本発明に係る一実施形態を図面を参照して以下に説明する。図1は、紙幣および硬貨等を取り扱う出納機1を示している。この出納機1は、銀行等の金融機関の店舗に設置されて店舗全体の貨幣処理を管理するものである。出納機1は、例えば、大口顧客に対する係員による入金、出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、さらには、営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。
出納機1は、紙幣についての入出金処理等を行う紙幣処理装置11と、紙幣の特に新券についての出金処理等を行う新券処理装置12と、硬貨についての入出金処理等を行う硬貨処理装置13とが左右に並設されて構成されており、硬貨処理装置13の上部に、操作者によって操作入力がなされる操作部14と、操作者に対して表示を行う表示部15とを備えて出納機1を制御する制御装置部16が設けられている。
本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置11の全体構成を図2を参照して説明する。紙幣処理装置11は、その前面側の上部に、機外からバラ紙幣が投入されるとともに機内から出金用のバラ紙幣が繰り出される入出金部21が設けられている。入出金部21は、その底部を構成する載置板22が後下がりに傾斜した姿勢で昇降可能に設けられており、その奥側の支承面23が載置板22と直交するように後上がりに傾斜して設けられている。入出金部21には、紙幣が長さ方向を左右方向に沿わせた姿勢で載置板22上に集積されることになり、紙幣は載置板22の傾斜により後端縁が支承面23に当接する。入出金部21の上部の後側には、載置板22上に集積されたバラ紙幣を上端のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて機内へ繰り出すとともに機内からの紙幣を入出金部21に繰り出す繰出部21aが設けられている。
入出金部21の下側には、紙幣処理装置11の前面位置に、受け付け不可と判定された入金リジェクト紙幣が機内から繰り出される入金リジェクト部26が設けられている。入出金部21および入金リジェクト部26の後側には、出金不可と判定された出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト部27が設けられており、出金リジェクト部27の後方の下部には紙幣を識別する識別部28が設けられている。
また、出金リジェクト部27の後方の上部には紙幣を整列させて所定の結束枚数集積させる整列部30が設けられており、この整列部30の上部には、整列部30で集積された結束枚数の紙幣に結束テープを巻き回して小束紙幣とする結束部31が設けられている。この結束部31の前側には結束部31で作成された小束紙幣を機外に繰り出す束出金部32が設けられている。
また、紙幣処理装置11の下部には、本発明に係る貨幣収納箱の一実施形態である紙幣収納箱35が、複数具体的には5個、上下左右の位置を合わせて水平直線状の紙幣収納箱配列方向に配列されている。この紙幣収納箱配列方向は、紙幣処理装置11の前後方向に沿っている。最も奥側に配置された紙幣収納箱35、奥から2番目に配置された紙幣収納箱35および奥から3番目に配置された紙幣収納箱35は、いずれも入金確定後の所定の単一金種のバラ紙幣を上下に集積させた状態で収納するものであり、前から2番目に配置された紙幣収納箱35は、入金確定後のバラ紙幣を金種混合で上下に集積させた状態で収納するものである。最も前側に配置された紙幣収納箱35は、入金された入金確定前のバラ紙幣を上下に集積させた状態で一時貯留するものである。
紙幣収納箱35の上部には、その内部に紙幣を繰り出すとともに内部の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離して繰り出す繰出部35aと、繰出部35aで繰り出す紙幣を検知する繰出検知センサ35bとが設けられている。繰出検知センサ35bは繰出部35aの駆動中に紙幣の停滞を検知することでジャム等の繰り出し異常も検知する。紙幣収納箱35の内部には、紙幣を集積させる昇降可能なエレベータ35cと、収納している紙幣が満杯に近いニアフル状態にあることを検知するニアフル検知センサ35dと、収納している紙幣がないエンプティ状態にあることを検知するエンプティ検知センサ35eとが設けられている。
紙幣処理装置11の内部には、紙幣を搬送する紙幣搬送路41が各部を適宜繋ぐように設けられている。紙幣搬送路41は、繰出部21aから後上がりに延出した後、後下がりに延出し、さらに鉛直下方に延出し、その後、前側に一端延出した後、下側にて後側に折り返し、後方に延出し、途中上側に凸状に屈曲して識別部28を通って下方に若干延出する搬送路41Aと、搬送路41Aに連続して下側に若干延出した後に前方に延出し前端から下方に若干延出する搬送路41Bと、搬送路41Bに連続するように最も前側に配置された紙幣収納箱35に設けられた搬送路41Cとを有している。
また、紙幣搬送路41は、搬送路41Bの途中から分岐する搬送路41Dと、搬送路41Dに連続するように最も奥側に配置された紙幣収納箱35に設けられた搬送路41Eと、搬送路41Bの搬送路41Dよりも最も前側に配置された紙幣収納箱35側から分岐する搬送路41Fと、搬送路41Fに連続するように奥から2番目に配置された紙幣収納箱35に設けられた搬送路41Gと、搬送路41Bの搬送路41Fよりも最も前側に配置された紙幣収納箱35側から分岐する搬送路41Hと、搬送路41Hに連続するように奥から3番目に配置された紙幣収納箱35に設けられた搬送路41Iと、搬送路41Bの搬送路41Hよりも最も前側に配置された紙幣収納箱35側から分岐する搬送路41Jと、搬送路41Jに連続するように前から2番目に配置された紙幣収納箱35に設けられた搬送路41Kと、搬送路41Bの搬送路41Jよりも最も前側に配置された紙幣収納箱35側から分岐して上方に延出する搬送路41Lと、搬送路41Lに繋がって屈曲し後方に延出して搬送路41Aの入出金部21と識別部28との間に繋がる搬送路41Mとを有している。
