JP6753995B2 - Iii族窒化物半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、III族窒化物半導体発光素子及びその製造方法に関し、特に、高い発光出力及び優れた信頼性を両立したIII族窒化物半導体発光素子及びその製造方法に関する。
Al,Ga,InなどのIII族元素とNとの化合物からなるIII族窒化物半導体は、直接遷移型バンド構造をもつワイドバンドギャップ半導体であり、殺菌、浄水、医療、照明、高密度光記録などの幅広い応用分野が期待される材料である。特に、発光層にIII族窒化物半導体を用いた発光素子は、III族元素の含有比率を調整することで深紫外光から可視光領域までをカバーすることができ、種々の光源への実用化が進められている。
III族窒化物半導体を用いた深紫外光発光素子の発光効率は一般的には極めて低く、高出力化の実現は困難と言われてきた。しかしながら、小型かつ高出力な深紫外発光素子を実現するために、内部量子効率の向上のほか高い光取出効率や低抵抗特性などを実現するための試みが種々行われてきている。
深紫外光を発光する深紫外発光素子は、一般的には以下のとおりにして作製される。すなわち、サファイアやAlN単結晶等の基板上に、バッファ層を形成し、III族窒化物半導体からなるn型半導体層、発光層、p型半導体層を順次形成する。次いで、n型半導体層と電気的に接続するn側電極、p型半導体層と電気的に接続するp側電極をそれぞれ形成する。ここで、p型半導体層のp側電極側には、オーミック接触を取るため、ホール濃度を高めやすいp型GaNコンタクト層を形成することがこれまで一般的であった。しかしながら、p型GaNコンタクト層はそのバンドギャップのために、波長360nm以下の光を吸収してしまう。
特許文献1では、比較的高いAl組成比を有するAlGaInN層上に、膜厚が0.01μm以上0.3μm以下のGaN層を設けたIII族窒化物半導体素子が開示されている。特許文献1では、GaN層の成長モードをFM(Frank-van der Merwe)モードに近い状態(擬似FMモード)として成長させることで、GaN層の結晶成長直後からその表面を平滑としている。その結果、Al組成比が高いAlGaInN層上に形成されたGaN層の膜厚を薄くした場合においても、表面を平滑とすることができる。
特開2010−232364号公報
特許文献1の技術により、p型GaNコンタクト層の膜厚を薄くすることができため、当該層による光吸収を抑制することができ、III族窒化物半導体素子の光取り出し効率を向上することができると期待される。
本発明者の実験によると、p型GaNコンタクト層の膜厚を50nm以下と極めて薄くした場合、従来技術に比べて発光出力の高いIII族窒化物半導体素子を得ることは可能であった。しかしながら、こうして作製したIII族窒化物半導体発光素子のサンプルの一部には、初期の発光出力から半減するほどに発光出力が突然劣化する現象の発生が確認された。このように発光出力が突然劣化する現象を、本明細書において「頓死」と称することとする。具体的には、発光面積を0.057mm2とするIII族窒化物半導体発光素子のサンプルを20mAで通電して初期の発光出力を測定し、次いで100mAで3秒間通電した後、再度20mAで測定したときに、初期の発光出力に対して半減以上の出力低下が確認されたサンプルは頓死が発生したものとする。ここで、III族窒化物半導体発光素子の発光面積に対して順方向電流に対する発光出力をプロットしたときに、上記20mAは直線性が保たれる範囲の電流値であり、上記100mAは発光素子が発熱して出力の直線性が失われる範囲の電流値である。このように発光出力が突然劣化する素子は信頼性が不十分であり、信頼性が不十分な素子が製品に混入することは、製品の品質管理上許容できない。
そこで、本発明は、高い発光出力及び優れた信頼性を両立したIII族窒化物半導体発光素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。p型GaN層を50nm以下と極めて薄く形成する場合では、大きな圧縮歪の緩和によって欠陥が導入されると共に表面平坦性も悪化する。FMモードでp型GaN層を成長させると、p型GaN層の直下層となるAlGaN層(Inを含む場合はAlInGaN層)に凹凸又は転位があれば、それを埋め込む方向へ成長が進むものの、圧縮歪の緩和が進みやすく欠陥が導入されやすいと推察される。そのため、埋め込むことのできなかったp型GaN層の直下層での凹凸又は転位はもちろん、p型GaN層が一見、平坦化していても、新たな転位が発生している場合もある。実験事実を考慮すると、それらが電極形成領域にある場合に、発光素子が頓死すると本発明者は考えた。そこで、p型コンタクト層として0.03以上0.25以下のAl組成比xを有するAlGaN層を用いることにより、発光素子の頓死を防止して高い発光出力及び優れた信頼性を両立できることを知見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)基板上に、n型半導体層、発光層、p型AlGaN電子ブロック層、p型コンタクト層及びp側反射電極を順次備えるIII族窒化物半導体発光素子であって、
前記発光層からの発光の発光中心波長が250nm以上280nm以下であり、
前記p型AlGaN電子ブロック層のAl組成比は0.40以上0.80以下であり、
