JP6763490B2 - 粘着テープを用いた物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば電子機器をはじめとする様々な物品の製造場面で使用可能な物品の製造方法に関するものである。
粘着テープは、一般に、一方の被着体を他方の被着体の平面部分や曲面部分等へ固定等する際に好適に使用することができ、例えば自動車用部材や電気機器等をはじめとする様々な製品の製造場面で広く使用されている。例えば電子機器では、スマートフォン、携帯電話、PHS、デジタルカメラ、音楽プレーヤー、電子書籍、ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯電子機器においては、情報表示部であるディスプレイパネルと筐体との貼り合わせをはじめ、各種部材やモジュールの固定に粘着テープが使用されている。ディスプレイパネルと筐体とを接合する際には、粘着テープをディスプレイパネルの周縁部に沿う窓枠状に切断し、その窓枠状の粘着テープをディスプレイパネルや筐体の周縁部に貼り付け、その後、ディスプレイパネルと筐体とを合わせて固定させている。この際に用いられる粘着テープとしては、筐体の接合面への追従性、ディスプレイパネルと筐体との間の防水性の確保、落下時等の衝撃吸収のために、発泡体基材の両面に粘着層を設けた両面粘着テープが用いられている(特許文献1)。
一方、近年、自動車部材や電子機器等は曲面や3D形状のものが増加しており、上記窓枠状に切断した粘着テープは曲面や3D形状の部材への貼付が困難であったり、貼付する際にシワや隙間が生じたりするため、上記性能を担保することが困難となっている。
特開2009−108314号公報
本発明が解決しようとする課題は、粘着テープを平面、曲面、3D形状といった様々形状の部材へ貼付する際に、シワや隙間が生じることを防いで高い防水性を確保する物品の製造方法を提供することである。
本発明は、被着体に接着テープが貼付された構成を有する物品の製造方法であって、膨張性接着剤層(A)を有する2つ以上の接着テープの端部同士を近接させて配置し、前記接着テープの一方の面側を被着体(C1)を構成する部位(c1−1)に貼付する工程[1]、前記接着テープのもう一方の面側を他の被着体(C2)に貼付される工程[2]、前記膨張性接着剤層(A)に刺激を与える工程[3]、前記刺激によって前記膨張性接着剤層(A)が膨張し、膨張接着剤層(A1)が形成される工程[4]を経ることを特徴とする物品の製造方法に関するものである。
本発明の物品の製造方法であれば、粘着テープを平面、曲面、3D形状といった様々形状の部材へ貼付する際に、シワや隙間が生じることを防いで高い防水性を確保することができる。
本発明の工程[1]において、被着体に膨張性接着剤層(A)を有する2つの接着テープ(A及びB)の端部同士が接するように配置した断面図である。 本発明の工程[1]において、被着体に膨張性接着剤層(A)を有する2つの接着テープ(A及びB)の端部同士を重ね合わせて配置した断面図である。 上記図1及び図2を上から見た図である。 実施例1における本発明の製造方法に係る物品の膨張前の断面図である。 実施例4における本発明の製造方法に係る物品の膨張前の断面図である。
本発明の物品の製造方法は、被着体に接着テープが貼付された構成を有する物品の製造方法であって、膨張性接着剤層(A)を有する2つ以上の接着テープの端部同士を近接させて配置し、前記接着テープの一方の面側を被着体(C1)を構成する部位(c1−1)に貼付する工程[1]、前記接着テープのもう一方の面側を他の被着体(C2)に貼付される工程[2]、前記膨張性接着剤層(A)に刺激を与える工程[3]、前記刺激によって前記膨張性接着剤層(A)が膨張し、膨張接着剤層(A1)が形成される工程[4]を経ることを特徴とする方法である。
前記工程[1]は、被着体に接着テープを貼付する工程である。具体的には、前記工程[1]では、膨張性接着剤層(A)を有する2つ以上の接着テープの端部同士を重ねて、又は近接させて配置し、前記接着テープの一方の面側を被着体(C1)を構成する部位(c1−1)に貼付する工程である。
前記工程[1]の膨張性接着剤層(A)を有する2つ以上接着テープの端部同士を近接させて配置し、前記接着テープの一方の面側を被着体(C1)を構成する部位(c1−1)に貼付する工程では、前記接着テープの2つ以上をその端部同士を近接させて配置する際、空隙が無いことが好ましいが、端部同士の空隙が100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが、前記工程[4]で前記膨張性接着剤層(A)が膨張し、膨張接着剤層(A1)が形成される際に、前記接着テープの端部同士の隙間を埋めて固定する事ができるためより好ましい。
前記工程[1]で被着体に貼付する接着テープの面としては特に規定しないが、例えば一方の面側に前記膨張性接着剤層(A)を有し、もう一方の面に後述する接着剤層(B)を有する接着テープを用いる場合、前記接着剤層(A)を前記工程[1]で被着体に貼付することが、前記接着テープのもう一方の面側を他の被着体(C2)により強固に接着するため好ましい。
前記工程[1]で被着体(C1)を構成する部位(c1−1)に、接着テープの一方の面側を0.1N/cm以上の荷重で圧着させることが好ましく、0.5N/cm以上の荷重で圧着させることがより好ましく、1N/cm以上の荷重で圧着させることが、前記接着テープの被着体(C1)を構成する部位(c1−1)への接着力が高まり、接着テープと被着体(C1)とのズレを抑制できるため好ましい。
前記被着体(C1)を構成する部位(c1−1)に前記接着テープの一方の面側を圧着させる際には、必要に応じてプレス機、ローラー等の機器を使用してもよく、指でそれらを押圧してもよい。
前記工程[2]は、前記工程[1]で前記被着体(C1)を構成する部位(c1−1)に貼付された前記接着テープのもう一方の面側を他の被着体(C2)に貼付される工程である。前記接着テープのもう一方の面側が他の被着体(C2)に貼付される場合、前記被着体(C2)を介して前記被着体(C2)と前記接着テープとの界面に荷重がかかっても良く、また、任意で圧着しても良い。
