JP6757620B2 - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、巻回型のコンデンサ素子の本体部を外装ケースに収容した上で樹脂封止された金属化フィルムコンデンサ、詳しくは、軸方向の両端に引き出し電極が接続された金属化フィルム巻回型のコンデンサ素子と、前記引き出し電極の一部を除いて前記コンデンサ素子の本体部を収容する樹脂製の外装ケースと、前記外装ケース内に充填され固化によって前記コンデンサ素子の本体部を覆う封止樹脂とを備えた金属化フィルムコンデンサに関する。
例えばインバータ装置(直流‐交流変換装置)用のコンデンサ素子は、その軸方向両端の一対の引き出し電極間に電圧を高周波で印加することに起因して、誘電体フィルムを挟み込む異極の金属薄膜電極間にクーロン力が作用し、機械的振動が発生する。近年では、インバータ装置におけるスイッチング周波数の高周波化に伴い機械的振動の周波数も高周波化し、不快な雑音(例えば「キーン」と鳴る耳障りな唸り音)が発生することが問題となってきている。
金属化フィルムコンデンサには、そのコンデンサ素子として巻回型(円柱型、扁平柱状型)、積層型などがあるが、巻回型の場合、金属化フィルムの巻き取りの際に巻き取りのテンション(張力)を強くして強固な巻き取りを行い、フィルム層間を狭めることにより雑音を抑制することが従来から行われている。
また、振動(雑音)を低減する対策として、樹脂製の外装ケースの内壁に凹部(ケース開口端まで軸方向に延びる溝状の凹部、周方向と軸方向にほぼ等間隔で点在する穴状の凹部、底面から開口端まで螺旋状に延びる溝状の凹部)を形成し、その凹部にも封止樹脂を充填する方式の金属化フィルムコンデンサが提案されている(例えば特許文献1参照)。
この従来例の場合、コンデンサ素子を封入する封止樹脂に振動を吸収させるに当たり、外装ケースの内壁に形成した凹部の内部にも封止樹脂を喰い込ませる状態で充填することにより、振動吸収する封止樹脂を介してコンデンサ素子の固定を堅固にし、振動吸収を効果的にするとしている。この方式は、振動をその発生場所において吸収するという考え方に従っている。
従来、上記の特許文献1の方式とは異なる二重壁遮音タイプの電気機器容器が提案されている。それは、容器側板部を二重壁の構成とし、その二重壁内の空間を空気層、真空層あるいはグラスファイバー等の充填層としている。ただし、電気機器容器は金属製で、二重壁を構成する内側板と外側板はともに金属板で、同じく金属板である底板に溶接をもって固着されるものとなっている。そして、二重壁を含んで構成される金属製の電気機器容器は、その内部空間にコンデンサなどの電気機器とそれを覆う絶縁油を収容するものとなっている(例えば特許文献2参照)。
特開2009−94266号公報 実開昭63−67218号公報
本発明は、巻回型のコンデンサ素子の本体部を外装ケースに収容した上で樹脂封止された金属化フィルムコンデンサにおいて、高周波化に伴って避けがたく発生するコンデンサ素子の軸方向での唸り音などの雑音を効果的に低減することを課題とするものであるが、上述した2つの特許文献に記載の技術は、この課題を解決する上では充分なものではなかった。
図17および図18(a),(b),(c)に示す金属化フィルムコンデンサは、その基本の構成が本発明と共通しているもので、冒頭で述べたように、コンデンサ素子1の本体部1aを収容する樹脂製の外装ケース3と、外装ケース3内に充填され固化によってコンデンサ素子の本体部1aを覆う封止樹脂4とを備えたタイプの従来例である。外装ケース3は上方開口の箱形を呈し、コンデンサ素子1の軸方向に相当するZ方向で対向する一対の側板部3a′,3a′と、Y方向で対向する一対の正面板部3b,3bと、X方向下方の下端の底板部3cとを有し、全体が合成樹脂によって一体的に成形されている。2は引き出し電極、3dは収容空間部である。
巻回型の金属化フィルムコンデンサの場合には、その軸心部(中心部)に振動エネルギーが集中し、そこから軸方向の両外側方に向けて振動が伝搬し、最終的に軸方向両側の外方へ抜けるという現象を伴う傾向がある。近時のインバータ装置の高周波化に伴い、その傾向は強くなっている。
