接続部との間、すなわち第2グランド接続部から第4延在部の基端までと、第3延在部と、第3延在部の基端から第1グランド接続部までとの間で、別の共振周波数を得ることができる。したがって、主に第1エレメントで得られる共振周波数と、主に第2エレメントで得られる共振周波数と、主に第2グランド接続部から第1グランド接続部までで得られる共振周波数との少なくとも3つの複共振化が可能になる。
すなわち、このアンテナ装置では、第2エレメントが、第6延在部、第7延在部及び第8延在部で構成される折り曲げ部を有しているので、この折り曲げ部で発生する浮遊容量によって第1エレメントと第2エレメントとの間の浮遊容量を調整すると共にグランドとの間の浮遊容量を一部キャンセルすることで、インピーダンス調整を行うことができる。
すなわち、このアンテナ装置では、第4延在部が、第2エレメントの先端を越えて延在しているので、高いインピーダンスとなる第1エレメントと第2エレメントとの互いに先端位置がずれて、干渉し難くなると共に、第1エレメントと第2エレメントとの間の浮遊容量によってインピーダンス調整を行うことができる。また、第1エレメントの方が第2エレメントよりも長く設定されることで、主に第1エレメントで得られる共振周波数を主に第2エレメントで得られる共振周波数より低くすることができる。なお、逆に第2エレメントを第1エレメントよりも長くすると、第2エレメントとグランドとの間の浮遊容量が大きくなって第1エレメントと第2エレメントとの間の浮遊容量による効果が小さくなってインピーダンス調整が難しくなる。
すなわち、このアンテナ装置では、第3エレメントが、第3延在部の先端から第4延在部とは反対方向に延在しているので、主に第1エレメントで得られる共振周波数及び主に第2エレメントで得られる共振周波数とは別の共振周波数を得ることができ、少なくとも3つの共振周波数が得られる。
第6の発明に係るアンテナ装置は、第4の発明において、前記第3エレメントに第4受動素子が接続されていることを特徴とする。
すなわち、これらのアンテナ装置では、各受動素子の選択によって、各共振周波数をフレキシブルに調整可能であり、設計条件に応じた複共振化が可能なアンテナ装置を得ることができる。このように、アンテナ構成上、各共振周波数をフレキシブルに調整できるため、共振周波数の入れ替えが可能になり、用途や機器に応じて受動素子等による調整箇所を変更可能になっている。
すなわち、このアンテナ装置では、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子のアンテナ素子によってエレメント長の短縮化及び高インピーダンス化と、浮遊容量の増大とが可能になり、複共振化の調整が容易になると共に小型化とアンテナ特性の向上とを図ることができる。
また、基板本体の平面内で設計が可能であり、従来の誘電体ブロックや樹脂成型体等を使用する場合に比べて薄型化が可能であると共に、誘電体アンテナであるアンテナ素子の選択によって、小型化および高性能化が可能になる。また、金型、設計変更等によるコストが必要なく、低コストを実現することができる。
本発明のアンテナ装置によれば、基板本体の表面にそれぞれ金属箔でパターン形成された上記の第1エレメント及び第2エレメントを備えているので、各エレメント間やグランドとの間の各浮遊容量とを効果的に利用することで、少なくとも2つ以上の共振周波数による複共振化させることができる。
特に、第2延在部の先端にグランドに接続される第1グランド接続部が設けられていると共に、第4延在部の途中にグランドに接続される第2グランド接続部が設けられているので、高周波電流を、第2グランド接続部を介してグランドへ効率的に流すことが可能になると共に、第1グランド接続部と第2グランド接続部との間で別の共振周波数も得ることが可能になる。
また、エレメントに接続するアンテナ素子や受動素子の選択によって、各共振周波数をフレキシブルに調整可能であり、設計条件に応じた複共振化が可能になると共に、小型化および高性能化が可能になる。
したがって、本発明のアンテナ装置は、多様な用途や機器に対応した複共振化が容易に可能になると共に、省スペース化を図ることができる。
また、本アンテナ装置1は、基板本体2の表面に銅箔等の金属箔でパターン形成されたグランド面G0を備えている。なお、グランド面G0は、搭載される装置のグランドGNDに接続されている。
また、第2延在部E2の先端にはグランド面G0を介してグランドGNDに接続される第1グランド接続部G1が設けられていると共に、第4延在部E4の途中にグランドGNDに接続される第2グランド接続部G2が設けられている。
なお、第2グランド接続部G2は、例えばスルーホールを介して基板本体2の裏面側でグランドGNDに接続されている。また、第1グランド接続部G1は、基板本体2の表面に銅箔等の金属箔でパターン形成された接続部、リード線又はジャンパー線等でグランド面G0に接続されている。
