第1実施形態に係る前記ドア開閉装置は、前記ドア閉鎖信号に基づいた前記ドアの前記閉鎖位置への到達を検出した場合に限って前記利用開始情報を前記監視装置へ送信する。
ドアスイッチのような簡単なセンサでドア閉鎖を検出する場合、常開型では、ドアの閉鎖位置への到達検出は、毎回、トイレブースの利用開始時に相当する。一方、常閉型では、ドアの閉鎖位置への到達検出は、トイレブースの利用開始時と利用終了時のいずれでも発生する。そのうち、トイレブースの内部に設けられたドア閉鎖用操作センサからのドア閉鎖信号による作動時の到達検出が、利用開始時に相当する。第1実施形態は、この場合に限って、ドア開閉装置が利用開始情報を監視装置へ送信するようになっているので、常開型、常閉型のいずれを採用する場合でも、ドアスイッチのような簡単なセンサを活用してトイレブースの利用開始を検出することができる。
前述のように、常開型であれ、常閉型であれ、トイレブースの内部に設けられたドア閉鎖用操作センサが利用者に操作されることによりドア開閉装置がドアを閉鎖位置へ移動させるので、ドア閉鎖信号は、トイレブースの利用開始時と一致して出力される。このため、第2実施形態によれば、ドア閉鎖用操作センサを活用して利用開始を検出することができ、目的外利用者に監視回避策の機会を与えることがない。
第3実施形態に係るトイレ監視システムは、前記ドア閉鎖信号に基づいて前記ドアが閉鎖位置に移動させられる場合に経過時間の計測を開始し、前記ドア開放信号に基づいて当該ドアが開放位置へ移動させられる場合に当該計測を停止する計時器と、前記計時器での計測時間が規定時間に達した場合に前記トイレブース内の撮影及び収音の少なくとも一方を開始するAV機器と、当該AV機器から伝送路経由で送信された撮影画像データ及び音声データの少なくとも一方を出力する再生装置とをさらに備える。
計時器は、トイレブースの設備として設けてもよいし、監視装置に設けてもよい。計時器は、トイレ監視システムのシステム構成要素の制御において適宜に活用することができる。
AV機器は、動画又は静止画を撮影するカメラと、収音を行うマイクロホンとのうち、少なくとも一方として機能する。AV機器としては、カラー、白黒、赤外線撮影等を特に問わず、一般的な監視用AV機器を用いることができ、トイレブース内の人体を背景と識別できる解像度をもつものであればよい。単体のAV機器で撮影及び収音の両方を可能にするため、マイクロホン内蔵のAV機器を採用することが好ましい。
再生装置は、前述のカメラによる撮影画像データを出力するモニタと、前述のマイクロホンによる音声データを出力するスピーカとのうち、少なくとも一方として機能する。
ここで、規定時間は、前述の目的外利用等の異常事態が疑われる状況を検出するための基準とすることができ、予め、計時器、又は、AV機器を配下とするシステム構成要素に設定される。また、規定時間は、システムユーザの都合に合わせて適宜に設定すればよく、固定でもよいし、タイムスケジュールやシステム側で知り得る情報に応じて変更されてもよい。例えば、学校施設のトイレブースで利用期間が授業間の休憩時間に限られるような場合、規定時間は休憩時間の長さに応じて設定すればよい。また、駅施設のトイレブースのように不特定多数の利用者が想定される場合、規定時間は、初期値を例えば30分に設定し、監視装置でトイレブースの利用状況を蓄積し、その蓄積データから統計的に算出した値に変更してもよい。
第3実施形態によれば、前記トイレブースの目的外利用、トイレブース内での利用者の意識喪失等の異常事態が疑われるような長時間利用を計時器の計測時間からシステム側で知ることが可能となる。また、第3実施形態によれば、トイレブースの利用継続時間が規定時間に達しておらず、トイレブースの通常的な利用がなされていると見做せる状況のとき、AV機器がトイレブース内の撮影や収音を行わず、利用者のプライバシーを守ることができる。トイレブースの利用継続時間が規定時間に達し、目的外利用等の異常事態が疑われる状況になると、AV機器がトイレブース内の撮影及び収音の少なくとも一方を開始し、当該撮影画像データ及び音声データの少なくとも一方を再生装置に送信する。監視員は、再生装置でトイレブース内の撮影画像及びトイレブース内の音声の少なくとも一方を視聴することができる。このため、第3実施形態によれば、利用者のプライバシーを適切に守りながら、目的外利用等の異常事態が疑われる状況になった場合に、再生装置に出力されたトイレブース内の撮影画像や音声からトイレブース内の実際の様子を知ることができる。
なお、トイレブース内の撮影は、特に、病院や福祉施設のようにトイレブース内で利用者が発症や負傷する可能性が高い施設に適用することが好ましい。駅、公園等の通常の公衆トイレでは、利用者にプライバシーの不安を与えることを避けるため、トイレブースへのカメラ設置を避け、マイクロホンで収音のみを行うようにしてもよい。
第4実施形態に係るトイレ監視システムは、前記ドア閉鎖信号に基づいて前記ドアが閉鎖位置に移動させられる場合に経過時間の計測を開始し、前記ドア開放信号に基づいて当該ドアが開放位置へ移動させられる場合に当該計測を停止する計時器と、前記計時器で計測される利用継続時間が設定時間に達した場合に警報を発するアラーム部をさらに備える。
ここで、設定時間は、前記規定時間と同様の概念である。設定時間と規定時間は同一であってもよいし、異なっていてもよい。同一にする場合、一つの時間のみを設定可能な前記計時器を採用してもよいし、二つの時間を設定可能な計時器を採用してもよい。
アラーム部は、トイレブース外に設置され、警報音の出力及び警報表示の少なくとも一方を行う。例えば、アラーム部として、トイレブースの外壁、監視装置を配置する監視センタ内に設置された表示灯、ブザー等が挙げられる。
第4実施形態によれば、前記トイレブースの目的外利用、トイレブース内での利用者の意識喪失等の異常事態が疑われるような長時間利用を計時器の計測時間からシステム側で知ることが可能となり、また、トイレブースの目的外利用等の異常事態が疑われる状況になったことを、アラーム部の周囲の人物に警報で知らせることができる。
第5実施形態に係る前記監視装置は、複数のトイレ室について前記トイレブースの利用状況を集中監視し、前記トイレブースの利用状況を前記トイレ室ごとに管理し、通信網経由で接続された通信端末へ前記トイレ室の利用状況情報を送信する。
例えば、利用状況情報は、トイレ室の見取り図において利用中のトイレブースと未利用のトイレブースとを色分け表示する画像データデータとして通信端末へ送信してもよい。
また、当該トイレ室における利用中のトイレブース数と基準値との比較によってトイレ室の利用状況を評価し、その評価結果を利用状況情報として通信端末へ送信するようにしてもよい。
例えば、当該トイレ室内のトイレブース総数に占める利用中のトイレブース数の割合が基準値を超えるか否かでトイレ室の利用状況を評価してもよい。また、利用中のトイレブース数が基準値を超えるか否かでトイレ室の利用状況を評価してもよい。これら評価に際し、大きさの異なる2つ以上の基準値のそれぞれと大小関係を比較し、複数段階に評価してもよい。
通信端末は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、PHS端末、カーナビゲーションシステム端末のような移動通信端末でもよいし、デジタルサイネージ端末のような一箇所に固定された固定端末でもよい。
通信網は、想定する通信端末に応じて適宜に決定すればよく、インターネット(TCP/IPによって結ばれている公開網)でもよいし、移動体回線網のような閉域網でもよいし、相互接続された複数の網からなるものでもよいし、また、伝送媒体を問わない。
監視装置は、通信端末からの要求に応じて利用状況情報を送信するようにしてもよいし、所定の対象条件に該当する通信端末の有無を監視し、送信対象となる通信端末へ自動的に利用状況情報を送信するようにしてもよい。また、通信端末からの要求に応じて利用状況情報を送信する場合、監視装置は、通信端末から送信された名称、位置情報等の検索条件に応じてトイレ室を抽出し、当該抽出したトイレ室の利用状況情報を送信するようにしてもよい。
第5実施形態によれば、監視装置が複数のトイレ室について前記トイレブースの利用状況を集中監視し、トイレ室ごとにトイレブースの利用状況を管理する。このため、監視装置は、あるトイレ室について、ある時点での各トイレブースの状態を知っており、これらを集約してトイレ室の利用状況情報を生成することができる。その監視装置と通信網経由で接続された通信端末を使用する端末使用者は、空いているトイレ室を探す際、監視装置から通信端末に送信されたトイレ室の利用状況情報を閲覧して効率よく探すことができる。このため、端末使用者は、方々のトイレ室へ手当たり次第に移動して未利用のトイレブースを探し回るような難儀な事態を避けることができる。
第6実施形態によれば、インターネット接続が可能な通信端末であれば、インターネット経由でトイレ室の利用状況情報を取得することが可能であり、幅広い利用者にサービスを提供することができる。
今日では移動体通信事業者によって全国的な通信エリアの移動体回線網が構築されている。このため、第7実施形態によれば、端末使用者は、移動しながら最新のトイレ室の利用状況情報を監視装置から取得することができ、空いているトイレ室をより探し易くなる。
第8実施形態に係る前記ドア開閉装置は、前記トイレブースに対して前記ドアを開閉自在に支持し、当該ドアを開放位置又は閉鎖位置に自動復帰させる復帰動機能付きヒンジと、前記トイレブースに設けられた非接触式の操作センサと、前記操作センサが前記利用者に操作されることにより作動して、前記復帰動機能付きヒンジによって復帰動作される方向と逆方向に前記ドアを回転駆動させるドア回動装置と、前記ドア回動装置と前記ドア間のトルク伝達系に設けられたトルク伝達遮断機構とを有する。前記ドア回動装置は、前記操作センサから信号が出力されると起動する電動モータと、前記電動モータのロータ軸により回転される入力ギヤ及び前記ドアの開閉中心へトルクを伝達する出力ギヤを有し、当該入力ギヤから当該出力ギヤに回転トルクを伝達して当該ドアを回動させるギヤ機構とからなる。前記トルク伝達遮断機構は、前記電動モータのロータ軸から前記ギヤ機構の出力ギヤへのトルク伝達系に設けられ、前記ドア側から当該電動モータ側へのトルク伝達を遮断するようになっている。
ここで、復帰動機能付きヒンジとしては、グレビティヒンジやばね蝶番が挙げられる。グレビティヒンジは、ドアの自重が傾斜カム面に作用した際に、その傾斜カム面のカム作用によってドアを開放位置又は閉鎖位置に向けて復帰回動させるようになっている。一方、ばね蝶番は、一対のヒンジ片を相反する方向に向けて付勢する捩じりコイルばねの弾性力によりドアを開放位置又は閉鎖位置に向けて復帰回動させるようになっている。復帰動機能付きヒンジは、ドアを開放位置に自動復帰させる開放位置保持型(常開型)のものであってもよく、あるいは、ドアを閉鎖位置に自動復帰させる閉鎖位置保持型(常閉型)のものであってもよい。復帰動機能付きヒンジの採用により、ドアを開放位置又は閉鎖位置で保持することができ、ドアを開放する操作及び閉鎖する操作の一方の操作を不要とすることができる。
常開型の復帰動機能付きヒンジを備える場合、ドア回動装置はドアを閉鎖方向に回動させる閉動作用のものとなる。一方、常閉型の復帰動機能付きヒンジを備える場合、ドア回動装置はドアを開放方向に回動させる開動作用のものとなる。
また、操作センサは、単一のセンサ機器として、他のセンサ機器との併用において、出力信号がドア閉鎖信号として使用され、あるいは、ドア開放信号として使用されるものであってもよく、あるいは、ドア閉鎖信号を出力するセンサ機器と、ドア開放信号を出力するセンサ機器とからなるものであってもよい。
第8実施形態によれば、操作センサに利用者が手を振りかざすと、これを感知した操作センサが信号を出力し、その出力信号に基づきドア回動装置が作動し、復帰動機能付きヒンジによる復帰動作力に抗してドアを回転駆動させる。このように、ドア開閉装置は、ドア回動装置と復帰動機能付きヒンジの両者によってドアを自動的に開閉する。したがって、利用者は、手動でドアを開閉いずれの方向にも動かすことが不要であり、衛生的である。このため、第8実施形態に係るトイレ監視システムは、介護施設や医療施設に好適なものである。
第9実施形態に係る前記ドア開閉装置は、前記トイレブースに対して前記ドアを開閉自在に支持し、当該ドアを開放位置又は閉鎖位置に自動復帰させる復帰動機能付きヒンジと、前記トイレブースに設けられた非接触式の操作センサと、前記操作センサが前記利用者に操作されることにより作動して前記ドアを回動させるドア回動装置とを有する。前記ドア回動装置は、前記操作センサから信号が出力されると起動する電動モータと、前記電動モータにより垂直な軸心を中心にして回転駆動されるアーム駆動軸と、前記アーム駆動軸に一端部が連結され、当該アーム駆動軸の回転により揺動し、その揺動側の端部により前記ドアを押圧して前記復帰動機能付きヒンジにより復帰動作される方向と逆の方向に当該ドアを回転駆動させるアームとからなる。ここで、復帰動機能付きヒンジ、操作センサについては、それぞれ第8実施形態と同様の構成要素である。
