JP6760548B1 - 銀ナノワイヤの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、簡便な方法にて、従来法より平均直径が小さく、かつ、直径の大きい銀ナノワイヤの割合を減少させた銀ナノワイヤを製造できる方法を提供することを課題とする。【解決手段】ポリオール中で成長制御剤、ハロゲン化物塩および銀塩を用い、銀塩から銀ナノワイヤを得る方法であって、さらにフラノン誘導体(a)としてα−アンゲリカラクトン、フタリドおよび下記一般式(1)で示される化合物の群より選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする銀ナノワイヤの製造方法。〔一般式(1)〕【化1】(但し、一般式(1)中、R1、R3は炭素数1〜4の炭化水素、R2は水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数2〜6のアシルオキシ基のいずれかを表す)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオール中において、銀塩を、成長制御剤、ハロゲン化物塩、特定のフラノン誘導体存在下で反応させることを特徴とする銀ナノワイヤの製造方法に関するものである。
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネセンスディスプレイや電子ペーパーなどの表示デバイス、タッチパネルなどの入力センサー、薄膜型アモルファスSi太陽電池や色素増感太陽電池などの太陽光を利用した太陽電池などの利用が増えており、これらのデバイスに必須の部材である透明導電膜の需要も増えている。
この透明導電膜の材料としては、従来、酸化インジウムスズ(ITO)が主に用いられてきた。ITOを用いた薄膜は、高い透明性と高い導電性が得られるものの、一般的にはスパッタ装置や蒸着装置により作製されるため、生産速度や製造コストの面に問題があった。さらに、ITOの原料であるインジウムは安定供給が問題視される希少金属であることから、ITOの代替材料の開発が求められている。
ITOに代わる透明導電膜の材料として注目されているものの一つとして、金属ナノワイヤが挙げられる。金属ナノワイヤはその小さな直径から、可視光領域での光透過性が高いため透明導電膜としての応用が可能となる。特に、銀ナノワイヤを用いた透明導電膜は高い導電性と安定性を有するため注目されている。
そのような銀ナノワイヤの製造方法として、還元剤として作用するエチレングリコール等のポリオールを溶媒とし、銀ナノワイヤの元となる銀化合物を、ハロゲン化物イオンと成長制御剤とともに反応させる製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の方法では60nmを超える平均直径を有する銀ナノワイヤしか得られない。一般に、銀ナノワイヤを含有する透明電導膜において直径の大きい銀ナノワイヤは光の透過率を低下させ、ヘイズを上昇させることから、透明導電膜の製造には直径の大きい銀ナノワイヤの割合が少なく、平均直径が小さい銀ナノワイヤが好ましいとされるが、特許文献1の方法で得られる銀ナノワイヤの直径では大き過ぎるため、所望の物性を得るには不十分であった。
平均直径が小さい銀ナノワイヤの製造方法として、例えば、臭化物イオンを用いる製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、特許文献2の製造方法を用いることにより、ワイヤの平均直径が50nm未満の銀ナノワイヤを得ることが可能となる。しかしながら、臭化物イオンを後から添加する関係上、反応時間を長めに設定する必要があり、生産性の観点から不利であるだけでなく、小スケールの反応のため、反応温度で添加剤を瞬時に加えているが、スケールアップにおいてこの条件は困難であることから、大規模製造での再現性に問題がある。また、臭化物イオンを用いるのみでは直径の大きい銀ナノワイヤの割合について満足できる結果とは言えなかった。
また、平均直径が小さく、かつ、直径の大きい銀ナノワイヤの割合も少ない銀ナノワイヤの製造方法として、特許文献3では、特定の添加剤を用い、かつ、銀塩を2段階に分けて添加することで、アスペクト比が少なくとも3である銀ナノ構造の80%超が直径25nm未満の銀ナノワイヤ塗布液が得られることが報告されている。しかしながらこの方法では、銀塩の添加を2回に分けるため合成手順が煩雑であり、かつ、製造に時間がかかってしまうという問題がある。
このように、銀ナノワイヤの平均直径を小さくする方法論はいくつか報告されているものの、簡便に製造できる手法は依然として求められている。
米国特許出願公開第2008/0210052号公報 特開2014−162946号公報 特表2017−515983号公報
本発明は、前記した従来技術における課題に鑑み、簡便な方法にて、従来法より平均直径が小さく、かつ、直径の大きい銀ナノワイヤの割合を減少させた銀ナノワイヤを製造できる方法を提供することを課題とする。
