JP6752369B1 - 取引価格予測装置および取引価格予測方法 - Google Patents

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Abstract

取引価格予測装置(1)は、買入札量を予測する第1の予測モデルを用いて予測対象日時における買入札量を予測し、取引価格を予測する第2の予測モデルを用いて予測対象日時における取引価格を予測する。

Description

本発明は、卸商品取引市場における商品の取引価格を予測する取引価格予測装置および取引価格予測方法に関する。
近年では、卸電力取引市場が活性化しており、電力取引価格予測へのニーズが高まっている。電力の約定価格および約定量は、入札当日における、電力の売入札量と売入札価格との関係を示す売入札曲線と、電力の買入札量と買入札価格との関係を示す買入札曲線との交点で決定される。
一方、日本卸電力取引市場(以下、JEPXと記載する)のスポット市場は、ブラインドシングルプライスオークション方式という約定方式が採用されており、電力の入札動向が非公開である。このため、入札者は、入札当日の入札曲線の実態を把握できない。
これに対して、特許文献1に記載された入札支援システムでは、予め与えられた市場の電力供給曲線と電力需要曲線に対して、市場において落札される電力量あるいは収益あるいは供給高が最大になるように入札曲線を推定している。このように推定された入札曲線を用いることで、入札者は、入札動向が非公開の市場であっても、電力の取引価格を予測することができる。
特開2005−339527号公報
電力の入札動向が非公開であると、特許文献1に記載された入札支援システムによって推定された入札曲線では、予測対象日時における取引状況を反映しているかどうかが把握できず、取引市場における予測結果の妥当性を判断できないという課題があった。
本発明は上記課題を解決するものであり、予測対象日時における取引状況が反映された取引価格の予測を行うことができる取引価格予測装置および取引価格予測方法を得ることを目的とする。
本発明に係る取引価格予測装置は、買入札量と需要量に影響を与える条件との相関に基づいて買入札量を予測する第1の予測モデルに対して、予測対象日時における需要量に影響を与える条件の予測値を適用することで、予測対象日時における買入札量を予測する第1の予測部と、取引価格を予測する第2の予測モデルに対して、第1の予測部によって予測された買入札量と、予測対象日時における需要量に影響を与える条件の予測値とを適用することで、予測対象日時における取引価格を予測する第2の予測部とを備え、買入札量の実績値を含む情報と、需要量に影響を与える条件の実績値を含む情報とを用いて、第1の予測モデルとして、需要量に影響を与える条件に応じた買入札量を予測する予測モデルを学習する第1のモデル学習部と、買入札量の実績値と取引価格の実績値と需要量に影響を与える条件の実績値とを含む情報を用いて、第2の予測モデルとして、買入札量および需要量に影響を与える条件の予測値に応じた取引価格を予測する予測モデルを学習する第2のモデル学習部と、を備える。
本発明によれば、買入札量を予測する第1の予測モデルを用いて予測対象日時における買入札量を予測し、取引価格を予測する第2の予測モデルを用いて予測対象日時における買入札量に対応する取引価格を予測する。これにより、予測対象日時における取引状況が反映された取引価格の予測を行うことができる。
実施の形態1に係る取引価格予測装置の構成例を示すブロック図である。 実施の形態1に係る取引価格予測方法を示すフローチャートである。 実施の形態1における第1の予測モデルの例を示す図である。 実施の形態1における第2の予測モデルの例を示す図である。 実施の形態1における予測結果の提示態様の例を示す図である。 図6Aは、実施の形態1に係る取引価格予測装置の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Bは、実施の形態1に係る取引価格予測装置の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
実施の形態1.