第9実施形態によれば、操作センサに利用者が手を振りかざすと、これを感知した操作センサが信号を出力し、その出力信号に基づきドア回動装置が作動し、アームが復帰動機能付きヒンジにより復帰動作される方向と逆の方向にドアを回転駆動させる。このように、ドア開閉装置は、ドア回動装置と復帰動機能付きヒンジの両者によってドアを自動的に開閉する。したがって、利用者は、手動でドアを開閉いずれの方向にも動かすことが不要であり、衛生的である。このため、第9実施形態に係るトイレ監視システムは、介護施設や医療施設により好適なものである。
さらに、第9実施形態に係るドア回動装置は、電動モータによりアームを揺動させる簡単な構成であるため、組立てが容易であり、また、ドア回りに容易に組み付け可能であり、安価に提供することができる。
第10実施形態は、第9実施形態に従属するものである。第10実施形態に係る前記ドア開閉装置は、前記電動モータから前記アーム駆動軸へのトルク伝達経路又は前記アーム駆動軸から前記アームへのトルク伝達経路に設けられ、前記電動モータの回転を前記アーム駆動軸に伝達して、当該アーム駆動軸を回転させる際の回転トルクが設定トルクを超えた際にトルク伝達を遮断するトルクリミッタをさらに有する。
第10実施形態のように、電動モータからアームに至る回転トルクの伝達経路にトルクリミッタを設けておくと、ドアの閉鎖時、そのドアと出入口の内周間に利用者や障害物が万一挟まれたり、ドアが利用者や障害物に当たってドアの駆動が妨げられたりした際、電動モータからアーム駆動軸への回転トルクが上昇し、その回転トルクがトルクリミッタの設定値を超えると、トルクリミッタが作動して、電動モータからアームへのトルク伝達が遮断される。このため、第10実施形態に係るトイレ監視システムは、利用者の怪我を防止し、安全性を確保することができると共に、ドア回動装置の損傷を防止することができる。
第11実施形態は、第9又は10実施形態に従属するものである。第11実施形態に係る前記復帰動機能付きヒンジは、内開きの前記ドアを前記開放位置に自動復帰させる開放位置保持型、又は外開きの前記ドアを閉鎖位置に自動復帰させる閉鎖位置保持型のものからなる。前記開放位置保持型の場合には、前記ドア回動装置が、前記ドアを閉鎖方向に回動させる閉動作用のものとなっている。前記閉鎖位置保持型の場合には、前記ドア回動装置が、前記ドアを開放方向に回動させる開動作用のものとなっている。
第11実施形態によれば、常開型で内開きのドアの場合、アームの揺動側端部でドアの内側面を押圧することにより、ドアを閉鎖することができる。また、常閉型で外開きドアの場合も、ドアの内側面をアームで押圧することにより、ドアを開放することができる。したがって、第11実施形態は、ドア回動装置をトイレブースの内部に設置することができる。
なお、常開型のドアの場合、トイレブースへの入室に際し、利用者にトイレブース外で操作を行わせることは不要である。利用者がドア開放状態のトイレブース内に入り、ブース内の操作センサに手を振りかざすと、その操作センサがドア閉鎖信号を出力する。その出力信号によりドア回動装置の電動モータが閉鎖対応方向に回転し、その回転がアーム駆動軸に伝達されてアームが揺動し、アームの揺動側端部がドアを押圧する。その押圧によりドアが閉鎖位置に向けて回動させられて揺動してトイレブースの出入口を閉鎖する。一方、常閉型のドアの場合、トイレブースの外部にドア開放用操作センサが設けられ、内部にドア開放用操作センサとドア閉鎖用操作センサとが設けられる。外部のドア開放用操作センサに利用者が手を振りかざすと、その操作センサから出力される信号に基づき電動モータが開放対応方向に回転し、その回転がアーム駆動軸に伝達されてアームが揺動し、そのアームの揺動側端部がドアの内側面を押圧して開放位置へ回動させる。ドアの開放後、利用者がトイレブース内に入り、内部のドア閉鎖用操作センサに手を振りかざすと、その操作センサがこれを感知してドア閉鎖信号を出力し、電動モータが閉鎖対応方向に回転し、その回転がアーム駆動軸に伝達されて、アームがドアの吊元側端部から離反する方向に揺動してドアの押し込みを解除し、復帰動機能付きヒンジがドアを閉鎖位置へ自動復帰させる。ドアの閉鎖後、利用者がトイレブース内のドア開放用操作センサに手を振りかざすと、その操作センサがドア開放信号を出力し、再び、ドア開放に至る。
第12実施形態は、第8から11実施形態のいずれかに従属するものである。第12実施形態に係る前記復帰動機能付きヒンジは、前記ドアを前記開放位置に自動復帰させる開放位置保持型のものからなる。前記ドア回動装置は、前記ドアを閉鎖方向に回動させる閉動作用のものとなっている。前記ドア開閉装置は、前記ドアの閉鎖位置に設けられ、当該ドアが閉鎖された際にドア検出信号を出力するドア検出センサと、前記ドア検出センサから出力されるドア検出信号によって前記ドアを閉鎖位置にロックし、前記操作センサからドア開放信号が出力された際に当該ドアのロックを解除するロック装置とをさらに有する。
第12実施形態は、常開型のドアなので、ドアが閉鎖位置に達すると、これを感知したドア検出センサの信号出力により、ロック装置がドアを閉鎖位置にロックする。また、利用者が操作センサに手を振りかざし、その操作センサからドア開放信号を出力させると、ロック装置がロック解除する。ロック解除されると、復帰動機能付きヒンジにより、ドアが開放位置に回動され、トイレブースの出入口が開いた状態に維持される。このように、利用者は、ドアやロック装置に手を触れることなくドアのロック及びロック解除することができ、衛生的である。したがって、第12実施形態に係るトイレ監視システムは、介護施設や医療施設にさらに好適なものである。
第13実施形態は、第9又は10実施形態に従属するものである。第13実施形態に係る前記復帰動機能付きヒンジは、前記ドアを前記開放位置に自動復帰させる開放位置保持型のものからなる。前記ドア回動装置は、前記ドアを閉鎖方向に回動させる閉動作用のものとなっている。前記ドア開閉装置は、前記ドアの閉鎖位置に設けられ、当該ドアが閉鎖された際にドア検出信号を出力するドア検出センサと、前記ドア検出センサから出力されるドア検出信号によって前記ドアを閉鎖位置にロックし、前記操作センサからドア開放信号が出力された際に当該ドアのロックを解除するロック装置と、前記ロック装置により前記ドアが閉鎖位置でロックされた際に信号を出力するドアロック検出センサとをさらに有し、当該ドアロック検出センサからの出力信号に基づいて前記ドア回動装置の前記アームを前記ドアの開放動作の妨げとならない待機位置に復動させる。
第13実施形態は、第12実施形態と同様、自動的なドアのロック及びロック解除が可能なため、衛生的である。したがって、第13実施形態に係るトイレ監視システムは、介護施設や医療施設にさらに好適なものである。
また、第13実施形態では、ドアが閉鎖位置にロックされたことによってアームの退避が行われるので、退室時のドア開放待ち時間を短縮することができる。すなわち、常開型のドアでは、ドアの閉鎖後、トイレブース内の操作センサからのドア開放信号によりアーム退避を開始させるように構成することも可能である。この場合、利用者がトイレブース内の操作センサに手を振りかざすと、これを感知した操作センサがドア開放信号を出力し、その出力信号に基づき電動モータが開放対応方向に回転し、その回転がアーム駆動軸に伝達され、アームがドアの吊元側端部から離反する方向に揺動して、ドアの押し込みを解除してから、復帰動機能付きヒンジがドアを開放位置へ自動復帰させることになる。この場合と異なり、第12実施形態では、操作センサがドア開放信号を出力後、アームの退避時間を待つことがない。
第14実施形態は、第12又は13実施形態に従属するものである。第14実施形態に係る前記ロック装置は、前記ドアの戸先側内面に対してスライド自在に支持されたスライドラッチと、そのスライドラッチをスライドさせるラッチ駆動装置とからなる。前記ラッチ駆動装置は、ロータリソレノイドと、そのロータリソレノイドの回転軸に一端部が固定され、他端部にピンを挿入可能な長孔が形成されたレバーとからなる。前記ピンは、前記スライドラッチに設けられている。
第15実施形態は、第12又は13実施形態に従属するものである。第15実施形態に係る前記ロック装置は、前記ドアの戸先側内面に対してスライド自在に支持されたスライドラッチと、そのスライドラッチをスライドさせるラッチ駆動装置とからなる。前記ラッチ駆動装置は、前記スライドラッチの下方に配置されて、そのスライドラッチのスライド方向と直交する方向に延びる水平配置の回転軸と、その回転軸の下方に配置された電動モータと、その電動モータの回転を減速して前記回転軸に伝達するギヤ減速機構と、前記回転軸に一端部が固定され、他端部がスライドラッチの下面に設けられたV形の切欠部内に配置されたレバーとからなる。
なお、前記ロック装置は、電動モータやロータリソレノイドを駆動源として、ロックアームを、その先端部がドアの戸先側内面と対向する係合位置と戸先側内面の対向位置から退避する係合解除位置の間で揺動させるようにした打ち掛け錠からなるものであってもよい。
以下、この発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図2に示すように、第1実施例に係るトイレ監視システムは、施設内のトイレ室Rに設置された各トイレブース10の利用状況を監視装置100で集中監視するものとなっている。
トイレ室は、出入口をもった区画になっており、出入口から入った室内に1つ以上のトイレブース10を有する。トイレブース10は、トイレ室の室内を壁でさらに区切ることによって設けられた個室になっている。
図3に示すように、トイレブース10の正面壁11には出入口12が設けられ、その出入口12はドア13によって開閉される。閉鎖位置にあるドア13は、正面壁11と閉じあう。ドア13は、トイレブース10の内側へ開く内開きのものとなっている。
トイレブース10内には、洋式の便器14が設置されている。
以下では、先ず、トイレブース10の設備であって、ドア13を開放位置及び閉鎖位置間で移動させるドア開閉装置の詳細を説明する。
トイレブース10内にはコントロールボックスBが取り付けられている。そのコントロールボックスBには、トイレブース10内における人の有無を検出する人感センサS1が搭載されている。
さらに、トイレブース10内には、非接触式のドア閉鎖用操作センサS2及びドア開放用操作センサS3が設けられている。これら操作センサS2、S3は、人体の掌から発せされる赤外線を感知するようになっている。
さらに、ドア13の閉鎖位置には、ドア検出センサS4が設けられている。ドア検出センサS4は、機械式スイッチになっている。
出入口12を開閉するドア13は、図4に示すように、復帰動機能付きヒンジ20によって開閉自在に支持されている。復帰動機能付きヒンジ20は、グレビティヒンジからなる。
復帰動機能付きヒンジ20は、ドア13の一側上部を支持する上部ヒンジ21を有する。上部ヒンジ21は、枠側ヒンジ部材22を有する。枠側ヒンジ部材22は、L形ブラケット23の端部にヒンジピン24を突設したものとなっている。この枠側ヒンジ部材22は、出入口12の一側面上部にブラケット23をねじ止めしてヒンジピン24を下向きとする取り付けとされている。上部ヒンジ21は、枠側ヒンジ部材22と、ドア側ヒンジ部材25とで形成される。ドア側ヒンジ部材25は、ヒンジピン24に沿ってスライド可能なガイド筒26の端部に取付け板27を設けたものとなっている。ドア側ヒンジ部材25は、ガイド筒26をドア13の上部内に埋設し、ドア13の上面に衝合された取付け板27をドア13にねじ止めする取り付けとされている。その取り付けによって、ドア13は、ヒンジピン24を中心にして揺動自在の支持とされ、かつ、昇降自在の支持とされる。
復帰動機能付きヒンジ20は、ドア13の一側下部を支持する下部ヒンジ28をさらに有する。下部ヒンジ28は、枠側ヒンジ部材29を有する。枠側ヒンジ部材29は、L形ブラケット30の端部にヒンジピン31を突設し、そのヒンジピン31に嵌合されて回り止めされたカム筒体32の端部に傾斜面33を設けたものとなっている。枠側ヒンジ部材29は、出入口12の一側面下部にブラケット30をねじ止めしてヒンジピン31を上向きとする取り付けとされている。
下部ヒンジ28は、枠側ヒンジ部材29と、ドア側ヒンジ部材34とからなる。ドア側ヒンジ部材34は、枠側ヒンジ部材29のカム筒体32に嵌合可能なフランジ付き筒体35内にカム筒体36を組み込んで回り止めし、そのカム筒体36の端部に傾斜面37を設けたものとなっている。ドア側ヒンジ部材34は、枠側ヒンジ部材29のカム筒体32に嵌合されたフランジ付き筒体35をドア13の下部内に埋設し、ドア13の下面に衝合されたフランジ35aをドア13にねじ止めする取り付けとされている。
