JP7476418B1 - 電力市場価格予測装置、電力市場価格予測方法及びプログラム - Google Patents

電力市場価格予測装置、電力市場価格予測方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】予測対象日におけるJEPXの電力スポット市場価格を高い精度で予測する。【解決手段】交点電源種特定及び交点容量算出部32は、比較参照日の各コマの電源種毎の電力供給量の実績値と系統需要の実績値とを用いて比較参照日の電力スポット市場価格の実績値毎に交点電源種を特定し交点容量を算出する。MOC作成部34は、電力供給量予測部33により予測された予測対象日の電源種毎の電力供給量の予測値を用いたグラフ上に、特定された交点電源種と算出された交点容量に基づいて、比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値をそれぞれプロットすることにより予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する。価格予測部36は、電力需要量予測部35により予測された予想対象日の電力需要量と、作成されたメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する。【選択図】図6

Description

本発明は、電力市場価格予測装置、電力市場価格予測方法及びプログラムに関する。
電力小売自由化に伴い様々な事業者が小売電気事業者や発電事業者として電力取引市場に参入してきている。そして、これらの小売電気事業者や発電事業者間は、日本卸電力取引所(JEPX:Japan Electric Power Exchange)により運営されている電力スポット市場(一日前市場)において、電力の取引を行っている。この電力スポット市場では、1日を30分単位に区切った48コマ毎に電力の取引が行われる。そして、電力スポット市場では、ブラインド・シングルプライスオークションと呼ばれる約定方式により、約定価格及び約定量が決定されている。そして、この約定価格が各コマにおける電力スポット市場価格となり、電力の取引が実行される。
発電事業者は、電力スポット市場価格を予測することにより最適な発電計画をたてることができる。また、発電事業者や小売電気事業者は、電力スポット市場価格を予測することにより経済最適な入札行動を取ることができる。
そのため、電力スポット市場価格を予測するための様々な方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照。)。
特許文献1には、複数の火力発電所のそれぞれの発電容量と発電コストとの供給スタック予測モデルを作成し、過去の最大電力需要データと最高気温予測値データとから最大電力需要曲線を作成し、過去の実績データから予測日の原子力発電等の出力値を算出し、最大電力需要曲線と該予測日の最高気温値との交点から、該予測日の最大電力需要値を算出し、最大電力需要値から原子力発電等の出力値を減じて予測日の最大火力需要値を算出し、最大火力需要値と供給スタック予測モデルとの交点から、予測日の電力市場価格を予測する電力市場価格予測方法が開示されている。
また、特許文献2には、将来の予測対象日における再生可能エネルギーによって発電される電力の推定供給量を取得する取得部と、推定供給量に基づいて、予測対象日における電力市場価格を予測する予測部と、を備える電力市場価格予測方法が開示されている。
特開2010-224832号公報 特開2019-096164号公報
上述したような、特許文献1又は特許文献2に開示されているような電力市場価格を予測する従来の予測方法では、予測対象日の電力需要量と電力供給量との関係から予測対象日における電力市場価格を予測している。
しかし、電力需要量が同じ値であっても再生可能エネルギーの発電量やその他の電源種の電源の発電可能量によっても電力スポット市場価格は変動するため、単に予測対象日の電力需要量と電力供給量との関係から予測対象日における電力スポット市場価格を予測したのでは高い精度での予測を行うことはできない。
本発明の目的は、予測対象日における日本卸電力取引所(JEPX)の電力スポット市場価格を高い精度で予測することが可能な電力市場価格予測装置、電力市場価格予測方法及びプログラムを提供することである。
本発明の第1態様の電力市場価格予測装置は、電力スポット市場価格が既知である予め設定された過去の期間内の複数の日を比較参照日として、当該比較参照日の各コマの電源種毎の電力供給量の実績値と系統需要の実績値とを用いて、当該比較参照日の電力スポット市場価格の実績値毎に、当該電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備が属する電源種である交点電源種を特定し、特定された交点電源種に含まれる発電設備を限界費用が低い順に並べた際に、最も限界費用が低い発電設備から前記電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備までの発電量の累積値である交点容量を算出する交点電源種特定及び交点容量算出部と、
予測対象日における電源種毎の電力供給量を予測する供給量予測部と、
前記供給量予測部により予測された前記予測対象日の電源種毎の電力供給量の予測値を用いたグラフ上に、前記交点電源種特定及び交点容量算出部により特定された交点電源種と算出された交点容量に基づいて、前記比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値をそれぞれプロットすることにより前記予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する作成部と、
前記予測対象日における予測対象コマの電力需要量をそれぞれ予測する需要量予測部と、
前記需要量予測部により予測された電力需要量と、前記作成部により作成されたメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する価格予測部と、
を備えている。
本発明の第2態様の電力市場価格予測装置は、第1態様の電力市場価格予測装置において、前記作成部は、予測精度が良くなる任意の時間区分で異なるメリットオーダーカーブを作成する。
本発明の第3態様の電力市場価格予測装置は、第1態様の電力市場価格予測装置において、前記作成部は、前記比較参照日が属する月と前記予測対象日が属する月とが異なる場合には、当該比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値に対して燃料価格補正を行ってからプロットすることによりメリットオーダーカーブを作成する。