図17、図18の従来例の場合、軸方向に沿って側板に垂直に入射してきた高周波音波束は、その1枚ものの側板部3a′の外方に向けて抜ける。このとき、1枚ものの側板部3a′の振動を介して、ある立体角をもって広がって伝搬する。しかし、その立体角はメガホンのような細い截頭円錐筒状の比較的小さいものに限定され、拡散領域は1方向のみである。すなわち、軸方向の延長線周りの単一の比較的狭い立体角領域にすぎない。そのためと思われるが、コンデンサ素子の軸方向(Z方向)での唸り音などの雑音が相当に大きなものとなっている。
本発明者は、巻回型の金属化フィルムコンデンサについて、コンデンサ素子の軸方向とそれに直交する2方向につき、唸り音などの雑音の測定試験を行った。コンデンサ素子の軸方向をZ方向とし、Z方向に直交する2方向でコンデンサ素子を収容する樹脂製の外装ケースの開放方向(上方向)に沿った方向をX方向、Z方向とX方向とに直交する方向をY方向とする。
測定試験として、外装ケースに注入充填する封止樹脂の種類を変更して測定を行った。この結果、唸り音などの雑音の低減に効果のある封止樹脂の種類があることが分かってきたが、近時のユーザーの要求に充分に応えることのできるレベルには達しないことが判明した。
詳しくは、唸り音などの雑音に対する低減効果には方向性があることが分かってきた。すなわち、X方向やY方向では相応の雑音低減効果が認められたものの、Z方向では満足のできる雑音低減効果は認められなかった。その原因としては、次のような現象が考えられる。
上述したように、巻回型のコンデンサ素子において周辺部から軸心部に集中した振動エネルギーは軸心部で軸方向の両外側方に向けて伝搬し外方へ抜けるもので、インバータ装置の高周波化に伴い軸方向への抜けの強度が強くなっている。その結果、上述のように様々な工夫を凝らしても、雑音低減効果はZ方向では満足のできるものとはならなかったのである。
本発明はこのような事情に鑑みて創作したものであり、巻回型のコンデンサ素子の本体部を外装ケースに収容した上で樹脂封止された金属化フィルムコンデンサに関して、特にコンデンサ素子の軸方向(Z方向)での唸り音などの雑音の低減効果を優れたものにすることを目的としている。
本発明は、次の手段を講じることにより上記の課題を解決する。
本発明による金属化フィルムコンデンサは、
軸方向の両端に引き出し電極が接続された金属化フィルム巻回型のコンデンサ素子と、
前記引き出し電極の一部を除いて前記コンデンサ素子の本体部を収容する樹脂製で開口を有する外装ケースと、
前記外装ケース内に充填され固化によって前記コンデンサ素子の本体部を覆う封止樹脂とを備えた金属化フィルムコンデンサであって、
前記外装ケースにおける前記軸方向の両端の側板部がそれぞれ前記軸方向で対向する外側板と内側板との二重壁に構成され、前記外側板と前記内側板との間に前記軸方向に対して垂直な方向で展開する空隙部が形成され
さらに前記空隙部は、前記軸方向に対する垂直面内において、少なくとも前記外装ケースの開口方向と同方向およびその逆方向に沿って外部空間に開放されていることを特徴とする。
また、本発明2による金属化フィルムコンデンサは、
軸方向の両端に引き出し電極が接続された金属化フィルム巻回型のコンデンサ素子と、
前記引き出し電極の一部を除いて前記コンデンサ素子の本体部を収容する樹脂製で開口を有する外装ケースと、
前記外装ケース内に充填され固化によって前記コンデンサ素子の本体部を覆う封止樹脂とを備えた金属化フィルムコンデンサであって、
前記外装ケースにおける前記軸方向の両端の側板部がそれぞれ前記軸方向で対向する外側板と内側板との二重壁に構成され、前記外側板と前記内側板との間に前記軸方向に対して垂直な方向で展開する空隙部が形成され、
さらに前記空隙部は、少なくとも前記外装ケースの開口方向および前記軸方向の両者に対して垂直な方向に沿って外部空間に開放されていることを特徴とする。
本発明による上記の構成は、次のような作用効果を発揮する。
外装ケースにおける軸方向両端の側板部を軸方向で対向する外側板と内側板との二重壁に構成することにより、その外側板と内側板との間に、唸り音などの雑音を拡散して低減する機能を有する空隙部を形成している。それは、雑音の発生を抑制の直接の対象(ターゲット)とするものではなく、発生した雑音をその発生後に拡散することによって低減するものとなっている。