このとき、上部ヒンジ21と下部ヒンジ28は、ヒンジピン24、31を同軸上に配置する取り付けとされ、その取り付けによって、ドア13は、ヒンジピン24、31を中心にして回動自在とされ、かつ、昇降可能な支持とされる。また、ドア13は、カム筒体32、36に形成された傾斜面33、37のカム作用によって自重で図3に示す開放位置に復帰動する開閉可能な支持とされる。このように、復帰動機能付きヒンジ20は、上部ヒンジ21と下部ヒンジ28とからなる。
なお、上記のような復帰動機能付きヒンジ20に代えて、一対のばね蝶番によりドア13を開閉自在に支持すると共に、開放位置に復帰動する開閉可能な支持としてもよい。
図5〜図7に示すように、トイレブース10内には、ドア13の吊元側端部における上側にドア13を復帰動機能付きヒンジ20の復帰回動力に抗して閉鎖位置に向けて回動させるドア回動装置40が設けられている。
ドア回動装置40は、電動モータ41と、その電動モータ41のロータ軸42の回転をドア13の開閉中心軸にトルク伝達するギヤ機構50とからなる。
電動モータ41は、ハウジング43内に組み込まれている。図6及び図8に示すように、ハウジング43は、角筒状をなしている。ハウジング43の内側上部には、図7に示すように、上部からギヤ支持ブラケット44とモータ支持ブラケット45が設けられている。モータ支持ブラケット45は、正面壁11の内面に取り付けられたベースプレート46に取り付けられている。
図6及び図7に示すように、電動モータ41は、モータ支持ブラケット45の上下で対向する板体45a、45bの下側板体45bの下面に支持されている。ロータ軸42は、上向きとされている。
トイレブース10の利用者が出入口12からトイレブース10に入室し、ドア閉鎖用操作センサS2に手を振りかざす操作を行う。この操作を感知したドア閉鎖用操作センサS2は、ドア閉鎖信号を出力する。この出力によって、電動モータ41が起動するようになっている。
また、ドア13が閉鎖されて、図3に示すドア検出センサS4がドア13の閉鎖を検出すると、電動モータ41が停止し、所定時間の経過後、逆転するようになっている。同図に示すaは、ドア検出センサS4を作動させる検出片を示す。
図5〜図7に示すように、ギヤ機構50は、入力ギヤ51と、入力ギヤ51に噛合するアイドルギヤ52と、アイドルギヤ52に噛合する出力ギヤ53とからなる。
入力ギヤ51は、電動モータ41のロータ軸42と同軸上に配置され、入力軸54に支持されている。入力軸54の両端部は、ギヤ支持ブラケット44の上下の板体44a、44bで回転自在に支持されている。
また、アイドルギヤ52は、ギヤ軸55を中心にして回転自在に支持されている。ギヤ軸55の両端部は、ギヤ支持ブラケット44の上下の板体44a、44bで支持されている。
さらに、出力ギヤ53は、ヒンジピン24に嵌合され、上部ヒンジ21におけるドア側ヒンジ部材25の取付け板27に固定されて、上記ヒンジピン24を中心に回転自在とされている。
図6〜図8に示すように、電動モータ41のロータ軸42と入力軸54の相互間には、電動モータ41のロータ軸42の回転を入力軸54に伝達し、入力軸54からロータ軸42側へのトルク伝達を遮断するトルク伝達遮断機構60が設けられている。
トルク伝達遮断機構60は、ロータ軸42の軸端部に設けられた駆動ディスク61と、入力軸54の軸端部に取り付けられて駆動ディスク61と上下で対向する従動ディスク62と、駆動ディスク61の外周部に突設されて従動ディスク62の外周部に形成された切欠部63に挿入された押圧ピン64と、モータ支持ブラケット45の下側板体45bに突設されて駆動ディスク61の外周部に形成された切欠部65に挿入された固定ピン66とからなる。
ここで、駆動ディスク61の外周に形成された切欠部65及び従動ディスク62の外周に形成された切欠部63は、ドア13の開閉角に相当する大きさとされている。
トルク伝達遮断機構60においては、押圧ピン64を従動ディスク62に形成された切欠部63の周方向の一端部に当接させてロータ軸42の回転を入力軸54に伝達し、押圧ピン64を切欠部63の周方向の他端部に当接させ、押圧ピン64と切欠部63の周方向の一端部間に遊びを設けることで、その遊びの範囲内で入力軸54からロータ軸42側へのトルク伝達を遮断するようになっている。
図3に示すように、正面壁11のドア戸先側部の内面には、ドア検出センサS4がドア13の閉鎖を検出した際にドア13をロックするロック装置70が設けられている。
図9〜図12に示すように、ロック装置70は、ドア13の戸先側内面に対して水平方向にスライド自在に支持されたスライドラッチ71と、そのスライドラッチ71をスライドさせるラッチ駆動装置73とからなる。
スライドラッチ71は、対向する一対の板体の側縁に内向きのガイド片を有する断面コの字状の型枠からなる。スライドラッチ71は、正面壁11のドア戸先側部の内面に水平状に取り付けられたラッチガイド72に沿ってスライド自在に支持されている。スライドラッチ71の先端部は、ドア13の戸先側内面に対して進退自在とされている。
ラッチ駆動装置73は、ロータリソレノイド74の回転軸75にレバー76の一端部を固定し、そのレバー76の他端部に形成された長孔77にスライドラッチ71の後端部に設けられたピン78を挿入して、ロータリソレノイド74の回転軸75の正逆回転によりレバー76を設定角度揺動させ、スライドラッチ71をドア13の戸先側内面に対して進退させるようにしている。
ここで、ロータリソレノイド74は、正面壁11のドア戸先側部における内面に固定された支持枠79に支持されている。支持枠79には、レバー76の揺動角を規制する一対の突部80a、80bが設けられている。
また、支持枠79及びスライドラッチ71の後端部を覆うケース81の側板内面には、発光素子と受光素子からなるドアロック検出センサS5が設けられている。ドアロック検出センサS5は、スライドラッチ71に設けられたピン78によってオン、オフ操作されるようになっている。
第1実施例に係るドア開閉装置の作動によるドア13の開閉は次のようになる。すなわち、図3に示すように、トイレブース10が未利用時、ドア13は、復帰動機能付きヒンジ20によって開放位置に維持される。利用者が出入口12からトイレブース10内に入り、ドア閉鎖用操作センサS2に手を振りかざすと、ドア閉鎖用操作センサS2がドア閉鎖信号を出力し、これを受信したコントロールボックスBが、図6及び図7に示す電動モータ41を起動させ、ロータ軸42が回転する。
ロータ軸42が回転すると、ロータ軸42に固定された駆動ディスク61が共に回転し、駆動ディスク61に設けられた図8に示す押圧ピン64が従動ディスク62に形成された切欠部63の一端部を押圧する。その押圧により従動ディスク62及び入力軸54が駆動ディスク61と同方向に回転する。
図6に示すように、入力軸54に入力ギヤ51が取り付けられているため、入力軸54と共に入力ギヤ51が回転する。その入力ギヤ51の回転は、アイドルギヤ52を介して出力ギヤ53に伝達される。
このとき、出力ギヤ53が、上部ヒンジ21のヒンジピン24に嵌合されてドア側ヒンジ部材25の取付け板27に固定されている状態で回転する。この回転により、ドア13が、図4に示す上部ヒンジ21のヒンジピン24及び下部ヒンジ28のヒンジピン31を中心にして閉鎖方向に揺動する。
また、ドア13の閉鎖方向への揺動により、下部ヒンジ28におけるドア側ヒンジ部材34のカム筒体36が、枠側ヒンジ部材29のカム筒体32に対して相対回転し、そのカム筒体32、36の対向面に形成された傾斜面33、37のカム作用によってドア13は回動しつつ上昇し、傾斜面33、37間に間隙が形成されて、ドア13には自重による開放方向への復帰回動力が付与される。
図13は、ドア13が閉鎖された状態を示す。そのドア13が閉鎖位置に到達したことにより、図3に示すドア検出センサS4が作動してドア検出信号を出力し、これを受信したコントロールボックスBが、電動モータ41を停止させ、駆動ディスク61及び従動ディスク62が図13に示す状態とされる。また、コントロールボックスBが、図11に示すロック装置70を作動させ、ロータリソレノイド74が動いてレバー76を揺動させる。そのレバー76の揺動により、スライドラッチ71がドア13の戸先側内面に向けてスライドして先端部がドア13の戸先側内面と対向し、ドア13を閉鎖位置でロックする。
ドア13がロックされると、ピン78によってドアロック検出センサS5が作動し、そのオン信号を受信したコントロールボックスBが、図3の正面壁11の外部に設けられた表示灯15を点灯させ、表示灯15が使用中であることを表示する。
また、コントロールボックスBは、電動モータ41を停止させた後、所定時間が経過すると、電動モータ41を逆転させ、駆動ディスク61が従動ディスク62に対して相対回転して待機位置に戻され、図14に示すように、押圧ピン64と従動ディスク62に形成された切欠部63の他端部間にドア13の開放方向への揺動を許容する回転方向遊びを形成する。
ドア13がロック装置70によって閉鎖位置でロックされる状態において、図3に示すドア開放用操作センサS3に利用者が手を振りかざすと、ドア開放用操作センサS3がドア開放信号を出力し、これを受信したコントロールボックスBは、ロック装置70を作動させ、図10に示すロータリソレノイド74が作動してスライドラッチ71を、先端部がドア13の戸先側内面から退避する位置まで後退動させる。その後退動によってドア13のロックが解除される。
このとき、ギヤ機構50におけるトルク伝達遮断機構60には、押圧ピン64と従動ディスク62に形成された切欠部63の他端部間にドア13の開放方向への揺動を許容する回転方向遊びを形成する状態にあり、一方、復帰動機能付きヒンジ20における下部ヒンジ28には、カム筒体32、36の対向面に形成された傾斜面33、37間に間隙が形成される状態にあって、ドア13は自重により開放方向への復帰回動力が負荷される状態にあるため、ロックの解除と共にドア13が自重で開放方向に向けて揺動して、図3に示すように、開放状態となる。
このように、利用者が非接触式のドア閉鎖用操作センサS2に手を振りかざすと、ドア13が閉鎖してロック状態に保持され、非接触式のドア開放用操作センサS3に手を振りかざすと、ドア13が自重で開放方向に揺動して開放状態となるため、ドア13の開閉に際してドア13に手を触れる必要がなく、極めて衛生的である。
なお、衛生面を考慮しない場合、これら操作センサS2、S3を接触式に変更してもよい。
また、第1実施例では、ドア閉鎖用操作センサS2とドア開放用操作センサS3を別個のセンサ機器として設置したが、ドア閉鎖用操作センサS2とドア開放用操作センサS3を、一種の信号しか出力できない単一のセンサ機器として設置してもよい。例えば、ドア検出センサS4がドア13の閉鎖を検出していない状態では、単一のセンサ機器の出力信号をドア閉鎖信号として扱うことにより当該センサ機器をドア閉鎖用操作センサとして機能させ、ドア検出センサS4がドア13の閉鎖を検出している状態では、当該センサ機器の出力信号をドア開放信号として扱うことによりドア開放用操作センサとして機能させるようにしてもよい。また、接触式を採用する場合、操作方向に対応した二種の信号を出力可能な単一のセンサ機器にドア閉鎖用操作センサと、ドア開放用操作センサとを構築することも可能であり、例えば、第一の方向の操作を検出するとドア閉鎖信号を出力し、第一の方向と異なる第二の方向の操作を検出すると、ドア閉鎖信号と異なるドア開放信号を出力するようなセンサ機器が挙げられる。
図6及び図14に示す第1実施例においては、ギヤ機構50におけるトルク伝達遮断機構60として、駆動ディスク61の外周部に突設した押圧ピン64を従動ディスク62の外周に設けられた切欠部63に挿入して、押圧ピン64と切欠部63の他端部間にドア13の開放角度に相当する回転方向の遊びを設けるようにしたが、トルク伝達遮断機構60はこれに限定されるものではない。
図15〜図17は、トルク伝達遮断機構60の変更例を示す。この変更例で示すトルク伝達遮断機構60においては、電動モータ41のロータ軸42に入力軸54の軸端部をフランジ結合し、その入力軸54を中心にして一端部が回転自在に支持されたギヤアーム90の他端部でギヤ軸91の下端部を支持し、ギヤ軸91の上端部をギヤ支持ブラケット44の上側板体44aに形成された入力軸54を中心とする弧状の長孔92内にスライド自在に挿入し、上記ギヤ軸91で入力ギヤ51と常時噛合するアイドルギヤ52を回転自在に支持している。
上記の構成からなるトルク伝達遮断機構60において、電動モータ41を駆動すると、入力ギヤ51の回転により、図16に示すように、アイドルギヤ52が出力ギヤ53に噛合して、入力ギヤ51の回転がアイドルギヤ52を介して出力ギヤ53に伝達され、ドア13が閉鎖方向に揺動する。
