JP7436697B2 - 電力市場取引支援プラットフォーム - Google Patents

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Description

シングルプライスのブラインドオークション方式の電力市場、炭素市場、容量市場における取引の支援装置および方法に関する。
現物電力の取引が自由化され、取引所取引が行われている。例えば日本においては、日本卸電力取引所(JEPX)が開設されており、一日前市場で卸電力の取引が行われる。この市場はブラインドオークション方式であり、市場取引が確定するゲートクローズのタイミング以降、約定価格と約定量、買い入札量、売り入札量などの結果が公開されている。一方、入札価格に対する入札量の関係が分かるような情報までは公開していない。
特許文献1では、JEPXが公開している情報と気象などの実績、曜日などの情報から、売り及び買いの約定率関数を生成し、これと総入札量を用いて入札価格に対する入札量の関係を推定する方法が示されている。
もう少し詳しく解説すると、過去の取引実績として開示されている約定量を、その時の売り入札量で規格化した売り約定率、ならびに買い入札量で規格化した買い約定率と、約定価格の関係を表す約定率関数を、開示された過去データのスプライン回帰で生成し、これが、入札率と入札価格の関係を表す入札率曲線を良く近似するとの仮説に基づいて、約定率関数を入札率関数とみなして、入札総量の実績値、ないし別途推定した入札総量を用いて約定率関数を入札関数に写像し、売りおよび買い入札関数の交点である約定価格の推定を行う方式を示している。
なお、入札率関数は、売り入札を表すものと、買い入札を表すものがあり、それぞれ供給率関数、需要率関数と呼んでいる。同様に入札関数は、売り買いそれぞれあり、売りの入札関数は供給関数、買いの入札関数は需要関数と呼んでいる。
供給率関数は、入札率Rsを入力、その入札率Rs以下の割合の入札量が、供給率関数の出力である入札価格Ps以上なら販売するという関係を示している。需要率関数は、入札率Rdを入力、その入札率Rd以下の割合の入札量が、需要率関数の出力である入札価格Pd以下なら購入するという関係を示している。
約定率関数は、月や曜日などのカレンダー情報や気象条件などもコントロールパラメータとして電力商品毎にスプライン回帰計算することが示されている。
特許文献2では、売買入札曲線の入札価格と入札量の関係を、パラメタライズされた連続で単調な関数で予め規定し、パラメータを与えて利用する例が示されているが、その関数を具体的に決定するパラメータである「入札価格の平均値」や「その分散」を市場の約定実績に基づいて決定する方法については記載されていない。
特許文献3では、自社の限界費用カーブと、他社について推定した限界費用カーブを合成して市場全体として供給曲線および需要曲線を推定することが示されている。
特開2016-033801号公報 特開2018-045615号公報 特開2009-245044号公報
自由化に伴い、特許文献3のように限界費用カーブを描ける多種で多数の電源や需要家を持つ市場参加者ばかりではなくなっている一方、発電設備の発電コストや売電契約価格などのマージナルな単価を基準に適切な利益を考慮して入札が行われるため、例えば発電サイドの場合、石炭火力か石油火力かガスタービンかであったり、超臨界か超超臨界かであったり、シンプルなガスタービンかコンバインドサイクルかであったりという、電源種別の違いに応じて、おおよその単価が推測できる。
一方、特許文献1では、約定率関数のスプライン回帰を電力商品毎に実施することやカレンダーや気象の要因を考慮した回帰を行うことが示されているが、連続性を仮定して滑らかにデータをつなぐスプライン回帰では、前述のような発電手段や契約に関する入札者の知識とは無関係な推測結果となる。
特許文献2のように予め関数形を決めてパラメータを適当に与える場合も同様である。また、需給曲線は入札の積み上げにより生成されるため、階段状の関数となるのに対して、スプライン補間では滑らかな補間を行うため、明確な階段がわからない。入札する市場参加者が多くなれば、同じ発電方式の電源でも全く同じ価格で入札するわけではないことから、滑らかな関数に近づいて行くことは期待できるが、価格帯に明確な区別がないため、前述のような取引参加者の知識と紐づけて考えることが難しいという課題がある。
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、取引参加者の発電コストや売電単価に関する知識に基づいて、需要曲線及び供給曲線の予測を与える技術を提供できる電力市場取引支援プラットフォームを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の電力市場取引支援プラットフォームは、日時及び/又は気象の過去の予報値を入力として、設定した複数の入札価格帯に対して入札量を算出するモデル(例えば、入札量推定・学習および予測手段111)を有し、モデルで算出された入札量について、売入札曲線については設定した価格帯の値が最低価格となるように、買入札曲線については設定した価格帯の値が最高価格になるように、入札量の算出値を加算して供給曲線データと需要曲線データの両方ないしいずれか一つを生成し、対応する過去の電力市場商品の約定価格における約定量と、供給曲線データの約定価格における入札量ないし需要曲線データの約定価格における入札量との差、およびそれぞれの総入札量と供給曲線データないし需要曲線データの最大値との差から、入札価格帯の入札量算出に使うモデルを修正する学習手段を有することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
本発明によれば、取引参加者の発電コストや売電単価に関する知識に基づいて、需要曲線及び供給曲線の予測与える技術を提供できる。
第1実施形態に係る入札支援装置の学習時のシステム構成の一例を示す図である。 第1実施形態に係る需要曲線構成手段並びに供給曲線構成手段の処理を示す図である。 第1実施形態に係る入札支援装置の学習時の処理の一例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る入札支援ソリューションの学習時の全体構成を示す図である。 第1実施形態に係る入札支援装置の予測時のシステム構成の一例を示す図である。 第1実施形態に係る入札支援装置の予測時の処理の一例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る入札支援ソリューションの予測時の全体構成を示す図である。 第2実施形態に係る入札支援システムの構成を示す図である。 第2実施形態に係る入札支援システムの入札運用時の構成を示す図である。 3つのクラスタについて需給曲線の予測を行った場合の画面例を示す図である。 第3実施形態に係る入札支援システムの構成を示す図である。 第3実施形態に係る入札支援システムの他の構成を示す図である。 入札量推定・学習および予測手段に用いるニューラルネットワークの構成定義の一例を示す図である。 第4実施形態に係る入札支援システムの構成を示す図である。 第4実施形態に係る入札支援システムにおける運用時の説明のための構成を示す図である。 入札量推定・学習および予測手段を需要曲線用と供給曲線用に別々の手段で実装する構成を示す図である。 図16に示す実装形態に係る入札支援ソリューションの一例を示す図である。 第1実施形態に係る入札ステップと誤差計算の関係を説明する図である。
本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
最初に本発明の特徴を説明すると、ユーザの経験に基づいて入力した各価格帯に関して、「各価格帯にどの程度の入札量があると想定すると、観測された多数の実績をうまく説明できるか」、「各価格帯に対する入札量は、気象条件に対してどのような感度をもつべきか」と云う点を学習し、その学習結果に基づく需給曲線の推定値を示すことで、推定の妥当性や、どの価格帯の推定量が感覚と合わないかと云った推定結果に対するユーザの解釈や判断が容易になる。また、特定の価格帯の推定結果の変動が約定量や約定価格にどの程度の影響があるかを判断しやすくなるという効果がある。
<<第1実施形態>>