実施の形態1に係る取引価格予測装置および取引価格予測方法は、取引市場で売り買いの入札が行われる様々な商品の取引価格の予測に適用することができる。以下、実施の形態1に係る取引価格予測装置および取引価格予測方法を用いて、JEPXのスポット市場の予測対象日時における電力の約定価格を予測する場合について説明する。図1は、実施の形態1に係る取引価格予測装置1の構成例を示すブロック図である。取引価格予測装置1は、第1の予測モデルを用いて予測対象日時における買入札量を予測し、第2の予測モデルを用いて予測対象日時における電力の約定価格を予測する。
第1の予測モデルは、第1の情報と第2の情報とを用いて買入札量を予測するよう学習された予測モデルである。第1の情報は、買入札量の実績値を含む取引情報であり、例えば、予測対象日時よりも過去に得られ、JEPXのスポット市場で公開された電力の買入札総量および約定価格である。第1の情報取得部2は、第1の情報を取得して第1の情報記憶部3に記憶する。第1の情報取得部2は、インターネットなどの通信回線を経由して第1の情報を取得する通信装置であってもよいし、ユーザによる第1の情報の手動入力を受け付ける入力装置であってもよい。
第2の情報は、入札に影響を与える条件の実績値を示す情報であり、例えば、予測対象日時よりも過去に得られた、気象情報、カレンダ情報、および発電機の運転情報といった電力の需要量に影響を与える情報である。気象情報には、気温、天気情報および日射量が含まれる。カレンダ情報は、電力需要量の増減が予想される日であり、例えば祝祭日および電力需要量の多い企業の営業日がある。発電機の運転情報は、例えば、定期点検、故障または事故によって発電機が停止しているか否かを示す情報である。また、電力系統同士を接続している連系線の分断の有無を第2の情報に含めてもよい。
第2の情報取得部4は、第2の情報を取得して第2の情報記憶部5に記憶する。第2の情報取得部4は、インターネットなどの通信回線を経由して第2の情報を取得する通信装置であってもよいし、ユーザによる第2の情報の手動入力を受け付ける入力装置であってもよい。また、第1の情報記憶部3および第2の情報記憶部5は、取引価格予測装置1による情報の読み出しが可能な記憶装置である。
第2の予測モデルは、買入札量と第2の情報とを用いて電力の約定価格(取引価格)を予測するよう学習された予測モデルである。第2の予測モデルに対して第3の情報を適用することで、予測対象日時における電力の約定価格が予測される。第3の情報は、予測対象日時における需要量に影響を与える条件の予測値であり、第2の情報と条件項目は共通しているが、予測対象日時における予測情報である点で異なる。例えば、第3の情報は、予測対象日時における、気象予報情報、カレンダ情報および発電機の運転計画情報である。第3の情報取得部6は、インターネットなどの通信回線を経由して第3の情報を取得する通信装置であってもよく、ユーザによる第3の情報の手動入力を受け付ける入力装置であってもよい。
取引価格予測装置1は、図1に示すように、第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12、第1の予測部13、第2の予測部14および提示部15を備えて構成される。第1のモデル学習部11は、第1の情報と第2の情報とを用いて第1の予測モデルを学習する。第1の予測モデルは、予測対象日時における電力の買入札量を予測するための予測モデルである。第1のモデル学習部11は、第1の情報記憶部3から読み出した第1の情報と第2の情報記憶部5から読み出した第2の情報とを用いて、第1の予測モデルを学習する。
第2のモデル学習部12は、第1の情報と第2の情報とを用いて、第2の予測モデルを学習する。第2の予測モデルは、予測対象日時における電力の約定価格を予測するための予測モデルである。第2のモデル学習部12は、第1の情報記憶部3から読み出した第1の情報と第2の情報記憶部5から読み出した第2の情報とを用いて、第2の予測モデルを学習する。
第1の予測部13は、第3の情報を第1の予測モデルに適用して、予測対象日時における電力の買入札量を予測する。例えば、第1の予測部13は、第1のモデル学習部11によって学習された第1の予測モデルに対して、第3の情報取得部6によって予測対象日時に取得された第3の情報を適用することで、予測対象日時における電力の買入札量を予測する。
第2の予測部14は、第1の予測部13によって予測された買入札量と第3の情報とを第2の予測モデルに適用することで、予測対象日時における電力の約定価格を予測する。例えば、第2の予測部14は、第2のモデル学習部12によって学習された第2の予測モデルに対して、第1の予測部13によって予測された電力の買入札量と第3の情報取得部6によって取得された第3の情報とを適用することで、予測対象日時における電力の約定価格を予測する。
