以下、実施形態に係るX線CTシステムについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能および構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
図1は、実施形態に係るX線CTシステム1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るX線CTシステム1は、被検体に対してX線コンピュータ断層撮影(CT(Computed Tomography)撮影)を実行するための架台(ガントリ:Gantry)2を複数の検査室間で共有するものである。架台2は、搬送装置や搬送用経路(レール)8を用いて複数の検査室間を移動可能に設けられる。また、架台2の移動経路、かつ複数の検査室の間に開閉扉9を設け、各検査室の独立性を保っている。
図1は、当該架台2を2つの検査室間で共有する2ルームCTの構成を示す。例えば、一方の検査室R1には、断層面の静止画等を撮影可能なX線CT装置が設けられる。X線CT装置は、架台2、CTコンソール3、およびCT用寝台4(天板T1を含む)を備える。架台2は、検査室R2に設けられる他のモダリティと共有する。
他方の検査室R2には、血管の平面動画等を撮影可能なX線血管造影(アンギオ:Angio)装置が設けられる。本実施形態では、当該X線アンギオ装置と当該X線CT装置に備えられる架台2により、X線アンギオCT(Angio-CT)装置として動作する。X線アンギオ装置は、X線コンソール6、およびアンギオ用寝台7(天板T2を含む)を備える。架台2は、検査室R1に設けられる他のモダリティと共有する。図2は、図1に示す検査室R2側から見たX線CTシステム1を示す外観図である。本実施形態に係るX線CTシステム1の各構成は、例えば、図2に示すように配置される。図2に示す各構成の配置は、使用するモダリティの種類や施設内の設置環境等に応じて適宜変更可能である。
ここで、実施形態に係るX線CTシステム1に備えられるX線CT装置およびアンギオ装置の構成について詳しく説明する。
図3は、実施形態に係るX線CTシステム1に備えられるX線CT装置およびX線アンギオCT装置の構成を示すブロック図である。まず、X線CT装置について説明する。
図3に示すように、X線CT装置は、架台2、CTコンソール3およびCT用寝台4を備える。架台2は、スリップリング(slip ring)21、管電圧発生装置22、X線管23、X線検出器24、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)25、非接触データ伝送回路26、搬送装置27および架台制御回路28を有している。架台2は、回転リング29、被検体の体軸(Z軸)を回転軸として回転自在に回転リング29を支持するリング支持機構、および回転リング29を回転駆動させる回転駆動装置(電動機)30等を有する。回転リング29の開口部には、被検体Pを載置可能な天板T1が挿入される。天板T1は、回転リング29の中心軸に沿って移動可能にCT用寝台4に支持される。ここで、天板T1に載置された被検体Pの体軸が回転リング29の中心軸に一致するように、天板T1が位置決めされる。回転リング29には、管電圧発生装置22、X線管23、DAS25および非接触データ伝送回路26、図示していない冷却装置等が搭載される。
管電圧発生装置22は、架台制御回路28を介したCTコンソール3による制御の下で、X線管23に印加する管電圧と、X線管23に供給する管電流(フィラメント電流(Filament current))とを発生する。
X線管23は、スリップリング21を介して、管電圧発生装置22からの管電圧の印加および管電流の供給を受け、X線の焦点から天板T1に載置された被検体PへX線を放射する。
X線検出器24は、回転軸を挟んでX線管23に対峙する位置および角度で、回転リング29に取り付けられる。X線検出器24は、複数の検出素子を有する。ここでは、単一の検出素子が単一のチャンネルを構成しているものとして説明する。複数のチャンネルは、回転軸に直交し、かつ放射されるX線の焦点を中心として、この中心から1チャンネル分の検出素子の中心までの距離を半径とする円弧方向(チャンネル方向)とZ方向(スライス方向)との2方向に関して2次元状に配列される。X線検出器24の出力側には、DAS25が接続される。X線検出器24は、複数の検出素子を1列に配列する。このとき、複数の検出素子各々は、上記チャンネル方向に沿って略円弧方向に1次元状に配列される。また、複数の検出素子は、チャンネル方向とスライス方向との2方向に関して2次元状に配列させてもよい。すなわち、2次元状の配列は、上記チャンネル方向に沿って一次元状に配列された複数のチャンネルを、スライス方向に関して複数列並べて構成される。このような2次元状の検出素子配列を有するX線検出器24は、略円弧方向に1次元状に配列される複数の上記複数の検出素子をスライス方向に関して複数列並べて構成してもよい。
DAS25は、X線検出器24の各チャンネルの電流信号を電圧に変換するIV変換器と、この電圧信号をX線の曝射周期に同期して周期的に積分する積分器と、この積分器の出力信号を増幅するアンプと、このアンプの出力信号をディジタル信号変換するアナログ・ディジタル・コンバータとを、チャンネルごとに取り付けている。DAS25は、出力したデータ(純生データ(pure raw data))を、磁気送受信又は光送受信を用いた非接触データ伝送回路26を経由して、CTコンソール3に伝送する。
搬送装置27は、架台2の下部に設けられる。搬送装置27は、架台制御回路28を介したCTコンソール3またはX線コンソール6からの制御に応じて、検査室R1、検査室R2、または検査室R1と検査室R2との間で架台2を移動する。搬送装置27は、例えば、モータ、車軸、車輪等を有する。本実施形態では、検査室に設けられる搬送用レール8に沿って、架台2を複数の検査室間で移動可能とする。
架台制御回路28は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを含む。架台制御回路28のプロセッサは、CTコンソール3から出力される制御信号に応じて、架台2内に設けられる各構成の動作を統括的に制御する。例えば、架台制御回路28は、CTコンソール3またはX線コンソール6からの制御に応じて、検査室R1、検査室R2、または検査室R1と検査室R2との間で架台2を移動する。
CTコンソール3は、前処理回路31、再構成回路32、入力インターフェース(I/F)回路33、通信インターフェース(I/F)回路34、ディスプレイ35、記憶回路36およびシステム制御回路37を備える。
前処理回路31は、非接触データ伝送回路26から出力された純生データに対して前処理を施す。前処理には、例えば、純生データに対する対数変換処理、チャンネル間の感度不均一補正処理、X線強吸収体、主に金属部による極端な信号強度の低下または、信号脱落を補正する処理等が含まれる。前処理回路31は、前処理を施した再構成処理直前のデータ(生データ(raw data)または、投影データと称される、ここでは投影データという)を、再構成回路32および記憶回路36へ伝送する。