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリオール中において、成長制御剤とハロゲン化物塩と銀塩とを、特定のフラノン誘導体存在下で反応させることを特徴とする銀ナノワイヤの製造方法を用いた場合に、前記した課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
<1>ポリオール中で成長制御剤、ハロゲン化物塩および銀塩を用い、銀塩から銀ナノワイヤを得る方法であって、さらにフラノン誘導体(a)としてα−アンゲリカラクトン、フタリドおよび下記一般式(1)で示される化合物の群より選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする銀ナノワイヤの製造方法、
〔一般式(1)〕
Figure 0006760548

(但し、一般式(1)中、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数2〜6のアシルオキシ基のいずれかを表す)
<2>フラノン誘導体(a)の銀塩中の銀原子に対するモル比が0.07〜0.35である前記<1>に記載の銀ナノワイヤの製造方法、
<3>フラノン誘導体(a)が2,5−ジメチル−4−メトキシ−3(2H)−フラノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、フタリドの群より選ばれる少なくとも1種である前記<1>または<2>に記載の銀ナノワイヤの製造方法、
<4>さらに下記一般式(2)で示されるα−ヒドロキシカルボニル化合物(b)存在下で反応を行うことを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか一項に記載の銀ナノワイヤの製造方法、
(b)〔一般式(2)〕
Figure 0006760548

(但し、一般式(2)中、Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素いずれかを表す)
<5>α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)がヒドロキシアセトンおよび/またはα−ヒドロキシアセトフェノンである前記<4>に記載の銀ナノワイヤの製造方法、
<6>α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)の銀塩中の銀原子に対するモル比が0.5〜3.5である前記<4>または<5>に記載の銀ナノワイヤの製造方法である。
本発明の銀ナノワイヤの製造方法によれば、煩雑な反応行程を経ることなく、従来法より平均直径が小さく、かつ、直径60nm以上の銀ナノワイヤの割合を減少させた銀ナノワイヤを製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[ポリオール]
本発明で用いるポリオールとしては、銀イオンを還元できる化合物であれば特に制限はなく、2つ以上の水酸基を有する化合物から少なくとも一種類を目的に応じて適宜選択することができる。本発明で好ましく用いることができるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、等のジオール類およびこれらの異性体、グリセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール等のトリオール類およびこれらの異性体、ブタンテトラオール、ペンタンテトラオール、ヘキサンテトラオール等のテトラオール類およびこれらの異性体、ペンタンペンタオール、ヘキサンペンタオール等のペンタオール類およびこれらの異性体、ヘキサンヘキサオール等のヘキサオール類およびこれらの異性体が挙げられる。これらの中でも、常温で液体であることや、成長制御剤の溶解のし易さ、といった点から、炭素数が1〜5である飽和炭化水素のジオール、炭素数が1〜5である飽和炭化水素のトリオールが好ましい。中でも、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、グリセリンを用いることがより好ましく、プロピレングリコールを用いることがさらに好ましい。
[成長制御剤]
本発明に用いる成長制御剤は、特に制限はなく、少なくとも一種類のポリマーを目的に応じて適宜選択することができる。具体的な例としては、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ビニルアルコールから選ばれる少なくとも一種のモノマー単位骨格を有する重合体が挙げられる。これらの中でもアミド構造を有するポリマーが好ましく、ビニルピロリドン、N置換(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも一種のモノマー単位骨格を有する重合体がより好ましく、ポリビニルピロリドンがさらに好ましい。ここでN置換(メタ)アクリルアミドとは、(メタ)アクリルアミドのN位の水素原子が1個以上アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アルコキシアルキル基等の官能基で置換されたものであれば特に限定されない。また、前記重合体の分子構造は、直鎖構造でも、分散溶媒への溶解性を阻害しない程度に架橋構造を有していてもよい。