本発明の第4態様の電力市場価格予測装置は、第1態様の電力市場価格予測装置において、前記価格予測部は、メリットオーダーカーブ上において、予測された電力需要量との間の差が予め設定された電力容量以下のプロットが複数存在する場合には、前記複数のプロットの電力スポット市場価格の実績値に対して、予測対象日との日数差が少ないほど重み付け係数が大きくなるような重みづけを行って加重平均を算出することにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格を予測する。
本発明の第5態様の電力市場価格予測装置は、第1態様の電力市場価格予測装置において、前記価格予測部は、メリットオーダーカーブ上において、予測された電力需要量との間の差が予め設定された電力容量以下のプロットが複数存在しない場合には、前記メリットオーダーカーブを構成する複数のプロットに対してクラスタ分類を行い、分類された複数のクラスタのうち、各クラスタの重心位置と予測された電力需要量との差が最も小さいクラスタを選択して、選択したクラスタに属する複数のプロットとの距離が最短となる近似直線を算出し、算出された近似直線に予測された電力需要量を入力することにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格を予測する。
本発明の第6態様の電力市場価格予測方法は、電力スポット市場価格が既知である予め設定された過去の期間内の複数の日を比較参照日として、当該比較参照日の各コマの電源種毎の電力供給量の実績値と系統需要の実績値とを用いて、当該比較参照日の電力スポット市場価格の実績値毎に、当該電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備が属する電源種である交点電源種を特定し、特定された交点電源種に含まれる発電設備を限界費用が低い順に並べた際に、最も限界費用が低い発電設備から前記電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備までの発電量の累積値である交点容量を算出する交点電源種特定及び交点容量算出ステップと、
予測対象日における電源種毎の電力供給量を予測する供給量予測ステップと、
前記供給量予測ステップにおいて予測された前記予測対象日の電源種毎の電力供給量の予測値を用いたグラフ上に、前記交点電源種特定及び交点容量算出部により特定された交点電源種と算出された交点容量に基づいて、前記比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値をそれぞれプロットすることにより前記予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する作成ステップと、
前記予測対象日における予測対象コマの電力需要量をそれぞれ予測する需要量予測ステップと、
前記需要量予測ステップにおいて予測された電力需要量と、前記作成ステップにおいて作成されたメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する価格予測ステップと、を備えている。
本発明の第7態様のプログラムは、電力スポット市場価格が既知である予め設定された過去の期間内の複数の日を比較参照日として、当該比較参照日の各コマの電源種毎の電力供給量の実績値と系統需要の実績値とを用いて、当該比較参照日の電力スポット市場価格の実績値毎に、当該電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備が属する電源種である交点電源種を特定し、特定された交点電源種に含まれる発電設備を限界費用が低い順に並べた際に、最も限界費用が低い発電設備から前記電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備までの発電量の累積値である交点容量を算出する交点電源種特定及び交点容量算出ステップと、
予測対象日における電源種毎の電力供給量を予測する供給量予測ステップと、
前記供給量予測ステップにおいて予測された前記予測対象日の電源種毎の電力供給量の予測値を用いたグラフ上に、前記交点電源種特定及び交点容量算出部により特定された交点電源種と算出された交点容量に基づいて、前記比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値をそれぞれプロットすることにより前記予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する作成ステップと、
前記予測対象日における予測対象コマの電力需要量をそれぞれ予測する需要量予測ステップと、
前記需要量予測ステップにおいて予測された電力需要量と、前記作成ステップにおいて作成されたメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する価格予測ステップと、
をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、予測対象日における日本卸電力取引所の電力スポット市場価格を高い精度で予測することが可能となる。
JEPXにおける電力スポット市場価格の決定方法を説明するための図である。 5種類の電源種の発電所を限界費用が低い順番に並べた際のメリットオーダーカーブ例を示す図である。 同一の電源種の発電設備毎に限界費用が異なる場合のメリットオーダーカーブ例を示す図である。 本発明の一実施形態の電力市場価格予測装置10を含むシステムのシステム構成を示す図である。 本発明の一実施形態の電力市場価格予測装置10のハードウェア構成を示す図である。 本発明の一実施形態の電力市場価格予測装置10の機能構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態の電力市場価格予測装置10において予測対象日の電力スポット市場価格の予測を行う際の全体動作を示すフローチャートである。 交点電源種特定及び交点容量算出部32によって行われる交点電源種の特定と交点容量の算出例を示す図である。 予測対象日におけるメリットオーダーカーブの作成方法を説明するためのフローチャートである。 予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する際に、電源種毎の電力供給量の予測値を配置する様子を説明するための図である。 予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する際に、過去の電力スポット市場価格の実績値をプロットする様子を説明するための図である。 