JP6763128B2 - 内視鏡用鋏 - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡の鉗子孔に挿入して用いられる内視鏡用鋏に関する。
内視鏡手術は低侵襲であるため、たとえば病変組織などの生体組織を切除する外科手術等に用いられている。この種の内視鏡用の処置具としては、環状のスネアで生体組織を結紮して切除する器具や、カップ状や板状の鉗子片を有する把持鉗子、そして鋏片で生体組織を切開する内視鏡用鋏などが知られている。
特許文献1には、鋸状の鰐歯が全体的に形成された一対の板状の鉗子片を開閉操作する把持鉗子が記載されている。鉗子片の先端部には、閉じ方向に突出する爪部が形成されており、この爪部に連接して複数の鰐歯が先基端方向に並んで鉗子片の略全体に設けられている。
把持鉗子は、生体組織を強く把持し、これを抉り取るようにして切除する器具である。すなわち特許文献1の図7に示されるように、把持鉗子は、病変組織などの切除対象部位を包含する所定の広さの領域を把持して全体的に抉り取る器具である。これに対して内視鏡用鋏は、重ね合わされた一対の鋏片で生体組織に剪断力を付与して把持し、必要により高周波電圧を印加して生体組織を焼灼して切開する器具であり、把持鉗子と区別される。内視鏡用鋏は、病変組織などの切除対象部位の周囲に沿って周回状に生体組織を切開していくことによって切除対象部位を切除する器具である。内視鏡用鋏は生体組織の目的の部位のみを正確に切除することができるため、把持鉗子よりも更に低侵襲な手技が可能である。
特許文献2には、内視鏡用鋏の一例が記載されている。この内視鏡用鋏における鋏片の先端部には閉じ方向に突出する爪部が形成されており、生体組織を把持した状態で鋏片により正確に切開することができる。特許文献2の図8には、鋏片の刃部を鋸歯状に形成することが開示されている。刃部を上下に折り曲がる鋸歯状にすることで比較的硬質な生体組織も切開することができるとされている。より具体的には、特許文献2の鋏片においては、先端の爪部に連接して複数の鋸歯が刃部の先基端方向の略全体に形成されており、言い換えると先端の鋸歯の凹部から立ち上がるようにして爪部が突出している。
特許文献3には、内視鏡用鋏の他の例が記載されている。この内視鏡用鋏の鋏片(ブレード)の刃部(刃面)には窪みが形成されている。かかる窪みは、鋏片を厚み方向に貫通しない浅さで形成されており、生体組織を切開する際の滑り止めとして機能するとされている。
特開平5−31120号公報 特開2013−138844号公報 特開2012−165812号公報
正対する一対のカップ状や板状の鉗子片で面状に生体組織を把持する把持鉗子と異なり、内視鏡用鋏の刃部は平坦で細幅の線状に形成されており、また生体組織に対して鋏片の厚み方向に僅かにずれた位置を剪断力によって把持するため把持力が弱い。このため、内視鏡用鋏で所望の部位を正確に切開するためには熟練を要する。これに対し、特許文献2の内視鏡用鋏のように鋏片の先端部に爪部を形成することで、生体組織に爪部を食い込ませてこれを把持した状態で切開することができるため、鋏片が滑ることなく、目的の生体組織を正確に切開することができる。また、特許文献2の内視鏡用鋏のように刃部を鋸歯状にすることで生体組織の把持力が増大する。
しかしながら、特許文献2の内視鏡用鋏は、生体組織を過度な深さで切開してしまう虞がある。たとえば粘膜組織を切除する場合、表層の粘膜層やその下層にあたる粘膜下層のみならず、更に下層の筋層まで切開してしまうことは高侵襲であり避けることが好ましい場合がある。これに対し特許文献2の内視鏡用鋏は、爪部および複数の鋸歯が粘膜組織に食い込んでこれを把持した状態で切開するため、鋏片を粘膜組織に過度に深く食い込ませた場合には筋層まで切開される虞がある。
一方、特許文献3に記載の内視鏡用鋏は刃部に窪みが形成されており生体組織が局所的に窪みに逃がされるため、切開する際の滑り止めとして機能するとされている。しかし、生体組織は窪みの深さの範囲内で逃がされるだけであるため、かかる微小な範囲内で柔軟に変形するような生体組織を切開する場合を除き、窪みによる滑り止めの機能は極めて限定される。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、鋏片が滑ることなく目的の生体組織を正確に切開することが可能であって、たとえば筋層に至るような過度な深さで切開することなく低侵襲な手技が可能な内視鏡用鋏を提供するものである。
本発明によれば、内視鏡の鉗子孔に挿入して用いられて生体組織を切開する内視鏡用鋏であって、互いに対向して重ね合わされ、重ね方向に延在する回動軸により開閉可能に軸支されているとともに、前記生体組織を把持して切開する刃部をそれぞれ有する一対の鋏片と、前記鋏片の基端部に駆動力を付与して前記鋏片の先端部を開閉操作する操作ワイヤと、を備え、一対の前記鋏片の少なくとも一方の前記先端部には、前記生体組織を把持する爪部が前記刃部よりも閉じ方向に突出して形成されており、前記一方または他方の前記鋏片の前記刃部には厚み方向に貫通する凹部が局所的に形成され、前記爪部および前記凹部を除く前記刃部が先基端方向に延在する平坦な線状に形成されていることを特徴とする内視鏡用鋏が提供される。