前記工程[3]は、膨張性接着剤層(A)に刺激を与える工程である。前記刺激としては例えば、熱や光が挙げられる。前記刺激としては、光を透過しない部材に対しても適用できることから、熱を加えることが好ましい。なお、加熱温度としては、60℃〜145℃の温度下が好ましく、70℃〜140℃の温度下であえることが保管時の安定性に優れ、かつ、耐熱性の低い被着体を損傷させずに前記接着テープを十分に膨張させられ、膨張後に優れた接着力を得られるため好ましい。
前記加熱方法としては、例えば物品をオーブンや加熱炉等の加温装置に投入し、物品全体を加熱する方法や、前記膨張性接着剤層(A)または前記接着テープまたは前記被着体に熱源を接触または接近させることによって、前記膨張性接着剤層(A)を加熱する方法が挙げられる。
前記熱源としては、例えばハロゲンランプ、レーザー照射装置、電磁誘導加熱装置、ホットスタンプ、ホットプレート、半田コテ等を使用することができる。加熱方法は、物品の大きさによって選択することができる。
前記工程[4]は、前記膨張性接着剤層(A)が前記膨張接着層(A1)を形成する工程である。
前記工程[3]及び工程[4]において、前記接着テープに刺激を与えて膨張性接着剤層(A)が膨張して膨張接着層(A1)を形成する過程で、前記接着テープに対し、50N/cm以下の荷重がかかっていることが好ましく、25N/cm以下の荷重がかかっていることが好ましく、10N/cm以下の荷重がかかっていることが、前記膨張性接着剤層(A)を有する接着テープの2つ以上をその端部同士を近接させた際に生じている隙間を好適に埋めることができるため好ましい。
前記物品の製造方法としては、前記工程[1]、工程[2]、工程[3]及び工程[4]の順で行うことが、刺激を与えて膨張接着層(A1)を形成する前において優れた接着力を有し、刺激によって膨張可能で、かつ、膨張後にも優れた接着力を発現するうえで好ましい。とりわけ、被着体(C1)または(C2)の表面が粗面である場合には、良好な接着力を発現するうえで効果的である。
本発明では、前記膨張性接着剤層(A)を膨張させることによって生じる力によって、前記接着剤層(A1)または前記接着剤層(B)と、前記被着体(C1)を構成する他の部位(c1−2)または他の被着体(C2)とが圧着される。そのため、例えば、被着体(C1)が空隙を有していたり、または、被着体(C1)と被着体(C2)との間に空隙が有る場合に、例えばプレス機等を用いて圧力を加える必要がない。また、前記膨張によって生じる力で、接着テープと被着体とが密着されるため、被着体として表面に凹凸を有するもの(粗面を有するもの)を使用した場合であっても、接着テープと被着体との間に隙間が形成されにくい。
前記被着体(C1)及び(C2)としては、例えばガラス、アルミニウム等の金属、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂からなるプラスチック等が挙げられる。前記被着体(C1)及び(C2)としては、同一の材質や形状からなるものを使用してもよく、異なる材質や形状のものを使用してもよい。
前記被着体(C1)及び(C2)としては、前記膨張性接着剤層(A)や前記接着剤層(B)が接触する表面が粗面であってもよい。
前記被着体(C1)および前記被着体(C2)の形状としては特に規定されないが、例えば2次元形状、3次元形状(曲面等)、表面凹凸を有する形状、嵌合する形状等を挙げられる。上記形状の組み合わせでも良い。
前記被着体としては、例えば被着体表面に1μm以下の微小な凹凸や、エンボス加工や印刷段差のような1μm以上の凹凸や、被着体自体に反りや歪みがあってもよい。前記凹凸としては500μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下であることが更に好ましく、前記被着体の反りや歪みとしては、前記被着体に前記接着テープを接着する箇所に対して高さが最も高い点と低い点の差が500μm以下のものが好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下であることが、前記接着テープの端部同士を近接させて配置した際に空隙を有していたり、被着体(C1)が空隙を有していたり、または、被着体(C1)と被着体(C2)との間に空隙が有り、前記空隙の高さ(厚さ)が大きい場合であっても、前記接着テープに刺激を与えて膨張させた時に十分に接着できるため更に好ましい。
また、前記被着体としては、曲面同士の組み合わせであってもよく、前記曲面としては曲率半径が同じもの同士であってもよく、曲率半径が異なるもの同士であってもよい。前記曲率半径としては0.1mm〜10mの範囲であることが、前記接着テープが接する一方又は双方の被着体を介して前記接着テープに対し50N/cm以下の荷重をかけつつ膨張させた時に、良好な接着性を得ることが出来る。なお、前記被着体同士の曲率半径が異なる場合、前記接着テープを貼付した被着体の、前記接着テープ表面からもう一方の被着体へのギャップが500μm以下であることが好ましく、400μm以下のものがより好ましく、300μm以下であることが、前記接着テープの端部同士を近接させて配置した際に空隙を有していたり、被着体(C1)が空隙を有していたり、または、被着体(C1)と被着体(C2)との間に空隙が有り、前記空隙の高さ(厚さ)が大きい場合であっても、前記接着テープに刺激を与えて膨張させた時に十分に接着できるため更に好ましい。
本発明に使用される接着テープは、前記熱可塑性熱膨張性接着剤層(A)または前記接着テープ全体に熱を与えることによって膨張させることができる。
本発明に使用される接着テープは、刺激によって膨張する膨張性接着剤層(A)を有するが、前記膨張性接着剤層(A)は1種又は2種以上でもよく、単層又は2層以上であってもよい。また、前記接着テープとしては、前記膨張性接着剤層(A)のみによって構成されていてもよく、前記膨張性接着剤層(A)と膨張しにくい接着剤層(例えば後述する接着剤層(B)等)とによって構成されていてもよいが、前記膨張性接着剤層(A)と膨張しにくい接着剤層とによって構成される接着テープが、被着体(C1)が有する空隙、または、被着体(C1)と被着体(C2)との間の空隙を、前記接着テープの膨張物によって充填しかつ強固に接着するうえで好ましい。
