JP6754069B2 - 成形用金型 - Google Patents

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Description

本発明は、合成樹脂などの成形品の成形に使用される成形用金型に関する。
合成樹脂などの成形品の成形には、成形用金型が使用されるが、成形用金型から成形品を外す(脱型)際に成形品が成形用金型に密着して成形用金型から離れ難くなるという問題がある。これに対して、シリコーンなどの離型剤を成形用金型の成形面に塗布することによって、成形用金型から成形品が離れやすくする(離型性を良くする)ことが行われている。
また、表面形状の凹凸によって離型性を良くする成形用金型が下記特許文献1で知られている。この成形用金型は、成形用金型の成形面に、クロム、ニッケル、ニッケル−リンなどの鍍金層を設け、鍍金層の表面に凹凸を形成して、離型性が改善されるように構成されている。
特開2004−154998号公報
近年の技術向上と製造工程の合理化により、合成樹脂などの成形品は高い面精度のものが求められ、成形(製造)工程の簡素化が求められる。しかしながら、従来の成形に使用される上記の成形用金型は、鍍金層の表面に凹凸が形成されたものであり、凹凸が成形用金型の母体面に達しないように鍍金層には一定の厚み(例えば、10μm以上)が設けられている。このため、従来の成形用金型は、母体面の精度から鍍金層の厚みの分だけ精度が低くなるため、成形品に鍍金層の厚み以上の面精度を求めることが困難であった。また、上記成形用金型は、セラミックス層またはシリコーン層を備えるための離型剤の塗布が必要なものであり、成形工程において、離型剤の塗布工程と、脱型後の成形用金型(必要により成形品)を洗浄する工程とが必要となり、成形工程の簡素化がし難いという課題があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、成形品の面精度を高めることができ、成形工程の簡素化が可能な成形用金型を提供することを目的とする。
本発明の成形用金型は、合成樹脂などの成形品の成形に使用される成形用金型において、
該成形用金型の母体面は、最大高さ(Sz)が0.1〜10.0μmにブラスト処理された面であり、
該成形用金型の成形面は、該母体面に無機物が付着した面であることを特徴とする。
本発明の成形用金型によれば、成形用金型の母体面は、最大高さ(Sz)が0.1〜10.0μmにブラスト処理された凹凸を有する面である。この成形用金型を用いて成形される成形品の表面の最大高さ(Sz)は10.0μm以下となるため、成形品は高い面精度を有するものとなる。また、成形用金型の成形面は、最大高さ(Sz)が0.1〜10.0μmのブラスト処理された凹凸を有する母体面に無機物が付着した面であるため、無機物起因である表面自由エネルギーが低く、無機物の付着によって微細な凹凸形状が形成された面となる。表面自由エネルギーが低く、微細な凹凸形状が形成された成形面の凹部には合成樹脂などの材料が接触し難く、成形面と合成樹脂などとの接触面が小さくなるため、成形面は合成樹脂などとの離型性に優れたものとなる。このため、成形面は、離型剤の塗布を必要とすることなく、合成樹脂などの成形品の脱型が可能なものとなる。すなわち、本発明の成形用金型は、成形工程として、離型剤の塗布工程と脱型後の成形用金型を洗浄する工程とを必要としないため、成形工程の簡素化を図ることができるものである。
ここで、上記成形用金型において、前記成形面は、前記母体面に前記無機物が蒸着法によって付着しているものとすることができる。
これによれば、成形用金型の成形面には無機物の蒸着によって原子(分子)サイズであるナノレベルの凹凸形状が形成されることになる。このため、成形面は、合成樹脂などの脱型がより容易なものとすることができる。
また、上記成形用金型において、前記成形用金型が鉄鋼材料から形成され、前記無機物が高硬度金属であるものとすることができ、前記成形用金型がアルミ合金系材料又は銅合金系材料から形成され、前記無機物が高硬度金属であるものとすることができる。