MOC作成部34により作成されるメリットオーダーカーブ例を示す図である。 MOC作成部34により作成されたメリットオーダーカーブ上に、予測対象日におけるある予測対象コマの系統需要を示す線を引いた場合の様子を示す図である。 予測対象日における電力スポット市場価格を予測する際の予測方法を説明するためのフローチャートである。 系統需要に近接するプロットが複数存在する場合に、予測対象日における電力スポット市場価格の予測値を算出方法の具体例を示す図である。 比較参照日毎に重み付けを行って加重平均を計算する際の重み付け係数を算出する式の一例を説明するための図である。 系統需要に近接するプロットが複数存在しない場合に、予測対象日における電力スポット市場価格の予測値を算出方法の具体例を示す図である。 表示部37により表示される電力スポット市場価格の予測値の表示例を示す図である。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明における一実施形態の電力市場価格予測装置の構成について説明する前に、JEPXにおける電力スポット市場価格の決定方法について説明する。JEPXにおける電力スポット市場価格の決定方法について図1を参照して説明する。
上述したように、JEPXにおける電力スポット市場では、ブラインド・シングルプライスオークションと呼ばれる約定方式により、翌日分の電力の約定価格及び約定量が決定されている。
具体的には、売り手である発電事業者は、例えば、「15円/kWh以上の価格であれば1000kWhの電力を売る」というような入札を取引システムに対して行う。また、買い手である小売電気事業者は、「10円/kWh以下の価格であれば2000kWhの電力を買う」というような入札を取引システムに対して行う。
すると、JEPXの取引システムでは、図1に示すように、毎日の決まった時刻において、入札内容に基づいて売り入札を入札価格の低い順に積み上げた売り入札曲線と、買い入札を入札価格が低い順に積み上げた買い入札曲線を作成する。そして、この売り入札曲線と買い入札曲線の交点を求めることにより約定価格と約定量が決定される。この約定価格が電力スポット市場価格であり、全ての電力取引はこの電力スポット市場価格により行われることになる。そして、このような電力スポット市場価格の決定は、翌日を30分単位で区切った48コマ毎にそれぞれ行われる。
なお、発電事業者は、電力の売り入札価格を発電の際の限界費用(変動費)で入札することが望ましい行為とされている。そのため、売り入札価格は発電の際の限界費用とほぼ同じ価格となる。
ここで、限界費用とは、発電量を増加させたときに追加でかかる費用のことを意味する。つまり、ある発電所において、あと発電量を1kWh増加させるために追加で発生する費用がその発電所における限界費用となる。
そして、上記のような方法により決定される電力スポット市場価格を事前に予測することができれば、発電事業者や小売電気事業者は、売り入札価格、買い入札価格、及び入札する電力量を最適なものにすることができる。また、発電事業者は、電力スポット市場価格が高くなりそうな時間帯において発電所を稼働させる等の計画を作成することも可能となる。
そこで、本実施形態の電力市場価格予測装置では、電力スポット市場価格を予測しようとする予測対象日におけるメリットオーダーカーブ(以降において、MOCと略す場合がある。)を作成して、作成したメリットオーダーカーブを用いて予測対象日における電力スポット市場価格の予測を行う。
ここで、メリットオーダーとは、様々な電源種の発電所(発電設備)を限界費用が低い順番に並べたものを意味する。例えば、電源種を、下記の5種類に分けて説明する。
(1)再エネ:太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電等の再生エネルギーを用いた発電
(2)原子力:原子力発電
(3)石炭火力:石炭による火力発電
(4)ガス火力:天然ガス等による火力発電
(5)石油火力:石油による火力発電
このような5種類の電源種の発電所を限界費用が低い順番に並べた際のメリットオーダーカーブ例を図2に示す。なお、上記の5種類の電源種の電源は、一般的に(1)再エネ、(2)原子力、(3)石炭火力、(4)ガス火力、(5)石油火力の順で限界費用が増加するものとする。
そして、メリットオーダー順に並べられた発電所の発電量を累積することにより作成された供給曲線がメリットオーダーカーブ(又はメリットオーダー曲線)である。つまり、メリットオーダーカーブは、図1における売り入札曲線に該当する。そして、上記で説明したようなJEPXにおける電力スポット市場価格の約定原理から、このメリットオーダーカーブと系統需要を示す直線との交点が電力スポット市場価格になると考えらえる。
ここで系統需要とは、ある電力系統における需要電力量の総量である。また、電力系統とは、北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄というエリア毎に電力の送配電を行うシステムを示し、この電力系統毎(ただし沖縄を除く)に電力スポット市場価格も決定される。
1日の中においても電力需要は刻々と変化するため、この電力需要を満たすためには発電コストの安い順番で発電設備を稼働させる(=上記のメリットオーダー順で発電所の稼働を行う)ことが最も経済的である。つまり、一般的には燃料費のかからない「再エネ」による電力が優先的に使用され、次に「原子力」による電力が使用され、石炭火力、ガス火力、石油火力の順番に発電所を稼働して電力需要を満たすような電力が供給されることになる。
なお、図2では、同一の電源種の発電設備の限界費用を同一の値とした簡易的なMOCを図示した。しかし、実際には同一の電源種の発電設備であっても、発電設備毎に限界費用が異なる。このように発電設備毎に限界費用が異なるものとした場合のメリットオーダーカーブ例を図3に示す。
図3を参照すると、「ガス火力」という同じ電源種であっても、発電所A~I毎にそれぞれ限界費用が異なっているのが分かる。そして、図3では、ある電力系統において系統需要を満たすために「再エネ」、「原子力」、「石炭火力」、「ガス火力」のうちの発電所A~Eという発電設備を稼働させることが必要となっている。
ここで、系統需要を満たすために稼働させた発電設備のうち、もっとも限界費用が高い発電設備(マージナルプラント)の限界費用が電力スポット市場価格とほぼ同一になると考えられる。つまり、図3では、発電所Eの限界費用が、ある電力系統におけるある日のあるコマの電力スポット市場価格になっているものと考えられる。