前記p型コンタクト層の膜厚は10nm以上50nm以下であり、かつ、該p型コンタクト層は、Al組成比が0.03以上0.25以下であるp型AlGaNコンタクト層を有することを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
(2)前記p型コンタクト層は、前記p型AlGaNコンタクト層のみからなる、上記(1)に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(3)前記p型コンタクト層は、前記p型AlGaNコンタクト層と前記p側反射電極との間にp型GaNコンタクト層を有する、上記(1)に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(4)前記p型AlGaNコンタクト層の膜厚が10nm以上25nm以下である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(5)基板上に、n型半導体層を形成する工程と、
前記n型半導体層上に発光層を形成する工程と、
前記発光層上にp型AlGaN電子ブロック層を形成する工程と、
前記p型AlGaN電子ブロック層上にp型コンタクト層を形成する工程と、
前記p型コンタクト層上にp側反射電極を形成する工程と、を含むIII族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
前記発光層からの発光中心波長は250nm以上280nm以下であり、
前記p型AlGaN電子ブロック層のAl組成比は0.40以上0.80以下であり、
前記p型コンタクト層の膜厚が10nm以上50nm以下であり、
前記p型コンタクト層はAl組成比が0.03以上0.25以下であるp型AlGaNコンタクト層を形成することを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
本発明によれば、高い発光出力及び優れた信頼性を両立したIII族窒化物半導体発光素子及びその製造方法を提供することができる。
本発明によるIII族窒化物半導体発光素子の一実施形態を説明する模式断面図である。 本発明によるIII族窒化物半導体発光素子のp型コンタクト層の一態様を説明する拡大模式断面図である。 本発明によるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法の一実施形態を説明する模式断面図である。 実施例1のp型コンタクト層表面のAFM像である。 実施例2のp型コンタクト層表面のAFM像である。 実施例3のp型コンタクト層表面のAFM像である。 比較例1のp型コンタクト層表面のAFM像である。
本発明に従う実施形態の説明に先立ち、以下の点について予め説明する。まず、本明細書においてAl組成比を明示せずに単に「AlGaN」と表記する場合は、III族元素(Al,Gaの合計)とNとの組成比が1:1であり、III族元素AlとGaとの比率は不定の任意の化合物を意味するものとする。また「AlGaN」は、III族元素であるInについての表記がなくとも、III族元素としてのAlとGaの合計に対して5%以内のInを含んでいてもよいこととし、Inを含めて記載した組成式は、Al組成比をxとしIn組成比をy(0≦y≦0.05)としてAlxInyGa1−x−yNとする。単に「AlN」又は「GaN」と表記する場合は、それぞれGa及びAlは含まれないことを意味するが、明示がない限り、単に「AlGaN」と表記することによって、AlN又はGaNのいずれかであることを排除するものではない。なお、Al組成比の値は、フォトルミネッセンス測定及びX線回折測定などによって測定することができる。
また、本明細書において、電気的にp型として機能する層をp型層と称し、電気的にn型として機能する層をn型層と称する。一方、MgやSi等の特定の不純物を意図的には添加しておらず、電気的にp型又はn型として機能しない場合、「i型」又は「アンドープ」と言う。アンドープの層には、製造過程における不可避的な不純物の混入はあってよく、具体的には、キャリア密度が小さい(例えば4×1016/cm未満)場合、本明細書において「アンドープ」と称する。また、MgやSi等の不純物濃度の値は、SIMS分析によるものとする。
また、エピタキシャル成長により形成される各層の膜厚全体は、光干渉式膜厚測定器を用いて測定することができる。さらに、各層の膜厚のそれぞれは、隣接する各層の組成が十分異なる場合(例えばAl組成比が0.01以上異なる場合)、透過型電子顕微鏡による成長層の断面観察から算出できる。また、隣接する層のうち、Al組成比が同一であるか、又は、ほぼ等しい(例えばAl組成比が0.01未満)ものの、不純物濃度の異なる層の境界及び膜厚については、両者の境界ならびに各層の膜厚は、TEM−EDSに基づく測定によるものとする。そして、両者の不純物濃度は、SIMS分析により測定できる。また、超格子構造のように各層の膜厚が薄い場合にはTEM−EDSを用いて膜厚を測定することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。また、各図において、説明の便宜上、基板及び各層の縦横の比率を実際の比率から誇張して示している。
(III族窒化物半導体発光素子)
