ところが、張力調整装置として、給紙装置に設けられていたブレーキ装置とは別に外周ブレーキ装置を設けることは、装置の大型化や設備コストの増加を招いてしまう。また、外周ブレーキ装置は、巻取紙の外周面を押えて制動力を付与することから、その押圧力の調整が難しい。巻取紙の外周面を押える押圧力が大きすぎると、ウェブに損傷を与えてしまい、巻取紙の外周面を押える押圧力が小さすぎると、必要な制動力を得ることができない。そのため、作業者による押圧力調整作業に長時間を要してしまい、作業性が良くないという課題がある。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、装置の大型化や設備コストの増加を抑制すると共にウェブの供給停止時にウェブに対する損傷を抑制しながら必要な制動力を確保することができる給紙装置及び給紙停止方法並びに印刷機を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するための本発明の給紙装置は、先端部に巻取紙を回転自在に支持可能な複数のアーム部を有して回転自在に支持される支持アームと、現巻取紙から繰り出されて走行するウェブと新巻取紙から繰り出されるウェブとが重ねられた接着位置を押圧するように作動する押圧部材と現巻取紙から繰り出されて走行するウェブを切断するカッタとを有する紙継ぎ装置と、巻取紙と一体回転する前記支持アームの回転軸部に対して制動力を付与するブレーキ装置と、現巻取紙からのウェブの供給停止時に前記ブレーキ装置を作動すると共に前記押圧部材を作動する制御装置と、を備えることを特徴とするとするものである。
従って、現巻取紙からのウェブの供給停止時に、ブレーキ装置を作動すると共に紙継ぎ装置における押圧部材を作動することで、現巻取紙の回転を停止するための十分なブレーキ力を適正に確保することができ、適正時期に現巻取紙の回転を停止することができる。そして、現巻取紙の回転を停止するためのブレーキ力を確保するために、紙継ぎ装置の押圧部材を用いることで、別のブレーキ装置を追加する必要はなく、装置の大型化や設備コストの増加を抑制することができる。また、既存の紙継ぎ装置を用いることで、押圧部材の作動時にウェブに対する損傷を抑制しながら、必要な制動力を確保することができる。
本発明の給紙装置では、前記制御装置は、現巻取紙の回転による慣性力が予め設定された所定値より大きいとき、現巻取紙からのウェブの供給停止時に前記ブレーキ装置を作動すると共に前記押圧部材を作動することを特徴としている。
従って、現巻取紙の回転による慣性力が所定値以下のときは、ブレーキ装置だけを作動して現巻取紙の回転を停止し、現巻取紙の回転による慣性力が所定値より大きいとき、ブレーキ装置と押圧部材の両方を作動して現巻取紙の回転を停止することとなり、必要時だけ紙継ぎ装置の押圧部材を使用することで、紙継ぎ作業に悪影響を与えることなく、常時適正時期に現巻取紙の回転を停止することができる。
本発明の給紙装置では、前記所定値は、ウェブの種類ごとに複数設定され、ウェブの種類ごとの複数の前記所定値が記憶装置に記憶され、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶されたウェブの種類ごとの複数の前記所定値の中から使用するウェブの所定値を選択し、前記現巻取紙の慣性力が選択された前記所定値より大きいとき、前記ブレーキ装置を作動すると共に前記押圧部材を作動することを特徴としている。
従って、ウェブの種類ごとに複数の所定値を設定して記憶装置に記憶しておくことで、この記憶された複数の所定値の中から使用するウェブに最適な所定値を選択してブレーキ力を発生させることとなり、停電停止時のみならず、通常運転の停止であっても、ウェブの断紙を防止しながら印刷機を適正に停止することができる。
本発明の給紙装置では、前記制御装置は、現巻取紙の外径が予め設定された所定外径より大きいとき、現巻取紙からのウェブの供給停止時に前記ブレーキ装置を作動すると共に前記押圧部材を作動することを特徴としている。
従って、現巻取紙の外径が所定外径以下のときは、ブレーキ装置だけを作動して現巻取紙の回転を停止し、現巻取紙の外径が所定外径より大きいとき、ブレーキ装置と押圧部材の両方を作動して現巻取紙の回転を停止することとなり、必要時だけ紙継ぎ装置の押圧部材を使用することで、紙継ぎ作業に悪影響を与えることなく、常時適正時期に現巻取紙の回転を停止することができる。また、慣性力と相関関係にある巻取紙の外径を用いることで、制御の簡素化を図ることができる。
本発明の給紙装置では、前記所定外径は、ウェブの種類ごとに複数設定され、ウェブの種類ごとの複数の前記所定外径が記憶装置に記憶され、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶されたウェブの種類ごとの複数の前記所定外径の中から使用するウェブの所定外径を選択し、前記現巻取紙の外径が選択された前記所定外径より大きいとき、前記ブレーキ装置を作動すると共に前記押圧部材を作動することを特徴としている。