成長制御剤の重量平均分子量は、高いほど銀微粒子の生成を抑えることができ、銀ナノワイヤの収率が向上することと、極端に重量平均分子量が高い場合には銀ナノワイヤが太くなりやすくなることから、1万〜300万が好ましく、2万〜200万がより好ましい。
本発明に用いる成長制御剤は、反応液に対して、0.2〜10質量%となるように用いるのが好ましく、0.4〜8質量%となるように用いるのがより好ましい。成長制御剤の濃度を0.2質量%以上とすることにより、ワイヤの直径のばらつきを抑える効果が高くなるとともに収率が向上する。一方で、10質量%以下とすることで、銀ナノワイヤを単離する際の成長制御剤の除去操作をより容易にするため、製造コストの観点から好ましい。
[ハロゲン化物塩]
本発明に用いるハロゲン化物塩は、無機塩あるいは有機塩を極性溶媒中に溶解することによってハロゲン化物イオンを解離する化合物であれば特に制限はなく、少なくとも一種類を目的に応じて適宜選択することができる。ハロゲン化物塩の具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等のアルカリ金属臭化物、沃化リチウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム等のアルカリ金属沃化物、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等のアルカリ土類金属塩化物、臭化マグネシウム、臭化カルシウム等のアルカリ土類金属臭化物、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等の土類金属ハロゲン化物、塩化亜鉛、臭化亜鉛等の亜鉛族金属ハロゲン化物、塩化スズ等の炭素族金属ハロゲン化物、塩化マンガン、塩化鉄、臭化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、臭化ニッケル、オキシ塩化ジルコニウム等の遷移金属ハロゲン化物、ヒドラジン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、エタノールアミン塩酸塩、ジエタノールアミン塩酸塩、トリエタノールアミン塩酸塩、ジメチルエタノールアミン塩酸塩、メチルジエタノールアミン塩酸塩、シクロヘキシルアミン塩酸塩、エチレンジアミン塩酸塩、ジエチレンテトラミン塩酸塩、トリエチレンペンタミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等のアミン塩酸塩、アラニン塩酸塩、アルギニン塩酸塩、リシン塩酸塩、システイン塩酸塩等のアミノ酸塩酸塩、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩ハロゲン化物、塩化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム等のホスホニウム塩ハロゲン化物等が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種類以上組み合わせて用いられてもよい。特に塩化物塩を用いることで銀ナノワイヤの収率が高くなるため、塩化物塩を用いることが好ましく、臭化物塩を用いることでより直径の小さい銀ナノワイヤが得られるため、塩化物塩と臭化物塩を共に用いることがより好ましい。塩化物塩としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化アンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムを用いることが好ましく、塩化ナトリウムを用いることがさらに好ましい。臭化物塩としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウムを用いることが好ましく、臭化ナトリウムを用いることがさらに好ましい。
また、塩化物塩は、塩化物塩中の塩素原子の銀塩中の銀原子に対するモル比で0.001〜0.5となるように用いるのが好ましく、0.003〜0.3となるように用いるのがより好ましく、0.008〜0.1となるように用いるのがさらに好ましい。塩化物塩中の塩素原子の銀塩中の銀原子に対するモル比を0.001以上とすることにより、銀ナノワイヤの収率が向上するとともにより良好な形態の銀ナノワイヤが得られるようになる。また、0.5以下とすることにより、ハロゲン化銀の生成量を減らすことで、銀ナノワイヤの収率を向上させることができる。また、用いるハロゲン化物塩から解離して生成する塩化物イオンと臭化物イオンの比である、(無機塩あるいは有機塩中の塩素原子の総モル数)/(無機塩あるいは有機塩中の臭素原子の総モル数)は値が大きいほど銀ナノワイヤの収率が向上し、小さいほど直径の小さい銀ナノワイヤが得られることから、0.01〜15が好ましく、0.1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