そこで、本実施形態の電力市場価格予測装置では、「過去の電力スポット市場価格≒ある発電所の限界費用」であるという考えに基づいて、予測対象日におけるMOCを生成して、予測対象日における電力需要量との交点を求めることにより、予測対象日における電力スポット市場価格の予測を行う。
まず、本発明の一実施形態の電力市場価格予測装置10を含むシステムのシステム構成を図4に示す。
本実施形態の電力市場価格予測装置10は、インターネット30等のネットワークを介して、様々な情報を取得可能な複数のサーバ装置20と接続されている。
具体的には、複数のサーバ装置20は、過去の電力スポット市場価格の実績値を取得可能なJEPXのサーバ装置、予測対象日の気象情報を取得可能な気象庁のサーバ装置、予測対象日や過去の発電設備の稼働情報を取得可能なHJKS(発電情報公開システム)におけるサーバ装置である。
次に、本実施形態の電力市場価格予測装置10のハードウェア構成を図5に示す。
電力市場価格予測装置10は、図5に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、インターネット30を介して外部のサーバ装置20との間でデータの送受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15を有する。これらの構成要素は、制御バス16を介して互いに接続されている。
CPU11は、メモリ12又は記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、電力市場価格予測装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12又は記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、これに限定されるものではない。この制御プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記録した形態で提供してもよい。
図6は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される電力市場価格予測装置10の機能構成を示すブロック図である。
本実施形態の電力市場価格予測装置10は、図6に示されるように、情報取得部31と、交点電源種特定及び交点容量算出部32と、電力供給量予測部33と、MOC作成部34と、電力需要量予測部35と、価格予測部36と、表示部37とを備えている。
情報取得部31は、電力スポット市場価格の過去の実績値の情報、予測対象日における天気予報情報等の気象情報、発電設備の稼働情報、過去の系統需要の情報等の各種情報をサーバ装置20から取得する。
交点電源種特定及び交点容量算出部32は、電力スポット市場価格が既知である予め設定された過去の期間内の複数の日を比較参照日として、その比較参照日の各コマの電源種毎の電力供給量の実績値と系統需要の実績値とを用いて、比較参照日の電力スポット市場価格の実績値毎に、その電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備が属する電源種である交点電源種を特定する。
そして、交点電源種特定及び交点容量算出部32は、特定した交点電源種に含まれる発電設備を限界費用が低い順に並べた際に、最も限界費用が低い発電設備から電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備までの発電量の累積値である交点容量を算出する。
電力供給量予測部33は、予測対象日における電源種毎の電力供給量を予測する。具体的には、電力供給量予測部33は、気象条件により発電量が変動する、電源種が「再エネ」である太陽光発電、風力発電、水力発電等の自然変動電源と、火力発電、原子力発電等の非変動電源に分けて下記のような方法で電力供給量を予測する。
(1)自然変動電源(太陽光発電、風力発電、水力発電等)
自然変動電源については、情報取得部31は、日射量、風速等の気象情報をサーバ装置20から取得する。そして、電力供給量予測部33は、情報取得部31により取得された日射量、風速等の気象情報の実績値を特徴量、発電量を目的変数として、機械学習を行って予測モデルを生成する。そして、電力供給量予測部33は、生成された学習済みの予測モデルに対して、予測対象日における気象情報を入力することにより、発電量の予測値を取得する。
(2)非変動電源(火力発電、原子力発電等)
非変動電源については、情報取得部31は、HJKS(発電情報公開システム)から予測対象日、予測対象エリアにおける火力、原子力発電所の稼働情報を取得する。そして、電力供給量予測部33は、情報取得部31により取得された稼働情報から、石炭火力、ガス火力、石油火力等の火力発電、原子力発電のそれぞれの予測対象日における発電容量に関する情報を収集する。
MOC作成部34は、電力供給量予測部33により予測された予測対象日の電源種毎の電力供給量の予測値を用いたグラフ上に、交点電源種特定及び交点容量算出部32により特定された交点電源種と算出された交点容量に基づいて、比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値をそれぞれプロットすることにより予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する。
電力需要量予測部35は、情報取得部31により取得された電力需要の実績値や気象情報を用いて、予測対象日、及び予測対象エリアにおける予測対象コマの電力需要量をそれぞれ予測する。電力需要量予測部35は、例えば、特許第7062144号公報に開示されている電力需要予測方法を用いて、予測対象日、及び予測対象エリアにおける予測対象コマの電力需要量をそれぞれ予測する。
具体的には、電力需要量予測部35は、一定期間だけ遡った時期から、この一定期間を細分化した単位での気温及び日射量を少なくとも含む気象データ群及び電力需要の実績値を取り込み、この実績値の変化が類似するパターンに区分する。そして、電力需要量予測部35は、区分したパターン毎に、気象データ群を説明変数とし、かつ電力需要の実績値を目的変数とした長期回帰モデルを作成する。そして、電力需要量予測部35は、電力需要の予測対象日と類似するパターンから、この予測対象日に近い所定数の短期参照日を選択して気象データ群及び電力需要の実績値を取り込み、作成した長期回帰モデルと、短期参照日の気象データ群及び電力需要の実績値とを用いた複数の予測モデルの各々で予測した予測対象日の複数の電力需要予測値を、所定の比率で加重平均してブレンドし、予測対象日の電力需要予測値を取得する。