再構成回路32は、メモリと所定のプロセッサによって実現される。再構成回路32は、例えば、前処理回路31から伝送された投影データセットに基づいて、略円柱形のボリュームデータを再構成する。また、再構成回路32は、例えば、上記投影データセットから2次元CT画像(断層画像、以降、単にCT画像と記載)を再構成する。再構成回路32は、再構成されたボリュームデータを記憶回路36へ伝送する。再構成回路32は、再構成されたCT画像を記憶回路36へ伝送する。
入力インターフェース回路33は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インターフェース回路33は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換しシステム制御回路37へ出力する。本実施形態において、入力インターフェース回路33には、操作者により検査スケジュール変更指示が入力される。検査スケジュール変更指示に応じて検査スケジュールが変更される。
なお、本実施形態において、入力インターフェース回路33は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号をシステム制御回路37へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース回路33の例に含まれる。
通信インターフェース回路34は、有線あるいは無線にて外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、X線コンソール6、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)およびPACS(Picture Archiving and Communication System)等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。
ディスプレイ35は、システム制御回路37による制御に従い種々のデータおよび上記CT画像および上記3次元画像等を表示機器に表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイまたは当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
記憶回路36は、比較的大容量のデータを記憶可能なHDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)等である。記憶回路36は、検査室R1および検査室R2各々の検査スケジュールを記憶する。ここで、検査スケジュールは、各検査室において実施される医用検査(以降、単に検査と記載する。)と時間帯とを関連付けた表である。例えば、検査スケジュールは、検査室R1および検査室R2それぞれにおいて実施される検査の開始時刻および終了時刻を示すテーブルである。当該医用検査には、架台2を使用する検査が含まれる。
また、記憶回路36は、再構成回路32により再構成されたCT画像を記憶する。記憶回路36は、前処理回路31から伝送された投影データおよび再構成回路32で再構成されたボリュームデータを記憶する。なお、記憶回路36は、HDD等の磁気ディスク以外にも、光磁気ディスクやCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクを利用してもよい。また、記憶回路36の保存領域は、X線CTシステム1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
システム制御回路37は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを含む。システム制御回路37のプロセッサは、メモリに記憶される管理プログラムにより、上記検査スケジュールを管理するための管理機能371を実現する。具体的には、システム制御回路37は、管理機能371として、複数の検査室における検査スケジュールを管理する。システム制御回路37は、入力インターフェース回路33において入力された検査スケジュール変更指示に基づいて、検査室R1における検査スケジュールを変更する。
システム制御回路37は、検査スケジュール変更指示に応じた検査スケジュールの変更が、対象となる一方の検査室R1以外の他方の検査室R2の検査スケジュールに影響する場合、影響を受ける他方の検査室R2のX線コンソール6へ検査スケジュール変更の許可を申請する。システム制御回路37は、検査スケジュール変更の許可の申請を受けた他方の検査室R2のX線コンソール6からの許諾通知を一方の検査室R1のCTコンソール3で受信し、一方の検査室R1のCTコンソール3と他方の検査室R2のX線コンソール6とで検査スケジュールを同期させることにより検査スケジュールの変更を確定する。システム制御回路37は、他方の検査室のX線コンソール6からの許諾通知を受信しない場合、検査スケジュールの変更を確定せず、変更前の検査スケジュールで管理する。
また、システム制御回路37のプロセッサは、メモリに記憶される制御プログラムにより、架台2における各構成およびCTコンソール3における各構成の動作および処理等を統括的に制御するための制御機能372を実現する。具体的には、システム制御回路37は、制御機能372として、記憶回路36に記憶された検査スケジュールに基づいて、搬送装置27による架台2の移動を制御する。システム制御回路37は、次に実施する検査が架台2を使用する検査である場合、当該検査スケジュールに基づいて、実施される検査の開始時刻の経過前または経過時に、架台2を使用する検査室へ架台2を移動する。もし、架台2を使用する検査室に架台2が設置されている場合、システム制御回路37は、架台2を待機させる。ここで、架台2の移動に伴う開閉扉9の開閉は、架台2の移動を通知された技師または操作者により行なっても、システム制御回路37により制御してもよい。
また、システム制御回路37は、所定のスキャンシーケンスに従って撮影を行うように、管電圧発生装置22からスリップリング21への電力供給を制御する。また、システム制御回路37は、回転駆動装置30を制御することで、回転リング29を回転させる。システム制御回路37は、天板駆動装置(図示省略)を制御することで天板T1を移動させる。天板T1の移動により天板T1に載置された被検体Pが回転軸に沿って移動される。
また、システム制御回路37のプロセッサは、メモリに記憶される通知プログラムにより、架台2が移動することを通知するための通知機能373を実現する。具体的には、システム制御回路37は、通知機能373として、架台2を一方の検査室から他方の検査室へ移動する場合、検査室R1の操作者および技師、検査室R2の操作者および技師に対して架台2の移動を開始することを示す移動開始通知、および移動中を示す移動中通知を出力する。システム制御回路37は、移動開始通知および移動中通知を出力するための通知画面をディスプレイ35およびディスプレイ64に表示する。また、システム制御回路37は、移動開始通知および移動中通知を警告音および音声のうちの少なくとも1つを各コンソールまたは架台2から出力する。また、システム制御回路37は、移動開始通知および移動中通知をランプや操作パネルでの点灯/消灯等により通知する。また、架台2にモニタをさらに設け、当該モニタに移動開始通知および移動中通知を出力するための通知画面を表示する。