[銀塩]
本発明で用いる銀塩としては、ポリオールによって還元される銀化合物であれば特に制限はなく、少なくとも一種類を目的に応じて適宜選択することができる。本発明で用いることのできる銀塩の具体的な例としては、硝酸銀、硫酸銀、スルファミン酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀等の無機酸塩類、酢酸銀、乳酸銀等の有機酸塩類が挙げられる。これらの中でも硝酸銀を用いることが好ましい。なお、前記ハロゲン化物塩と銀塩は同一物質で併用しても良い。このような化合物として、例えば、塩化銀や臭化銀を挙げることができる。
本発明に用いる銀塩は、良好な銀ナノワイヤの形成の点から、反応液に対して、0.1〜20質量%となるように用いるのが好ましく、0.2〜10質量%となるように用いるのがより好ましい。銀塩の濃度を0.1質量%以上とすることで、銀ナノワイヤの生成量が多くなり、製造コストの観点から有利となり、20質量%以下とすることにより、より良好な形態の銀ナノワイヤが得られるようになる。
[フラノン誘導体(a)]
本発明の製造方法は、ポリオール中で銀ナノワイヤを析出させる際に、特定の構造を有するフラノン誘導体(a)を共存させておく点に特徴がある。本発明で用いるフラノン誘導体(a)は、α−アンゲリカラクトン、フタリド、及び、下記一般式(3)で示される化合物の群より選ばれる少なくとも1種である。
〔一般式(3)〕
Figure 0006760548

(但し、一般式(3)中、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数2〜6のアシルオキシ基のいずれかを表す)
これらのフラノン誘導体(a)の中でも、入手容易性の観点から好ましく用いることができるものとして、2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン、2,5−ジメチル−4−メトキシ−3(2H)−フラノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、4−アセトキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン、4−ブチリルオキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン、α−アンゲリカラクトン、フタリドが挙げられる。これらの中でも、2,5−ジメチル−4−メトキシ−3(2H)−フラノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、フタリドを用いることがより好ましい。
本発明に用いるフラノン誘導体(a)は、銀塩中の銀原子に対するモル比で0.01〜2.0となるように用いるのが好ましく、0.04〜0.60となるように用いるのがより好ましく、0.07〜0.35となるように用いるのがさらに好ましい。フラノン誘導体(a)の銀塩中の銀原子に対するモル比を0.01〜2.0とすることにより、より直径の大きいワイヤの割合が減少し、平均直径も小さな銀ナノワイヤを得ることができる。
[α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)]
本発明の製造方法では、フラノン誘導体(a)とともに特定の構造を有するα−ヒドロキシカルボニル化合物(b)を共存させておいてもよい。特定の構造を有するα−ヒドロキシカルボニル化合物(b)を用いることで、さらに得られる銀ナノワイヤの平均直径を小さくしたり、直径の大きい銀ナノワイヤの割合を減少させたりすることができる。特定の構造を有するα−ヒドロキシカルボニル化合物(b)は、下記一般式(4)で示される化合物である。
〔一般式(4)〕
Figure 0006760548

(但し、一般式(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素いずれかを表す)
具体的には、ヒドロキシアセトン、α−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−ヒドロキシ−2−ペンタノン、1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等が挙げられる。これらの中でも入手容易性の観点から、ヒドロキシアセトンまたはα−ヒドロキシアセトフェノンを用いることが好ましく、得られる銀ナノワイヤの形状の観点から、ヒドロキシアセトンを用いることがより好ましい。
