JP6763372B2 - マルチバンドアンテナ及び無線通信装置 - Google Patents
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Description
以下、第1の実施形態に係るマルチバンドアンテナについて、図1〜図27を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に述べる各実施形態においては、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、発明の範囲を以下の各実施形態のみに限定しない。以下の説明では、各構成要素の形状や位置関係等を、参照する図に応じて、上、下、左、右などという表現を用いて説明することがある。これは図を参照しながら説明を理解しやすくするために用いるのであり、以下に説明する各実施形態が、現実に実施される際の方向を限定しない。
図2は、第1の実施形態に係るマルチバンドアンテナの正面図である。
図1及び図2においては、説明のため、後述する導体反射板101の板面の面内方向にX軸及びY軸を定義し、導体反射板101の板面の垂直方向(法線方向)にZ軸を定義する。後述する他の図においてもX軸、Y軸、Z軸(X’軸、Y’軸、Z’軸)を同様に定義する。
第1アンテナ素子Ant01は、波長λ1に対応する動作周波数f1を共振周波数とする特性を有し、大気中を通じて波長λ1(動作周波数f1)の電磁波を送受可能とされる。
同様に、第2アンテナ素子Ant02は、波長λ2に対応する周波数f2を共振周波数とする特性を有し、大気中を通じて波長λ2(周波数f2)の電磁波を送受可能とされる。
第1の実施形態においては、波長λ2は、波長λ1よりも短い(λ1>λ2)。したがって、第2アンテナ素子Ant02が延在する長さは、第1アンテナ素子Ant01が延在する長さよりも短い。
図1、図2に示すように、2つのアンテナ素子Antは、それぞれ、環状導体部104と、導体給電線105と、導体ビア106と、給電点107と、誘電体層108と、を備えている。図1においては、誘電体層108は、他の構成の配置の理解を容易にするため、明確な図示が省略されている。後述する図においても、適宜、誘電体層108の明確な図示を省略している場合がある。
2つのアンテナ素子Antは、上記スプリット部109を有する環状導体部104に基づきC型形状に形成され、電磁波の動作周波数f1、f2を共振周波数とするスプリットリング共振器をなす。
第1アンテナ素子Ant01が有する環状導体部104の延在方向(X軸方向)の長さL1は、例えば、波長λ1の1/4(四分の一)程度とされる。第2アンテナ素子Ant02が有する環状導体部104の延在方向(X軸方向)の長さL2は、波長λ2の1/4程度とされる。
波長λ1及び波長λ2は、第1アンテナ素子Ant01又は第2アンテナ素子Ant02の共振周波数に一致する動作周波数f1、f2の電磁波が、領域を満たす物質中を進行する際の波長を示す。
より具体的には、給電点107は、図示しない給電源からの高周波電力が供給される点である。図1、図2に示すように、給電点107は、導体給電線105の他端と、環状導体部104のうち導体ビア106が接続される上方(Z軸正方向)側の長辺とは反対側(下方(Z軸負方向)側)の長辺の一部と、の間を電気的に励振可能である。
給電点107は、後述する無線通信回路部114等と接続される。これにより、無線通信回路部114は、給電点107を介してマルチバンドアンテナ10との間で無線通信信号を送受することができる。
誘電体層108の面は、導体反射板101の板面αに対して(垂直に)傾斜するように(XZ平面に)配置される。これにより、2つのアンテナ素子Antは、環状導体部104における環状をなす面が板面αに対し垂直に傾斜するように配置される。
導体反射板101は、空間内の一平面(XY平面)に導体の板面αを有してなる板状の導体である。
より具体的には、図1、図2に示すように、導体反射板101の板面αから各アンテナ素子Antの環状導体部104の上方(Z軸正方向)側の外縁までの距離Z1、Z2が、互いにおよそ等しくなるように配置されている。換言すると、2つのアンテナ素子Antは、板面αと、環状導体部104のうち板面αから垂直方向に最も離れた部分(環状導体部104の上方側の長辺、最離間部分)と、の距離が、互いにおよそ等しくなるように配置されている。
導体ビア106は、誘電体層108にドリルで形成した貫通孔に、めっきをすることで形成される場合が一般的であるが、層間を電気的に接続できればどのようなものでもよい。例えば、導体ビア106は、レーザーで形成するレーザービアにより構成してもよいし、銅線などを用いて構成してもよい。
導体反射板101は、板金や、誘電体基板に貼り合わされた銅箔で形成される場合が一般的であるが、導電性であれば他の素材で形成されてもよい。
通常、反射板付のアンテナにおいて、導体反射板101の板面αは短絡面となること。このため、図3中のダイポールアンテナ素子d100、d200などの一般的なアンテナは、それぞれの動作周波数f1、f2の電磁波の波長の1/4程度、導体反射板101の板面αから垂直方向(Z軸方向)に離して配置することが望ましい。
しかしながら、このように配置すると、図3に示すように、ダイポールアンテナ素子d100は、ダイポールアンテナ素子d200から見て、電磁波の放射方向(Z軸正方向半球面)上にある。その結果、ダイポールアンテナ素子d100が、金属体として、ダイポールアンテナ素子d200から発せられる動作周波数f2の電磁波の放射パターンを乱す要因となる。
以上より、異なる周波数に対応した各アンテナ素子の、互いの放射パターンへの影響を抑制した、マルチバンドアンテナを提供することができる。
その際、導体反射板101の、第1アンテナ素子Ant01の共振特性への影響が大きくなる。その場合、距離Z1が「Z1<λ1・1/4」となったとしても、所望のアンテナ特性が得られるように、第1アンテナ素子Ant01の設計を、距離Z1が波長λ1の1/4程度であるときの通常の設計から微調整することがより望ましい。
距離Z1だけでなく、距離Z2も波長λ2の1/4より短くして、「Z1=Z2」としてもよい。
第1の実施形態に係るマルチバンドアンテナ10は、例えばWi−Fiなどの無線通信装置や、移動通信基地局におけるアンテナ部として、適宜組み込まれてもよい。