本発明の一実施形態に従うIII族窒化物半導体発光素子100は、図1に示すように、基板10上に、n型半導体層30、発光層40、p型AlGaN電子ブロック層60、p型コンタクト層70及びp側反射電極80を順次備える。そして、発光層40からの発光の発光中心波長が250nm以上330nm以下であり、p型AlGaN電子ブロック層60のAl組成比は0.40以上0.80以下であり、p型コンタクト層70の膜厚は10nm以上50nm以下であり、かつ、p型コンタクト層70はAl組成比が0.03以上0.25以下であるp型AlGaNコンタクト層71を有する。
なお、図1に示すように、基板10とn型半導体層30との間にバッファ層20を設け、n型半導体層30に露出面が設けられ、該露出面にn側電極90を設けることなどは、III族窒化物半導体発光素子100の好ましい態様である。以下、各構成の詳細を順次説明する。
<基板>
III族窒化物半導体発光素子100の基板10として、サファイア基板を用いることができる。サファイア基板の表面にエピタキシャル成長させたAlN層が設けられたAlNテンプレート基板を用いてもよい。サファイア基板としては、任意のサファイア基板を用いることができ、オフ角の有無は任意であり、オフ角が設けられている場合の傾斜方向の結晶軸方位は、m軸方向またはa軸方向のいずれでもよい。例えば、サファイア基板の主面を、C面が0.5度のオフ角θで傾斜した面とすることができる。AlNテンプレート基板を用いる場合、サファイア基板表面のAlN層の結晶性が優れていることが好ましい。また、AlNテンプレート基板の表面に、アンドープのAlGaN層が設けられていることも好ましい。また、基板10としてAlN単結晶基板を用いてもよい。
<n型半導体層>
n型半導体層30は必要によりバッファ層20を介して基板10上に設けられる。n型半導体層30を基板10上に直接設けてもよい。n型半導体層30には、n型のドーパントがドープされたAlGaNを用いることができる。必要に応じて、In等のIII族元素を5%以内の組成比で導入し、AlGaInN等としてもよい。n型ドーパントの具体例として、シリコン(Si),ゲルマニウム(Ge),錫(Sn),硫黄(S),酸素(O),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr)等を挙げることができる。n型ドーパントのドーパント濃度は、n型半導体層30がn型として機能することのできるドーパント濃度であれば特に限定されず、例えば1.0×1018atoms/cm〜1.0×1020atoms/cmとすることができる。また、n型半導体層30のバンドギャップは、発光層40(量子井戸構造とする場合は井戸層41)のバンドギャップよりも広く、発光する深紫外光に対し透過性を有することが好ましい。また、n型半導体層30を単層構造や複数層からなる構造の他、III族元素の組成比を結晶成長方向に組成傾斜させた組成傾斜層や超格子構造を含む構成することもできる。n型半導体層30は、n側電極90とのコンタクト部を形成するだけでなく、基板から発光層に至るまでに結晶性を高める機能を兼ねることもできる。
<発光層>
発光層40はn型半導体層30上に設けられ、発光中心波長が250nm以上330nm以下の深紫外光を放射する。発光層40は、AlGaNとすることができ、そのAl組成比は所望の発光中心波長が得られるよう適宜設定すればよく、例えば0.17〜0.70の範囲内とすることができる。
発光層40はAl組成比が一定の単層構造であってもよいし、Al組成比の異なるAlGaNからなる井戸層41と障壁層42とを繰り返し形成した多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造で構成することも好ましい。いずれの場合も、必要に応じて、In等のIII族元素を5%以内の組成比で導入し、AlGaInN材料等としてもよいが、III族元素としてはAlおよびGaのみを用いた三元系のAlGaN材料とすることがより好ましい。
多重量子井戸構造を用いる場合、障壁層42のAl組成比bを、井戸層41のAl組成比wよりも高く(すなわち、b>w)する。Al組成比bについては、b>wの条件の下、障壁層42のAl組成比bを例えば0.30〜0.95とすることができる。井戸層41のAl組成比wによって中心発行波長を概ね調整することができ、例えば、発光層40における井戸層41のAl組成比wを0.17〜0.68とすると、発光層40から放射される光の中心波長が250〜330nmとなる。
また、井戸層41及び障壁層42の繰り返し回数は特に制限されず、例えば1〜10回とすることができる。発光層40の膜厚方向の両端側(すなわち最初と最後)を障壁層とすることが好ましく、井戸層41及び障壁層42の繰り返し回数をnとすると、この場合は「n.5組の井戸層及び障壁層」と表記することとする。また、井戸層41の膜厚を0.5nm〜5nm、障壁層42の膜厚を3nm〜30nmとすることができる。
なお、障壁層42の導電型をn型とすることが好ましい。電子濃度が増え、井戸層41内の結晶欠陥を補償する効果があるためである。なお、発光層40は、障壁層42および井戸層41を繰り返し形成し、障壁層42で挟み込んだ一般的な多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造とすることができ、必要に応じてp型AlGaN電子ブロック層60側の最後の障壁層42を取り除いた構造としてもよい。