次に、X線アンギオ装置について説明する。図3に示すように、X線アンギオ装置は、X線撮影装置5、X線コンソール6およびアンギオ用寝台7を備える。
X線撮影装置5は、管電圧発生装置51、X線管52、X線検出器53、支持機構54、駆動装置55および撮影制御回路56を備える。
管電圧発生装置51は、撮影制御回路56を介したX線コンソール6による制御の下で、X線撮影条件に従って、X線管52に供給する管電流およびX線管52に印加する管電圧を発生する。
X線管52は、管電圧発生装置51からの管電圧の印加および管電流の供給を受ける。X線管52は、X線の焦点から天板T2に載置された被検体PへX線を放射する。X線管52は、管電圧発生装置51により印加される管電圧に対応するエネルギースペクトルを有するX線を発生する。X線の放射範囲は、図3に示す一点鎖線で示す。
X線検出器53は、X線管52から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。X線検出器53は、複数の半導体検出素子とアナログディジタル変換器(ADC:Analog to Digital Convertor)とを有する。X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、ADCに出力される。ADCは、電気信号をディジタルデータに変換する。ADCは、ディジタルデータを画像発生回路61に出力する。なお、X線検出器53として、イメージインテンシファイア(Image-intensifier)が用いられてもよい。
支持機構54は、X線管52とX線検出器53とを移動可能に支持する。具体的には、支持機構54は、例えば、CアームとCアームフレームとを有する。Cアームは、X線管52とX線検出器53とを、互いに向き合うように搭載する。また、Cアームは、X線焦点とX線検出器53との距離(線源受像面間距離(SID:Source Image Distance)を変更可能に、X線管52とX線検出器53とを接近または離間可能に支持する。Cアームフレームは、Cアームを回転可能に支持する。
なお、本実施形態に係るX線撮影装置5における支持機構54は、Cアームによる構造に限定されない。支持機構54は、例えば、X線管52とX線検出器53とをそれぞれ支持する2つのアーム(例えばロボットアーム等)により、任意の方向に移動可能に支持されてもよい。また、支持機構54は、Cアームの代わりに天井からつり下げられたΩアームであってもよい。また、本実施形態に係るX線撮影装置5における支持機構54は、オーバーチューブ方式(Over Tube System)、およびアンダーチューブ方式(Under Tube System)等に限定されず任意の形態に適用可能である。
駆動装置55は、X線コンソール6の制御の下で、支持機構54を駆動する。具体的には、駆動装置55は、システム制御回路66からの制御信号に応じた駆動信号をCアームフレームに供給して、Cアームを回転させる。また、駆動装置55は、システム制御回路66の制御の下で、アンギオ用寝台7を駆動することにより、天板T2を移動させる。具体的には、駆動装置55は、システム制御回路66からの制御信号に基づいて、天板T2の短軸方向または天板T2の長軸方向に、天板T2をスライドさせる。また、駆動装置55は、鉛直方向に関して、天板T2を昇降する。加えて、駆動装置55は、長軸方向と短軸方向とのうち少なくとも一つの方向を回転軸として、天板T2を傾けるために天板T2を回転してもよい。
撮影制御回路56は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを含む。撮影制御回路56のプロセッサは、X線コンソール6のシステム制御回路66から出力される制御信号に応じて、X線撮影装置5内に設けられる各構成の動作を統括的に制御する。
X線コンソール6は、画像発生回路61、入力インターフェース回路62、通信インターフェース回路63、ディスプレイ64、記憶回路65およびシステム制御回路66を備える。
画像発生回路61は、X線検出器53から出力されたディジタルデータに対して、前処理を実行する。前処理には、X線検出器53におけるチャンネル間の感度不均一補正、および金属等のX線強吸収体による極端な信号の低下またはデータの脱落に関する補正等が含まれる。画像発生回路61は、前処理されたディジタルデータに基づいて、X線画像を発生する。画像発生回路61は、発生したX線画像を、ディスプレイ64および記憶回路65に出力する。
入力インターフェース回路62は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インターフェース回路62は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、システム制御回路66へ出力する。本実施形態において、入力インターフェース回路62には、操作者により検査スケジュール変更指示が入力される。検査スケジュール変更指示に応じて検査スケジュールが変更される。
なお、本実施形態において、入力インターフェース回路62は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号をシステム制御回路66へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース回路62の例に含まれる。
通信インターフェース回路63は、有線あるいは無線にて外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、CTコンソール3、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)およびPACS(Picture Archiving and Communication System)等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。
ディスプレイ64は、システム制御回路66による制御に従い種々のデータおよび上記X線画像、撮影位置、X線照射条件等の入力に関する入力画面等を表示機器に表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイまたは当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
記憶回路65は、比較的大容量のデータを記憶可能なHDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)等である。記憶回路65は、検査室R1および検査室R2各々の検査スケジュールを記憶する。当該検査には、架台2を使用する検査が含まれる。