図4に示すように、無線通信装置1は、マルチバンドアンテナ10と、誘電体レドーム112と、無線通信回路部114と、伝送線113と、を有する。誘電体レドーム112は、マルチバンドアンテナ10を機械的に保護する。伝送線113は、チバンドアンテナ10中の各アンテナ素子Antと無線通信回路部114との間で無線信号を伝送する。図4において、誘電体レドーム112は、図示の簡略化のため、透明なものとして図示している。このような構成により、マルチバンドアンテナ10を用いた無線通信装置1について、互いに異なる周波数(動作周波数f1、f2)で動作する複数アンテナ素子間の、互いの放射パターンへの影響を抑制することができる。
無線通信装置1は、例えば無線通信装置や、移動通信基地局、レーダーとして用いられてもよい。無線通信装置1は、この他に、例えば図5に示すように、ベースバンド処理を行うベースバンド処理部(BB)170などを備えてもよい。
図6は、第1の実施形態の第1変形例に係るマルチバンドアンテナの斜視図である。
上述の通り、各アンテナ素子Antの導体反射板101の板面αからの距離Z1、Z2を等しくする際には、上述のようにアンテナ素子Antの構成を設計変更するなど、短絡面である導体反射板101の、各アンテナ素子Antの共振特性への影響を考慮することがより望ましい。
この場合において、例えば図6に示すように、図1、図2に示した導体反射板101として、メタマテリアル反射板Mを用いてもよい。メタマテリアル反射板Mとは、所定の形状に形成された導体小片又は誘電体小片からなる周期構造UCが、板面αの縦方向(Y’軸方向)及び横方向(X’軸方向)に周期配列されてなる反射板を指す。メタマテリアル反射板Mは、人工磁気導体(Artificial Magnetic Conductor)や、ハイインピーダンスサーフェイスともいう。このようにすることで、メタマテリアル反射板Mを反射する電磁波の反射による位相回転が、通常の金属板による反射位相180°とは異なる値とすることができる。このメタマテリアル反射板Mを用いて、反射位相を動作周波数f1、f2においてそれぞれ制御する。その結果、距離Z1又は距離Z2が、波長λ1の1/4又は波長λ2の1/4より短い場合であっても、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02の共振特性の変化を抑えることができる。
図6で説明したメタマテリアル反射板Mの具体的な構造の一例としては、例えば、図7に示すような構造としてもよい。図7に示すように、メタマテリアル反射板Mは、導体板M101、誘電体板M102及び複数の小導体板M103(導体小片)を備えている。
導体板M101は、誘電体板M102の一の面(Z’軸負方向側の面)全面に配置される。複数の小導体板M103は、誘電体板M102の他の面(Z’軸正方向側の面、即ち、図6に示す板面α)に設けられ、また、同一サイズの矩形状に形成される。また、複数の小導体板M103は、その他の面の縦方向(Y’軸方向)及び横方向(X’軸方向)の各々につき一定の間隔を空けながら周期的に配列されている。1つの小導体板M103と、導体板M101及び誘電体板M102の一部とにより、最小の繰り返し単位構造である、周期構造UCが構成されている。複数の小導体板M103間に、キャパシタンスが形成されることにより、メタマテリアル反射板Mを反射する電磁波の位相回転量が変化する。
別の例に係るメタマテリアル反射板Mは、図8に示すように、誘電体板M102の厚さ方向(Z’軸方向)に延在するとともに一端が導体板M101に連結し、他端が各小導体板M103に連結する、複数の導体ビアM104を備えていてもよい。
このようにすることで、導体ビアM104により、小導体板M103による位相回転を更に変化させることができる。
更に別の例に係るメタマテリアル反射板Mは、図9に示すように、小導体板M103が誘電体板M102の内部において周期配列されている。また、誘電体板M102の一面であって導体板M101が配置される面の反対側の面においては、小導体板M103と同形状同サイズに形成された複数の小導体板M105が周期配列される。一の小導体板M105は、誘電体板M102の一面上において、周期配列される複数の小導体板M103の縦方向及び横方向における中間位置に配置される。即ち、小導体板M105は、小導体板M103の配列周期に対し縦方向及び横方向の各々において半周期だけずれて配置される。
このようにすることで、小導体板M105の存在により、形成されるキャパシタンスを更に大きくし、位相回転量を増加することができる。
一方、他の実施形態に係るマルチバンドアンテナ10は、3つ以上の動作周波数に対応したマルチバンドアンテナとされていてもよい。この場合、その3つ以上の各動作周波数に対応する各アンテナ素子Antは、導体反射板101の板面αからの距離が互いに等しくなるように配置される。
第1の実施形態及びその変形例に係るマルチバンドアンテナ10によれば、各アンテナ素子Antは、導体反射板101の板面αに対して倒立した姿勢(誘電体層108の面が板面αに対して垂直となる姿勢)で配置される(図1、図2)。他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、図10に示すように、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02が、導体反射板101の板面αに対して平行な姿勢(誘電体層108の面が板面αに対して平行となる姿勢)で配置されてもよい。この場合において、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02は、図10に示すように、板面αに対して所定距離Z1だけ離れて平行に設けられた誘電体層108を共有して同一基板上に形成されていてもよい。
第1の実施形態及びその変形例に係るマルチバンドアンテナ10によれば、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02は、同一平面上に配置されていない(図1、図2)。他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、図11に示すように、第1アンテナ素子Ant01と第2アンテナ素子Ant02とは、(XZ平面に平行な)同一平面上に配置されていてもよい。この場合において、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02は、図11に示すように、板面αに対して垂直に設けられた誘電体層108を共有して同一基板上に形成されていてもよい。
複数のアンテナ素子Antは、必ずしも図1、図2に示す構造でなくともよく、更に、構造上の工夫がなされていてもよい。