従って、ウェブの種類ごとに複数の所定外径を設定して記憶装置に記憶しておくことで、この記憶された複数の所定外径の中から使用するウェブに最適な所定外径を選択してブレーキ力を発生させることとなり、停電停止時のみならず、通常運転の停止であっても、ウェブの断紙を防止しながら印刷機を適正に停止することができる。
本発明の給紙装置では、前記紙継ぎ装置は、現巻取紙から離間した退避位置と現巻取紙に接近した待機位置とに移動可能な移動部材と、前記移動部材に支持されて現巻取紙の外表面から予め設定された所定距離だけ離間した非作動位置と現巻取紙の外表面を押圧する作動位置とに移動可能な前記押圧部材とを有し、前記制御装置は、前記移動部材が前記待機位置にあるとき、前記押圧部材と現巻取紙の外表面との前記所定距離を一定に維持することを特徴としている。
従って、移動部材が待機位置にあるとき、押圧部材と現巻取紙の外表面との所定距離を一定に維持することから、現巻取紙からのウェブの供給停止時に、短時間で押圧部材を現巻取紙の外表面に押圧してブレーキを付与することができ、現巻取紙からのウェブの供給を適正に停止することができる。
本発明の給紙装置では、前記移動部材を前記退避位置と前記待機位置とに移動可能な移動装置を設け、前記制御装置は、前記移動部材が前記待機位置にあるとき、前記移動装置により前記移動部材を移動することで、前記所定距離を一定に維持することを特徴としている。
従って、移動部材が待機位置にあるとき、移動装置により移動部材を移動することで、押圧部材と現巻取紙の外表面との所定距離を一定に維持することから、支持アーム側の作動、つまり、現巻取紙からのウェブの繰り出し作業に悪影響を与えることなく、所定距離を一定に維持することができる。
本発明の給紙装置では、前記制御装置は、現巻取紙の外径が予め設定された所定値まで減少すると、前記移動装置により前記移動部材を前記退避位置に移動することを特徴としている。
従って、現巻取紙の外径が所定値まで減少すると、移動部材を退避位置に移動することから、次の紙継ぎ作業を支障なく実施することができる。
本発明の給紙装置では、前記制御装置は、必要ブレーキ力に対して前記押圧部材を作動することで発生するブレーキ力を一定とし、前記ブレーキ装置を作動することで発生するブレーキ力を増減することを特徴としている。
従って、必要ブレーキ力に対して押圧部材によるブレーキ力を一定とし、ブレーキ装置によるブレーキ力を増減することから、紙継ぎ作業時に必要な押圧部材の押圧力と、ウェブの供給停止時に必要な押圧部材の押圧力が同じとなり、押圧部材の押圧力の調整を不要として作業性を向上することができる。
また、本発明の給紙停止方法は、先端部に巻取紙を回転自在に支持可能な複数のアーム部を有して回転自在に支持される支持アームと、現巻取紙から繰り出されて走行するウェブと新巻取紙から繰り出されるウェブとが重ねられた接着位置を押圧するように作動する押圧部材と現巻取紙から繰り出されて走行するウェブを切断するカッタとを有する紙継ぎ装置と、巻取紙と一体回転する前記支持アームの回転軸部に対して制動力を付与するブレーキ装置と、を備える給紙装置において、現巻取紙からのウェブの供給停止指令に応じて前記ブレーキ装置を作動すると共に前記押圧部材を作動する、ことを特徴とするものである。
従って、現巻取紙からのウェブの供給停止指令に応じて前記ブレーキ装置を作動すると共に前記押圧部材を作動することで、現巻取紙の回転を停止するための十分なブレーキ力を適正に確保することができ、適正時期に現巻取紙の回転を停止することができる。そして、現巻取紙の回転を停止するためのブレーキ力を確保するために、紙継ぎ装置の押圧部材を用いることで、別のブレーキ装置を追加する必要はなく、装置の大型化や設備コストの増加を抑制することができる。また、既存の紙継ぎ装置を用いることで、押圧部材の作動時にウェブに対する損傷を抑制しながら、必要な制動力を確保することができる。
本発明の給紙停止方法では、現巻取紙の回転による慣性力が予め設定された所定値より大きいとき、現巻取紙からのウェブの供給停止時に前記ブレーキ装置を作動すると共に前記押圧部材を作動することを特徴としている。
従って、現巻取紙の回転による慣性力が所定値以下のときは、ブレーキ装置だけを作動して現巻取紙の回転を停止し、現巻取紙の回転による慣性力が所定値より大きいとき、ブレーキ装置と押圧部材の両方を作動して現巻取紙の回転を停止することとなり、必要時だけ紙継ぎ装置の押圧部材を使用することで、紙継ぎ作業に悪影響を与えることなく、常時適正時期に現巻取紙の回転を停止することができる。