本発明に用いるα−ヒドロキシカルボニル化合物(b)は、良好な銀ナノワイヤの形成の点から銀塩中の銀原子に対するモル比で0.1〜9.0となるように用いるのが好ましく、0.5〜3.5となるように用いるのがより好ましい。α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)の銀塩中の銀原子に対するモル比を0.1以上とすることにより、より直径の大きい銀ナノワイヤの割合を減少させることができる。また、α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)の銀塩中の銀原子に対するモル比を9.0以下とすることにより、ワイヤの長軸長がより長く好ましい銀ナノワイヤを得ることができる。
[その他反応溶媒]
本発明に用いる溶媒として、成長制御剤の溶解性や、銀ナノワイヤの生成を阻害しない程度にポリオール以外の反応溶媒を加えてもよい。例えば、水、あるいは、メタノール、プロパノール等のアルコール類、あるいはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類が挙げられるが、これに限定されるものではない。
[反応温度]
本発明の銀ナノワイヤの製造方法における反応温度は、銀ナノワイヤが形成可能な温度であればどのような温度でもよいが、温度が高いほど銀ナノワイヤの製造時間を短縮することができることと、極端に温度が高い場合には均質なワイヤが得られにくくなることから、50〜200℃であることが好ましく、100〜180℃がより好ましい。
[反応時間]
本発明の銀ナノワイヤの製造方法における反応時間は、銀ナノワイヤが形成可能な時間であれば任意に設定できるが、製造コストの観点から72時間以内が好ましい。
[各原料の仕込み方法]
本発明に用いる各原料の仕込み方法は、あらかじめポリオールやその他反応溶媒などの使用溶媒に溶解した後反応容器に仕込んでも、反応容器に使用溶媒を仕込んでから各原料を仕込んでもどちらでもよいが、均一混合のし易さから、あらかじめ使用溶媒に溶解してから仕込むことが好ましい。各原料の仕込み順序は特に指定はないが、反応温度においてフラノン誘導体(a)を含む第1溶液と銀塩を含む第2溶液とを混合することが好ましい。このとき、成長制御剤、ハロゲン化物塩、その他の添加剤は第1溶液または第2溶液に入れておいてもよく、別の溶液として同時に混合してもよいが、第1溶液に入れておくのが好ましい。第1溶液と第2溶液の混合においては、混合時間を延ばすことによりナノワイヤの長軸長が長くなるため、5分以上かけて混合することが好ましく、10分以上かけて混合することがより好ましく、20分以上かけて混合することがさらに好ましい。また製造コストの観点から、720分以内が好ましい。
本発明における「ナノワイヤ」とは、直径が1μm未満であり、アスペクト比(長軸長/直径)が2以上である構造体をいう。また、本発明における「微粒子」とは、直径が1μm未満であり、アスペクト比(長軸長/直径)が2未満である構造体をいう。
[銀ナノワイヤの平均長軸長]
銀ナノワイヤを含有する透明電導膜は、銀ナノワイヤが互いに接触し合い、3次元的な導電ネットワーク構造が空間的に広く分布して形成されることにより、導電性を発現するため、導電性の観点からはナノワイヤの平均長軸長は長いほうが好ましい。一方で、長すぎるナノワイヤは絡まりやすくなるため、分散安定性の観点からは短いナノワイヤが好ましい。本発明での「銀ナノワイヤの平均長軸長」とは、暗視野顕微鏡(商品名:BX51、オリンパス(株)製)を用い、1000本以上の銀ナノワイヤを撮影し、画像処理ソフトウエア(商品名:Image−Pro Premier、Media Cybernetics, Inc製)を用いて算出した値をいう。本発明においては、銀ナノワイヤの平均長軸長として1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、7〜30μmがさらに好ましい。
[銀ナノワイヤの平均直径]
銀ナノワイヤを透明導電膜として用いる場合、透明性を高めるため、ワイヤの平均直径は小さい方が有利であり好ましい。本発明での「銀ナノワイヤの平均直径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子株式会社製、JSM−5610LV)を用い、100個以上の銀ナノワイヤを観察し、計測した直径の平均値をいう。本発明においては、銀ナノワイヤの平均直径として45nm未満が好ましく、41nm未満がより好ましく、36nm未満がさらに好ましく、32nm未満が特に好ましい。
[直径の大きい銀ナノワイヤの割合]