前記膨張性接着剤層(A)と膨張しにくい接着剤層とによって構成される接着テープとしては、具体的には、前記膨張性接着剤層(A)の少なくとも一方の面に、後述する接着剤層(B)を有するものを使用することが好ましい。前記接着テープとしては、前記膨張性接着剤層(A)を前記膨張前に予め被着体に貼付することが、前記膨張後の前記膨張接着剤層(A1)と前記被着体との優れた密着性を維持するうえで好ましい。
(膨張性接着剤層(A))
前記膨張性接着剤層(A)は、刺激によって膨張しうる層である。前記刺激としては熱及び/又は光が挙げられるが、熱が好ましい。前記膨張性接着剤層(A)としては、膨張性接着剤層(A)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の前記放置後の膨張性接着剤層(A)の厚さ/前記放置前の膨張性接着剤層(A)の厚さ〕×100が120%以上となるものを使用することが好ましい。前記膨張率は、150%以上であることが好ましく、200%〜1000%であることがより好ましい。かかる接着テープであれば、前記接着テープの端部同士を近接させて配置した際に空隙を有していたり、被着体(C1)が空隙を有していたり、または、被着体(C1)と被着体(C2)との間に空隙が有り、前記空隙の高さ(厚さ)が大きい場合であっても、前記接着テープを膨張させることで、前記空隙内で他方の被着体を好適に固定したり、前記空隙内を前記接着テープで充填したりすることができる。また、前記接着テープであれば、被着体の表面が粗面の場合であっても、前記粗面に他方の被着体を好適に固定することができる。
なお、前記膨張率は、前記接着テープを50℃〜150℃の温度下で30分間放置した場合において、前記放置前(膨張前)の膨張性接着剤層(A)の厚さに対する、前記放置によって膨張性接着剤層(A)が膨張して形成された膨張接着剤層(A1)の厚さの割合を指すが、60℃〜145℃の温度下が好ましく、70℃〜140℃の温度下がより好ましい。
前記膨張性接着剤層(A)としては、加熱前であっても被着体に仮貼付可能なレベルの接着性を付与するうえで、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がした際の接着力が0.5N/20mm以上であるものを使用することが好ましく、1N/20mm以上であるものを使用することがより好ましく、2N/20mm以上であるものを使用することがより好ましく、3N/20mm以上であるものを使用することが被着体からの前記接着テープの剥がれや位置ズレを防止するうえでさらに好ましい。
膨張前の前記膨張性接着剤層(A)の厚さは、10μm〜300μmの範囲であることが好ましく、20μm〜250μmの範囲であることがより好ましく、30μm〜200μmの範囲であることが、前記接着テープの端部同士を近接させて配置した際に空隙を有していたり、被着体(C1)が空隙を有していたり、または、被着体(C1)と被着体(C2)との間に空隙が有り、前記空隙の高さ(厚さ)が大きい場合であっても、前記接着テープを膨張させることで、前記空隙内で他方の被着体を好適に固定したり、前記空隙内を前記接着テープで充填したりすることができるため好ましい。
一方、前記膨張性接着剤層(A)が膨張することによって形成された膨張接着剤層(A1)の厚さは、20μm〜3000μmの範囲であることが好ましく、40μm〜2500μmの範囲であることが、より一層優れた接着力を得るうえで好ましい。また、前記膨張接着剤層(A1)は、多孔構造を有するものであることが好ましい。
また、前記接着テープとしては、前記接着テープの総厚さに対して、前記膨張性接着剤層(A)の厚さが10%以上であるものを使用することが好ましく、30%以上であるものを使用することが、前記空隙内に他方の被着体を好適に固定したり、前記空隙内を前記接着テープで充填したりしやすいためより好ましい。
前記膨張性接着剤層(A)としては、前記したとおり予め被着体に接着できる程度の接着力を有し、前記膨張性接着剤層(A)が膨張することによって生じる加圧力で被着体(C1)が有する空隙、または、被着体(C1)と被着体(C2)との間の空隙を充填及び接着できるものを使用する。
前記膨張性接着剤層(A)としては、後述する接着剤組成物(a)を、例えば離型ライナーや粘着テープの支持体に塗工し乾燥等することによって製造することができる。
前記膨張性接着剤層(A)は、例えば熱可塑性樹脂を含有する接着剤組成物(a)を用いて形成することができる。前記熱可塑性樹脂の含有量は接着剤組成物(a)の全固形成分に対して50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、加熱によって容易に膨張可能なものを使用することができる。
前記熱可塑性樹脂としては、1Hz及び23℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G23が1.0×10〜5.0×10Paの範囲であるものを使用することが好ましく、かつ、1Hz及び70℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G70が1.0×10〜1.0×10Paの範囲であるものを使用することが好ましく、かつ、1Hz及び120℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G120が1.0×10〜1.0×10Paの範囲であるものを使用することが、加熱前であっても被着体から前記接着テープの剥がれや位置ズレを防止でき、かつ、前記空隙を十分に充填可能なレベルにまで膨張可能な接着テープを得るうえで特に好ましい。
前記熱可塑性熱膨張性接着剤層(A)を膨張させる前の状態の接着テープは、加熱前であっても被着体から前記接着テープの剥がれや位置ズレを防止でき、かつ、膨張後に常温環境下で収縮等を抑制するうえで1Hz及び23℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G23が好ましくは1.0×10〜5.0×10Pa、より好ましくは5.0×10〜1.0×10Pa、特に好ましくは5.0×10〜5.0×10Paである熱可塑性樹脂を含有するものを使用することができる。