提示部15は、第2の予測モデル、第1の予測部13によって予測された買入札量および第2の予測部14によって予測された約定価格を提示する。例えば、提示部15は、電力の約定価格の予測に用いられた第2の予測モデルとともに、電力の買入札量の予測値の確率分布と電力の約定価格の予測値の確率分布とを、図1に不図示の表示部に表示する。また、提示部15は、買入札量の予測に用いられた第3の情報および第1の予測モデルを表示部に表示してもよい。
なお、図1において、第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12および提示部15は、取引価格予測装置1とは別の外部装置に設けられてもよい。
すなわち、取引価格予測装置1は、第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12および提示部15を備えず、外部装置が備える第1のモデル学習部11および第2のモデル学習部12によって学習された予測モデルを受信して予測を行い、予測結果および予測モデルを外部装置に送信して提示部15に提示させてもよい。また、予測結果および予測モデルを表示させる表示部は、取引価格予測装置1が備えてもよいし、取引価格予測装置1とは別の外部装置に設けられてもよい。
次に動作について説明する。
図2は、実施の形態1に係る取引価格予測方法を示すフローチャートである。
まず、第1のモデル学習部11が、第1の予測モデルを学習する(ステップST1)。例えば、第1のモデル学習部11が、電力の買入札量と約定価格とを含む第1の情報を、この入札が行われた日時とともに、第1の情報記憶部3から取得する。この買入札量と約定価格が得られた日時は、電力の入札に影響を与える条件、例えば、電力需要量に影響を与える条件が、予測対象日時と類似していると期待される日時であることが望ましい。例えば、当該日時は、予測対象日時の至近1週間内の日時、あるいは予測対象日時の前年で同月の日時であってもよい。電力の需要量に影響を与える条件が類似すると期待される日時をカレンダ情報から特定してもよい。以降の説明では、第1の情報が得られた日時を“類似日時”と呼ぶ。
続いて、第1のモデル学習部11は、類似日時における第2の情報を、当該日時とともに、第2の情報記憶部5から取得する。例えば、類似日時における、気象情報、カレンダ情報および発電機の運転情報が、第2の情報として取得される。
第1のモデル学習部11は、第1の情報と第2の情報とを、それぞれの情報が得られた日時をキーとして紐付けし、これらの情報を用いて第1の予測モデルを学習する。第1の予測モデルは、電力の需要量に影響を与える条件を説明変数として電力の買入札量を予測するモデルである。例えば、第1の予測モデルは、下記式(1)に示すような簡易な予測モデルであってもよい。第1のモデル学習部11は、類似日時における第1の情報および第2の情報の実績値を用いて、下記式(1)に含まれるパラメータα1の値とパラメータα2の値を学習する。第1の予測モデルの学習方法として、最も簡易なものに線形回帰法があるが、サポートベクトル回帰、ベイズ回帰およびその他の学習方法を用いてもよい。
買入札量=α1+α2×気温 ・・・(1)
一方、本願の発明者は、電力取引市場における入札動向を検討した結果、電力取引市場では、電力の買入札量が需要量と高い相関を持つことを見出した。第1の予測モデルは、この知見に基づいた予測モデルである。また、第1のモデル学習部11は、予測対象日時における電力需要量に影響を与える条件の実績値と、上記条件と同じ項目の予測値である第3の情報との誤差を考慮して、電力の買入札量を確率分布として予測する第1の予測モデルを学習してもよい。
図3は、実施の形態1における第1の予測モデル30の例を示す図である。図3に示す第1の予測モデル30は、気温に対する電力の買入札量の変動を学習したモデルであり、予測対象日時における気温の予測値に応じた電力の買入札量を予測する。例えば、気温が上昇すると、冷房機器の稼働率が上昇して電力需要量が増加する。電力需要量が増加すると、入札者は確実に電力を確保したいと考えるので、買入札量も増加する。一方、冷房が不要な温度まで気温が低下すると、冷房機器の稼働率が下降するので、電力需要量が減少して、これに伴い電力の買入札量も減少する。