閉鎖状態とされたドア13が復帰動機能付きヒンジ20のカム作用によって自重で開放位置に向けて回動し始めると、出力ギヤ53からアイドルギヤ52に押圧力が負荷され、その押圧力により、アイドルギヤ52が出力ギヤ53から離反する方向に揺動して、図17に示すように、出力ギヤ53に対する噛合が解除し、出力ギヤ53から電動モータ41側へのトルク伝達が遮断されて、ドア13は開放位置に戻される。
また、図5及び図6においては、ギヤ機構50として入力ギヤ51と出力ギヤ53との間にアイドルギヤ52を組み込んだものを示したが、図18及び図19に示すように、入力ギヤ51の回転を出力ギヤ53に直接伝達するようにして、図5及び図6に示されるアイドルギヤ52を省略してもよい。
図10及び図11では、ロック装置70としてロータリソレノイド74でスライドラッチ71をドア13の戸先側内面に対して進退させるようにしたものを示したが、図20に示すように、電動モータ95によりレバー96を、その先端部がドア13の戸先側内面に取り付けられた受具97で支持される位置に設けて回動させるようにした打ち掛け錠からなるものであってもよい。
また、第1実施例においては、図3に示すように、開放位置にあるドア13をドア回動装置40によって閉鎖位置に向けて回動させ、閉鎖位置に保持されたドア13を復帰動機能付きヒンジ20によって開放位置に向けて回動させる常開型にしたが、上記と逆に、復帰動機能付きヒンジ20によって閉鎖位置に向けて回動させ、閉鎖位置に保持されたドア13をドア回動装置40によって開放位置に向けて回動させる常閉型にしてもよい。常閉型にする場合、トイレブース10の外部にもドア開放用操作センサを設ければよい。
また、常閉型にする場合、利用者が出入口12から入室したこと又は退室したことを検出してから、ドア開閉装置の作動を開始しなければ危険である。第1実施例では、トイレブース10に入室した利用者の操作によるドア閉鎖信号が入室したことの検出になる。退室の検出は、人感センサS1で行ってもよいし、出入口12付近に利用者が出入口12を内部側から外部側へ通過したことを感知する退室検出センサを設けてもよく、その退室検出後に電動モータ41の駆動を停止すればよい。
第1実施例に係るドア開閉装置は、上述のように、常開型及び常閉型のいずれの復帰動機能付きヒンジ20を採用する場合であっても、トイレブース10の内部に設けられたドア閉鎖用操作センサS2及びドア開放用操作センサS3を有し、当該トイレブース10のドア13が開放された状態で利用者に操作された当該ドア閉鎖用操作センサS2からドア閉鎖信号が出力されることにより作動して当該ドア13を閉鎖位置へ移動させ、当該利用者に操作された当該ドア開放用操作センサS3からドア開放信号が出力されることにより作動して当該ドア13を開放位置へ移動させるものであり、トイレブース10に設けられたコントロールボックスBからの電動モータ41とロック装置70の制御次第でドア13の開閉切り替えを制御することができる。
そのコントロールボックスBには、図21に示すように、トイレブース10の設備の制御及び監視を行う制御部110の他に、時間計測を行う計時器111と、トイレブース10内の撮影及び収音を実行可能なAV機器112とが搭載されている。
制御部110は、ドア制御用プログラム及び監視連携用プログラムを実行するマイコンからなり、通信機能を有する。制御部110は、トイレブース10の設備として設けられた各センサS1〜S5、ドア回動装置40、ロック装置70等の機器類とケーブル(図示省略)を介して接続されている。また、制御部110は、管理センタ内に設置された監視装置100と伝送路N1を介して接続されている。
管理センタは、監視員詰所になっており、例えば、医療施設におけるナースセンタ、駅施設における駅員室等が挙げられる。
伝送路N1は、施設内に引かれた有線通信網になっている。なお、伝送路N1には、施設内無線LAN、構内PHS等の無線通信媒体を用いてもよい。
制御部110で実行されるドア制御用プログラムは、ドア13の開閉に直接関与する機器(電動モータ41及びロック装置70)を上述のように制御するためのものである。ドア制御用プログラムは、常開型用、常閉型用を別々に用意してもよいし、共通にしてもよい。
制御部110で実行される監視連携用プログラムは、ドア開閉装置の電動モータ41、ロック装置70等、ドア開閉に必須の機器を制御するものでなく、監視装置100との連携に必要なセンサ類の監視、計時器111及びAV機器112の制御、並びに情報通信を担うものとなっている。
計時器111は、制御部110と同じマイコンに内蔵のクロックからなる。計時器111は、制御部110からのスタート命令によって経過時間の計測を開始し、制御部110からのリセット命令によって計測を停止し、計測時間をクリアする。また、計時器111は、予め2以上の時間を予約可能となっており、計測中の経過時間を監視し、予約された時間が経過する度に制御部110へ所定の通知を行う。
AV機器112は、マイクロホンを内蔵するカメラからなる。AV機器112は、トイレブース10内の便器14及び出入口12を撮影可能な撮影範囲をもっている。AV機器112は、制御部110と接続されている。AV機器112は、通常、撮影及び収音を行っていない待機状態にある。AV機器112は、制御部110から送信されたオン命令を受信すると、撮影及び収音を開始する。
AV機器112は、制御部110からオフ命令を受信すると、撮影及び収音を止めて待機状態に戻る。
なお、AV機器112は、監視装置100からオフ命令を受信することにより、待機状態に戻るようにしてもよい。この場合のオフ命令の送信は、監視員が監視装置100を操作することによる。
また、AV機器112は、管理センタ内に設置された監視装置100と伝送路N1を介して接続されている。AV機器112は、オン中、その撮影画像データ及び音声データを伝送路N1経由で監視装置100に送信する。
監視装置100は、制御部110から受信した利用開始情報及び利用終了情報に基づいてトイレブース10の利用状況を監視するコンピュータとなっている。
利用開始情報は、ドア閉鎖用操作センサS2から出力されたドア閉鎖信号に基づいてドア13が閉鎖位置に移動させられる場合に、制御部110から監視装置100へ送信される。利用終了情報は、ドア開放用操作センサS3から出力されたドア開放信号に基づいて当該ドア13が開放位置へ移動させられる場合に、制御部110から監視装置100へ送信される。
監視装置100は、配下の各トイレブース10の利用状況を監視する監視部113と、警報を発するアラーム部114と、AV機器112から伝送路N1経由で送信された撮影画像データ及び音声データを出力する再生装置115と、マップ管理部116とを有する。監視部113〜マップ管理部116は、監視装置100に備わる演算処理装置及びメモリ装置、スピーカ、画像データ出力装置等のハードウェア資源と、当該演算処理装置で実行されるOS、ハードウェアドライバ、トイレ監視システム実行アプリケーション等の各種ソフトウェアとの協働によって監視装置100上に構築される。
監視部113は、図22に概念的に示す監視テーブルT1を用いて、複数のトイレ室について各トイレブース10の利用状況を集中監視する。
監視テーブルT1は、ルームIDと、ルーム名と、ブースIDと、制御部アドレスと、カメラアドレスと、ブースステータスと、警報ステータスと、カメラステータスとを関連付けて保持する構造となっている。
監視テーブルT1の管理項目であるルームIDは、施設内においてトイレ室ごとに固有の識別情報であり、図示例では、トイレ室ごとに割り当てられた番号で示すテキストデータとなっている。
また、ルーム名は、トイレ室に与えられている名称を示す情報であり、図示例では、施設内におけるトイレ室を特定する位置情報(階、方位)、男女区分で示すテキストデータとなっている。なお、第1実施例では、管理センタと同施設内に分散しているトイレ室のトイレブースのみを監視テーブルT1での監視対象としている場合を想定している。
また、ブースIDは、トイレ室内でトイレブースごとに固有の識別情報であり、図示例では、トイレブースごとに割り当てられた番号で示すテキストデータとなっている。
また、ブースステータスは、トイレブースが利用中の状態にあるか未利用の状態にあるかを示す情報である。図示例のブースステータスは、「利用中」又は「未利用」を示すテキストデータとなっている。
また、制御部アドレスは、図21に示す制御部110から監視装置100へ情報を送信する際、送信元として記述される情報である。
また、図22に示す監視テーブルT1のカメラアドレスは、図21に示すAV機器112から監視装置100へ情報を送信する際、送信元として記述される情報である。これらアドレスは、伝送路N1の通信規格に応じて適宜に定められるものであり、例えば、MACアドレス、ローカルIPアドレス等である。
また、図22に示す監視テーブルT1の警報ステータスは、アラーム部114が警報動作中か否かを示す情報である。図示例の警報ステータスは、「ON」又は「OFF」のテキストデータとなっている。
また、カメラステータスは、AV機器112がオン中か否かを示す情報である。図示例のカメラステータスは、「ON」又は「OFF」を示すテキストデータとなっている。
図21に示す監視部113は、制御部110から利用開始情報を受信すると、その送信元の通信アドレスに対応のトイレブース10について、図22に示す監視テーブルT1のブースステータスを「利用中」に更新する。
また、図21に示す監視部113は、制御部110から利用終了情報を受信すると、その送信元の通信アドレスに対応のトイレブース10について、図22に示す監視テーブルT1のブースステータスを「未利用」に更新する。
また、図21に示す監視部113は、制御部110からアラーム情報を受信すると、その送信元の通信アドレスに対応のトイレブース10について、アラーム部114に警報動作の実行を命令し、図22に示す監視テーブルT1の警報ステータスを「ON」に更新する。
また、監視部113は、制御部110から利用終了情報を受信すると、その送信元の通信アドレスに対応のトイレブース10について、アラーム部114に警報動作の停止を命令し、図22に示す監視テーブルT1の警報ステータスを「OFF」に更新する。
図21に示す再生装置115は、AV機器112から伝送路N1経由で送信された撮影画像データを出力するモニタと、AV機器112から伝送路N1経由で送信された音声データを出力するスピーカとを有する。再生装置115は、AV機器112によって撮影された撮影画像を表示したり、AV機器112によって収音された音声を鳴らしたりする。なお、撮影画像データや音声データは、監視員の操作を要することなく、自動的に再生装置115に出力されるようにしてもよいし、監視員が監視装置100に撮影画像データや音声データの出力許可を入力することによって再生装置115に出力されるようにしてもよい。
マップ管理部116は、トイレ室内に設けられた全トイレブースの配置を示す電子ルーム見取り図を対応のルームIDと関連付けて保持している。マップ管理部116は、電子ルーム見取り図上での各トイレブースの位置を示すポイントデータと、当該トイレブースを示すブースIDとを関連付けて保持している。
アラーム部114は、警報音の出力及び警報表示を行うことにより警報を発する。アラーム部114は、管理センタに設置されたスピーカ117と、再生装置115とを利用して構成されている。アラーム部114は、監視部113から警報動作の実行命令及び警報対象のルームID及びブースIDの通知を受けると、スピーカ117から警報音を鳴らす。また、アラーム部114は、マップ管理部116から、警報対象のルームIDに対応の電子ルーム見取り図及び警報対象のブースIDに対応のポイントデータを取得し、当該ポイントデータに基づいて電子ルーム見取り図上で警報表示「異常」の表示位置を決定してアラーム画像データを生成し、再生装置115に警報表示を行う。アラーム部114は、監視部113から警報動作の停止命令を受けると、警報動作を停止し、所定の待機状態に戻る。なお、監視員が監視装置100を操作して警報動作の停止命令を入力するようにしてもよい。また、アラーム部114の警報表示は、表示灯115の点滅によって行うようにしてもよい。
監視装置100は、アラーム部114の警報動作中、監視員の操作により、当該警報対象のトイレブース10の制御部110へドア開放信号を送信することが可能となっており、制御部110は、そのドア開放信号を受信することにより、ドアを開放位置へ移動させるための電動モータ、ロック装置の制御を行うようになっている。これは、利用者の意識喪失時等、利用者によるドア開放用操作センサS3の操作を期待できない場合、監視員が外部からトイレブース10のドア開放を行うことが必要になるためである。