上記発明によれば、鋏片の先端部に爪部が閉じ方向に突出して形成されており、生体組織に爪部を食い込ませてこれを把持した状態で切開することができるため、鋏片が生体組織上で滑ることなく目的の組織を正確に切開することができる。また、刃部に形成された凹部が厚み方向に貫通しているため、特許文献3に比べて多くの生体組織を凹部に逃がして刃部を食い込ませることができる。ここで、爪部および局所的に形成された凹部を除き、刃部は先基端方向に延在する平坦な線状に形成されているため、刃部を特許文献2のような鋸歯状とする場合に比べて、生体組織に対する刃部の食い込みが適度に抑制される。このため、たとえば粘膜組織に対して鋏片を深く食い込ませた場合でも、鋏片を牽引して粘膜組織を引き上げることで、筋層は弾性復元力により鋏片の間から抜け落ち、実質的に粘膜層や粘膜下層のみが刃部により切開される。このため、筋層を傷つけることなく粘膜組織を切開することが可能である。
本発明によれば、鋏片が滑ることなく目的の生体組織を正確かつ低侵襲に切開することが可能な内視鏡用鋏が提供される。
本発明の第一実施形態の内視鏡用鋏の全体構造を示す模式図である。 閉鎖状態の内視鏡用鋏における先端部の縦断面図である。 開放状態の内視鏡用鋏における先端部の縦断面図である。 鋏片を開放した状態を示す説明図である。 鋏片を閉鎖して生体組織を切開する状態を示す説明図である。 本発明の第二実施形態の内視鏡用鋏における先端処置部の側面図である。 本発明の第三実施形態の内視鏡用鋏における先端処置部の側面図である。 図8(a)は本発明の第四実施形態の内視鏡用鋏における先端処置部の閉鎖状態を示す平面図であり、図8(b)は当該先端処置部の側面図である。 本発明の第四実施形態の内視鏡用鋏における先端処置部の開放状態を示す側面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各図面において、対応する構成要素には共通の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態の内視鏡用鋏100の全体構造を示す模式図である。図2は閉鎖状態の内視鏡用鋏100における先端部の縦断面図であり、図3は開放状態の内視鏡用鋏100における先端部の縦断面図である。図4は、鋏片12、22を開放した状態を示す説明図である。図5は、鋏片12、22を閉鎖して生体組織200を切開する状態を示す説明図である。
はじめに、本実施形態の内視鏡用鋏100の概要について説明する。内視鏡用鋏100は、内視鏡の鉗子孔(図示せず)に挿入して用いられて生体組織200(図4、図5参照)を切開する器具である。内視鏡用鋏100は、互いに対向して重ね合わされ、重ね方向に延在する回動軸29(図2、図3参照)により開閉可能に軸支された一対の鋏片12、22と、操作ワイヤ30と、を備えている。一対の鋏片12、22は、生体組織200を把持して切開する刃部13、23をそれぞれ有している。操作ワイヤ30は、鋏片12、22の基端部に駆動力を付与して、鋏片12、22の先端部を開閉操作する部材である。一対の鋏片12、22の少なくとも一方の先端部には、生体組織200を把持する爪部14が、刃部13よりも閉じ方向に突出して形成されている。本実施形態の内視鏡用鋏100において、上記一方または他方の鋏片(本実施形態では鋏片12および22の両方)の刃部13、23には厚み方向に貫通する凹部15、25が局所的に形成され、爪部14および凹部15、25を除く刃部13、23は、先基端方向に延在する平坦な線状に形成されている。
次に、本実施形態の内視鏡用鋏100について詳細に説明する。
内視鏡用鋏100は、互いに重ね合わされた薄板状の鋏片12、22を開閉させて生体組織200に剪断力を付与して把持する鋏状の先端処置部10を有している。鋏片12、22は、回動軸29を軸として面内方向に互いに開閉する。回動軸29の延在方向(軸方向)は、鋏片12、22の重ね方向であり、言い換えると鋏片12、22の厚み方向である。先端処置部10は操作ワイヤ30により開閉駆動される。操作ワイヤ30は、ステンレス鋼などの導電性の金属材料で作成されている。
内視鏡用鋏100は、可撓性のシース40と、このシース40の近位側に設けられた手元操作部50とを備えている。シース40は絶縁性の管状をなし、その内部に操作ワイヤ30が挿通されている。
手元操作部50は、操作ワイヤ30が挿通された軸部58と、この軸部58の基端部に設けられた指掛リング54と、操作ワイヤ30の基端が連結されて軸部58に対して進退移動するスライダ56と、を備えている。操作ワイヤ30は軸部58に対して摺動可能に挿通されている。ユーザは、指掛リング54に例えば親指を挿入し、スライダ56を他の2本の指で軸部58の長手方向に沿って進退駆動する。これにより、操作ワイヤ30は手元操作部50に対して前進または後退する。操作ワイヤ30はシース40に対して進退可能に挿通されており、スライダ56の移動に連動して操作ワイヤ30の先端部はシース40に対して前進または後退する。
図2および図3に示すように、操作ワイヤ30の先端側には進退部26が一体に連結されている。進退部26には、2枚のリンク片17、27が回動可能に連結されている。さらに、リンク片17には第一の鋏片12が回動可能に連結され、リンク片27には第二の鋏片22が回動可能に連結されている。第一の鋏片12、第二の鋏片22およびリンク片17、27は、図2および図3に示す平面内で相対的に回動する。
図1から図3に示すように、シース40の先端には保持枠20が装着されている。保持枠20の基端部はシース40に挿入されて固定され、保持枠20の先端部はシース40より突出してリンク片17、27を収容している。第一の鋏片12と第二の鋏片22とを回動可能に連結する回動軸29は保持枠20に対して固定されている。
図2に示すように、操作ワイヤ30および進退部26が基端側(図2の右方)に牽引されると、リンク片17、27および鋏片12、22は略直線状となり、先端処置部10は閉鎖状態となる。逆に、図3に示すように操作ワイヤ30および進退部26が先端側(図3の左方)に押し出されると、保持枠20の内部でリンク片17、27が回動軸29に近づいて鋏片12、22を駆動し、先端処置部10は開放状態となる。