また、記憶回路65は、画像発生回路61で発生されたX線画像、X線撮影装置5の制御プログラム、診断プロトコル、入力インターフェース回路62から出力される操作者の指示、X線撮影に関する撮影条件および透視条件等の各種データ群、X線線量等を記憶する。なお、記憶回路65は、HDD等の磁気ディスク以外にも、光磁気ディスクやCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクを利用してもよい。また、記憶回路65の保存領域は、X線CTシステム1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
システム制御回路66は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを含む。システム制御回路66のプロセッサは、メモリに記憶される管理プログラムにより、上記検査スケジュールを管理するための管理機能661を実現する。具体的には、システム制御回路66は、管理機能661として、複数の検査室における検査スケジュールを管理する。システム制御回路66は、入力インターフェース回路62において入力された検査スケジュール変更指示に基づいて、検査室R2における検査スケジュールを変更する。
システム制御回路66は、検査スケジュール変更指示に応じた検査スケジュールの変更が、対象となる一方の検査室R2以外の他方の検査室R1の検査スケジュールに影響する場合、影響を受ける他方の検査室R1のCTコンソール3へ検査スケジュール変更の許可を申請する。システム制御回路66は、検査スケジュール変更の許可の申請を受けた他方の検査室R1のCTコンソール3からの許諾通知を一方の検査室R2のX線コンソール6で受信し、一方の検査室R2のX線コンソール6と他方の検査室R1のCTコンソール3とで検査スケジュールを同期させることにより検査スケジュールの変更を確定する。システム制御回路66は、他方の検査室R1のCTコンソール3からの許諾通知を受信しない場合、検査スケジュールの変更を確定せず、変更前の検査スケジュールで管理する。
また、システム制御回路66のプロセッサは、メモリに記憶される制御プログラムにより、X線コンソール6における各構成の動作および処理等を統括的に制御するための制御機能662を実現する。具体的には、システム制御回路66は、制御機能662として、記憶回路65に記憶された検査スケジュールに基づいて、搬送装置27による架台2の移動を制御する。システム制御回路66は、次に実施する検査が架台2を使用する検査である場合、当該検査スケジュールに基づいて、実施される検査の開始時刻の経過前または経過時に、架台2を使用する検査室へ架台2を移動する。もし、架台2を使用する検査室に架台2が設置されている場合、システム制御回路66は、架台2を待機させる。ここで、架台2の移動に伴う開閉扉9の開閉は、架台2の移動を通知された技師または操作者により行なっても、システム制御回路66により制御してもよい。
また、システム制御回路66は、入力インターフェース回路62から送られてくる操作者の指示、X線撮影位置、X線管52によるX線撮影方向、X線照射範囲、X線照射条件等の情報を、メモリに一時的に記憶する。システム制御回路66は、メモリに記憶された操作者の指示、X線撮影位置、X線撮影方向、X線照射範囲、X線照射条件等に従って、X線撮影を実行するために、管電圧発生装置51、X線検出器53、駆動装置55等を制御する。システム制御回路66は、ディスプレイ64等を制御する。
また、システム制御回路66のプロセッサは、メモリに記憶される通知プログラムにより、架台2が移動することを通知するための通知機能663を実現する。具体的には、システム制御回路66は、通知機能663として、架台2を一方の検査室から他方の検査室へ移動する場合、検査室R1の操作者および技師、検査室R2の操作者および技師に対して架台2の移動を開始することを示す移動開始通知、および移動中を示す移動中通知を出力する。システム制御回路66は、移動開始通知および移動中通知を出力するための通知画面をディスプレイ35およびディスプレイ64に表示する。また、システム制御回路66は、移動開始通知および移動中通知を警告音および音声のうちの少なくとも1つを各コンソールまたは架台2から出力する。また、システム制御回路66は、移動開始通知および移動中通知をランプや操作パネルでの点灯/消灯等により通知する。また、架台2にモニタをさらに設け、当該モニタに移動開始通知および移動中通知を出力するための通知画面を表示する。
ここで、実施形態に係るX線CTシステム1における架台移動について、詳細に説明する。
(検査スケジュールに沿った検査を実施する場合)
図4は、実施形態に係るX線CTシステム1における、検査スケジュールに沿った架台移動を示すシーケンスである。図4では、予定された検査スケジュールに沿って、架台2の移動を制御する場合について記載する。なお、図4では、検査スケジュールで実施を予定されているすべての検査を開始する前に、架台2が検査室R1に設置される場合について示す。また、図4において、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動が必要な場合、検査スケジュールに基づいて実施される検査の開始時刻前に架台2の移動を開始する。また、CTコンソール3およびX線コンソール6は、各時点において架台2が設置される検査室をそれぞれ把握可能とする。
また、CTコンソール3およびX線コンソール6は、検査の開始時刻および終了時刻の目安となる基準時刻(現在時刻)を取得可能とする。基準時刻は、X線CTシステム1の外部から取得される日本標準時(JST:Japan Standard Time)および協定世界時(UTC:Coordinated Universal Time)等、一般に基準とされる時刻とする。また、基準時刻は、院内で共通して用いられる独自の時刻であってもよい。以降、実施形態に関する記載についても同様である。
ステップSa1において、X線CTシステム1のCTコンソール3およびX線コンソール6は、互いの検査スケジュールを共有する。図5は、CTコンソール3およびX線コンソール6で共有される検査スケジュールを示す図である。図5に示す検査スケジュールは、検査を実施する年月日情報、各検査室において実施される検査の開始時刻情報および終了時刻情報を有する。具体的には、検査室R1において、時間帯「9:00−9:10」に検査「A」、時間帯「9:10−9:20」に検査「B」、時間帯「9:20−9:30」に検査「C」、時間帯「9:40−9:50」に検査「D」、時間帯「9:50−10:00」に検査「E」が実施される予定となっている。また、検査室R2において、時間帯「10:00−」に検査「F」が実施される予定となっている。
ステップSa2において、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動が必要であるか否かを判断する。まず、CTコンソール3およびX線コンソール6は、検査スケジュールに沿った各検査の開始時刻と現在時刻とを比較し、次に実施される検査がどの検査室で実施されるかを判断する。次に、現在、架台2が位置している検査室情報と当該次の検査を実施する検査室情報とから、架台2の移動が必要であるか否かを判断する。