次に、第2のモデル学習部12が、第2の予測モデルを学習する(ステップST2)。例えば、第2のモデル学習部12が、電力の買入札量と約定価格との組みを、この入札が行われた日時とともに、第1の情報記憶部3から取得する。ここで、第2のモデル学習部12によって取得される第1の情報は、第1のモデル学習部11によって取得された第1の情報および第2の情報と同じ日時(類似日時)に得られた情報である。
続いて、第2のモデル学習部12は、類似日時における第2の情報を、当該日時とともに、第2の情報記憶部5から取得する。すなわち、第2のモデル学習部12によって取得された第2の情報は、第1のモデル学習部11によって取得された第1の情報および第2の情報と同じ日時に得られた情報である。
なお、電力取引市場において電力需要に影響を与える条件には、前述した気象情報などの他に、冷熱機器の稼働率があり、原油価格がある。ただし、原油価格は、一般的に冷熱機器の稼働率と比較して緩やかに変動する。このため、第2のモデル学習部12が、第2の情報として原油価格を取得する場合、原油価格は、必ずしも、第1のモデル学習部11によって取得された第2の情報と同じ日時に得られたものでなくてもよい。例えば、至近1年間に得られた原油価格であってもよい。すなわち、電力需要に影響を与える条件を示す情報のうち、変動が緩やか(例えば、一定期間内の変動量が閾値未満)な情報は、許容範囲内の変動であると予想される期間内に得られたものであれば、第1のモデル学習部11によって取得された第2の情報と同じ日時に得られたものでなくてもよい。
第2のモデル学習部12は、第1の情報として取得した電力の買入札量と約定価格と、第2の情報とを、それぞれの情報が得られた日時をキーとして紐付けし、これらの情報を用いて第2の予測モデルを学習する。第2の予測モデルは、電力の買入札量と第2の情報とを説明変数として、電力の約定価格を予測するモデルである。第2の予測モデルの学習方法は、例えば、電力の買入札量に対する約定価格の分布をヒストグラムで表して、買入札量と約定価格との関係を学習してもよい。また、買入札量に対する約定価格の分布を、確率密度推定法を用いて表して、買入札量と約定価格との関係を学習してもよい。第2の予測モデルの学習には、線形回帰法、サポートベクトル回帰、ベイズ回帰およびその他の学習方法を用いてもよい。
また、第2のモデル学習部12は、第2の予測モデルの学習に用いる情報を、第2の情報を用いて選別してもよい。例えば、第2のモデル学習部12は、第1の情報の中から、絞り込み用の第2の情報に対応する第1の情報を選別し、選別した第1の情報を、第2の予測モデルの学習に用いる。絞り込み用の第2の情報は、類似日時の第2の情報のうち、予測対象日時における条件に類似すると推定された情報であってもよい。例えば、第1の情報として取得された電力の買入札量と約定価格との組みのうち、絞り込み用の第2の情報で選別した組みが、前述したヒストグラムの算出に用いられる。
本願の発明者が、電力取引市場における電力の入札動向を検討した結果、電力取引市場において、電力の約定価格は、買入札量に対して不連続に階段状に変化し、同じ買入札量で複数の約定価格が設定されることがあるという知見が得られた。これは、ある買入札量に対して複数の約定価格が離散的に対応していることを意味する。第2の予測モデルは、電力の買入札量に対して複数の離散的な約定価格が相応の確率で対応することを表現可能な学習方法で学習される。このため、第2の予測モデルを表す関係式は複雑なものになることが予想される。ただし、第2の予測モデルを第1の予測モデルと同様な単純な関係式で近似した場合は、例えば、取引価格=α1+α2×買入札量、といった式で第2の予測モデルを表すことができる。この場合、第2のモデル学習部12は、第1の情報と第2の情報を用いて、パラメータα1の値とパラメータα2の値を学習する。
図4は、実施の形態1における第2の予測モデル40の例を示す図である。図4に示す第2の予測モデル40は、電力の買入札量に対して約定価格が不連続に階段状に変化する関係を示している。また、図4において矢印で示すように、同じ買入札量に対して複数の約定価格が予測されることがある。なお、第2のモデル学習部12は、予測対象日時における実際の条件と第3の情報との間の誤差、および第1の予測モデルによって予測された買入札量と予測対象日時における実際の買入札量との間の誤差を考慮して、電力の約定価格を確率分布として予測する第2の予測モデルを学習してもよい。
図2の説明に戻る。
第1の予測部13が、予測対象日時における電力の買入札量を予測する(ステップST3)。例えば、第1の予測部13は、第3の情報取得部6によって取得された予測対象日時における第3の情報を、第1のモデル学習部11によって学習された第1の予測モデルに適用することで、予測対象日時における電力の買入札量を予測する。また、第1の予測部13は、第1の予測モデルを用いて、予測対象日時における電力の買入札量の予測値の確率分布を併せて算出してもよい。
