JP6764292B2 - 滑り抑制制御装置 - Google Patents
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Description
・踏力の変化量に応じてABS開始の閾値を変更するABS制御(特許文献1)。
・踏力の変化量に応じて車輪減速度の上限値を調整するABS制御(特許文献2)。
・駆動モータを用いたABS制御方法(特許文献3)。
・車両がオーバーステア状態もしくはアンダーステア状態になることを防止する制動力制御(特許文献4)。
・車速および操舵角に基づいて求めた規範ヨーレートと、ヨーレートセンサで検出した実ヨーレートとの偏差を算出し、この偏差に応じて駆動力配分装置および横滑り防止装置の作動を制御する手法(特許文献5)。
例えば、スリップ率を推定し閾値との比較によって前記スリップ傾向を判断する場合、誤動作を防止するために、前記スリップ率閾値は路面状態の推定誤差や、車輪速センサの推定誤差・ノイズ等の影響を考慮し、スリップ傾向が十分強まった状態をもって判断する必要が有る。前記ノイズについては、例えばローパスフィルタによって除去できるが、前記ローパスフィルタによる遅延が検出遅れとなる。
例えば、加速度センサを用いて車両のヨーレートを検出し、規範ヨーレート等の閾値との比較によってオーバーステアないしアンダーステア傾向にあることを判断する場合には、誤動作を防止するために、前記規範ヨーレート等の閾値は、路面状態の推定誤差、加速度センサの推定誤差、およびノイズ等の影響を考慮し、オーバーステアないしアンダーステア傾向が十分強まった状態であると判断することが出来る値に設定する必要がある。前記ノイズについては、例えばローパスフィルタによって除去できるが、前記ローパスフィルタによる遅延がオーバーステアないしアンダーステア傾向にあることを検出する遅れとなってしまう問題がある。
前記車両または車輪の位置、速度、加速度の少なくとも何れかに基づき前記車両または車輪の運動状態を推定する車両運動推定手段13,13Bと、
前記車両運動推定手段13,13Bの推定結果に基づき、前記車両が接する路面に対する前記車両の所定方向の滑り状態を推定する滑り推定手段14と、
この滑り推定手段14により推定された滑り状態に応じて、前記車両駆動装置1,1A,1Bに指令を与える滑り抑制制御手段15,15A,15Bと、を備え、
前記滑り推定手段14は、前記滑り状態の推定結果に対する遅れ補償を行う遅れ補償器を1つ以上有し、前記車両の滑り状態の推定結果として、遅れ補償につき互いに異なる複数の推定結果を出力し、
前記滑り抑制制御手段15,15A,15Bは、前記滑り推定手段14から出力された前記複数の推定結果の比較を含む所定の判断の結果によって前記車両駆動装置1,1A,1Bに滑り状態を是正する指令を与える、
なお、前記「所定の判断」は、適宜定められた判断である。
このように遅れ補償につき互いに異なる複数の推定結果を比較するため、車両がスリップ傾向にあることを正確に判断でき、閾値を小さくしても判断を誤ることがなく、そのため迅速に判断できる。その結果、車両が車両制御装置8,8Aによる、スリップに対する制御介入を必要とする状態か否かを迅速かつ正確に判断できて、車両の安全性を向上できる。
このように周波数特性の異なる二つ以上の遅れ補償器を設け、これら二つ以上の遅れ補償器の推定結果の差分を用いることで、より一層、迅速かつ正確に、車輪がスリップ傾向にあることを判断できる。スリップ判定が速いことにより、規範挙動に対する車両運動の乖離が小さく、より望ましいスリップ状態に保持できる。前記差分はそのまま比較しても良いが、積算値を求めてその積算値を比較すれば、車輪がスリップ傾向にあることをより正確に判断できる。
このように、遅れ補償器を介した滑り推定結果と、遅れ補償器を介さない推定結果との差によっても、遅れ補償器を介さない推定結果と閾値との比較で判断する場合に比べて、車両がスリップ傾向にあることを迅速かつ正確に判断できる。
このような状態推定器とした場合、スリップ傾向にあることをより一層、迅速かつ正確に判断できる。
ローパスフィルタであると、遅れ補償器を簡素な構成とできる。
前記車両運動推定手段13,13Bが、前記車両のヨーレートまたはヨーレートに相当する値と、前記車両の横滑り角または横滑り角に相当する値と、の少なくとも何れかを推定する手段であり、