図1は、第1実施形態に係る入札支援装置100の学習時のシステム構成の一例を示す図である。図2は、第1実施形態に係る需要曲線構成手段112並びに供給曲線構成手段113の処理を示す図である。
実施形態の説明では、図1において単純化のために装置という表現を使っているが、後述する計算および記憶リソース420(図4参照)上に仮想的に構成される装置であってもよい。この場合、ドッカーと呼ばれる仮想的な計算および記憶装置上の仮想的な計算機や記憶装置で構成さる仮想的な装置も含意する。なお、ドッカーは、コンテナ仮想化を用いてアプリケーションを開発・配置・実行するためのオープンソースソフトウェアあるいはオープンプラットフォームである。このように入札支援装置100は、必ずしも実際のハードウェアとしての装置に限定するものではない。図1は、主に学習処理に関わる構成を説明するものである。
入札支援装置100は、入札量推定・学習および予測手段111(モデル)、需要曲線構成手段112、供給曲線構成手段113、約定価格と約定量の計算手段114、誤差の計算と逆伝播手段115、表示データ生成手段117、表示装置119、入力手段120などを含んで構成される。なお、入札量推定・学習および予測手段111は、モデルに相当する。
入力手段120は、後述する需要曲線(推定需要曲線)および供給曲線(推定供給曲線)の入札量変化点の価格値を与える価格帯入力手段である。
入札量推定・学習および予測手段111は、気象予報の実績データと日時などを入力として、需要曲線および供給曲線に関する、入力手段120により入力された各価格帯の入札量を推定して学習し、また、その学習結果を基づいて入札量を予測する。
需要曲線構成手段112、供給曲線構成手段113は、入札量の推定結果および予測結果から需要曲線データおよび供給曲線データを構成する。
約定価格と約定量の計算手段114は、需要曲線構成手段112、供給曲線構成手段113が構成した需要曲線データと供給曲線データの交点を求めて約定価格と約定量を算出し、それぞれの入札量の軸方向の最大値を求めて総入札量を求める。
誤差の計算逆伝播手段115は、買い総入札量、売り総入札量および約定量と約定価格からなる市場データと、約定価格と約定量の計算手段114の結果とを比較して、推定誤差を計算し、入札量推定・学習および予測手段111へのフィードバック量を計算する。
表示データ生成手段117は、需要曲線データならびに供給曲線データと誤差の計算逆伝播手段115の出力から表示データを生成する。
図2は、需要曲線構成手段112と供給曲線構成手段113を中心とした学習処理に関わる部分の詳細を示したものである。学習段階での入力とするのは、過去の気象予報の実績やその日時で構成される学習入力101と、約定価格、約定量、売入札量と買入札量で構成される教示データ102である。
初めに学習入力101が、ランダムに初期化するなどされた入札量推定・学習および予測手段111に与えられ、出力131~135、141~145が計算される。図1で示した実施例では、入札量推定・学習および予測手段111をニューラルネットワークで構成する例を示している。この実施例の場合、ニューラルネットワークの出力層118のノード数は、入力手段120を通じて入力された需要曲線の価格帯121~125と供給曲線の価格帯151~155の数の合計(図の例では10)となるように構成する。得られた計算結果である出力131~135,141~145は、それぞれ需要曲線構成手段112と供給曲線構成手段113に入力される。
需要曲線構成手段112では、需要曲線の価格帯121~125に従って図2に詳細を示したように積み上げられ、その包絡線として需要曲線データ181を構成する。ここでは、入札量推定・学習および予測手段111の出力131は、需要曲線の価格帯121に対応するものとして、需要入札ステップ161を構成する。同様に出力132は需要曲線の価格帯122に対応するものとして、需要入札ステップ162を、出力133は需要曲線の価格帯123に対応するものとして、需要入札ステップ163を、出力134は需要曲線の価格帯124に対応するものとして、需要入札ステップ164を、出力135は需要曲線の価格帯125に対応するものとして、需要入札ステップ165を構成する。よって、需要曲線は需要入札ステップの積み上げにより生成されるため、階段状に構成される。
供給曲線構成手段113では、供給曲線の価格帯151~155に従って図2に詳細を示したように積み上げられ、その包絡線として供給曲線データ182を構成する。ここでは、入札量推定・学習および予測手段111の出力145は、供給曲線の価格帯151に対応するものとして、供給入札ステップ175を構成する。同様に出力144は供給曲線の価格帯152に対応するものとして、供給入札ステップ174を、出力143は供給曲線の価格帯153に対応するものとして、供給入札ステップ173を、出力142は供給曲線の価格帯154に対応するものとして、供給入札ステップ172を、出力141は供給曲線の価格帯155に対応するものとして、供給入札ステップ171を構成する。
すなわち、出力141から145は、それぞれ供給曲線用に入力手段120を通じて入力された供給曲線の価格帯151から155の値と組み合わされ、それぞれ供給入札ステップ171から175を構成する。よって、供給曲線は供給入札ステップの積み上げにより生成されるため、階段状に構成される。
なお、需要曲線の価格帯121~125は、それぞれ入力手段120で入力された値以下の、供給曲線の価格帯151~155は、入力された値以上の価格帯範囲を表すものと解釈する。
需要曲線データ181と供給曲線データ182は、約定価格と約定量の計算手段114の入力となり、需要曲線と供給曲線の交点として約定量と約定価格を計算する。また合わせて、需要曲線の最大入札量と供給曲線の最大入札量も取得し、誤差の計算と逆伝播手段115への入力183とする。
誤差の計算と逆伝播手段115では、教示データ102と約定価格と約定量の計算手段114の出力(誤差の計算と逆伝播手段115への入力183を用いて、入札量推定・学習および予測手段111の出力層118の各ノードへの誤差フィードバック量を計算し、これらのベクトル184を出力層118へフィードバックする。また、併せて学習段階での推定結果を表示するため、表示用の誤差185も計算し、表示データ生成手段117に出力する。
表示データ生成手段117は、需要曲線データ181と供給曲線データ182も合わせて入力として取得し、これを表示用バッファに格納して表示装置119を通じて、ユーザに提示する。
次に図3を用いて学習時の処理の流れを説明する。
図3は、第1実施形態に係る入札支援装置100の学習時の処理の一例を示すフローチャートである。初めに学習の入力となる気象実績データを、例えば、気象予報サービス430(図4参照)からネットワーク471(図4参照)を介して取得する(ステップS301)。次に市場実績データを、例えば、電力市場システム440(図4参照)からネットワーク473(図4参照)を介して取得する(ステップS302)。次にここで取得した複数の日時に関する気象実績と市場実績の中から、同一日時のデータのペアを構成する(ステップS303)。次にランダムにステップS303の結果を2つのグループに分け、一方を学習用のデータに、他方をテスト用のデータとして分離する(ステップS304)。なお、これらの比率は1:1とする必要はなく、例えば7:3などとしてもよい。
次に前述した需要曲線および供給曲線の価格帯設定値を、入力手段120などを通じて取得する(ステップS305)。
次に、ステップS301で取得した各時間断面における気象データの数を入力のノード数、ステップS305で取得した価格帯の数を出力ノード数とするニューラルネットワークを入札量推定・学習および予測手段111の実装形態として構成する(ステップS306)。なお、ニューラルネットワークの層数や応答関数の関数形式は、任意でよいが、例えば、気象データの入力層に近い層には、畳み込みニューラルネットワークを数層分利用するなどし、出力層に近い部分には、全結合ネットワークを数層積み重ねるようにすると云った構成方法が考えられる。
特に気象予報実績データや気象予報データとして、日本近辺の緯度経度に対応する格子点上の気温や湿度、気圧、風速・風向、日射量や降水量などといった複数のほぼ均等な位置間隔のデータを用いる場合には、入力に近い層で畳み込むことで、気象の空間的な分布の特徴に対する入札量の関係を学習することが期待できる。このようにすることで天気図のようなグラフィカルな情報と価格の関係に関する理解が得られる。