また、紙幣搬送路41は、搬送路41Bの搬送路41Jの分岐位置と搬送路41Lの分岐位置との間位置から分岐して上方に延出する搬送路41Nと、搬送路41Nに繋がって上方に延出し搬送路41Mの途中位置に繋がる搬送路41Oと、搬送路41Mにおける搬送路41Oの接続位置と搬送路41Aへの接続位置との間位置から分岐して入金リジェクト部26に繋がる搬送路41Pと、搬送路41Aにおける搬送路41Mの接続位置と入出金部21との間位置から分岐し前方に延出して搬送路41Pの途中位置に繋がる搬送路41Qと、搬送路41Pにおける搬送路41Qの接続位置と入金リジェクト部26との間位置から上方に分岐し後上がりに延出して出金リジェクト部27に繋がる搬送路41Rとを有している。
また、紙幣搬送路41は、搬送路41Aにおける入出金部21と搬送路41Qの分岐位置との間位置と、搬送路41Mの接続位置と識別部28との間位置とを繋ぐ搬送路41Sと、搬送路41Aにおける搬送路41Sの接続位置と入出金部21との間位置から後方に分岐して整列部30に繋がる搬送路41Tとを有している。搬送路41Sには、紙幣の表裏を反転させる表裏反転部43が設けられている。
ここで、上記した搬送路41A〜41Mは正逆両方向に紙幣を搬送可能となっており、搬送路41N〜41Tは一方向にのみ紙幣を搬送可能となっている。
図3の太線は、機外から入出金部21に投入されたバラ紙幣を搬送しつつ識別計数する入金処理のルートを示している。つまり、入出金部21の載置板22上にバラ紙幣が載置されて、操作部14に入金処理を行う旨の入力操作がなされると、繰出部21aが入出金部21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41Aで搬送することになる。搬送路41Aでの搬送中に識別部28が紙幣を識別計数することになり、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣(取り扱い可能な金種の紙幣)を、図3に太実線で示すように、搬送路41B,41Cで最も前側に配置された紙幣収納箱35に搬送する一方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣を、図3に太破線で示すように、搬送路41Bから搬送路41N,41O,41M,41Pで入金リジェクト部26に搬送する。これにより、受け入れ可能な紙幣を最も前側に配置された紙幣収納箱35に一時貯留し、受け入れ不可な紙幣を入金リジェクト部26に放出する。
図4の太線は、入金処理にて最も前側に配置された紙幣収納箱35に一時貯留した紙幣を、操作部14への承認操作が入力されたことを条件に、確定して、奥から1番目、2番目、3番目および4番目に配置された紙幣収納箱35の対応するものに収納する収納処理のルートを示している。つまり、最も前側に配置された紙幣収納箱35の紙幣を上端のものからその繰出部35aが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図4に太実線で示すように、搬送路41C,41B,41L,41M,41Aで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、搬送路41B,41D〜41Kの対応するものによって、奥から1番目、2番目、3番目および4番目に配置された紙幣収納箱35の対応するものに搬送する。これにより、奥から1番目、2番目、3番目および4番目に配置された紙幣収納箱35の対応するものに紙幣を収納する。なお、収納処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、図4に太破線で示すように、搬送路41B,41N,41O,41M,41P,41Rによって出金リジェクト部27に搬送し、出金リジェクト部27に収納する。
図5の太線は、入金処理にて最も前側に配置された紙幣収納箱35に一時貯留した紙幣を、操作部14へのキャンセル操作が入力されたことを条件に、入出金部21に繰り出す返却処理のルートを示している。つまり、最も前側に配置された紙幣収納箱35の紙幣を上端のものから繰出部35aが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41C,41B,41Aによって入出金部21に搬送する。これにより、入出金部21に紙幣を返却する。
図6の太線は、操作部14へ入力されたバラ出金操作に基づいて、最も奥側に配置された紙幣収納箱35、奥から2番目に配置された紙幣収納箱35および奥から3番目に配置された紙幣収納箱35の指定された金種のものから紙幣を出金するバラ紙幣出金処理のルートを示している。つまり、バラ出金処理では、図6に太実線で示すように、奥から1番目、2番目および3番目に配置された紙幣収納箱35の指定された金種のものに収納されている紙幣を上端のものから繰出部35aが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41D〜41Iの対応するものと、搬送路41B,41Aとで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは搬送路41Aで入出金部21に、表裏反転が必要なものは搬送路41Sを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41Aで入出金部21に、それぞれ搬送する。これにより、出金操作に基づくバラ紙幣を入出金部21に繰り出す。なお、出金処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、図6に太破線で示すように、搬送路41A,41Q,41P,41Rによって出金リジェクト部27に搬送し、出金リジェクト部27に収納する。