価格予測部36は、電力需要量予測部35により予測された電力需要量と、MOC作成部34により作成されたメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより、予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する。
表示部37は、価格予測部36により予測された予測対象日の予測対象コマ毎の電力スポット市場価格の予測値を表示する。
次に、本実施形態の電力市場価格予測装置10の動作について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の電力市場価格予測装置10において予測対象日の電力スポット市場価格の予測を行う際の全体動作を図7のフローチャートに示す。
まず、交点電源種特定及び交点容量算出部32は、電力スポット市場価格が既知の過去日(期間は予め設定)を比較参照日として、この比較参照日の電力スポット市場の実績値毎に、交点電源種を特定し、交点容量を算出する(ステップS101)。なお、交点電源種特定及び交点容量算出部32は、交点電源種の特定と、交点容量の算出を、比較参照日全日の全コマに対して行う。
例えば直近7日間を比較参照日とするのであれば、予測対象日が2023年8月1日の場合、交点電源種特定及び交点容量算出部32は、2023年7月25日~7月31日の7日を比較参照日として、交点電源種の特定と、交点容量の算出を行う。
このようにして交点電源種特定及び交点容量算出部32によって行われる交点電源種の特定と交点容量の算出例を図8に示す。図8では、比較参照日の2023年7月30日における20時コマの電力スポット市場価格が28円/kWhである場合について説明する。
まず、X軸を累積容量、Y軸を価格としたグラフ上に、比較参照日における電源種毎の発電量の実績値を限界費用が低い順に配置する。そして、このグラフ上に、比較参照日における電力スポット市場価格の実績値である28円/kWhと、系統需要の実績値により特定される場所にプロットを行う。なお、比較参照日における系統需要の実績値が公表されていない場合には、比較参照日における系統需要を電力需要量予測部35により予測して、その予測値を系統需要の値として用いる。
そして、交点電源種特定及び交点容量算出部32では、このプロット場所からX軸に対して下した垂線と、配置した電源種の実績値との交点から交点電源種を特定する。図8に示した具体例では、交点電源種は「ガス火力」であると特定されている。
次に、交点電源種特定及び交点容量算出部32では、特定した電源種の左端からプロットした位置までの距離を交点容量として算出する。図8に示した具体例では、交点容量は2100万kWであると算出されている。つまり、交点容量とは、比較参照日における電力スポット市場価格の決定に関与した発電設備が、交点電源種の発電設備を限界費用順に並べた際にどこに位置するのかを示す値となっている。
次に、電力供給量予測部33は、予測対象日における電源種毎の電力供給量を予測する(ステップS102)。
そして、MOC作成部34は、電力供給量予測部33により予測された予測対象日の電源種毎の電力供給量の予測値を用いたグラフ上に、交点電源種特定及び交点容量算出部32により特定された交点電源種と算出された交点容量に基づいて、比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値をそれぞれプロットすることにより予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する(ステップS103)。なお、この予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する方法の詳細については後述する。
ここで、比較参照日が7日の場合、MOC作成部34は、336個(=7日×48コマ)のプロットによりメリットオーダーカーブを作成することになる。
次に、電力需要量予測部35は、情報取得部31により取得された電力需要の実績値や気象情報を用いて、予測対象日、及び予測対象エリアにおける予測対象コマの電力需要量をそれぞれ予測する(ステップS104)。
すると、価格予測部36は、電力需要量予測部35により予測された予測対象日における電力需要量と、MOC作成部34により作成されたメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより、予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する(ステップS105)。なお、予測対象日における電力スポット市場価の予測方法の詳細についても後述する。
[MOCの作成方法]
次に、上記のステップS103において説明した予測対象日におけるメリットオーダーカーブの作成方法の詳細について説明する。
図9は、予測対象日におけるメリットオーダーカーブの作成方法を説明するためのフローチャートである。
まず、MOC作成部34は、X軸を電力量の累積値である累積容量とし、Y軸を価格としたグラフ上に、電力供給量予測部33により予測された予測対象日における電源種毎の電力供給量の予測値を、限界費用が低い(安い)順に配置する(ステップS201)。このようにして電源種毎の電力供給量の予測値が配置される様子を図10に示す。
次に、MOC作成部34は、ある比較参照日における、ある予測対象コマの電力スポット市場価格の実績値を1つ選択する(ステップS202)。ここでは、例えば、図8において説明した2023年7月30日における20時コマの電力スポット市場価格の実績値28円/kWhを選択したものとして説明する。
次に、MOC作成部34は、比較参照日が属する月と予測対象日が属する月とが異なる場合には、選択した比較参照日における電力スポット市場価格の実績値に対して下記において説明する燃料価格補正を行う(ステップS203)。
[燃料価格補正]
燃料価格は月によって変動する場合もあるため、MOC作成部34は、予測対象日が属する月と比較参照日が属する月とが異なる場合には、下記のような方法により燃料価格の補正を行う。具体的には、MOC作成部34は、比較参照日が属する月と予測対象日が属する月とが異なる場合には、比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値に対して燃料価格補正を行ってからプロットすることによりメリットオーダーカーブを作成する。
具体的には、MOC作成部34は、比較参照日が属する月と予測対象日が属する月とが異なる場合には、下記の式により算出される燃料価格補正後の電力スポット市場価格の実績値を用いてメリットオーダーカーブを作成する。