図23に示すフローチャートは、制御部110で実行される監視連携用プログラムの動作を示すものである。同図のスタート時点は、トイレ監視システムの起動時であり、計時器111には、監視装置100へアラーム情報を送信するタイミングを制御するための設定時間t1と、AV機器112の撮影及び収音の開始タイミングを制御するための規定時間t2とが予約済みの状態となっている。同図に示すシステム動作は、常開型の場合を例示している。トイレ監視システムは、監視対象の全トイレブース10が未利用の状態で起動される。
制御部110は、ドア閉鎖用操作センサS2からのドア閉鎖信号を監視する(ステップs1)。
制御部110は、ステップs1において、トイレブース内のドア閉鎖用操作センサS2ドア閉鎖信号の受信を確認した場合、ドア検出センサS4からのドア検出信号を監視する状態に移行し(ステップs2)、ドア検出信号を受信した場合、利用開始情報を監視装置100へ送信する(ステップs3)。
また、制御部110は、ステップs2において、ドア検出信号の受信を確認した場合、計時器111にスタート命令を出す(ステップs4)。
制御部110は、ステップs4に続いて、計時器111からの通知の有無を監視し(ステップs5)、また、ドア開放用操作センサS3、監視装置100からのドア開放信号を監視する状態に移行する(ステップs6)。
制御部110は、ステップs5において、計時器111から設定時間t1の経過を意味する通知を確認した場合、アラーム情報を送信する(ステップs7)。
また、制御部110は、ステップs5において、計時器111から規定時間t2の経過を意味する通知を確認した場合、AV機器112にオン命令を送信する(ステップs8)。
制御部110は、ステップs6において、トイレブース内のドア開放用操作センサS3又は監視装置100からのドア開放信号の受信を確認した場合、計時器111にリセット命令を出し(ステップs9)、利用終了情報を監視装置100へ送信し(ステップs10)、AV機器112にオフ命令を送信し(ステップs11)、ステップs1に戻る。
なお、ステップs11においてAV機器112がオン中でないとき、オフ命令は無効になるだけである。第1実施例では、監視連携用プログラムの簡素化を図るため、AV機器112がオン中であるか否かを問わずにオフ命令を送信するようにしたが、オン中の場合にのみオフ命令を送信するように変更してもよい。
図1に示すシーケンスは、第1実施例に係るトイレ監視システムがトイレブースの利用状況を監視し、目的外利用等の異常な長時間利用を検出する場合の動作を示すものである。
図1に示すように、制御部110が、トイレブース10内で利用者に操作されたドア閉鎖用操作センサS2からのドア閉鎖信号を受信すると(ステップs1)、ドア閉鎖のために電動モータ41を起動させる(ステップs101)。
その後、制御部110が、ドア検出センサS4からのドア検出信号を受信すると(ステップs2)、監視装置100へ利用開始情報を送信し(ステップs3)、計時器111へスタート命令を送り(ステップs4)、ロック装置70をロック動作させる(ステップs102)。なお、制御部110は、ロック検出後、電動モータ41に停止命令を送る。
監視装置100が、ステップs3による利用開始情報を受信すると、その送信元の制御部アドレスに対応したブースステータスを「未利用」から「利用中」へ更新する(ステップs103)。
計時器111が、ステップs4においてスタート命令を受けると、経過時間の計測を開始する(ステップs104)。
トイレブースの目的外利用等により、計時器111が、設定時間t1の経過を確認すると、これを制御部110へ通知し、また、規定時間t2の経過を確認すると、これを制御部110へ通知する(ステップs5)。
制御部110が、ステップs5による設定時間t1の経過通知を受けると、監視装置100へアラーム情報を送信し(ステップs7)、また、ステップs5による規定時間t2の経過通知を受けると、AV機器112へオン命令を送信する(ステップs8)。
監視部113が、ステップs7によるアラーム情報を受信すると、その送信元の制御部アドレスに対応した警報ステータスを「OFF」から「ON」に更新しステップs106)、アラーム部114に警報動作の実行を命令する(ステップs105)。
アラーム部114が、ステップs105による命令を受けると、警報音を鳴らすと共に、図24に示すように、電子ルーム見取り図上に警報表示「異常」を重ねたアラーム画像を再生装置115に表示する(ステップs106)。警報音で異常事態に気付いた監視員は、再生装置115に表示された図24のアラーム画像を閲覧することにより、「異常」が発生したトイレブース(図示例では、1F東男子トイレ室のNo.3のトイレブース10)を一目瞭然に特定することができる。
AV機器112が、ステップs8によるオン命令を受けると、撮影及び収音を開始し、その撮影画像データ及び音声データを監視装置100へ送信する(ステップs107)。
監視部113が、ステップs107による撮影画像データ及び音声データを受信すると、その送信元のAV機器ドレスに対応したAV機器ステータスを「OFF」から「ON」に更新し(ステップs108)、再生装置115から撮影画像及び音声を出力する(ステップs109)。なお、この例では、撮影画像や音声を再生装置115に自動出力するようにしたが、監視員にAV機器112のオンを知らせる表示を行い、監視員の操作で出力するようにしてもよい。
監視員は、再生装置115に出力されたAV機器112からの撮影画像や音声を視聴して、トイレブース内の実際の様子を確認し、必要な措置を講じることができる。例えば、当該トイレブースへ派遣した監視員によって目的外利用者の退室を促したり、監視装置100から当該トイレブースの制御部110へドア開放信号を送信して派遣監視員に利用者を救護させたりすることができる。
制御部110が、トイレブース10内で利用者に操作されたドア開放用操作センサS3から、又は監視装置100からドア開放信号を受信すると(ステップs6)、ドア開放のためにロック装置70をロック解除動作させ(ステップs110)、計時器111にリセット命令を送り(ステップs9)、また、監視装置100へ利用終了情報を送信する(ステップs10)。また、AV機器112へオフ命令を送信する(ステップs11)。
計時器111が、ステップs9によるリセット命令を受信すると、経過時間の計測を停止し、値をクリアする(ステップs111)。
監視部113が、ステップs10による利用終了情報を受信すると、その送信元の制御部アドレスに対応したブースステータスを「利用中」から「未利用」へ更新し、同警報ステータス、AV機器ステータスをそれぞれ「ON」から「OFF」へ更新し(ステップs112)、アラーム部114に警報動作の停止を命令する(ステップs113)。
AV機器112が、ステップs11によるオフ命令を受信すると、撮影、収音及び送信を止めて待機状態に移行する(ステップs114)。
また、アラーム部114が、ステップs114による停止命令を受信すると、警報動作を停止する(ステップs115)。
なお、計時器111に予約された設定時間t1、規定時間t2の経過に至らない通常のトイレブースの利用状況の場合、計時器111の通知、アラーム部114の警報動作、AV機器112の撮影及び収音の開始に関する各ステップの処理が発生しない点で異なるだけであるから、その詳細説明は省略する。
また、常閉型の場合、上述のステップs1よりも前の時期に、制御部110が、トイレブースの外部に設けられたドア開放用操作センサからのドア開放信号を監視しており、そのドア開放信号の受信を確認すると、電動モータ41を起動させてドアを開放位置へ移動させる点、ステップs101において、ドア閉鎖のために前述の起動中の電動モータ41を停止させる点、及びステップs110において、ロック装置70のロック解除後、ドア開放のために電動モータ41を起動させる点で異なるだけであるから、その詳細説明は省略する。
上述のように第1実施例に係るトイレ監視システムは、トイレブース10の内部に設けられたドア閉鎖用操作センサS2及びドア開放用操作センサS3を有し(図3参照)、当該トイレブース10内で利用者に操作されたドア閉鎖用操作センサS2からドア閉鎖信号が出力されることにより作動してドア13を閉鎖位置へ移動させ(上述のステップs1、s101)、当該トイレブース10内で当該利用者に操作されたドア開放用操作センサS3からドア開放信号が出力されることにより作動してドア13を開放位置へ移動させる(上述のステップs6、s110)ドア開閉装置を備えるので、ドア開閉装置が常開型であるか、常閉型であるかを問わず、トイレブース10内で利用者に操作されたドア閉鎖用操作センサS2からのドア閉鎖信号に基づいてドア13が閉鎖位置へ移動させられる場合をトイレブース10の利用開始と見做すことができ、また、トイレブース10内で利用者に操作されたドア開放用操作センサS3からのドア開放信号に基づいてドア13が開放位置へ移動させられる場合をトイレブース10の利用終了と見做すことができる。
また、第1実施例に係るトイレ監視システムは、ドア閉鎖信号に基づいてドア13が閉鎖位置に移動させられる場合にドア開閉装置から利用開始情報を受信し(上述のステップs3)、ドア開放信号に基づいてドア13が開放位置へ移動させられる場合にドア開閉装置から利用終了情報を受信し(上述のステップs6、s10)、利用開始情報と利用終了情報に基づいてトイレブース10の利用状況を監視する(上述のステップs103、s112)監視装置100を備えるので、常開型と常閉型のいずれのトイレブースに適用する場合でも、トイレブース10の利用状況を監視することができる。
また、第1実施例に係るトイレ監視システムは、利用者が図3に示すトイレブース10内でドア閉鎖用操作センサS2を操作しない限り、ドア開閉装置がドア13を閉鎖するように作動しないため(上述のステップs1、s101)、開放位置にあるドア13が閉鎖位置へ移動させられず、トイレブース10の出入口12が開いた状態に維持される。外部の人間が出入口12からトイレブース10内を目視可能な状況下では、トイレブース10内で休憩や飲食を図る目的外利用が困難であるから、目的外利用者は、ドア閉鎖用操作センサS2の操作を行ってドア開閉装置を作動させることになる。このため、目的外利用者がトイレ監視システムの監視を回避することは難しくなる。
したがって、第1実施例によれば、常開型と常閉型のいずれのトイレブースに適用する場合でもトイレブースの利用状況を監視することが可能で、目的外利用者が監視を回避しにくいトイレ監視システムを提供することができる。
また、第1実施例に係るトイレ監視システムは、ドア13の閉鎖位置に設けられ、ドア13と接触するか否かでドア13の閉鎖位置への到達を検出する簡単な機械式のドア検出センサS4を採用しているので、ドア13が閉鎖位置に到達する度にドア検出センサS4からドア検出信号が出力される。常開型の場合、ドア検出センサS4によるドア13の閉鎖位置への到達検出は、毎回、トイレブースの利用開始時に相当する。一方、常閉型の場合、ドア検出センサS4によるドア13の閉鎖位置への到達検出は、トイレブース10の利用開始時と利用終了時のいずれでも発生する。第1実施例に係るトイレ監視システムは、ドア閉鎖信号に基づいたドア13の閉鎖位置への到達を検出した場合に限って利用開始情報を監視装置100へ送信するので(上述のステップs1〜s3)、常開型と常閉型のいずれに適用する場合でも、ドア検出センサS4のような簡単なドア検出センサS4を活用してトイレブース10の利用開始を検出することができる。
また、第1実施例に係るトイレ監視システムは、トイレブース10の内部に設けられたドア閉鎖用操作センサS2からのドア閉鎖信号に基づいてドア13が閉鎖位置に移動させられる場合に経過時間の計測を開始し(上述のステップs1、s101、s4、s104)、トイレブース10の内部に設けられたドア開放用操作センサS3からのドア開放信号に基づいてドア13が開放位置へ移動させられる場合に当該計測を停止する(上述のステップs6、s110、s9、s111)計時器111をさらに備えるので、トイレブース10の目的外利用、トイレブース内での利用者の意識喪失等の異常事態が疑われるような長時間利用をシステム側で知ることが可能となる。
また、第1実施例に係るトイレ監視システムは、計時器111で計測される利用継続時間が規定時間t2に達した場合にトイレブース10内の撮影及び収音を開始するAV機器112(上述のステップs5、s8、s107)と、AV機器112から送信された撮影画像データを表示する再生装置115(上述のステップs107〜s109)とをさらに備えるので、トイレブース10の利用継続時間が規定時間t2に達しておらず、トイレブース10の通常的な利用がなされていると見做せる状況のとき、AV機器112がトイレブース10内を撮影したり、トイレブース10内の音声を収音したりせず、利用者のプライバシーを守ることができる。トイレブース10の利用継続時間が規定時間t2に達し、目的外利用等の異常事態が疑われる状況になると、AV機器112がトイレブース10内の撮影及び収音を開始し、監視員は、再生装置115でトイレブース10内の撮影画像や音声を視聴することができる。このため、第1実施例に係るトイレ監視システムは、利用者のプライバシーを適切に守りながら、トイレブース10の目的外利用等の異常事態が疑われる状況になった場合、再生装置115に出力されたトイレブース10内の撮影画像や音声からトイレブース10内の実際の様子を知ることができる。