これによれば、成形用金型の成形面は高硬度金属が付着した面であるため、成形用金型の耐摩耗性を向上することができる。
また、上記成形用金型において、前記高硬度金属が、Mg,Al,Si,Sc,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ge,Y,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Ceから選択される1種類以上を含む金属及び/又は金属化合物であり、前記金属化合物が、B,C,N,P,O,S,F,Clから選択される1種類以上を含む金属化合物であるものとすることができる。
これによれば、これら高硬度金属はより硬度の高いものであるため、成形用金型の耐摩耗性をより向上することができる。
また、上記成形用金型によって成形される成形品の材料に使用される合成樹脂であって、合成樹脂の誘電率(ε)が5.0F/m以下であるものとすることができる。
これによれば、合成樹脂は誘電率が低いものであるため極性の小さいものとなり、極性が小さいため合成樹脂は金属である成形用金型との親和性の小さいものとなる。このため、合成樹脂は成形用金型からの脱型がより容易なものとすることができる。
本発明の成形用金型によれば、成形品は高い面精度を有するものとなり、成形工程として、離型剤の塗布工程と脱型後の成形用金型を洗浄する工程とを必要としないため、成形工程の簡素化を図ることができる。
本発明の一実施形態を示す成形用金型の拡大概略断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の成形用金型は、合成樹脂などの有機材料からなる成形品を成形する金型に適しているが、金属、ガラス、セラミックス材料又はセメントモルタルなどの無機材料からなる成形品を成形する金型にも適用可能なものである。
図1に示すように、本発明の成形用金型1は、合成樹脂などの成形品の成形に使用される成形用金型において、成形用金型1の母体面10は、最大高さ(Sz)が0.1〜10.0μmにブラスト処理された凹凸面であり、成形用金型1の成形面11は、母体面10に無機物12が付着した面である。
成形用金型1は、鉄鋼材料として、炭素鋼などの機械構造用鋼、合金工具鋼などの工具鋼、ステンレス鋼若しくは析出硬化鋼、又は、非鉄材料として、アルミ合金系材料若しくは銅合金系材料などの金属素材から形成され、これらは用途によって使い分けられる。成形用金型1には、一般的な用途であれば機械構造用鋼が使用され、耐摩耗性が要求される用途には工具鋼が使用され、成形用金型1の加熱温度と冷却温度との差が大きい用途には熱伝導率の高いアルミ合金系材料又は銅合金系材料が使用され、腐食性材料を含む用途には耐腐食性の高いステンレス鋼が使用される。
成形用金型1の母体面10は、最大高さ(Sz)が0.1〜10.0μmにブラスト処理された凹凸面である。
最大高さ(Sz)とは、ISO25178表面性状(面粗さ測定)に規定される最大高さ(Sz)であり、表面の最も高い点から最も低い点までの距離を表したものである。成形用金型1の母体面10は、最大高さ(Sz)が0.1〜10.0μmにブラスト処理された凹凸面であることによって、成形面の凹部には成形品に使用される合成樹脂などが接触し難く、成形面と合成樹脂などとの接触面が小さくなるため、成形面は合成樹脂などの離型性に優れたものとなる。最大高さ(Sz)が0.1μm未満の場合には、成形用金型の成形面が平滑なものとなり、成形面と合成樹脂などとの接触面が大きくなるため、成形面は合成樹脂などの離型性に劣るおそれがある。一方、最大高さ(Sz)が10.0μmを超える場合には、この成形用金型から成形された成形品の面精度が劣るおそれがある。より好ましくは、最大高さ(Sz)が0.15〜7.0μmであり、最も好ましくは、最大高さ(Sz)が0.2〜5.0μmである。
ブラスト処理とは、成形用金型1の母体面10に投射材を衝突させることによって凹凸面を形成する方法であり、投射材の種類によって、珪砂が投射材であるサンドブラスト処理、球形の金属粒子が投射材であるショットピーニング処理、セラミックス粉粒体が投射材であるイエプコ処理などのブラスト処理がある。本発明に使用するブラスト処理は、投射材の種類によって特に限定さるものではないが、球形の金属粒子を用いるショットピーニング処理が凹凸の最大高さ(Sz)を調整しやすいためより好んで使用することができる。