電力スポット市場価格の実績値(燃料価格補正後)=電力スポット市場価格の実績値(燃料価格補正前)×(予測対象日が属する月の発電原価/比較参照日が属する月の発電原価)
例えば、交点電源種が「ガス火力」の場合を参考にして燃料価格補正の補正方法の具体例を説明する。ここでは、予測対象日が属する月の一般的なガス火力発電における発電原価が12円/kWhであり、比較参照日が属する月の一般的なガス火力発電における発電原価が10円/kWhであったものとして説明する。つまり、比較参照日が属する月よりも予測対象日が属する月のほうが、燃料価格が高くなっている。そして、燃料価格補正前の電力スポット市場価格の実績値が20円/kWhであったとすると、下記のような計算式により燃料価格補正後の電力スポット市場価格の実績値は24円/kWhとなる。
電力スポット市場価格の実績値(燃料価格補正後)=20円/kWh×(12円/kWh/10円/kWh)=24円/kWh
次に、MOC作成部34は、燃料価格補正後の電力スポット市場価格の実績値を、図10に示したグラフ上の交点電源種及び交点容量に基づく位置にプロットする(ステップS204)。
このようにして過去の電力スポット市場価格の実績値がプロットされる様子を図11に示す。図11を参照すると、2023年7月30日における20時コマの電力スポット市場価格の実績値28円/kWhが、交点電源種がガス火力、交点容量が2100万kWの位置にプロットされる様子が示されている。
ここで図8では、28円/kWhという電力スポット市場価格の実績値が、系統需要の4500万kWの位置にプロットされているにもかかわらず、図11では、累積容量が約5500万kWの位置にプロットされている。これは、予測対象日における電力供給量の予測値では、電源種が「再エネ」の発電設備の発電量が多くなっているため、同じ交点電源種及び交点容量であってもプロットされる位置が変わってくるからである。つまり、比較参照日の2023年7月30日では、系統需要が4500万kWであっても電力スポット市場価格が28円/kWhとなっていたが、予測対象日である2023年8月1日では、系統需要が5500万kW程度にならないと電力スポット市場価格が28円/kWhとはならないことを意味している。
そして、MOC作成部34は、ステップS202~S204までの処理を、比較参照日における全コマに対する処理が完了するまで繰り返す(ステップS205)。つまり、MOC作成部34は、336個(=7日×48コマ)のプロットを繰り返すことによりメリットオーダーカーブを作成する。
このようにしてMOC作成部34により作成されるメリットオーダーカーブ例を図12に示す。なお、図12では、図面を見易くするためにプロットの数を実際よりも減らしたものを示している。
なお、MOC作成部34は、予測精度が良くなる任意の時間区分で異なるメリットオーダーカーブを作成するようにしてもよい。
[予測対象日における電力スポット市場価格の予測]
次に、図7のフローチャートのステップS105において説明した予測対象日における電力スポット市場価格の予測方法の詳細について説明する。
価格予測部36は、電力需要量予測部35により予測された予測対象日における電力需要量(系統需要)と、MOC作成部34により作成された図12に示したようなメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより、予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する。
MOC作成部34により作成されたメリットオーダーカーブ上に、予測対象日におけるある予測対象コマの系統需要を示す線を引いた場合の様子を図13に示す。図13に示されるように、この系統需要を示す線とメリットオーダーカーブとの交点が予測対象日におけるその予測対象コマの電力スポット市場価格の予測値となる。
ただし、MOC作成部34により作成されたメリットオーダーカーブは、複数のプロットにより構成されたものであり、連続的な関数として定義されたものではない。そのため、予測対象日における電力需要量とメリットオーダーカーブとの交点を直接求めることができない場合が発生する。
そのため、価格予測部36は、以下において説明するような方法により、予測対象日における電力需要量とメリットオーダーカーブとの交点を疑似的に求めて、予測対象日における電力スポット市場価格を予測する。
具体的には、価格予測部36は、図14のフローチャートにおいて示すような予測方法により、予測対象日における電力スポット市場価格を予測する。
まずは、価格予測部36は、メリットオーダーカーブ上において、予測対象日における系統需要の予測値に近接するプロットを抽出する(ステップS301)。例えば、価格予測部36は、メリットオーダーカーブを構成する複数のプロットの中から、系統需要の予測値との差が予め設定された電力容量以下のプロットを抽出する。
そして、価格予測部36は、メリットオーダーカーブ上において、系統需要の予測値との間の差が予め設定された電力容量以下のプロットが複数存在するか否かを判定する(ステップS302)。
そして、価格予測部36は、メリットオーダーカーブ上において、予測された電力需要量との間の差が予め設定された電力容量以下のプロットが複数存在する場合には(ステップS302においてyes)、複数のプロットの電力スポット市場価格の実績値に対して、予測対象日との日数差が少ないほど重み付け係数が大きくなるような重みづけを行って加重平均を算出することにより、予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格を予測する(ステップS303)。
例えば、図15に示すように、系統需要の予測値との差が予め設定された電力容量以下のプロットが3つ存在した場合について説明する。ここで、価格予測部36は、例えば、図16に示すような式により算出される重み付け係数を用いて、比較参照日毎に重み付けを行って、加重平均を計算することにより予測対象日の電力スポット市場価格の予測を行う。
具体的には、予測対象日と比較参照日との日数差が少ないほど、前提となる発電設備の稼働状況や燃料価格の条件が近いため、予測時の重みを重くすべきであり、逆に日数差が多いほど、これらの条件が異なるため、重みを軽くすべきであるという考えに基づいて重みづけ係数を設定する。つまり、予測対象日との日数差が少ないほど重み付け係数が大きくなるような重みづけを行う。
図16に示す式において、Xは予測対象日との日数差であり、a、bは定数である。そして、a、bの値としては、既知の最新の電力スポット市場価格を予測した場合に、予測誤差が最も小さくなるようなパラメータ探索を行うことにより決定する。このようにして算出した重み付け係数の一例を図16に示す。図16に示した重み付け係数の一例を参照すると、予測対象日である2023年8月1日との日数差が少ないほど重み付け係数が1に近くなり、日数差が多くなると0に近づいているのが分かる。