<p型AlGaN電子ブロック層>
p型AlGaN電子ブロック層60は発光層40上に設けられる。p型AlGaN電子ブロック層60は電子を堰止めし、電子を発光層40(MQW構造の場合には井戸層41)内に注入して、電子の注入効率を高めるための層として用いられる。本発明においては、p型AlGaN電子ブロック層として、そのAl組成比を0.40以上0.80以下とするp型のAlGa1−zN(0.40≦z≦0.80)を用いることができる。必要に応じて、In等のIII族元素を5%以内の組成比で導入した四元系のAlGaInN材料等としてもよいが、III族元素としてはAlおよびGaのみを用いた三元系のAlGaN材料とすることがより好ましい。Al組成比がこの範囲であるとp型AlGaN電子ブロック層60に転位が比較的多く形成されるため、このような場合に本発明によるp型コンタクト層70を用いることが有効となる。Al組成比が0.60以上0.70以下の場合に特に転位が形成されやすい。
p型AlGaN電子ブロック層60の膜厚は特に制限されないが、例えば10nm〜80nmとすることが好ましい。p型AlGaN電子ブロック層60の膜厚がこの範囲であれば、高い発光出力を確実に得ることができる。なお、p型AlGaN電子ブロック層60の膜厚は、障壁層42の膜厚よりも厚いことが好ましい。また、p型AlGaN電子ブロック層60にドープするp型ドーパントとしては、マグネシウム(Mg),亜鉛(Zn),カルシウム(Ca),ベリリウム(Be),マンガン(Mn)等を例示することができ、Mgを用いることが一般的である。p型AlGaN電子ブロック層60のドーパント濃度は、p型層として機能することのできるドーパント濃度であれば特に限定されず、例えば1.0×1018atoms/cm〜5.0×1021atoms/cmとすることができる。
<p型コンタクト層>
p型コンタクト層70はp型AlGaN電子ブロック層60上に直接設けられる。p型コンタクト層70は、その最表面上に設けられるp側反射電極80と、p型AlGaN電子ブロック層60との間の接触抵抗を低減するための層である。本発明においては、p型コンタクト層70の膜厚を10nm以上50nm以下とする。そして、p型コンタクト層70はAl組成比xを0.03以上0.25以下とするp型AlGaN層71を有する。そして、p型AlGaNコンタクト層71はp型AlGaN電子ブロック層60の直上に接して形成され、組成式AlGa1−xNのAl組成比xが0.03≦x≦0.25を用いることができる。p型コンタクト層70がp型AlGaN電子ブロック層60の直上にp型AlGaN層71を有することにより、III族窒化物半導体発光素子100の頓死を防止できることが本発明者の実験によって確認された。p型GaN層をp型AlGaN電子ブロック層60の直上に形成することに代えて、p型AlGaNコンタクト層71(AlGa1−xN、0.03≦x≦0.25)を形成した方が、表面平坦性の悪化の悪影響を押さえつつ、成長初期に形成される転位の発生を抑えられるからだと考えられる。
本発明効果を得るためにはp型コンタクト層70がp型AlGaN電子ブロック層60の直上に上述のp型AlGaNコンタクト層71を有すれば十分である。p型コンタクト層70は、p型AlGaNコンタクト層71のみから構成されてもよいし(図1参照)、他方、p型コンタクト層70は、p型AlGaNコンタクト層71とp側反射電極80との間にp型GaNコンタクト層を有してもよい(図2参照)。いずれの場合も、p型AlGaNコンタクト層71の膜厚は10nm以上50nm以下とすることができ、p型コンタクト層70の全体としての膜厚が上述の10nm以上50nm以下であればよい。なお、本発明効果を得つつ、III族窒化物半導体発光素子100の発光出力を増大するために、p型AlGaNコンタクト層71の膜厚を10nm以上25nm以下とすることがより好ましい。また、頓死をより確実にゼロに抑えるにはp型コンタクト層70の厚さを15nm以上とすることがさらに好ましい。
なお、図示しないものの、p型コンタクト層70は、p型AlGaN電子ブロック層60と反対側(換言すれば、p側反射電極80と接する側)において、Mg濃度が3×1020atoms/cm以上の高濃度領域を有することが好ましく、この高濃度領域におけるMg濃度が5×1020atoms/cm以上であることがより好ましい。p型コンタクト層70のホール濃度を高めて、III族窒化物半導体発光素子100の順方向電圧Vfを低下することができる。なお、上限の限定を意図しないが、工業的生産性を考慮すれば、本実施形態においては高濃度領域におけるMg濃度の上限を1×1021atoms/cmとすることができる。この場合、p型コンタクト層70におけるp型AlGaN電子ブロック層60側の領域のMg濃度は一般的な範囲とすることができ、通常5×1019atoms/cm以上3×1020atoms/cm未満である。なお、p型コンタクト層におけるMg濃度は、SIMS測定による各領域での平均濃度である。p型コンタクト層70の結晶性を保つため、高濃度領域の膜厚は、通常15nm以下である。
<p側電極>