また、ステップS306の説明では、入力層の数を各時間断面の気象データの数としたが、連続する複数時間断面、例えば3時間とか6時間、あるいは18時間とか言った期間の気象データの数としてもよい。このようにすることで、気象の変化が入札量に及ぼす影響についても学習できる。
次に、学習用に分離したデータセットから、電力市場の1商品分に対応する期間の気象データ(1コマ分の気象データ)と日時を図1および図2で説明した入札支援装置100の入札量推定・学習および予測手段111に投入する(ステップS307)。
得られた結果(ニューラルネットワークの出力)を、需要曲線構成手段112および供給曲線構成手段113に入力し、設定された価格帯から、需要曲線と供給曲線データを生成する(ステップS308)。なお、需給とは、需要と供給とをいう。
誤差の計算と逆伝播手段115で、この結果と、入力した気象データに対応する電力市場商品の市場実績とから誤差(差)を計算し(ステップS309)、ニューラルネットワークの出力層118に逆伝播させる(ステップS310)。
ステップS311において、誤差の指標や学習回数などの基準に満たしているか否かを判定し、基準を満たしていない場合(ステップS311,No)、ステップS307に戻り、基準を満たしている場合(ステップS311,Yes)、一連の処理を終了する。すなわち、誤差の指標や学習回数などの基準に基づいて、ステップS307からステップS310までの処理を繰り返すことで、学習用に選んだ複数の実績をうまく説明できる各価格帯の入札量と気象条件の関係を学習する。
図18は、第1実施形態に係る入札ステップと誤差計算の関係を説明する図である。
以下、学習の実現方法に関して、図18と式(1)~式(7)を用いて説明する。なお、一般的なニューラルネットワークにおける誤差逆伝播のアルゴリズムについては説明を省略する。
初めに記号について簡単に説明する。
需要曲線については、i=1を入札価格帯の最大価格が最も大きい需要入札ステップ(165)の識別子とし、i=Nbを入札価格帯の最大値が最小の需要入札ステップ(161)の識別子とする。供給曲線については、i=1を入札価格帯の最小価格が最も小さい供給入札ステップ(175)の識別子とし、i=Nsを入札価格帯の最小値が最大の供給入札ステップ(171)の識別子とする。
また、dp(j)やdp(j)は、図18の1811と1812に示したようにステップS305(図3参照)で設定された需要曲線の価格帯121~125および供給曲線の価格帯151~155の値の、需要曲線および供給曲線それぞれの隣接する価格帯の最大値および最小値の差を表す。また、図18には需要入札量buyを―×―(1802)で、供給入札量supを―+―(1801)で示した。また約定量excbidsは〇(1803)の縦軸の値、約定価格excprcは、〇(1803)の横軸の値である。
Figure 0007436697000001
Figure 0007436697000002
式(1)のfs(i)は、j=1~iまでdp(j)を加算した値Σdp(j)、すなわち供給入札ステップ(供給入札ステップ171~175)が階段状に立ち上がる部分の価格(各供給入札ステップの価格帯の最小値)が、約定価格以下となる入札ステップ(供給入札ステップ172~175)については1となり、約定価格よりも大きくなる入札ステップ(供給入札ステップ171)については0となるような関数を意味する。
同様に、式(2)のfb(i)は、需要入札ステップ(需要入札ステップ161~165)の横軸である価格帯のそれぞれ最大値が約定価格より大きい需要入札ステップ(需要入札ステップ165~162)において1、小さい需要入札ステップ(需要入札ステップ161)で0となる関数である。また、供給曲線に関する入札量成分(出力141~145)に対応する値をfc8s(j)、需要曲線に関する入札量成分(出力131~135)に対応する値をfc8b(j)と表すと、約定量推定値esbidsと約定価格推定値espriceは、式(3-1)、式(3-2)のように計算することができる。
Figure 0007436697000003
式(3-1)は、約定量推定値esbidsを需要曲線が、約定価格推定値espriceを供給曲線が決定するケースを指し、そのようなケースを、条件付ける式をif ∃i,k以下で記述している。図形的にこの条件を説明すると、需要曲線の価格軸に水平な部分と供給曲線の価格軸に垂直な部分が交差する条件を示している。数式的にはi-1番目の需要入札ステップの価格帯の最大値とi番目の需要入札ステップの価格帯の最大値の間にk番目の供給入札ステップの価格帯の最小値があって、i番目の需要入札ステップまでの入札量が、k番目の供給入札ステップまでの入札量よりも小さく、k-1番目の供給入札ステップまでの入札量よりも大きくなるようなkとiがあるとき、そのような条件が成立すると判断すればよいことを示している。
式(3-2)は、約定量推定値esbidsを供給曲線が、約定価格推定値espriceを需要曲線が決定するケースを指し、if ∃i,k以下は、そのような条件が成立する状況を数式で記述したものである。図形的には、供給曲線の価格軸に水平な部分と供給曲線の価格軸に垂直な部分が交差する条件を示している。
実績値(約定量excbidsに対する推定約定量(約定量推定値esbidsの差は、供給入札ステップ(供給入札ステップ171~175)の内、約定価格より低い最小入札額(価格帯最小値)を持つステップ(供給入札ステップ172~175)の推定に問題があると考えることができるので、この領域を示すステップ、すなわち、式(1)の値が1となる部分に一様にフィードバックを掛けるのが最も単純な誤差補正方法となる。式(4)はこのような誤差補正ベクトルの計算式を表している。
Figure 0007436697000004
同様に需要入札ステップ(需要入札ステップ161~165)については、約定価格より価格帯の最大値が大きい需要入札ステップ(需要入札ステップ162~165)がフィードバックの対象となるので、式(5)のようにして誤差補正ベクトルを計算できる。
Figure 0007436697000005
一方、供給入札量supと供給入札ステップ(供給入札ステップ171~175)の入札量fc8s(j)の合計値との差は、すべての供給入札ステップの大きさに起因すると考えてもよいが、式(4)で示した約定量の誤差へのフィードバックとの干渉をなくす観点から、約定価格よりも高い最低入札額(価格帯の最小値)を持つ供給入札ステップ(供給入札ステップ171)にフィードバックすれば効率的になると考えられる。式(6)はこのような考え方に基づく誤差補正ベクトルの計算式を表している。
Figure 0007436697000006
同様に、需要入札量buyと需要入札ステップ(需要入札ステップ161~165)の入札量fc8b(j)の合計値との差は、式(7)に従って誤差補正ベクトルを計算することで、入札量推定・学習および予測手段111を構成するニューラルネットワークの出力層118の内、最大入札額(価格帯の最大値)が約定価格より低い需要入札ステップ(需要入札ステップ161)の計算を行うノードにだけフィードバックを行うことができる。
Figure 0007436697000007
なお、ここでは、フィードバックを行う領域を式(1)および式(2)で決定し、この値が1ないし0となる領域に対応する出力層ノードへは均等にフィードバックを掛けるようにしているが、例えば、各ステップに該当する発電設備の設備容量などに比例する重みに従ってフィードバック量を配分するようにしてもよい。
このようにすることで、需要曲線および供給曲線の各入札ステップの入札量成分の推定結果の内、約定実績(約定価格と約定量)が頻出する領域から離れた領域(需要入札ステップの高さをj=Nb~iについて加算した需要入札量Σfc8s(j)や供給入札ステップの高さをj=1~iについて加算した値Σfc8b(j)が、約定価格に比べて大幅に小さい入札ステップにおける推定結果についても、より精度が高いとの仮定の下で、推定結果を見ることができると期待される。
このような比較的専門的なユーザ知識を活用する以外にも、例えば次のようにしてユーザ知識の一般的な常識に近い知識を活用することもできる。例えば、日射量の予測値や単純に時刻などに基づいて、時間的に変化する理論上の太陽光発電能力などに基づいて低価格帯の重みを、日射量が多いときは大きくなるようにして、フィードバックのかけ方を調整するなどしてもよい。