このようにすることで、導体給電線105の他端(導体端部110に接続される一端とは反対側の端部)と環状導体部104との接触を避けることができる。
このようにすることで、環状導体部104と導体給電線105とを同一の層に形成でき、製造を容易にすることができる。
上記に加えて、アンテナ素子Antは、電気特性向上のための種々の工夫がなされていてもよい。
図17に示す例では、放射部117と環状導体部104とが接続する部分のそれぞれの辺の大きさが一致する場合を示した。しかしながら、放射部117の形状はこれに限定されない。
例えば、図18、図19に示すように、放射部117と環状導体部104とが接続する部分のそれぞれの辺の大きさに関して、放射部117の方が環状導体部104より大きいような構成としてもよい。放射部117を備える構成の場合、環状導体部104と放射部117とを含めてアンテナ素子Antの延在方向(X軸方向)となる形状となれば、より良好な放射効率を実現することができる。
このとき、環状導体部104は、必ずしもアンテナ素子Antの延在方向を長辺とする長方形に形成される必要はない。例えば、図20に示すように、環状導体部104の形状は、垂直方向(図1、図2のZ軸方向)に長辺を持つ長方形であってもよいし、正方形や円形、三角形であるような構成であってもよい。
以上のように、放射部117は、環状導体部104において導体端部110、111が延在する方向における環状導体部104の両端と電気的に接続される。
キャパシタンスを大きくする方法として、例えば、図21に示すように、環状導体部104のうちスプリット部109を形成して対向する導体端部110、111の対向面積を増加させてもよい。図21に示す例では、スプリット部109を介して対向する導体端部110、111の両端が、対向する方向と略直交する方向に屈折している。この構成により、スプリット部109を介して対向する導体端部110と導体端部111との対向面積を増加させ、キャパシタンスを大きくしている。
図22には、補助導体パターン118を導体給電線105と同じ層に配設した場合の例を示す。図23には、補助導体パターン118を環状導体部104とも導体給電線105とも異なる層に配設した場合の例を示す。
このとき、導体給電線105の周囲の多くの部分が、互いに導通した導体である環状導体部104、第2の環状導体部120及び複数の導体ビア121によって囲まれる。これにより、導体給電線105からの不要な電磁波の放射を低減することができる。
第1の実施形態に係る第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02が、図1、図2に示すようなスプリットリング共振器をなす場合について説明した。他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、第1の実施形態に係る第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02は、図27に示すように、ダイポールアンテナ素子であってもよい。
図27に示すように、ダイポールアンテナ素子である第1アンテナ素子Ant01は、板面αに沿って同一軸線上(X軸線上)に延在する2つの柱状の導体放射部d101と、給電点107と、を備えている。給電点107は、2つの導体放射部d101間を電気的に励振可能とされている。第1アンテナ素子Ant01の導体放射部d101の延在方向における長さL1は、波長λ1の1/2(二分の一)程度とされる。
同様に、ダイポールアンテナ素子である第2アンテナ素子Ant02は、板面αに沿って同一軸線上(X軸線上)に延在する2つの柱状の導体放射部d101と、給電点107と、を備えている。給電点107は、2つの導体放射部d101間を電気的に励振可能とされている。第2アンテナ素子Ant02の導体放射部d101の延在方向における長さL2は、波長λ2(<λ1)の1/2程度とされる。
第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02がダイポールアンテナ素子である場合も同様に、導体反射板101の共振特性への影響のみを考慮すると、それぞれ距離Z1及び距離Z2は動作周波数f1、f2の電磁波の波長(波長λ1、λ2)の1/4程度、反射板から離して配置することが望ましい。よって、距離Z1と距離Z2とをおよそ等しくする際に、距離Z1や、距離Z2を電磁波の波長λ1、λ2の1/4よりも小さくする場合、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02の設計を微調整したり、反射板としてメタマテリアル反射板M(図6)を用いたりすることがより望ましい。
次に、第2の実施形態に係るマルチバンドアンテナについて、図28〜図37を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、第2の実施形態の構成要素のうち、上述した第1の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付して説明を適宜省略する。
図29は、第2の実施形態に係るマルチバンドアンテナの正面図である。
図28、図29に示すように、第2の実施形態に係るマルチバンドアンテナ20は、導体給電GND部123を備えている。導体給電GND部123の垂直方向(Z軸方向)における一端が各アンテナ素子Antの環状導体部104のうちスプリット部109が設けられた側とは反対側(下方(Z軸負方向)側)の外縁に接続される。導体給電GND部123は、環状導体部104が配される位置からその下方(Z軸負方向)側に位置する導体反射板101の板面αまで延在する。導体給電GND部123の他端が板面αに接続される。
無線信号を伝送する伝送線を介して給電点とアンテナ素子とを接続する場合、スプリットリング共振器に導体(伝送線)が連結される。このため、アンテナ素子近傍における伝送線の配置や形状などによって、アンテナ素子の共振特性が変化してしまう場合が想定される。
各アンテナ素子Antが電磁気的に共振したとき、アンテナ素子Antの延在方向(図28、図29のX軸方向)における両端近傍は、電気的に開放面となり、電場強度が強く磁場強度が弱い状態となる。一方、各アンテナ素子Antが電磁気的に共振したとき、アンテナ素子Antの延在方向における中央近傍は、電気的に短絡面となり、磁場強度が強く電場強度が弱い状態となる。そうすると、導体給電GND部123が各アンテナ素子Antに連結している位置は、共振時において電気的に短絡面となって電場強度が弱い部分である。したがって、導体給電GND部123を図28、図29に示すように連結した場合、導体給電GND部123は、共振特性に影響を与えるような余分なキャパシタンスやインダクタンスを増加させない。その結果、各アンテナ素子Antの共振特性がほとんど変化しないことを発明者らは見出した。