鋏片12、22は、回動軸29の近傍において回動面内方向に浅く屈曲する略L字状すなわち鎌形状をなしている。対になる鋏片12、22の形状は、対称形状でもよくまたは非対称形状でもよい。鋏片12、22およびリンク片17、27は、回動軸29を支点として先端処置部10を開閉駆動する四節リンク機構を構成している。そして操作ワイヤ30は、進退部26およびリンク片17、27を介して鋏片12、22の基端部に駆動力を付与し、鋏片12、22の先端部を開閉操作する。
本実施形態のシース40は、ステンレス線等の導電性ワイヤを密着巻回した作成されたコイルである。シース40の外表面には絶縁性被覆42が密着して設けられている。回転操作部57(図1参照)には操作ワイヤ30が摩擦的に接続されており、回転操作部57を軸部58のまわりに軸回転させることで、スライダ56に基端が固定された操作ワイヤ30はシース40の内部で回転する。これにより、先端処置部10を所望の向きに指向させることができる。回転操作部57は給電部52に対して回転可能に取り付けられており、給電部52と高周波電源(図示せず)とを連結する電源ケーブル(図示せず)を下方に垂下させた状態で回転操作部57を軸部58の周りに回転操作することができる。なお、本実施形態に代えて、スライダ56を軸部58のまわりに軸回転可能に構成して、スライダ56に回転操作部57の機能を付与してもよい。すなわち、スライダ56を軸部58の長手方向に沿って進退駆動することで操作ワイヤ30を進退させて先端処置部10を開閉操作し、またスライダ56を軸部58のまわりに軸回転させることで先端処置部10を回転させて所望の向きに指向させるように構成してもよい。
鋏片12、22には、互いに重ねあわされる各内面のうち対向する端縁(エッジ)に沿って刃部13、23が形成されている。本実施形態の刃部13、23は、鋏片12、22のうち回動軸29よりも先端側の一部領域に形成されている。刃部13、23は、鋏片12、22において比較的鋭利に形成された刃面であり、生体組織200(図4、図5参照)を切開する部位である。具体的には、手元操作部50のスライダ56(図1参照)を牽引して、図2に示すように回動軸29を中心に鋏片12、22を回動させて先端部を閉じることで、刃部13、23同士の間に剪断力が発生する。
刃部13、23の端縁は、かかる剪断力により生体組織200を切開可能な程度に鋭利に形成されてもよく、またはかかる剪断力では生体組織200が切開されない程度に鈍い角度で形成されてもよい。本実施形態の内視鏡用鋏100では、刃部13、23の端縁は鈍い角度で形成され、スライダ56を牽引して発生する剪断力のみでは生体組織200が実質的に切開されないように構成されている。そして、鋏片12、22で生体組織200を把持した状態で、後述する高周波電圧を鋏片12、22の間に印加することにより生体組織200が焼灼されて切開される。これにより、鋏片12、22で生体組織200を把持し、そして生体組織200を引き延ばして所定の張力で伸長する間に、生体組織200が不測に切開されてしまうことがない。
鋏片12または22の少なくとも一方の先端部には、生体組織200を把持する爪部14が、刃部13または23よりも閉じ方向に突出して形成されている。閉じ方向とは一方の鋏片12、22から他方の鋏片22、12に向かう方向であり、その反対方向を開き方向と呼称する。
図3に示すように、本実施形態の内視鏡用鋏100においては、第一の鋏片12の先端部に爪部14が閉じ方向に突出して形成されており、第二の鋏片22には、かかる爪部は形成されていない。ただし、本実施形態に代えて、第一の鋏片12および第二の鋏片22の双方に、それぞれ内向きに突出する爪部(符号略)を形成してもよい。第一の鋏片12および第二の鋏片22にそれぞれ爪部を形成する場合、各爪部の位置、形状および寸法は特に限定されず、同一形状または異形状の爪部が鋏片12、22から内向きにそれぞれ突出していてもよい。
爪部14は、図5に示すように生体組織200に食い込み、鋏片12、22で把持された生体組織200を抱えるように保持して脱落を防止するための突起部である。爪部14には刃面は形成されておらず、その厚み寸法は刃部13の厚み寸法よりも大きい。
第一の鋏片12の刃部13には厚み方向に貫通する凹部15が局所的に形成され、爪部14および凹部15を除く刃部13は、先基端方向(図2の左右方向)に延在する平坦な線状に形成されている。また、第二の鋏片22の刃部23にもまた、厚み方向に貫通する凹部25が局所的に形成され、凹部25を除く刃部23は、先基端方向(図2の左右方向)に延在する平坦な線状に形成されている。
刃部13、23が平坦な線状であるとは、互いに重ねあわされる鋏片12、22の各内面のうち生体組織200に剪断力を付与する端縁が、直線形状または滑らかな湾曲形状であることをいう。すなわち本実施形態の刃部13、23には、鰐歯のような尖鋭な突出部は形成されていない。刃部13は、爪部14および凹部15の形成領域を除き、直線形状をなしている。同様に、刃部23は、凹部25の形成領域を除き、直線形状をなしている。ただし、本実施形態に代えて、刃部13、23の一方または両方は、閉じ方向に突出する凸円弧状または開き方向に窪んだ凹円弧状に、滑らかに湾曲していてもよい。
刃部13または23の少なくとも一方(本実施形態では両方)の刃部13、23には、厚み方向に貫通する凹部15、25が局所的に形成されている。刃部13、23に凹部15、25が形成されているとは、生体組織200を切開する端縁から開き方向に窪むように凹部15、25が形成されていることをいう。言い換えると、凹部15、25は、生体組織200を切開する端縁において開口している。なお、本実施形態の内視鏡用鋏100では刃部13および23の両方に凹部15、25が形成されている態様を例示するが、後述する第二実施形態のように刃部13または23の一方(たとえば刃部13)のみに凹部15を形成してもよい。