成形用金型1の成形面11は、母体面10に無機物12が付着した面で構成されている。
無機物12とは、成形用金型1の母体面10に付着され、成形面11となる母体面10に微細な凹凸面を形成することによって、成形用金型1の離型性を向上するものである。無機物12は、後に述べる鍍金法での付着に適しているため、金属及び/又は金属化合物であるものが好ましく、特に、高硬度金属化合物となり得る、Mg,Al,Si,Sc,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ge,Y,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Ceから選択される1種類以上を含む金属及び/又は金属化合物を好んで使用することができる。特に好ましくは、Al,Si,Sc,Ti,V,Cr,Fe,Ni,Nb,Mo,Wから選択される1種類以上を含む金属及び/又は金属化合物をより好んで使用することができる。また、高硬度金属化合物となり得る金属化合物が、Mg,Al,Si,Sc,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ge,Y,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Ceから選択される1種類以上を含む金属の、B,C,N,P,O,S,F,Clから選択される1種類以上を含む金属化合物であるものを好んで使用することができる。これによれば、これら高硬度金属はより硬度の高いものであるため、成形用金型の耐摩耗性をより向上することができる。具体的には、Al,Si,Sc,Ti,V,Cr,Fe,Ni,Nb,Mo,Wの窒化物、炭化物、酸化物、ホウ化物又はこれらの複合化物(酸窒化物や炭窒化など)を好んで使用することができる。
無機物12の母体面10へ付着させる方法としては、鍍金法があり、鍍金法には湿式鍍金法と乾式鍍金法(蒸着法)とがある。湿式鍍金法には電解鍍金法と無電解鍍金法とがある。乾式鍍金法(蒸着法)には、真空蒸着、イオンプレーティング及びスパッタリングなどの物理気相成長法(PVD法)、並びに、プラズマCVD、熱CVD及び光CVDなどの化学気相成長法(CVD法)がある。無機物12の母体面10へ付着させる方法としてこれらは特に限定されるものではないが、レベリング性が小さいことによって微細な凹凸面を形成し易い乾式鍍金法(蒸着法)が好ましい。乾式鍍金法(蒸着法)のなかでも、短時間で付着させることができ、処理熱歪みが小さく、高い面精度を得ることが可能な、イオンプレーティング及びスパッタリングなどのPVD法が、より好ましく使用することができる。
無機物12は、母体面10に対して全面被覆している必要はなく、部分的に欠陥部を有していても良い。これによれば、欠陥部を有さない全面被覆と比して、無機物12の付着する量を抑えることができ、成形用金型1の無機物12の付着を簡易に行うことができるものとなる。
成形品に使用される合成樹脂は、特に組成などによって使用が制限されるものではないが、誘電率(ε)が5.0F/m以下である合成樹脂が好ましい。
合成樹脂の誘電率(ε)が5.0F/m以下であることにより、合成樹脂は極性の小さいものとなり、極性が小さいため合成樹脂は金属である成形用金型1との親和性が小さいものとなる。このため、合成樹脂は成形用金型1からの脱型がより容易なものとすることができるからである。より好ましくは、誘電率(ε)が4.0F/m以下である合成樹脂である。本発明に使用可能な合成樹脂として、テトラフルオロエチレン樹脂(ε:2.1F/m)、ポリプロピレン(ε:2.3F/m)、ポリエチレン(ε:2.3F/m)、エチレンプロピレン共重合樹脂(ε:2.3F/m)、ポリアミド(ε:2.5F/m)、ポリスチレン(ε:2.6F/m)、アクリル樹脂(ε:2.8F/m)、メタクリル樹脂(ε:3.1F/m)、アクリルアミド樹脂(ε:3.2F/m)、PET(ポリエチレンテレフタレート)(ε:3.2F/m)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体)(ε:3.3F/m)、塩化ビニル樹脂(ε:3.3F/m)、エポキシ樹脂(ε:3.5F/m)などがある。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。表1に試験例を記載し、試験例1〜7,10〜16,18〜48は、実施例であり、試験例8,9,17は、比較例である。