空隙部は、軸方向の最外側に位置する外側板とそれの内側で対向する内側板との二重壁で挟まれた空間である。空隙部が形成される前記の外装ケース軸方向両端の側板部のそれぞれは、前記の二重壁を構成する外側板および内側板に相当する。
内側板とこれに対向する外側板との二重壁によって挟み込まれて形成される空隙部を有しているので、内側板を通過した高周波音波束は通過後の空隙部で伝搬方向の拡散を受ける。その高周波音波束の拡散の方向は、空隙部が展開する方向である軸方向(素子軸方向)に垂直な方向、およびその垂直な方向と軸方向との様々な傾斜角度での合成方向である。その様々な方向を集約した全領域は、コンデンサ素子軸心の周囲360度の広がりをもつ立体角領域となる。このこと自体については、その伝搬方向の先に外部に連通開放する開口部があるかないかは問題ではない。高周波音波束は内側板を抜けた直後には、空隙部において、周囲360度の広がりをもつ立体角領域で拡散する。
コンデンサ素子軸心周りの360度の拡散において、その先に外部に連通開放する開口部があれば、その方向に沿っての高周波音波束の外部逃げ出しは促進される。また、その先に外部に連通開放する開口部がなければ、そこは内側板と外側板とを軸方向に沿って連接(連設)する繋ぎ梁部であるが、高周波音波束はその繋ぎ梁部の振動を介して外部空間へと拡散する。いずれにしても、内側板(従来例では1枚ものの側板)から抜け出た後の、軸方向に対して垂直方向での高周波音波束の拡散立体角領域が、本発明では従来例に比べて充分に大きなものとなっている。
上記のように、本発明においては、コンデンサ素子の軸心部から軸方向に沿って伝搬してきた高周波音波束が外装ケースの内側板とこれに対向する外側板との二重壁によって挟み込まれて形成される空隙部の存在によって軸方向に対して垂直方向に広範囲に拡散される
さらに、本発明1においては、空隙部は、少なくとも外装ケースの開口方向と同方向およびその逆方向に沿って外部空間に開放されている。また、本発明2においては、空隙部は、少なくとも外装ケースの開口方向および軸方向の両者に対して垂直な方向に沿って外部空間に開放されている。
上記構成の本発明の金属化フィルムコンデンサには、次のようないくつかの好ましい態様ないし変化・変形の態様がある。
〔1〕前記外装ケースは、互いに平行姿勢で対向して前記空隙部を形成する前記内側板と前記外側板を有し、その内側板と外側板を含めて全体が樹脂の射出成形によって一体成形品に構成されている、という態様がある。
〕また、前記コンデンサ素子は、その軸心部が空洞となった円筒形であり、その軸心部の空洞にも前記封止樹脂が充填されている、という態様がある。
本発明によれば、外装ケース両端の側板部をそれぞれにおいてコンデンサ素子の軸方向(Z方向)で対向する外側板と内側板との二重壁に構成し、外側板と内側板との間に軸方向に対して垂直な方向で展開する空隙部を形成してあるので、コンデンサ素子から軸方向に沿って伝搬してきた高周波音波束を内側板と外側板とで挟み込まれた空隙部において広範囲に拡散でき、特に軸方向での唸り音などの雑音の低減効果を優れたものにすることができる。
比較例1における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図 比較例1における金属化フィルムコンデンサの平面図、正面図および側面図 比較例1における金属化フィルムコンデンサの要部の斜視図および縦断面図 比較例2における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図 比較例2における金属化フィルムコンデンサの平面図、正面図および側面図 比較例2における金属化フィルムコンデンサの要部の斜視図および縦断面図 本発明の第の実施例における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図 の実施例における金属化フィルムコンデンサの平面図、正面図および側面図 の実施例における金属化フィルムコンデンサの要部の斜視図および縦断面図 本発明の第の実施例における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図 