JP6762084B2 - 露出仕様アスファルト防水工法用キャップシートおよび露出仕様アスファルト防水工法 - Google Patents
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本発明は、砂付ルーフィングが抱えるアスファルト層の熱劣化抑制効果が低いという課題を解決するものである。すなわち、本発明は、露出仕様アスファルト防水工法用キャップシートの遮熱効果を改善し、アスファルト防水層の熱劣化を抑制することを課題とする。
繊維補強樹脂面材が支持体とバインダー樹脂からなり、
支持体が高分子系不織布、ガラスペーパー、2軸もしくは3軸繊維メッシュ、またはそれらの2種以上の組み合わせからなり、
バインダー樹脂がフッ素系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂または塩化ビニル系樹脂からなることを特徴とするキャップシートである。
本発明(II)は、下地にアスファルト防水層を設け、前記アスファルト防水層の上に本発明(I)のキャップシートを敷設し、前記キャップシートの表面にトップコートを塗布することを含む露出仕様アスファルト防水工法である。
[1] 芯材にアスファルトを含浸塗覆してなるアスファルトシートおよび前記アスファルトシートの一方の面に積層された繊維補強樹脂面材を含む露出仕様アスファルト防水工法用キャップシートであって、
繊維補強樹脂面材が支持体とバインダー樹脂からなり、
支持体が高分子系不織布、ガラスペーパー、2軸もしくは3軸繊維メッシュ、またはそれらの2種以上の組み合わせからなり、
バインダー樹脂がフッ素系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂または塩化ビニル系樹脂からなることを特徴とするキャップシート。
[2] 前記キャップシートが、前記アスファルトシートの他方の面に散着された粘着防止材、前記アスファルトシートの他方の面に積層された自己粘着層および剥離シート、または前記アスファルトシートの他方の面に積層された溶融性フィルムをさらに含むことを特徴とする[1]に記載のキャップシート。
[3] バインダー樹脂の塗工量(乾燥基準)が5〜150g/m2であることを特徴とする[1]または[2]に記載のキャップシート。
[4] 支持体の坪量が10〜80g/m2であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のキャップシート。
[5] 支持体がガラスペーパーの上にポリエステル短繊維をランダム積層させたものであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のキャップシート。
[6] バインダー樹脂がアクリルシリコン系樹脂またはアクリル系樹脂であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のキャップシート。
[7] 下地にアスファルト防水層を設け、前記アスファルト防水層の上に[1]〜[6]のいずれかに記載のキャップシートを敷設し、前記キャップシートの表面にトップコートを塗布することを含む露出仕様アスファルト防水工法。
[8] 下地にプライマーまたは下地調整材を塗布し、その上にアスファルトルーフィングを敷設し、その上に溶融アスファルトを流し、その上に[1]〜[6]のいずれかに記載のキャップシートを敷設し、前記キャップシートの表面にトップコートを塗布することを含む露出仕様アスファルト防水工法。
[9] トップコートの塗布量(乾燥基準)が200〜1000g/m2であることを特徴とする[7]または[8]に記載の露出仕様アスファルト防水工法。
[10] トップコートが日射反射率50%以上のアクリル樹脂エマルション系塗料であることを特徴とする[7]〜[9]のいずれかに記載の露出仕様アスファルト防水工法。
図1は、本発明の露出仕様アスファルト防水工法用キャップシートの一実施形態の模式断面図である。
露出仕様アスファルト防水工法用キャップシート1は、芯材2にアスファルト3を含浸塗覆してなるアスファルトシート4および前記アスファルトシート4の一方の面に積層された繊維補強樹脂面材5を含む。繊維補強樹脂面材5は支持体7とバインダー樹脂8からなる。支持体7は高分子系不織布、ガラスペーパー、2軸もしくは3軸繊維メッシュ、またはそれらの2種以上の組み合わせからなる。バインダー樹脂8はフッ素系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、または塩化ビニル系樹脂からなる。
