JP6758722B2 - 模擬銃におけるトリガー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トリガーの操作によりコッキング状態にあるシアを解除するようにした模擬銃におけるトリガー装置に関するものである。
いわゆるBB弾を発射する模擬銃はエアソフトガンなどとも呼ばれ、年少者向けのものから18歳以上を対象とするものまで多様な種類の銃があり、広く用いられている。特に成人向けに提供される銃は趣味的要素の高いものとして発展して来た側面があり、そのために実銃そっくりの形状、構造、操作性を備えるものが望まれている。しかし、形状と操作性を実銃と同等にできたとしても、内部の機構が異なるのは当然のことである。
模擬銃と実銃は根本的に相違するものであるが、それにも拘らず、使用者にとって共通する要求もある。例えば、トリガー或いは引き金と呼ばれる発射装置の、特に動作感に関する要求である。模擬銃においても精密な操作と高い集弾性が要求されることは実銃と同様であり、トリガー操作の際の動作感が適切でない場合にはブレを生じ、狙い通りの射撃成績を収めることができない結果となる。
本件出願人も従来からこの点を解決すべき技術的な問題点として把握しており、かつて特開2005−114260号の発明を提案した。同号の発明は強力なばね等を使用する模擬銃であってもより軽快な操作で弾丸を発射可能としたもので、引き金を引いたときに中間部材を梃子作用により他の位置に移動させ、それに伴ってシア部材による掛け止めを外すようにするという構成を有していた。
しかし、上記の発明にいわゆる中間部材はシア部材の一部であり、その後端の係合部が引き金の上部に負荷として掛かる構成になっている。その結果、コッキングを完了している状態では、ピストンシリンダー機構においてピストンを加圧する力がシア部材及び中間部材を介して引き金に掛かり易くなる。上記の負荷は引き金を操作する際に作用し、それが抵抗として感じられることになるので、それまでの銃との比較においては兎も角、より微妙な動作感の向上という要求には不十分と感じられる恐れがある。
特開2005−114260号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたもので、その課題は、模擬銃におけるトリガーの動作感をより向上させることである。また、本発明の他の課題は、使用者自身によって微妙な動作感を調整可能にした模擬銃におけるトリガー装置を提供することである。
前記の課題を解決するため、本発明は、トリガーの操作によりコッキング状態にあるシアを解除するようにした模擬銃において、トリガーとシアとの間に配置される中間部材を銃本体に回転可能に軸支し、中間部材はその軸支点から離れた回転端部側にてシアと係脱可能に係止しており、上記軸支点とシアとの係止点との間にトリガーの操作力が作用するように構成するという手段を講じたものである。なお、本発明における動作感とは、トリガーのいわゆる引き心地ないしは落ち具合といわれるような、多分に感覚的なものを含むが、技術的にはトリガーの操作に必要な力とストロークが関与するトリガーの落ちるタイミングの把握し易さと考えられる。
本発明では、トリガーとシアとの間に配置される中間部材を銃本体に回転可能に軸支した構成を有するので、トリガーの作用は中間部材の回転に置き換えられる。従って、トリガーの当接位置の選択により中間部材に対する作用点のモーメントアームの長さが変えられ、トリガー操作に必要な力を任意に設定することができる。
中間部材にはトリガーの操作方向に対向する側からスプリングが作用しており、スプリングの強弱調整のために、上記スプリングを受け止める箇所に調整ネジが設けられるという構成は本発明にとって望ましいものである。銃の外部から使用者が調整ネジを操作可能であることによってスプリングの強弱を調整し、使用者自身の好みを反映することができるので、より使用感の向上した模擬銃が得られる。
模擬銃がピストンシリンダー機構を備えており、コッキングによりピストンの加圧方向に作用する力がシアに加わっており、そのシアに加わった力を受け止めている中間部材に対して交差方向からトリガーが作用するようにした構成は、本発明の装置として好ましいものである。中間部材に対して交差方向からの作用であるため、作用点の位置選択により加える力の加減がより容易になる。