また、本発明の印刷機は、前記給紙装置と、ウェブに対して印刷を施す印刷装置と、印刷が施されたウェブの経路を調整して重ね順を設定するウェブパス装置と、複数重ねられた複数のウェブを断裁して折り畳むことで折帖を形成する折機と、を備えることを特徴とするものである。
従って、給紙装置にて、現巻取紙からのウェブの供給停止時に、ブレーキ装置を作動すると共に紙継ぎ装置における押圧部材を作動することで、現巻取紙の回転を停止するための十分なブレーキ力を適正に確保することができ、適正時期に現巻取紙の回転を停止することができる。そして、現巻取紙の回転を停止するためのブレーキ力を確保するために、紙継ぎ装置の押圧部材を用いることで、別のブレーキ装置を追加する必要はなく、装置の大型化や設備コストの増加を抑制することができる。また、既存の紙継ぎ装置を用いることで、押圧部材の作動時にウェブに対する損傷を抑制しながら、必要な制動力を確保することができる。
本発明の印刷機では、前記制御装置は、停電信号が入力すると、前記ブレーキ装置を作動すると共に前記押圧部材を作動することを特徴としている。
従って、制御装置に停電信号が入力すると、ブレーキ装置を作動すると共に押圧部材を作動することで、同時に緊急停止する印刷装置、ウェブパス装置、折機の停止動作に同期させて給紙装置を停止することができる。
本発明の印刷機では、前記制御装置は、停電信号が入力されると、前記給紙装置から前記印刷装置までのウェブのテンションが適正値に維持されるように、前記ブレーキ装置と前記押圧部材を作動することを特徴としている。
従って、停電時に、ウェブのテンションが適正値に維持されるように給紙装置を停止することで、ウェブの断紙を防止しながら印刷機を停止することができ、停電の復帰時に、早期に印刷機を稼働することができる。
本発明の給紙装置及び給紙停止方法並びに印刷機によれば、現巻取紙からのウェブの供給停止時にブレーキ装置を作動すると共に紙継ぎ装置における押圧部材を作動するので、別のブレーキ装置を追加する必要はなく、装置の大型化や設備コストの増加を抑制することができ、また、押圧部材の作動時にウェブに対する損傷を抑制しながら、必要な制動力を確保することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る給紙装置及び給紙停止方法並びに印刷機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、複数の実施形態がある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
まず、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機の構成を簡単に説明する。図8は、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図、図9は、新聞用オフセット輪転印刷機における印刷ユニットを表す概略構成図である。
本実施形態において、図8に示すように、新聞用オフセット輪転印刷機(以下、単に印刷機と称する。)Pは、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fとから構成されている。給紙装置Rは、複数(本実施形態では、5台)の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5を有し、インフィード装置Iは、複数(本実施形態では、5台)のインフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5を有し、印刷装置Uは、複数(本実施形態では、5台)の印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を有し、ウェブパス装置Dは、1台のウェブパスユニットD1を有し、折機Fは、2台の折ユニットF1,F2を有している。なお、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5、インフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の台数は、5台に限定されるものではなく、ウェブパスユニットD1、折ユニットF1,F2は、複数台としてもよい。
給紙装置Rにおいて、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWがロール状に巻かれた複数の巻取紙を保持する支持アームを有し、この支持アームを回転することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。また、この各給紙ユニットR1〜R5は、図示しない紙継装置を有しており、給紙位置で繰り出されている巻取紙が残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にある巻取紙に対して、待機位置にある巻取紙を紙継することができる。
