JP2010224832A - 電力市場価格予測方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電力市場価格予測方法であって、複数の火力発電所のそれぞれの発電容量と発電コストとの供給スタック予測モデルを作成するステップと、各火力発電所毎の運転・停止パターンに基づいて発電容量を補正するステップと、補正した発電容量に基づいて供給スタック予測モデルを補正するステップと、過去の最大電力需要データと最高気温予測値データとから最大電力需要曲線を作成するステップと、過去の実績データから予測日の原子力発電等の出力値を算出するステップと、最大電力需要曲線と該予測日の最高気温値との交点から、該予測日の最大電力需要値を算出するステップと、該最大電力需要値から原子力発電等の出力値を減じて該予測日の最大火力需要値を算出するステップと、該最大火力需要値と補正後の供給スタック予測モデルとの交点から、予測日の電力市場価格を予測するステップとを含む。
【選択図】図1
Description
複数の火力発電所それぞれの運転・停止パターンに基づいて各火力発電所毎の発電容量を補正するステップと、
該各火力発電所毎に補正した発電容量に基づいて前記供給スタック予測モデルを補正するステップと、
過去の最大電力需要データと最高気温予測値データとから最大電力需要と最高気温予測値との相関性を示す最大電力需要曲線を作成するステップと、
過去の実績データから予測日の原子力発電及び水力発電の出力値を算出するステップと、
前記最大電力需要曲線と公表された数週間後の最高気温予測データから得られる該予測日の最高気温値との交点から、該予測日の最大電力需要値を算出するステップと、
該最大電力需要値から前記原子力発電及び水力発電の出力値を減じて該予測日の最大火力需要値を算出するステップと、
該最大火力需要値と前記補正後の供給スタック予測モデルとの交点から、予測日の電力市場価格を予測するステップとを含むものである。
本実施形態では、発電コストの算出を複数の火力発電所毎に行うので、先ずA火力発電所の場合についてその発電コストの算出手法を以下に説明する。上記数式2の燃料種別k、単位発熱量HV、熱効率ηの諸元は、複数の火力発電所毎に公知であるから、その値をそのまま使用する。図2にA火力発電所の場合の公知の諸元を示す。A火力発電所の発電コストを算出する場合に、図2の諸元から得られない値としては、原油価格(U1)、C重油価格(U2)、VOMであるから、次に、これら値の算出手法について具体的に説明する。
A火力発電所で使用される原油の価格については、諸元からその詳細は不明である。そこで、本実施形態では、この原油が中東産の原油の場合には、原油の日本への輸入価格(財務省が毎月発表する「貿易統計」の原油の平均輸入価格:JCC)と中東産の原油の現物価格(Dubai)との相関図からこれらの間の相関式を求め、Dubaiの現物価格からJCCの原油価格を算出する。
次に、A火力発電所で使用されるC重油価格(U2)についても、原油の場合と同様に、その詳細が不明である。そこで、C重油価格(U2)については、東京電力と新日本石油が四半期に一度、「電気新聞」に発表するC重油交渉価格を使用する。
A火力発電所のVOMは、本実施形態では、A火力発電所が属する電気事業者が金融庁に提出する「損益計算書」に記載されている電気事業営業費用明細表における汽力発電費から燃料費を除いた費用を、その電気事業者が所有する全ての火力発電所の運用、維持コストとみなし、次の数式3に基づいて算出する。
(非特許文献3:経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部 編、「平成15年度 電力需給の概要」)
以上の手法により算出した原油価格(U1)、C重油価格(U2)、VOMの結果を数式2に代入すれば、A火力発電所の発電コストWAは、下記に示すとおり、13.58(円/kWh)と算出することができる。
WA = {(m1・U1/HV1) + (m2・U2/HV2)}/(η/3600) + VOM
= {(0.25・48.2/46050) + (0.75・54.9/41915)}/(0.3956/3600) + 2.26
= 13.58 (円/kWh)
次に、B火力発電所の発電コストの算出手法を以下説明する。B火力発電所の場合は、図10の公知の諸元によれば、使用燃料が石炭であるから、この石炭価格(U3)の算出手法について、以下に説明する。
B火力発電所で使用される石炭価格についても、その詳細は不明である。そこで、石炭の日本への輸入価格とオーストラリアのニューカッスル港で荷積みされる石炭の現物価格「NEWC」との相関図から求めた相関式に基づいて石炭価格(U3)を算出する。