また、シアが銃本体側に取り付けた第一シアと第一シアに取り付けた第二シアとを有しており、第二シアがピストンと係止し、中間部材は、トリガーの操作によりコッキング状態にある第一シアを解除するために第一シアと係止し、係止からの離脱により第二シアがピストンとの係止から離脱するようにした構成も望ましいものである。即ち、シアは第一シアと第二シアの二部材を組み合わせて構成することができる。しかし、本発明におけるシアは単一の部材から成る構成を妨げるものではない。
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、模擬銃におけるトリガーの動作感をトリガーとシアとの間に配置する中間部材により著しく向上させることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、使用者自身の手により微妙な動作感を調整可能にすることが可能になり、使用者個人々々に適合した微妙な動作感が得られる模擬銃におけるトリガー装置を提供することができる。
本発明に係る模擬銃におけるトリガー装置の一例に関するもので、銃本体の一部を省略して示す縦断面説明図である。 同上の装置の主要部を拡大して示す断面説明図である。 さらに発射機構を中心とした部分を拡大して示す断面説明図である。 トリガー回りを拡大して示す断面説明図である。 本発明に係る模擬銃におけるトリガー装置において、コッキング後トリガーを操作する直前の状態を示す断面説明図である。 コッキング後トリガーを操作した後の、図5に続く状態を示す断面説明図である。
以下、図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。実施形態に示す本発明に係る模擬銃10はボルトアクションライフルをモデルとしたもので、銃本体に組み込まれている発射装置部11と、その前部に位置するバレル部12、発射装置部11の後部に位置するストック部13の各部分に大別される。
上記発射装置部11は、ピストン14とシリンダー16とから成り、弾丸発射のために圧縮エアを生成するピストンシリンダー機構15を有する操作部材20と、後述するトリガー22による発射操作を司る発射機構25及び弾丸装填機構35を有している。ピストンシリンダー機構15はピストン14とシリンダー16とを有し銃本体の前後方向へ移動可能に取り付けられており、コッキングを行なう操作部材20の前部を構成している。ピストンシリンダー機構15の後側にはボルト部材21が後述するように設けられており、また、ボルト部材21は操作部材20の後部を構成している。
ピストンシリンダー機構15とボルト部材21とを備えた操作部材20は銃本体の前後方向へ移動可能であり、操作部材20を操作するために、操作ハンドル部17がボルト部材側に設けられている。操作ハンドル部17は、ボルトアクションライフルに装備されボルトハンドルとされる部材を模した形状、構造のレバー17cを備えている。図1、図2等では操作ハンドル部17のレバー17cを二点鎖線で記載しているが、それは発射装置部が図示の状態では見えないため設置位置のみを示したものである。
ピストンシリンダー機構15を銃本体に移動可能に取り付ける構成は公知であり、実施形態の場合も一般的なものと同様で良いので詳細な説明は省略するが、実施形態に係る基本的構成は以下のとおりである。即ち、ピストンシリンダー機構15は、シリンダー16内に挿入されたピストン14の後退によって蓄圧され、その解放によってピストン14を前進させるピストンスプリング18を有する。また、シリンダー16は銃本体側に前進後退可能に組み込まれており、後退時に先端のノズル19の前部に弾丸Bを上昇させる空間を開け、前進時にノズル19の先端部にて弾丸Bをバレル後端の装弾部分に装填するように構成されている。