の実施例における金属化フィルムコンデンサの平面図、正面図および側面図 の実施例における金属化フィルムコンデンサの要部の斜視図および縦断面図 本発明の第の実施例における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図 の実施例における金属化フィルムコンデンサの平面図、正面図および側面図 の実施例における金属化フィルムコンデンサの要部の斜視図および縦断面図 5つのと従来例について行った唸り音などの雑音測定試験の結果で得られた雑音強度‐周波数特性図 従来例の金属化フィルムコンデンサの構成を示す斜視図 従来例の金属化フィルムコンデンサの平面図、正面図および側面図
以下、上記構成の本発明の金属化フィルムコンデンサにつき、その実施の形態を具体的な実施例のレベルで詳しく説明する。説明の都合上、実施例の前に参考となる比較例1、2について説明する。
比較例1
本発明に対する比較例1を図1、図2および図3を用いて説明する。図1は比較例1における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図、図2(a),(b),(c)はその平面図、正面図および側面図、図3(a),(b)は要部の斜視図、図3(c)は要部の縦断面図である。
これらの図において、1は金属化フィルム巻回型のコンデンサ素子、1aはコンデンサ素子1の本体部、2は引き出し電極、3は樹脂製の外装ケース、4は封止樹脂である。3aは外装ケース3における軸方向両端の側板部、3bは外装ケース3における正面板部、3cは外装ケース3における底板部、5は側板部に形成された雑音低減用の空隙部、3a1 は側板部3aにおける内側板、3a2 は側板部3aにおける外側板である。
図3は一方の側板部3aとその周辺部を拡大して示しており、図3(a)は外装ケース3の部分を実線で、雑音低減用の空隙部5の部分を破線でそれぞれ示し、図3(b)は空隙部5の部分を実線で、外装ケース3の部分は破線でそれぞれ示し、図3(c)は空隙部5をXY2次元方向で縦断した断面図を示す。
図1に示すように、コンデンサ素子1は、金属化フィルムを多重巻きして円筒状に形成したコンデンサ素子の本体部1aと、その本体部1aの軸方向両端に対して金属溶射して形成した金属溶射電極(メタリコン)にはんだ付けした正極・負極一対の引き出し電極2,2とを有している。
ここで、金属化フィルムは誘電体フィルムの片面に蒸着などにより金属薄膜電極を形成したものであり、その金属化フィルムを2枚重ね合わせした状態で巻回している。巻回に際しては、先巻用フィルムを多重に巻回して作製した薄肉円筒状の巻芯を芯材として、その外周に2枚重ね合わせ状態の金属化フィルムを多重に巻回し、さらに最外層に外装フィルムを巻回する。このようにして作製された円筒状巻回体の軸方向両端面に金属微粒子を溶射して金属溶射電極を形成するのであるが、溶射前に円筒状巻回体から巻芯を引き抜いておく。この段階では、コンデンサ素子の本体部1aの軸心部には巻芯を抜き取ったあとの軸方向両側に開放している円柱状の空洞が形成されている。
図1および図2に示すように、樹脂製の外装ケース3は、上方開口の箱形を呈し、Z方向(コンデンサ素子の本体部1aの軸方向。水平横方向)で平行に対向する一対の側板部3a,3aと、Y方向(Z方向に垂直に交差する水平横方向)で平行に対向する一対の正面板部3b,3bと、X方向(Z方向およびY方向に垂直に交差する縦方向)に直交する平面内で平坦に展開する底板部3cとを有している。側板部3a,3aはX方向・Y方向の2次元平面に沿って平坦に展開し、正面板部3b,3bはZ方向・X方向の2次元平面に沿って平坦に展開している。一対の側板部3a,3aと一対の正面板部3b,3bと1枚の底板部3cとは合成樹脂によって一体的に成形されている。
図3にも示すように、各側板部3aには雑音低減用の空隙部5が形成されている。その空隙部5はX方向・Y方向の2次元平面に沿って展開している。この空隙部5は互いに平行な姿勢でZ方向に対向する内側板3a1 と外側板3a2 とで挟まれた形態となっている。空隙部5はX方向での上方向に開放されているが、X方向での下方向では閉塞し、Y方向での両方向でも閉塞している。底板部3cは外装ケース3の底面全体にわたっている。空隙部5の態様は一対の側板部3a,3aで同様の構成となっている。