また、前記熱可塑性樹脂としては、上記範囲内の1Hz及び23℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G23を有するとともに、70℃〜120℃の範囲における1Hzでの動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×10Paの範囲であるものを使用することが、粘着テープの平面方向(流れ方向や幅方向)への膨張を抑制し、その厚さ方向に膨張させるうえで好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、1Hz及び70℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G70が好ましくは1.0×10〜1.0×10Pa、より好ましくは5.0×10〜5.0×10Pa、特に好ましくは5.0×10〜1.0×10Paのものを使用することができる。
また、前記熱可塑性樹脂としては、1Hz及び70℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G70が好ましくは1.0×10〜1.0×10Pa、より好ましくは5.0×10〜5.0×10Pa、特に好ましくは5.0×10〜1.0×10Paのものを使用することができる。
また、前記熱可塑性樹脂の1Hz及び120℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G120は、1.0×10〜1.0×10Paであることが好ましく、5.0×10〜5.0×10Paであることがより好ましく、5.0×10〜2.0×10Paであることがさらに好ましい。
前記熱可塑性樹脂の前記貯蔵弾性率G120は、前記貯蔵弾性率G70よりも小さいことが好ましく、前記貯蔵弾性率G70は、前記貯蔵弾性率G23よりも小さいことが好ましい。
なお、前記貯蔵弾性率G23、G70及びG120の測定は、市販の粘弾性試験機を用い、後述する実施例に記載の方法で測定した。前記測定の試験片としては、熱可塑性熱膨張性接着剤層(A)に含有される熱可塑性樹脂(膨張剤を含まない)を加熱し離型ライナー上に塗布し冷却することによって得られた厚さ2mmの試験片を使用する。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば膨張前に優れた接着力を有し、膨張剤の膨張開始温度で軟化し、膨張剤が膨張し易く、膨張後であっても優れた接着力を発現できるものを使用することが好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)等のウレタン系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等の塩化ビニル系樹脂;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリトリメチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリブチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂;ナイロン(登録商標)等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン(PS)、イミド変性ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、イミド変性ABS樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合(SAN)樹脂、アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン(AES)樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、シクロオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂;ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂;シリコーン系樹脂;フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、これらのなかでも、特にスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマーまたはアクリル系樹脂等を使用することが好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはアクリル系樹脂を使用することが特に好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体(SEB)等のスチレン系AB型ジブロック共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、SBSの水素添加物(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS))、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、SISの水素添加物(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS))、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBS)等のスチレン系ABA型トリブロック共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン(SBSB)等のスチレン系ABAB型テトラブロック共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレン(SBSBS)等のスチレン系ABABA型ペンタブロック共重合体;これら以上のAB繰り返し単位を有するスチレン系マルチブロック共重合体;スチレン−ブタジエンラバー(SBR)等のスチレン系ランダム共重合体のエチレン性二重結合を水素添加した水素添加物;等が挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーは市販品を用いてもよい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを含む単量体を重合して得られるものを使用することができる。