図1のキャップシート1では、さらに、アスファルトシート4の他方の面に粘着防止材6が散着されているが、粘着防止材6はなくてもよいし、粘着防止材6の代わりに、自己粘着層および剥離シートが設けられていてもよいし、溶融性フィルムが積層されていてもよい。
芯材2としては、紙または天然繊維、合成繊維もしくはガラス繊維の織布もしくは不織布が挙げられる。芯材2は、好ましくは、合成繊維の不織布からなる。合成繊維としては、限定するものではないが、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール系繊維等が挙げられる。不織布としては、限定するものではないが、乾式法不織布、湿式法不織布、スパンボンド法不織布、メルトブローン法不織布、エアレイド法不織布、ケミカルボンド法不織布、サーマルボンド法不織布、ニードルパンチ法不織布、水流交絡法不織布等が挙げられる。なかでも好ましい芯材2は、ポリエチレンテレフタレート繊維のスパンボンド法不織布である。
アスファルト3としては、限定するものではないが、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト、改質アスファルト等が挙げられ、なかでも改質アスファルトが好ましく使用できる。ここで、改質アスファルトとは、石油アスファルトにポリマーや天然アスファルト等を加え、耐流動性、低温柔軟性、シート表面に散着する粘着防止材との付着性等の性状を改善したものをいう。
支持体7は、高分子系不織布、ガラスペーパー、2軸もしくは3軸繊維メッシュ、またはそれらの2種以上の組み合わせからなる。
高分子系不織布としては、好ましくは、合成繊維の不織布が挙げられる。合成繊維としては、限定するものではないが、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール系繊維等が挙げられ、なかでもポリエステル繊維、ビニロン繊維が好ましい。不織布としては、限定するものではないが、乾式法不織布、湿式法不織布、スパンボンド法不織布、メルトブローン法不織布、エアレイド法不織布、ケミカルボンド法不織布、サーマルボンド法不織布、ニードルパンチ法不織布、水流交絡法不織布等が挙げられる。
2軸もしくは3軸繊維メッシュとは、有機繊維または無機繊維を2方向もしくは3方向に配列して構成した網状物をいう。有機繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール系繊維等が挙げられ、なかでもポリエステル繊維が好ましい。無機繊維としては、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられるが、なかでもガラス繊維が好ましい。
高分子系不織布、ガラスペーパー、2軸もしくは3軸繊維メッシュは、それぞれ単体で用いてもよいし、それらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、それら単体もしくは複合させたものを面材原料とし、バインダー樹脂等を用いて、一体化してもよい。
支持体7は、剛性が高すぎるものはロール状に巻いた時に折れやシワが発生しやすいため、適度の柔軟性を有するものが好ましい。また、屋外に長期間暴露されることから、寸法変化が少ないものが好ましい。以上の観点から、好ましい支持体は、ポリエステル繊維不織布、ビニロン繊維不織布、ガラスペーパー、ポリエステル繊維メッシュ、ガラス繊維メッシュである。
支持体7として最も好ましいのは、ガラスペーパーにポリエステル短繊維をランダム積層したものである。ガラスペーパーは寸法安定性に寄与し、ランダム積層ポリエステル短繊維は柔軟性・嵩高性に寄与する。図2は、露出仕様アスファルト防水工法用キャップシートの繊維補強樹脂面材の別の実施形態の模式断面図であり、この繊維補強樹脂面材5は、ガラスペーパー9の上にポリエステル短繊維10をランダム積層させてなる支持体7に、バインダー樹脂を含浸塗覆したものである。
粘着防止材6としては、シリカ、ケイ砂、マイカ、クレー、アルミナ等の鉱物粉が挙げられるが、なかでもシリカ、ケイ砂が好ましい。
自己粘着層としては、スチレン・ブタジエンゴム系、ブチルゴム系、再生ゴム系などの合成ゴム粘着材、クロロプレン系粘着材、アクリル系粘着材、ニトリル系粘着材などが挙げられる。自己粘着層の外表面にはさらに剥離シートが積層される。
溶融性フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂のフィルムが挙げられる。溶融性フィルムの厚さは、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