銀ナノワイヤを透明導電膜として用いる場合、透明性を高めるため、直径の大きい銀ナノワイヤの割合は小さい方が有利であり好ましい。本発明における「直径の大きい銀ナノワイヤの割合」とは、銀ナノワイヤの分散液中に含まれる直径60nm以上の銀ナノワイヤの割合であり、走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子株式会社製、JSM−5610LV)を用い、300個以上の銀ナノワイヤを観察し、その中に含まれる直径60nm以上の銀ナノワイヤの個数の割合をいう。本発明においては、直径60nm以上の銀ナノワイヤの割合は、5.0%未満が好ましく、4.0%未満がより好ましく、2.0%未満がさらに好ましい。
[銀ナノワイヤ分散液製造工程]
本発明の製造方法で得られた銀ナノワイヤは、反応液を遠沈法、濾過法、傾瀉法、水簸法、溶媒による沈殿後再分散処理する方法等従来公知の方法により精製してから、銀ナノワイヤ分散液の製造に供することが好ましい。
精製した銀ナノワイヤは溶媒に分散して銀ナノワイヤ分散液とする。溶媒は銀ナノワイヤを分散可能なものであれば特に制限はない。具体例としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、ターピネオール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等のポリオール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグライム類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、3−メチル−2−ヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類、およびこれらの2種類以上からなる溶媒が挙げられる。
また、銀ナノワイヤ分散液とする際に分散安定性向上の目的で樹脂を添加しても構わない。樹脂の具体例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ガティガム、ローカストビーンガム、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム等の多糖類およびその誘導体、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコールおよびその誘導体等があげられる。
本発明の銀ナノワイヤ分散液は、例えば透明導電膜の形成に用いることができ、基板上に銀ナノワイヤ分散液を公知の方法で塗布することで透明導電膜を得る。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、ブレードコート法、バーコート法、スプレー法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、平板印刷法、ディスペンス法およびインクジェット法等が挙げられる。また、これらの塗布方法を用いて複数回塗り重ねてもよい。
透明導電膜を有する基板は、例えば液晶ディスプレイ用電極材、プラズマディスプレイ用電極材、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ用電極材、電子ペーパー用電極材、タッチパネル用電極材、薄膜型アモルファスSi太陽電池用電極材、色素増感太陽電池用電極材、電磁波シールド材、帯電防止材等の各種デバイスなどに幅広く適用することができる。
以下、本発明の実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本文中あるいは表中の各薬剤の略号は以下のことを意味する。
PVP:ポリビニルピロリドン
PG:プロピレングリコール
BG:1,3−ブタンジオール
NaCl:塩化ナトリウム
KCl:塩化カリウム
ZC:オキシ塩化ジルコニウム(オキシ塩化ジルコニウム八水和物)
NaBr:臭化ナトリウム
KBr:臭化カリウム
BTEAC:塩化ベンジルトリエチルアンモニウム
TBAB:臭化テトラブチルアンモニウム
DMMFO:2,5−ジメチル−4−メトキシ−3(2H)−フラノン
DMFO:2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン
DMHFO:2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン
ADMFO:4−アセトキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン
BDMFO:4−ブチリルオキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン
α−AL:α−アンゲリカラクトン
HA:ヒロドキシアセトン
α−HAP:α−ヒドロキシアセトフェノン
<成長制御剤1の合成>