前記アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素原子数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、具体的には、ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を使用することが好ましく、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートを単独または組み合わせ使用することがより好ましい。
また、前記単量体としては、前記したもののほかに、アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、イタコン酸、スチレン、酢酸ビニル等を使用することができる。
また、前記膨張性接着剤層(A)は、例えば熱硬化性樹脂を含有する接着剤組成物(a)を用いて形成することができる。前記熱硬化性樹脂の含有量は接着剤組成物(a)の全固形成分に対して50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
前記熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を使用することができる。なかでも、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダトイン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂、及び、CTBN変性(カルボキシターミネーティッドブタジエンニトリル変性)やハロゲン変性されたエポキシ樹脂等を、単独または2以上組み合わせ使用することができる。
前記接着剤組成物(a)は膨張剤を含有していてもよい。膨張剤としては、前記膨張後の熱可塑性熱膨張接着剤層(A1)として多孔構造を形成できるものを使用することが好ましく、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジド等の無機化合物、トリクロロモノフルオロメタン等のフッ化アルカン、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾール等のトリアゾール化合物、N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のN−ニトロソ化合物を使用することができる。
また、前記膨張剤としては、熱で膨張する熱膨張剤が好ましく、例えば炭化水素系溶剤をマイクロカプセル化した熱膨張性カプセル等の膨張性カプセルを使用することができる。前記熱膨張剤としては、前記熱可塑性樹脂また前記熱硬化性樹脂の軟化点前後の温度で気体を発生し膨張し得るものを使用することが好ましい。前記熱膨張剤の膨張開始温度としては、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが、保管時の安定性に優れ、かつ、耐熱性の低い被着体を損傷させずに前記接着テープを十分に膨張させられ、膨張後に優れた接着力を得られるため好ましい。
前記膨張剤としては、前記したなかでも炭化水素系溶剤をマイクロカプセル化した熱膨張性カプセルを使用することが、例えば熱等の影響による膨張性接着剤層(A)の劣化等を防止するうえでより好ましい。前記した膨張剤としては単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
前記熱膨張性カプセルの市販品としては、例えばエクスパンセル(日本フィライト株式会社製)、マツモトマイクロスフェアー(松本油脂製薬株式会社製)、マイクロスフェアー(株式会社クレハ製)等が挙げられる。
前記熱膨張性カプセルとしては、松本油脂製薬株式会社製 マツモトマイクロスフェアーF−30、F−36、F−36D、F−36LV、F−48、F−48D、F−50、FN−80GS、F−65、日本フィライト株式会社製 エクスパンセル053−40、007−40、031−40等を用いることが、熱可塑性樹脂の軟化する温度前後で膨張するため、粘着テープの平面方向(流れ方向や幅方向)への膨張を抑制し、その厚さ方向へより効果的に膨張できるため好ましい。
前記熱膨張性カプセルとしては、膨張前の前記カプセルの体積に対し、膨張後の体積(体積膨張率)8倍〜60倍であるものを使用することが好ましい。
前記膨張剤の使用量、好ましくは前記熱膨張性カプセルの使用量は、前記層(A)の全成分の固形分100質量部に対して、0.3質量部〜30質量部の範囲であることが好ましく、1質量部〜20質量部の範囲であることがより好ましく、3〜17質量部の範囲であることが更に好ましく、5質量部〜15質量部の範囲であることが被着体が有する空隙を充填等するのに十分に膨張することができ、かつより一層優れた接着力を得るためさらに好ましい。
前記接着剤組成物(a)としては、前記したもののほかに必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤、硬化剤、硬化促進剤等を含有するものを使用することができる。
(接着剤層(B))
また、本発明に使用される接着テープとしては、前記したとおり、接着剤層(B)を有するものを使用することが好ましい。
前記接着テープを構成する接着剤層(B)としては、粘着性または接着性を有する層を形成可能な接着剤組成物(b)を用いて形成することができる。
前記接着剤層(B)としては、前記接着剤層(B)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の前記放置後の接着剤層(B)の厚さ/前記放置前の接着剤層(B)の厚さ〕×100が120%以下であるものを使用することができる。前記接着剤層(B)の膨張率は、115%以下であることが好ましく、110%以下であることがより好ましい。かかる接着テープであれば、前記膨張性接着剤層(A)が膨張した後であっても、被着体に対する優れた接着力を維持することができる。なお、前記接着剤層(B)の膨張率は、前記接着テープを100℃の環境下に30分間放置した場合において、前記放置前の前記接着剤層(B)の厚さに対する、前記放置後の接着剤層の厚さの割合を指す。