具体的に、現在時刻が「9:05」である場合について記載する。現在時刻が「9:05」である場合、5分後に時間帯「9:10−9:20」に予定される検査「B」が検査室R1において実施される。このため、CTコンソール3およびX線コンソール6は、次に実施される検査が検査室R1で実施されると判断する。次に、架台2の移動が必要であるか否かを判断する。上記の場合、検査「B」は検査室R1において実施され、かつ架台2が検査室R1に設置される。このため、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動が不要であると判断する。すなわち、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動を検査室R1の操作者および技師と、検査室R2の操作者および技師とに対して通知しない。時間帯「9:00−9:50」に予定される検査「A」、「C」、「D」、「E」についても架台2の移動が不要であるため、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動を検査室R1の操作者および技師と、検査室R2の操作者および技師とに対して通知しない。
さらに時間が経過し、現在時刻が「9:55」となった場合について記載する。現在時刻が「9:55」となった場合、5分後に時間帯「10:00−」に予定される検査「F」が検査室R2において実施される。このため、CTコンソール3およびX線コンソール6は、次に実施される検査が検査室R2で実施されると判断する。次に、架台2の移動が必要であるか否かを判断する。上記の場合、検査「F」は検査室R2において実施され、かつ架台2が検査室R1に設置される。このため、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動が必要であると判断する。
ステップSa3において、CTコンソール3は、架台2の移動開始通知を検査室R1の操作者および技師に対して出力する。また、X線コンソール6は、架台2の移動開始通知を検査室R2の操作者および技師に対して出力する。具体的には、移動開始通知を出力するための通知画面をディスプレイ35およびディスプレイ64に表示する。また、移動開始通知を警告音および音声のうちの少なくとも1つを各コンソールまたは架台2から出力する。また、移動開始通知をランプや操作パネルでの点灯/消灯等により通知する。また、架台2にモニタをさらに設け、当該モニタに移動開始通知を出力するための通知画面を表示する。
ここで、検査室R2の技師は、当該架台2の移動開始通知を受け、架台2を受け入れるための準備を実施する。具体的には、検査室R2の技師は、検査室R2に設置される架台2以外の装置のレイアウトを変更する。また、検査室R2の技師は、検査室R1から検査室R2への架台2の移動経路を確保するため、開閉扉9を手動で開く。
ステップSa4において、X線コンソール6は、架台2を受け入れるための準備が完了した後、架台2を検査室R1から検査室R2へ移動することを許諾する。当該許諾は、操作者からの入力インターフェース回路62への入力により行う。例えば、入力インターフェース回路62にボタンを設け、操作者による当該ボタンの押下により許諾してもよい。また、入力インターフェース回路62がタッチパネルである場合、承認画面を表示し、操作者による承認画面の操作により許諾してもよい。
ステップSa5において、X線コンソール6は、当該許諾を契機として、架台2を検査室R1から検査室R2へ移動する。具体的には、X線コンソール6のシステム制御回路66は、制御機能662として、搬送装置27による架台2の移動を制御する。搬送装置27は、撮影制御回路56を介したシステム制御回路66からの制御に応じて検査室に設けられる搬送用レール8に沿って、架台2を検査室R1から検査室R2へ移動する。ここで、架台2は、検査室R2内に定義された所定の位置に移動する。所定の位置は、テーブルとして記憶回路65に記憶されている。例えば、システム制御回路66は、架台2を検査室R2の開閉扉9近傍に移動してもよい。その後、システム制御回路66は、必要に応じて、架台2を撮影位置まで移動してもよい。また、システム制御回路66は、架台2を撮影位置まで直接移動してもよい。このとき、システム制御回路66は、架台2に備えられる回転駆動装置による回転動作を継続させながら架台2を移動してもよい。
また、架台2を移動中、CTコンソール3は、架台2の移動中通知を検査室R1の操作者および技師に対して出力する。また、X線コンソール6は、架台2の移動中通知を検査室R2の操作者および技師に対して出力する。具体的には、移動中通知を出力するための通知画面をディスプレイ35およびディスプレイ64に表示する。また、移動中通知を警告音および音声のうちの少なくとも1つを各コンソールまたは架台2から出力する。また、移動中通知をランプや操作パネルでの点灯/消灯等により通知する。また、架台2にモニタをさらに設け、当該モニタに移動中通知を出力するための通知画面を表示する。
これにより、本実施形態に係るX線CTシステム1は、検査スケジュールに基づいた架台2の移動を実現することができる。
なお、上記実施形態では、架台2の移動通知を受けた検査室R2の技師により、検査室R2に設置される装置のレイアウトを変更していたが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、検査室R2の操作者が、X線コンソール6に備えられるシステム制御回路66による移動制御により装置のレイアウトを変更してもよい。また、上記実施形態では、架台2の移動通知を受けた検査室R2の技師により、開閉扉9を手動で開いていたが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、検査室R2の操作者が、X線コンソール6に備えられるシステム制御回路66による開閉制御により開閉扉9を開いてもよい。また、上記架台2を受け入れるための準備を検査室R2の技師または操作者により実施していたが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、装置のレイアウトの変更および開閉扉9の開閉に関する所定の準備動作パターンを記憶回路65に記憶し、所定の準備動作パターンに基づいて、当該架台2の移動通知を受けたシステム制御回路66により架台2の移動と同期して、架台2を受け入れるための準備を行ってもよい。また、架台2は、検査室R2に到着後、X線アンギオCT装置として使用可能になった場合、各コンソールに使用可能となったことを表示してもよい。
(追加検査を実施する場合)
図6は、実施形態に係るX線CTシステム1における、追加検査を実施する場合の架台移動を示すシーケンスである。図6では、緊急で検査を行う等、追加の検査を実施するため、予定された検査スケジュールを変更し、変更後の検査スケジュールに基づいて架台2の移動を制御する場合について記載する。なお、図6では、図4と同様に、架台2が検査室R1に設置される場合について示す。その他の条件についても、図4と同様である。
ステップSb1において、X線CTシステム1のCTコンソール3およびX線コンソール6は、互いの検査スケジュールを共有する。図7は、CTコンソール3およびX線コンソール6で共有される変更前の検査スケジュールを示す図である。図7に示す検査スケジュールは、図4に示す検査スケジュールと同様のものである。