凹部15、25は、刃部13、23を厚み方向に貫通している。このため、特許文献3の内視鏡用鋏のように刃部に有底の窪みを形成する場合と異なり、図5に示すように生体組織200を凹部15、25に逃がして鋏片12、22を生体組織200に更に良好に食い込ませることができる。
本実施形態の凹部15、25は、それぞれ略半円形をなしている。略半円形とは、滑らかな湾曲線で構成された凹形状をいう。
凹部15は、鋏片12の先端部に形成された爪部14に連接して形成されている。すなわち、爪部14は凹部15の内周面から閉じ方向に立ち上がるようにして突出形成されている。鋏片12の刃部13は、凹部15よりも基端側に延在して線状に形成されている。
かかる略半円形の凹部15、25は、一対の鋏片12、22の刃部13、23の互いに対応する位置に対向してそれぞれ形成されている。そして鋏片12、22を閉じることで、凹部15、25が合わさって略円形の貫通孔16が形成される(図2参照)。
鋏片12、22を閉じたときに貫通孔16が形成されることで、生体組織200を貫通孔16で円柱状に包み込むようにして鋏片12、22により把持することができる。このため、生体組織200に食い込ませた爪部14と相俟って、生体組織200を爪部14および貫通孔16の複数箇所で把持することができる。これにより、生体組織200から先端処置部10に対して先基端方向のみならずその交差方向に力が加わった場合でも生体組織200を先端処置部10から掴み落とすことが好適に防止される。
生体組織200として、図4に示すように、筋層206の上面に粘膜下層204が積層され、更にその上面に粘膜層202が積層された粘膜組織を例示する。かかる生体組織200として、たとえば胃の内壁面など消化器系の体腔内壁が例示される。粘膜層202には局所的に病変組織203が形成されている。粘膜下層204のうち、病変組織203の下部にあたる領域に、生理食塩水やヒアルロン酸などが注入された膨出部210を予め形成しておく。膨出部210を形成することで、病変組織203を筋層206から大きく遊離する。本実施形態の内視鏡用鋏100は、病変組織203の周縁を取り囲むように切開して、病変組織203を含む粘膜層202および粘膜下層204を、生体組織200から切除する。
凹部15、25を刃部13、23に対して局所的に形成することにより、生体組織200の粘膜層202に爪部14および凹部15、25(貫通孔16)を食い込ませた状態で、平坦な線状の刃部13、23が粘膜層202に接触する。このため、粘膜層202が鋏片12、22に対して過度に食い込むことが抑制される。言い換えると、刃部13、23が粘膜層202を平坦に押し付けられることで、爪部14および貫通孔16に粘膜層202が食い込む深さが適度に抑制される。そして、生体組織200を把持した先端処置部10を上方に引き上げると、粘膜層202が爪部14に掛止された状態で、生体組織200は平坦な刃部13、23に沿って先基端方向に僅かに滑り落ちることができる。これにより、粘膜層202および粘膜下層204が先端処置部10に把持されて引き延ばされて所定の張力で伸長された状態となり、一方で筋層206は先端処置部10から離脱する。かかる状態でスライダ56(図1参照)を更に牽引して鋏片12、22を閉じるとともに、後述するように高周波電圧を印加することで、粘膜層202(または粘膜層202および粘膜下層204)は切開される。粘膜層202および粘膜下層204に張力が負荷されていることで、刃部13、23による剪断力が粘膜層202に対して深さ方向に真っ直ぐに伝わり、粘膜層202を所望の位置で正確に切開することができる。
深さ方向に複数回に亘って内視鏡用鋏100で生体組織200を切開してもよい。すなわち、粘膜層202を切開したのち、先端処置部10を生体組織200に更に深く挿入して粘膜下層204を切開してもよい。さらに、粘膜下層204と筋層206との境界面に沿って水平方向に、膨出部210の下方における粘膜下層204を切開してもよい。
本実施形態では、凹部15、25が対向して形成されて鋏片12、22を閉じることで略円形の貫通孔16が形成される態様を例示したが、凹部15、25はこれに限られない。鋏片12、22の先基端方向の異なる位置に凹部15、25をそれぞれ形成してもよい。この場合、凹部15、25の一部同士が連なる位置に形成してもよく、または凹部15、25を互いに完全に離間した位置に形成してもよい。
本実施形態の先端処置部10は、生体組織200を焼灼しながら剪断力を付与することにより切開する。これにより、生体組織200を小さな力で切開でき、また切開された部位を同時に止血することができる。
図1に示すように、内視鏡用鋏100は、操作ワイヤ30を通じて鋏片12、22に高周波電圧を印加する給電部52を備えている。給電部52は、高周波電源(図示せず)に接続される端子である。
先端処置部10を構成する鋏片12、22、リンク片17、27および進退部26は、いずれも導電性の金属材料で作成されている。また、上述のように操作ワイヤ30もまた導電性の金属材料で作成されている。このため、給電部52に印加された高周波電圧は鋏片12、22に負荷される。
図3に示すように、一対の鋏片12、22の表面には絶縁性被覆18、28がそれぞれ設けられている。便宜上、図3では絶縁性被覆18、28を部分的に図示しているが、絶縁性被覆18、28は刃部13、23および凹部15、25を除き鋏片12、22の略全体に形成されている。すなわち、刃部13、23および凹部15、25の内周面は、絶縁性被覆18、28から露出している。