前述した発射操作を司る発射機構25は銃本体側に支軸22aによって回転可能に軸支され、トリガースプリング22bによって付勢されたトリガー22を有している。トリガー22は中間部材23に当接するように突出した入力部22cを前側に有し、また、中間部材23に対する突出量を調整するトリガースクリュー22dを後側に有している。中間部材23は銃本体側に支軸23aにて軸支されており、二部材から成るシアの内の第一シア24にトリガー22の動作を伝達する(図3参照)。第一シア24は前部の支軸24aにて銃本体側に回転可能に軸支され、上記中間部材23、第一シア24にはスプリング23b、24bがそれぞれ作用している。また、第一シア24は後部に係合部33を有し、後述するインジケーター30に作用するインジケーターロック32の係止相手部34と係止してその状態にてロック可能に構成されている。
第一シア24には第二シア27が支軸27aによって回転可能に軸支されており、第二シア27はシアスプリング27bによって、ピストン14の方向へ突出するように付勢されている。一方、ピストン14の後部には係合部28が設けられており、ピストン後退位置で第二シア27の突出した先端29と係合するように構成されている(図5参照)。また、ピストン14との係合のために、先端29を通過させるスリット16aがシリンダー16の下面の長手方向に形成されている。
上記のように中間部材23は下部にて銃本体側に軸支され、上部に形成された係止部23cにて第一シア24の後部に形成された係止相手部26と係止している(図4参照)。また、中間部材23は支軸23aと係止部23cとの間隔が任意に設定されるアーム長さを有しており、実施形態ではその半分ほどの位置にトリガー22の入力部22cが当接可能な状態にある。故に、トリガー入力部22cの当接位置により中間部材23の支軸23aから力点までのモーメントアームの長さが変えられるので、トリガー操作に必要な力を任意に設定することができる。
従って、トリガー22に掛かるトルクは入力部22cの当接位置が支軸23aに接近してアーム長さが短くなるほど大きくなり、支軸23aから離隔してアーム長さが長くなるほど小さくなることに留意し、かつまた、係止相手部26と係止部23cに生じる力を考慮するなどしてその位置を設定する。さらに、上記中間部材23に作用するスプリング23bの強さは調整ネジ23dによって、調整可能に構成されている。調整ネジ23dはレンチ等の工具による操作のための契合手段を有しており、工具を契合手段へ差し込んで調整することができる。23eは調整用の空所であり、使用者自身が工具を操作してスプリング23bの強弱を調整するために設けられている。
なお、前述の弾丸装填機構35は模擬銃10の一部であって、銃本体側に設けられたマガジン受け36に着脱可能なマガジン37を装着する形式のものとして図示されている。弾丸Bはマガジン37の内部に充填された状態から、マガジンスプリング38によって前方へ付勢され、給弾部39を通ってバレル後方の位置に給弾される。
このような構成を有する本発明に係る模擬銃におけるトリガー装置の作動について、図面を参照して説明する。図1及び図2はコッキング操作が行なわれていない状態を示しており、レバー17cは下方位置にある。次に、ハンドルレバー17cを操作して上方位置に回転させるとともに、操作部材20を後方へ一杯に引き、ピストンシリンダー機構15においてピストン14を後退させる。ピストン24の後退により、その係合部28は第二シア27の先端29と係合可能な位置に移動する。
図5はコッキング操作が行なわれて発射準備が完了した状態であり、後退したピストン14の係合部28と第二シア27の先端29とが係合した状態を示している。従って、ピストン14を圧縮するピストンスプリング18の作用力は、まず、第二シア27に掛かることになり、第二シア27が軸支されている第一シア24に対しても負荷として掛かる。しかし、第一シア24には戻し用のスプリング24bも作用しており負荷は僅少である。
さらに 第一シア24はその後端に設けられている係止相手部26と、中間部材23の上端に設けられている係止部23cとの係止部分にて係止しており、上記負荷は中間部材23にも及ぶ。しかし僅少な負荷であり、また、回転する中間部材23の端部にて長手方向に掛かるので、中間部材23の操作力を大きく左右するものではない。この状態において、中間部材23には前方から後方へ向けてスプリング23bの付勢力が作用しており、かつ、後方ではトリガー入力部22cが接触可能に構成されているとともに、前方へ向けてトリガースプリング22bの付勢力が作用した状態にある。