ステップSb2において、X線コンソール6の入力インターフェース回路62を介して追加検査の申請が入力される。具体的には、図7に示すように、架台2を使用する緊急検査「G」を時間帯「9:20−9:30」の間に「検査室R2」で実施するための申請がX線コンソール6の入力インターフェース回路62を介して入力される。この場合、申請された緊急検査「G」と同じ時間帯に、検査室R1において検査「C」を実施予定である。このため、緊急検査「G」を実施するには、検査室R1における検査スケジュールを変更する必要がある。
ステップSb3において、X線コンソール6は、CTコンソール3へ当該追加検査の許可申請を出力する。ステップSb4において、CTコンソール3は、X線コンソール6からの当該追加検査の許可申請を受けて、検査室R1における検査スケジュールを調整可能か否か判断する。CTコンソール3は、検査室R1における検査スケジュールを調整可能であれば、検査の時間を繰り下げる、または別の時間に実行するよう当該検査スケジュールを変更する。具体的には、検査室R1における検査スケジュールにおいて、時間帯「9:30−9:40」が空き時間となっている。このため、CTコンソール3は、時間帯「9:20−9:30」に実施予定の検査「C」を時間帯「9:30−9:40」に繰り下げる。
ステップSb5において、CTコンソール3は、検査室R1における検査スケジュールの変更後、X線コンソール6へ当該申請の許諾通知を出力する。ステップSb6において、X線コンソール6は、CTコンソール3からの許諾通知を受けて、架台2を使用する緊急検査「G」を時間帯「9:20−9:30」の間に「検査室R2」で実施するよう、検査室R2における検査スケジュールを調整する。さらにステップSb7において、X線コンソール6およびCTコンソール3は、互いの検査スケジュールを同期させる。検査室R2のX線コンソール6と検査室R1のCTコンソール3とで検査スケジュールを同期させることにより検査室R2における検査スケジュールの変更が確定される。図8は、CTコンソール3およびX線コンソール6で共有される変更後の検査スケジュールを示す図である。なお、検査室のCTコンソール3からの許諾通知を受信しない場合、CTコンソール3およびX線コンソール6は、検査室R2における検査スケジュールの変更を確定せず、変更前の検査スケジュールで管理する。
ステップSb8において、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動が必要であるか否かを判断する。緊急検査「G」は検査室R2において実施され、かつ架台2が検査室R1に設置される。このため、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動が必要であると判断する。
ステップSb9において、図4と同様に、CTコンソール3は、架台2の移動開始通知を検査室R1の操作者および技師に対して出力する。また、X線コンソール6は、架台2の移動開始通知を検査室R2の操作者および技師に対して出力する。ここで、検査室R2の技師は、当該架台2の移動開始通知を受け、架台2を受け入れるための準備を実施する。ステップSb10において、X線コンソール6は、架台2を受け入れるための準備が完了した後、架台2を検査室R1から検査室R2へ移動することを許諾する。当該許諾は、操作者からの入力インターフェース回路62への入力により行う。
ステップSb11において、X線コンソール6は、当該許諾を契機として、架台2を検査室R1から検査室R2へ移動する。ここで、架台2は、図4と同様に、検査室R2内に定義された所定の位置に移動する。また、架台2を移動中、CTコンソール3は、図4と同様に、架台2の移動中通知を検査室R1の操作者および技師に対して出力する。また、X線コンソール6は、架台2の移動中通知を検査室R2の操作者および技師に対して出力する。
これにより、本実施形態に係るX線CTシステム1は、追加で検査を実施したい場合に検査スケジュールを変更し、変更した検査スケジュールに基づいた架台2の移動を実現することができる。
なお、一方の検査室における検査スケジュールの変更が、他方の検査室における検査スケジュールに影響しない場合、検査スケジュール変更の許可申請は不要である。例えば、空き時間に追加検査を実施するための許可を申請する場合、検査スケジュール変更の許可申請は不要である。
(検査実施中に別の検査を実施する場合)
図9は、実施形態に係るX線CTシステム1における、検査実施中に別の検査を実施する場合の架台移動を示すシーケンスである。図9では、一方の検査室において検査を実施中、他方の検査室において緊急の検査を実施するため、予W定された検査スケジュールを変更し、変更後の検査スケジュールに基づいて架台2の移動を制御する場合について記載する。なお、図9では、架台2が検査を実施している検査室R2に設置される場合について示す。その他の条件については、図4および図6と同様である。
ステップSc1において、X線CTシステム1のCTコンソール3およびX線コンソール6は、互いの検査スケジュールを共有する。図10は、CTコンソール3およびX線コンソール6で共有される変更前の検査スケジュールを示す図である。図10に示す検査スケジュールは、検査を実施する年月日情報、各検査室において実施される検査の開始時刻情報および終了時刻情報を有する。具体的には、検査室R1において、時間帯「9:00−9:10」に検査「A」、時間帯「9:50−10:00」に検査「C」が実施される予定となっている。また、検査室R2において、時間帯「9:10−9:50」に検査「B」、時間帯「10:00−」に検査「D」が実施される予定となっている。
ステップSc2において、検査室R2において検査「B」を実施中とする。ステップSc3において、X線コンソール6の入力インターフェース回路62を介して追加検査の申請が入力される。具体的には、図10に示すように、架台2を使用する緊急検査「H」を空いている時間帯「9:10−9:50」のいずれかの時間帯に「検査室R1」で実施するための申請がX線コンソール6の入力インターフェース回路62を介して入力される。この場合、申請された緊急検査「H」と同じ時間帯に、検査室R2において検査「B」を実施中である。このため、緊急検査「H」を実施するには、検査室R2における検査スケジュールを変更して、検査室R1において一時的に架台2を使用可能とする必要がある。
ステップSc4において、CTコンソール3は、X線コンソール6へ当該追加検査の許可申請を出力する。ステップSc5において、X線コンソール6は、CTコンソール3からの当該追加検査の許可申請を受けて、検査室R2における検査スケジュールを調整可能か否か判断する。X線コンソール6は、検査室R2における検査スケジュールを調整可能であれば、検査室R1において、一時的に架台2を使用可能とするよう当該検査スケジュールを変更する。具体的には、検査室R2内にいる医師や技師等が、時間帯「9:20−9:30」であれば架台2を検査室R1へ移動可能であると判断する。このため、X線コンソール6は、時間帯「9:20−9:30」に架台2を検査室R2から検査室R1へ一時的に移動可能にするよう検査スケジュールを変更する。
