JP6759639B2 - 発光装置の製造方法 - Google Patents

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本発明は、発光装置の製造方法に関する。
発光ダイオード(Light emitting diode:LED)チップ等の光源と、緑色の蛍光を発する蛍光体と、赤色の蛍光を発する蛍光体と、を組み合わせて演色性の高い白色に発光する発光装置が種々開発されている。緑色(G)を発光する蛍光体としては、例えばSrGa:Euの組成で示される硫化物蛍光体が知られており、赤色(R)を発光する蛍光体としては、例えばKSiF:Mnの組成で示されるフッ化物蛍光体が知られている。
硫化物蛍光体は、高温高湿下では発光強度の低下や色度ずれを生じることが知られている。これは、硫化物蛍光体中に含まれる硫黄が大気中の水分と反応しやすく、この硫黄と水分との加水分解反応によって、金属水酸化物や硫化水素が生成され、蛍光体が劣化するためと考えられる。
硫化物蛍光体の劣化を抑制するために、特許文献1には、硫化物系蛍光体粒子の表面を酸化物により被覆した酸化物被覆蛍光体粒子を含むガラスシートを用いた発光装置が提案されている。硫化物系蛍光体粒子に酸化物を形成する方法として、特許文献1には、溶液法、CVD法等が挙げられているものの、具体的には、溶液法により二酸化ケイ素を被覆した硫化物蛍光体粒子を用いた例が開示されている。
特開2008−115223号公報
しかしながら、従来技術による硫化物蛍光体を用いた場合であっても、発光装置の耐湿性が充分に改善されず、硫化物蛍光体の劣化により、色度ずれが生じたり、発光装置の発光出力の低下が抑制されていない。
また、硫化物蛍光体とともに、フッ化物蛍光体を発光装置に用いた場合、硫化物蛍光体のみならず、フッ化物蛍光体も大気中の水分と反応しやすく、フッ化物蛍光体中のフッ素と大気中の水分との反応によりフッ化水素が生成され、水分だけでなくこのフッ化水素によって硫化物蛍光体が劣化し、色度ずれが生じたり、発光装置の発光出力の低下を抑制できないという問題もある。フッ化物蛍光体を酸化膜等で被覆することにより水分との反応を抑制することも考えられるが、フッ化物蛍光体は熱に弱いことから、酸化物の付着物や膜を形成することは困難である。
本発明は、耐湿性及び耐フッ化水素性を改善したチオガレート蛍光体を含む第一蛍光体と、フッ化物蛍光体である第二蛍光体とを用いて、高温高湿下においても発光出力の低下を抑制し、色度ずれを抑制し得る発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りであり、本発明は以下の態様を包含する。
本発明の態様は、チオガレート蛍光体からなる粒子(以下、「チオガレート蛍光体粒子」ともいう。)にCVD法により酸化アルミニウムを含む膜を形成して、緑色から黄緑色の範囲の蛍光を発する第一蛍光体を得る工程と、420〜480nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する光源と、前記第一蛍光体と、黄赤色から赤色の範囲の蛍光を発するマンガンが賦活されたフッ化物蛍光体である第二蛍光体とを用いて発光装置を得る工程とを含む、発光装置の製造方法である。
本発明によれば、チオガレート蛍光体粒子の耐湿性及び耐フッ化水素性を改善し、チオガレート蛍光体粒子を含む第一蛍光体とフッ化物蛍光体である第二蛍光体とを用いて、高温高湿下においても発光出力の低下を抑制し、色度ずれを抑制し得る発光装置の製造方法を提供することができる。
一実施形態に係る発光装置を示す概略断面図である。 参考例3に用いた第一蛍光体のSEM画像である。 参考例3に用いた第一蛍光体の断面のSEM画像である。 比較例2に用いた第一蛍光体のSEM画像である。 比較例2に用いた第一蛍光体の断面のSEM画像である。 図3に示す参考例3に用いた第一蛍光体のSEM画像における×印を付した領域のSEM−EDX法による元素分析の結果(横軸:エネルギー(keV)、縦軸:カウント数)を示す図である。 図5に示す比較例2に用いた蛍光体のSEM画像における×印を付した領域のSEM−EDX法による元素分析の結果(横軸:エネルギー(keV)、縦軸:カウント数)を示す図である。 実施例10に用いた第一蛍光体のSEM画像である。 実施例10に用いた第一蛍光体の断面のSEM画像である。 図9に示す実施例10に用いた第一蛍光体のSEM画像における×印を付した領域のSEM−EDX法による元素分析の結果(横軸:エネルギー(keV)、縦軸:カウント数)を示す図である。
以下、本発明に係る発光装置の製造方法について、実施の形態及び実施例を用いて説明する。ただし、以下に示す発光装置の製造方法は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のものに特定するものではない。
なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。本明細書において、「工程」の語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本発明の一態様は、チオガレート蛍光体粒子にCVD法により酸化アルミニウムを含む膜を形成して、緑色から黄緑色の範囲の蛍光を発する第一蛍光体を得る工程と、420〜480nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する光源と、前記第一蛍光体と、黄赤色から赤色の範囲の蛍光を発するマンガンが賦活されたフッ化物蛍光体である第二蛍光体とを用いて発光装置を得る工程とを含む、発光装置の製造方法である。
このようにして得られる発光装置の一例を、発光装置100として図1に示す。