第2の予測部14が、予測対象日時における電力の約定価格を予測する(ステップST4)。例えば、第2の予測部14は、第3の情報取得部6から予測対象日時における第3の情報を取得し、第1の予測部13によって予測された電力の買入札量を取得して、これらの情報を第2の予測モデルに適用することで、予測対象日時における電力の約定価格を予測する。また、第2の予測部14は、第2の予測モデルを用いて、予測対象日時における電力の約定価格の予測値の確率分布を併せて算出してもよい。
提示部15が、予測モデルおよび予測結果を提示する(ステップST5)。例えば、提示部15は、電力の約定価格の予測を行った第2の予測モデル、第1の予測部13によって予測された予測対象日時における電力の買入札量および第2の予測部14によって予測された予測対象日時における電力の約定価格を、表示部に表示させる。また、提示部15は、電力の買入札量の予測に用いた第1の予測モデルを予測結果の買入札量と併せて表示部に表示させてもよい。
電力の約定価格は買入札量に対して離散的に変化するので、電力の約定価格を、平均値または分散値といった代表値で提示するのは困難である。そこで、提示部15が、第2の予測モデルと、電力の買入札量の確率分布と、電力の約定価格の確率分布との対応関係を可視化し、第2の予測モデルを用いて買入札量の確率分布から約定価格の確率分布が導出される過程を認識可能な態様で提示してもよい。
図5は、実施の形態1における予測結果の提示態様の例を示す図である。図5に示すように、提示部15が、第2の予測モデルを用いて算出された電力の約定価格の予測値40Aを、電力の買入札量と電力の約定価格との関係を示すグラフにプロットすることで、第2の予測モデルが可視化される。入札者は、図5に示すグラフを参照することで、電力の約定価格の予測値40Aが買入札量に対して離散的に変化していることを認識できる。
さらに、提示部15は、第1の予測部13によって予測された電力の買入札量の確率分布50、電力の買入札量の主要な分布領域を示す帯状部60、および第2の予測部14によって予測された電力の約定価格の確率分布70を、図5に示すグラフに設定している。これにより、図5に示すグラフが表示部に表示されたときに、電力の買入札量の確率分布50および電力の約定価格の確率分布70が可視化される。
入札者は、図5に示すグラフに設定された帯状部60を参照することで、帯状部60に含まれる約定価格の予測値40Aから、電力の約定価格の確率分布70が導出されることを把握できる。第2の予測モデルを用いて予測された約定価格の予測値40Aの分布密度を等高線または色の濃淡で表示してもよい。また、図3に示したような第1の予測モデルを、図5に示すグラフに設定してもよい。
このように、取引価格予測装置1では、電力の約定価格の予測に用いられた第2の予測モデル、電力の買入札量の予測値および電力の約定価格の予測値を可視化し、第2の予測モデルを用いて買入札量の確率分布から約定価格の確率分布が導出される過程を認識可能な態様で提示する。これにより、入札者は、JEPXのスポット市場のように入札動向が非公開の取引市場であっても、予測結果の取引価格が決定される取引状況を把握することができ、予測結果の妥当性を判断することができる。
なお、図2に示したステップST1からステップST5までの各処理は、一連の処理として実行してもよい。また、第1の予測部13または第2の予測部14が、事前に作成された第1の予測モデルまたは第2の予測モデルを呼び出して、それぞれの予測処理を非同期に実行してもよい。予測モデルの学習処理は、この学習に用いる情報の絞り込み条件の変更に応じて再帰的に実行してもよく、予測値の算出処理は、予測値の変更に応じて再帰的に実行してもよい。
また、前述したように、取引価格予測装置1が、第1の予測部13および第2の予測部14から構成される場合、取引価格予測装置1は、図2に示したフローチャートのうち、ステップST3の処理とステップST4の処理とを実行する。すなわち、実施の形態1に係る取引価格予測方法は、第1の予測部13が、第1の予測モデルを用いて予測対象日時における買入札量を予測するステップと、第2の予測部14が、第2の予測モデルを用いて、予測対象日時における取引価格を予測するステップを備える。
次に、取引価格予測装置1の機能を実現するハードウェア構成について説明する。