インフィード装置Iにおいて、インフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5は、ほぼ同様の構成をなし、印刷装置Uの各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に送り込むウェブWのテンションを調整することで、印刷装置Uを走行するウェブWのテンションを適正値に安定して維持するようにしている。例えば、各インフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5は、インフィードローラ、ダンサローラまたはテンションピックアップローラ、ガイドローラなどを有している。そして、このダンサローラの揺動またはテンションピックアップローラの変動に応じてインフィードローラの周速を変更し、ウェブWの適正なテンションを維持している。
印刷装置Uにおいて、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5は、ほぼ同様の構成をなし、印刷ユニットU1,U2,U3は、2色刷りが可能であり、印刷ユニットU4,U5は、4色刷りが可能である。但し、印刷ユニットU4,U5は、上下に分割することで、それぞれを2色刷りの印刷ユニットとして使用することができる。印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5は、インキ供給装置、版胴、ブランケット胴などを有している。
ウェブパス装置Dにおいて、ウェブパスユニットD1は、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に対して設けられている。ウェブパスユニットD1は、ウェブWを縦(ウェブWの天地長手方向、ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向の中央部で裁断するスリッタD11と、縦裁断したウェブWの走行経路を設定するターンバーD12と、ウェブWにおける天地長手方向における搬送位置を調整するコンペンセータD13などを有している。
折機Fにて、折ユニットF1,F2は、ほぼ同様の構成をなしている。ウェブパスユニットD1から複数のウェブWが重ねられて導入されると、折ユニットF1,F2は、それぞれウェブWを縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。
ここで、印刷装置Uにおける印刷ユニットU5について詳細に説明する。なお、他の各印刷ユニットU1〜U4もほぼ同様の構成となっている。
印刷ユニットU5は、図9に示すように、4色印刷が可能となるように、H型のタワーユニットとなっている。この印刷ユニットU5は、ウェブWの搬送方向が鉛直方向における上方となっており、下から上に向かって、墨(Black)、藍(Cyan)、紅(Magenta)、黄(Yellow)ごとの4つのスタック21,22,23,24が配置されて構成されている。各スタック21,22,23,24は、それぞれ左右対称となるローラ配列となっている。
各スタック21,22,23,24は、左右に対向してブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bがウェブWの搬送経路を挟んで対接可能であり、各ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bに版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bが対接している。そして、各スタック21,22,23,24は、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bが設けられている。また、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、湿し装置61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bが設けられている。
この場合、スタック21,23は、ブランケット胴31a,31b,33a,33bと版胴41a,41b,43a,43bがハの字形状に配列され、スタック22,24は、ブランケット胴32a,32b,34a,34bと版胴42a,42b,44a,44bが逆ハの字形状に配列されている。そして、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bにて、外周面に異なる絵柄を印刷する刷版(図示略)が軸方向、つまり、ウェブWの幅方向に沿って並べて装着可能となっている。