第一蛍光体41を得る工程は、チオガレート蛍光体粒子に、CVD法により酸化アルミニウムを含む膜を形成する工程を含む。第一蛍光体41は、CVD法によりチオガレート蛍光体粒子の全面に比較的均一に酸化アルミニウムを含む膜が形成されることにより、チオガレート蛍光体粒子に含まれる硫黄と大気中の水分との反応が抑制されるだけでなく、フッ化物蛍光体から発生するフッ化水素との反応が抑制される。これら第一蛍光体を用いた発光装置は、高温高湿下におかれた場合であっても、経時劣化による光束の低下や色度ずれを抑制することができる。
(第一蛍光体41を得る工程)
第一蛍光体41は、チオガレート蛍光体粒子を含んでおり、下記一般式(I)で示される化学組成を有する蛍光体粒子であることが好ましい。
(M11−xM2)Ga2−y4−z (I)
(式(I)中、M1は、Sr、Be、Mg、Ca、Ba及びZnからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M2は、Eu及びCeからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、x、y、zは、0.03≦x≦0.25、−0.2≦y≦0.2、及び−0.2≦z≦0.2を満たす。)
第一蛍光体41を得る工程において、流動層CVD法により酸化アルミニウムを含む膜を形成することが好ましい。流動層CVD法により、チオガレート蛍光体粒子の全面により均一に酸化アルミニウムを含む膜を形成することができる。
流動層CVD法により、チオガレート蛍光体粒子に酸化アルミニウムを含む膜を形成する場合、粉体用流動層CVD装置を用いることができる。例えば、粉体用流動層CVD装置の反応管内にチオガレート蛍光体粒子又は付着物等が形成されたチオガレート蛍光体粒子を投入し、原料としてトリメチルアルミニウム(TMA)等を不活性ガス中に気化させて反応管に所定流量で導入し、同時に酸素を反応管内に所定流量で導入して、チオガレート蛍光体粒子を反応管内で流動させることで、チオガレート蛍光体粒子に酸化アルミニウムを含むCVD膜(以下、「化学蒸着膜」ともいう。)を形成することができる。
不活性ガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素等を主成分とするガスであり、アルゴン、ヘリウム、窒素の少なくとも1種の含有量が85体積%以上のガスをいう。
反応温度は、原料となるトリメチルアルミニウム等の沸点以上の温度であれば特に限定されないが、好ましくは125℃〜450℃、より好ましくは150℃〜400℃である。
第一蛍光体41を得る工程において、酸化アルミニウムを含む膜をチオガレート蛍光体粒子表面に形成された付着物又は膜の表面に接して形成しても良いが、チオガレート蛍光体粒子の表面に接して形成することが好ましい。チオガレート蛍光体表面は、付着物表面や膜表面と比べて平滑なため、CVD法により、チオガレート蛍光体粒子の表面の全面を、比較的均一な酸化アルミニウムを含む膜で被覆することができる。これにより、大気中の水分やフッ化水素との反応が抑制されるので、第一蛍光体41の耐湿性及び耐フッ化水素性がより改善される。
第一蛍光体41を得る工程において、酸化アルミニウムを含む膜の表面に、二酸化ケイ素を含む付着物を形成することが好ましい。これにより、第一蛍光体41の耐湿性がより改善される。
二酸化ケイ素を含む付着物は、ゾルゲル法により形成されることが好ましい。これにより、耐湿性の改善に十分な量の二酸化ケイ素を含む付着物を、酸化アルミニウムを含む膜の表面に形成することができる。ゾルゲル法以外の方法、例えばCVD法によって二酸化ケイ素を含む膜を形成する場合は、原料として四塩化ケイ素(SiCl)やオルトケイ酸テトラメチル(TMOS:Si(OCH)等を使用する必要がある。しかし、原料として四塩化ケイ素を用いる場合には、反応により発生する塩酸により装置が損傷する場合があり、オルトケイ酸テトラメチルを用いる場合には、蒸気圧が低く、膜を形成するために時間を費やすため好ましくない。
ゾルゲル法により二酸化ケイ素を含む付着物を形成する場合、酸化アルミニウムを含む膜を形成したチオガレート蛍光体粒子をエタノール中に分散し、チオガレート蛍光体粒子を混合したアルコール中にケイ素アルコキシドを加え、酸性又は塩基性条件で、加水分解させて、アルコールを脱離することによって、二酸化ケイ素を含む付着物を形成することができる。ケイ素アルコキシドとしては、例えばオルトケイ酸テトラエチル(TEOS:Si(OC)等が挙げられる。
第一蛍光体41を得る工程において、酸化アルミニウムを含む膜に含有されるアルミニウム元素の含有量は、第一蛍光体41中に0.2質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上8.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.4質量%以上5.0質量%以下である。アルミニウム元素の含有量が、所定値以上の場合、耐湿性及び耐フッ化水素性がより向上する傾向があり、所定値以下の場合、膜にクラックが発生することによる耐湿性及び耐フッ化水素性の低下を抑制することができる。
第一蛍光体41を得る工程において、二酸化ケイ素を含む付着物に含有されるケイ素元素の含有量は、第一蛍光体41中に0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.6質量%以上9.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以上8.0質量%以下である。ケイ素元素の含有量が、所定値以上の場合、耐湿性及び耐フッ化水素性がより向上する傾向があり、所定値以下の場合、膜にクラックが発生することによる耐湿性及び耐フッ化水素性の低下を抑制することができる。