Figure 0006754069
成形用金型1に使用する金属素材には汎用品を使用し、表1において、金属素材の種類の記載には略称を用いた。略称に対する金属素材名を以下に記載する。素材A:炭素鋼、素材B:合金工具鋼、素材C:ステンレス鋼、素材D:アルミ合金系材料、素材E:銅合金系材料。金属素材の成形用金型1への切削加工は、CADデータから金属素材を切削加工する汎用のマシニングセンタを使用して切削加工を行った。
成形用金型1に凹凸面を形成するブラスト処理には汎用の装置を使用し、表1において、ブラスト処理の記載には略称を用いた。略称に対するブラスト処理名(投射材)を以下に記載する。処理H:サンドブラスト(珪砂)、処理I:ショットピーニング(球形の金属粒子)、処理J:イエプコ処理(セラミックス粉粒体)。なお、ブラスト処理は、各々の金属素材について、処理条件に対する最大高さ(Sz)の検量線を作成し、処理条件を変更することにより最大高さ(Sz)を調整した。最大高さ(Sz)は、ISO25178表面性状(面粗さ測定)に準拠した。
成形用金型1の凹凸面(母体面10)に無機物12を付着させる方法には、汎用又は特注の装置を使用し、表1において、方法の記載には略称を用いた。略称に対する付着させる方法を以下に記載する。方法L:電解鍍金法(湿式鍍金法)、方法M:イオンプレーティング法(乾式鍍金PVD法)、方法N:スパッタリング法(乾式鍍金PVD法)、方法O:プラズマCVD法(乾式鍍金CVD法)。
無機物12は上記の無機物を付着させる方法に適した汎用又は特注の試料を使用し、表1において、無機物12の種類は主たる金属組成を記載した。なお、金属組成がホウ化物や窒化物などに成り得るよう、金属組成には60atm%(原子百分率)以下のB,C,N,O,S,F,Clなどの添加物が添加されたものを含むものとする。
成形用金型1を用いて成形される成形品に使用される合成樹脂などには汎用品を使用し、表1において、合成樹脂などの種類の記載には略称を用いた。略称に対する合成樹脂などの種類(誘電率(ε)、成形温度、金型温度)を以下に記載する。PP:ポリプロピレン(誘電率(ε):2.3F/m、成形温度:220℃、金型温度:50℃)、EPDM:エチレンプロピレン共重合樹脂(誘電率(ε):2.3F/m、成形温度:220℃、金型温度:50℃)、PA:ポリアミド66(誘電率(ε):2.5F/m、成形温度:260℃、金型温度:70℃)、PSt:ポリスチレン(誘電率(ε):2.6F/m、成形温度:200℃、金型温度:40℃)、PET:ポリエチレンテレフタレート(誘電率(ε):3.2F/m、成形温度:250℃、金型温度:100℃)、ABS:ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体)(誘電率(ε):3.3F/m、成形温度:250℃、金型温度:70℃)、EP:エポキシ樹脂(誘電率(ε):3.5F/m、成形温度:200℃、金型温度:40℃)、PF:フェノール樹脂(誘電率(ε):6.0F/m、成形温度:170℃、金型温度:40℃)、CM:セメントモルタル(誘電率(ε):6.1F/m、成形温度:30℃、金型温度:90℃)。
上記の合成樹脂などの成形温度及び金型温度で成形品を成形し、脱型する際の状態を以下のように評価した。評価1:ほとんど衝撃を加えずに脱型し、成形品に異常は見られない。評価2:衝撃を加えることによって脱型し、成形品に異常は見られない。評価3:衝撃を加えることによって脱型し、成形品の表面積の10%未満に白化(脱型時に加わる外力によって樹脂に異常が発生して白くなること。)又は表層剥離(脱型時に成形品の表層が成形用金型に残ること。)が見られる。評価4:衝撃を加えることによって脱型し、成形品の表面積の10%以上に白化又は表層剥離が見られる。評価5:脱型しない又は脱型後の成形品に欠損部が見られる。なお、評価1が最も良い評価であり、評価5が最も悪い評価である。