以下、本実施形態の給紙装置及び給紙停止方法について説明する。図1は、本実施形態の給紙装置を表す概略構成図である。
図1に示すように、給紙装置Rは、給紙ユニットR5(R1,R2,R3,R4)が複数(本実施形態では、3個)の巻取紙WRを保持する支持アーム101を有している。この支持アーム101は、中心の回転軸102から放射方向に延出する3本のアーム部101a,101b,101cを有し、各アーム部101a,101b,101cの先端部に巻取紙WRを回転自在に保持可能となっている。また、図示しない駆動装置は、支持アーム101を回転可能であり、この支持アーム101により各アーム部101a,101b,101cを回動することで、巻取紙WRを所定の給紙位置に停止することができる。
また、この給紙ユニットR5は、紙継ぎ装置103を有しており、この紙継ぎ装置103は、給紙位置で繰り出されている巻取紙WRが残り少なくなると、給紙位置にある巻取紙WRから繰り出されるウェブWに、待機位置にある巻取紙WRから繰り出されるウェブWを紙継ぎすることができる。
ここで、紙継ぎ装置103について説明する。図5は、紙継ぎ装置を表す概略図、図6は、紙継ぎ装置の作動状態を表す概略図、図7は、別の紙継ぎ装置を表す概略図である。
紙継ぎ装置103において、図5に示すように、図示しない印刷機フレームに支持フレーム111が固定されており、この支持フレーム111にガイドレール112が固定されており、ペースタアーム(移動部材)113は、上端部がこのガイドレール112に移動自在に支持されている。また、支持フレーム111は、駆動プーリ114と従動プーリ115が所定間隔を空けて回転自在に支持されており、駆動プーリ114と従動プーリ115との間にガイドレール112と平行な無端の駆動ベルト116が掛け回されている。そして、駆動プーリ114は、駆動装置(移動装置)117により駆動回転可能であり、ペースタアーム113が駆動ベルト116に連結されている。そのため、駆動装置117により駆動プーリ114を駆動回転することで、駆動ベルト116が駆動し、ペースタアーム113をガイドレール112に沿って移動することができる。
ペースタレバー118は、基端部が支持軸119によりペースタアーム113の上部に回動自在に支持されており、先端部にペースタブラシ(押圧部材)120が固定されている。また、作動レバー121は、一端部が支持軸119に連結され、他端部がペースタアーム113に固定されたエアシリンダ122の駆動ロッド123の先端部に連結されている。ペースタブラシ120に代えて、ペースタローラを用いてもよい。そのため、エアシリンダ122により作動レバー121及び支持軸119を介してペースタレバー118を回動することができる。
カッタ124は、回動軸125によりペースタアーム113の下部に回動自在に支持されており、図示しない駆動装置により回動可能となっている。
そして、ペースタアーム113は、ウェブWを繰り出している現巻取紙WRから離間した退避位置(図5の二点鎖線位置)と、現巻取紙WRに接近した待機位置(図5の実線位置)とに移動可能である。また、ペースタレバー118(ペースタブラシ120)は、現巻取紙WRの外表面から予め設定された所定距離Lだけ離間した非作動位置(図5の実線位置)と、現巻取紙WRの外表面を押圧する作動位置(図6の実線位置)とに移動可能である。
そのため、図5に示すように、現巻取紙WRの外径が所定の外径まで減少すると、まず、支持アーム101により各アーム部101a,101b,101cを所定角度回動し、通常運転姿勢から紙継ぎ姿勢へ移行させる。ここで、支持アーム101が紙継ぎ姿勢になると、新巻取紙WRが紙継ぎ位置に移行する。続いて、駆動装置117によりペースタアーム113を退避位置から待機位置に移動し、図6に示すように、エアシリンダ122によりペースタレバー118を非作動位置から作動位置に移動する。すると、ペースタブラシ120が現巻取紙から繰り出されたウェブWを新巻取紙WRの外表面に押圧することで、現巻取紙のウェブWに新巻取紙WRのウェブWを図示しない粘着部を介して接着する。その後、カッタ124を作動して現巻取紙のウェブWを切断することで、ウェブWの紙継ぎ作業が完了する。紙継ぎ作業の完了後、ペースタレバー118(ペースタブラシ120)が非作動位置に戻り、ペースタアーム113が退避位置に戻る。
なお、紙継ぎ装置103は、上述した構成に限定されるものではない。図7に示すように、紙継ぎ装置130において、ペースタアーム(移動部材)131は、図示しない印刷機フレームに上端部が回動自在に支持されており、エアシリンダ(移動装置)132により回動可能となっている。ペースタレバー133は、基端部が支持軸134によりペースタアーム131の上部に回動自在に支持されており、先端部にペースタブラシ(押圧部材)135が固定されている。ペースタブラシ135は、図示しないエアシリンダにより回動可能となっている。カッタ136は、回動軸137によりペースタアーム131の下部に回動自在に支持されており、図示しない駆動装置により回動可能となっている。