図4は、第1実施形態に係る入札支援ソリューションの学習時の全体構成を示す図である。サーバないしクラウド上にある計算および記憶リソース420は、計算リソース421、学習結果を保存する学習モデルデータベース422、需要曲線および供給曲線の価格帯や、入札量推定・学習および予測手段111で用いるニューラルネットワークの層数や使用する応答関数(シグモイド関数やReLUなど)、畳み込み層の構成、過去の学習およびテストで用いた電力商品の識別情報(対応する市場約定結果と気象予報実績を一意に識別するために必要な情報)と学習済のニューラルネットワークの識別情報をユーザ毎に記憶するユーザプレファレンスデータベース423、市場の約定結果を保存する市場約定結果データベース424などで構成される。
図4では、気象予報データは気象予報サービス430からネットワーク471を介して取得するように記載しているが、気象予報サービス430との契約形態によっては、一旦取得したデータを、計算および記憶リソース420上の図中には非記載のデータベースにキャッシュしておくように構成してもよい。
逆に、本実施形態では市場約定結果データベース424を計算および記憶リソース420の内部に有し、ネットワーク473で接続された電力市場システム440のデータをキャッシュするように構成したが、ネットワーク473を通じて、必要な時に随時データを取得するように構成することもできる。また、気象予報の機能を計算および記憶リソース420上に実装するように構成してもよい。
ユーザ415は、ネットワーク472を介して計算および記憶リソース420に接続し、図中には非記載のログインおよび認証処理を行った後、自身のプレファレンスに基づいて過去に学習を指示してあった学習ジョブの学習結果を参照し確認したり、市場実績や過去気象予報データを用いた学習を行ったりすることができる。
予測については、図7を用いて改めて説明するが、気象予報データを学習済の入札支援装置100に入力し、未来の市場状況の予測や入札戦略立案に使用することもできる。この際、例えば、図示した表示画面410上に表示された需給曲線推定結果411を見たりしながら、価格帯確認部413や価格帯設定部412を用いて学習条件を変更することができる。
また、図13に示すようなテーブルを通じて、入札量推定・学習および予測手段111を実現するニューラルネットワークの構成を定義する。このケースは、1253地点の6種類のデータを入力とし、畳み込み層(Conv1、Conv2、Conv3、Conv4)とプーリング層(Pool1、Pool2、Pool3、Pool4)のセットを4つ通した後、全結合層(FC5,FC6、FC7、FC8)を4層し、入札量推定・学習および予測手段111(この表中ではDSCとして記載)に入力することを示している。
図5は、第1実施形態に係る入札支援装置500の予測時のシステム構成の一例を示す図である。すなわち、図5は、既に学習済みのニューラルネットワークで構成した学習機能のない入札支援装置500の構成例を示す。入札支援装置500は、入札量予測手段511、需要曲線構成手段512、供給曲線構成手段513、表示データ生成手段517、表示装置119などから構成される。なお、入札量予測手段511は、モデルに相当する。
気象予報データおよび対象日時からなる予測入力501を学習済の入札量予測手段511に入力し、出力層118から得られた結果の一部である出力131~135を価格帯が学習段階で固定された需要曲線構成手段512に、残りの出力141~145を、同じく学習段階で価格帯が固定された供給曲線構成手段513に入力して需要曲線データ181と供給曲線データ182を生成する。生成されたデータを予測時用の表示データ生成手段517に入力して表示用データを生成し、それを表示用バッファに格納して表示装置119を通じてユーザに提供する。
表示データの生成では、需給曲線以外に、需要曲線と供給曲線の交点である約定量や約定価格の推定値や、需要曲線および供給曲線の入札量の最大値である入札量も計算する。なお、図1に示した入札支援装置100とは異なり、ここでは学習を行わないため、学習に使用する価格帯の設定に関わる手段や誤差の計算、その逆伝播の手段は使用しない。また、表示の際も約定結果が分からないことから、それに関する入力は用いない。
なお、入札量推定・学習および予測手段111と入札量予測手段511は、手段を実現するアルゴリズムやプログラム、あるいはその計算機上のメモリーイメージとして、必ずしも異なるものである必要はない。ニューラルネットワークであれば、誤差を逆伝播してネットワークの結合係数の修整を行う処理(図3のステップS310)を実行するか否かという、運用上の違いだけの場合も含む。
図6は、第1実施形態に係る入札支援装置500の予測時の処理の一例を示すフローチャートである。図6は、図5で説明した学習済ニューラルネットワークで構成した入札支援装置500の処理の流れを示す。
初めに気象予報データを取得し(ステップS601)、入札量予測手段511を構成する学習済のニューラルネットワークに気象予報データを入力する(ステップS602)。得られた結果は学習段階で設定されていた価格帯に価格帯が固定された需要曲線構成手段512と供給曲線構成手段513に入力され、需給曲線(需要曲線と供給曲線)が構成され(ステップS603)。その出力から表示データ生成手段517での処理により、需要曲線と供給曲線を表示装置119上に表示する(ステップS604)。また、需要曲線と供給曲線の交点や需要曲線および供給曲線の入札量の最大値を取得し、これも表示装置119上に表示する(ステップS605)。
ユーザがリスク分析を行うかどうかの入力を受け取り(ステップS606)、リスク分析実施の場合(ステップS606,Yes)、更に需要曲線または供給曲線の入札ステップ(161~165、171~175(図2参照))のブロックの選択結果を取得する(ステップS607)。続いて、当該入札ステップに対する予測の変更量を取得し(ステップS608)、ステップS607で選択された入札ステップに関して、入札量をステップS608での設定に基づいて変更した上で、ステップS604以下の処理を繰り返す。ステップS606でリスク分析の終了を選択した場合は(ステップS606,No)、ユーザからの入札量および入札価格の入力を受け取ってこれを基に入札を行い(ステップS609)、約定結果が出たらそれを受け取って(ステップS610)、各発電量の制御指令値を生成し、発電設備に送信する(ステップS611)。
なお、ステップS609以降は、本実施形態の固有の機能ではないが、ソリューションとして、このような業務支援が想定される。また、ステップS609の入札量および入札価格の設定自体は、特許文献2の発明などの機能を利用してもよいが、ユーザが所有する設備の仕様や発電予測などの連携する機能ないしサービスの出力も踏まえ、本実施形態で提供した需要曲線および供給曲線と、そのリスク想定(ステップS604~ステップS608)に対する変化から、積極的に入札すべきか、どこまで利益を盛っても落札できそうか、蓄電装置などを所有していれば、それを積極的に放電してでも入札すべきか、むしろ蓄電に回して、入札を控えるかと云った判断を行った上で、数値を決定しデータを入力するといった業務処理も想定できる。
図7は、第1実施形態に係る入札支援ソリューションの予測時の全体構成を示す図である。図4の構成と同様、サーバないしクラウド上にある計算および記憶リソース720は、計算リソース721、学習結果を保存する学習モデルデータベース722、ユーザ毎のユーザプレファレンスデータベース723、市場の約定結果を保存する市場約定結果データベース724などで構成される。
図7では、気象予報データは気象予報サービス730からネットワーク771を介して取得するように記載しているが、気象予報サービス730との契約形態によっては、一旦取得したデータを、計算および記憶リソース720上の図中には非記載のデータベースにキャッシュしておくように構成してもよい。電力市場システム740のデータは、ネットワーク773を通じて、必要な時に随時データを取得することもできる。