この状態においてトリガー22を操作すると、上記僅少な負荷と、スプリング23bの付勢力が作用している中間部材23の中間部分を、トリガー入力部22cで押すことになる。従って、トリガー22の操作力は軽快なものとなり、使用者はその軽快な操作力と係止部分における係止の解除を動作感として指に感じ取ることになる。上記トリガー22の突出量はトリガースクリュー22dによって調整することができるので、トリガー22を引くストロークを浅くも深くも調整することができる。また、係止相手部26に係止部23cを押し付ける強さは調整ネジ23dによりスプリング23bを介して変えられる。なお、トリガー操作の結果、係止相手部26と係止部23cとの係止が解除され、第一シア24が下方に下がり、それに伴ってピストン14の係合部28と第二シア27の先端29との係合が外れ(図6)、弾丸Bが発射される。
動作感は、前記したようにトリガー22のいわゆる引き心地ないしは落ち具合といわれるような、多分に感覚的なものを含むものである。しかし、本発明に係る模擬銃におけるトリガー装置よればトリガー22の操作に必要な力は極めて軽量な範囲となり、また、ストロークも短くて済むとともに、トリガー22に作用する設定条件は変更可能であるのでトリガー22の落ちる微妙なタイミングも体感し易い。しかも、設定条件は使用者自身の必要に応じて調整できるものであるから、本発明に係るトリガー装置によればこの上なく適切なトリガー操作の際の動作感が得られる。
なお、本発明においてトリガー22の引き心地に関係する調整要素は複数存在し、その中にはメーカーにおける製造段階で調整するものと、模擬銃を購入したユーザーが調整するものとがある。例えば、調整ネジ23dによりスプリング23bの強さを変えることは使用者によって可能であるが、この調整は係止部23cを係止相手部26に押し付ける強さに関係し、トリガー22の引き心地に大きく関わるものである。よって、本発明によれば、トリガーのいわゆる引き心地ないしは落ち具合といわれるような、多分に感覚的な動作感を著しく向上させることができる。
10 模擬銃
11 発射装置部
12 バレル部
13 ストック部
14 ピストン
15 ピストンシリンダー装置
16 シリンダー
17 操作ハンドル部
18 ピストンスプリング
19 ノズル
20 操作部材
21 ボルト部材
22 トリガー
23 中間部材
24 第一シア
25 発射機構
26 係止部
27 第二シア
28、33 係合部
29 第二シアの先端
30 インジケーター
31 インジケータースプリング
32 インジケーターロック
34 係止相手部
35 弾丸装填機構
36 マガジン受け
37 マガジン
38 マガジンスプリング
39 給弾部

Claims (3)

  1. トリガーの操作によりコッキング状態にあるシアを解除するようにした模擬銃において、
    トリガーとシアとの間に配置される中間部材を銃本体に回転可能に軸支し、
    中間部材はその軸支点から離れた回転端部側にてシアと係脱可能に係止しており、
    上記軸支点とシアとの係止点との間にトリガーの操作力が作用するように構成され、
    前記中間部材にはトリガーの操作方向に対向する側からスプリングが作用しており、スプリングの強弱調整のために、上記スプリングを受け止める箇所に調整ネジが設けられているトリガー装置。
  2. 模擬銃がピストンシリンダー機構を備えており、コッキングによりピストンの加圧方向に作用する力がシアに加わっており、そのシアに加わった力を受け止めている中間部材に対して交差方向からトリガーの操作力が作用するように構成された請求項1記載の模擬銃におけるトリガー装置。
  3. シアは銃本体側に取り付けた第一シアと第一シアに取り付けた第二シアとを有しており、第二シアがピストンと係止し、中間部材は、トリガーの操作によりコッキング状態にある第一シアを解除するために第一シアと係止し、係止からの離脱により第二シアがピストンとの係止から離脱するように構成された請求項2記載の模擬銃におけるトリガー装置。
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