p側反射電極80を、p型コンタクト層70の直上(最表面上)に設けることができる。p側反射電極80は、発光層40から放射される紫外光に対して高い反射率(例えば60%以上)を有する金属を用いることが好ましい。このような反射率を有する金属として、例えば、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、及びこれらのいずれかを少なくとも含有する合金を挙げるができる。これらの金属又は合金は、深紫外光への反射率が高く、また、p型コンタクト層70と、p側反射電極80とで比較的良好なオーミック接触を取ることもできるため好ましい。なお、反射率の観点では、これらの中でも、p側反射電極80がロジウム(Rh)を単体又は合金の形態で含むことが好ましい。また、p側反射電極80の膜厚、形状及びサイズは、III族窒化物半導体発光素子100の形状及びサイズに応じて適宜選択することができ、例えばp側反射電極80の膜厚を30〜45nmとすることができる。
以上説明した本実施形態に従うIII族窒化物半導体発光素子100は、高い発光出力及び優れた信頼性を両立することができる。
以下、本実施形態に適用可能な具体的態様について述べるが、本実施形態は以下の態様に限定されない。
<バッファ層>
図1に示すように、基板10と、n型半導体層30との間に、両者の格子不整合を緩和するためのバッファ層20を設けることも好ましい。バッファ層20としてアンドープのIII族窒化物半導体層を用いることができ、例えばアンドープのAlNを用いることができる。バッファ層20を超格子構造としてもよい。バッファ層20とn型半導体層30の間には、AlGaN層、組成傾斜層および超格子層の1つ以上から選ばれるバッファ層がさらに設けられてもよい。
<n側電極>
n型半導体層30の露出面上に設けられ得るn側電極90は、例えばTi含有膜及びこのTi含有膜上に形成されたAl含有膜を有する金属複合膜とすることができる。n側電極90の膜厚、形状及びサイズは、発光素子の形状及びサイズに応じて適宜選択することができる。n側電極90は、図1に示すような、n型半導体層30の露出面上への形成に限定されず、n型半導体層と電気的に接続していればよい。
<p型ガイド層>
なお、図1には図示しないが、発光層40と、p型AlGaN電子ブロック層60との間に、p型AlGaN電子ブロック層60のAl組成比よりもAl組成比の高いAlGaN又はAlNからなるp型のガイド層を設けてもよい。ガイド層を設けることで、発光層40への正孔の注入を促進することができる。
<n型ガイド層>
さらに、図1には図示しないものの、発光層40とn型半導体層30との間に、n型ガイド層を設けてもよい。n型ガイド層はAlGaNを用いることが好ましく、そのAl組成比は、前記のn型半導体層30のAl組成比以上、かつ、障壁層42のAl組成比b以下とすることが好ましい。その膜厚は3nm〜30nmとすることができる。また、n型ガイド層には、n型半導体層30と同様にn型のドーパント(不純物)がドープされことが好ましいが、そのドーパント量はn型層よりも低いことが好ましい。
なお、本実施形態に従うIII族窒化物半導体発光素子100は、p側反射電極80を反射電極材料により形成して深紫外光を反射させることで、基板側又は基板水平方向を主な光取り出し方向とすることができる。また、III族窒化物半導体発光素子100を、いわゆるフリップチップ型と呼ばれる形態とすることができる。
(III族窒化物半導体発光素子の製造方法)
次に、上述したIII族窒化物半導体発光素子100の製造方法の一実施形態を、図3を参照して説明する。本発明に従うIII族窒化物半導体発光素子100の製造方法の一実施形態は、基板10上に(ステップA参照)、n型半導体層30を形成する工程と、n型半導体層30上に発光層40を形成する工程と、発光層40上にp型AlGaN電子ブロック層60を形成する工程(ステップB参照)と、p型AlGaN電子ブロック層60上にp型コンタクト層70を形成する工程(ステップC参照)と、p型コンタクト層70上にp側反射電極80を形成する工程(ステップD参照)、とを含む。ここで、本製造方法の一実施形態では、発光層40からの発光の発光中心波長は250nm以上330nm以下であり、p型AlGaN電子ブロック層60のAl組成比は0.40以上0.80以下であり、p型コンタクト層70の膜厚が10nm以上50nm以下である。また、p型コンタクト層70はAl組成比が0.03以上0.25以下であるp型AlGaNコンタクト層71を形成する。
以下、本実施形態の好適な実施形態に従うフローチャートを示す図3を参照して、具体的な態様と共に各工程の詳細を順次説明するが、III族窒化物半導体発光素子100の各構成に関して重複する説明については省略する。
まず、図3のステップA,Bに示すように、基板10上にn型半導体層30、発光層40及びp型AlGaN電子ブロック層60を順次形成する。これらの各工程では、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法や分子線エピタキシ(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、スパッタ法などの公知のエピタキシャル成長技術により各層を形成することができる。