図7の太線は、操作部14へ入力された束出金操作に基づいて、奥から1番目、2番目および3番目に配置された紙幣収納箱35の指定された金種のものからの紙幣を結束して出金する束出金処理のルートを示している。つまり、束出金処理では、図7に太実線で示すように、奥から1番目、2番目および3番目に配置された紙幣収納箱35のうち指定された金種のものに収納されている紙幣を上端のものから繰出部35aが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41D〜41Iの対応するものと、搬送路41B,41Aとで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは搬送路41A,41Tで整列部30に、表裏反転が必要なものは搬送路41Sを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41A,41Tで整列部30に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の紙幣を結束単位枚数だけ整列部30に繰り出す。そして、結束部31で結束を行い、束出金部32に繰り出す。このような処理を指定された金種毎に指定された束数分行うことになる。なお、束出金処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、図7に太破線で示すように、搬送路41A,41Q,41P,41Rによって出金リジェクト部27に搬送し、出金リジェクト部27に収納する。
紙幣処理装置11は、装置主体部45と、装置主体部45から紙幣処理装置11の前後方向に沿って前面側に引き出し可能な引出体46と、引出体46に対し着脱可能な複数具体的には5個の紙幣収納箱35とで構成されている。紙幣処理装置11は、その上部にある、入出金部21、入金リジェクト部26、出金リジェクト部27、識別部28、整列部30、結束部31、束出金部32、表裏反転部43および搬送路41A,41M,41O〜41Tが装置主体部45内に配置されており、その下部にある、搬送路41B,41D,41F,41H,41J,41L,41Nが、引出体46内に配置されている。さらに、搬送路41Eは、引出体46に対し着脱可能な最も奥側に配置された紙幣収納箱35内に、搬送路41Gは奥から2番目に配置された紙幣収納箱35内に、搬送路41Iは奥から3番目に配置された紙幣収納箱35内に、搬送路41Kは前から2番目に配置された紙幣収納箱35内に、搬送路41Cは最も前側に配置された紙幣収納箱35内に、それぞれ配置されている。
引出体46は、図8に示すように、装填部47と、この装填部47の上方に開閉可能に設けられた搬送部48とを有している。図9に示すように、装填部47には、複数の紙幣収納箱35が水平直線状の紙幣収納箱配列方向Xに一列状に配列して装填されることになる。この紙幣収納箱配列方向Xは、引出体46の装置主体部45に対する引き出し・装填方向と一致する。この装填部47の上方の搬送部48は、全ての紙幣収納箱35に対して紙幣を搬送する。搬送部48には、図2に示す上記した搬送路41B,41D,41F,41H,41J,41L,41Nが設けられている。ここで、紙幣処理装置11の全ての紙幣収納箱35を除く部分が紙幣処理装置本体50(貨幣処理装置本体)となっている。つまり、紙幣処理装置本体50は、装置主体部45と引出体46とからなっている。
装填部47は、図8に示すように、前壁部51と、前壁部51の左端側の略全高さ範囲から後方に延出するベース壁部52と、前壁部51の右端側の下部から後方に延出する着脱壁部53と、前壁部51と平行をなしてベース壁部52および着脱壁部53に連結される後壁部54と、これら前壁部51、ベース壁部52、着脱壁部53および後壁部54で囲まれる空間の下部を閉塞する図示略の底板部とを有している。ここで、前壁部51は、紙幣処理装置11の前面を構成する。
後壁部54には、上下方向中間位置に受板55が支持軸55aで、鉛直方向に沿う状態と後上がりに傾斜して延出する状態との間で揺動するように取り付けられている。ベース壁部52の上部には、図8(b)に示すように、前後方向に沿う支持軸57aを有する2カ所のヒンジ57を介して搬送部48が揺動可能に連結されている。
また、装填部47には、図9に示す紙幣収納箱35が個別に装填される、図8に示す複数の装填空間58を仕切る複数の仕切壁部59が、前壁部51と後壁部54との間に、これらに平行に設けられている。各装填空間58は、紙幣収納箱配列方向Xの長さが全て同じに設定されており、この紙幣収納箱配列方向Xに直交する水平な紙幣収納箱配列直交水平方向Yの長さも全て同じに設定されている。また、各装填空間58は、紙幣収納箱配列直交水平方向Yの位置を一致させており、紙幣収納箱配列方向Xに等間隔で形成されている。なお、各装填空間58は、紙幣収納箱配列方向Xの長さよりも紙幣収納箱配列直交水平方向Yの長さの方が大きく設定されている。
ここで、図8(b)に示すように、ヒンジ57の支持軸57aが上側に設けられることになるベース壁部52の高さよりも、支持軸57aとは反対側の着脱壁部53の高さの方が上記したように低くなっており、これにより、複数の装填空間58は、着脱壁部53の上側において側方に大きく開口している。