前記接着剤層(B)の厚さは、1μm〜300μmの範囲であることが好ましく、5μm〜200μmの範囲であることが、前記接着テープを構成する膨張性接着剤層(A)が膨張し、被着体(C1)が有する空隙、または、被着体(C1)と被着体(C2)との間の空隙を充填し、前記接着剤層(B)が被着体(C2)に貼付された際に優れた接着力を発現できるためより好ましい。
前記接着剤層(B)は、前記したとおり膨張率の低いことが好ましいため、前記膨張性接着剤層(A)を形成する際に使用可能なものとして例示した膨張剤を実質的に含有しないものであることが好ましい。
前記接着剤(B)としては、例えば熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂を含有し、前記膨張剤の含有量が少ないまたは含有しない接着剤組成物(b)を好適に使用することができる。
前記接着剤組成物(b)に使用可能な樹脂としては、従来知られる樹脂を選択し使用することができる。なかでも、前記樹脂としては、本発明の接着テープの生産効率を向上させるうえで、例えば前記膨張性接着剤層(A)の形成に使用可能な接着剤組成物(a)含有される熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂として例示したものと、同様のものを使用することが好ましい。
前記接着剤組成物(b)としては、例えば前記熱可塑性樹脂等の樹脂と、必要に応じて粘着付与樹脂、架橋剤、その他の添加剤等を含有するものを使用することができる。
前記粘着付与樹脂としては、接着剤層(B)の強接着性を調整することを目的として、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、安定化ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂等を使用することができる。
前記架橋剤としては、接着剤層(B)の凝集力を向上させることを目的として、公知のイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、多価金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、ケト・ヒドラジド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、シラン系架橋剤、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン系架橋剤等を使用することができる。
前記添加剤としては、必要に応じて本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、pHを調整するための塩基(アンモニア水など)や酸、発泡剤、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、ガラスやプラスチック製の繊維状、バルーン状、ビーズ状、金属粉末状の充填剤、顔料、染料等の着色剤、pH調整剤、皮膜形成補助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の公知のものを使用することができる。
前記接着剤組成物(b)としては、良好な塗工作業性等を維持するうえで溶媒を含有するものを使用することができる。前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン等を使用することができる。また、前記接着剤組成物(b)として水系接着剤組成物を使用する場合には、前記溶媒として水、または、水を主体とする水性溶媒を使用できる。
本発明に使用される接着テープは、例えば前記接着剤組成物(a)を離型ライナーに塗布し乾燥することによって膨張性接着剤層(A)を形成する工程[I]を経ることによって製造することができる。
本発明に使用される接着テープのうち、前記膨張性接着剤層(A)と前記接着剤層(B)とによって構成される接着テープは、前記工程[I]と、前記工程[I]とは別に、前記接着剤組成物(b)を離型ライナーに塗布し乾燥等することによって接着剤層(B)を形成する工程[II]と、前記膨張性接着剤層(A)の片面に前記接着剤層(B)を転写し、それらを圧着等する工程[III]とを経ることによって製造することができる。
なお、前記膨張性接着剤層(A)は、前記接着テープを製造する過程で、実質的に膨張しないことが好ましい。
また、本発明に使用される接着テープとしては、必要に応じ、前記膨張性接着剤層(A)と接着剤層(B)との間に不織布層または樹脂フィルム層または金属からなる層(Z)を有するものを使用することができる。かかる接着テープは、良好な剛性を有するため、貼付作業性に優れる。
前記層(Z)としては、例えば不織布であれば、材質としては好ましくはパルプ、レーヨン、マニラ麻、アクリロニトリル、ナイロン、ポリエステル等からなり、不織布の引張り強度を満足するために、必要に応じて抄紙工程でポリアミドを添加し、乾燥後にコーティングする1工程含浸処理や、ビスコースや、熱可塑性樹脂をバインダーとした2工程含浸処理等をしてもよい。樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム等を用いて形成される樹脂フィルム層、金属からなる層としては、アルミニウム、銅等の金属層が挙げられる。
前記層(Z)としては、1μm〜200μmの厚さを有するものを使用することが好ましい。
前記層(Z)を有する接着テープは、例えば前記接着剤組成物(a)を離型ライナーに塗布し乾燥することによって膨張性接着剤層(A)を形成する工程[I]、前記工程[I]とは別に、前記接着剤組成物(b)を離型ライナーに塗布し乾燥等することによって接着剤層(B)を形成する工程[II]、前記膨張性接着剤層(A)の片面に、前記層(Z)を積層する工程[IV]、及び、前記層(Z)からなる面に、前記接着剤層(B)を転写しそれらを圧着する工程[V]を経ることによって製造することができる。
(調製例1)
<接着剤組成物(a−1)の調製>