前記滑り推定手段14が、前記車両の滑り状態の推定結果として、前記車両運動推定手段13,13Bの推定結果と、前記車両運動推定手段13によらず所定の演算により求めたヨーレートに相当する値と前記車両の横滑り角または横滑り角に相当する値の少なくとも何れかと比較に基づく推定結果を出力し、
前記滑り抑制制御手段15が、前記滑り推定手段14の比較結果が小さくなるよう前記車両駆動装置1,1A,1Bに指令を与える横滑り防止制御手段15Bであっても良い。
この構成の場合、横滑り防止制御を行うにつき、車両が車両制御装置8よるスリップに対する制御介入を必要とする状態か否かを迅速かつ正確に判断できて、安全性が向上する。
の推定結果を出力し、前記滑り抑制制御手段は、前記滑り推定手段から出力された前記複数の推定結果の比較を含む所定の判断の結果によって前記車両駆動装置に滑り状態を是正する指令を与えるため、車両が車両制御装置による、スリップに対する制御介入を必要とする状態か否かを迅速かつ正確に判断できて、安全性が向上する。
車両操作手段9は、例えばアクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリング、等からなる。車両操作手段9は、あるいは、例えば自動運転車両における車両統合制御装置であって、車両の走行経路に基づいた基本推進力や旋回力の指令を生成する手段であってもよい。
加速度推定手段19Aは、例えば加速度センサであってもよい。位置推定手段19Aは、例えばGPSセンサであってもよい。
車両駆動装置1は、例えば駆動モータ、摩擦ブレーキ、転舵装置、であってもよい。前記車両駆動装置1は、機械的な結合なく電気信号にて駆動するドライブ・バイ・ワイヤシステムとすると、円滑に滑り抑制制御が行うことができて好適である。
所定の操作入力に対して規範となる車両挙動を推定する規範挙動生成手段21と、
車両の位置、速度、および加速度の何れか1つ以上を推定する車両運動推定手段13と、
この車両運動推定手段13の推定結果を用いて接地面に対する前記車両の滑り状態を推定する滑り推定手段14と、
この滑り推定手段14により推定された前記車両の滑り状態に応じて車両駆動装置1に指令を与える滑り抑制制御手段15とを備える。
前記滑り推定手段14は、接地面に対する前記車両の滑り状態を推定する滑り推定部16と、前記車両運動推定手段の推定結果に対する遅れ補償を行う遅れ補償器17a,17bを1つ以上とを有し、前記車両の滑り状態の推定結果として、遅れ補償につき互いに異なる複数の推定結果を出力し、
前記滑り抑制制御手段15は、前記滑り推定手段14から出力された前記複数の推定結果の比較を含む所定の判断の結果によって車両駆動装置1に指令を与える。
S1=(ωV−ω)・ωV −1
同図(b)は、図3におけるbないしcのような、単純な閾値比較による例を示す。 同図(b)と比較して、同図(a)は過スリップ判定が速いことにより、車体速に対する車輪速の乖離が小さく、より望ましいスリップ状態、つまり最大のブレーキ力が得られるスリップ状態に保持できる。
ステップS1において、スリップ率S1を滑り推定部16(図2)が導出する。
その導出されたスリップ率S1を閾値S1LIMRと比較し(ステップS2)、スリップ率S1が閾値S1LIMR以上であれば、過スリップと判定する(ステップS8)。過スリップと判定した場合は、ブレーキ装置1Aに制動力を低下させる指令を与える。
図において、A,B,Cは、は車輪の運動方程式に基づく状態遷移行列、u(k)はブレーキ力、y(k)は車輪速である。x(k)はフィルタ状態量である。Lはオブザーバゲインを示しており、A−LCの固有値によって誤差収束条件が決定される。また、Z−1は1サンプル遅れを示す。
規範ヨーレート生成手段21Bは、前記規範挙動生成手段21の一種であり、例えばステアリングホイール9Bの操舵角と、車速と、その他加速度等とから、車両運動モデル演算等により規範となるヨーレートを生成する機能とを有する。規範ヨーレート生成手段21Bは、その他、前記より規範横滑り角を演算する機能としても良く、あるいはヨーレート及び横滑り角の両方を用いてもよい。
ヨーレート推定手段13Bは、前記車両運動推定手段13の一種であり、車両の加速度、位置、速度等からヨーレートを推定する。
滑り推定手段14は、例えば前記規範ヨーレートと、推定ヨーレートとを比較して、車両の横滑り状態を推定する機能を有する。