仕切壁部59は、着脱壁部53への接合側が着脱壁部53と同高さとなっており、ベース壁部52への接合側が着脱壁部53よりも高くベース壁部52よりも若干低い高さとなっている。これにより、仕切壁部59は、着脱壁部53側の上部がベース壁部52の上部と着脱壁部53の上部とを結ぶように斜めに切り欠かれた形状をなしている。言い換えれば、搬送部48を軸支する側のベース壁部52の上端部と、上側が開放された着脱壁部53の上端部とを結ぶ線の近傍付近に仕切壁部59の上端縁が形成されている。このような装填部47には、前壁部51側の下部に、装置主体部45からの引き出し時に床面上で転動するキャスタ60が設けられている。
装填部47の底部には、装填空間58のそれぞれに臨んで、図2に示すコネクタ47fが設けられており、全ての紙幣収納箱35のそれぞれにも、装填空間58に装填されることで装填部47のコネクタ47fに接続されるコネクタ35fが設けられている。全ての紙幣収納箱35はそれぞれのコネクタ35fが装填部47のコネクタ47fに接続状態になることで、給電されると共に制御装置部16によって制御される状態になる。また、いずれの紙幣収納箱35も、装填空間58から取り出されると、それぞれのコネクタ35fが装填部47のコネクタ47fから外れることになる。このように取り出された状態では、紙幣収納箱35が給電されることはなく、制御装置部16によって制御されることもない。
図8(b)に示すように、装填部47の一縁であるベース壁部52の上部には前後二カ所に上記したヒンジ57が取り付けられており、これらヒンジ57に上記した搬送部48が取り付けられている。言い換えれば、搬送部48が、装填部47の一縁にあって、複数の紙幣収納箱35の紙幣収納箱配列方向Xに沿うヒンジ57の支持軸57aに軸支されて、装填部47に対し揺動可能となっている。
搬送部48は、ベース壁部52と着脱壁部53との間の上方位置で水平に配置される図8(a)に示す搬送位置と、ベース壁部52の上方に延出する姿勢となって全ての装填空間58の上方を開放する図8(b)に示す開放位置との間で揺動可能となっている。搬送位置にあるとき、搬送部48は、図9(a)に示す全ての紙幣収納箱35の上方を覆ってこれらに対して紙幣を搬送可能となる。開放位置にあるとき、図9(b)に示すように全ての紙幣収納箱35の上方を開放する。なお、搬送部48は、図8(a),図9(a)に示すように水平に配置される搬送位置と、図8(b),図9(b)に示す開放位置との間の揺動角度が、90度より大きくなっている。引出体46と装置主体部45とは、搬送部48が搬送位置にあるときに、装置主体部45に対し衝突することなく装填可能となり、搬送部48が開放位置にあるときには、装置主体部45に対し装填しようとすると搬送部48が装置主体部45に衝突する形状関係になっている。
図9に示す全ての紙幣収納箱35は、大きさを含む外観形状が全て同じとなっており、これら共通形状の紙幣収納箱35は、図8に示す対応する装填空間58に装填されることで、図9に示すように紙幣収納箱配列方向X、紙幣収納箱配列直交水平方向Yおよび上下方向の全方向に位置決めされることになる。このように位置決めされた状態で、全ての紙幣収納箱35が、上下方向の位置を一致させ、紙幣収納箱配列直交水平方向Yの位置を一致させるとともに、全ての隣り合うもの同士の隙間の紙幣収納箱配列方向Xの長さを同等にする。これら紙幣収納箱35は、紙幣収納箱配列方向Xの長さよりも紙幣収納箱配列直交水平方向Yの長さの方が長くなっている。
共通形状の全ての紙幣収納箱35は、図10に示すように、貨幣としての紙幣を内部に収納する貨幣収納箱本体としての紙幣収納箱本体62(貨幣収納箱本体)と、その上部の揺動可能なハンドル状の取っ手63とを備えている。紙幣収納箱本体62には、上部の紙幣収納箱配列方向Xの一側に紙幣入出口65が設けられており、上部の紙幣収納箱配列方向Xの中間部および逆側に、下方に凹む収納凹部66が設けられている。収納凹部66は、紙幣収納箱配列方向Xにおいて紙幣入出口65とは反対方向に抜ける形状となっている。紙幣入出口65の内側には、図2に示す搬送路41C,41E,41G,41I,41Kの対応するものが配置されることになり、装置主体部45に対する紙幣収納箱35の紙幣の入出は、それぞれの紙幣入出口65を介して行われる。
全ての紙幣収納箱35は、図9(b)に示すように、紙幣入出口65を引出体46の引き出し方向の前側つまり前壁部51側にし、収納凹部66を引出体46の引き出し方向の後側つまり後壁部54側にする向きで装填部47に収納される。
図10に示すように、紙幣収納箱本体62の収納凹部66に、取っ手63が設けられている。取っ手63は、一対の直線状の平行な基端延出部71,72と、これら基端延出部71,72の長さ方向の端部同士をこれらに直交するように結ぶ直線状の連結部73とを有しており、連続するコ字状をなしている。取っ手63は、一対の基端延出部71,72の連結部73とは反対の一端側が紙幣収納箱本体62の収納凹部66の紙幣入出口65側に回転可能に連結されており、連結部73は、一対の基端延出部71,72の回転中心とは反対の他端側同士を結んでいる。取っ手63は、紙幣収納箱本体62の紙幣収納箱配列方向Xの中央側に回転中心を配置している。
取っ手63は、回転中心から上方に延出する立位姿勢で使用されるもので、この姿勢にあるとき、紙幣収納箱本体62から上方に突出する。取っ手63は、非使用時には、図10に示すように紙幣入出口65とは反対側に倒されて収納凹部66に収納される。このように、取っ手63は、紙幣収納箱本体62に対し収納および突出可能に設けられている。