また、第1実施例に係るトイレ監視システムは、計時器111で計測される利用継続時間が設定時間t1に達した場合に警報を発するアラーム部114(上述のステップs5、s7、s105、s106)をさらに備えるので、トイレブース10の目的外利用等の異常事態が疑われる状況になったことをアラーム部114の周囲の人物に警報で知らせることができる。監視装置100の周囲に所在している監視員は、アラーム部114からの警報音によって異常事態に気付き、警報表示によって異常が疑われるトイレ室及びトイレブースを知ることができる。したがって、利用継続時間が異常に長いトイレブースを発見するために監視員に各トイレ室を定期巡回させることが不要となる。
例えば、大規模な医療施設や介護施設では、多数のトイレ室を施設内に有しているが、職員の人的余裕に乏しく、各トイレ室の定期巡回を実施することは施設運営者にとって負担となる。第1実施例に係るトイレ監視システムを医療施設内に構築し、その監視装置100を医療施設内のナースセンタ、警備員詰所等に設置すれば、患者にとって、非接触式の操作センサの操作だけでトイレブース10のドア13を開閉させることが可能で衛生的かつ身体的負担の少ない環境となり、医療施設側にとって、各トイレ室の定期巡回が不要になる、という利点がある。したがって、第1実施例に係るトイレ監視システムは、特に医療施設、介護施設等の医療福祉施設に好適なシステムといえる。
なお、第1実施例においては、監視装置100がスピーカ、再生装置を有するパーソナルコンピュータからなり、アラーム部114、再生装置115を監視装置100上に構築した例を示したが、スピーカや再生装置は、監視装置とは別の場所に設置された機器としてもよいし、監視員の所持するページャ、移動通信端末等の携帯型の通信端末をアラーム部の出力先としてもよい。また、アラーム部114を監視装置100のスピーカ等から警報を発するだけでなく、表示灯15でも警報を発するようにしてもよい。
また、AV機器112は、トイレブース10内のコントロールボックスBとは別の箇所に設置してもよいし、一台のAV機器で複数のトイレブース10を撮影や収音を可能とし、AV機器が規定時間t2の経過したトイレブース10へ向きを合わせて撮影や収音を開始するようにしてもよい。また、この例では、AV機器112で撮影及び収音の両方を行うようにしたが、カメラで撮影のみを行うようにしてもよいし、マイクロホンで収音のみを行うようにしてもよい。
また、計時器111は、監視装置100の内蔵クロックを利用して監視装置100上に構築してもよいし、制御部110や監視装置100とは別の機器として制御部110又は監視装置100と接続するようにしてもよい。
また、第1実施例においては、アラーム部114を作動させるための設定時間t1とAV機器112を作動させるための規定時間t2とを別々に予約可能としたが、単一の予約時間を採用し、監視連携用プログラムを簡素化してもよい。第1実施例において別々に予約可能にしたのは、プライバシーを守る上で撮影をなるべく避けるためである。すなわち、先ず、アラーム部114の警報動作で異常事態を監視員に気付かせ、設定時間t1と規定時間t2の時差により、監視員を派遣して呼び掛けを行う時間的余裕を取り、呼び掛けに応じない場合にAV機器112による撮影等の開始、監視員による撮影画像等の視聴を行うようなシステム運用を可能とするためである。
また、計時器111への時間予約は、監視装置100から行えるようにしてもよい。
また、AV機器112は、伝送路N1を介した遠隔操作によって撮影及び収音を開始できないものとしてもよい。監視装置100を運用する監視員等がAV機器112を遠隔操作してトイレブース10内を勝手に覗き見等することができず、利用者のプラバシーをより保護することができる。
第2実施例に係るトイレ監視システムを図25に基づいて説明する。同図に示すフローチャートは、第2実施例に係るドア開閉装置の制御部で実行される監視連携用プログラムの動作を示すものである。なお、以下では、第1実施例との相違点を述べるに留め、共通の構成要素には同一の符号を用いる。
同図に示すように、ドア開閉装置の制御部110は、ドア閉鎖信号を監視するステップs1において、ドア閉鎖信号の受信を確認すると、利用開始情報を監視装置100へ送信するステップs3以降を実行する。すなわち、第2実施例に係るトイレ監視システムは、図25に示す第1実施例でのステップs2の処理を省略しており、ドア閉鎖信号の出力の度に利用開始情報を監視装置100へ送信するものとなっている。
常開型であれ、常閉型であれ、トイレブース10の内部に設けられたドア閉鎖用操作センサS2が利用者に操作されることによりドア開閉装置がドアを閉鎖位置へ移動させるので(上述のステップs1、s101)、ドア閉鎖信号は、トイレブース10の利用開始時と一致して出力される。このため、第2実施例に係るトイレ監視システムは、ドア閉鎖用操作センサS2を活用して利用開始を検出することができる。
また、第2実施例に係るトイレ監視システムは、そのドア閉鎖信号の出力によって利用開始情報が自動的に監視装置100へ送信されるので、目的外利用者に監視回避策の機会を与えることがない。
第3実施例に係るトイレ監視システムを説明する。第3実施例に係るトイレ監視システムは、第1実施例又は第2実施例から監視装置100の機能拡張を図り、施設内の各トイレ室について利用状況を提供する情報提供サービス機能をもたせたものとなっている。
図26に示すように、第3実施例に係る監視装置100は、トイレ室監視部120と、情報提供サーバ130とをさらに有する。
トイレ室監視部120は、図27に示すトイレ室監視テーブルT2により、複数のトイレ室についてトイレブース10の利用状況を集中監視し、トイレブース10の利用状況をトイレ室ごとに管理する。
トイレ室監視テーブルT2は、ルームIDと、ルーム名と、ブースIDと、ブースステータスと、利用数と、基準値と、トイレ室ステータスとを関連付けて保持する構造となっている。
図26に示すトイレ室監視部120と監視部113は、ルームID、ルーム名、ブースID及びブースステータスのそれぞれの更新について連携している。この連携により、図22に示す監視テーブルT1と、図27に示すトイレ室監視テーブルT2との間で同期が取られている。
トイレ室監視テーブルT2における利用数は、当該トイレ室内においてブースステータスが「利用中」となっているトイレブース10の数をある時点で集計した値である。
また、トイレ室ステータスは、当該トイレ室内に設けられた各トイレブースのある時点でのブースステータスを集約して当該トイレ室の利用状況を評価した結果を示す情報である。
また、基準値は、当該トイレ室の利用状況を評価する基準として用いる値であり、トイレ室ごとに設定される。基準値は、当該トイレ室内に設けられたトイレブースの総数を考慮して利用状況の評価に適当な数値を適宜に設定すればよい。
図26に示すトイレ室監視部120は、当該トイレ室の利用数と、当該トイレ室に設定された基準値との大小関係を比較し、基準値を超えている場合、トイレ室ステータスを「混雑中」に更新し、閾値以下の場合、トイレ室ステータスを「閑散」に更新する。
なお、他の評価方法として、利用数/当該トイレ室内のトイレブース総数の除算で求めた割合が基準値を超えるか否かでトイレ室の利用状況を評価してもよい。また、図27に示すトイレ室監視テーブルT2に、大きさの異なる2つ以上の基準値を登録可能とし、これら基準値のそれぞれと利用数との大小関係を比較し、トイレ室の利用状況を複数段階に評価してもよい。
また、トイレ室ステータスとして、前述の割合の値を採用してもよい。
また、トイレ室ステータスとして、当該トイレ室内においてブースステータスが「未利用」となっているトイレブースの数をある時点で集計した値を採用してもよい。
図26に示すトイレ室監視部120は、ブースステータスの更新発生の都度、利用数、トイレ室ステータスもそれぞれ更新する。
情報提供サーバ130は、通信網N2に接続されている。
通信網N2は、インターネットからなる。通信網N2は、移動体回線網N3と接続されている。移動体回線網N3は、携帯電話網からなる閉域網になっている。移動体回線網N3としては、例えば、PHS網、携帯電話網等が挙げられる。
また、通信網N2は、施設内LANとして当該施設に構築されたローカル網N4と接続されている。図示例のローカル網N4は、Wi−Fi(登録商標)等のIEEE802.11に準じた公衆無線LANになっている。
情報提供サーバ130は、通信網N2経由で接続された通信端末140、141に対し、監視装置100の監視下にあるトイレ室の利用状況に関する情報提供サービスを実行するサーバコンピュータになっている。
通信端末140は、スマートフォン、タブレットコンピュータ等のような、移動体回線網N3に接続する移動通信端末からなる。通信端末140は、Webブラウザをもっており、移動体回線網N3から通信網2経由で情報提供サーバ130に接続するクライアントコンピュータとなる。なお、移動体回線網N3は、移通信端末140にインターネット接続サービスを提供する。
通信端末141は、ローカル網N4に接続する通信端末からなる。通信端末141は、Webブラウザをもっており、ローカル網N4から通信網N2経由で情報提供サーバ130と接続するクライアントコンピュータとなる。通信端末141は、無線LAN接続機能をもったスマートフォン、タブレットコンピュータ等の移動通信端末でもよいし、当該施設に設置された固定端末でもよい。
情報提供サーバ130は、通信網N2経由で接続された通信端末140、141へ、トイレ室の利用状況情報としてトイレ室ステータスを送信する。その送信では、図28に示すように、電子施設見取り図上において各トイレ室のトイレ室ステータスをテキスト表示する画像データとして送信される。
図26に示すマップ管理部116は、当該施設内に設けられた全トイレ室の配置を示す電子施設見取り図を保持している。マップ管理部116は、電子施設見取り図上での各トイレ室の位置を示すポイントデータと、当該トイレ室を示すルームIDとを関連付けて保持している。
情報提供サーバ130は、トイレ室監視部120から取得したルームID及びトイレ室ステータスと、マップ管理部116から取得した電子施設見取り図及び当該ルームIDに対応のポイントデータとに基づいて、当該トイレ室ステータスの表示位置を決定して画像データを生成し、その画像データを保持する。その画像データは、通信端末140、141の各画面において、図28に示すような画像を表示するためのものとなっている。
図26に示すトイレ室監視部120は、トイレ室ステータスの更新の都度、情報提供サーバ130に更新されたトイレ室ステータスを送る。
情報提供サーバ130は、トイレ室監視部120から通知されたトイレ室ステータスの更新を反映させた画像データに更新する。
情報提供サーバ130は、通信網N2上に前述の画像データを含むWebページを公開している。図示省略するが、当該Webページは、当該施設の運営者が通信網N2上に公開しているWebサイトの構成要素となっており、当該Webサイトのトップページには、トイレ室利用状況の情報提供サービスを案内する告知情報が掲載されると共に前述のWebページへのジャンプに用いるハイパーリンクが張られる。また、当該施設には、当該WebサイトのURLを施設利用者に知らせる案内文、二次元バーコード等が掲示される。
通信端末140、141を使用する端末使用者は、当該施設内で空いているトイレ室を探す際、通信端末140、141のWebブラウザ、タッチパネル等のインターフェースを利用することにより、移動体回線網N3、ローカル網N4に接続し、通信網N2経由で情報提供サーバ130に接続して前述のWebページの閲覧要求を送信する。
情報提供サーバ130は、通信端末140、141から前述のWebページの閲覧要求を通信網N2経由で受信すると、これに応答して当該Webページを送信する。
通信端末140、141のWebブラウザは、情報提供サーバ130からの応答で送信された当該Webページを表示する。当該端末使用者は、図28に示す画像を当該Webページ上で見て、施設内の各トイレ室の利用状況について「混雑中」であるか「閑散」であるかを知ることができる。
このように、第3実施例に係るトイレ監視システムによれば、施設内で空いているトイレ室を探す来訪者、施設職員等の施設利用者は、通信端末140、141を使用して、通信網N2経由で監視装置100の情報提供サーバ130から当該施設内の各トイレ室の利用状況情報を取得し、空いているトイレ室を効率よく探すことができる。このため、その端末使用者は、施設内の方々のトイレ室へ手当たり次第に移動して未利用のトイレブースを探し回るような難儀な事態を避けることができる。