給電点107を、この伝送線路におけるアンテナ素子Antとは遠い側に設けることにより、給電点107より先につながる伝送線と、アンテナ素子Antとの間の距離を離すことができる。その結果、伝送線による、アンテナ素子Antへの影響を少なくすることができる。
したがって、導体給電GND部123は、この範囲内、即ち、アンテナ素子Antの延在方向における中央(電気的短絡面)を中心として、アンテナ素子Antの延在方向の長さL1、L2(変形例として放射部117を備える場合はこれを含む大きさ)の1/2の範囲内(中心から±1/4の範囲)に連結されることが好ましい。アンテナ素子Antの延在方向に沿う導体給電GND部123の幅方向(X軸方向)の長さは、アンテナ素子Antの延在方向の長さL1、L2の1/2以下であることが好ましい。
また、第1の実施形態と同様に、マルチバンドアンテナ20を用いて無線通信装置1(図4)を構成することで、マルチバンドに対応し、かつ、アンテナ素子Antの共振特性に対する伝送線の影響が可能な限り抑制された無線通信装置を提供することができる。
導体反射板101として、第1の実施形態の変形例で説明したメタマテリアル反射板Mを用いる場合は、例えば、以下のような構造としてもよい。
具体的には、図30に示すように、メタマテリアル反射板Mを構成する周期構造UCの内、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02各々の直下に位置する周期構造UCを構成する導体小片等を取り除き、導体板M101のみが存在するようにする。このようにすることで、導体給電線105及び導体給電GND部123と、周期構造UCとの重畳を防ぐことができる。このようにしても、メタマテリアル反射板Mの反射位相制御の性能が著しく劣化することはない。
具体的には、同一基板内の異なる層に、それぞれ、アンテナ素子Ant及び導体反射板101を構成する。各導体給電GND部123は、基板内の導体ビアにより導体反射板101の層まで接続する。各導体給電線105も、基板内の他の導体ビアにより導体反射板の層まで接続する。このように、マルチバンドアンテナ20全体を一体基板として作成してもよい。
第1の実施形態の第3変形例(図11)のように、アンテナ素子Antを同一基板内に構成する際、同様に、各導体給電GND部123についても同一基板内に構成してもよい。
第2の実施形態の種々の変形例について以下説明する。以下に説明する種々の変形例を適宜組み合わせてもよい。
導体給電GND部123が第2の実施形態で示した範囲(図28、図29)以外の範囲に連結されていても本実施形態の本質的な効果には影響を与えない。また、導体給電GND部123の幅方向(X軸方向)の長さが第2の実施形態で示した範囲以外の範囲であっても本実施形態の本質的な効果には影響を与えない。
図31に示す例では、導体給電GND部123は、その幅方向(X軸方向)の一端が、環状導体部104の下方側の外縁のうち延在方向における中央(電気的短絡面)から±1/4の範囲内に接している。一方で、導体給電GND部123は、その幅方向(X軸方向)の他端が、上記電気的短絡面からアンテナ素子Antの延在方向における長さL1、L2の1/4の範囲外に接続している。このような態様であっても、導体給電GND部123がアンテナ素子Antの共振特性に与える影響が許容範囲内でさえあればよい。
第2の実施形態に係るマルチバンドアンテナ(図28、図29)において、第1アンテナ素子Ant01、第2アンテナ素子Ant02各々の導体給電GND部123は、それぞれ別個に設けられ分離されている。しかし、他の実施形態に係るマルチバンドアンテナ20においては、導体給電GND部123が第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02各々の共振特性に与える影響の許容範囲内において、連結されていても構わない。
図32に示すように、アンテナ素子Antは、延在する導体給電線105と導体給電GND部123とで構成された伝送線路がコプレーナ線路とされ、環状導体部104、導体給電線105、及び導体給電GND部123が同一の層に形成された態様であってもよい。
具体的には、アンテナ素子Antは、第1の実施形態の第6変形例、第7変形例(図15、図16)で説明したように、環状導体部104の周方向のうち導体反射板101から近い側(下方(図28、図29のZ軸負方向)側)の長辺の一部分が切欠かれている。切り欠かれた部分(欠落部104a)を導体給電線105が通っている。欠落部104aは、導体給電GND部123の面内の一部が切り欠かれてなるスリット123aに連通される。導体給電線105が、スリット123aの内側を、導体反射板101の板面α(図28、図29のZ軸負方向)へ向けて挿通される。この構成により、上述の導体給電線105と導体給電GND部123とで構成された伝送線路をコプレーナ線路とすることができる。
図33に示すように、アンテナ素子Antは、第1の実施形態の第16変形例、第17変形例(図25、図26)と同様の第2の環状導体部120と、複数の導体ビア121とを備え、更に、第2の導体給電GND部124及び複数の導体ビア125を備えていてもよい。図33に示される例では、環状導体部104、導体給電線105とは異なる層に、第2の環状導体部120が設けられている。第2の導体給電GND部124は、導体給電GND部123が環状導体部104に接続されるのと同様に、第2の環状導体部120と同じ層において第2の環状導体部120に接続され、導体給電線105と対向する。複数の導体ビア125は、導体給電GND部123と第2の導体給電GND部124とを電気的に接続する。
このとき、導体給電線105の周囲の多くの部分は、互いに導通した導体である、環状導体部104、第2の環状導体部120及び複数の導体ビア121に加え、第2の導体給電GND部124及び複数の導体ビア125によって囲まれる。これにより、導体給電線105からの不要な信号電磁波の放射を低減することができる。
第2の実施形態で説明した、導体給電線105と導体給電GND部123とで構成された伝送線路が、同軸線路であってもよい。