第一蛍光体41を得る工程において、第一蛍光体41の粒径に対する酸化アルミニウムを含む膜の厚みの比率の平均値は、好ましくは0.5%以上10%以下であり、より好ましくは0.7%以上9.0%以下であり、更に好ましくは0.8%以上8.0%以下である。酸化アルミニウムを含む膜の厚みの比率の平均値が、所定値以上の場合、耐湿性及び耐フッ化水素性がより向上する傾向があり、所定値以下の場合、膜にクラックが発生することによる耐湿性及び耐フッ化水素性の低下を抑制することができる。
第一蛍光体41を得る工程において、第一蛍光体41の粒径に対する二酸化ケイ素を含む付着物の厚みの比率の平均値は、好ましくは0.5%以上10%以下であり、より好ましくは0.6%以上8.0%以下である。二酸化ケイ素を含む付着物の厚みの比率の平均値が、所定値以上の場合、耐湿性及び耐フッ化水素性がより向上する傾向があり、所定値以下の場合、膜にクラックが発生することによる耐湿性及び耐フッ化水素性の低下を抑制することができる。
第一蛍光体41は、平均粒径が3.0μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは4.0μm以上15μm以下であり、さらに好ましくは5.0μm以上12μm以下であり、よりさらに好ましくは5.0μm以上10μm以下である。本明細書において、第一蛍光体41の平均粒径は、例えばFisher Sub-Sieve Sizer Model 95(Fisher Scientific社製)を用いて、フィッシャー・サブシーブ・サイザー(F.S.S.S)法により、フィッシャー・サブシーブ・サイザーズ・ナンバー(F.S.S.S.N.)として測定した平均粒径の値をいう。
平均粒径が、所定値以下の場合、耐湿性及び耐フッ化水素性が低下する傾向があり、所定値以上の場合、製造が困難である。
(発光装置を得る工程)
光源10として発光ピーク波長が455nmである窒化物半導体からなるLEDチップをパッケージ20の凹部の底面に配置し、光源10と第一リード21及び第二リード22を、それぞれワイヤ30で接続する。発光装置が発する混色光のCIE色度座標x、yが所定の値となるように、第一蛍光体を得る工程にて得られた第一蛍光体41と、予め作製したKSiF:Mnである第二蛍光体42とを、樹脂に添加し、混合分散して蛍光体含有樹脂組成物を得る。この蛍光体含有樹脂組成物を、パッケージ20の凹部に適量注入し、蛍光用組成物中の樹脂を硬化させて蛍光部材40を形成する。これにより、図1に示す発光装置100を得ることができる。
(発光装置)
発光装置100は、凹部を形成するパッケージ20、凹部底面に配置された光源10と、を有する。パッケージ20は、第一リード21と第二リード22と成形体23を有しており、パッケージ20の凹部の底面に、第一リード21の表面の一部及び第二リード22の表面の一部が凹部の底部において成形体23から露出している。光源10は、第一リード21に配置されている。光源10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極は第一リード21及び第二リード22とそれぞれワイヤ30を介して電気的に接続されている。光源10は蛍光部材40により被覆されている。蛍光部材40は、光源10からの光を波長変換する第一蛍光体41と第二蛍光体42を含有している。
以下、発光装置100を構成する各要素について説明する。
[光源10]
光源10の発光ピーク波長は、420〜480nmの範囲にある。この範囲に発光ピーク波長を有する光源10を蛍光体の励起光源として用いることにより、光源10からの光と蛍光体からの蛍光との混色光を発する発光装置100を構成することができる。光源10としては、例えば、窒化物系半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)からなるLEDチップを用いることができる。
[パッケージ20]
パッケージ20は、第一リード21と、第二リード22と、成形体23と、が一体的に形成されてなる。本実施形態では、パッケージ20は凹部を有しており、その底部に光源10が配置されている。
[第一リード21及び第二リード22]
第一リード21及び第二リード22は、導電性を備えており、光源10と外部とを電気的に接続するためのものである。第一リード21及び第二リード22は、例えば、銅を含む母材と、その表面に形成された銀を含む反射膜と、を有する。
[成形体23]
成形体23には、耐光性、耐熱性に優れた電気絶縁性のものが用いられる。その材料としては、樹脂、セラミックス等を用いることができる
[ワイヤ30]
ワイヤ30は、光源10の正電極及び負電極のそれぞれと、第一リード21又は第二リード22とを電気的に接続するものであり、通常、金、銅、白金、アルミニウム等の金属又はそれらの合金を用いたワイヤ30が用いることができる。特に、ワイヤ30は、熱抵抗等に優れた金を用いることが好ましい。
[蛍光部材40]
蛍光部材40は、光源10を覆うものであり、第一蛍光体41及び第二蛍光体42を含む。ここでは、光源10からの光、第一蛍光体41からの光、及び第二蛍光体42からの光を通す透光性の樹脂に、第一蛍光体41及び第二蛍光体42を混ぜ合わせたものを蛍光部材40として用いている。樹脂としては、シリコーン樹脂組成物を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂組成物等を用いることもできる。また、蛍光部材40には、拡散材等その他の材料を添加することもできる。
[第一蛍光体41]
第一蛍光体41は、下記一般式(II)で示される組成を有するチオガレート蛍光体粒子と酸化アルミニウムを含む化学蒸着膜を備え、緑色から黄緑色の範囲の蛍光を発する。