また、第3実施例に係るトイレ監視システムは、通信網N2がインターネットからなり、インターネット接続が可能な通信端末140、141があれば、トイレ室の利用状況情報を取得することが可能であり、幅広い利用者に情報提供サービスを利用してもらうことができる。
また、第3実施例に係るトイレ監視システムによれば、移動体回線網に接続する移動通信端末140を使用する端末使用者は、移動しながら最新のトイレ室の利用状況情報を監視装置100の情報提供サーバ130から取得することができ、空いているトイレ室をより探し易くなる。
例えば、通信端末が固定端末からなる場合、端末使用者は、固定端末で空いているトイレ室を探し、移動目標とするトイレ室を決めて固定端末から離れていく。このため、移動目標のトイレ室に到着するまでに時間を要する場合、到着時には当該トイレ室が混雑しているような事態も起こり得る。一方、通信端末140の場合、端末使用者は、移動目標のトイレ室について最新の利用状況情報を移動中に取得し、到着前に当該トイレ室が混雑してしまった場合にはこれを回避し、改めて監視装置から他のトイレ室の利用状況情報を取得して、空いているトイレ室を探すことが可能となる。
また、第3実施例に係るトイレ監視システムは、例えば、大規模な駅施設に好適である。大規模な駅施設は、多数のトイレ室を有するが、改札口や施設出入口に近いトイレ室が混雑し易く、遠いトイレ室が空き易い、というようにトイレ室間の利用状況にばらつきが生じ得る。また、列車運行スケジュールに応じてトイレ室の利用状況が時々刻々と変化する。このため、鉄道利用者は、トイレ室の利用状況を予想することが困難である。鉄道利用者が何も知らずに混雑中のトイレ室を訪れると、その利用を断念して次に近いトイレ室へ移動する、というように、未利用のトイレブースを探して駅施設内に分散している方々のトイレ室を巡る破目となり、希望の列車に乗り遅れてしまう不安がある。今日、大規模な駅施設の一般立ち入り区域では、概ね移動体回線網の通信が可能であり、公衆無線LANの構築も増えている。鉄道事業者が第3実施例に係るトイレ監視システムを採用すれば、鉄道利用者は、自己で所有する通信端末140、141を用いて、空いているトイレ室の有無を確認してから移動することができ、また、空いているトイレ室を発見できない場合に乗車を優先する、降車駅のトイレ室利用を試みる等の柔軟な判断が可能となり、無駄な移動時間を取らずに済む。
なお、第3実施例では、監視装置100を一台のコンピュータ装置上に構築した例を示したが、監視装置100を複数台のコンピュータ装置から構成し、分散コンピューティング技術で情報提供サーバ130やトイレ室監視部120を別々のコンピュータ装置上に構築してもよく、この場合、各コンピュータ装置を同じ場所に設置する必要性はない。
また、トイレ室の利用状況情報は、電子施設見取り図上に当該施設内の全トイレ室についてトイレ室ステータスをテキスト表示する例を示したが、端末使用者が通信端末140、141から電子施設見取り図上で任意のトイレ室を指定可能とし、その指定で特定されたポイントデータに対応の電子ルーム見取り図をWebページに画像データとして表示し、その電子ルーム見取り図上において各トイレブースのブースステータスを色分け、テキスト表示等で示すようにし、各トイレブースのブースステータスを一画像データに集約表示して当該トイレ室の利用状況を直観的に知らせるようにしてもよい。
また、情報提供サーバ130は、通信端末140、141から前述のWebページの閲覧要求を受信してから、トイレ室監視部120にトイレ室ステータスを要求し、前述の画像データを生成するようにしてもよい。この場合、閲覧要求を受信してからトイレ室ステータス取得、画像データ生成の処理時間を要する。この処理時間を短縮するため、第3実施例のように、常時、トイレ室監視部120でのトイレ室ステータス更新を情報提供サーバ130にも反映させて画像データを更新することが好ましい。
第4実施例に係るトイレ監視システムを説明する。第4実施例に係るトイレ監視システムは、第3実施例から監視装置100の機能拡張を図り、地理的に点在している複数の施設のトイレ室について利用状況を提供する情報提供サービス機能をもたせたものとなっている。例えば、博覧会会場、テーマパーク、自動車専用道路等の領域内に多数点在しているトイレ室を集中監視する場合が挙げられる。
各施設には、当該施設内の各コントロールボックスBと伝送路N1で接続されたゲートウェイ装置GWが配置されている。ゲートウェイ装置GWは、通信網N2に接続されており、配下のコントロールボックスBと監視装置100との間の通信に必要な伝送路N1と通信網N2間の通信プロトコルの変換を行う。なお、第4実施例では、各施設と監視装置100間をインターネットからなる通信網N2で接続したが、この間は、任意の網で接続すればよい。
図29に示すように、監視装置100は、広域監視部150と、検索応対部160とをさらに有する。
広域監視部150は、図30に示す広域監視テーブルT3により、複数の施設の各トイレ室について利用状況を集中監視する。なお、図示例では、監視装置100が、自動車専用道路の施設として当該道路沿いに点在しているサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)の各トイレ室を監視する場合を想定している。
広域監視テーブルT3は、施設IDと、施設名と、施設位置と、ルームIDと、ルーム名と、トイレ室ステータスとを関連付けて保持する構造となっている。
図29に示す監視部113とトイレ室監視部120と広域監視部150は、ルームID及びルーム名のそれぞれの更新について連携している。トイレ室監視部120と広域監視部150は、トイレ室ステータスの更新について連携している。これら連携により、図22に示す監視テーブルT1と、図27に示すトイレ室監視テーブルT2と、図30に示す広域監視テーブルT3との間で同期が取られている。なお、これらテーブルT1〜T3で管理するID、名称等の各種情報は、監視装置100の運営者によって任意に登録可能となっている。
広域監視テーブルT3における施設IDは、施設ごとに固有の識別情報であり、図示例では、施設ごとに割り当てられた番号を示すテキストデータとなっている。
また、施設名は、施設に与えられている名称を示す情報であり、図示例では、施設名称を示すテキストデータとなっている。
また、施設位置は、当該施設の所在位置を示す情報であり、図示例では、世界測地系での経度緯度を度分秒で示すテキストデータとなっている。
図29に示すマップ管理部116は、電子地図を保持している。マップ管理部116は、その電子地図上での各施設の位置を示すポイントデータと、当該施設を示す施設IDとを関連付けて保持している。なお、マップ管理部116は、住居表示、住所、地番、公共施設、道路網、鉄道網等の一般的な地理的情報についても、電子地図上での位置を示すポイントデータと関連付けて保持している。
検索応対部160は、通信端末170から送信された検索条件に基づいてトイレ室を抽出し、抽出したトイレ室に対応のトイレ室ステータスを広域監視部150から取得して当該通信端末170へ送信する。
通信端末170は、全地球測位機能部171と、連携処理部172とを有する移動通信端末になっている。
全地球測位機能部171は、通信端末170をGPS等の衛星測位システムの受信局として動作させるようになっている。
連携処理部172は、前述の検索条件についての受け付け及び監視装置100への送信と、監視装置100から応答されたトイレ室ステータスの表示とに関する制御を担う。連携処理部172は、通信端末170を使用する端末使用者によって任意に起動可能な本システム専用のアプリケーションソフトウェアとなっている。このアプリケーションソフトウェアは、監視装置100の運営者が提供するWebサイトから通信端末170にダウンロードされ、通信端末170にインストールされるようになっている。その際、監視装置100の運営者が用意しているアクセス用の通信アドレスが連携処理部172に通知される。連携処理部172は、起動されると、通信端末170に備わるタッチパネル等の入力デバイスを利用して検索条件の入力操作を受け付けるGUI(Graphical User Interface)を構築し、前述のアクセス用の通信アドレスを検索条件の送信先として用いる。
前述の検索条件としては、マップ管理部116で解釈可能な情報、各種テーブルT1〜T3で保持する情報を参照して監視装置100側で解釈可能な1つ以上の地理的情報を採用すればよい。
第4実施例では、図30に示す広域監視テーブルT3においてテキストデータで示す施設名、経度緯度で示す施設位置を管理している。このため、通信端末170から指定する検索条件としては、テキストデータで施設名を示す施設名情報や、当該施設の所在位置を経度緯度で示す施設位置情報や、通信端末170の所在位置を示す位置情報を採用することができる。
ここで、通信端末170の所在位置を示す位置情報として、全地球測位機能部171で測位された経度緯度の座標情報が挙げられる。また、移動体回線網N3の通信事業者が基地局測位による位置情報通知サービスを提供する場合、通信端末170の所在位置を示す位置情報として、当該基地局測位で測位された座標情報を採用することも可能である。なお、座標情報は、マップ管理部116で解釈可能な情報であればよく、平面直角座標系、UTM座標系等の他の座標系の値でもよい。
検索応対部160は、例えば、検索条件として施設名情報又は施設位置情報を受信した場合、広域監視テーブルT3から該当の施設に属するルーム名のトイレ室ステータスを取得して連携処理部172へ応答する。
また、検索応対部160は、例えば、検索条件として、通信端末170の所在位置を示す位置情報を受信した場合、その位置情報をマップ管理部116に通知し、マップ管理部116から電子周辺地図と、当該電子周辺地図上のポイントデータに対応の施設IDとを取得する。
この際、マップ管理部116では、検索応対部160から通知された位置情報に基づいて電子地図上での位置を特定し、その特定位置を中心とした電子地図上の所定範囲を示す電子周辺地図を生成する。また、マップ管理部116は、当該所定範囲内にあるポイントデータと関連付けられた施設IDを抽出する。なお、所定範囲については、連携処理部172で端末使用者の指定を受け付けて位置情報と共に送信するようにしてもよいし、予め監視装置100に保持させておいてもよい。例えば、所定範囲は、通信端末170の所在位置を示す位置情報で特定された電子地図上の一点を中心とした南北方向の範囲と東西方向の範囲で四角状のエリアに定めてもよいし、当該一点を中心とした円の半径で定めてもよい。
検索応対部160は、マップ管理部116から取得した施設IDに対応の施設名、ルーム名及びトイレ室ステータスを広域監視テーブルT3から取得し、施設IDに対応のポイントデータに基づいて電子周辺地図上での対応のトイレ室ステータスの表示位置を決定して周辺地図画像データを生成し、当該周辺地図画像データを連携処理部172へ応答として送信する。その周辺地図画像データは、例えば、図31に示すような画像を通信端末170の画面に表示するためのものとなっている。周辺地図画像データは、連携処理部172で解釈して通信端末170の画面に表示可能な形式であればよく、Web形式でもよいし、他の形式でもよい。
なお、連携処理部172は、通信端末170の画面に周辺電子地図を表示する状態で、地図縮尺の変更、表示地域の変更等のような所定範囲の変更操作を受け付け、これを検索応対部160へ送信するようにしてもよい。
また、連携処理部172は、通信端末170の画面に表示した施設の中で指定操作を受け付け可能とし、指定された施設の図28相当の画像データを図29に示す監視装置100へ要求し、この画像データに表示を切り替えるようにしてもよい。
第4実施例に係るトイレ監視システムは、上述のようなものであり、広域監視テーブルT3においてテキストデータで示す施設名、経度緯度で示す施設位置を管理しているため、通信端末170側から検索条件として施設名や、座標を指定したトイレ室ステータスの取得が可能であり、監視装置100と、全地球測位機能付きの移動体通信端末である通信端末170との連携を実現することができる。ひいては、端末使用者にとって妥当なトイレ室の利用状況情報を提供することが容易となる。
なお、第4実施例では、検索応対部160が電子周辺地図を連携処理部172に送信するようにしたが、通信端末が独自の電子地図を使用可能な場合、当該電子地図から取得可能な施設名及び施設位置の少なくとも一方を検索条件として送信するようにしてもよい。この場合、監視装置100側で電子周辺地図を用意する必要性はなく、検索応対部は、施設位置と、これに対応のルーム名、トイレ室ステータスを連携処理部へ応答し、連携処理部が、通信端末で独自使用する電子地図上に、当該施設位置に基づいてルーム名、トイレ室ステータスを表示するようにすればよい。