例えば、図15に示した例において、系統需要の予測値に近接するプロットが下記の3つであったものとして具体的な算出方法を説明する。
プロット1:比較参照日が2023年7月30日、電力スポット市場価格の実績値が11.5円/kWh
プロット2:比較参照日が2023年7月30日、電力スポット市場価格の実績値が11円/kWh
プロット3:比較参照日が2023年7月29日、電力スポット市場価格の実績値が10円/kWh
そして、2023年7月30日の重み付け係数が1.0、2023年7月29日の重み付け係数が0.9であった場合、価格予測部36は、3つの実績値の加重平均を下記の式により計算することにより、予測対象日2023年8月1日の電力スポット市場価格の予測値を算出する。
電力スポット市場価格の予測値=(近接するプロットの実績価格×当該プロットの重み付け係数)の累積値/重み付け係数の合計=(11.5×1+11×1+10×0.9)/(1+1+0.9)≒10.9円/kWh
また、価格予測部36は、メリットオーダーカーブ上において、予測された電力需要量との間の差が予め設定された電力容量以下のプロットが複数存在しない場合には(ステップS302においてno)、メリットオーダーカーブを構成する複数のプロットに対してクラスタ分類を行い、分類された複数のクラスタのうち、各クラスタの重心位置と予測された電力需要量との差が最も小さいクラスタを選択して、選択したクラスタに属する複数のプロットとの距離が最短となる近似直線を算出し、算出された近似直線に予測された電力需要量を入力することにより、予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格を予測する(ステップS304)。
このように系統需要に近接するプロットが複数存在しない場合に、予測対象日における電力スポット市場価格の予測値を算出方法の具体例を図17に示す。
(1)まず、MOC作成部34により作成されたメリットオーダーカーブを構成する複数のプロットを、複数のクラスタに分類する。図17に示した例では、メリットオーダーカーブを構成する複数のプロットがクラスタ1~3の3つに分類されている。
(2)次に、3つのクラスタ1~3の重心位置をそれぞれ求め、その各重心位置から系統需要の予測値までの距離を算出する。
(3)そして、最も重心位置から系統需要の予測値までの距離が短かったクラスタを1つ選択する。つまり、予測対象コマにおける電力スポット市場価格も、最も重心位置から系統需要の予測値までの距離が短かったクラスタに属すると考える。なお、図17では、クラスタ1が選択されたものとして説明する。
(4)選択したクラスタを構成する複数のプロットの情報に基づいて、そのクラスタの近似直線を求める。具体的には、Y(価格)=aX(累積容量)+b(a、bは定数)の式を求めることによりそのクラスタに属する複数のプロットとの距離が最短となる近似直線を算出する。
(5)算出した近似直線の式のXに予測対象コマにおける系統需要の予測値を入力することにより算出されたYの値が予測対象日の予測対象コマにおける電力スポット市場価格の予測値となる。
そして、最後に表示部37は、価格予測部36により予測された予測対象日における電力スポット市場価格の予測値を予測対象コマ毎に表示する。このようにして表示される電力スポット市場価格の予測値の表示例を図18に示す。図18を参照すると、予測対象日である2023年8月1日における予測対象コマ毎の予測価格が表示されているのが分かる。
上述したように、本実施形態の電力市場価格予測装置10による電力スポット市場価格の予測方法では、過去の電力スポット市場価格の実績値が、どの電源種のどの発電設備の限界費用に基づいて決定されたのかを特定して、特定した情報に基づいて予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成している。
一般的に説明されるメリットオーダーカーブは、図3に示したように、各発電所を限界費用の安い順に並べた階段状の折れ線グラフになっている。そのため、同一電源種内であって電力需要が多くなるとどの発電設備まで稼働させるかが変化することにより限界費用は上昇するはずである。さらに、同じ電力需要であっても再エネ発電量やその他電源の容量(発電可能量)によっても電力スポット市場価格は変動するものである。
このように、メリットオーダーカーブ上において、系統需要がある電源種と交わる場合でも、その電源種に含まれるどの発電設備と交わるかによって、電力スポット市場価格は変わってくる。つまり、限界費用が異なる複数の発電設備の発電量を累積していった際に系統需要を満たした時点の発電設備がどれであるのかを特定することにより、より高い精度での電力スポット市場価格を予測することができると考えられる。
そこで、本実施形態のように交点電源種と交点容量を用いてメリットオーダーカーブを作成し、作成したメリットオーダーカーブと予測対象日における系統需要の予測値に基づいて電力スポット市場価格を予測することにより、予測対象日の電力需要量と電力供給量との関係から予測対象日における電力市場価格を予測するような従来の予測方法と比較して、予測対象日におけるスポット市場価格を高い精度で予測することが可能となる。
10 電力市場価格予測装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 制御バス
20 サーバ装置
30 インターネット
31 情報取得部
32 交点電源種特定及び交点容量算出部
33 電力供給量予測部
34 MOC作成部
35 電力需要量予測部
36 価格予測部
37 表示部

Claims (7)

  1. 電力スポット市場価格が既知である予め設定された過去の期間内の複数の日を比較参照日として、当該比較参照日の各コマの電源種毎の電力供給量の実績値と系統需要の実績値とを用いて、当該比較参照日の電力スポット市場価格の実績値毎に、当該電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備が属する電源種である交点電源種を特定し、特定された交点電源種に含まれる発電設備を限界費用が低い順に並べた際に、最も限界費用が低い発電設備から前記電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備までの発電量の累積値である交点容量を算出する交点電源種特定及び交点容量算出部と、
    予測対象日における電源種毎の電力供給量を予測する供給量予測部と、