これにより、チオガレート蛍光体粒子に含まれる硫黄と大気中の水分やフッ化水素との反応が抑制され、耐湿性及び耐フッ化水素性が改善され、高温高湿下におかれた場合であっても、蛍光体の劣化を抑制することができる。
(M11−xM2)Ga2−y4−z (II)
(式(II)中、M1は、Sr、Be、Mg、Ca、Ba及びZnからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M2は、Eu及びCeからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、x、y、zは、0.03≦x≦0.25、−0.2≦y≦0.2、及び−0.2≦z≦0.2を満たす。)
一般式(II)で示される組成を有するチオガレート蛍光体粒子は、緑色から黄緑色の範囲の蛍光を発するものであれば、一般式(II)で示される組成中、Gaの一部がAl及びInからなる群より選択される少なくとも1種の元素で置換されていてもよく、Sの一部がSe及びTeからなる群より選択される少なくとも1種の元素で置換されていてもよい。また、一般式(II)で示される組成を有するチオガレート蛍光体粒子は、式(II)中、M1がSrであって、M2がEuであることが好ましく、緑色から黄緑色の範囲の蛍光を発するものであれば、Srの一部がBe、Mg、Ca、Ba及びZnからなる群より選択される少なくとも1種の元素で置換され、EuがCeで置換されていてもよい。
[第二蛍光体42]
第二蛍光体42は、黄赤色から赤色の範囲の蛍光を発するマンガンが賦活されたフッ化物蛍光体を用いる。マンガンが賦活されたフッ化物蛍光体は、下記一般式(III)で示される組成を有するものを用いることが好ましい。下記一般式(III)で示される組成を有するフッ化物蛍光体は、前記光源からの光で励起されることにより、630nm付近に主発光ピーク波長を有する蛍光を発する。
[M31−uMn4+ ] (III)
(式中、Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNH からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでもよいカチオンであり、M3は第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、uは、0<u<0.2を満たす数を示す)
一般式(III)で示される蛍光体は、主発光ピークの半値幅が狭いため他の赤色蛍光体と比べて色再現範囲が広くなる。
(製造例1:チオガレート蛍光体粒子の準備)
Sr0.88Eu0.12Gaで示される組成となるように、Sr源としてSrCO(堺工業株式会社製)、Eu源としてEu(信越化学工業株式会社製)、Ga源としてGa(株式会社ニューマテリアル製)をそれぞれ秤量し、スーパーミキサー(株式会社カワタ製)を用いて混合し、原料混合物を得た。得られた原料混合物を、石英製ルツボに充填し、硫化水素(HS)雰囲気下にて960℃で2時間焼成して、Sr0.88Eu0.12Gaで示される組成を有するチオガレート蛍光体粒子を得た。このチオガレート蛍光体粒子の発光ピーク波長は537nmであった。得られたチオガレート蛍光体粒子は、Fisher Sub-Sieve Sizer Model 95(Fisher Scientific社製)を用いて、フィッシャー・サブシーブ・サイザー(F.S.S.S)法により、フィッシャー・サブシーブ・サイザーズ・ナンバー(F.S.S.S.N.)として測定した平均粒径が6.0μmであった。
参考例1)
(第一蛍光体41を得る工程)
粉体用流動層CVD装置の反応管内に、製造例1で得られたチオガレート蛍光体粒子50gを投入した。窒素ガスを0.05L/分の流量にてトリメチルアルミニウム(TMA)中にバブリングし、得られたTMAを含有した窒素ガスを反応管下部よりそのまま流入した。反応管上部より、酸素(O)を0.15L/分の流量で反応管内に流入した。TMA/N及びOの流量は、いずれも25℃における流量である。反応管内温度380℃にて、15分反応させ、トリメチルアルミニウムによる酸化処理を行い、酸化アルミニウムを含むCVD膜を被覆した第一蛍光体41を得た。
(発光装置を得る工程)
発光装置を得る工程を図1に基づき説明する。
光源10として発光ピーク波長が455nmである窒化物半導体からなるLEDチップをパッケージ20の凹部の底面に配置し、光源10と第一リード21及び第二リード22を、それぞれワイヤ30で接続した。発光装置が発する混色光のCIE色度座標xが0.280付近、yが0.270付近となるように、前述の作製した第一蛍光体41と、予め作製したKSiF:Mnである第二蛍光体42とを、シリコーン樹脂に添加し、混合分散して蛍光体含有樹脂組成物を得た。この蛍光体含有樹脂組成物を、パッケージ20の凹部に適量注入し、蛍光用組成物中の樹脂を硬化させて蛍光部材40を形成し、発光装置100を得た。
(比較例1)
第一蛍光体41の代わりに製造例1で得られたチオガレート蛍光体粒子を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
(比較例2)
製造例1で得られたチオガレート蛍光体粒子に、ゾルゲル法により酸化アルミニウムを含む付着物を付着させた。具体的には、製造例1で得られたチオガレート蛍光体粒子50gをエタノール200mL中に添加して、懸濁させ、これに純水10.0g、アルミニウムイソプロポキシド(Al(OCH(CH)5.0gを加えて、さらに触媒としてアンモニア水(濃度18質量%)12.2gを添加して、アルミニウムアルコキシドを加水分解させ、酸化アルミニウムを含む付着物を付着させた蛍光体を得た。この蛍光体を第一蛍光体41の代わりに用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