また、入札業務の支援の観点から、発電機情報データベース725も有する構成とするのが好ましい。発電機情報データベース725には、ユーザ717の所有する発電設備750の情報に加え、日本の場合JEPXが公開する発電情報公開システム(HJKS)の情報や、発電設備を保有する各社のニュースリリースやウェブサイト760、ウィキペディアなどからネットワーク774を介して取集したユーザ717以外の所有する発電設備に関する情報を格納するようにしてもよい。ユーザ717は、気象予報データ712に対して需給曲線の予測を指令し、ネットワーク772を介して表示画面710上に予測結果711を得ることができる。なお、対象とする気象予報は対象時刻などの設定部713を通じて指定できる。
同時に、他社の発電設備も含む設備容量情報714を提供してもよい。例えば横軸に、石炭火力か石油火力かガスタービンかとか、超臨界か超超臨界かとか、シンプルなガスタービンかコンバインドサイクルかなどの電源の種別を電源種別毎の平均的な価格の昇順に左からならべ、縦軸には当該電源種別の設備容量を示すようにしてもよい。HJKSでは日々の発電設備の稼働状況などの情報が保守計画などの将来の予定も含めて提供されているので、こうした情報を踏まて、動的に各電源種別の容量を更新するようにしてもよい。また、発電機の発電単価は、稼動年数による経年劣化にもよっても変わるため、このような情報も踏まえて、電源種別に稼動年数も加味したものとしてもよい。あるはい、稼働開始時点での発電効率などが公開されており、そのような値を用いて、単価を推定するようにしてもよい。なお、日本の場合は、資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会の発電コストワーキンググループから発電設備の運転コストを評価するツールなどが提供されており、発電方式や効率を踏まえたコストの評価にはこのようなツールを利用できる。
また、設備容量情報714の一部を、例えば特定の発電所が停止したことを想定して、容量をその分削減するとか、一定の割合で増減させたときにどうなるかいった仮説に対応する値に、価格帯毎に修整できるような入力部718を設けてもよい。
日本の場合は、発電設備の全てが市場を通じて取引する形にはなっていないが、価格と設備容量で構成する供給曲線の最大供給量が予測された供給曲線の総入札量と一致するようにゲインを補正して、予測された供給曲線ないし需要曲線と重ねて表示するような機能を設けることで、予測の妥当性の判断やリスクのありそうな入札ステップの判断が容易になる。全量を市場で取引する場合には、このようにして提供される発電設備容量に基づく供給曲線は、再エネ部分の変動を考慮する必要はあるが、予測の不適切さや妥当性を把握する上で、信頼がおける参考情報となることが期待される。
このような支援情報を踏まえて決定した入札価格と入札量は、ネットワーク773を通じで市場へ入札され、ネットワーク773を通じて取得された約定結果に基づいて、ユーザの発電設備750へ、ネットワーク775を通じて指令される。
図7では、図4と異なり、主に入札時の予測に始まる運用を説明するためのソリューションの構成を示した。単純には、図4の構成と図7の構成を利用するユーザ415、715は、同一の特定ユーザ(個人と云うことではなく、同一組織の入札担当という役割という意味で)が想定される。しかし、例えば、学習に使用した価格帯などのユーザプロファイルの一部と対応する学習済ニューラルネットワークを、本実施形態に係る入札支援装置を実行する計算および記憶リソース720を利用する他のユーザに再貸出しするようなことも想定できる。このような場合、学習機能を提供しない形での利用も想定される。
図5から図7を、図1から図4との別に記載したのは、このような学習なしの運用も含意したものである。このような再貸出しは、学習および予測のために価格帯設定や各価格帯の入札量の推定・学習および予測の妥当性を判断し価格帯の設定を見直したり、式(1)~式(7)の説明の際に示したように、式(4)~式(7)で計算するフィードバック量に設備容量に応じたフィードバックや更に、独自に設定した重みを加味してフォードバックしたりするなどができるユーザ717が、その学習結果を他のユーザに貸し出すようなビジネス形態での利用が考えられる。
<<第2実施形態>>
図8は、第2実施形態に係る入札支援システム800の構成を示す図である。図8に示す基本構成は、図1から図7で説明した第1実施形態と同じであるが、電力市場の様態を考慮して複数のモデルを学習する点に特徴がある。入札支援システム800は、クラスタリング手段801、市場パターンクラスタ学習手段802、市場パターンクラスタ気象予報実績選択手段803、3つの入札支援装置811,812,813などを含んで構成されている。
図8では学習時について説明する。学習段階では、電力市場の様態を分類するため、例えば、スポット市場のエリア価格実績(クラスタリングデータ822)を、クラスタリング手段801に与え、北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力の各エリアの価格からなる価格ベクトルについてのクラスタリングを実施する。多次元実数ベクトルのクラスタリングでは、k-means法や階層クラスタリングなどの方法が知られている。いずれにしてもクラスタ数や、データ間の距離を定量的に決める測度、正規化の有無や方法等、ユーザによる設定が必要であり、これらは表示装置119と入力手段804を通じて対話的に、あるいは、繰り返し作業を通じて決定する。
次に、このようにクラスタとして分類した市場の様態と、気象予報実績データ821の関係を市場パターンクラスタ学習手段802により学習する。例えば20XX年YY月ZZ日のAA:00~AA:30の商品のエリア価格実績がクラスタAに属している(とした)場合、20XX年YY月ZZ日のAA:00~AA:30についての気象予報実績データ821を入力とし、教示データをAとするクラス分類問題としてニューラルネットワークや決定木などのアルゴリズムで関係性を学習することができる。
このような学習を完了したニューラルネットワークや決定木などを、気象予報データを市場パターン毎にクラスタリングする市場パターンクラスタ気象予報実績選択手段803に適用し、気象予報実績データ821を、対応すると予測されるクラスタに分類する。分類されたそれぞれ複数の気象予報実績データ831,832,833を入力として、図1で説明した入札支援装置(ここでは3つのクラスタがあると想定し、811、812、813の3つの入札支援装置)にて、当該市場パターンクラスタに対応する需給曲線と気象予報との関係を学習する。学習時の表示データ生成手段817も、基本的には図1の表示データ生成手段117と同様だが、複数の市場価格パターンクラスタの結果を入力し、表示データを生成する。
図9は、第2実施形態に係る入札支援システム900の入札運用時の構成を示す図である。図5で説明した第1実施形態の場合と同様、日時を含む気象予報データである予測入力501を入力とし、初めに、市場パターンクラスタ予測手段902で、当該気象予報の下で発生する市場パターンの推定を行う。この結果を受けて需給曲線予測手段選択手段903では、需給曲線予測に使用する入札支援装置100の選択を行い、気象予報データを選択された入札支援装置のみの入力とする。
市場パターンクラスタ予測手段902は、前記の図8の市場パターンクラスタ学習手段802の学習済の決定木やニューラルネットワークで構成される。需給曲線予測手段選択手段903は、図8の市場パターンクラスタ気象予報実績選択手段803と基本的には同じでよい。
図8の市場パターンクラスタ気象予報実績選択手段803では、クラスタリング手段801で抽出した市場パターンクラス数に応じて準備した入札支援装置(811、812、813)のどれをクラスタAに対応する気象予報実績に学習させるかは、一貫性さえあれば任意である。ただし、一つでもクラスタAに関する気象予報実績を学習させたら、それ以降は、クラスタA分類された気象予報実績データしか選択しない。一つの入札支援装置に、複数のクラスタに対応する気象予報実績を学習させないことに留意する。
需給曲線予測手段選択手段903では、初めから市場パターンクラスタ気象予報実績選択手段803で決定した市場パターンクラスタと入札支援装置の対応関係に従って入札支援装置(811,812、813)を選択する点が異なる。以降の需給曲線予測処理は図5と同様であるが、予測時の表示データ生成手段917では、どのクラスタとして予測を行ったかも示すことが望ましいことから、市場パターンの予測結果931も入力として受け取るようになっている。