なお、図3では空隙部5の形状について、端縁部(エッジ部)を直角に描いているが、それは空隙部5の存在を明確化するための工夫である。実際的には、図1や図2のように半円弧上の曲線を描くものである。もっとも、空隙部5の端縁部(エッジ部)を積極的に直角にしてもよい。
以上のような形態の外装ケース3が合成樹脂の射出成形によって一体的に形成されている。その合成樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)などが用いられる。
外装ケース3において底板部3cと一対の正面板部3b,3bと一対の内側板3a1 ,3a1 で囲まれた収容空間部3dにコンデンサ素子1の本体部1aが上方から収容される。コンデンサ素子の本体部1aの軸方向が外装ケース3のZ方向に沿う姿勢で収容される。このとき、コンデンサ素子の本体部1aはその全体が収容空間部3dの内部に入り込んだ状態で収容されるが、正極・負極一対の引き出し電極2,2のほぼ上半分が収容空間部3dの上方開口部から外部上方に突出している。
空隙部5のY方向の端部位置は収容空間部3dのY方向の端部位置と一致している。空隙部5のX方向下方の端部位置は収容空間部3dのX方向下方の端部位置と一致している。空隙部5のZ方向での幅は空隙部5の全体にわたって均一であり、その幅は内側板3a1 や外側板3a2 の幅とほぼ同じとなっている。空隙部5はX方向上方においてのみ外部に開放しており、X方向下方、Y方向の両方向およびZ方向の両方向では閉じた状態となっている。
外装ケース3の収容空間部3dにはエポキシ樹脂などの封止樹脂4が充填固化されており(ポッティング)、その封止樹脂4によってコンデンサ素子の本体部1aと引き出し電極2,2の基部側が封入されている。封止樹脂4はコンデンサ素子の本体部1aや本体部1aと引き出し電極2,2との接続部を保護するものである。この封止樹脂4は本体部1aの軸心部で巻芯を抜き取ったあとの軸方向の円柱状の空洞にも充填される。
比較例2
本発明に対する比較例2を図4、図5および図6を用いて説明する。図4は比較例2における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図、図5(a),(b),(c)はその平面図、正面図および側面図、図6(a),(b)は要部の斜視図、図6(c)は要部の縦断面図である。比較例2のこれらの各図において比較例1の各図で用いたのと同一符号は同一の構成要素を指すものとし、詳しい説明は省略する。
比較例2においては、比較例1に比べて、雑音低減用の空隙部5の寸法(内容積)が拡張されたものとなっている。すなわち、空隙部5のZ方向の幅、Y方向の幅、X方向の幅のいずれもが比較例1のそれらに比べてより広幅となっている。ただし、比較例1の場合と同様に、空隙部5はX方向上方においてのみ外部に開放しており、下方向、Y方向の両方向およびZ方向の両方向では閉じた状態となっている。
幅が拡張されたことに伴い、空隙部5のX方向下方に位置する底板部3cの肉厚は比較例1よりも薄くなっている。空隙部5のY方向に位置する正面板部3bの肉厚は比較例1よりも薄くなっている。内側板3a1 および外側板3a2 の肉厚も比較例1よりも薄くなっている。
その他の構成については比較例1の場合と同様である。
この比較例2では空隙部5の幅の拡張(板部の薄肉化)がX方向、Y方向、Z方向の3方向のいずれにおいても行われているが、変形として、3方向のうちのいずれか1方向での拡張、あるいは3方向のうちのいずれか2方向(組み合わせは任意)での拡張もある
〔第の実施例〕
本発明の第の実施例を図7、図8および図9を用いて説明する。図7は本発明のの実施例における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図、図8(a),(b),(c)はその平面図、正面図および側面図、図9(a),(b)は要部の斜視図、図9(c)は要部の縦断面図である。第の実施例のこれらの各図において比較例1の各図で用いたのと同一符号は同一の構成要素を指すものとし、詳しい説明は省略する。