(比較例3)
製造例1で得られたチオガレート蛍光体粒子に、ゾルゲル法により二酸化ケイ素を含む付着物を付着させた。具体的には、製造例1で得られたチオガレート蛍光体粒子50gをエタノール200mL中に添加して、懸濁させ、これに純水17.9g、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS:Si(OC)17.9gを加え、さらに触媒としてアンモニア水(濃度18質量%)21.4gを添加して、ケイ素アルコキシドを加水分解させ、二酸化ケイ素を含む付着物を付着させた蛍光体を得た。この蛍光体を第一蛍光体41の代わりに用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
参考例2)
第一蛍光体41を得る工程において、粉体用流動層CVD装置の反応管内で33分反応させた以外は、参考例1と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
参考例3)
第一蛍光体41を得る工程において、粉体用流動層CVD装置の反応管内で1時間41分反応させた以外は、参考例1と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
参考例4)
第一蛍光体41を得る工程において、粉体用流動層CVD装置の反応管内で3時間6分反応させた以外は、参考例1と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
参考例5)
第一蛍光体41を得る工程において、粉体用流動層CVD装置の反応管内で3時間56分反応させた以外は、参考例1と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
参考例6)
第一蛍光体41を得る工程において、粉体用流動層CVD装置の反応管内で4時間16分反応させた以外は、参考例1と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
参考例7)
第一蛍光体41を得る工程において、粉体用流動層CVD装置の反応管内で5時間10分反応させた以外は、参考例1と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
参考例8)
参考例4において得られたチオガレート蛍光体粒子の表面にCVD法により酸化アルミニウムを含む膜が形成された蛍光体を用いて、この酸化アルミニウムを含む膜の上に、ゾルゲル法により二酸化ケイ素を含む付着物を付着させた。具体的には、参考例4において得られた蛍光体50gをエタノール200mL中に添加して、懸濁させ、これに純水5.2g、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS:Si(OC)5.2gを加え、さらに触媒としてアンモニア水(濃度18質量%)6.2gを添加して、ケイ素アルコキシドを加水分解させ、二酸化ケイ素を含む付着物を付着させた第一蛍光体41を得た。この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
(実施例9)
純水12.3g、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS:Si(OC)12.3gを加え、さらに触媒としてアンモニア水(濃度18質量%)14.6gを添加して、ケイ素アルコキシドを加水分解させ、二酸化ケイ素を含む付着物を付着させたこと以外は、参考例8と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
(実施例10)
純水17.9g、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS:Si(OC)17.9gを加え、さらに触媒としてアンモニア水(濃度18質量%)21.4gを添加して、ケイ素アルコキシドを加水分解させ、二酸化ケイ素を含む付着物を付着させたこと以外は、参考例8と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
(実施例11)
純水35.7g、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS:Si(OC)35.7gを加え、さらに触媒としてアンモニア水(濃度18質量%)42.9gを添加して、ケイ素アルコキシドを加水分解させ、二酸化ケイ素を含む付着物を付着させたこと以外は、参考例8と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
参考例12)
純水65.0g、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS:Si(OC)65.0gを加え、さらに触媒としてアンモニア水(濃度18質量%)78.0gを添加して、ケイ素アルコキシドを加水分解させ、二酸化ケイ素を含む付着物を付着させたこと以外は、参考例8と同様にして第一蛍光体41を得て、この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
参考例13)
比較例3で得られた蛍光体粒子50gを、粉体用流動層CVD装置の反応管内に投入し、2時間36分反応させた以外は、実施例1と同様にして、チオガレート蛍光体粒子に二酸化ケイ素を含む付着物を付着させ、二酸化ケイ素を含む付着物の表面にCVD法により酸化アルミニウムを含む膜を形成した第一蛍光体41を得た。この第一蛍光体41を用いたこと以外は、参考例1と同様にして発光装置を得た。
〔第一蛍光体41の評価〕