図11に示すように、紙幣収納箱本体62には、収納凹部66に収納された収納状態の取っ手63の一方の基端延出部71の連結部73とは反対側の端部に対向する位置に、光源であるLEDランプ74が設けられている。言い換えれば、光源であるLEDランプ74は、紙幣収納箱本体62において、一対の基端延出部71,72のうちの一方の基端延出部71側に設けられている。
取っ手63は、透明ではない材料からなる取っ手本体75と、取っ手本体75に嵌め込まれた透明材料からなるプリズム部材76とを有している。取っ手63に設けられたプリズム部材76は、紙幣収納箱本体62に設けられた光源であるLEDランプ74からの光を入射させて発光するものであり、LEDランプ74とで発光部77を構成している。発光部77は、LEDランプ74が給電されて発光すると、この光でプリズム部材76を紙幣収納箱35の外に向け発光させる。つまり、発光部77は給電されて紙幣収納箱35の外に向けて発光する。発光部77は、そのプリズム部材76が取っ手63に設けられている。
取っ手本体75は、基端延出部71を構成する直線状の基端本体部81と、基端延出部72を構成する直線状の基端本体部82と、連結部73を構成する直線状の連結本体部83とを有しており、連続するコ字状をなしている。取っ手本体75には、取っ手63が収納凹部66側に倒されて紙幣収納箱本体62に収納された収納状態で上側に向いて露出する露出面84から下方に凹む嵌合溝部90が形成されている。嵌合溝部90は、基端本体部81に配置された直線状の基端溝部91と、基端本体部82に配置された直線状の基端溝部92と、連結本体部83に配置された直線状の連結溝部93とを有しており、連続するコ字状をなしている。基端溝部91の連結溝部93側の先端部に、先端側ほど他方の基端溝部92に近づくように傾斜する傾斜部94が設けられており、基端溝部92の連結溝部93側の先端部に、先端側ほど他方の基端溝部91に近づくように傾斜する傾斜部95が設けられている。
プリズム部材76は、基端溝部91に嵌合される直線状の一側発光部101と、基端溝部92に嵌合される直線状の他側発光部102と、連結溝部93に嵌合される直線状の中間発光部103とを有しており、連続するコ字状をなしている。言い換えれば、プリズム部材76は、取っ手63の一方の基端延出部71、連結部73および他方の基端延出部72に連続的に埋設されている。
図12に示すように、一側発光部101の中間発光部103側の先端部には、先端側ほど他側発光部102に近づくように傾斜する傾斜面104が設けられている。他側発光部102の中間発光部103側の先端部には、先端側ほど一側発光部101に近づくように傾斜する傾斜面105が設けられている。プリズム部材76は、図11に示すように取っ手63が収納凹部66に倒されて紙幣収納箱本体62に収納された状態で上側に向いて露出する露出面106が、取っ手本体75の露出面84とほぼ面一となっている。露出面84,106が、取っ手63において紙幣収納箱本体62に収納された状態での上方に露出する露出面108を構成している。
プリズム部材76は、図12,図13に示すように、一方の一側発光部101の中間発光部103とは反対側の端面111が、一側発光部101の長さ方向に直交している。また、図12,図14に示すように、他方の他側発光部102の中間発光部103とは反対側の端面112が、この他側発光部102の長さ方向に対し直交する方向に沿っており、この他側発光部102の長さ方向において、露出面106側ほど長さ方向外側に位置するように傾斜している。端面112は他側発光部102の長さ方向に対し45°傾斜している。プリズム部材76は、図11に示すように取っ手本体75の嵌合溝部90に嵌合されると、端面111が、紙幣収納箱本体62のLEDランプ74に近接して配置される。プリズム部材76は、取っ手本体75の嵌合溝部90に嵌合されると、露出面106とは反対側の裏面が、嵌合溝部90の底面に対向する。
取っ手63が収納凹部66に収納された状態で、取っ手63に埋設されたプリズム部材76は、端面111がLEDランプ74に対向することになり、このLEDランプ74の光を端面111から端面111に垂直に入射させる。端面111から入射された光は、図11,図13に二点鎖線Zで示すように、一側発光部101の長さ方向に進み、図11に二点鎖線Zで示すように、傾斜面104で反射して、中間発光部103の長さ方向に進み、傾斜面105で反射して、他側発光部102の長さ方向に進んで、図14に二点鎖線Zで示すように端面112で反射して露出面106から出射する。なお、取っ手63が収納凹部66に収納された状態から起こされると、端面111がLEDランプ74からの光の入射方向に対して傾斜することになり、入射された光が傾斜面104側に進行することはなくなる。
プリズム部材76は、露出面106側に露出面106から凹む凹溝121が複数形成されている。一側発光部101に、その長さ方向に等間隔で複数具体的には3カ所の凹溝121が設けられており、これら凹溝121は、露出面106に平行且つ一側発光部101の長さ方向に直交して延在している。他側発光部102にも、その長さ方向に等間隔で複数具体的には3カ所の凹溝121が設けられており、これら凹溝121は、露出面106に平行且つ他側発光部102の長さ方向に直交して延在している。中間発光部103にも、その長さ方向に等間隔で複数具体的には5カ所の凹溝121が設けられており、これら凹溝121は、露出面106に平行且つ中間発光部103の長さ方向に直交して延在している。
凹溝121は、いずれも、露出面106と平行な底面122と、プリズム部材76内の光の進行方向において底面122の端面111側の端縁部と露出面106とを結ぶ上流側壁面123と、プリズム部材76内の光の進行方向において底面122の端面112側の端縁部と露出面106とを結ぶ下流側壁面124とを有している。