絶縁性被覆18、28は、たとえばフッ素樹脂;ダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond-like Carbon);酸化チタン系やシリコン系などのセラミック材料;などの絶縁性材料をコーティングして形成することができる。本発明者の検討によれば、特にシリコン系セラミック材料を絶縁性材料として選択することで、絶縁性と通電に対する耐久性と密着性とに特に優れる絶縁性被覆が得られることが明らかとなっている。絶縁性と耐久性は絶縁性被覆の膜厚を大きくすることで達成されるが、膜厚を大きくした場合は鋏片との密着性が低下するという課題がある。これに対して、絶縁性材料としてシリコン系セラミックを選択することで、他のセラミック材料やフッ素樹脂、DLCと比較して、絶縁性、通電に対する耐久性および密着性をバランスして向上することができる。
シリコン系セラミックを絶縁性材料とする場合、ポリシロキサン(オルガノポリシロキサン)を含む液状の絶縁性塗布剤を鋏片12、22に塗工して絶縁性被覆18、28を形成することができる。絶縁性塗布剤としては、ポリシロキサンのほか、シリカなどの無機フィラー、バインダー樹脂、顔料などの着色剤を、水系または溶剤系の溶媒に配合するとよく、任意で硬化剤を配合してもよい。
一対の鋏片12、22の表面にそれぞれ設けられた絶縁性被覆18、28は、互いに異なる色に着色されていてもよい。具体的には、鋏片12に塗工される絶縁性被覆18に配合される第一の顔料と、鋏片22に塗工される絶縁性被覆28に配合される第二の顔料とを、目視にて弁別可能な程度に異なる色を呈する異種材料とするとよい。これにより、内視鏡観察下において、鋏片12、22の表裏の向きを容易に把握することができる。
絶縁性被覆18、28の厚さは特に限定されないが、絶縁性材料としてフッ素樹脂を用いる場合は20μm以上80μm以下、DLCを用いる場合は1μm以上5μm以下、シリコン系セラミック材料を用いる場合は5μm以上40μm以下とすることができる。
絶縁性被覆18、28から露出する刃部13、23は線状の電極となる。鋏片12、22は、給電部52より同位相の高周波電圧が印加されてモノポーラ型の高周波電極となる。
刃部13、23を導電性の電極とし、鋏片12、22におけるその他の領域に絶縁性被覆18、28を形成するにあたっては、以下のようにして行うことができる。すなわち、予め鋏片12、22の全体に絶縁性材料をそれぞれコーティングしておき、その後に刃部13、23および凹部15、25の内周面にあたる屈曲した線状の領域のコーティングを研磨や薬品によって剥離することができる。
なお、本実施形態では、凹部15、25の略半円形の内周面が全体的に絶縁性被覆18、28から露出して電極の一部として用いる態様を例示したが、本発明はこれに限られない。凹部15、25の内周面に絶縁性被覆18、28を形成してもよい。
本実施形態のように凹部15、25の内周面に絶縁性被覆18、28を形成せずに露出させることで、刃部13、23および凹部15、25において生体組織200を焼灼することができるため、迅速な切開手技が可能である。逆に、凹部15、25の内周面に絶縁性被覆18、28を形成することで、生体組織200を焼灼した際に、凝固した組織が凹部15、25の内部に付着することが防止される。このため、内視鏡用鋏100を用いて生体組織200を複数箇所に亘って切開する場合に、凹部15、25が凝固した組織で埋まることがなく、鋏片12、22の高い把持力が低下することが防止される。
保持枠20は、少なくとも外表面に絶縁性被膜が被覆形成された金属材料、またはセラミックス材料もしくは樹脂材料などの絶縁性材料で作成されている。すなわち、給電部52に印加された高周波電圧が保持枠20を通じて生体組織200(図4、図5参照)に不測に印加されることがない。これにより、焼灼される生体組織200が、刃部13、23を除く鋏片12、22のみならず、保持枠20に付着することも防止されている。
<第二実施形態>
図6は、本発明の第二実施形態の内視鏡用鋏100における先端処置部10の側面図である。同図は閉鎖状態の先端処置部10を示している。
本実施形態の内視鏡用鋏100は、一対の鋏片12、22の一方または他方の少なくともいずれか(たとえば鋏片12)の刃部13に複数の凹部15(15a〜15c)が先基端方向に互いに離間して並んで形成されている。そして、当該鋏片12における、凹部15a〜15cの形成領域を除く他の長さ領域が連続的な線状に形成されている点で第一実施形態と相違する。
以下、第一実施形態と重複する説明は適宜省略する。
第二実施形態の内視鏡用鋏100のように鋏片12に複数の凹部15a〜15cを形成することで、生体組織200(図5参照)に対する高い把持力を得ることができる。鋏片12には、刃部13よりも閉じ方向に突出して爪部14が形成されている。刃部13または23のうち、爪部14が形成されている側(刃部13)に、複数の凹部15a〜15cが形成されている。爪部14および凹部15a〜15cを形成することで、把持された生体組織200が先端処置部10から脱落することを良好に抑制することができる。
凹部15a〜15cは、それぞれ略半円形をなしている。凹部15a〜15cの曲率半径および深さは特に限定されないが、本実施形態では凹部15a〜15cの曲率半径および深さは共通である。