また、監視装置100と通信端末170間の通信は、インターネットである通信網N2を経由せず、閉域網である移動体回線網N3のみで行うようにしてもよい。
第5実施例に係るトイレ監視システムを説明する。第5実施例に係るトイレ監視システムは、第1〜4実施例のいずれかにおいてドア開閉装置の構造を変更したものである。
第5実施例に係るドア開閉装置は、図32、33に示すように、内開きのドア13を開放位置に自動復帰させる開放位置保持型のグレビティヒンジからなる復帰動機能付きヒンジ20を備えるが、ドア13の吊元側端部における上側に復帰動機能付きヒンジ20の復帰回動力に抗してドア13を閉鎖位置に向けて回動させるドア回動装置240の構造の点で第1実施例のものと大きく異なっている。
図33はドア13の開放状態を示し、図34はドア13の閉鎖状態を示す。図34〜図38はドア13を開閉させるドア回動装置240の詳細を示す。その詳細図において、ドア回動装置240は、電動モータ241と、その電動モータ241によって回転駆動されるアーム駆動軸244と、そのアーム駆動軸244に一端部が連結されたアーム245を有している。
電動モータ241は、ベースプレート250にねじ止めされたL形のモータブラケット251に支持されている。ここで、ベースプレート250は、トイレブース10の正面壁11の内側面にねじ止めされ、その正面壁11とベースプレート250の対向部間に平板状の防振ゴム252が組み込まれている。また、ベースプレート250とモータブラケット251間にも防振ゴム253が組み込まれている。
電動モータ241は、モータ軸242を上向きとする縦向きの支持とされ、そのモータ軸242に軸継手243を介してアーム駆動軸244の下端部が連結されている。アーム駆動軸244は、モータ軸242と同軸上の配置とされて電動モータ241によって直接に回転駆動される。
また、電動モータ241は、ベースプレート250に取り付けられたモータカバー254やベースプレート250の下端に取り付けられたエンドキャップ255により周囲が覆われて保護されている
アーム245は、一端部に円筒部245aを有し、その円筒部245aがアーム駆動軸244と同軸上の配置とされている。円筒部245aは、上下一対のアーム座板256a、256b間において回転自在とされている。
ここで、アーム座板256a、256bのそれぞれは、ベースプレート250に防振ゴム253を介してねじ止めされた上下一対のL形アームブラケット257a、257bの対向面のそれぞれに取り付けられている。
アーム245における円筒部245aとアーム駆動軸244との間にはトルクリミッタ246が組み込まれている。
トルクリミッタ246は、図37に示すように、その外周に形成された軸方向の凹凸部246aと円筒部245aの内周に形成された軸方向の凹凸部245bの周方向での係合によってアーム駆動軸244とアーム245を連結している。このため、アーム駆動軸244が電動モータ241によって一方向に回転されると、そのアーム駆動軸244を中心にアーム245が揺動して、揺動側の端部でドア13を閉鎖方向に向けて押圧するようになっている。
また、トルクリミッタ246は、電動モータ241によって回転駆動されるアーム駆動軸244の回転トルクが設定トルクを超えると、アーム駆動軸244からアーム245への回転トルクの伝達を遮断するようになっている。
図36及び図38に示すように、アーム245の揺動側端部には、ドア13に対する対向面に突出部247が設けられ、その突出部247によって軸方向長さの中央部が回転自在に支持されたローラ軸248の上下両端部にローラ249が回転自在に支持されており、そのローラ249でドア13を押圧するようになっている。
第5実施例で示すドアの開閉装置は上記の構造からなり、図32、図33に示すように、復帰動機能付きヒンジ20によってドア13が開放位置に維持されている状態で利用者がトイレブース10内に入り、ドア閉鎖用操作センサS2に手を振りかざすと、ドア閉鎖用操作センサS2がドア閉鎖信号を図示省略の制御部に出力する。制御部はドア閉鎖用操作センサS2から入力される信号により図35及び図36に示す電動モータ241を起動し、モータ軸242が一方向に回転する。
このとき、モータ軸242にアーム駆動軸244が連結されているため、アーム駆動軸244がモータ軸242と同方向に回転し、その回転はトルクリミッタ246を介してアーム245に伝達され、アーム245がアーム駆動軸244を中心に揺動し、その揺動側端部でドア13を押圧する。その押圧により、ドア13は復帰動機能付きヒンジ20のヒンジピンを中心にして閉鎖方向に揺動し、ドア13には自重による開放方向への復帰回動力が付与される。
図34〜図37に示すように、前述の揺動によってドア13が閉鎖位置に到達すると、図32に示すドア検出センサS4が作動してドア検出信号を図示省略の制御部に出力する。制御部は、ドア検出センサS4からの入力信号により電動モータ241を停止させ、また、図34に示すロック装置70をロック動作させ、その後、図示省略のドアロック検出センサから入力される信号により電動モータ241のモータ軸242を他方向に回転させる。モータ軸242の他方向の回転によりアーム245が閉鎖状態のドア13から離反する方向に揺動し、図34及び図37の鎖線イで示す待機位置に戻る。
なお、アーム245の待機位置を規定するため、図37では、アーム245の円筒部245aの外周に突出部245cを設け、一方、その突出部245cをベースプレート250に形成された第1ストッパ258に当接させて、アーム245を待機位置に停止保持させるようにしている。また、アーム245をドア13が閉鎖する位置で停止させるため、アーム245の円筒部245aに対する連設部位をベースプレート250に形成された第2ストッパ259に当接させるようにしている。
ドア13がロック装置70によって閉鎖位置にロックされる状態において、図32に示すドア開放用操作センサS3に利用者が手を振りかざすと、そのドア開放用操作センサS3から図示省略した制御部にドア開放信号が出力される。制御部は、ドア開放用操作センサS3から入力されるドア開放信号に基づいてロック装置70にロック解除動作させる。このとき、アーム245は、図34の鎖線イで示す待機位置に配置されており、一方、復帰動機能付きヒンジ20がドア13の自重を開放方向への復帰回動力に変換してドア13に当該復帰回動力が負荷される状態にあるため、ロック装置70によるロックの解除と共にドア13が自重で開放方向に向けて揺動し、最終的には、図32に示すように開放位置へ到達する。
このように、第5実施例に係るドア開閉装置においても、ドア13の開閉に際してドア13に利用者が手で触れる必要がなく、極めて衛生的である。
ここで、電動モータ241のモータ軸243の一方向への回転によりアーム245を揺動させ、そのアーム245の揺動側端部でドア13を押圧して閉鎖位置に揺動させる際、ドア13と出入口12の内周間にブース利用者や障害物が万一挟まれる可能性がある。
ブース利用者や障害物が万一挟まれると、電動モータ241のモータ軸242からアーム駆動軸244への回転トルクが上昇し、その回転トルクがトルクリミッタ246の設定値を超えると、トルクリミッタ246が作動して、モータ軸242からアーム駆動軸244へのトルク伝達が遮断される。このため、ブース利用者が怪我し、あるいは、ドア回動装置240を構成する各種の部品が損傷するという不都合の発生はない。
第5実施例では、ドア検出センサの作動によって電動モータ241を他方向に回転させるようにしたが、利用者がドア開放用操作センサS3に手をかざし、そのドア開放用操作センサS3からドア開放信号が出力されることにより電動モータ241を他方向に回転させるようにしてもよい。
また、第5実施例でもロック装置70を打ち掛け錠にしてもよい。
また、図35では、アーム駆動軸244とアーム245の円筒部245a間にトルクリミッタ246を設けたが、モータ軸242とアーム駆動軸244間にトルクリミッタ246を組み込むようにしてもよい。
図32〜図38においては、ドア13を内開きとし、その内開きドア13を復帰動機能付きヒンジ20によって開放状態に保持する常開型内開き式のものを示したが、ドアの開閉形式はこれに限定されるものではない。
第6実施例に係るトイレ監視システムを説明する。第6実施例に係るトイレ監視システムは、第5実施例において、外開きのドアを復帰動機能付きヒンジによって閉鎖位置に自動復帰させるようにした常閉型外開き式ドアの開閉装置に変更したものである。
図39に示すように、第6実施例では、トイレブース10における正面壁11の内面にブラケット16を取り付け、そのブラケット16でドア回動装置240を支持している。
また、トイレブース10の外部にもドア開放用操作センサS6を設けている。さらに、ロック装置70のスライドラッチ71をドア13の戸先側端部の内面に取り付けた受け具17に対して係脱させるようにしている。
他の構成は、第5実施例に示すドア開閉装置と同一であるため、同一部品については同一の符号を付して説明を省略する。
第6実施例では、トイレブース10の外部に設けられたドア開放用操作センサS6に利用者が手をかざすと、そのドア開放用操作センサS6から出力される信号に基づき、ドア回動装置240が作動してアーム245が揺動し、その揺動側端部でドア13を外部に向けて押圧する。その押圧により、ドア13が外側に向けて回動して、図40に示すように、開放位置へ到達する。
ドア13の開放後、利用者がトイレブース10内に入り、内部に設けられたドア閉鎖用操作センサS2に手をかざすと、アーム245がドア13の吊元側端部から離反する方向に揺動してドアの押し込みを解除する。その押し込み解除と共に、ドア13は、復帰動機能付きヒンジ20によって図39に示す閉鎖位置へ移動させられる。
ドア検出センサS4がドア13の閉鎖を検出すると、ロック装置70が作動して、スライドラッチ71が受け具17に向けて移動して、その受け具17に係合し、ドア13はロックされる。
また、ドア13のロック後において、ドア開放用操作センサS3に手をかざすと、その操作センサS3からドア開放信号が出力され、ロック装置70のスライドラッチ71が後退動し、受け具17に対する係合が解除して、ドア13のロックが解除する。また、ドア回動装置240が作動し、アーム245が揺動し、アーム245の揺動側端部がドア13の内側面を押圧してドア13を開放方向へ移動させ、トイレブース10内からの退室を可能とする。
なお、ドア13の開放後、利用者が退室すると、図示省略した退室検出センサが作動し、その退室検出センサから出力される信号に基づきドア回動装置240が作動してアーム245が図39に示す待機位置に戻り、ドア13は復帰動機能付きヒンジ20により閉鎖位置に戻る。このとき、ドア検出センサS4がドア13の閉鎖を検出しても、ロック装置70は作動しないような構成とされている。
第7実施例に係るトイレ監視システムを説明する。第7実施例に係るトイレ監視システムは、第1〜第6実施例のいずれかにおいて、ロック装置の構造を変更したものである。
図41及び図42に示す第7実施例のロック装置270は、トイレブース10における正面壁11の内面にケース271を取り付け、そのケース271の対向側壁の上部に形成されたラッチ挿入孔272内にスライドラッチ273をスライド自在に挿入し、そのスライドラッチ273をケース271内に組み込まれたラッチ駆動装置274によりスライドさせて、スライドラッチ273の先端部をドア13の戸先側内面に取り付けられた受け具275に対して係脱させるようにしている。
ここで、ラッチ駆動装置274は、スライドラッチ273の下方において、そのスライドラッチ273のスライド方向と直交する方向に延びる水平配置の回転軸276と、その回転軸276の下方において軸心を垂直とする縦向きに支持された電動モータ277と、電動モータ277の回転を減速して回転軸276に伝達するギヤ減速機構278と、回転軸276に一端部が固定され、他端部がスライドラッチ273の下面に設けられたV形の切欠部279内に配置されたレバー280とからなる。
ラッチ駆動装置274においては、電動モータ277の正逆回転によりレバー280を設定角度揺動させ、そのレバー280の他端部がV形切欠部279の相反する方向に傾斜する一対の内側面の一方を押圧する作用によりスライドラッチ273を前進させて受け具275に係合させ、他方の内側面を押圧する作用によりスライドラッチ273を後退させて受け具275に対して係合解除させるようにしている。
ここで、回転軸276は、サムターン281を端部に有し、そのサムターン281の回転操作によってスライドラッチ273をスライド操作し得るようになっている。
なお、今回開示された各実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。