なお、市場パターンクラスタ学習手段802および市場パターンクラスタ予測手段902として、決定木を利用した場合、ある気象予報値を与えた時、そのデータセットが決定木のどのリーフに該当するかを判定して、想定されるクラスタを決めることになる。しかし、通常、どのリーフも、100%クラスタAとかクラスBと云うことはないため、確率的にクラスタAが60%、クラスタCが20%、クラスタDが10%などと云った予測となる。ニューラルネットワークの場合にも、クラス分類問題では出力層にソフトマックス関数を使って一つのクラスタに決めるが、その入力段階では、クラスタAが60%、Bが5%などと云った決定木と似たような結果を持つ。そのため、複数のクラスタにそれぞれの確率で属していると考えて、複数の入札支援装置(811、812、813)を同時に実行するようにしてもよい。その場合、市場パターンクラスタ予測手段902から予測時の表示データ生成手段917への出力(予測結果931には、気象予報データから発生すると想定されるクラスタの識別情報とその発生確率の情報を与える。
図10は、3つのクラスタについて需給曲線の予測を行った場合の画面例を示す図である。クラスタA、D、Eの場合の需給曲線の推定結果1001、1002、1003とその時の確率の情報、並びにクラスタの識別情報を表示している様子(1011、1012、1013)を示している。
<<第3実施形態>>
図11は、第3実施形態に係る入札支援システムの構成を示す図であり、図12は、第3実施形態に係る入札支援システムの他の構成を示す図である。図11、図12は、入札情報が公開さる市場におけるシステム構成を示す。なお、第3の実施形態例では、予測の場合にフォーカスしたシステム構成や画面の記載は行わないが、これまでに示したのと同様に学習フェーズだけではなく、予測フェーズにも対応する。予測の場合は、教示データ1102はなく、入力も気象予報実績データである学習入力101から気象予報データである予測入力501(図5参照)に切り替わる。
図11に示す入札支援システムでは、日本の電力市場と異なり、市場のゲートクローズ後、一定期間を置いてから、入札情報が公開されるような市場を持つ地域への適用を狙った構成である。
教示データ1102として、売入札価格と売入札量、買入札価格と買入札量が使用できるので、それぞれの入札価格数を合計した数の出力層1118を持つニューラルネットワークで入札量学習・予測手段1111を構成する教示データ1102に含まれる複数の需要入札価格に対応する需要入札量予測値1131~1135、複数の供給入札価格に対応する供給入札量予測値1141~1145を用いて、需要曲線構成手段112および供給曲線構成手段113で需要曲線データ181と供給曲線データ182を生成し、表示データ生成手段1117と誤差の計算と逆伝播手段1115の入力とする。
一方、教示データ1102も同様に表示データ生成手段1117と誤差の計算と逆伝播手段1115に入力される。表示データ生成手段1117ではこれらの情報をもとに、比較可能な形で推定した需給曲線の表示用データと実績の需給曲線の表示用データを生成し、表示装置119を通じてユーザに学習経過ないし予測結果を提示する。誤差の計算と逆伝播手段1115では、需要曲線の入札量出力ノードと、供給曲線の入札量出力ノードに関して、各ノードが対応する価格帯に関して予測と教示データの差を計算して逆伝播すればよいので、式(1)~式(7)で示したような処理は不要となる。
このような実施形態を構成できる場合は、価格ないし価格帯毎の入札量に関する教示データがあるので、より高い精度での学習と予測が可能となる、
なお、本実施例のここまでの説明では、需要曲線および供給曲線の推定に対する価格帯121~125、151~155を利用せず、教示データ1102に含まれるすべての入札実績の入札価格情報を使う前提で説明したが、価格帯を設定し、実績の入札価格を設定した価格帯のレコードとして集約するようにしてもよい。
需要曲線の場合、実績入札価格より、dp(j)の加算値(式(1)のif文の右側の式の左辺の項)が価格帯の上限より小さい価格帯の中で上限値が最大の価格帯に、その実績を割り当てるなどすればよい。
供給曲線の場合は、dp(j)の加算値(式(1)のif文の右側の式の左辺の項)が価格帯の下限より大きい価格帯の中で下限値が最小の価格帯に、その実績を割り当てるなどすればよい。
また、このような方法とは別に、教示データ1102に含まれる供給入札および需要入札データの入札価格をそれぞれ横軸に、入札量ないし入札札数を縦軸にプロットしてヒストグラムをとるような処理を行い、入札札数ないし入札量が一定値を超える価格帯を抽出することで価格帯を決定してもよい。
図12は、入札量学習・予測手段1111の代わりに各価格帯に対する入札量の学習および予測を、別々の入札量学習・予測手段1211a~1211jで構成する実施例である。ここまでの実施形態では、単一のニューラルネットワークで構成する例を示してきたが、この実施形態では、例えばそれぞれをサポートベクター回帰や線形回帰などの手段で構成することができる。もちろんニューラルネットワークで回帰することもできる。各価格帯専用の学習を行うため、第1実施形態のような実現方式に比べて精度の高い予測が可能となる。なお、誤差の計算と逆伝播手段1215の処理自体は図11の実施例と同じであるが、逆伝播はそれぞれの入札量学習・予測手段1211a~1211jに別々に戻すように構成する必要がある(1284a~j)。
<<第4実施形態>>
図14は、第4実施形態に係る入札支援システム1400の構成を示す図である。図15は、第4実施形態に係る入札支援システム1500における運用時の説明のための構成を示す図である。図14および図15は、第1実施形態と並行して、約定価格と約定量、売り買い入札量の予測を行うように構成した実施例である。なお、入札支援システムは、学習時には符号1400を使用し、運用時には符号1500を使用している。
約定実績データ学習・予測手段1401は、気象予報や日時からなる学習入力に対して、約定実績データ予測結果1402を計算して出力する。誤差の計算と逆伝播手段1415では、教示データ102と約定実績データ予測結果1402の同じ項目同士の誤差1484を計算し、約定実績データ学習・予測手段1401に逆伝播する。
ここで、約定実績データ学習・予測手段1401としては、ニューラルネットワークを使うことができる。また、約定価格、約定量、売入札量、買入札量のそれぞれについて、サポートベクター回帰や線形回帰を行うようにしてもよい。
図15は、基本的には、図5で説明した第1実施形態と同様であるが、入札量予測手段511と並行して約定実績データ予測手段1501において、約定実績データ予測結果1502(約定量、約定価格、売入札量、買入札量の予測値)を出力する。表示データ生成手段1517も、基本的には図5で示した実施形態と同じであるが、約定実績データ予測結果1502も取得し、表示装置119上に需給曲線の推定結果と合わせて表示する(1503、1504、1505)。このようにすることで、需給曲線の予測精度やその変動の方向、変動の程度などについてのユーザ1515の判断を支援することができる。
なお、ここまでの実施形態では、学習の段階では、学習入力101として過去の気象予報データを利用するように記載してきたが、過去の気象の実績値を利用するようにしてもよい。気象予報実績データ(学習入力101)および気象予報データ(予測入力501)としては、ここまでに例示した日本近辺の複数の格子点上の気圧や気温、湿度、風速、風向、日射量、降水量と云った情報の利用について説明したが、例えば、日本の全体の中で代表的な地点の気圧や気温、湿度、風速、風向、日射量、降水量といった値を使う方法も考えられる。学習入力101には日時の情報を含むことを説明したが、週日か休日かといった日種の情報を加えたり、日種毎に、本発明で説明した入札支援装置(100など)を構成するようにしたりしてもよい。
また、価格帯(需要曲線の価格帯121~125、供給曲線の価格帯151~155)に関しては、ユーザが設定するとしたが、所定の入札価格範囲を所定区間に区分するような設定方法としてもよい。
<<変形例>>