(合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド112.5質量部、N,N−ジエチルアクリルアミド37.5質量部、プロピレングリコール50質量部、イオン交換水750質量部を仕込んだ後、窒素ガスを送入しながら70℃に昇温した。次いで、濃度3質量%の2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)のプロピレングリコール溶液50質量部を添加し、90℃で3時間反応させ、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド/N,N−ジメチルアクリルアミド共重合体を調製した。GPC−MALS法より、Agilent1100HPLCシステム(Agilent Technologies,Inc.製)を用いてもとめた重量平均分子量は420000であった。
その後反応液400部にプロピレングリコール600部を投入したのち、減圧蒸留により含有している水の理論量よりも少し上回る蒸留液を留去し溶媒置換を行った。溶媒置換後の液に、濃度6質量%に調整するために必要なプロピレングリコール量を添加することにより、銀ナノワイヤの作成に供する濃度6質量%の成長制御剤1のプロピレングリコール溶液を得た。
<銀ナノワイヤの作成>
(実施例1)
攪拌装置、温度計、窒素導入管を具備した四つ口フラスコに窒素を送入しながら、成長制御剤としてポリビニルピロリドン(BASF社製、Sokalan(登録商標)K90P)6.87質量部、ポリオールとしてプロピレングリコール815.61質量部およびハロゲン化物塩として濃度1.5質量%の塩化ナトリウムのプロピレングリコール溶液5.35質量部、濃度2.5質量%の臭化ナトリウムのプロピレングリコール溶液1.88質量部を加え、室温で30分間攪拌した。次いで、内温を145℃まで昇温した後、フラノン誘導体(a)として2,5−ジメチル−4−メトキシ−3(2H)−フラノン0.29質量部、プロピレングリコール30質量部を加え、10分間撹拌した。その後、内温を145℃で保持しながら銀塩として濃度5質量%の硝酸銀のプロピレングリコール溶液140.0質量部を90分間かけて加え、さらに20分間攪拌し、銀ナノワイヤを合成した。その後、反応液を取り出し、反応液100質量部に水100質量部を加えて希釈し、メンブレンフィルターで吸引濾過した。さらに残渣上に水を加えて吸引濾過を5回繰り返すことで銀ナノワイヤを単離した。得られた銀ナノワイヤは水溶媒に分散させた後に物性を測定した。測定結果は表2に示す。
(実施例2〜21、比較例1〜3)
実施例2〜21、比較例1〜3は表1に記載のように条件を変更する以外は実施例1と同様にして銀ナノワイヤを得た。α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)を併用する条件においては、フラノン誘導体(a)と同時にα−ヒドロキシカルボニル化合物(b)を加えた。得られた銀ナノワイヤの平均直径および直径60nm以上のワイヤの割合に関する測定結果を表2に、実施例14〜17については平均長軸長を含めた測定結果を表3にそれぞれ示す。
(実施例22)
攪拌装置、温度計、窒素導入管を具備した四つ口フラスコに窒素を送入しながら、成長制御剤として合成例1で得られた濃度6質量%の成長制御剤1のプロピレングリコール溶液600質量部(成長制御剤1として36.0質量部)、ポリオールとしてプロピレングリコール239.26質量部およびハロゲン化物塩として濃度1.5質量%のオキシ塩化ジルコニウム八水和物のプロピレングリコール溶液3.60質量部、濃度2.5質量%の臭化カリウムのプロピレングリコール溶液15.97質量部、フラノン誘導体(a)として2,5−ジメチル−4−メトキシ−3(2H)−フラノン1.17質量部を加え、室温で30分間攪拌した。次いで、内温を120℃まで昇温した後、内温を120℃で保持しながら銀塩として濃度5質量%の硝酸銀のプロピレングリコール溶液140.0質量部を40分間かけて加え、さらに20分間攪拌し、銀ナノワイヤを合成した。得られた反応液から実施例1と同様の方法で銀ナノワイヤの単離し、物性測定をおこなった。測定結果は表2に示す。
(比較例4)
フラノン誘導体(a)を用いない以外は実施例22と同様にして反応液を得た。得られた反応液からは銀ナノワイヤの生成は確認できなかった。
(比較例5)
硝酸銀のプロピレングリコール溶液を加えた後の反応時間を20分から140分に変更する以外は比較例4と同様にして反応液を得た。得られた反応液から実施例1と同様の方法で銀ナノワイヤの単離し、物性測定をおこなった。測定結果は表2に示す。
Figure 0006760548
Figure 0006760548
実施例1〜20と比較例1および実施例21と比較例3の結果から、本発明で規定するフラノン誘導体(a)を併用することで、従来法で製造した銀ナノワイヤよりも平均直径を小さく、直径60nm以上のワイヤの割合を低減することができる。
本発明で規定するフラノン誘導体(a)以外のフラノンの一種であるアスコルビン酸を用いた比較例2は、実施例1〜20と比較して平均直径が大きく、直径60nm以上のワイヤの割合が高くなっている。すなわち、本発明で規定するフラノン誘導体(a)が他のフラノン誘導体と比較し、銀ナノワイヤの平均直径が小さく、直径60nm以上のワイヤの割合を低減する効果が高いことがわかる。