そこで、石炭価格(U3)とNEWCとの相関図は、図11に示す情報提供会社ロイターが提供する「NEWCデータ」と、財務省の「貿易統計」から得られる石炭の輸入価格データに基づいて作成することができる。
B火力発電所のVOMも、A火力発電所の場合と同様に、その公知の諸元から上記数式3に基づいて算出することができる。図14に示す結果によれば、B火力発電所のVOMは、1.80(円/kWh)と算出することができる。
以上の手法により算出した石炭価格(U3)、VOMの結果を数式2に代入すれば、B火力発電所の発電コストWBは、下記に示すとおり、4.06(円/kWh)と算出することができる。
WB = (m3・U3/HV3)/(η/3600) + VOM
= (1.00・7.40/27920)/(0.4225/3600) + 1.80
= 4.06 (円/kWh)
次に、C火力発電所の発電コストの算出手法を以下説明する。C火力発電所の場合は、図15の公知の諸元によれば、使用燃料がLNG及びC重油であるから、このLNG価格(U4)の算出手法について、以下に説明する。
C火力発電所で使用されるLNG価格についても、その詳細は不明であるが、LNG価格は、一般に約2ヶ月前の原油の輸入価格平均値(JCC)と関連付けて決定されることが知られている。そこで、LNG価格(U4)は、2ヶ月前のJCCとLNGの日本への輸入価格(財務省が毎月発表する貿易統計のLNGの平均輸入価格)との相関図から求めた相関式に基づいて算出する。
C火力発電所のC重油価格は、上述したとおり、C重油を使用するすべての火力発電所で同じであるから、2007年9月1日を現在とし、この日より20日後の2007年9月21日のA火力発電所のC重油価格と同じ56.0(円/リットル)である。
C火力発電所のVOMも、A火力発電所の場合と同様に、その公知の諸元から上記数式3に基づいて算出することができる。図19に示す結果によれば、C火力発電所のVOMは、4.41(円/kWh)と算出することができる。
以上の手法により算出したLNG価格(U4)、C重油価格(U2)、VOMを上記数式2に代入すれば、C火力発電所の発電コストWCは、下記に示すとおり、14.67(円/kWh)と算出することができる。
WC = {(m2・U2/HV2) + (m4・U4/HV4)}/(η/3600) + VOM
= {(0.01・54.9/41915) + (0.99・45.4/43800)}/(0.3647/3600) + 4.41
= 14.67 (円/kWh)
このような発電コストの算出手法を沖縄を除く複数の火力発電所毎にそれぞれ実施して、各火力発電所の発電コストを算出する。そして、この発電コストの算出値を昇順に並べたものを縦軸に、各火力発電所の容量の累積和を横軸にプロットすることにより、図21に点線で示すような、2007年9月1日を現在としこの日より20日後の2007年9月21日の供給スタック予測モデルを作成することができる。
ところで、全国の火力発電所では、そのすべてが同時に運転・稼動停止することはほとんどなく、現実的にはあるパターンで運転・停止を繰り返すことになる。火力発電所の運転・停止を決める定期点検の周期は、一般に4年間で1パターンのサイクルで繰り返されるのが通常である。
本実施形態では、上記供給スタック予測モデルは、全国の火力発電所が100%稼動することを前提に作成しているから、各火力発電所の実際の運転・停止のパターンで補正する必要がある。
下記非特許文献4には、全国の火力発電所の発電機毎、年度毎に、いつからいつまで定期点検のために停止するか、という発電・補修データが公開されている。発電機が定期点検により停止している期間中、その発電機は運転できないため、当該火力発電所の発電容量は、停止している発電機の容量分、減じられることになる。その減じられた発電容量をもって、前記供給スタック予測モデルを補正することにより、実際の運転・停止のパターンが反映された供給スタック予測モデルを作成することができる。
(非特許文献4:経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部編、「電力需給の概要」(平成15年度までの各年度))
(最大電力需要の算出)