横滑り防止制御演算手段15Bは、前記滑り抑制制御手段15の一種であり、前記滑り推定手段14にて車両の横滑り状態に伴うオーバーステアないしアンダーステアを是正するよう、転舵角および各輪のブレーキ装置1Bの何れか一方、または両方に指令を出す機能とすることができる。
これにより、明らかにスリップ傾向にあるときに、遅れ補償の演算時間を伴うことなくより迅速に滑り抑制制御を行うことができる。
1A…ブレーキ装置(車両駆動装置)
1B…転舵装置(車両駆動装置)
2…車輪
3…ブレーキロータ
4…摩擦材
5…摩擦材駆動機構
8…車両制御装置
8A…ブレーキ制御装置(車両制御装置)
12…滑り抑制制御装置
12A…アンチロックブレーキ制御装置(滑り抑制制御装置)
13…車輪運動推定手段
13B…ヨーレート推定手段(車輪運動推定手段)
14…滑り推定手段
15…滑り抑制制御手段
15A…アンチロック制御手段(滑り抑制制御手段
15B…横滑り防止制御手段(滑り抑制制御手段)
16…滑り推定部
17a,17b…フィルタ(遅れ補償器)
21…規範挙動生成手段
21B…規範ヨーレート生成手段
Claims (6)
- 車両の前後力および旋回力の少なくとも何れかを発生可能な車両駆動装置を制御する滑り抑制制御装置であって、
前記車両または車輪の位置、速度、加速度の少なくとも何れかに基づき前記車両または車輪の運動状態を推定する車両運動推定手段と、
前記車両運動推定手段の推定結果に基づき、前記車両が接する路面に対する前記車両の所定方向の滑り状態を推定する滑り推定手段と、
この滑り推定手段により推定された滑り状態に応じて、前記車両駆動装置に指令を与える滑り抑制制御手段と、を備え、
前記滑り推定手段は、前記滑り状態の推定結果に対する遅れ補償を行う遅れ補償器を1つ以上有し、前記車両の滑り状態の推定結果として、遅れ補償につき互いに異なる
複数の推定結果を出力し、
前記滑り抑制制御手段は、前記滑り推定手段から出力された前記複数の推定結果の比較を含む所定の判断の結果によって前記車両駆動装置に滑り状態を是正する指令を与える、ことを特徴とする滑り抑制制御装置。 - 請求項1に記載の滑り抑制制御装置において、前記滑り推定手段は、前記遅れ補償器として、周波数特性の互いに異なる二つ以上の遅れ補償器を有し、前記滑り抑制制御手段は、前記複数の推定結果の比較を、前記異なる遅れ補償器を介した推定結果の差分、またはこの差分の積算値の何れかによって行う滑り抑制制御装置。
- 請求項1に記載の滑り抑制制御装置において、前記滑り抑制制御手段は、前記複数の推定結果の比較を、前記遅れ補償器を介した前記滑り推定結果と、前記遅れ補償器を介さない前記推定結果との差分、またはこの差分の積算値との何れかによって行う滑り抑制制御装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の滑り抑制制御装置において、前記遅れ補償器が、運動方程式を介したスリップ率の推定出力と前記遅れ補償器からの前記滑り状態であるスリップ率の出力との誤差補正フィードバック要素を含む状態推定器である滑り抑制制御装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の滑り抑制制御装置において、前記遅れ補償器が、所定の周波数を超える周波数を減衰させるローパスフィルタである滑り抑制制御装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の滑り抑制制御装置において、前記車両駆動装置が、前記車両の備える各車輪に独立して回転トルクを付与する装置と、前記車輪に転舵角を設ける装置との何れか一方または両方であり、
前記車両運動推定手段が、前記車両のヨーレートまたはヨーレートに相当する値と、前記車両の横滑り角または横滑り角に相当する値と、の少なくとも何れかを推定する手段であり、
前記滑り推定手段が、前記車両の滑り状態の推定結果として、前記車両運動推定手段の推定結果と、前記車両運動推定手段によらず所定の演算により求めたヨーレートに相当する値と前記車両の横滑り角または横滑り角に相当する値の少なくとも何れかと比較に基づく推定結果を出力し、
前記滑り抑制制御手段が、前記滑り推定手段の比較結果が小さくなるよう前記車両駆動装置に指令を与える横滑り防止制御手段である、滑り抑制制御装置。
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