成形品の面精度は、ISO25178表面性状(面粗さ測定)に規定される最大高さ(Sz)で測定し、以下のように評価した。◎:5μm未満、○:5μm以上7μm未満、△:7μm以上10μm未満、×:10μm以上。
(試験例1)
試験例1の成形用金型には、金属素材に炭素鋼を使用し、マシニングセンタを使用して金属素材を切削加工することによって、成形用金型とした。成形用金型の母体面は、ショットピーニング処理によって、最大高さ(Sz)4.0μmの凹凸面が形成され、母体面にCr系材料がPVD法のスパッタリング法によって蒸着され、成形面が形成された。
試験例1の成形品に使用する合成樹脂には、ポリプロピレンを使用した。成形品の成形は、金型温度を50℃にプレヒートされた成形用金型に、成形温度を220℃とするポリプロピレンを射出成形し、冷却後に脱型した。
脱型する際の状態は、評価1であり、ほとんど衝撃を加えずに脱型し、成形品に異常は見られなかった。成形品の面精度は、5.0μm未満であった。
(試験例2〜5)
試験例2〜5は、試験例1から金属素材を変更したものであり、試験例2は合金工具鋼、試験例3はステンレス鋼、試験例4はアルミ合金系材料、試験例5は銅合金系材料を使用した。その他の条件については試験例1と同じである。
試験例2〜5共に、脱型する際の状態は、評価1であり、ほとんど衝撃を加えずに脱型し、成形品に異常は見られなかった。成形品の面精度は、5.0μm未満であった。
(試験例6,7)
試験例6,7は、試験例1からブラスト処理の種類を変更したものであり、試験例6はサンドブラスト処理、試験例7はイエプコ処理を使用した。その他の条件については試験例1と同じである。
試験例6,7共に、脱型する際の状態は、評価1であり、ほとんど衝撃を加えずに脱型し、成形品に異常は見られなかった。成形品の面精度は、5.0μm未満であった。
(試験例8)
試験例8は、試験例1から無機物の形成(蒸着)をしなかったものである。その他の条件については試験例1と同じである。
脱型する際の状態は、評価4であり、衝撃を加えることによって脱型するものの、成形品の表面積の10%以上に白化が見られた。成形用金型の成形面となる母体面に無機物による微細な凹凸面が設けられていないために、離型性が劣るものとなった。
(試験例9〜17)
試験例9〜17は、試験例1からブラスト処理の最大高さ(Sz)を変更したものであり、試験例9はブラスト処理をしなかったもの、試験例10〜17は最大高さ(Sz)を0.05〜15.0μmに変更したものである。その他の条件については試験例1と同じである。
脱型する際の状態は、試験例9が成形品に欠損部が見られた評価5であり、試験例10が成形品の表面積の10%以上に白化が見られた評価4であり、試験例11〜13が成形品の表面積の10%未満に白化が見られた評価3であり、試験例14〜17がほとんど衝撃を加えずに脱型し成形品に異常は見られなかった評価1であった。最大高さ(Sz)によって、脱型する際の状態が変化することが確認できた。
成形品の面精度は、試験例9が成形品に欠損部が見られたため評価できず、試験例10〜14が5.0μm未満であったが、ブラスト処理の最大高さ(Sz)を大きくするにつれ、成形品の面精度も悪くなり、試験例17では15μmであった。
(試験例18〜20)
試験例18〜20は、試験例1から無機物の形成方法を変更したものであり、試験例18は湿式鍍金法の電解鍍金法、試験例19は乾式鍍金法のPVD法であるイオンプレーティング法、試験例20は乾式鍍金法のCVD法であるプラズマCVD法に変更したものである。その他の条件については試験例1と同じである。
脱型する際の状態は、電解鍍金法(湿式鍍金法)の試験例18が成形品の表面積の10%未満に白化が見られた評価3であり、試験例19,20がほとんど衝撃を加えずに脱型し成形品に異常は見られなかった評価1であった。乾式鍍金法(蒸着法)が離型性により優れていることが確認できた。