図16は、第1実施形態と基本的には同一であるが、入札量推定・学習および予測手段を需要曲線用と供給曲線用に別々の手段で実装する実施例である。式(1)~式(7)の説明では約定量の推定値を、推定した需要曲線データと推定した供給曲線データの交点として求めたが、それぞれの約定価格における推定入札量(式(1)および式(2)で、fs(i)およびfb(i)が1となる入札ステップの推定入札量の合計値)をesbidsとして用いて、図18の領域1821に記載したように誤差を計算してもよい。供給曲線についても同様に、図18の領域1822のようにすればよい。
なお、需要入札量buyとその推定値の誤差、並びに供給入札量supとその推定値の誤差は、領域1821および領域1822に記載の通りであり、これについては、需給曲線の交点を求める前述の方式においても同様である。このようにすれば、誤差の計算やその逆伝播に関しては、必ずしも需給曲線の交点としての約定量の推定値を必要としない。
このため、需要曲線データ1683bがあれば、需要曲線用の入札量推定・学習および予測手段1611bへの逆伝播1684bを計算することが可能であり、供給曲線データ1683aがあれば、供給曲線用の入札量推定・学習および予測手段1684aを計算することができる特徴を活用する形態である。このような構成とすることで、需要曲線のみ、あるいは供給曲線のみの推定と云った利用も可能となる。なお、図1で説明した需要曲線と供給曲線を両方求める場合でも、誤差の計算および逆伝播に関して、ここで説明した方法を用いてもよい。
図17は、図16に示す実装形態に係る入札支援ソリューションの一例を示す図である。図17は、基本的に図4と同じであるが、ユーザとして1715aと1715bの2者を示した。ユーザ1715aは、供給曲線の予測に本発明を基にしたサービスを利用し、ユーザ1715bは、需要曲線の予測に本発明を基にしたサービスを利用する想定である。ユーザ1715aは、入力手段1720a、ネットワーク472を介して計算および記憶リソース420に接続し、ユーザ1715bは、入力手段1720b、ネットワーク1772を介して計算および記憶リソース420に接続する。
需要曲線の価格帯121~125の設定や誤差の逆伝播に設備容量などに基づく重みを課するなどの行為は、利用者の知識によるものであるが、需要曲線と供給曲線の両者に同等の知識がある利用者ばかりではない。
本実施形態によれば、このようなどちらか一方についての知識がメインとなる利用者でも、本実施形態に基づくサービスであれば、利用が可能となる。また、例えば需要側に偏った知識を有するユーザが学習させたモデルを需要曲線予測サービスとして提供し、そこで提供される学習済の需要曲線予測モデルを供給側の知識を有するユーザが利用し、自身の知識でモデル化し予測した供給曲線と組合せて利用すると云った使い方も可能となる。
供給側に偏った知識を有するユーザが学習させたモデルを供給曲線予測サービスとして提供し、そこで提供される学習済の供給曲線予測モデルを、需要側の知識を有する利用者に提供するといった逆の使い方も可能となるし、モデルを学習させるほどの知識がないユーザが、モデルを学習させる能力のあるユーザが提供する需要および供給のそれぞれの予測モデルを利用すると云った使い方も可能となる。
以上説明した本実施形態に係る電力市場取引支援プラットフォームは、
(1)日時及び/又は気象の過去の予報値を入力として、設定した複数の入札価格帯に対して入札量を算出するモデルを有し、
(2)モデルで算出された入札量について、売入札曲線については設定した価格帯の値が最低価格となるように、買入札曲線については設定した価格帯の値が最高価格になるように、入札量の算出値を加算して供給曲線データと需要曲線データの両方ないしいずれか一つを生成し、
(3)対応する過去の電力市場商品の約定価格における約定量と、供給曲線データの約定価格における入札量ないし需要曲線データの約定価格における入札量との差、およびそれぞれの総入札量と供給曲線データないし需要曲線データの最大値との差から、
(4)入札価格帯の入札量算出に使うモデルを修正する、
学習手段を有する。
前記(1)~(4)と、図1との対応関係は、(1)は、入札量推定・学習および予測手段111に対応し、(2)は、需要曲線構成手段112、供給曲線構成手段113に対応し、(3)は誤差の計算と逆伝播手段115に対応し、(4)は、ベクトル184を出力層118へフィードバックすることに対応する。すなわち、本実施形態において、学習手段とは、入札量推定・学習および予測手段111、要曲線構成手段112、供給曲線構成手段113、誤差の計算と逆伝播手段115を含めたものである。
本実施形態によれば、ユーザの経験に基づいて入力した各価格帯に関して、「各価格帯にどの程度の入札量があると想定すると、観測された多数の実績をうまく説明できるか」、「各価格帯に対する入札量は、気象条件に対してどのような感度をもつべきか」と云う点を学習し、その学習結果に基づく需給曲線の推定値を示すことで、推定の妥当性や、どの価格帯の推定量が感覚と合わないかと云った推定結果に対するユーザの解釈や判断が容易になる。また、特定の価格帯の推定結果の変動が約定量や約定価格にどの程度の影響があるかを判断しやすくなるという効果がある。
また、第3実施形態に係る電力市場取引支援プラットフォームは、日時及び/又は気象の過去の予報値を入力として、設定した複数の入札価格帯に対して入札量を算出するモデルを有し、モデルで算出された入札量について、売入札曲線については設定した価格帯の値が最低価格となるように、買入札曲線については設定した価格帯の値が最高価格になるように、入札量の算出値を加算して供給曲線データと需要曲線データの両方ないしいずれか一つを生成し、対応する過去の電力市場商品の各価格帯の入札量の合計との誤差から、入札価格帯の入札量算出に使うモデルを修正する学習手段を有すること(図11、図12参照)が特徴である。市場のゲートクローズ後、一定期間を置いてから、入札情報が公開されるような市場において、対応する過去の電力市場商品の各価格帯の入札量の合計との差が適切に把握できるので、供給曲線データと需要曲線データの推定値が向上する。
また、電力市場取引支援プラットフォームは、ゲートクローズ前の電力市場商品の受渡時刻における気象の予報値を、学習手段の学習結果に入力することで、受渡時刻における各入札価格帯における入札量の予測を行う手段を有すること(例えば、図5参照)を特徴とする。
また、電力市場取引支援プラットフォームは、日時及び/又は気象の過去の予報値の代わりに、過去の実績値と設定した複数の入札価格帯に対する入札量の関係を、予報値に対応する過去の電力市場商品の約定実績を用いることを特徴とする。
また、電力市場取引支援プラットフォームは、入札価格帯を、入力手段20から、個々に利用者が設定するか、価格範囲と区間数の指定で利用者が設定するか、電力市場商品の入札実績から設定するかのいずれかで設定されることを特徴とする。すなわち、図1において、価格帯(需要曲線の価格帯121~125、供給曲線の価格帯151~155)に関しては、ユーザが設定するとしたが、所定の入札価格範囲を所定区間に区分するような設定方法、電力市場商品の入札実績から設定する設定方法としてもよい。
また、電力市場取引支援プラットフォームであって、モデルは、気象庁の観測点の複数の特定の地点、ないし、緯度経度上のメッシュの格子点上の地点の、気温、湿度、気圧、風速、風向、降水量、日射量の内の少なくとも一つ以上(例えば、図7の気象予報データ712)を学習および予測の入力とすることを特徴とする。
また、第2実施形態に係る電力市場取引支援プラットフォームであって、市場の状態を、エリア価格を用いて有限個に分類する分類手段(例えば、クラスタリング手段801)と、有限個の市場状態毎に、過去の対応する時刻の気象予報値ないし実績値を入力として、気象予報値ないし実績値と入札価格帯の入札量との関係を学習する有限個の第1の学習手段(例えば、入札支援装置811,812,813)と、過去の気象予報値と日時と市場の分断状態の関係を学習する第2の学習手段(例えば、市場パターンクラスタ学習手段802)と、気象の予報値から第2の学習手段の学習結果を用いて、予報値に対応する市場状態を1つないし複数予測する第1の予測手段(例えば、市場パターンクラスタ気象予報実績選択手段803)と、を有し、第1の予測手段の予測結果に対応する一つないし複数の市場状態について、気象予報値および日時と入札価格帯の入札量の関係を学習した第1の学習手段の学習結果の一つないし複数を用いて、気象の予報値から需要曲線の各価格帯の入札量と供給曲線の各価格帯の入札量の推定を行うことを特徴とする。