ステップSc6において、X線コンソール6は、検査室R2における検査スケジュールの変更後、CTコンソール3へ当該申請の許諾通知を出力する。ステップSc7において、CTコンソール3は、X線コンソール6からの許諾通知を受けて、架台2を使用する緊急検査「H」を時間帯「9:20−9:30」の間に「検査室R1」で実施するよう、検査室R1における検査スケジュールを調整する。さらにステップSc8において、CTコンソール3およびX線コンソール6は、互いの検査スケジュールを同期させる。検査室R2のX線コンソール6と検査室R1のCTコンソール3とで検査スケジュールを同期させることにより検査室R2における検査スケジュールの変更が確定される。図11は、CTコンソール3およびX線コンソール6で共有される変更後の検査スケジュールを示す図である。
ステップSc9において、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動が必要であるか否かを判断する。緊急検査「H」は検査室R1において実施され、かつ架台2が検査室R2に設置される。このため、CTコンソール3およびX線コンソール6は、架台2の移動が必要であると判断する。
ステップSc10において、図4および図6と同様に、CTコンソール3は、架台2の移動開始通知を検査室R1の操作者および技師に対して出力する。また、X線コンソール6は、架台2の移動開始通知を検査室R2の操作者および技師に対して出力する。
ここで、検査室R1の技師は、当該架台2の移動開始通知を受け、架台2を受け入れるための準備を実施する。具体的には、検査室R1の技師は、検査室R2に設置される架台2以外の装置のレイアウトを変更する。また、検査室R1の技師は、検査室R2から検査室R1への架台2の移動経路を確保するため、開閉扉9を手動で開く。
さらに、図9において、架台2は、検査室R2から検査室R1へ一時的に移動するため、検査室R1における検査完了後、架台2を検査室R1から検査室R2へ戻す必要がある。ステップSc11において、検査完了後に元の状態へ戻すため、CTコンソール3は、架台移動直前の架台2に関する移動前情報を記憶回路36に記憶する。また、X線コンソール6は、架台移動直前のX線撮影装置5に関する移動前情報を記憶回路65に記憶する。図12は、図3に示す記憶回路に記憶される移動前情報を示す図である。図12に示すように、移動前情報として、各検査室に配置される装置に関する情報を記憶する。
移動前情報とは、例えば、各検査室に配置される架台2やCアームに関する情報を収集したテーブルである。記憶回路65には、例えば、検査室R2で使用されている架台2の位置、チルト角、回転速度、天板T2の位置が記憶される。また、検査室R2で使用されているCアームの位置、回転角度、回転速度が記憶される。上記の他にも、検査室R1に関する情報として、例えば、架台2による撮影位置(全範囲、腹部、頭部、胸部等)、撮影範囲、撮影条件(管電流、管電圧、スライス厚、ピッチ等)、CT用寝台4の位置を記憶してもよい。また、検査室R2に関する情報として、例えば、Cアームによる撮影位置(腹部、頭部、胸部等)、撮影範囲、撮影条件(管電流、管電圧等)、アンギオ用寝台7の位置を記憶してもよい。
ステップSc12において、CTコンソール3は、架台2を受け入れるための準備が完了した後、架台2を検査室R2から検査室R1へ移動することを許諾する。当該許諾は、操作者からの入力インターフェース回路33への入力により行う。ステップSc13において、CTコンソール3は、当該許諾を契機として、架台2を検査室R2から検査室R1へ移動する。
ステップSc14において、緊急検査「H」が完了した後、ステップSc15において、CTコンソール3は、X線コンソール6に対して完了通知を出力する。ステップSc16において、CTコンソール3は、架台2の移動開始通知を検査室R1の操作者および技師に対して出力する。また、X線コンソール6は、当該完了通知を受けて、架台2の移動開始通知を検査室R2の操作者および技師に対して出力する。ここで、検査室R2の技師は、当該架台2の移動開始通知を受け、架台2を受け入れるための準備を実施する。
ステップSc17において、X線コンソール6は、架台2を受け入れるための準備が完了した後、架台2を検査室R1から検査室R2へ移動することを許諾する。ステップSc18において、X線コンソール6は、当該許諾を契機として、記憶回路65に記憶された移動前情報に基づいて、架台2を検査室R1から検査室R2へ移動する。ここで、架台2は、図4および図6と同様に、検査室R2における元の位置に移動する。また、架台2を移動中、CTコンソール3は、図4および図6と同様に、架台2の移動中通知を検査室R1の操作者および技師に対して出力する。また、X線コンソール6は、架台2の移動中通知を検査室R2の操作者および技師に対して出力する。
これにより、本実施形態に係るX線CTシステム1は、検査実施中に別の検査を実施したい場合に検査スケジュールを変更し、変更した検査スケジュールに基づいた架台2の移動を実現することができる。
なお、上記実施形態では、当該移動前情報に基づいて架台2を検査室R2の元の位置に移動していたが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、一時的に使用した架台2を戻す所定の位置をテーブルとして予め記憶しておいてもよい。また、上記実施形態では、一時的に架台2を移動させるため、検査室R1における検査スケジュールを変更し、変更した検査スケジュールに基づいて架台2を移動していたが、本実施形態はこれに限定されない。上記実施形態では、ステップSc12における移動許諾を受けた場合に、検査室の技師により手動で架台2を移動してもよい。
(検査を延長する場合)
図13は、実施形態に係るX線CTシステム1における、実施中の検査を延長する場合の架台移動を示すシーケンスである。図13では、実施中の検査を延長するため、予定された検査スケジュールを変更し、変更後の検査スケジュールに基づいて架台2の移動を制御する場合について記載する。
ステップSd1において、X線CTシステム1のCTコンソール3およびX線コンソール6は、互いの検査スケジュールを共有する。図14は、CTコンソール3およびX線コンソール6で共有される変更前の検査スケジュールを示す図である。図14に示す検査スケジュールは、検査を実施する年月日情報、各検査室において実施される検査の開始時刻情報および終了時刻情報を有する。具体的には、検査室R1において、時間帯「9:00−9:10」に検査「A」、時間帯「9:10−9:20」に検査「B」、時間帯「9:40−9:50」に検査「E」が実施される予定となっている。また、検査室R2において、時間帯「9:20−9:30」に検査「C」、時間帯「9:30−9:40」に検査「D」が実施される予定となっている。
ステップSd2において、CTコンソール3の入力インターフェース回路33を介して検査の延長申請が入力される。具体的には、図14に示すように、架台2を使用する検査「B」を時間帯「9:30」まで延長するための申請がCTコンソール3の入力インターフェース回路33を介して入力される。この場合、申請された検査「B」と同じ時間帯に、検査室R2において検査「C」を実施予定である。このため、検査「B」を延長するには、検査「B」以降に実施される検査スケジュールを変更する必要がある。