図12,図13に示すように、一側発光部101に配置された凹溝121は、下流側壁面124が一側発光部101の長さ方向に直交している。一側発光部101に配置された凹溝121は、上流側壁面123が、一側発光部101の長さ方向に対し直交する方向に沿っており、露出面106側ほど光の進行方向において端面111側に位置するように傾斜している。これらの上流側壁面123は一側発光部101の長さ方向に対し45°に傾斜している。一側発光部101に配置された凹溝121は、取っ手63が紙幣収納箱本体62に収納された状態でLEDランプ74から入射されてプリズム部材76内で端面111から端面112に向けて進む光の一部を上流側壁面123が拡散させて主に一側発光部101を発光させる。
図12,図14に示すように、他側発光部102に配置された凹溝121は、下流側壁面124が他側発光部102の長さ方向に直交している。他側発光部102に配置された凹溝121は、上流側壁面123が、他側発光部102の長さ方向に対し直交する方向に沿っており、露出面106側ほど光の進行方向において端面111側に位置するように傾斜している。これらの上流側壁面123は他側発光部102の長さ方向に対し45°に傾斜している。他側発光部102に配置された凹溝121は、取っ手63が紙幣収納箱本体62に収納された状態でLEDランプ74から入射されてプリズム部材76内で端面111から端面112に向けて進む光の一部を上流側壁面123が拡散させて主に他側発光部102を発光させる。
中間発光部103に配置された凹溝121は、下流側壁面124が中間発光部103の長さ方向に直交している。中間発光部103に配置された凹溝121は、上流側壁面123が、中間発光部103の長さ方向に対し直交する方向に沿っており、露出面106側ほど光の進行方向において端面111側に位置するように傾斜している。これらの上流側壁面123は中間発光部103の長さ方向に対し45°に傾斜している。中間発光部103に配置された凹溝121は、取っ手63が紙幣収納箱本体62に収納された状態でLEDランプ74から入射されてプリズム部材76内で端面111から端面112に向けて進む光の一部を上流側壁面123が拡散させて主に中間発光部103を発光させる。
以上により、取っ手63が紙幣収納箱本体62に収納された状態でLEDランプ74からプリズム部材76に入射された光はプリズム部材76を全体的に発光させる。その結果、LEDランプ74およびプリズム部材76からなる発光部77は、取っ手63の紙幣収納箱本体62に収納された状態での外部に露出する露出面108から発光する。露出面108は、取っ手63の紙幣収納箱本体62に収納された状態での上面である。
LEDランプ74は、給電されて発光するものである。図2に示すように、紙幣収納箱35が紙幣処理装置本体50の装填部47に装填されてコネクタ35f,47f同士が接続されると、紙幣処理装置本体50に設けられた図1に示す制御装置部16が、装填された紙幣収納箱35の発光部77のLEDランプ74の発光を制御する。
制御装置部16は、紙幣処理装置本体50に装填された全ての紙幣収納箱35と通信しており、全ての紙幣収納箱35のそれぞれに設けられた図2に示す繰出検知センサ35b、ニアフル検知センサ35dおよびエンプティ検知センサ35eの検知結果から、全ての紙幣収納箱35のそれぞれの状態を把握する。そして、紙幣収納箱35のそれぞれの状態に応じて、図11に示すLEDランプ74の発光状態を制御する。
ここでは、紙幣収納箱35が設けられた引出体46が装置主体部45に対して出し入れされるため、制御装置部16は、引出体46が装置主体部45から引き出されたとき、LEDランプ74を発光させて、紙幣収納箱35の取っ手63の発光部77を発光させる。逆に、引出体46が装置主体部45から引き出されなければ、LEDランプ74を発光させることはなく、紙幣収納箱35の取っ手63の発光部77も発光させることはない。
LEDランプ74が、単色発光の場合、連続発光、短時間間隔点滅、長時間間隔点滅など、限られたパターンで、必要な情報を表す。
例えば、指定した紙幣収納箱35の回収時に、装置主体部45から引出体46が引き出されると、制御装置部16は、指定された紙幣収納箱35のLEDランプ74を連続発光させる。これにより、指定された紙幣収納箱35の収納状態にある取っ手63のプリズム部材76が連続発光する。よって、取っ手63が連続発光しているものが回収対象の紙幣収納箱35であることになり、回収対象の紙幣収納箱35を報知することができる。
また、例えば、紙幣収納箱35に、繰り出し異常、ニアフル状態およびエンプティ状態のいずれかの異常を検知した状態で、装置主体部45から引出体46が引き出されると、制御装置部16は、異常を検知した紙幣収納箱35のLEDランプ74を短時間間隔で点滅させる。これにより、異常を検知した紙幣収納箱35の収納状態にある取っ手63のプリズム部材76が短時間間隔で点滅する。よって、取っ手63が短時間間隔で点滅しているものが異常発生の紙幣収納箱35であることになり、異常発生の紙幣収納箱35を報知することができる。
また、例えば、紙幣収納箱35に、繰り出し異常、ニアフル状態およびエンプティ状態のいずれかの異常を検知した状態で、装置主体部45から引出体46が引き出されると、制御装置部16は、異常を検知していない紙幣収納箱35のLEDランプ74を異常を検知したものよりも長時間間隔で点滅させる。これにより、異常を検知していない紙幣収納箱35の収納状態にある取っ手63のプリズム部材76が長時間間隔で点滅する。よって、取っ手63が長時間間隔で点滅しているものが異常が発生していない紙幣収納箱35であることになり、異常が発生していない正常な紙幣収納箱35を報知することができる。
LEDランプ74が多色発光の場合には、色と、連続発光、点滅発光の組み合わせにより、必要な情報を表す。