図34に示すように、アンテナ素子Antは、第1の実施形態に係る導体給電線105(図1、図2)と同様の構成である導体給電線154を有する。アンテナ素子Antには同軸ケーブル160が連結されている。同軸ケーブル160は、芯線161と外部導体162とから構成されている。芯線161は、導体給電線154と接続されている。外部導体162は、環状導体部104の下方側の外縁に接続されている。給電点107は、芯線161と外部導体162との間を電気的に励振するように設けられている。互いに接続された芯線161及び導体給電線154は、導体給電線105に相当している。外部導体162は、筒状に形成された導体給電GND部123に相当している。
図36は、第2の実施形態の第6変形例に係るマルチバンドアンテナの正面図である。
同軸ケーブルを用いる際、同軸ケーブルが導体反射板101の板面αの裏側(Z軸負方向側)に設けられてもよい。
図35、図36に示すように、導体反射板101には、貫通口であるクリアランス126が設けられている。このクリアランス126の位置に対応する導体反射板101の板面αの裏側(Z軸負方向側)の位置には、コネクタ127が設けられている。コネクタ127は、図示しない同軸ケーブルを接続するコネクタである。
コネクタ127の外部導体129は、導体反射板101と電気的に接続されている。コネクタ127の芯線128は、クリアランス126の内部に挿通されて導体反射板101の板面αの表側(Z軸正方向側)に貫通し、アンテナ素子Antの導体給電線105と電気的に接続されている。給電点107は、コネクタ127の芯線128と外部導体129との間を電気的に励振可能である。
このような構成とすることで、導体反射板101の裏側に配置された無線通信回路(上述の無線通信回路部114)やデジタル回路等から、導体反射板101の表側のアンテナ素子Antに給電することが可能となる。このため、放射パターンや放射効率に大きな影響を与えることなく無線通信装置1を構成することができる。
図35及び図36に示した例では、同軸ケーブルを導体反射板101の裏側に設けているが、実施形態はこのような構成に限定されない。伝送線路を構成する導体が導体反射板101の裏側に設けられていればよく、導体が必ずしも同軸ケーブルでなくてもよい。
他の実施形態に係るアンテナ素子Antは、ダイポールアンテナ素子であってもよい。ダイポールアンテナ素子であっても、共振時には、延在方向の両端近傍が電気的に開放面とみなせ、また中央近傍が電気的に短絡面と見なせる。
具体的には、導体給電GND部123をダイポールアンテナ素子であるアンテナ素子Antの延在方向における中央近傍に接続させる。この構成により、共振特性に影響を与えずにアンテナ素子Antに接続した伝送線路を形成することができる。
導体給電GND部123の一端が、同一軸線上に配された2つの導体放射部d101のうちの他方に接続される。導体給電GND部123は、導体放射部d101から下方側の板面αまで延在する。導体給電GND部123の他端が板面αに接続される。
導体給電線105と導体給電GND部123とは、間隔を空けて、同一方向(Z軸方向)に並んで延在する。
給電点107は、導体給電線105の上記他端と、その近傍の導体給電GND部123との間を励振する。
その他の構成は、第1の実施形態の第18変形例に係るマルチバンドアンテナ10(図27)と同様の構成である。
次に、第3の実施形態に係るマルチバンドアンテナについて、図38〜図47を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、第3の実施形態の構成要素のうち、上述した第1、第2の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付して説明を適宜省略する。
図39は、第3の実施形態に係るマルチバンドアンテナの正面図である。
図40は、第3の実施形態に係るマルチバンドアンテナの上面図である。
図38〜図40に示すように、マルチバンドアンテナ30は、導体反射板101の板面αからの垂直方向における距離が等しい第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02を、それぞれ2つずつ備えている。
同様に、2つの第2アンテナ素子Ant02は、上面図(図40)において、一の方向(Y軸方向)を延在方向とする第2アンテナ素子Ant02の、その延在方向先端(先端部301)からの延長線上に、他の方向(X軸方向)を延在方向とする第2アンテナ素子Ant02の、その延在方向中央(中央部302)が位置するように配置されている。
そうすると、一方の第1アンテナ素子Ant01(第2アンテナ素子Ant02)の先端部301が、他方の第1アンテナ素子Ant01(第2アンテナ素子Ant02)の中央部302の近傍に位置するように略垂直に配置される。その結果、一方の第1アンテナ素子Ant01と他方の第1アンテナ素子Ant01とが電場、磁場それぞれにおいて、強度が強い部分同士が近接しないように互いに垂直に傾斜して配置されることになる。したがって、2つの第1アンテナ素子Ant01(第2アンテナ素子Ant02)同士を、電磁気的結合を抑えつつ、近づけて配置することができる。つまり、2つの第1アンテナ素子Ant01(第2アンテナ素子Ant02)を用いて二偏波化する際、偏波間の電磁気的結合を抑えたうえで、各偏波に対応する第1アンテナ素子Ant01(第2アンテナ素子Ant02)同士を近づけて配置することができる。ひいては、二偏波化に伴うアンテナ全体のサイズの増加を抑えることができる。
また、第1の実施形態と同様に、マルチバンドアンテナ30を用いて無線通信装置1(図4)を構成することで、マルチバンドかつ直交二偏波に対応した無線通信装置を提供することができる。
図41に示すように、マルチバンドアンテナ30は、第3の実施形態(図38〜図40)で説明した2つの第1アンテナ素子Ant01及び2つの第2アンテナ素子Ant02のそれぞれにつき、第2の実施形態で説明した導体給電GND部123を備えていてもよい。
図42に示すように、マルチバンドアンテナ30は、近接する2つの第1アンテナ素子Ant01及び2つの第2アンテナ素子Ant02同士が全て、一方のアンテナ素子Antの先端部301が、他方のアンテナ素子Antの中央部302を向くように、互いに垂直に配置されていてもよい。これにより、2つの第1アンテナ素子Ant01同士、又は、2つの第2アンテナ素子Ant02同士の二偏波間の結合に加え、近接する第1アンテナ素子Ant01と第2アンテナ素子Ant02との間における互いの共振特性への影響をも抑えることができる。
図44は、第3の実施形態の第3変形例に係るマルチバンドアンテナの正面図である。