このとき、凹部15a〜15cを互いに離間して形成して、それぞれの間に平坦な線状の刃部13を形成することで、鋏片12が生体組織200に過度に食い込むことが抑制される。また、他方の鋏片22に凹部25(図2参照)を形成せず、凹部15a〜15cの対向位置を平坦にすることで、同様に鋏片12が生体組織200に過度に食い込むことが抑制される。これにより、鋏片12に強く係合した生体組織200における筋層206(図5参照)が、主として鋏片22の側より滑り落ちる。このため、筋層206を切開することなく、鋏片12により粘膜層202を良好に把持して、これを焼灼して切開することができる。
凹部15aと凹部15bとの間および凹部15bと凹部15cとの間に加えて、爪部14と凹部15aとの間にも、絶縁性被覆18(図3参照)から露出した導電性の刃部13が形成されている。これにより、爪部14および凹部15a〜15cを生体組織200に食い込ませた状態で、それぞれの間の部位で生体組織200が焼灼して切開される。
なお、第二実施形態に代えて、凹部15a〜15cの深さを互いに相違させてもよい。具体的には、鋏片12の先端側に位置する凹部15aを、中央の凹部15bよりも深く形成し、鋏片12の基端側に位置する凹部15cを凹部15bよりも浅く形成してもよい。鋏片12、22は回動軸29を中心に軸回動して先端側が基端側よりも大きく開くため、鋏片12、22の先端側において多くの生体組織200が把持される(図5参照)。このため、先端側の凹部15aを深くし、基端側の凹部15cを浅くすることで、凹部15a〜15cにおいて生体組織200に均等な係合力を得ることができる。
<第三実施形態>
図7は、本発明の第三実施形態の内視鏡用鋏100における先端処置部10の側面図である。同図は閉鎖状態の先端処置部10を示している。
本実施形態の内視鏡用鋏100は、凹部15、25が鋏片12、22の先基端方向の中間部よりも基端側に形成されている点で第一実施形態と相違する。
ここでいう鋏片12、22の中間部とは、鋏片12、22の各先端から回動軸29までの先基端方向の長さの中央をいい、回動軸29よりも基端側でリンク片17、27により駆動される領域は考慮しない。また、凹部15、25が鋏片12、22の先基端方向の中間部よりも基端側に形成されているとは、凹部15、25の中心位置が鋏片12、22の先基端方向の中間部よりも基端側にあることをいう。
以下、第一実施形態または第二実施形態と重複する説明は適宜省略する。
鋏片12には、刃部13よりも閉じ方向に突出して爪部14が形成されている。爪部14と凹部15との間に、平坦で線状の刃部13が絶縁性被覆18(図3参照)から露出して形成されている。鋏片22の刃部23(図3参照)に関しても同様に、凹部25の先端側に形成されている。
凹部15、25は略半円形をなし、一対の鋏片12、22の刃部13、23の互いに対応する位置に対向してそれぞれ形成されている。鋏片12、22を閉じることで凹部15、25が合わさって略円形の貫通孔16が形成される点で第一実施形態と共通する。
鋏片12に形成された凹部15の形成深さは、爪部14が刃部13から閉じ方向に突出する突出高さと同等またはそれよりも大きい。これにより、多くの生体組織200(図5参照)を貫通孔16に逃がして鋏片12、22を生体組織200に食い込ませることができる。このため、生体組織200を把持した状態で先端処置部10を引き上げると、鋏片12の先端の爪部14と、中間部よりも基端側に形成された凹部15、25との間で、生体組織200(粘膜層202)に張力を負荷することができる。すなわち、凹部15、25を中間部よりも基端側に形成して凹部15、25よりも専ら先端側に刃部13、23を形成することで、生体組織200のうち鋏片12、22で切開される長さ領域の略全体に張力を負荷することができる。
<第四実施形態>
図8(a)は第四実施形態の内視鏡用鋏100における先端処置部10の閉鎖状態を示す平面図であり、図8(b)は当該先端処置部10の側面図である。図9は、第四実施形態の内視鏡用鋏100における先端処置部10の開放状態を示す側面図である。上述した第一から第三実施形態のいずれかと重複する説明は適宜省略する。
本実施形態の内視鏡用鋏100における一対の鋏片12、22は、凹部15a〜15dの形成領域よりも先端側に、重ね方向の一方側(図8(a)における上方)に湾曲する先端湾曲部60を有している点で第一実施形態と相違する。
先端湾曲部60は、板状の鋏片12、22を面直方向に曲げ形成することにより作成することができる。より具体的には、鋏片12、22の中間部を面直方向に曲げ形成して曲折突部66を形成することで、鋏片12、22の先端64は、操作ワイヤ30の延長線Lに対して斜め方向を向くこととなる。延長線Lは内視鏡用鋏100における仮想線であり、図8(a)において二点鎖線で図示する。
曲折突部66は、鋏片12、22のうち、先端湾曲部60の湾曲方向と反対側(図8(a)における下側)に形成される凸領域である。曲折突部66における鋏片12、22の曲率半径は特に限定されないが、曲折突部66において先端湾曲部60と基端湾曲部62とが滑らかに連続形成されていることが好ましい。本実施形態のように先端湾曲部60を形成することで、先端処置部10を粘膜層202(図4参照)に沿って前進させる際に曲折突部66を粘膜層202と当接させることで、先端処置部10の先端64が粘膜層202とは反対側を向くため、当該先端64が粘膜層202と干渉することが抑制される。
本実施形態の内視鏡用鋏100において、一対の鋏片12、22は、先端湾曲部60よりも基端側に、重ね方向の他方側(図8(a)における下方)に湾曲する基端湾曲部62を有している。一対の鋏片12、22の先端64は、操作ワイヤ30の延長線L上に位置している。また、内視鏡用鋏100を先端側から目視したときに、先端湾曲部60および基端湾曲部62を含む鋏片12、22は、保持枠20の包絡域の内部に収まっている。これにより、内視鏡用鋏100を内視鏡の鉗子孔に挿入して生体組織に向かって前進させる際に、先端湾曲部60を含む鋏片12、22が鉗子孔の壁面と干渉することが防止される。