参考例1〜7、8、12、13、実施例9〜11で得られた第一蛍光体41及び比較例1〜3の第一蛍光体41に代わる蛍光体について、下記の方法で、平均粒径、アルミニウム元素の含有量及びケイ素元素の含有量を測定した。
(平均粒径)
蛍光体の平均粒径は、Fisher Sub-Sieve Sizer Model 95(Fisher Scientific社製)を用いて、フィッシャー・サブシーブ・サイザー(F.S.S.S)法により、フィッシャー・サブシーブ・サイザーズ・ナンバー(F.S.S.S.N.)として平均粒径を測定した。
(アルミニウム元素の含有量)
参考例1〜7、8、12、13、実施例7〜11で得られた第一蛍光体41及び比較例2の蛍光体中に含まれるアルミニウム元素の質量を、ICP分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、SPS3500)を用いて測定し、下記式によりアルミニウム元素の含有量を算出した。
蛍光体中のアルミニウム元素の含有量(質量%)=アルミニウム元素の質量(g)÷蛍光体の総質量(g)×100
(ケイ素元素の含有量)
実施例9〜11、参考例8、12、13で得られた第一蛍光体41及び比較例3の蛍光体中に含まれるケイ素元素の質量を、ICP分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、SPS3500)を用いて測定し、下記式によりケイ素元素の含有量を算出した。
蛍光体中のケイ素元素の含有量(質量%)=ケイ素元素の質量(g)÷蛍光体の総質量(g)×100
(SEM画像)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、参考例3及び実施例10で得られた第一蛍光体41及び比較例2の蛍光体のSEM画像、及び断面のSEM画像を得た。図2は、参考例3の第一蛍光体41のSEM画像であり、図3は、参考例3の第一蛍光体41の断面のSEM画像である。図4は、比較例2の蛍光体のSEM画像であり、図5は、比較例2の蛍光体の断面のSEM画像である。図8は、実施例10の第一蛍光体41のSEM画像であり、図9は、実施例10の第一蛍光体41の断面のSEM画像である。
(第一蛍光体の粒径に対する酸化アルミニウムを含む膜の厚みの比率の平均値)
参考例1〜7における第一蛍光体41の粒径に対する酸化アルミニウムを含む膜の厚みの比率の平均値は、得られた第一蛍光体41の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮影し、コアとなるチオガレート蛍光体粒子の粒径(長径)と酸化アルミニウムを含む膜の厚みの和を測定し、この測定値から下記式(1)により算出した。
粒径に対する膜の厚みの比率(%)
=膜の厚みの和÷(コア粒子の長径+膜の厚みの和)×100 (1)
粒径に対する膜の厚みの比率を3個の蛍光体粒子について求め、その算術平均とし
て膜の厚みの比率の平均値を算出した。酸化アルミニウムを含む膜の厚みの和は、SEM画像におけるコアとなるチオガレート蛍光体粒子と、酸化アルミニウムを含む膜とのコントラストの差から測定した。
(蛍光体の粒径に対する二酸化ケイ素を含む付着物の厚みの比率の平均値)
比較例3の蛍光体は、第一蛍光体41の粒径に対する二酸化ケイ素を含む付着物の厚みの比率の平均値は、得られた第一蛍光体41の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮影し、コアとなるチオガレート蛍光体粒子の粒径(長径)と二酸化ケイ素を含む付着物の厚みの和を測定し、この測定値から下記式(2)により算出した。
粒径に対する付着物の厚みの比率(%)
=付着物の厚みの和÷(コア粒子の長径+付着物の厚みの和)×100 (2)
粒径に対する付着物の厚みの比率を3個の蛍光体粒子について求め、その算術平均として付着物の厚みの比率の平均値を算出した。酸化アルミニウムを含む膜の厚みの和は、SEM画像におけるコアとなるチオガレート蛍光体粒子と、二酸化ケイ素を含む付着物とのコントラストの差から測定した。
(第一蛍光体の粒径に対する二酸化ケイ素を含む付着物の厚みの比率の平均値)
実施例9〜11、参考例8、12で得られた第一蛍光体41は酸化アルミニウムを含む膜と、二酸化ケイ素を含む付着物とは、SEM画像におけるコントラストの差から両者を判別することはできない。そのため、参考例1〜7同様にチオガレート蛍光体粒子の表面に接して形成された酸化アルミニウムを含む膜の厚みを先に測定し、次に、酸化アルミニウムを含む膜の表面に二酸化ケイ素を含む付着物が形成された後、酸化アルミニウムを含む膜及び二酸化ケイ素を含む付着物の合計の厚みを測定し、この合計の厚みから先に形成された酸化アルミニウムを含む膜の厚みを差し引くことにより、二酸化ケイ素を含む付着物の厚みを算出した。得られた二酸化ケイ素を含む付着物の厚みの算出値を上記式(2)の付着物の厚みの和として粒径に対する付着物の厚みの比率(%)を算出した。
粒径に対する付着物の厚みの比率を3個の蛍光体粒子について求め、その算術平均として付着物の厚みの比率の平均値を算出した。
参考例13で得られた第一蛍光体41は二酸化ケイ素を含む付着物と、酸化アルミニウムを含む膜とは、SEM画像におけるコントラストの差から両者を判別することはできない。
チオガレート蛍光体粒子の表面に接して二酸化ケイ素を含む付着物が形成される場合には、比較例3と同様にして、チオガレート蛍光体粒子の表面に接して形成された二酸化ケイ素を含む付着物の厚みを先に測定し、その後、二酸化ケイ素を含む付着物の表面に接して酸化アルミニウムを含む膜が形成された後、酸化アルミニウムを含む膜及び二酸化ケイ素を含む付着物の合計の厚みを測定し、この厚みから先に形成された二酸化ケイ素を含む付着物の厚みを差し引くことにより、酸化アルミニウムを含む膜の厚みを算出した。