図45は、第3の実施形態の第3変形例に係るマルチバンドアンテナの上面図である。
図43〜図45に示すように、マルチバンドアンテナ30は、第1の組に係る第1アンテナ素子Ant01と、第1の組に係る第2のアンテナ素子Ant02と、を備えている。第1アンテナ素子Ant01、第2アンテナ素子Ant02を総称してアンテナ素子Antと称する場合がある。マルチバンドアンテナ30は、第2の組に係る第1アンテナ素子Ant01’と、第2の組に係る第2のアンテナ素子Ant02’と、を備えている。第1アンテナ素子Ant01’、第2アンテナ素子Ant02’を総称してアンテナ素子Ant’と称する場合がある。
第1の組に係る第1アンテナ素子Ant01の構成と第2の組に係る第1アンテナ素子Ant01’の構成とは、互いに同一とされている。また、第1の組に係る第2アンテナ素子Ant02の構成と第2の組に係る第2アンテナ素子Ant02’の構成とは、互いに同一とされている。
第1の組に係る第1アンテナ素子Ant01と第1の組に係る第2アンテナ素子Ant02とは、板面αからの垂直方向(Z軸方向)における距離(正確には、板面αから環状導体部104の上方側の長辺までの距離Z1、Z2(第1の距離))が互いに等しくなるように配置されている(Z1=Z2)。また、第2の組に係る第1アンテナ素子Ant01’と第2の組に係る第2アンテナ素子Ant02’とは、板面αからの垂直方向(Z軸方向)における距離(正確には、板面αから環状導体部104の上方側の長辺までの距離Z1’、Z2’(第2の距離))が互いに等しくなるように配置されている(Z1’=Z2’)。
図43〜図45に示すように距離Z1’(Z2’)は、距離Z1よりも大きい。即ち、第2の組に係るアンテナ素子Ant’は、垂直方向(Z軸方向)に間隔を空けて、第1の組に係るアンテナ素子Antよりも上方(Z軸正方向)側に配置されている。
これにより、第1の組に係るアンテナ素子Antは、一の偏波に対応し、第2の組に係るアンテナ素子Ant’は、その一の偏波に直交する偏波に対応する。
以上より、一の偏波に対応する(第1の組に係る)アンテナ素子Antと板面αとの距離Z1、Z2とが等しく、かつ、他の偏波に対応する(第2の組に係る)アンテナ素子Antと板面αとの距離Z1’とZ2’とが等しければ、異なる周波数で動作するアンテナ素子Ant、Ant’間の、互いの放射パターンへの影響を抑えることが可能となる。
図46に示すように、マルチバンドアンテナ30において、第3の実施形態の第3の変形例(図43〜図45)で説明した2つの第1アンテナ素子Ant01及び2つの第2アンテナ素子Ant02のそれぞれにつき、第2の実施形態で説明した導体給電GND部123を備えていてもよい。
この場合において、図46に示すように、上方(Z軸正方向)側に位置するアンテナ素子Ant’に連結される導体給電GND部123が、その下方(Z軸負方向)側に位置するアンテナ素子Antと重ならないように変形していてもよい。つまり、上方側に配置されるアンテナ素子Ant’の導体給電GND部123を、その環状導体部104と接続される位置を環状導体部104の中央からずらすことで、下方側のアンテナ素子Antと重ならないようにしていてもよい。
他の実施形態に係るアンテナ素子Antは、ダイポールアンテナ素子であってもよい。この場合において、マルチバンドアンテナ30においては、第3の実施形態(図38〜図40)で説明した2つの第1アンテナ素子Ant01及び2つの第2アンテナ素子Ant02のそれぞれが、第2の実施形態の第7変形例(図37)で示した態様とされていてもよい。
上述したように、アンテナ素子Antがダイポールアンテナ素子であっても、共振時に両端近傍が電気的に開放面とみなせ、また、中央近傍が電気的に短絡面と見なせる。したがって、異なる偏波に対応したアンテナ素子Ant間の結合を抑制しつつ、アンテナ素子Antの集積度を高め、全体を小型化した二偏波対応のマルチバンドアンテナ30を提供することができる。
次に、第4の実施形態に係るマルチバンドアンテナについて、図48〜図57を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、第4の実施形態の構成要素のうち、上述した第1〜第3の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付して説明を適宜省略する。
図48に示すように、マルチバンドアンテナ40は、導体反射板101の板面αからの垂直方向(Z軸方向)における距離が互いに等しくなるように配置された第1アンテナ素子Ant01と第2アンテナ素子Ant02との組(第1の組)を複数備えている。また、マルチバンドアンテナ40は、板面αからの垂直方向における距離が互いに等しくなるように配置された第1アンテナ素子Ant01’と第2アンテナ素子Ant02’との組(第2の組)を複数備えている。
第1アンテナ素子Ant01、第1アンテナ素子Ant01’、第2アンテナ素子Ant02及び第2アンテナ素子Ant02’はいずれも、第3の実施形態の第3変形例(図43、図44及び図45)で説明した態様で配置されている。
即ち、第1アンテナ素子Ant01、Ant01’は、板面αに沿って間隔D1の正方形格子状に配列されている。第2アンテナ素子Ant02、Ant02’は、板面αに沿って間隔D2の正方形格子状に配列されている。
本実施形態においては、間隔D1、間隔D2は、それぞれ、波長λ1の1/2、波長λ2の1/2程度とされる。間隔D1は、間隔D2の2倍に等しい。
また、第1の実施形態と同様に、マルチバンドアンテナ40を用いて無線通信装置1(図4)を構成することで、マルチバンドかつ直交二偏波に対応し、更に、ビームフォーミングが可能な無線通信装置を提供することができる。
また、第1アンテナ素子Ant01、Ant01’及び第2アンテナ素子Ant02、Ant02’がそれぞれ小型である。このため、各アンテナ素子Ant、Ant’間の隙間が増え、共振特性に対する相互の影響を小さくすることができる。
第1アンテナ素子Ant01、Ant01’及び第2アンテナ素子Ant02、Ant02’は、第1の実施形態の第18変形例(図27)に説明したような、ダイポールアンテナ素子であっても構わない。
マルチバンドアンテナ40は、必ずしも二偏波に対応するアンテナである必要はない。マルチバンドアンテナ40は、用途に応じて一偏波のみに対応してもよく、第1アンテナ素子Ant及び第2アンテナ素子Ant02の各々が、動作周波数f1、f2の各々に対応するアレイアンテナを構成していていもよい。