ステップSd3において、CTコンソール3は、X線コンソール6へ当該検査の延長許可申請を出力する。ステップSd4において、X線コンソール6は、CTコンソール3からの当該検査の延長許可申請を受けて、検査室R2における検査スケジュールを調整可能か否か判断する。X線コンソール6は、検査室R2における検査スケジュールを調整可能であれば、検査の時間を繰り下げる、または別の時間に実行するよう当該検査スケジュールを変更する。具体的には、X線コンソール6は、時間帯「9:20−9:30」に実施予定の検査「C」を時間帯「9:30−9:40」に繰り下げる。また、X線コンソール6は、時間帯「9:30−9:40」に実施予定の検査「D」を時間帯「9:40−9:50」に繰り下げる。
ステップSd5において、X線コンソール6は、検査室R2における検査スケジュールの変更後、CTコンソール3へ当該申請の許諾通知を出力する。ステップSd6において、CTコンソール3は、X線コンソール6からの許諾通知を受けて、実施中の検査「B」を時間帯「9:20−9:30」まで延長するよう、検査室R2における検査スケジュールを調整する。また、CTコンソール3は、検査室R2における検査スケジュールの変更に伴い、時間帯「9:40−9:50」に実施予定の検査「E」を時間帯「9:50−10:00」に繰り下げる。
さらにステップSd7において、X線コンソール6およびCTコンソール3は、互いの検査スケジュールを同期させる。検査室R2のX線コンソール6と検査室R1のCTコンソール3とで検査スケジュールを同期させることにより、検査室R1および検査室R2における検査スケジュールの変更が確定される。図15は、CTコンソール3およびX線コンソール6で共有される変更後の検査スケジュールを示す図である。
以降、変更された検査スケジュールに基づいて架台2を移動する。これにより、本実施形態に係るX線CTシステム1は、実施中の検査を延長したい場合に検査スケジュールを変更し、変更した検査スケジュールに基づいた架台2の移動を実現することができる。
(総括)
上記の説明の通り、本実施形態に係るX線CTシステム1は、架台2と、搬送装置27と、システム制御回路37および66とを備える。架台2は、X線管23および当該X線管23より照射されるX線を検出するX線検出器24を有する。搬送装置27は、架台2を複数の検査室に移動可能とする。システム制御回路37および66は、複数の検査室における検査スケジュールを管理し、検査スケジュールに基づいて、搬送装置27による架台2の移動を制御する。
上記の構成により、本実施形態に係るX線CTシステム1は、追加で検査を実施したい場合に検査スケジュールを変更し、変更した検査スケジュールに基づいた架台2の移動を実現することができる。また、本実施形態に係るX線CTシステム1は、検査実施中に別の検査を実施したい場合に検査スケジュールを変更し、変更した検査スケジュールに基づいた架台2の移動を実現することができる。また、本実施形態に係るX線CTシステム1は、実施中の検査を延長したい場合に検査スケジュールを変更し、変更した検査スケジュールに基づいた架台2の移動を実現することができる。
かくして、本実施形態に係るX線CTシステム1は、複数の検査室間で共用する架台を簡便、かつ効率的に活用することができる。
なお、上記一例として、X線CT装置とアンギオ装置との組み合わせを示したが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、例えば、複数のX線CT装置、複数のアンギオCT装置、X線CT装置およびPET(Positron Emission computed Tomography)−CT装置、X線CT装置および寝台、あるいはX線アンギオCT装置および寝台の組み合わせであってもよい。また、X線CT装置の他にも、磁気共鳴イメージング診断装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging)に対して上記検査スケジュール管理を適用してもよい。
また、上記実施形態は、例えば、3ルーム以上の検査室で1つの架台を共有するX線CTシステムにも適用可能である。また、上記実施形態は、1つの架台を複数の検査室で共有しているが、3ルーム以上の検査室に対して架台2を2台以上設置するX線CTシステムにも適用可能である。また、CT使用時に複数の検査室から同時に検査スケジュールの変更申請が来た場合、要求を許可する検査室をセレクトして移動の許諾を行ってもよい。
また、上記実施形態では、CTコンソール3およびX線コンソール6において開閉扉9の開閉も制御するとしたが、本実施形態はこれに限定されない。架台2の移動通知を受けて、技師により開閉扉9の開閉を行ってもよい。
また、上記実施形態では、検査室R1のCTコンソール3および検査室R2のX線コンソール6で検査スケジュールを管理していたが、本実施形態はこれに限定されない。図16に示すように、例えば、CTコンソール3およびX線コンソール6以外に、検査スケジュールや各検査室に関する情報を一括して管理する管理装置200を設けてもよい。また、各コンソールと通信可能な端末100を設け、各コンソールにおける操作を端末100で操作してもよい。この場合、各コンソールのシステム制御回路は、通知機能として、上記架台2を一方の検査室から他方の検査室へ移動する場合、検査室の操作者および技師架台2の移動を開始することを示す移動開始通知、および移動中を示す移動中通知を端末100へ出力してもよい。
また、上記実施形態におけるCTコンソール3は、架台2、CT用寝台4および開閉扉9を制御可能とし、X線コンソール6は、架台2、X線撮影装置5、アンギオ用寝台7および開閉扉9を制御可能としていたが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、例えば、架台2、CTコンソール3、寝台4、X線撮影装置5、X線コンソール6、寝台7、開閉扉9、および管理装置200をバスで接続し、相互に通信可能な構成としてもよい。
また、架台2は、自身の絶対位置情報や移動に関する情報(例えば、移動可否やスキャン可否)を各コンソール、もしくは各端末100に送受信可能な機能を有していてもよい。これにより、架台2がいる部屋またはいない部屋それぞれのコンソール、または端末から架台移動操作や架台移動許可/禁止操作を実行してもよい。
また、上記説明において用いた「所定のプロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のprocessor、circuit(circuitry)、processing circuit(circuitry)、operation circuit(circuitry)、arithmetic circuit(circuitry)、あるいは、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等を意味する。また、本実施形態の各構成要素(各処理部)は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素(複数の処理部)を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。