n型半導体層30、発光層40、及びp型AlGaN電子ブロック層60の各層の形成にあたり、エピタキシャル成長させるための成長温度、成長圧力、成長時間については、各層のAl組成比及び膜厚に応じた一般的な条件とすることができる。エピタキシャル成長させるためのキャリアガスとしては、水素ガスもしくは窒素ガス、又は両者の混合ガスなどを用いてチャンバ内に供給すればよい。さらに、上記各層を成長させる原料ガスとして、III族元素の原料ガスとしてTMA(トリメチルアルミニウム)、TMG(トリメチルガリウム)などを用いることができ、V族元素ガスとしてNHガスを用いることができる。NHガスなどのV族元素ガスと、TMAガスなどのIII族元素ガスの成長ガス流量を元に計算されるIII族元素に対するV族元素のモル比(以降、V/III比と記載する)についても、一般的な条件とすればよい。さらにドーパント源のガスとしては、p型ドーパントについては、Mg源としてシクロペンタジニエルマグネシウムガス(CPMg)などを、n型ドーパントについては、Si源として例えばモノシランガス(SiH)、Zn源としての塩化亜鉛ガス(ZnCl)などを適宜選択し、所定の流量でチャンバ内に供給すればよい。
次に、図3のステップCに示すp型コンタクト層形成工程では、p型AlGaN電子ブロック層60上にp型AlGaNコンタクト層71を形成する。p型コンタクト層70の膜厚範囲及びp型AlGaNコンタクト層71のAl組成比の条件、並びにp型GaNコンタクト層72(図3には図示せず。図2を参照)を形成してもよいことについては既述のとおりである。また、p型コンタクト層70も、p型AlGaN電子ブロック層60等と同様にMOCVD法などによるエピタキシャル成長によって結晶成長すればよい。そして、成長条件は特に制限されないものの、ガス流量とV/III比、成長温度を調整することにより、厚さ方向の成長速度を0.03〜0.50μm/hとすることが好ましく、0.03〜0.19μm/hがより好ましく、厚さ方向の成長速度を0.10〜0.15μm/hとすることが最も好ましい。なお、キャリアガスはHを用いることが好ましい。
なお、p型コンタクト層70のMg濃度を高濃度とするためには、Mg/III族元素ガス比率を適宜調整すればよい。
また、図2のステップDに示すように、発光層40、p型AlGaN電子ブロック層60及びp型コンタクト層70の一部をエッチング等により除去し、露出したn型半導体層30上にn側電極90を形成してもよい。なお、p側反射電極80及びn側電極90は、スパッタ法や真空蒸着法などにより成膜することができる。また、バッファ層20を基板10の表面10A上に形成することも好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1:波長280nm)
サファイア基板(直径2インチ、膜厚:430μm、面方位:(0001)、m軸方向オフ角θ:0.5度)を用意した。次いで、MOCVD法により、上記サファイア基板上に中心膜厚0.60μm(平均膜厚0.61μm)のAlN層を成長させ、AlNテンプレート基板とした。その際、AlN層の成長温度は1300℃、チャンバ内の成長圧力は10Torrであり、V/III比が163となるようにアンモニアガスとTMAガスの成長ガス流量を設定した。V族元素ガス(NH)の流量は200sccm、III族元素ガス(TMA)の流量は53sccmである。なお、AlN層の膜厚については、光干渉式膜厚測定機(ナノスペックM6100A;ナノメトリックス社製)を用いて、ウェーハ面内の中心を含む、等間隔に分散させた計25箇所の膜厚を測定した。
次いで、上記AlNテンプレート基板を熱処理炉に導入し、10Paまで減圧後に窒素ガスを常圧までパージすることにより炉内を窒素ガス雰囲気とした後に、炉内の温度を昇温してAlNテンプレート基板に対して熱処理を施した。その際、加熱温度は1650℃、加熱時間は4時間とした。
続いて、MOCVD法により、アンドープのAlGaN層として、Al組成比0.85から0.65まで結晶成長方向に組成傾斜させた膜厚200nmのアンドープAlGaN層を形成した。次に、n型半導体層として、Al0.65Ga0.35Nからなり、Siドープした膜厚2μmのn型層を形成した。なお、SIMS分析の結果、n型層のSi濃度は1.0×1019atoms/cmであった。
続いて、n型層上に、Al0.65Ga0.35NからなりSiドープした膜厚20nmのn型ガイド層を形成し、さらに障壁層として4nmのAl0.65Ga0.35Nを形成した。次いで、Al0.45Ga0.55Nからなる膜厚3nmの井戸層および膜厚4nmのAl0.65Ga0.35Nからなる障壁層を交互に2層ずつ形成し、さらにAl0.45Ga0.55Nからなる膜厚3nmの井戸層を形成した。すなわち、井戸層の層数および障壁層の層数Nは共に3であり、障壁層のAl組成比bは0.65であり、井戸層のAl組成比wは0.45である。なお、障壁層の形成においてはSiをドープした。
その後、3層目の井戸層上に、窒素ガスをキャリアガスとし、アンドープのAlNガイド層を形成した。AlNガイド層の膜厚は1nmとした。次に、TMAガスの供給を停止しつつ、アンモニアガスを供給し続けたままキャリアガスの窒素を止めて水素を供給し、キャリアガスを水素に変更した後に、III族元素の原料ガスであるTMAガスおよびTMGガスを再び供給して、Al0.68Ga0.32Nからなり、Mgドープした層さ40nmの電子ブロック層を形成した。
続いて、電子ブロック層の成長を止め、キャリアガスを窒素ガスに切り替え、p型Al0.08Ga0.92Nコンタクト層の設定条件へガス流量を変化させた後、キャリアガスを水素に切り替え、Mgドープした膜厚20nmのp型Al0.08Ga0.92Nコンタクト層(以下、実施例において「p型コンタクト層」と略記する。)を形成した。SIMS分析の結果、p型コンタクト層のMg濃度は平均で1.2×1020atom/cmであった。なお、p型コンタクト層を形成するときの厚さ方向の成長速度を0.12μm/hとした。