図48に示すように、第1アンテナ素子Ant01、Ant01’及び第2アンテナ素子Ant02、Ant02’は、それぞれ、正方形格子状に周期配列されている。しかし、他の実施形態においては、第1アンテナ素子Ant01、Ant01’及び第2アンテナ素子Ant02、Ant02’は、長方形、三角形等の他の形状を単位格子とする格子状に周期配列されることでアレイアンテナを構成していてもよい。また、マルチバンドアンテナ40は、1列アレイや2列アレイなど、一方の辺が他方の辺より短いアレイであって、全体が細長い構成のアレイアンテナとされていてもよい。
図49に示すように、マルチバンドアンテナ40においては、第1アンテナ素子Ant01、Ant01’及び第2アンテナ素子Ant02、Ant02’のいずれか一方の間隔D1、D2(ここでは第2アンテナ素子Ant02、Ant02’の間隔D2)を、第4の実施形態(図48)から変更してもよい。
具体的には、図49に示すように、第2アンテナ素子Ant02、Ant02’の縦方向(Y’軸方向)の間隔を、間隔D2(=λ2・1/2)ではなく間隔D1(=λ1・1/2)としている。第1アンテナ素子Ant01、Ant01’間の縦方向に配列される各隙間に、各第2アンテナ素子Ant02、Ant02’を配置することで、第1アンテナ素子Ant01、Ant01’と第2アンテナ素子Ant02、Ant02’とが重ならないようにしてもよい。ただし、素子間距離を広げた方向を含む面(y’z’面)においてビームフォーミングを行う際、ビームの形成の仕方によってはサイドローブが大きくなる場合が想定される。
第3の実施形態及びその変形例で説明した第1アンテナ素子Ant01、Ant01’、第2アンテナ素子Ant02、Ant02’による二偏波化の方法と、マルチバンドアンテナ40における各アンテナ素子Ant、Ant’の周期配列の方法との組み合わせは、必ずしも上述(図48、図49)のとおりでなくともよい。
図50に示すように、マルチバンドアンテナ40においては、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02が、図43、図44及び図45に示す十字状の配置により二偏波に対応し、かつ、アレイアンテナとしての周期配列の方向と、各アンテナAnt、Ant’で構成される十字の各延在方向と、が同一としてもよい。
図51〜図53に示すマルチバンドアンテナ40は、導体反射板101の板面αからの垂直方向(Z軸方向)における距離が互いに等しくなるように配置された第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02をそれぞれ複数備えている。第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02は、いずれも、第3の実施形態(図38、図39及び図40)で説明した態様で配置されている。
即ち、図51に示すように、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02は、それぞれ、図38〜図40に示すT字状の配置により二偏波に対応し、かつ、アレイアンテナとしての周期配列の方向と、各アンテナAntで構成されるT字の各延在方向と、が同一としてもよい。
図52、図53に示すように、第1アンテナ素子Ant01及び第2アンテナ素子Ant02は、それぞれ、T字状の配置により二偏波に対応し、かつ、各アンテナAntで構成されるT字の各延在方向が、アレイアンテナとしての周期配列の方向から45°傾いていてもよい。
図54に示すように、第1アンテナ素子Ant01は、その延在方向における中央(図40に示す中央部302)が、導体反射板101の板面α上に規定される正方形格子Lattice1の各格子点と一致するように周期配列される。さらに、隣り合う第1アンテナ素子Ant01同士の延在方向が互いに直交する。
換言すると、隣り合う格子点上に位置する各第1アンテナ素子Ant01は、各々の延在方向が互いに直交する関係にあり、かつ、一方の第1アンテナ素子Ant01の延在方向の延長線上に、他方の第1アンテナ素子Ant01の延在方向における中央近傍が位置するように配置される。
このようにすることで、一の第1アンテナ素子Ant01は、第2の実施形態で説明した効果により、垂直な位置関係にある周囲4つの他の第1アンテナ素子Ant01との間で、電磁気的結合を抑えることができる。
正方形格子Lattice1は、必ずしも単位格子が正方形でなくともよい。例えば、単位格子が長方形格子であってもよい。このようにしても、一の第1アンテナ素子Ant01と、その周囲4つの他の第1アンテナ素子Ant01との間の電磁気的結合を抑えることができる。
各アンテナ素子Antの周期配列の間隔は一定でなくてもよい。複数のアンテナ素子Antが、導体反射板101の板面αと平行で互いに垂直な2方向に間隔を空けて配列されていれば、各アンテナ素子Antが上述と同様の向きを取ることができ、上述の効果を得ることができる。
図55に示すように、第1アンテナ素子Ant01は、図54に示す位置関係を保ちつつ、間隔D1の正方形格子状に配置することもできる。このとき、正方形格子Lattice1の格子点間距離LD1は「1/(√2)×D1」となる。
本変形例においては、第2アンテナ素子Ant02も、上述した第1アンテナ素子Ant01と同様の配置とされる。
マルチバンドアンテナ40は、異なる2つの周波数f1、f2のみならず、異なる3つ以上の周波数f1、f2、f3に対応して、導体反射板101の板面αからの距離が等しい複数種類のアンテナ素子Antにより、二偏波対応のアレイアンテナが構成されていてもよい。
例えば、図56に示すように、マルチバンドアンテナ40は、第4の実施形態(図48)に示した構成に加え、第3アンテナ素子Ant03、Ant03’を備えている。第3アンテナ素子Ant03、Ant03’は、動作周波数f2よりも高い動作周波数f3の共振周波数を有し、第1アンテナ素子Ant01、Ant01’、第2アンテナ素子Ant02、Ant02’と同様の構成を有する。
第3アンテナ素子Ant03、Ant03’の延在方向の長さL3は、例えば、周波数f3に対応する波長λ3の1/4程度とされる。また、本変形例においては、間隔D3は、波長λ3の1/2程度とされる。
波長λ3は、第3アンテナ素子Ant03の共振周波数に一致する動作周波数f3の電磁波が、領域を満たす物質中を進行する際の波長を示す。
以上のようにすることで、3つ以上の周波数の電磁波を送受可能な二偏波アレイアンテナを提供することができる。
10、20、30、40 マルチバンドアンテナ
Ant、Ant’ アンテナ素子
Ant01、Ant01’ 第1アンテナ素子