最大電力需要は、気温との相関性が大きいと言われているため、過去の最大電力需要データと過去に公表された「気温予測値データ」とから最大電力需要曲線(相関式)を求め、それに予測しようとする日に対応する公表されたの「気温予測値データ」を挿入することにより、当該予測日の最大電力需要を算出することができる。そして、この最大電力需要曲線である相関式は、気象業務支援センターが発行しているCD−ROMの「最高気温予測データ」と電気新聞に記載された「最大電力需要データ」に基づいて作成することができる。なお、気象予測値データは気象庁が発表したものに限られず、他の予報機関により公表されたものを用いてもよい。
全国の原子力発電所では、そのすべてが同時に運転・稼動停止することはほとんどなく、現実的にはあるパターンで運転・停止を繰り返すことになる。原子力発電所の運転・停止を決める定期点検の周期は、一般に前回定期点検終了後13ヵ月後に次の定期点検が開始される、というパターンのサイクルで繰り返されるのが通常である。そこで、本実施形態では、過去の最新の定期点検終了日から起算して13ヶ月後に次の定期点検が開始されるものとし、その定期点検による停止日数は、過去の停止日数の平均値とする。
そして、下記非特許文献5には、全国の原子力発電所の発電機毎、年度毎に、いつからいつまで定期点検のために停止したか、という停止実績データが公開されているから、この停止実績データから、A火力発電所の場合と同様に、D原子力発電所の過去の発電可能容量の実績値を求めたのが図25である。なお、D原子力発電所は、890MWの発電機2台からなる設備容量合計が1780MWの発電所である。
(非特許文献5:有限責任中間法人日本原子力技術協会ホームページ「原子力発電所の運転状況」)
水力発電所の出力は、春先の豊水期の高出力とそれ以外の渇水期の低出力を1年周期で繰り返すため、ある月の出力が過去の同じ月の出力と同等になるとして算出する。
非特許文献6のデータから、1997〜2006年度の水力発電の月間発電量の平均値を求めた結果を図26に示す。2007年9月の月間発電量は、同図の9月平均値5840(GWh)と同等になるとし、これを暦時間数(30×24=720時間)で除すことにより、5840/720=8.111(GW)となる。
(非特許文献6:経済産業省資源エネルギー庁ホームページ「電力調査統計」)
本実施形態の予測方法では、このような手法よって得られた火力需要予測値96.7(GW)を図21の供給スタック予測モデルの発電容量とするものであるから、この火力需要予測値と供給スタック予測モデルとの交点から発電コスト16.5(円/kWh)を予測することができる。
したがって、このような電力市場価格は、当該日である2007年9月21日の最大価格予測値ということができる。
Claims (4)
- 複数の火力発電所のそれぞれの発電コストを下記数式1により算出しその結果に基づいて発電容量と発電コストとの供給スタック予測モデルを作成するステップと、
複数の火力発電所のそれぞれの運転・停止パターンに基づいて各火力発電所毎の発電容量を補正するステップと、
該各火力発電所毎に補正した発電容量に基づいて前記供給スタック予測モデルを補正するステップと、
過去の最大電力需要データと最高気温予測値データとから最大電力需要と最高気温予測値との相関性を示す最大電力需要を作成するステップと、
過去の実績データから予測日の原子力発電及び水力発電の出力値を算出するステップと、
前記最大電力需要と公表された数週間後の最高気温予測データから得られる該予測日の最高気温値との交点から、該予測日の最大電力需要値を算出するステップと、
該最大電力需要値から前記原子力発電及び水力発電の出力値を減じて該予測日の最大火力需要値を算出するステップと、
該最大火力需要値と前記補正後の供給スタック予測モデルとの交点から、予測日の電力市場価格を予測するステップと、
を含むことを特徴とする電力市場価格予測方法。
- 前記供給スタック予測モデルを作成するステップにおいて、前記数式1における燃料価格の予測値は、燃料の産油地の現物価格と燃料価格の実測値との相関から算出される請求項1に記載の電力市場価格予測方法。
- 前記供給スタック予測モデルを作成するステップにおいて、前記数式1における燃料価格の予測値は、前記予測日よりも所定のタイムラグ分だけ以前の日における予測値が用いられる請求項2に記載の電力市場価格予測方法。
- 前記供給スタック予測モデルを作成するステップにおいて、前記発電コストは、複数の火力発電所が属する電気事業者から提出される損益計算書から算出された運用、維持コストを、前記電気事業者に属する前記複数の火力発電所の設備容量比で按分することにより算出される請求項1から3のいずれかに記載の電力市場価格予測方法。
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