(試験例21〜40)
試験例21〜40は、試験例1から成形面に付着する無機物の種類を変更したものである。その他の条件については試験例1と同じである。
脱型する際の状態は、いずれも、ほとんど衝撃を加えずに又は衝撃を加えることによって脱型し成形品に異常は見られなかった評価1又は2であった。
(試験例41〜48)
試験例41〜48は、試験例1から成形品に使用する合成樹脂などの種類を変更したものである。試験例41はエチレンプロピレン共重合樹脂(誘電率(ε):2.3F/m、成形温度:220℃、金型温度:50℃)、試験例42はポリアミド66(誘電率(ε):2.5F/m、成形温度:260℃、金型温度:70℃)、試験例43はポリスチレン(誘電率(ε):2.6F/m、成形温度:200℃、金型温度:40℃)、試験例44はポリエチレンテレフタレート(誘電率(ε):3.2F/m、成形温度:250℃、金型温度:100℃)、試験例45はABS樹脂(誘電率(ε):3.3F/m、成形温度:250℃、金型温度:70℃)、試験例46はエポキシ樹脂(誘電率(ε):3.5F/m、成形温度:200℃、金型温度:40℃)、試験例47はフェノール樹脂(誘電率(ε):6.0F/m、成形温度:170℃、金型温度:40℃)、試験例48はセメントモルタル(誘電率(ε):6.1F/m、成形温度:30℃、金型温度:90℃)を使用した。その他の条件については試験例1と同じであるが、試験例48のセメントモルタルは、成形用金型への注入にモルタルポンプを使用した。
脱型する際の状態は、フェノール樹脂を使用した試験例47とセメントモルタルを使用した試験例48とが評価3であり、それ以外は評価1であった。フェノール樹脂とセメントモルタルの誘電率(ε)が高いため、これらの離型性はやや劣るものであった。
1…成形用金型、10…母体面、11…成形面、12…無機物。

Claims (6)

  1. 合成樹脂の成形品の成形に使用される成形用金型において、
    該成形品に使用される該合成樹脂の誘電率(ε)が5.0F/m以下であり、
    該成形用金型の母体面は、最大高さ(Sz)が0.1〜10.0μmにブラスト処理された面であり、
    該成形用金型の成形面は、該母体面に無機物がスパッタリング法(乾式鍍金PVD法)によって付着した面であり、該無機物が該母体面に対して部分的に欠陥部を有していることを特徴とする成形用金型。
  2. 前記成形用金型が鉄鋼材料から形成され、前記無機物が高硬度金属であることを特徴とする請求項1に記載の成形用金型。
  3. 前記成形用金型がアルミ合金系材料又は銅合金系材料から形成され、前記無機物が高硬度金属であることを特徴とする請求項1に記載の成形用金型。
  4. 前記高硬度金属が、Mg,Al,Si,Sc,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ge,Y,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Ceから選択される1種類以上を含む金属及び/又は金属化合物であることを特徴とする請求項2又は3に記載の成形用金型。
  5. 合成樹脂の成形品の成形に使用される成形用金型において、
    該成形品に使用される該合成樹脂の誘電率(ε)が5.0F/m以下であり、
    該成形用金型の母体面は、最大高さ(Sz)が0.1〜10.0μmにブラスト処理された面であり、
    該成形用金型の成形面は、該母体面に無機物が付着した面であり、
    該無機物が、Al,Sc,Cr,Ge,Y,Zr,Nb,Mo,Hf,Wから選択される1種類以上を含む金属及び/又は金属化合物であり、
    該無機物が該母体面に対して部分的に欠陥部を有していることを特徴とする成形用金型。
  6. 前記金属化合物が、B,C,N,P,O,S,F,Clから選択される1種類以上を含む金属化合物であることを特徴とする請求項4又は5に記載の成形用金型。
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