取引価格予測装置1における第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12、第1の予測部13、第2の予測部14および提示部15の機能は、処理回路によって実現される。すなわち、取引価格予測装置1は、図2に示したステップST1からステップST5の処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
図6Aは、取引価格予測装置1の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Bは、取引価格予測装置1の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Aおよび図6Bにおいて、第1のインタフェース100は、取引価格予測装置1と、第1の情報記憶部3および第2の情報記憶部5を実現する記憶装置との情報のやり取りを中継するインタフェースである。第2のインタフェース101は、取引価格予測装置1と、第3の情報取得部6を実現する通信装置または入力装置との情報のやり取りを中継するインタフェースである。第3のインタフェース102は、取引価格予測装置1から出力された予測結果を表示装置に出力するインタフェースである。
処理回路が、図6Aに示す専用のハードウェアの処理回路103である場合、処理回路103は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。取引価格予測装置1における第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12、第1の予測部13、第2の予測部14および提示部15の機能を別々の処理回路で実現してもよく、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
処理回路が、図6Bに示すプロセッサ104である場合、取引価格予測装置1における第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12、第1の予測部13、第2の予測部14および提示部15の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ105に記憶される。
プロセッサ104は、メモリ105に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、取引価格予測装置1における第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12、第1の予測部13、第2の予測部14および提示部15の機能を実現する。すなわち、取引価格予測装置1は、プロセッサ104によって実行されるときに、図2に示したフローチャートにおけるステップST1からステップST5までの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ105を備える。これらのプログラムは、取引価格予測装置1における第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12、第1の予測部13、第2の予測部14および提示部15の手順または方法をコンピュータに実行させる。メモリ105は、コンピュータを、取引価格予測装置1における第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12、第1の予測部13、第2の予測部14および提示部15として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
メモリ105は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically−EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
取引価格予測装置1における第1のモデル学習部11、第2のモデル学習部12、第1の予測部13、第2の予測部14および提示部15の機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、第1のモデル学習部11および第2のモデル学習部12は、専用のハードウェアである処理回路103で機能を実現し、第1の予測部13、第2の予測部14および提示部15は、プロセッサ104がメモリ105に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって機能を実現する。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせにより上記機能を実現することができる。