得られた酸化アルミニウムを含む膜の厚みの算出値を上記式(1)の膜の厚みの和として粒径に対する付着物の厚みの比率(%)を算出した。
粒径に対する膜の厚みの比率を3個の蛍光体粒子について求め、その算術平均とし
て付着物の厚みの比率の平均値を算出した。
(SEM−EDX法による元素分析)
SEM−EDX(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)を用いて、図3、5、9に示す各蛍光体のSEM画像における×印を付した領域の元素分析を行なった。
図6は、図3に示す参考例3の第一蛍光体41のSEM画像における×印を付した領域のSEM−EDX法による元素分析の結果(横軸:エネルギー(keV)、縦軸:カウント数)を示す図である。
図7は、図5に示す比較例2に用いた蛍光体のSEM画像における×印を付した領域のSEM−EDX法による元素分析の結果(横軸:エネルギー(keV)、縦軸:カウント数)を示す図である。
図10は、図9に示す実施例10に用いた第一蛍光体41のSEM画像における×印を付した領域のSEM−EDX法による元素分析の結果(横軸:エネルギー(keV)、縦軸:カウント数)を示す図である。
〔発光装置の評価〕
参考例1〜7、8、12、13、実施例9〜11及び比較例1〜3の発光装置について、初期値の相対光束、及び下記の発光装置の信頼性評価試験を行った。
(初期値の相対光束)
保管前の参考例1〜7、8、12、13、実施例9〜11及び比較例1〜3の発光装置について、積分球を使用した全光束測定装置を用いて、光束を測定した。比較例1の発光装置の光束を基準として初期値の相対光束を算出した。
(LED信頼性評価:保管前後のCIE色度座標y値の差分Δy)
発光装置を60℃、相対湿度90%の高温高湿の環境試験機内にて電流20mAで連続点灯又は点灯無しで、1000時間保管した。保管前のCIE色度座標におけるy1値と、保管後のCIE色度座標におけるy2値を、マルチチャンネル分光器(浜松ホトニクス株式会社、製品名:PMA−12)を用いて測定し、y1値とy2値の差分Δyを絶対値として算出した。
(LED信頼性評価:保管後の相対光束(Po))
発光装置を60℃、相対湿度90%の高温高湿の環境試験機内にて電流20mAで連続点灯又は点灯無しで、1000時間保管した。積分球を使用した全光束測定装置により、保管前の発光装置の初期値を100とした場合における、保管後の発光装置の光束を相対光束(Po)として求めた。
表1に、比較例1〜3に用いた蛍光体及び参考例1〜7に用いた第一蛍光体41と、これらの蛍光体を用いた発光装置の評価結果を示す。
表1に示すように、参考例1〜7の発光装置は、高温高湿下において、1000時間連続点灯して保管した後においても、比較例1の発光装置と比べて、差分Δyの絶対値が小さく、色度ずれを生じていないことが確認できた。また、表1に示すように、参考例1〜7の発光装置は、高温高湿下において、1000時間連続点灯して保管した後においても、比較例1〜3の発光装置と比べて、相対光束(Po)90以上を維持し、保管前と比べ発光出力を維持しており、発光出力の低下が抑制されていることが確認できた。
参考例1〜7の発光装置に用いた第一蛍光体41は、第一蛍光体41の粒径に対するCVD法により形成された酸化アルミニウムを含む膜の厚みの比率の平均値が0.5%以上10.0%以下であり、この比率の平均値の酸化アルミニウムを含む膜が形成されている第一蛍光体41を用いることにより、耐湿性及び耐フッ化水素性が改善されることが確認できた。
一方、表1に示すように、CVD法による酸化アルミニウムを含む膜を形成していないチオガレート蛍光体粒子を第一蛍光体41の代わりに用いた比較例1、及び、ゾルゲル法により形成した酸化アルミニウムを含む付着物を備えた蛍光体を第一蛍光体41の代わりに用いた比較例2の発光装置は、高温高湿下において、1000時間連続点灯して保管した後は、差分Δyが0.08以上と大きくなり、色度ずれが生じており、相対光束(Po)も85以下と低く、発光出力が低下していた。
比較例2のゾルゲル法により形成した酸化アルミニウムを含む付着物を備えた蛍光体は、チオガレート蛍光体粒子の表面に略均一な厚みで酸化アルミニウムを含む付着物が付着しておらず、表面に凸凹が形成されていた。
比較例3のゾルゲル法により形成した二酸化ケイ素を含む付着物を備えた蛍光体を用いた発光装置は、高温高湿下において、1000時間連続点灯して保管した後、相対光束は90未満と低くなり、発光出力が低下していた。
図2及び図3に示すように、参考例3に用いた第一蛍光体41は、チオガレート蛍光体粒子の表面の全面にCVD法により滑らかな酸化アルミニウムを含む膜が形成されていた。
一方、図4及び図5に示すように、比較例2の第一蛍光体41の代わりに用いた蛍光体は、チオガレート蛍光体粒子の表面の一部にゾルゲル法による酸化アルミニウムを含む付着物が付着していた。また、それら付着物は、生成した小さな酸化アルミニウムの粒子同士が凝集した状態であった。図4に示すように、比較例2の第一蛍光体41の代わりに用いた蛍光体の表面は、ゾルゲル法による酸化アルミニウムを含む付着物によって、チオガレート蛍光体粒子の表面が滑らにならず凸凹していた。
図6に示すように、図3に示す参考例3に用いた第一蛍光体41のSEM画像において、酸化アルミニウムを含む膜の厚み方向の略中心部分の領域を測定したSEM−EDX法による元素分析の結果、試料作製の際に由来する炭素元素(C)およびチオガレート蛍光体粒子を構成する元素であるストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、硫黄(S)元素の他に、アルミニウム(Al)と酸素(O)元素のピークが現れており、参考例3に用いた第一蛍光体41は、チオガレート蛍光体粒子の表面に接してCVD法により酸化アルミニウムを含む膜が形成されていることが確認できた。