上記第4延在部E4には、途中に第1受動素子P1が接続されている。また、上記第2エレメント4には、途中に第2受動素子P2が接続されている。この第2受動素子P2は、第9延在部E9の途中に接続されている。また、第2延在部E2には、途中に第3受動素子P3が接続されている。この第3受動素子は、第2グランド接続部G2と第3延在部E3の基端との間に接続されている。さらに、第3エレメント5には、途中に第4受動素子P4と、誘電体アンテナのアンテナ素子ATとがこの順で接続されている。
上記基板本体2は、一般的なプリント基板であって、本実施形態では、ガラスエポキシ樹脂等からなるプリント基板を採用している。
なお、上記給電点FPは、それぞれ高周波回路(図示略)の給電点に接続される。また、グランド面G0の領域には、高周波回路が実装される。
上記各受動素子は、例えばインダクタ、コンデンサ、抵抗又はジャンパー線が採用される。
このアンテナ素子ATは、共振周波数等の設定に応じて、その長さ、幅、導体パターン等が異なる素子を選択しても構わない。また、所望の周波数によっては、アンテナ素子ATに使用している誘電体121を、磁性体、若しくは誘電体と磁性体とを混合した複合材料としても構わない。
すなわち、図3に示すように、第4延在部E4とグランド面G0との間の浮遊容量Caと、第4延在部E4と第9延在部E9との間の浮遊容量Cbと、第4延在部E4とグランド面G0との間の浮遊容量Ccと、第9延在部E9とグランド面G0との間の浮遊容量Cdと、第3エレメント5と第2延在部E2との間の浮遊容量Ceと、第3エレメント5とグランド面G0との間の浮遊容量Cfと、第4延在部E4と第2延在部E2及び第5延在部E5との間の浮遊容量Cgと、第6延在部E6と第8延在部E8との間の浮遊容量Chと、第7延在部E7とグランド面G0との間の浮遊容量Ciとが発生可能である。
上記第1の共振周波数f1は、第1エレメント3と第1受動素子P1及び第3受動素子P3と浮遊容量とで決定される。また、上記第2の共振周波数f2は、第3エレメント5と第1延在部E1から第3延在部E3までと第4受動素子P4と第3受動素子P3と浮遊容量とで決定される。また、上記第3の共振周波数f3は、第2エレメント4と第1延在部E1と第2延在部E2と第2受動素子P2と第3受動素子P3と浮遊容量とで決定される。さらに、上記第4の共振周波数f4は、第1グランド接続部G1から第2グランド接続部G2までと第1延在部E1と第2延在部E2と第3受動素子P3と浮遊容量とで決定される。
「第1の共振周波数f1について」
上記第1の共振周波数f1の周波数は、第1エレメント3と第1受動素子P1及び第3受動素子P3と浮遊容量Ca,Cb,Cc,Cdとにより設定および調整することができる。
また、第1の共振周波数f1のインピーダンス調整は、浮遊容量Ca,Cb,Cc,Cdの各浮遊容量の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第1受動素子P1の選択によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第1の共振周波数f1は、主に図2中の破線A1の部分で調整される。
上記第2の共振周波数f2の周波数は、第3エレメント5と第1延在部E1から第3延在部E3と第4受動素子P4と第3受動素子P3と浮遊容量Ce,Cfにより設定および調整することができる。
また、第2の共振周波数f2のインピーダンス調整は、浮遊容量Ce,Cfの各浮遊容量の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第4受動素子P4の選択によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第2の共振周波数f2は、主に図2中の一点鎖線A2の部分で調整される。
上記第3の共振周波数f3の周波数は、第2エレメント4と第1延在部E1と第2延在部E2と第2受動素子P2と第3受動素子P3と浮遊容量Cb,Cd,Cg,Ch,Ciにより設定および調整することができる。
また、第3の共振周波数f3のインピーダンス調整は、浮遊容量Cb,Cd,Cg,Ch,Ciの各浮遊容量の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第2受動素子P2の選択によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第3の共振周波数f3は、主に図2中の二点鎖線A3の部分で調整される。
上記第4の共振周波数f4の周波数は、第1グランド接続部G1から第2グランド接続部G2までと第1延在部E1と第2延在部E2と第3受動素子P3と浮遊容量Cgにより設定および調整することができる。
また、第3の共振周波数f3のインピーダンス調整は、浮遊容量Cgの各浮遊容量の設定で行うことができる。
なお、第2グランド接続部G2と第4延在部E4の基端との間に受動素子を接続して最終的な周波数調整をフレキシブルに行うことも可能である。
このように第4の共振周波数f4は、主に図2中の二点鎖線A4の部分で調整される。