比較例1では雑音低減用の空隙部5の外部開放の方向がX方向の一側方(上方向)のみであったのに対して、第の実施例においては、空隙部5の外部開放の方向がX方向の両側方(上方向と下方向)となっている。このことは、特に図8(b)および図9(c)でよく分かる。すなわち、空隙部5での底は外部(下方)開放となっている。比較例1の場合と同様に、Y方向の両方向およびZ方向の両方向では閉じた状態となっている。
その他の構成については比較例1の場合と同様である。
〔第の実施例〕
本発明の第の実施例を図10、図11および図12を用いて説明する。図10は本発明の第の実施例における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図、図11(a),(b),(c)はその平面図、正面図および側面図、図12(a),(b)は要部の斜視図、図12(c)は要部の縦断面図である。第の実施例のこれらの各図において比較例1の各図で用いたのと同一符号は同一の構成要素を指すものとし、詳しい説明は省略する。
の実施例においては、雑音低減用の空隙部5の外部開放の方向がX方向の両側方およびY方向の両側方となっている。図12(c)に示すように、空隙部5の4つの角部においては、外側板3a2 を内側板3a1 に連接(連設)しておくための小さな断面積の柱状の連接部3e‥がある。これら4つの連接部3e‥は、外部開放の開口面積を可能な限り大きくするために、その断面はほぼ正方形で、その上下寸法および左右寸法は正面板部3bの肉厚とほぼ同じ寸法となっている。
その他の構成については比較例1の場合と同様である。
の実施例の変形の実施例として、X方向の両側方とY方向のいずれか一側方との組み合わせ、X方向のいずれか一側方とY方向の両側方との組み合わせなどであってもよい。
〔第の実施例〕
本発明の第の実施例を図13、図14および図15を用いて説明する。図13は本発明の第の実施例における金属化フィルムコンデンサを示す斜視図、図14(a),(b),(c)はその平面図、正面図および側面図、図15(a),(b)は要部の斜視図、図15(c)は要部の縦断面図である。第の実施例のこれらの各図において比較例1、第の実施例の各図で用いたのと同一符号は同一の構成要素を指すものとし、詳しい説明は省略する。
雑音低減用の空隙部5の外部開放の方向がX方向の両側方でありかつY方向の両側方である点は第の実施例と同様であるが(図15(c)参照)、Y方向端での開口のX方向幅が第の実施例よりも狭くなっている。外側板3a2 を内側板3a1 に連接しておくための4つの連接部3e‥は第の実施例の場合より縦長となっている。Y方向端での空隙部5の開口の位置はX方向での中央位置となっている。
その他の構成については比較例1の場合と同様である。
変形の実施例として、Y方向端での空隙部5の開口の位置がX方向での中央位置ではなく、上方向または下方向に偏っていてもよいし、開口の数を2以上としてもよい。
上記の5つの実施例の金属化フィルムコンデンサについて唸り音などの雑音の強度‐周波数特性の測定試験を行った。その結果を図17、図18に示す従来例と対応させながら図16(a),(b)に示す。図16(a)は実測データを示し、図16(b) は各周波数において従来例の場合の雑音強度をすべて0にして正規化したデータである。周波数範囲は10.0kHzから13.0kHzまでの7点(0.5kHz刻み)と11.8kHzとである。
この図において、(1)は比較例1(上方向のみ開放)の結果、(2)は比較例2(上方向のみ開放かつ拡張タイプ)の結果、(3)は第の実施例(上下両方向に開放)の結果、(4)は第の実施例(上下左右方向に開放)の結果、(5)は第の実施例(上下左右方向に開放かつ左右方向開口縮小タイプ)の結果、(0)は従来例の結果である。
比較例1から第の実施例までのすべてにつき、雑音低減用の空隙部5の存在は唸り音などの雑音を各周波数において低減する効果があることが分かる。また、上下左右開放タイプの(3),(5)の場合は(1),(2),(4)より優れた雑音低減効果をもつ傾向があるといえる。
いずれにしても、内側板3a1 と外側板3a2 との二重壁によって挟み込まれて形成される雑音低減用の空隙部5の存在により、内側板3a1 を通過した高周波音波束の伝搬方向を大きく拡散する。その高周波音波束の拡散の方向は様々な方向を集約したコンデンサ素子軸心の周囲360度の広がりをもつ立体角領域となる。