また、電力市場取引支援プラットフォームは、気象の予報値から推定した需要曲線の各価格帯の入札量と供給曲線の各価格帯の入札量とから、クラウドサービスに接続するユーザ環境の表示手段(例えば、図7の表示画面710)に、需要曲線と供給曲線の推定結果を表示することを特徴とする。
また、電力市場取引支援プラットフォームは、過去の気象予報値ないし気象実績と過去の電力市場商品の約定実績との関係を学習する第3の学習手段(例えば、約定実績データ学習・予測手段1401)を有し、気象予報値を第3の学習手段の学習結果への入力として得た電力市場商品の約定実績の予測を行い、該予測結果をユーザ環境の表示手段に需要曲線と供給曲線の推定結果と合わせて表示すること(例えば、図15の表示画面参照)を特徴とする。
100,500 入札支援装置
101 学習入力
102 教示データ
111 入札量推定・学習および予測手段(モデル、学習手段)
112 需要曲線構成手段(学習手段)
113 供給曲線構成手段(学習手段)
114 約定価格と約定量の計算手段
115 誤差の計算と逆伝播手段(学習手段)
117,517 表示データ生成手段
118 出力層
119 表示装置
120 入力手段
121~125 需要曲線の価格帯
131~135,141~145 出力
151~155 供給曲線の価格帯
161~165 需要入札ステップ
171~175 供給入札ステップ
410,710 表示画面(表示手段)
411 需給曲線推定結果
412 価格帯設定部
413 価格帯確認部
415 ユーザ
420,720 記憶リソース
421,721 計算リソース
422,722 学習モデルデータベース
423,723 ユーザプレファレンスデータベース
424,724 市場約定結果データベース
430,730 気象予報サービス
440,740 電力市場システム
501 予測入力
511 入札量予測手段(入札量の予測を行う手段)
512 需要曲線構成手段
513 供給曲線構成手段
710 表示画面(ユーザ環境の表示手段)
711 予測結果
712 気象予報データ
713 設定部
714 設備容量情報
715 ユーザ
718 入力部
725 発電機情報データベース
750 発電設備
760 ウェブサイト
800,900 入札支援システム
801 クラスタリング手段(分類手段)
802 市場パターンクラスタ学習手段(第2の学習手段)
803 市場パターンクラスタ気象予報実績選択手段(第1の予測手段)
804 入力手段
811,812,813 入札支援装置(第1の学習手段)
821 気象予報実績データ
822 クラスタリングデータ
903 需給曲線予測手段選択手段
1400,1500 入札支援システム
1401 約定実績データ学習・予測手段(第3の学習手段)
1402,1502 約定実績データ予測結果
1484 誤差
1415 誤差の計算と逆伝播手段
1501 約定実績データ予測手段
1515 ユーザ

Claims (9)

  1. 日時及び/又は気象の過去の予報値を入力として、設定した複数の入札価格帯に対して入札量を算出するモデルを有し、
    前記モデルで算出された入札量について、売入札曲線については設定した価格帯の値が最低価格となるように、買入札曲線については設定した価格帯の値が最高価格になるように、前記入札量の算出値を加算して供給曲線データと需要曲線データの両方ないしいずれか一つを生成し、対応する過去の電力市場商品の約定価格における約定量と、前記供給曲線データの約定価格における入札量ないし前記需要曲線データの約定価格における入札量との差、およびそれぞれの総入札量と前記供給曲線データないし需要曲線データの最大値との差から、入札価格帯の入札量算出に使う前記モデルを修正する学習手段を有する
    ことを特徴とする電力市場取引支援プラットフォーム。
  2. 日時及び/又は気象の過去の予報値を入力として、設定した複数の入札価格帯に対して入札量を算出するモデルを有し、
    前記モデルで算出された入札量について、売入札曲線については設定した価格帯の値が最低価格となるように、買入札曲線については設定した価格帯の値が最高価格になるように、前記入札量の算出値を加算して供給曲線データと需要曲線データの両方ないしいずれか一つを生成し、対応する過去の電力市場商品の各価格帯の入札量の合計との差から、入札価格帯の入札量算出に使うモデルを修正する学習手段を有する
    ことを特徴とする電力市場取引支援プラットフォーム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電力市場取引支援プラットフォームであって、
    ゲートクローズ前の電力市場商品の受渡時刻における気象の予報値を、前記学習手段の学習結果に入力することで、前記受渡時刻における各入札価格帯における入札量の予測を行う手段を有する
    ことを特徴とする電力市場取引支援プラットフォーム。
  4. 請求項3に記載の電力市場取引支援プラットフォームであって、
    日時及び/又は気象の過去の予報値の代わりに、過去の実績値と設定した複数の入札価格帯に対する入札量の関係を、予報値に対応する過去の電力市場商品の約定実績を用いる
    ことを特徴とする電力市場取引支援プラットフォーム。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の電力市場取引支援プラットフォームであって、
    前記入札価格帯を、入力手段から、個々に利用者が設定するか、価格範囲と区間数の指定で利用者が設定するか、電力市場商品の入札実績から設定するかのいずれかで設定される
    ことを特徴とする電力市場取引支援プラットフォーム。
  6. 請求項3から請求項5のいずれか1項に電力市場取引支援プラットフォームであって、
    前記モデルは、気象庁の観測点の複数の特定の地点、ないし、緯度経度上のメッシュの格子点上の地点の、気温、湿度、気圧、風速、風向、降水量、日射量の内の少なくとも一つ以上を学習および予測の入力とする
    ことを特徴とする電力市場取引支援プラットフォーム。
  7. 請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の電力市場取引支援プラットフォームであって、
    市場の状態を、エリア価格を用いて有限個に分類する分類手段と、
    前記有限個の市場状態毎に、過去の対応する時刻の気象予報値ないし実績値を入力として、気象予報値ないし実績値と入札価格帯の入札量との関係を学習する有限個の第1の学習手段と、
    過去の気象予報値と日時と市場の分断状態の関係を学習する第2の学習手段と、
    気象の予報値から第2の学習手段の学習結果を用いて、予報値に対応する市場状態を1つないし複数予測する第1の予測手段と、を有し、
    前記第1の予測手段の予測結果に対応する一つないし複数の市場状態について、気象予報値および日時と入札価格帯の入札量の関係を学習した前記第1の学習手段の学習結果の一つないし複数を用いて、気象の予報値から需要曲線の各価格帯の入札量と供給曲線の各価格帯の入札量の推定を行う
    ことを特徴とする電力市場取引支援プラットフォーム。
  8. 請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の電力市場取引支援プラットフォームであって、
    気象の予報値から推定した需要曲線の各価格帯の入札量と供給曲線の各価格帯の入札量とから、クラウドサービスに接続するユーザ環境の表示手段に、需要曲線と供給曲線の推定結果を表示する
    ことを特徴とする電力市場取引支援プラットフォーム。
  9. 請求項8に記載の電力市場取引支援プラットフォームであって、
    過去の気象予報値ないし気象実績と過去の電力市場商品の約定実績との関係を学習する第3の学習手段を有し、
    気象予報値を第3の学習手段の学習結果への入力として得た電力市場商品の約定実績の予測を行い、該予測結果をユーザ環境の表示手段に需要曲線と供給曲線の推定結果と合わせて表示する
    ことを特徴とする電力市場取引支援プラットフォーム。
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