図7に示すように、図5に示す比較例2に用いた蛍光体のSEM画像において、ゾルゲル法で形成した酸化アルミニウムを含む付着物の表面近傍の領域を測定したSEM−EDX法による元素分析の結果、試料作製の際に由来する炭素元素(C)およびチオガレート蛍光体粒子を構成する元素であるストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、硫黄(S)元素の他に、ゾルゲル法によって形成された酸化アルミニウムを含む付着物を構成するアルミニウム(Al)と酸素(O)元素のピークが現れていた。
表2に、比較例1〜3に用いた蛍光体及び実施例9〜11、参考例8、12、13に用いた第一蛍光体41と、これらの蛍光体を用いた発光装置の評価結果を示す。
表2に示すように、実施例9〜11、参考例8、12、13の発光装置は、高温高湿下、1000時間連続点灯して保管した後においても、1000時間点灯無しで保管した後においても、比較例1〜3の発光装置と比べて、差分Δyの絶対値が小さく、色度ずれを生じていないことが確認できた。また、表2に示すように、実施例9〜11、参考例8、12、13の発光装置は、高温高湿下において、1000時間連続点灯して保管した後においても、1000時間点灯無しで保管した後においても、相対光束(Po)80以上を維持していた。実施例9〜11、参考例8、12、13の発光装置は、比較例1〜3の発光装置と比べて、高温高湿下で1000時間保管した後も、発光出力を維持し、発光出力の低下が抑制されていることが確認できた。
参考例例8に用いた第一蛍光体41のように、二酸化ケイ素を含む付着物の量が少ないと、高温高湿下、1000時間点灯無しで保管した後において、相対光束が他の実施例9〜11、参考例12、13よりも低くなっていた。
また、参考例13に用いた第一蛍光体41のように、チオガレート蛍光体粒子の表面にゾルゲル法により二酸化ケイ素を含む付着物を付着させた後、チオガレート蛍光体粒子と二酸化ケイ素を含む付着物の上からCVD法により酸化アルミニウムを含む膜を形成した場合であっても、高温高湿下、1000時間連続点灯して保管した後においても、1000時間点灯無しで保管した後においても、色度ずれを抑制でき、相対光束を維持でき、発光出力の低下を抑制できることが確認できた。
図8に示すように、実施例10に用いた第一蛍光体41は、チオガレート蛍光体粒子の表面の全面にCVD法により形成された滑らかな酸化アルミニウムを含む膜が形成され、さらに酸化アルミニウムを含む膜の表面に比較的滑らかに、二酸化ケイ素を含む付着物が付着されていた。図9に示すように、実施例10に用いた第一蛍光体41は、チオガレート蛍光体粒子の表面の全面にCVD法により形成された酸化アルミニウムを含む膜及び二酸化ケイ素を含む付着物が均一に近い厚みで形成されていた。
図10に示すように、図9に示す実施例10に用いた第一蛍光体41のSEM画像において、CVD法により形成された酸化アルミニウムを含む膜及び二酸化ケイ素を含む付着物の領域を測定したSEM−EDX法による元素分析の結果、試料作製の際に由来する炭素元素(C)およびチオガレート蛍光体粒子を構成する元素であるストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、硫黄(S)元素の他に、酸化アルミニウムを含む膜を構成するアルミニウム(Al)と酸素(O)元素のピークが現れて、さらに、二酸化ケイ素を含む付着物を構成するケイ素(Si)と酸素(O)元素のピークが現れており、実施例10に用いた第一蛍光体41は、チオガレート蛍光体粒子の表面に酸化アルミニウムを含む膜及び二酸化ケイ素を含む付着物が形成されていることが確認できた。
本発明に係る発光装置は、白色のLEDディスプレイ光源、バックライト光源、照明用光源等に好適に利用できる。
10:光源、20:パッケージ、21:第一リード、22:第二リード、23:成形体、30:ワイヤ、40:蛍光部材、41:第一蛍光体、42:第二蛍光体、100:発光装置

Claims (4)

  1. チオガレート蛍光体からなる粒子に、前記チオガレート蛍光体の粒子の表面に接して、CVD法により、前記チオガレート蛍光体の粒子の表面の全面を、酸化アルミニウムを含む膜で被覆し、前記アルミニウムを含む膜の表面に、ゾルゲル法により、二酸化ケイ素を含む付着物を形成して、アルミニウム元素の含有量が0.4質量%以上10質量%以下である、緑色から黄緑色の範囲の蛍光を発する第一蛍光体を得る工程と、420〜480nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する光源と、前記第一蛍光体と、黄赤色から赤色の範囲の蛍光を発するマンガンが賦活されたフッ化物蛍光体である第二蛍光体とを用いて発光装置を得る工程とを含
    前記第一蛍光体を得る工程において、前記第一蛍光体の粒径に対する酸化アルミニウムを含む膜の厚みの比率の平均値が0.5%以上10%以下であり、
    前記第一蛍光体の粒径に対する前記二酸化ケイ素を含む付着物の厚みの比率の平均値が1.7%以上5.1%以下である、発光装置の製造方法。
  2. 前記第一蛍光体中のケイ素元素の含有量が0.5質量%以上10質量%以下である、請求項に記載の発光装置の製造方法。
  3. 前記第一蛍光体中のアルミニウム元素の含有量が1.7質量%以上である、請求項1又は2に記載の発光装置の製造方法。
  4. 前記第一蛍光体の平均粒径が3.0μm以上20μm以下である、請求項1から3のいずれか1項に発光装置の製造方法。
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