また、アンテナ素子ATおよび各受動素子の選択によって、各共振周波数をフレキシブルに調整可能であり、設計条件に応じた複共振化が可能なアンテナ装置を得ることができる。このように、アンテナ構成上、各共振周波数をフレキシブルに調整できるため、共振周波数の入れ替えが可能になり、用途や機器に応じて受動素子等による調整箇所を変更可能になっている。
また、基板本体2の平面内で設計が可能であり、従来の誘電体ブロックや樹脂成型体等を使用する場合に比べて薄型化が可能であると共に、誘電体アンテナであるアンテナ素子ATの選択によって、小型化および高性能化が可能になる。また、金型、設計変更等によるコストが必要なく、低コストを実現することができる。
第1受動素子P1:C=1.0pFのコンデンサ
第2受動素子P2:L=2.2nHのインダクタ
第3受動素子P3:L=1.2nHのインダクタ
第4受動素子P4:L=1.5nHのインダクタ
なお、表1において、第1の共振周波数f1の周波数帯は1575MHz、第2の共振周波数f2の周波数帯は2440MHz、第3の共振周波数f3の周波数帯は2800MHz、第4の共振周波数f4の周波数帯は4000MHzである。
なお、第3エレメント5の基端から先端に向かう延在方向(アンテナ素子ATの延在方向)を−Y方向とし、第1延在部E1の基端から先端に向かう延在方向を−X方向とし、基板本体2表面に対する垂直方向をZ方向とした。この際のZX面に対する垂直偏波、水平偏波及び電力利得を測定した。
この結果、ZX面における第1の共振周波数f1の平均電力利得は−4.4dBiであり、第2の共振周波数f2の平均電力利得は−5.9dBiであった。
また、上記実施形態では、第3エレメントにアンテナ素子を設けているが、第1エレメントの第4延在部や第2エレメントの第9延在部にアンテナ素子を設けてエレメントの短縮化を行い、装置全体の小型化を図っても構わない。
さらに、基板サイズに余裕がある場合には、上記エレメントの一部を、線状若しくは板状の金属を折り返した形状のパターンに置き換えても構わない。また、同一の基板本体の表裏面に対してスルーホールを用いて、螺旋状などの形状に旋回させたパターンにしても構わない。
Claims (7)
- 絶縁性の基板本体と、前記基板本体の表面にそれぞれ金属箔でパターン形成された第1エレメント及び第2エレメントとを備え、
前記第1エレメントが、基端側に給電点が設けられていると共に前記基板本体のいずれかの一辺に向けて延在する第1延在部と、前記第1延在部の先端から前記第1延在部に直交する方向に延在する第2延在部と、前記第2延在部の途中から前記一辺に向けて延在する第3延在部と、前記第3延在部の先端から前記一辺に沿って延在する第4延在部とを有し、
前記第2エレメントが、前記第2延在部の先端から前記第4延在部に沿って延在し、
前記第2延在部の先端にグランドに接続される第1グランド接続部が設けられていると共に、前記第4延在部の途中にグランドに接続される第2グランド接続部が設けられていることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記第2エレメントが、前記第2延在部の先端から前記第4延在部に沿って延在する第5延在部と、前記第5延在部の先端から前記第4延在部から離間する方向に延在する第6延在部と、前記第6延在部の先端から前記第4延在部に沿って延在する第7延在部と、前記第7延在部の先端から前記第4延在部に向けて延在する第8延在部と、前記第8延在部の先端から前記第4延在部に沿って延在する第9延在部とを有していることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1又は2に記載のアンテナ装置において、
前記第4延在部が、前記第2エレメントの先端を越えて延在していることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記基板本体の表面に金属箔でパターン形成された第3エレメントを備え、
前記第3エレメントが、前記第3延在部の先端から前記第4延在部とは反対方向に延在していることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記第4延在部に第1受動素子が接続され、
前記第2エレメントに第2受動素子が接続され、
前記第2延在部に第3受動素子が接続されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項4に記載のアンテナ装置において、
前記第3エレメントに第4受動素子が接続されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項4に記載のアンテナ装置において、
前記第3エレメントの途中に誘電体アンテナのアンテナ素子が接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
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