以上のように、実施の形態1に係る取引価格予測装置1では、第1の予測モデルおよび第2の予測モデルを用いることで、予測対象日時における電力取引状況が反映された電力の約定価格の予測が可能である。
また、実施の形態1に係る取引価格予測装置1は、約定価格を予測した第2の予測モデル、予測結果の買入札量および予測結果の約定価格を提示する提示部15を備えるので、入札者は、約定価格が決定される取引状況を把握でき、予測結果の妥当性を判断できる。
また、実施の形態1に係る取引価格予測装置1において、第1の予測部13は、予測対象日時に実績値を取得可能な第3の情報を第1の予測モデルに適用して、予測対象日時における買入札量を予測する。第2の予測部14は、予測対象日時に実績値を取得可能な第3の情報と買入札量の予測結果とを第2の予測モデルに適用して、予測対象日時における約定価格を予測する。これにより、予測モデルによる予測結果の妥当性を、予測対象日時における実績値を用いて客観的に検証することができる。
例えば、第3の情報を予測モデルに適用して得られた予測値と、予測対象日時における実績値、すなわち第3の情報と同じ条件項目の実績値を予測モデルに適用して得られた値との間の誤差が許容範囲を超える検証結果が得られた場合に、予測した取引価格が外れた原因が検討される。
実施の形態1に係る取引価格予測装置1において、取引価格の予測値が外れた原因は、例えば、まず、(1)の原因として、天気予報の外れによって需要予測以降の各予測が外れた場合が検討される。天気予報が当たっていた場合、(2)の原因として、第1の予測モデルに問題があるために買入札量の予測が外れた場合が検討される。第1の予測モデルによる買入札量の予測が当たっていた場合、(3)の原因として、第2の予測モデルに問題があるために約定価格の予測が外れた場合が検討される。第2の予測モデルによる約定価格の予測が適切だった場合、(4)の原因として、図4に示したように、買入札量に対して約定価格が不連続に階段状に変化することに起因して約定価格の誤差が大きくなったか否かが検討される。
従来の取引価格の予測は、一般的に気温などから直接的に取引価格を予測する予測モデルのみを用いるので、(1)に示した原因と、(2)から(4)に示した原因による複合的な状態とが検討されるだけであった。これに対して、実施の形態1に係る取引価格予測装置1では、買入札量を予測する第1の予測モデルと、第1の予測モデルの予測値を用いて取引価格を予測する第2の予測モデルとを用いるので、特に(3)および(4)に示した原因の検討を行うことが可能であり、より詳細な検討ができる。例えば、第1の予測モデルによって予測された買入札量の予測値に問題がないと判断された場合には、第2の予測モデルに入力した情報と第2の予測モデルから出力された情報とを検討して、取引価格の予測値が過去の同一条件における取引価格の実績値から乖離して分布していると判断される場合、(3)に示した原因で取引価格に大きな誤差を生じたと判断することができる。この場合、第2の予測モデルの学習に用いるデータの絞り込み条件を見直して再学習を行う。これにより、精度の高い取引価格の予測が可能となる。
さらに、実施の形態1に係る取引価格予測装置1において、第2の予測モデル、買入札量の予測値および約定価格の予測値を可視化して、第2の予測モデルを用いて電力の買入札量の確率分布から約定価格の確率分布が導出される過程を認識可能な態様で提示する。これにより、入札者は、約定価格の予測値が決定された過程を把握することができ、予測結果の妥当性を判断することができる。
なお、これまでの説明では、取引価格の予測対象の商品が電力である場合を示したが、実施の形態1に係る取引価格予測装置1は、取引市場において売り買いの入札が行われる商品であれば、電力以外の商品であっても適用可能である。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
本発明に係る取引価格予測装置は、予測対象日時における取引状況が反映され、かつ取引価格の予測結果の妥当性を判定することができるので、例えば、電力の入札動向が非公開の卸電力取引市場における電力の約定価格を予測するシステムに利用可能である。
1 取引価格予測装置、2 第1の情報取得部、3 第1の情報記憶部、4 第2の情報取得部、5 第2の情報記憶部、6 第3の情報取得部、11 第1のモデル学習部、12 第2のモデル学習部、13 第1の予測部、14 第2の予測部、15 提示部、30 第1の予測モデル、40 第2の予測モデル、40A 予測値、50,70 確率分布、60 帯状部、100 第1のインタフェース、101 第2のインタフェース、102 第3のインタフェース、103 処理回路、104 プロセッサ、105 メモリ。