そして、ペースタアーム131は、ウェブWを繰り出している現巻取紙WRから離間した退避位置(図7の二点鎖線位置)と、現巻取紙WRに接近した待機位置(図7の実線位置)とに移動可能である。また、ペースタレバー133(ペースタブラシ135)は、現巻取紙WRの外表面から予め設定された所定距離だけ離間した非作動位置と、現巻取紙WRの外表面を押圧する作動位置とに移動可能である。なお、紙継ぎ装置130によるウェブWの紙継ぎ作業は、紙継ぎ装置103によるウェブWの紙継ぎ作業とほぼ同様であることから、説明は省略する。
図1に示すように、インフィード装置Iは、インフィードユニットI5(I1,I2,I3,I4)が給紙装置Rと印刷装置Uとの間でウェブWのテンションを適正値に安定して維持する。インフィードユニットI5は、フローティングローラ141、テンションピックアップローラ142、インフィードローラ143、ダンサローラ144などを有している。そして、テンションピックアップローラ142とダンサローラ144に検出器145,146が接続されている。また、給紙装置R(給紙ユニットR5)は、支持アーム101の各アーム部101a,101b,101cにおける巻取紙WRの回転軸部に対して制動力を付与するブレーキ装置147が設けられている。このブレーキ装置147は、巻取紙WRと一体回転する支持アーム101の回転軸部、つまり、各アーム部101a,101b,101cの先端部における巻取紙WRの回転支持部に対して制動力を付与するものである。具体的に、支持アーム101は、各アーム部101a,101b,101cの先端部に回転自在な一対のチャックが設けられており、この一対のチャックが巻取紙WRの芯を軸方向両側から把持する。一方のチャックは、円板が固定されており、アーム部101a,101b,101cに設けられたブレーキパッドが円板を挟持することで、巻取紙WRにブレーキ力を付与する。つまり、ブレーキ装置147は、ディスクブレーキである。
そして、給紙装置Rから印刷装置UまでのウェブWのテンションは、給紙テンションと印刷テンションからなる。給紙テンションは、巻取紙WRからインフィードローラ143までのテンションであり、テンションピックアップローラ142の検出器145が検出したウェブWのテンションに応じて給紙ユニットR5におけるブレーキ装置147のブレーキ力を制御する。印刷テンションは、インフィードローラ143から印刷装置Uの入口までのテンションであり、ダンサローラ144の検出器146が検出したウェブWのテンションに応じてインフィードローラ143の回転速度を制御する。
ところで、停電などが発生して印刷機Pを緊急停止するとき、給紙装置Rから折機Fまで紙通しされたウェブWが切断されないように、印刷機全体でウェブWのテンションを維持しながら、給紙装置R、インフィード装置I、印刷装置U、ウェブパス装置D、折機Fを停止する必要がある。
印刷装置Uの印刷ユニットU5は、スタックごとにブランケット胴や版胴などを駆動する駆動装置(モータ)151,152,153,154及びアンプ155,156,157,158が設けられている。また、折機Fの折ユニットF1は、ウェブWを三角板へ導くドラグローラ71を駆動する駆動装置(モータ)161と、縦折りされたウェブWの横折りや裁断を行う鋸胴72や折胴73などを駆動する駆動装置(モータ)162及びアンプ163,164が設けられている。そして、各アンプ155,156,157,158,163,164は、DC電源ユニット171に接続され、DC電源ユニット171は、AC電源172に接続されている。
制御装置180は、各アンプ155,156,157,158,163,164に制御指令値を出力することができる。また、制御装置180は、紙継ぎ装置103の駆動装置117及びエアシリンダ122と、給紙装置Rのブレーキ装置147に制御指令値を出力することができる。更に、制御装置180は、検出器145,146の検出信号が入力する。また、制御装置180は、停電時に、停電検知センサ173から停電信号が入力する。