    前記供給量予測部により予測された前記予測対象日の電源種毎の電力供給量の予測値を用いたグラフ上に、前記交点電源種特定及び交点容量算出部により特定された交点電源種と算出された交点容量に基づいて、前記比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値をそれぞれプロットすることにより前記予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する作成部と、
    前記予測対象日における予測対象コマの電力需要量をそれぞれ予測する需要量予測部と、
    前記需要量予測部により予測された電力需要量と、前記作成部により作成されたメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する価格予測部と、
    を備えた電力市場価格予測装置。
  2. 前記作成部は、予測精度が良くなる任意の時間区分で異なるメリットオーダーカーブを作成する、
    請求項1記載の電力市場価格予測装置。
  3. 前記作成部は、前記比較参照日が属する月と前記予測対象日が属する月とが異なる場合には、当該比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値に対して燃料価格補正を行ってからプロットすることによりメリットオーダーカーブを作成する、
    請求項1記載の電力市場価格予測装置。
  4. 前記価格予測部は、メリットオーダーカーブ上において、予測された電力需要量との間の差が予め設定された電力容量以下のプロットが複数存在する場合には、前記複数のプロットの電力スポット市場価格の実績値に対して、予測対象日との日数差が少ないほど重み付け係数が大きくなるような重みづけを行って加重平均を算出することにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格を予測する、
    請求項1記載の電力市場価格予測装置。
  5. 前記価格予測部は、メリットオーダーカーブ上において、予測された電力需要量との間の差が予め設定された電力容量以下のプロットが複数存在しない場合には、前記メリットオーダーカーブを構成する複数のプロットに対してクラスタ分類を行い、分類された複数のクラスタのうち、各クラスタの重心位置と予測された電力需要量との差が最も小さいクラスタを選択して、選択したクラスタに属する複数のプロットとの距離が最短となる近似直線を算出し、算出された近似直線に予測された電力需要量を入力することにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格を予測する、
    請求項1記載の電力市場価格予測装置。
  6. 電力市場価格予測装置が予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測するための電力市場価格予測方法であって、
    電力スポット市場価格が既知である予め設定された過去の期間内の複数の日を比較参照日として、当該比較参照日の各コマの電源種毎の電力供給量の実績値と系統需要の実績値とを用いて、当該比較参照日の電力スポット市場価格の実績値毎に、当該電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備が属する電源種である交点電源種を特定し、特定された交点電源種に含まれる発電設備を限界費用が低い順に並べた際に、最も限界費用が低い発電設備から前記電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備までの発電量の累積値である交点容量を算出する交点電源種特定及び交点容量算出ステップと、
    予測対象日における電源種毎の電力供給量を予測する供給量予測ステップと、
    前記供給量予測ステップにおいて予測された前記予測対象日の電源種毎の電力供給量の予測値を用いたグラフ上に、前記交点電源種特定及び交点容量算出部により特定された交点電源種と算出された交点容量に基づいて、前記比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値をそれぞれプロットすることにより前記予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する作成ステップと、
    前記予測対象日における予測対象コマの電力需要量をそれぞれ予測する需要量予測ステップと、
    前記需要量予測ステップにおいて予測された電力需要量と、前記作成ステップにおいて作成されたメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する価格予測ステップと、
    を備えた電力市場価格予測方法。
  7. 電力スポット市場価格が既知である予め設定された過去の期間内の複数の日を比較参照日として、当該比較参照日の各コマの電源種毎の電力供給量の実績値と系統需要の実績値とを用いて、当該比較参照日の電力スポット市場価格の実績値毎に、当該電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備が属する電源種である交点電源種を特定し、特定された交点電源種に含まれる発電設備を限界費用が低い順に並べた際に、最も限界費用が低い発電設備から前記電力スポット市場価格の決定に関与したと予想される発電設備までの発電量の累積値である交点容量を算出する交点電源種特定及び交点容量算出ステップと、
    予測対象日における電源種毎の電力供給量を予測する供給量予測ステップと、
    前記供給量予測ステップにおいて予測された前記予測対象日の電源種毎の電力供給量の予測値を用いたグラフ上に、前記交点電源種特定及び交点容量算出部により特定された交点電源種と算出された交点容量に基づいて、前記比較参照日の各コマの電力スポット市場価格の実績値をそれぞれプロットすることにより前記予測対象日におけるメリットオーダーカーブを作成する作成ステップと、
    前記予測対象日における予測対象コマの電力需要量をそれぞれ予測する需要量予測ステップと、
    前記需要量予測ステップにおいて予測された電力需要量と、前記作成ステップにおいて作成されたメリットオーダーカーブとの交点を求めることにより、前記予測対象日における予測対象コマの電力スポット市場価格をそれぞれ予測する価格予測ステップと、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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