Claims (9)

  1. 買入札量と需要量に影響を与える条件との相関に基づいて買入札量を予測する第1の予測モデルに対して、予測対象日時における需要量に影響を与える条件の予測値を適用することで、予測対象日時における買入札量を予測する第1の予測部と、
    取引価格を予測する第2の予測モデルに対して、前記第1の予測部によって予測された買入札量と、予測対象日時における需要量に影響を与える条件の予測値とを適用することで、予測対象日時における取引価格を予測する第2の予測部と、
    を備え、
    買入札量の実績値を含む情報と、需要量に影響を与える条件の実績値を含む情報とを用いて、前記第1の予測モデルとして、需要量に影響を与える条件に応じた買入札量を予測する予測モデルを学習する第1のモデル学習部と、
    買入札量の実績値と取引価格の実績値と需要量に影響を与える条件の実績値とを含む情報を用いて、前記第2の予測モデルとして、買入札量および需要量に影響を与える条件の予測値に応じた取引価格を予測する予測モデルを学習する第2のモデル学習部と、
    を備えたことを特徴とする取引価格予測装置。
  2. 前記第2の予測モデル、前記第1の予測部によって予測された買入札量および前記第2の予測部によって予測された取引価格を提示する提示部、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の取引価格予測装置。
  3. 前記第2の予測モデルは、取引価格を確率分布として予測すること
    を特徴とする請求項1記載の取引価格予測装置。
  4. 前記第2のモデル学習部は、前記第2の予測モデルの学習に用いる情報を、前記需要量に影響を与える条件の実績値を用いて選別すること
    を特徴とする請求項1記載の取引価格予測装置。
  5. 前記第2の予測部は、予測対象日時における取引価格の確率分布を算出し、
    前記提示部は、前記第2の予測部によって算出された取引価格の確率分布を提示すること
    を特徴とする請求項2記載の取引価格予測装置。
  6. 前記提示部は、取引価格の確率分布を、前記第2の予測モデルと併せて提示すること
    を特徴とする請求項5記載の取引価格予測装置。
  7. 前記第1の予測部は、予測対象日時における買入札量の確率分布を算出し、
    前記提示部は、前記第1の予測部によって算出された買入札量の確率分布を提示すること
    を特徴とする請求項6記載の取引価格予測装置。
  8. 前記提示部は、前記第2の予測モデルの算出に用いた、買入札量と取引価格との関係を、グラフにプロットすることで、前記第2の予測モデルを可視化するとともに、
    前記第1の予測部によって予測された買入札量の確率分布、および、前記第2の予測部によって予測された取引価格の確率分布を、前記第2の予測モデルを可視化したグラフに設定することで、
    前記第2の予測モデルと、買入札量の確率分布と、取引価格の確率分布との対応関係を可視化すること
    を特徴とする請求項7記載の取引価格予測装置。
  9. 第1のモデル学習部と、第2のモデル学習部と、第1の予測部と、第2の予測部とを備えた取引価格予測装置による取引価格予測方法であって、
    前記第1の予測部が、買入札量と需要量に影響を与える条件との相関に基づいて買入札量を予測する第1の予測モデルに対して、予測対象日時における需要量に影響を与える条件の予測値を適用することで、予測対象日時における買入札量を予測するステップと、
    前記第2の予測部が、取引価格を予測する第2の予測モデルに対して、前記第1の予測部によって予測された買入札量と、予測対象日時における需要量に影響を与える条件の予測値とを適用することで、予測対象日時における取引価格を予測するステップと、
    を備え、
    前記第1のモデル学習部が、買入札量の実績値を含む情報と、需要量に影響を与える条件の実績値を含む情報とを用いて、前記第1の予測モデルとして、需要量に影響を与える条件に応じた買入札量を予測する予測モデルを学習するステップと、
    前記第2のモデル学習部が、買入札量の実績値と取引価格の実績値と需要量に影響を与える条件の実績値とを含む情報を用いて、前記第2の予測モデルとして、買入札量および需要量に影響を与える条件の予測値に応じた取引価格を予測する予測モデルを学習するステップと、
    を備えたことを特徴とする取引価格予測方法。
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