次に、実施例1〜20とは異なる成長制御剤を用いた実施例22と比較例4、5とを対比すると、本発明で規定するフラノン誘導体(a)を併用しないこと以外は実施例22と同一の条件で製造された比較例4では銀ナノワイヤは生成せず、銀ナノワイヤを得るためにさらに反応時間を延ばした比較例5では銀ナノワイヤが得られるものの、実施例22と比較して平均直径、直径60nm以上のワイヤの割合とも所望のレベルに達していないことが分かる。このことから、成長制御剤を変更しても、本発明で規定するフラノン誘導体(a)を併用することで、従来法で製造した銀ナノワイヤよりも平均直径を小さく、直径60nm以上のワイヤの割合をより低減することができるといえる。
実施例1、6と比べ実施例2〜5は、フラノン誘導体(a)の銀塩中の銀原子に対するモル比がさらに好ましい範囲にあるため、より好ましい平均直径を有する銀ナノワイヤが得られるようになる。
実施例7、9、10、12と比べ実施例4、8、13は、より好ましいフラノン誘導体(a)を用いているため、より好ましい平均直径を有する銀ナノワイヤが得られるようになる。
実施例11と比べ実施例1は、より好ましいフラノン誘導体(a)を用いているため、より好ましい平均直径を有する銀ナノワイヤが得られるようになる。
実施例14〜17および19、ならびに実施例18は、それぞれα−ヒドロキシカルボニル化合物(b)を併用しない以外は同一の条件で製造された実施例4ならびに実施例8と比較して、平均直径をより小さく(34nm⇒29〜33nm、33nm⇒28nm)かつ直径60nm以上のワイヤの割合をより低減(3.0%⇒1%未満〜2.3%、1.0%⇒1%未満)した銀ナノワイヤが得られるようになる。
Figure 0006760548
表3の結果から、実施例15、16は、α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)の銀塩中の銀原子に対するモル比がより好ましい範囲の下限未満である実施例14と比較して、直径60nm以上のワイヤの割合をより低減した銀ナノワイヤが得られることが分かる。
表3の結果から、実施例15、16は、α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)の銀塩中の銀原子に対するモル比がより好ましい範囲の上限を超える実施例17と比較して、より好ましいワイヤの平均長軸長を有する銀ナノワイヤが得られることが分かる。

Claims (6)

  1. ポリオール中で成長制御剤、ハロゲン化物塩および銀塩を用い、銀塩から銀ナノワイヤを得る方法であって、さらにフラノン誘導体(a)としてα−アンゲリカラクトン、フタリドおよび下記一般式(1)で示される化合物の群より選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする銀ナノワイヤの製造方法。
    〔一般式(1)〕
    Figure 0006760548
    (但し、一般式(1)中、R、Rは炭素数1〜4の炭化水素、Rは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数2〜6のアシルオキシ基のいずれかを表す)
  2. フラノン誘導体(a)の銀塩中の銀原子に対するモル比が0.07〜0.35である請求項1に記載の銀ナノワイヤの製造方法。
  3. フラノン誘導体(a)が2,5−ジメチル−4−メトキシ−3(2H)−フラノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、フタリドの群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または請求項2に記載の銀ナノワイヤの製造方法。
  4. さらに下記一般式(2)で示されるα−ヒドロキシカルボニル化合物(b)存在下で反応を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の銀ナノワイヤの製造方法。
    (b)〔一般式(2)〕
    Figure 0006760548

    (但し、一般式(2)中、Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素いずれかを表す)
  5. α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)がヒドロキシアセトンおよび/またはα−ヒドロキシアセトフェノンである請求項4に記載の銀ナノワイヤの製造方法。
  6. α−ヒドロキシカルボニル化合物(b)の銀塩中の銀原子に対するモル比が0.5〜3.5である請求項4または請求項5に記載の銀ナノワイヤの製造方法。
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