その後、p型コンタクト層の上にマスクを形成してドライエッチングによるメサエッチングを行い、n型半導体層の一部を露出させ、p型コンタクト層上にNi/Auからなるp側電極を形成し、露出したn型層上にはTi/Alからなるn側電極を形成した。なお、p側電極のうち、Niの膜厚は50Åであり、Auの膜厚は1500Åである。また、n側電極のうち、Tiの膜厚は200Åであり、Alの膜厚は1500Åである。最後に550℃でコンタクトアニール(RTA)を行って、各電極を形成した。
以上のとおりにして作製した実施例1に係るIII族窒化物半導体発光素子の、各層の構成を表1に示す。
(実施例2〜5、実施例8〜11、比較例1、従来例1、比較例4〜7:波長280nm)
実施例1におけるp型コンタクト層の膜厚及びAl組成比を表2に記載のとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜5,比較例1、従来例1に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。なお、実施例3においては、p型Al0.68Ga0.32N電子ブロック層上に膜厚20nmのp型Al0.08Ga0.92Nコンタクト層を形成し、次いで膜厚20nmのp型GaNコンタクト層を形成した。さらに、実施例1におけるp型コンタクト層の膜厚及びAl組成比を表2に記載のとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例8〜11、比較例4〜7に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。
参考例6、12、13、比較例2、従来例2:波長310nm)
実施例1における井戸層のAl組成比w:0.45のAl組成比を0.30に変え、さらにアンドープ層のAl組成比を0.55、n型半導体層のAl組成比を0.45、nガイド層及び障壁層のAl組成比を0.55、p型電子ブロック層のAl組成比を0.58に変えつつ、p型コンタクト層の膜厚及びAl組成比xを表2に記載のとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして、参考例6、比較例2、従来例2に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。さらに、参考例6におけるp型コンタクト層の膜厚及びAl組成比を表2に記載のとおりに変えた以外は、参考例6と同様にして、参考例12および1に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。
(実施例7、実施例14、比較例3、従来例3:波長265nm)
実施例1における井戸層のAl組成比w:0.45のAl組成比を0.58に変え、さらに障壁層のAl組成比を0.76に変え、p型コンタクト層の膜厚及びAl組成比xを表2に記載のとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7、比較例3、従来例3に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。さらに、実施例7におけるp型コンタクト層の膜厚及びAl組成比を表2に記載のとおりに変えた以外は、実施例7と同様にして、実施例14に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。
(評価1:各層の膜厚とAl組成の測定)
実施例1〜5、参考例6、実施例7〜11、参考例12、13、実施例14、比較例1〜3、4〜7、従来例1〜3のそれぞれに対し、エピタキシャル成長により形成される各層の膜厚は、光干渉式膜厚測定器を用いて測定した。また、障壁層や電子ブロック層を含め各層の膜厚が数nm〜数十nmと薄い層は、透過型電子顕微鏡による各層の断面観察でのTEM−EDSを用いて各層膜厚とAl組成比を測定した。なお、各層の膜厚の測定位置はウェーハ中央部である。
(評価2:信頼性評価)
実施例1〜5、参考例6、実施例〜11、参考例12、13、実施例14、比較例1〜3、4〜7、従来例1〜3から得られた発光素子(測定個数24個)に対して、定電流電圧電源を用いて電流20mAにて通電し、発光出力を測り、次いで100mAで3秒間通電した後、再び20mAで通電して発光出力を測り、初期の発光出力に対する発光出力の変化を測定した。このとき、通電により発光する面積は0.057mm2であった。100mAで3秒間通電した後の発光出力が初期の発光出力の半分以下にまで下がったもの、すなわち頓死が発生する発光素子の個数を確認した。実施例1〜5、参考例6、実施例7及び従来例1〜3では電流100mAでの通電後も大きな変化はなかったが、比較例1〜3では、電流100mAでの通電後に、ウェーハ内で不点灯、あるいは初期の発光出力から半減以下の出力となる発光素子が確認された(すなわち、頓死の発生が確認された)。こうした不点灯や、初期の発光出力の半分以下への発光出力の急減がなかったものの比率を、頓死発生率として表2に示す。なお、発光出力Poの測定にあたっては積分球を用いた。初期の発光出力の平均値と頓死の発生率の結果を表2に示す。なお、光ファイバ分光器によって各サンプルの発光中心波長を測定した。発光中心波長についても表2に示す。