重量平均分子量30万のスチレン−ブタジエンブロック共重合体S(トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物。前記混合物の全量に対する前記ジブロック共重合体の占める割合は50質量%。前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の全体に占めるポリスチレン単位の質量割合は30質量%、ポリブタジエン単位の質量割合は70質量%)を100質量部、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)100質量部を混合したものを、トルエンに溶解することによって接着剤組成物(a−1)を得た。
(調製例2)
<接着剤組成物(a−2)の調製>
調製例1で使用したテルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)の使用量を100質量部から65質量部に変更したこと以外は調製例1と同様の方法で接着剤組成物(a−2)を得た。
(調製例3)
<接着剤組成物(a−3)の調製>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ブチルアクリレート44.9質量部、2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、アクリル酸2質量部、酢酸ビニル3質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.1質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.1質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、70℃で10時間重合することによって、重量平均分子量80万のアクリル系共重合体Z溶液を得た。
次に、アクリル系共重合体Z100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−135(荒川化学工業株式会社製)30質量部を添加し、酢酸エチルを加えて混合した後、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL−45」(イソシアネート系架橋剤、固形分45質量%)を1.1質量部添加し15分攪拌し接着剤(a−2)を得た。
<接着テープの作製>
(作成例1)
上質紙の両面にポリエチレン層を有し、ポリエチレン層の片面にシリコーン系離型処理剤層を有する厚さ130μmの離型紙の表面に、接着剤組成物(a−1)の全固形分100質量部に対し膨張剤としてF−36D(松本油脂製薬株式会社製、熱膨張性マイクロカプセル、初期粒子径10〜16μm、膨張開始温度70〜80℃)を10質量部混合し10分間攪拌したものを、棒状の金属アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが90μmになるように塗工し、65℃に設定した乾燥機で10分間乾燥することによって膨張性接着剤層(A−1)を作製した。前記膨張性接着剤層(A−1)を、上記とは別の離型紙に積層し、2kgのハンドローラーを用い、前記貼付物の上面を一往復させることによって、前記膨張性接着剤層(A−1)からなる接着テープを得た。
次に、上質紙の両面にポリエチレン層を有し、ポリエチレン層の片面にシリコーン系離型処理剤層を有する、厚さ130μmの離型紙の表面に、前記接着剤組成物(a−1)を、棒状の金属アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが90μmになるように塗工し、65℃に設定した乾燥機で10分間乾燥することによって接着剤層(B−1)を作製した。
前記膨張性接着剤層(A−1)を、もう一方の面に前記で得た接着剤層(B−1)に貼付した後、4kgf/cmで加圧しラミネートすることによって、膨張性接着剤層(A−1)と接着剤層(B−1)が積層した接着テープ1を得た。
(作成例2)
実施例1と同様の方法で膨張性接着剤層(A−1)および接着剤層(B−1)を作成し、前記膨張性接着剤層(A−1)を、厚さ35μmの不織布の片面に貼付し、もう一方の面に前記で得た接着剤層(B−1)を貼付した後、80℃で4kgf/cmで加圧しラミネートすることによって、不織布に膨張性接着剤層(A−1)及び接着剤層(B−1)が積層した接着テープ2を得た。
(作成例3)
接着剤組成物(a−1)の代わりに接着剤組成物(a−2)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、膨張性接着剤層(A−2)及び接着剤層(B−2)からなる接着テープを得た。前記膨張性接着剤層(A−1)を、厚さ35μmの不織布の片面に貼付し、もう一方の面に前記で得た接着剤層(B−1)を貼付した後、80℃で4kgf/cmで加圧しラミネートすることによって、不織布に膨張性接着剤層(A−1)及び接着剤層(B−1)が積層した接着テープ3を得た。
(作成例4)
実施例1と同様の方法で接着剤層(B−1)を作成し、前記接着剤層(B−1)を、厚さ35μmの不織布の片面に貼付し、もう一方の面にも前記で得た接着剤層(B−1)を貼付した後、80℃で4kgf/cmで加圧しラミネートすることによって、不織布に接着剤層(B−1)が積層した接着テープ4を得た。
(作成例5)
接着剤組成物(a−1)の代わりに接着剤組成物(a−3)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、接着剤層(B−3)からなる接着テープを2枚作成した。前記接着剤層(B−3)を、厚さ100μmのポリエチレン系発泡体基材の片面に貼付し、もう一方の面に前記で得た接着剤層(B−3)を貼付した後、4kgf/cmで加圧しラミネートすることによって、発泡体に接着剤層(B−1)が積層した接着テープ5を得た。
[物品の製造]
(実施例1)