図8(a)に示すように、鋏片12、22は、保持枠20の内部に収容されている最基端部67においては、進退部26と平行であり操作ワイヤ30の延長線Lに沿って配置されている。かかる最基端部67の一部は保持枠20より先端側に突出している。基端湾曲部62は最基端部67の先端側に連設されている。
一対の鋏片12、22の一方または他方の少なくともいずれかの刃部13、23に複数の凹部15が先基端方向に互いに離間して並んで形成されている。本実施形態では、一対の鋏片12、22の両方の刃部13、23に対して、各4個の凹部15(15a〜15d)および25が、それぞれ互いに対応する位置に形成されている。凹部15、25は、鋏片12、22の先基端方向の中間部よりも基端側に形成されている。具体的には、凹部15は刃部13の基端湾曲部62に形成されており、凹部25は刃部23の基端湾曲部62に形成されている。そして、刃部13における凹部15の形成領域を除く他の長さ領域は、連続的な線状に形成されている。同様に、刃部23における凹部25の形成領域を除く他の長さ領域は、連続的な線状に形成されている。すなわち、刃部13、23は、先端湾曲部60(ただし爪部14を除く)においては平坦な線状に形成されている。
凹部15、25が形成されている長さ領域よりも先端側において鋏片12、22に先端湾曲部60を湾曲形成することで、凹部15、25を粘膜層202に食い込ませて生体組織200を先端処置部10で把持した状態(図5参照)で、先端湾曲部60によって粘膜層202や粘膜下層204を浅く切開することができる。これにより、先端処置部10によって筋層206を切開してしまうことが好適に回避される。
本実施形態の先端処置部10は、鋏片12と保持枠20との間、および鋏片22と保持枠20との間にスペーサ部19が配置されている。スペーサ部19は環状をなし、回動軸29が挿通されている。スペーサ部19は、鋏片12、22の各外面または保持枠20の内面に、固定的に設けられている。このように先端処置部10にスペーサ部19を設けることで、内視鏡用鋏100の開閉操作中または組立作業中に鋏片12、22の外面が保持枠20の内面と接触することが回避される。このため、鋏片12、22の表面に形成された絶縁性被覆18、28が保持枠20と不測に接触して剥離することが防止されている。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
たとえば上記実施形態において、シース40を導電性ワイヤのコイルで形成することを例示したが、これに限られない。また、上記実施形態では鋏片12、22に同位相の高周波電圧を印加するモノポーラ型の内視鏡用鋏100を例示したが、これに限られない。鋏片12、22の一方をアクティブ電極とし、他方をリターン電極とするバイポーラ型の内視鏡用鋏100としてもよい。
なお、本発明の内視鏡用鋏100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)内視鏡の鉗子孔に挿入して用いられて生体組織を切開する内視鏡用鋏であって、互いに対向して重ね合わされ、重ね方向に延在する回動軸により開閉可能に軸支されているとともに、前記生体組織を把持して切開する刃部をそれぞれ有する一対の鋏片と、前記鋏片の基端部に駆動力を付与して前記鋏片の先端部を開閉操作する操作ワイヤと、を備え、一対の前記鋏片の少なくとも一方の前記先端部には、前記生体組織を把持する爪部が前記刃部よりも閉じ方向に突出して形成されており、前記一方または他方の前記鋏片の前記刃部には厚み方向に貫通する凹部が局所的に形成され、前記爪部および前記凹部を除く前記刃部が先基端方向に延在する平坦な線状に形成されていることを特徴とする内視鏡用鋏。
(2)前記凹部が略半円形をなしている上記(1)に記載の内視鏡用鋏。
(3)一対の前記鋏片の前記刃部の互いに対応する位置に略半円形の前記凹部が対向してそれぞれ形成されており、前記鋏片を閉じることで前記凹部が合わさって略円形の貫通孔が形成されることを特徴とする上記(2)に記載の内視鏡用鋏。
(4)前記凹部が、前記鋏片の先基端方向の中間部よりも基端側に形成されている上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の内視鏡用鋏。
(5)一対の前記鋏片の前記一方または前記他方のいずれかの前記刃部に複数の前記凹部が先基端方向に互いに離間して並んで形成されており、他の前記刃部が連続的な線状に形成されている上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の内視鏡用鋏。
(6)前記操作ワイヤを通じて前記鋏片に高周波電圧を印加する給電部を更に備え、前記鋏片の表面に絶縁性被覆が設けられており、前記刃部および前記凹部の内周面が前記絶縁性被覆から露出していることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の内視鏡用鋏。
また、上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(7)一対の前記鋏片は、前記凹部の形成領域よりも先端側に、前記重ね方向の一方側に湾曲する先端湾曲部を有する上記の内視鏡用鋏。
(8)一対の前記鋏片は、前記先端湾曲部よりも基端側に、前記重ね方向の他方側に湾曲する基端湾曲部を有しており、一対の前記鋏片の先端が前記操作ワイヤの延長線上に位置している上記の内視鏡用鋏。