例えば、LEDランプ74が緑色、青色、赤色の多色発光の場合、第1のパターンとして、指定した紙幣収納箱35の回収時に、装置主体部45から引出体46が引き出されると、制御装置部16は、指定された紙幣収納箱35のLEDランプ74を緑色で連続発光させる。これにより、指定された紙幣収納箱35の収納状態にある取っ手63のプリズム部材76が緑色で連続発光する。よって、取っ手63が緑色で連続発光しているものが回収対象の紙幣収納箱35であることになり、回収対象の紙幣収納箱35を報知することができる。
この第1のパターンでは、紙幣収納箱35に、繰り出し異常、ニアフル状態およびエンプティ状態のいずれかの異常を検知した状態で、装置主体部45から引出体46が引き出されると、制御装置部16は、異常を検知した紙幣収納箱35のLEDランプ74を赤色発光で発光させる。これにより、異常を検知した紙幣収納箱35の収納状態にある取っ手63のプリズム部材76が赤色発光する。よって、取っ手63が赤色発光しているものが異常発生の紙幣収納箱35であることになり、異常発生の紙幣収納箱35を報知することができる。その際に、連続発光・点滅で、種々の異常を切り分けて報知する。例えば、繰り出し異常の場合、LEDランプ74およびプリズム部材76を赤色で連続発光させ、ニアフル状態の場合、LEDランプ74およびプリズム部材76を赤色で短時間間隔で点滅させ、エンプティ状態の場合、LEDランプ74およびプリズム部材76を赤色で長時間間隔で点滅させる。
つまり、繰出検知センサ35bの検知結果から繰り出し異常があれば、その紙幣収納箱35のLEDランプ74を発光させる。ニアフル検知センサ35dの検知結果から、収納している紙幣が満杯に近いニアフル状態にあれば、その紙幣収納箱35のLEDランプ74を、繰り出し異常とは異なる形態で発光させる。エンプティ検知センサ35eの検知結果から、収納している紙幣がエンプティ状態にあれば、その紙幣収納箱35のLEDランプ74を、繰り出し異常およびニアフル状態とは異なる形態で発光させる。
この第1のパターンでは、紙幣収納箱35に、繰り出し異常、ニアフル状態およびエンプティ状態のいずれかの異常を検知した状態で、装置主体部45から引出体46が引き出されると、制御装置部16は、異常を検知していない紙幣収納箱35のLEDランプ74を青色で連続発光させる。これにより、異常を検知していない紙幣収納箱35の収納状態にある取っ手63のプリズム部材76が青色で連続発光する。よって、取っ手63が青色で連続発光しているものが異常が発生していない紙幣収納箱35であることになり、異常が発生していない正常な紙幣収納箱35を報知することができる。その際に、連続発光・点滅で、収納金種を切り分けて報知する。例えば、万円券収納用の紙幣収納箱35のLEDランプ74およびプリズム部材76を青色で連続発光させ、五千円券収納用の紙幣収納箱35のLEDランプ74およびプリズム部材76を青色で短時間間隔で点滅させ、千円券収納用の紙幣収納箱35のLEDランプ74およびプリズム部材76を青色で長時間間隔で点滅させる。
つまり、繰出検知センサ35bの検知結果から繰り出し異常がなく、ニアフル検知センサ35dの検知結果から、収納している紙幣が満杯に近いニアフル状態になく、エンプティ検知センサ35eの検知結果から、収納している紙幣がエンプティ状態にない紙幣収納箱35は、そのLEDランプ74を、繰り出し異常、ニアフル状態およびエンプティ状態とは異なる形態で発光させる。
例えば、LEDランプ74が緑色、青色、赤色の多色発光の場合、第2のパターンとして、紙幣収納箱35に、繰り出し異常、ニアフル状態およびエンプティ状態のいずれかの異常を検知した状態で、装置主体部45から引出体46が引き出されると、制御装置部16は、異常を検知した紙幣収納箱35のLEDランプ74およびプリズム部材76を、異常に応じた色で点灯または点滅させる。例えば、繰り出し異常の場合、LEDランプ74およびプリズム部材76を赤色で点灯または点滅させ、ニアフル状態の場合、LEDランプ74およびプリズム部材76を緑色で点灯または点滅させ、エンプティ状態の場合、LEDランプ74およびプリズム部材76を青色で点灯または点滅させる。
つまり、繰出検知センサ35bの検知結果から繰り出し異常があれば、その紙幣収納箱35のLEDランプ74を発光させる。ニアフル検知センサ35dの検知結果から、収納している紙幣が満杯に近いニアフル状態にあれば、その紙幣収納箱35のLEDランプ74を、繰り出し異常とは異なる形態で発光させる。エンプティ検知センサ35eの検知結果から、収納している紙幣がエンプティ状態にあれば、その紙幣収納箱35のLEDランプ74を、繰り出し異常およびニアフル状態とは異なる形態で発光させる。
この第2のパターンでは、紙幣収納箱35に、繰り出し異常、ニアフル状態およびエンプティ状態のいずれかの異常を検知した状態で、装置主体部45から引出体46が引き出されると、制御装置部16は、異常を検知していない紙幣収納箱35のLEDランプ74については消灯状態を維持する。
つまり、繰出検知センサ35bの検知結果から繰り出し異常がなく、ニアフル検知センサ35dの検知結果から、収納している紙幣が満杯に近いニアフル状態になく、エンプティ検知センサ35eの検知結果から、収納している紙幣がエンプティ状態にない紙幣収納箱35は、そのLEDランプ74の発光形態を、繰り出し異常、ニアフル状態およびエンプティ状態とは異なる消灯状態とする。