接着テープ1を、長さ64mm×幅1mm、及び長さ43mm×幅1mmの帯状に裁断した。前記粘着テープを構成する(A−1)の面側を、長辺65mm×短辺45mm×厚さ2mmのポリカーボネート板1に貼付した。この際、長辺に長さ64mmに裁断した粘着テープを、短辺に長さ43mmに裁断した粘着テープを、ポリカーボネート板1の外側から1mm開けた箇所に、額縁状を形成するように貼付した。また、帯状に裁断した接着テープの端部同士は重なるように貼付した。前記接着テープを備えたポリカーボネート板1と長辺65mm×短辺45mm×厚さ2mmのポリカーボネート板2とを積層し、前記ポリカーボネート板1とポリカーボネート板2とが、前記額縁状の試験テープで接合された試験片を作製した(図4)。次に、試験片に貼付された接着テープ全面に、前記ポリカーボネート板1の重さと合わせて210gとなるように重りを乗せて、前記接着テープに1N/cmの荷重がかかった状態で100℃の加熱炉で30分間加熱し、(A−1)を膨張させ、その後試験片が室温に冷めるまで放冷し、物品を得た。
(実施例2)
接着テープ1に代えて接着テープ2を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で物品を得た。
(実施例3)
接着テープ1に代えて接着テープ3を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で物品を得た。
(実施例4)
接着テープ2を、長さ64mm×幅1mm、及び長さ43mm×幅1mmの帯状に裁断した。前記粘着テープを構成する(A−1)の面側を、長辺65mm×短辺45mm×厚さ2mmのポリカーボネート板1に貼付した。この際、長辺に長さ64mmに裁断した粘着テープを、短辺に長さ43mmに裁断した粘着テープを、ポリカーボネート板1の外側から1mm開けた箇所に、額縁状を形成するように貼付した。また、帯状に裁断した接着テープの端部同士は重なるように貼付した。
次に、縦65mm×横45mm×厚さ2mmの大きさで、その表面に、縦65mm×横5mmで深30μmのくさび形の凹部(段差部)を2か所備えたポリカーボネート板3を用意した。前記2か所の凹部と、前記ポリカーボネート板1に貼付された前記接着テープの額縁部とが重なるように、前記試験テープを備えたポリカーボネート板1と前記ポリカーボネート板3とを積層し、前記ポリカーボネート板1とポリカーボネート板3とが、前記額縁状の試験テープで接合された試験片を作製した(図5)。次に、試験片に貼付された接着テープ全面に、前記ポリカーボネート板1の重さと合わせて210gとなるように重りを乗せて、前記接着テープの単位面積当たり1Nの荷重がかかった状態で100℃の加熱炉で30分間加熱し、(A−1)を膨張させ、その後試験片が室温に冷めるまで放冷し、物品を得た。
(比較例1)
接着テープ1に代えて接着テープ4を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で物品を得た。
(比較例2)
接着テープ1に代えて接着テープ5を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で物品を得た。
(比較例4)
接着テープ1に代えて接着テープ5を用いたこと以外は実施例5と同様の方法で物品を得た。
[防水性の評価]
実施例及び比較例で得た物品を、水深1mに30分静置した(JISC0920のIPX7準拠)。前記静置後、前記試験片を目視で観察し、以下の評価基準にしたがって評価した。
○:前記試験片を構成する、額縁状のテープによって囲まれた内部(試験片の中央部)に、水が浸入していなかった。
×:前記試験片を構成する、額縁状のテープによって囲まれた内部(試験片の中央部)に、水が浸入していた。
Figure 0006763490
Figure 0006763490
Figure 0006763490
1 接着テープA
2 接着テープB
3 被着体
4 ポリカーボネート板1
5 ポリカーボネート板2
6 接着テープ1
7 接着テープ2
8 ポリカーボネート板3
9 段差部

Claims (8)

  1. 膨張性接着剤層(A)を有する2つ以上の接着テープの端部同士を重ねて又は近接させて配置し、前記接着テープの一方の面側を被着体(C1)を構成する部位(c1−1)に貼付する工程[1]、
    前記接着テープのもう一方の面側を他の被着体(C2)に貼付される工程[2]、
    前記膨張性接着剤層(A)に刺激を与える工程[3]、
    前記刺激によって前記膨張性接着剤層(A)が膨張し、膨張接着剤層(A1)が形成される工程[4]、を有し、
    前記工程[3]及び工程[4]において、前記接着テープに刺激を与えて前記膨張性粘着剤層(A)が膨張して、前記膨張性接着剤層(A1)が形成される過程において、前記接着テープに対し、荷重をかけることを特徴とする、接着テープの膨張物を介して接着された物品の製造方法。
  2. 前記膨張性接着剤層(A)の厚さ方向の膨張率〔加熱後の熱可塑性熱膨張接性着剤層(A1)の厚さ/加熱前の熱可塑性熱膨張性接着剤層(A)の厚さ〕×100が150%以上であることを特徴とする請求項1記載の物品の製造方法。
  3. 前記被着体(C1)または被着体(C2)が、1μm以上300μm以下の段差部を有するものである請求項1または2に記載の物品の製造方法。
  4. 前記膨張性接着剤層(A)が0.5N/20mm以上の接着力を有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品の製造方法。
  5. 前記工程[3]における刺激が熱である請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品の製造方法。
  6. 前記膨張性接着剤層(A)が、熱可塑性樹脂と、膨張開始温度が70℃〜120℃の範囲の熱膨張カプセルとを含有する層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品の製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂の70℃〜120℃の範囲における1Hzでの動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×10Paの範囲である請求項6に記載の物品の製造方法。
  8. 前記工程[1]が、被着体(C1)を構成する部位(c1−1)に、前記接着テープの膨張性接着剤層(A)を、0.1N/cm以上の力で圧着させる工程を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の物品の製造方法。
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