Ant02、Ant02’ 第2アンテナ素子
Ant03、Ant03’ 第3アンテナ素子
101 導体反射板
α 板面
104 環状導体部
104a 欠落部
104b 欠落部導体端部
105 導体給電線
106 導体ビア
107 給電点
108 誘電体層
109 スプリット部
110、111 導体端部
112 誘電体レドーム
113 伝送線
114 無線通信回路部
116 架橋導体
117 放射部
118 補助導体パターン
119 導体ビア
120 第2の環状導体部
121 導体ビア
122 第2のスプリット部
123 導体給電GND部
123a スリット
124 第2の導体給電GND部
125 導体ビア
126 クリアランス
127 コネクタ
128 芯線
129 外部導体
151、152 導体線路
153 導体ビア
154 導体給電線
160 同軸ケーブル
161 芯線
162 外部導体
301 先端部
302 中央部
M メタマテリアル反射板
UC 周期構造
M101 導体板
M102 誘電体板
M103 小導体板
M104 導体ビア
M105 小導体板
d100、d200 ダイポールアンテナ素子
d101 導体放射部
d102 連結点
Lattice1 正方形格子
Claims (9)
- 板面を有する導体反射板と、
前記導体反射板の板面に沿って第1の波長に応じた長さに延在する第1アンテナ素子と、
前記導体反射板の板面に沿って前記第1の波長よりも短い第2の波長に応じた長さに延在する第2アンテナ素子と、
を備え、
前記板面に対して垂直な方向である垂直方向における前記第1アンテナ素子と前記板面との距離は、前記垂直方向における前記第2アンテナ素子と前記板面との距離と等しく、
前記第1および第2アンテナ素子各々は、
導体からなり、前記板面に沿って延在し、環形状を有する環状導体部であって、前記環状導体部の周方向において互いに対向する2つの端部を有する環状導体部と、
前記2つの端部の間の隙間であるスプリット部と、を有する
マルチバンドアンテナ。 - 前記環状導体部は、前記環形状を有する面であって前記板面に対し傾斜する面を有し、
前記第1アンテナ素子の前記環状導体部は、前記板面から最も離れた部分である第1最離間部分を有し、
前記第2アンテナ素子の前記環状導体部は、前記板面から最も離れた部分である第2最離間部分を有し、
前記垂直方向における前記第1最離間部分と前記板面との距離は、前記垂直方向における前記第2最離間部分と前記板面との距離と等しい
請求項1に記載のマルチバンドアンテナ。 - 前記第1アンテナ素子は、
導体からなり、前記導体反射板と前記第1アンテナ素子の前記環状導体部とを接続する第1導体給電グラウンド部を備え、
前記第2アンテナ素子は、
導体からなり、前記導体反射板と前記2アンテナ素子の前記環状導体部とを接続する第2導体給電グラウンド部を備える
請求項1又は請求項2に記載のマルチバンドアンテナ。 - 前記垂直方向における前記板面と前記第1アンテナ素子との距離が、前記第1の波長の四分の一の長さよりも短い
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。 - 前記第1アンテナ素子は、2つの第1アンテナ素子を少なくとも含み、
前記第2アンテナ素子は、2つの第2アンテナ素子を少なくとも含み、
前記2つの第1アンテナ素子の一方の延在方向の延長線上に、前記2つの第1アンテナ素子の他方の延在方向における中央が位置し、
前記2つの第1アンテナ素子の他方の延在方向の延長線上に、前記2つの第2アンテナ素子の一方の延在方向における中央が位置し、
前記2つの第2アンテナ素子の一方の延在方向の延長線上に、前記2つの第2アンテナ素子の他方の延在方向における中央が位置し、
前記2つの第2アンテナ素子の他方の延在方向の延長線上に、前記2つの第1アンテナ素子の一方の延在方向における中央が位置する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。 - 前記第1アンテナ素子は、2つの第1アンテナ素子を少なくとも含み、
前記第2アンテナ素子は、2つの第2アンテナ素子を少なくとも含み、
前記2つの第1アンテナ素子の一方と前記2つの第2アンテナ素子の一方とによって第1組が構成され、
前記2つの第1アンテナ素子の他方と前記2つの第2アンテナ素子の他方とによって第2組が構成され、
前記第1の組に係る第1アンテナ素子の延在方向における中央は、前記第2の組に係る第1アンテナ素子の延在方向における中央と直交し、
前記第1の組に係る第2アンテナ素子の延在方向における中央は、前記第2の組に係る第2アンテナ素子の延在方向における中央と直交し、
前記垂直方向における前記第1の組に係る第1アンテナ素子と前記板面との距離は、前記垂直方向における前記第1の組に係る第2アンテナ素子と前記板面との距離と等しく、
前記垂直方向における前記第2の組に係る第1アンテナ素子と前記板面との距離は、前記垂直方向における前記第2の組に係る第2アンテナ素子と前記板面との距離と等しく、
前記垂直方向における前記第1の組に係る第1アンテナ素子と前記板面との距離は、前記垂直方向における前記第2の組に係る第1アンテナ素子と前記板面との距離と異なる
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。 - 前記第1アンテナ素子は、複数の第1アンテナ素子を含み、
前記第2アンテナ素子は、複数の第2アンテナ素子を含み、
前記複数の第1アンテナ素子は、
前記板面の縦方向及び横方向に、前記第1の波長に応じた間隔で周期配列され、
前記第複数の2アンテナ素子は、
前記板面の縦方向及び横方向に、前記第2の波長に応じた間隔で周期配列されている
請求項1から請求項6の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。 - 前記導体反射板は、メタマテリアル反射板であり、
前記メタマテリアル反射板は、所定の形状を有するとともに導体または誘電体からなる
複数の小片を有し、
前記複数の小片は、前記板面の縦方向及び横方向に周期配列されている
請求項1から請求項7の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。 - 請求項1から請求項8の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナを備える
無線通信装置。
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