このように、本発明実施例においては、コンデンサ素子の本体部1aの軸心部から軸方向に沿って伝搬してきた高周波音波束が雑音低減用の空隙部5の存在によって広範囲に拡散されるため、特に軸方向(Z方向)での唸り音などの雑音の低減効果を優れたものにすることができる。
なお、上記実施例では、コンデンサ素子の本体部1aを円筒状にしているが、これに代えて円筒形を半径方向内方に圧迫変形した扁平柱状体としてもよい。もっとも素子断面を真円形状に近くするほど、強固に巻き取りを行うことができ、雑音抑制に効果的である。
上記の実施例では円筒状のコンデンサ素子の本体部1aの中心部の空洞には封止樹脂が充填されているが、そこに空気が残存していてもよい。
また、一体成形に代えて、雑音低減用の空隙部5を構成する空隙部用アダプタを内側板3a1 相当の側板に接着や溶着等で連接(連設)してもよい。あるいは、射出成形時には空隙部5のない肉厚の大きい側板部3aを形成しておき、成形後の切削加工により空隙部5を形成してもよい。
本発明は、巻回型のコンデンサ素子の本体部を外装ケースに収容した上で樹脂封止された金属化フィルムコンデンサに関して、特にコンデンサ素子の軸方向(Z方向)での唸り音などの雑音の低減効果を優れたものにする技術として有用である。
1 コンデンサ素子
1a コンデンサ素子の本体部
2 引き出し電極
3 外装ケース
3a 側板部
3a1 内側板
3a2 外側板
4 封止樹脂
5 空隙部

Claims (4)

  1. 軸方向の両端に引き出し電極が接続された金属化フィルム巻回型のコンデンサ素子と、
    前記引き出し電極の一部を除いて前記コンデンサ素子の本体部を収容する樹脂製で開口を有する外装ケースと、
    前記外装ケース内に充填され固化によって前記コンデンサ素子の本体部を覆う封止樹脂とを備えた金属化フィルムコンデンサであって、
    前記外装ケースにおける前記軸方向の両端の側板部がそれぞれ前記軸方向で対向する外側板と内側板との二重壁に構成され、前記外側板と前記内側板との間に前記軸方向に対して垂直な方向で展開する空隙部が形成され
    さらに前記空隙部は、前記軸方向に対する垂直面内において、少なくとも前記外装ケースの開口方向と同方向およびその逆方向に沿って外部空間に開放されていることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
  2. 軸方向の両端に引き出し電極が接続された金属化フィルム巻回型のコンデンサ素子と、
    前記引き出し電極の一部を除いて前記コンデンサ素子の本体部を収容する樹脂製で開口を有する外装ケースと、
    前記外装ケース内に充填され固化によって前記コンデンサ素子の本体部を覆う封止樹脂とを備えた金属化フィルムコンデンサであって、
    前記外装ケースにおける前記軸方向の両端の側板部がそれぞれ前記軸方向で対向する外側板と内側板との二重壁に構成され、前記外側板と前記内側板との間に前記軸方向に対して垂直な方向で展開する空隙部が形成され、
    さらに前記空隙部は、少なくとも前記外装ケースの開口方向および前記軸方向の両者に対して垂直な方向に沿って外部空間に開放されていることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
  3. 前記外装ケースは、互いに平行姿勢で対向して前記空隙部を形成する前記内側板と前記外側板を有し、その内側板と外側板を含めて全体が樹脂の射出成形によって一体成形品に構成されている請求項1または請求項2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
  4. 前記コンデンサ素子は、その軸心部が空洞となった円筒形であり、その軸心部の空洞にも前記封止樹脂が充填されている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の金属化フィルムコンデンサ。
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