(評価3:表面粗さRaの測定)
代表例として、実施例1〜5、比較例1のp型コンタクト層の最表面について、原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscope)によりAFM像を取得しつつ、表面粗さの指標としてRa(平均粗さ;JIS B 0601:2001に準拠)を測定した。なお、測定箇所はウェーハ中央部である。Raの測定値を表2に示す。なお、実施例1〜5、比較例1については、基板観察によるピットの有無も併せて示す。さらに、実施例1〜3、比較例1によるAFM像を図4A〜図4Dにそれぞれ示す。
(評価結果の考察)
本発明条件に従う実施例1〜5、参考例6、実施例7では、同波長で比較した場合に、信頼性を確保したまま、従来例1〜3のそれぞれよりも発光出力を増大させることができた。比較例1,2ではp型コンタクト層を薄くしたために発光層からの光吸収を抑制できる結果、発光出力を増大させることはできたものの、頓死の発生が確認された。比較例3では、初期通電から頓死が多発し、発光出力を測定することすらできなかった。
図4A〜図4Dに示したAFM像並びに実施例1〜5及び比較例1の表面粗さRaの値からすれば、表面粗さが十分に小さくても頓死が発生することが確認される。実施例1,2,4及び比較例1でピットが観察されたことからすると、電子ブロック層の凹凸又は転位を埋め込むことと同時に圧縮歪の緩和に伴う結晶欠陥の増加を抑制することが頓死防止のためには重要であると考えることができる。
また、波長280nmの実施例1〜5、8〜11と比較例1、4〜7、従来例1とを比較すると、p型コンタクト層のAl組成比は0.03〜0.25の範囲内であり、かつ、膜厚が10〜50nmの範囲内であることで、頓死を発生させずに、従来よりも発光出力の大きな発光素子を得ることができることが分かる。そしてその結果は、波長310nmの参考例6、12、13や波長265nmの実施例7、14においても同様の結果がみられることが分かる。
以上の結果から、本発明条件を満足するp型コンタクト層を形成することにより、高い発光出力を得ることができるとともに、信頼性を両立できることが確認できた。
本発明によれば、高い発光出力及び優れた信頼性を両立したIII族窒化物半導体発光素子及びその製造方法を提供することができる。
10 基板
20 バッファ層
30 n型半導体層
40 発光層
41 井戸層
42 障壁層
60 p型AlGaN電子ブロック層
70 p型コンタクト層
71 p型AlGaNコンタクト層
72 p型GaN層
80 p側反射電極
90 n側電極
100 III族窒化物半導体発光素子

Claims (5)

  1. 基板上に、n型半導体層、発光層、p型AlGaN電子ブロック層、p型コンタクト層及びp側反射電極を順次備えるIII族窒化物半導体発光素子であって、
    前記発光層からの発光の発光中心波長が250nm以上280nm以下であり、
    前記p型AlGaN電子ブロック層のAl組成比は0.40以上0.80以下であり、
    前記p型コンタクト層の膜厚は10nm以上50nm以下であり、かつ、該p型コンタクト層は、Al組成比が0.03以上0.25以下であるp型AlGaNコンタクト層を有することを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
  2. 前記p型コンタクト層は、前記p型AlGaNコンタクト層のみからなる、請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  3. 前記p型コンタクト層は、前記p型AlGaNコンタクト層と前記p側反射電極との間にp型GaNコンタクト層を有する、請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  4. 前記p型AlGaNコンタクト層の膜厚が10nm以上25nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  5. 基板上に、n型半導体層を形成する工程と、
    前記n型半導体層上に発光層を形成する工程と、
    前記発光層上にp型AlGaN電子ブロック層を形成する工程と、
    前記p型AlGaN電子ブロック層上にp型コンタクト層を形成する工程と、
    前記p型コンタクト層上にp側反射電極を形成する工程と、を含むIII族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
    前記発光層からの発光中心波長は250nm以上280nm以下であり、
    前記p型AlGaN電子ブロック層のAl組成比は0.40以上0.80以下であり、
    前記p型コンタクト層の膜厚が10nm以上50nm以下であり、
    前記p型コンタクト層はAl組成比が0.03以上0.25以下であるp型AlGaNコンタクト層を有すること特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
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