なお、いずれにおいても、紙幣収納箱35の可動の取っ手63が操作者によって起こされると、端面111がLEDランプ74からの光の入射方向に対して傾斜することになり、入射された光が傾斜面104側に進行することはなくなる。その結果、取っ手63のプリズム部材76は発光しない状態となる。また、紙幣収納箱35が紙幣処理装置本体50から取り出され始めると、コネクタ35f,47fの接続が解除されて、LEDランプ74は電源電圧の供給が絶たれた状態となって発光しなくなり、取っ手63のプリズム部材76も発光しなくなる。この場合、紙幣収納箱35が紙幣処理装置本体50に戻されて装填され始めると、コネクタ35f,47fが接続されて、LEDランプ74は電源電圧が供給される状態となって発光可能になり、取っ手63のプリズム部材76も発光可能になる。
また、いずれにおいても、LEDランプ74の発光開始後、所定時間経過したらLEDランプ74の発光を自動停止するようにしても良い。その場合、異常がない場合に限り、LEDランプ74の発光開始後、所定時間経過したらLEDランプ74の発光を自動停止するようにしても良い。
以上に述べた紙幣収納箱35は、取っ手63に設けられた発光部77のプリズム部材76の発光状態によってその状態を報知可能となる。したがって、一目で見ただけで、その状態を把握できるようになり、状態確認が容易となる。その結果、報知された情報から、紙幣収納箱35の状態を把握し、適切な処置を行うことができる。しかも、発光部77のプリズム部材76が取っ手63に設けられているため、報知が見逃されてしまう可能性を低減できる。よって、紙幣収納箱35の状態を把握させながら、取り出しを行わせることができる。
また、発光部77のプリズム部材76が、取っ手63の紙幣収納箱本体62に収納された状態での露出面108から発光するため、取っ手63を紙幣収納箱本体62から突出させなくても状態を確認できる。したがって、状態確認が一層容易となる。
また、発光部77は、取っ手63に設けられたプリズム部材76が、紙幣収納箱本体62に設けられたLEDランプ74からの光を入射させて発光するため、比較的広範囲を発光させても電力消費を抑制することができる。
また、発光部77は、取っ手63の一方の基端延出部71、連結部73および他方の基端延出部72に連続的に埋設されたプリズム部材76が、紙幣収納箱本体62に設けられたLEDランプ74からの光を入射させて発光するため、取り出し時に把持される連結部73が発光することになる。これにより、報知が見逃されてしまう可能性を一層低減できる。
また、引出体46が装置主体部45から引き出されたとき、発光部77によって、紙幣収納箱35の状態を示す発光がなされるため、消費電力を抑制した上で、適宜適切な処理をすべき紙幣収納箱35を容易に識別できる。
また、異常のない紙幣収納箱35についても、発光部77の発光状態を確認することで、容易に識別できる。
以上に述べた紙幣収納箱35を備えた紙幣処理装置11は、紙幣処理装置本体50の制御装置部16が、装填された紙幣収納箱35の取っ手63に設けられた発光部77の発光状態を制御する。これにより、取っ手63に設けられた発光部77の発光状態によって、紙幣収納箱35の状態を報知可能となる。したがって、紙幣収納箱35の状態確認が容易となる。しかも、発光部77が取っ手63に設けられているため、報知が見逃されてしまう可能性を低減できる。
以上に述べた実施形態を以下のように変更することも可能である。
実施形態では、紙幣収納箱35の状態検知として、繰り出し不良と、エンプティ状態と、ニアフル状態とを検知する場合を例にとり説明したが、これらに加えて、紙幣収納箱35に収納している紙幣が満杯のフル状態と、収納状態の不良、繰り出し不良以外のジャム、誤別収納可能性等を検知して、発光部77で報知することもできる。勿論、発光部77で報知する内容は適宜選択することができる。
実施形態では、貨幣処理装置としての紙幣処理装置11を例にとり説明したが、貨幣としての硬貨を処理する硬貨処理装置およびこれが備える貨幣収納箱としての硬貨収納箱に対して、実施形態の構成を適用することも可能である。
実施形態では、取っ手63は、紙幣収納箱本体62の上面の収納凹部66内に収納(埋没)されたり、紙幣収納箱本体62の上面から上方に突出したりするように、紙幣収納箱本体62に対し揺動するが、これに限らない。
例えば、特許文献1に記載された装置のように、貨幣収納箱の取っ手が、貨幣収納箱本体の外枠側方を起端部として揺動する方式であっても良い。この場合、起端部に対向するように発光部を設けにくいので、起端部近傍の取っ手の内側(貨幣収納箱本体の側面側)に、貨幣収納箱本体の側面に対向する受光面を設け、貨幣収納箱本体の側面の光源から受光面に入射された光を、直ちに取っ手の伸びる方向に90度反射させる反射面を設けることで、取っ手内のプリズム体に、光を伝達させるようにすれば良い。
また、特許文献2に記載された装置のように、貨幣収納箱の取っ手が、揺動しない固定タイプのものであっても良い。つまり、取っ手が、貨幣収納箱本体に対して揺動可能、または固定のいずれであっても、貨幣収納箱が所定の状態になったとき、取っ手に設けられた発光部が、これを報知することができれば良い。
さらには、特開平11−154259号公報に記載された装置のように、取っ手が、揺動式ではなく、上方にスライドして貨幣収納箱本体の上面から上方に突出するように設けたスライド式であっても良い。この場合、取っ手が下方にスライドして貨幣収納箱本体の上面に収納されているときの、取っ手の露出する上面から発光するように発光部を設ける。
さらには、特許文献1あるいは特開2010−211340号公報に記載された装置のように、貨幣収納箱の取っ手が、貨幣収納箱の外枠側方を起端部として揺動する方式の場合、光源を貨幣収納箱外方のスタッカ支持装置側に設け、取っ手の外側に受光面を設け、スタッカ支持装置側の光源からの発光を受けて、取っ手内のプリズム体に、光を伝達させても良い。
さらには、貨幣処理装置に、貨幣を収納する貨幣収納箱が一つのみ設けられていても良い。