(9)一対の前記鋏片の前記一方または前記他方の少なくともいずれかの前記刃部に複数の前記凹部が先基端方向に互いに離間して並んで形成されており、当該刃部における前記凹部の形成領域を除く他の長さ領域が連続的な線状に形成されている上記の内視鏡用鋏。
(10)前記操作ワイヤを通じて前記鋏片に高周波電圧を印加する給電部を更に備え、一対の前記鋏片の表面にそれぞれ絶縁性被覆が設けられており、前記刃部および前記凹部の内周面が前記絶縁性被覆から露出していることを特徴とする上記の内視鏡用鋏。
(11)前記絶縁性被覆がシリコン系セラミックを含む上記の内視鏡用鋏。
(12)一対の前記鋏片の表面にそれぞれ設けられた前記絶縁性被覆が互いに異なる色に着色されている上記の内視鏡用鋏。
10 先端処置部
12 第一の鋏片
22 第二の鋏片
13、23 刃部
14 爪部
15、15a〜15d、25 凹部
16 貫通孔
17、27 リンク片
18、28 絶縁性被覆
19 スペーサ部
20 保持枠
26 進退部
29 回動軸
30 操作ワイヤ
40 シース
42 絶縁性被覆
50 手元操作部
52 給電部
54 指掛リング
56 スライダ
58 軸部
60 先端湾曲部
62 基端湾曲部
64 先端
66 曲折突部
67 最基端部
100 内視鏡用鋏
200 生体組織
202 粘膜層
203 病変組織
204 粘膜下層
206 筋層
210 膨出部
L 延長線

Claims (8)

  1. 内視鏡の鉗子孔に挿入して用いられて生体組織を切開する内視鏡用鋏であって、
    互いに対向して重ね合わされ、重ね方向に延在する回動軸により開閉可能に軸支されているとともに、前記生体組織を把持して切開する刃部をそれぞれ有する一対の鋏片と、
    前記鋏片の基端部に駆動力を付与して前記鋏片の先端部を開閉操作する操作ワイヤと、を備え、
    一対の前記鋏片の少なくとも一方の前記先端部には、前記生体組織を把持する爪部が前記刃部よりも閉じ方向に突出して形成されており、
    前記一方または他方の前記鋏片の前記刃部には厚み方向に貫通し、前記爪部が前記刃部から前記閉じ方向に突出する突出高さと同等またはそれよりも大きい深さの凹部が局所的に形成され、前記爪部および前記凹部を除く前記刃部が先基端方向に延在する平坦な線状に形成されている内視鏡用鋏であって、
    前記凹部が滑らかな湾曲線で構成された略半円形をなしていることを特徴とする内視鏡用鋏。
  2. 一対の前記鋏片の前記刃部の互いに対応する位置に略半円形の前記凹部が対向してそれぞれ形成されており、前記鋏片を閉じることで前記凹部が合わさって略円形の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用鋏。
  3. 前記凹部が、前記鋏片の先基端方向の中間部よりも基端側に形成されており、
    前記凹部が、前記鋏片の先基端方向の中間部よりも先端側に形成されていない請求項1から2のいずれか一項に記載の内視鏡用鋏。
  4. 一対の前記鋏片は、前記凹部の形成領域よりも先端側に、前記重ね方向の一方側に湾曲する先端湾曲部と、
    前記先端湾曲部よりも基端側に、前記重ね方向の他方側に湾曲する基端湾曲部と、を有しており、
    一対の前記鋏片の先端が前記操作ワイヤの延長線上に位置している内視鏡用鋏であって、
    前記凹部は前記基端湾曲部に形成されており、
    前記爪部を除く前記先端湾曲部の前記刃部は先基端方向に延在する平坦な線状に形成されている請求項3に記載の内視鏡用鋏。
  5. 一対の前記鋏片の前記一方または前記他方の少なくともいずれかの前記刃部に複数の前記凹部が先基端方向に互いに離間して並んで形成されており、当該刃部における前記凹部の形成領域を除く他の長さ領域が連続的な線状に形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の内視鏡用鋏。
  6. 前記操作ワイヤを通じて前記鋏片に高周波電圧を印加する給電部を更に備え、
    一対の前記鋏片の表面にそれぞれ絶縁性被覆が設けられており、
    前記刃部および前記凹部の内周面が前記絶縁性被覆から露出していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内視鏡用鋏。
  7. 前記絶縁性被覆がシリコン系セラミックを含む請求項6に記載の内視鏡用鋏。
  8. 内視鏡の鉗子孔に挿入して用いられて生体組織を切開する内視鏡用鋏であって、
    互いに対向して重ね合わされ、重ね方向に延在する回動軸により開閉可能に軸支されているとともに、前記生体組織を把持して切開する刃部をそれぞれ有する一対の鋏片と、
    前記鋏片の基端部に駆動力を付与して前記鋏片の先端部を開閉操作する操作ワイヤと、を備え、
    一対の前記鋏片の少なくとも一方の前記先端部には、前記生体組織を把持する爪部が前記刃部よりも閉じ方向に突出して形成されており、
    前記一方または他方の前記鋏片の前記刃部には厚み方向に貫通する凹部が局所的に形成され、前記爪部および前記凹部を除く前記刃部が先基端方向に延在する平坦な線状に形成されている内視鏡用鋏であって、
    前記操作ワイヤを通じて前記鋏片に高周波電圧を印加する給電部を更に備え、
    一対の前記鋏片の表面にそれぞれ絶縁性被覆が設けられており、
    前記刃部および前記凹部の内周面が前記絶縁性被覆から露出しており、
    一対の前記鋏片の表面にそれぞれ設けられた前記絶縁性被覆が互いに異なる色に着色されていることを特徴とする内視鏡用鋏。
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