図3は、本発明の露出仕様アスファルト防水工法によって得られた防水構造の一実施形態の模式断面図である。この防水構造11は、下地12にアスファルト防水層13を設け、アスファルト防水層13の上に本発明(I)のキャップシート1を敷設し、キャップシート1の表面にトップコート14を塗布したものである。
トップコートの塗布量(乾燥基準)は好ましくは200〜1000g/m2であり、より好ましくは300〜800g/m2である。トップコートは1回で塗布してもよいが、複数回塗布してもよい。
トップコートは、仕上り意匠性に影響するほか、防水層保護の観点から、遮熱効果によるアスファルト層の熱劣化低減という防水層の耐用年数を左右させる重要なファクターであり、トップコートの耐久性を向上させることにより防水層の高寿命化が図れる。
本発明の露出仕様アスファルト防水工法は、トップコートの耐久性向上により、アスファルト防水層の紫外線および熱による劣化が抑制できる。
ガラスペーパー30g/m2(例えば、オリベスト株式会社製「SAS−030」)をキャリアーとして、ポリエステル短繊維20g/m2をランダム積層させた状態で、アクリルシリコンエマルション(例えば、サイデン化学株式会社製「サイビノールTJR−2939」),固形分:49質量%,粘度:3000mPa・s(25℃),ガラス転移点Tg:−15°)を水希釈したものをバインダーとして含浸・乾燥させ(乾燥基準75g/m2)、総目付125g/m2の繊維補強樹脂面材(厚さ:0.4mm)を作製した。
不織布(ポリエチレンテレフタレートスパンボンド,160g/m2)に改質アスファルト(SBS 12質量%,ストレートアスファルト180−200 63質量%,充填材 25質量%)を含浸し、さらにその両面に前記改質アスファルトからなる改質アスファルト層を設け、厚さ2.2mmの改質アスファルトシートを作製した。
前記改質アスファルトシートの一方の面に前記繊維補強樹脂面材を積層し、他方の面に鉱物質粉粒を散着させ、キャップシートを作製した。作製したキャップシートを以下「本発明キャップシート」という。
コンクリート下地にプライマー(田島ルーフィング株式会社製「水性プライマーAS」)を塗布し、その上にアスファルトルーフィング(田島ルーフィング株式会社製「強力ストライプZ」)を敷設し、その上に溶融アスファルト(田島ルーフィング株式会社製「アスタイトM」)1.2kg/m2を流し、その上に本発明キャップシートを敷設し、キャップシートの表面にトップコート(田島ルーフィング株式会社製水性高反射タイプ塗料「SPファインカラー」)をローラーで塗布した(塗布量:0.4kg/m2)。
トップコート塗布後の表層部分の断面の顕微鏡写真(倍率100倍)を図4に示す。
促進老化試験器(キセノンウェザーメーター,51−9C法(ASTMに準拠),511分間Dry(試験体温度60℃)−9分間Wet)を使用し、10000時間経過後に表面および断面を観察した。表面の顕微鏡写真(倍率25倍)を図5に、表層部分の断面の顕微鏡写真(倍率100倍)を図6に示す。
防水工法の実施例において、本発明キャップシートに代えて、砂付ルーフィング(田島ルーフィング株式会社製「強力ハイキャップ」)を使用した以外は、防水工法の実施例と同様に実施し、トップコート塗布後の表層部分の断面、促進老化試験10000時間経過後の表面および断面を観察した。トップコート塗布後の断面の顕微鏡写真(倍率100倍)を図7に、促進老化試験10000時間経過後の表面の顕微鏡写真(倍率25倍)を図8に、断面の顕微鏡写真(倍率100倍)を図9に示す。
本発明キャップシートは、表面に繊維補強樹脂面材を有するので、トップコート塗布時に繊維内部に塗料が充填され、繊維補強された均一な塗料被膜が形成される。一方、従来の砂付ルーフィングは、砂面の凹凸により、トップコート被膜は不均一になり、トップコート被膜が薄い部分の劣化は早いことが確認された。
防水層は外部劣化因子として、紫外線による耐候性のほか、風の影響を受け、砂、埃、降雨などによる摩耗の影響を受け、トップコート被膜を減耗させることが想定される。
そこで、本発明キャップシートにトップコート(田島ルーフィング株式会社製「SPファインカラー」)0.4kg/m2をローラーで塗布したサンプル(以下「本発明品サンプル」という。)および砂付ルーフィング(田島ルーフィング株式会社製「強力ハイキャップ」)にトップコート(田島ルーフィング株式会社製「SPファインカラー」)0.4kg/m2をローラーで塗布したサンプル(以下「従来品サンプル」という。)を用意し、それらのサンプルについて、サンドブラスト装置を用いた摩耗試験(砂の種類:アルミナおよび鉄,エアー圧力:0.2MPa,10秒間散布)を行った。
摩耗試験後の本発明品サンプルの表面の顕微鏡写真(倍率25倍)を図10に、摩耗試験後の従来品サンプルの表面の顕微鏡写真(倍率25倍)を図11に示す。
本発明品サンプルは、サンドブラスト処理によりトップコート被膜がやや減耗したが、表面状態に目立った不具合は確認されなかった。一方、従来品サンプルはトップコート被膜が減耗および剥離し、砂面の露出が目立った。
夏場の晴れた日の昼(気温:31℃)に、断熱材(田島ルーフィング株式会社製「ギルフォーム」)上に、本発明キャップシートおよび砂付ルーフィング(田島ルーフィング株式会社製「強力ハイキャップ」)を設置し、直射日光に当て、表面の最大到達温度を非接触型温度計で測定したところ、砂付ルーフィングは82.1℃に達したが、本発明キャップシートは73.0℃であり、砂付ルーフィングに比べ約9℃の温度低減効果が確認された。図12は、表面温度低減効果確認試験結果を示すが、図12において右側が本発明キャップシートであり、左側が砂付ルーフィングである。
2 芯材
3 アスファルト
4 アスファルトシート
5 繊維補強樹脂面材
6 粘着防止材
7 支持体
8 バインダー樹脂
9 ガラスペーパー
10 ポリエステル短繊維
11 防水構造
12 下地
13 アスファルト防水層
14 トップコート
Claims (8)
- 芯材にアスファルトを含浸塗覆してなるアスファルトシートおよび前記アスファルトシートの表面側となる一方の面に積層された繊維補強樹脂面材を含み、表面にトップコートが塗布される露出仕様アスファルト防水工法用キャップシートであって、
繊維補強樹脂面材が支持体にバインダー樹脂を含浸塗覆したものであり、
支持体が高分子系不織布、ガラスペーパー、2軸もしくは3軸繊維メッシュ、またはそれらの2種以上の組み合わせからなり、
支持体の坪量が20〜80g/m2であり、
バインダー樹脂の塗工量(乾燥基準)が5〜100g/m2であり、
バインダー樹脂がフッ素系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂または塩化ビニル系樹脂からなり、
前記繊維補強樹脂面材が、前記支持体と前記バインダー樹脂とにより、トップコートの塗膜材が充填される空隙を有することを特徴とするキャップシート。 - 前記キャップシートが、前記アスファルトシートの他方の面に散着された粘着防止材、前記アスファルトシートの他方の面に積層された自己粘着層および剥離シート、または前記アスファルトシートの他方の面に積層された溶融性フィルムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のキャップシート。
- 支持体がガラスペーパーの上にポリエステル短繊維をランダム積層させたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のキャップシート。
- バインダー樹脂がアクリルシリコン系樹脂またはアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャップシート。
- 下地にアスファルト防水層を設け、前記アスファルト防水層の上に請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャップシートを敷設し、前記キャップシートの表面にトップコートを塗布することを含む露出仕様アスファルト防水工法。
- 下地にプライマーまたは下地調整材を塗布し、その上にアスファルトルーフィングを敷設し、その上に溶融アスファルトを流し、その上に請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャップシートを敷設し、前記キャップシートの表面にトップコートを塗布することを含む露出仕様アスファルト防水工法。
- トップコートの塗布量(乾燥基準)が200〜1000g/m2であることを特徴とする請求項5または6に記載の露出仕様アスファルト防水工法。
- トップコートが日射反射率50%以上のアクリル樹脂エマルション系塗料であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の露出仕様アスファルト防水工法。
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