そして、制御装置180は、停電検知センサ173から停電信号が入力すると、ウェブWのテンションを維持しながら、給紙装置Rと印刷装置Uと折機Fを停止する。即ち、制御装置180は、各アンプ155,156,157,158,163,164に制御指令値を出力する。このとき、印刷装置Uの各駆動装置(モータ)151,152,153,154への給電が停止するが、ブランケット胴や版胴の慣性回転により各駆動装置(モータ)151,152,153,154が発電機として機能することで回生エネルギを回収し、回収した電力が各アンプ155,156,157,158を介してDC電源ユニット171に送られる。DC電源ユニット171に送られた電力は、アンプ163,164を介して駆動装置(モータ)161,162に送り、駆動装置(モータ)161,162によりドラグローラ71、や鋸胴72や折胴73などを駆動する。このとき、制御装置180は、印刷装置Uから折機FまでのウェブWのテンションが適正値に維持されるように、駆動装置(モータ)161,162を駆動制御する。
また、制御装置180は、給紙装置Rから印刷装置UまでのウェブWのテンションが適正値に維持されるように、紙継ぎ装置103とブレーキ装置147を駆動制御する。即ち、給紙装置Rと印刷装置Uとの間の給紙テンションは、テンションピックアップローラ142の検出器145が検出したウェブWのテンションに基づいてブレーキ装置147のブレーキ力を調整している。ところが、巻取紙WRの外径が大きかったり、紙自体の質量が大きかったりすると、ブレーキ装置147のブレーキ力だけでは印刷装置Uにおけるブランケット胴や版胴などの停止動作に同期して巻取紙WRの回転を停止することが困難となり、ウェブWに弛みが発生して断紙してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、巻取紙WRの外径が大きかったり、紙自体の質量が大きかったりすることで、現巻取紙WRの回転による慣性力が予め設定された所定値より大きいとき、制御装置180は、停電信号が入力することで現巻取紙WRからのウェブWの供給を停止するとき、ブレーキ装置147を作動すると共に紙継ぎ装置103を作動するようにしている。つまり、ブレーキ装置147だけでは不足するブレーキ力を紙継ぎ装置103のブレーキ力で補充する。ここで、巻取紙WRの回転による慣性力は、巻取紙WRの質量と回転速度と外径から算出されるものである。そして、慣性力は、巻取紙WRの外径と相関関係にあることから、以下の説明では、慣性力を外径として説明する。
この場合、巻取紙WRの回転による慣性力は、紙種(メーカ銘柄、材質、紙の坪量、コーティング、紙幅など)によって変動する。そのため、現巻取紙WRの回転を所定時間で停止させるための必要ブレーキ力は、紙種に合わせて増減する。制御装置180は、記憶装置183が接続されており、これら巻取紙WRの種別ごとのペースタブラシ(押圧部材)120によるブレーキが必要となる現巻取紙WRの所定外径(所定値)が記憶装置183に記憶されている。制御装置180は、現巻取紙WRの種別が変更される際に、ペースタブラシ120によるブレーキが必要となる現巻取紙WRの所定外径(所定値)が自動設定されるように、ペースタブラシ120によるブレーキが必要となる紙種ごとの現巻取紙WRの所定外径(所定値)を予め記憶装置183に登録しておくことにより、停電停止時のみならず、通常運転の停止であっても、ウェブWの断紙を防止しながら印刷機を適正に停止することができる。
なお、巻取紙WRの種別ごとの所定外径(所定値)を記憶装置183に記憶するように構成したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、巻取紙WRの種別ごとのブレーキ力を記憶装置183に記憶しておいて、制御装置180が使用する巻取紙WRに最適なブレーキ力を選択してブレーキ装置147や紙継ぎ装置103を作動するようにしてもよい。
即ち、制御装置180は、図5に示すように、紙継ぎ装置103により紙継ぎ作業を終了した後も、ペースタアーム113を現巻取紙WRに接近した待機位置に移動したままとする。そして、制御装置180は、停電信号が入力されると、ブレーキ装置147を作動させると共に、エアシリンダ122を駆動してペースタレバー118を非作動位置から作動位置に移動し、ペースタブラシ120を現巻取紙WRの外表面に押し付ける。すると、現巻取紙WRは、ブレーキ装置147とペースタブラシ120からブレーキ力が付与されることで早期に回転が停止する。なお、紙継ぎ装置103にて、ペースタブラシ120に代えてペースタローラを用いた場合、ペースタローラを現巻取紙WRの外表面に押し付けることで、現巻取紙WRに回転抵抗を付与することができる。但し、ペースタローラでは、現巻取紙WRに付与する回転抵抗が小さいときには、例えば、ペースタローラの補助ブレーキなどを別途設けて回転抵抗を増加させてもよい。
一方、現巻取紙WRが回転してウェブWを繰り出していくと、現巻取紙WRの外径が減少する。図1に示すように、支持アーム101に現巻取紙WRの回転数を検出する回転数検出センサ181が設けられている。制御装置180は、使用前の巻取紙WRの外径データと紙厚データが入力されており、現巻取紙WRの回転数により現巻取紙WRの外径を算出する。そのため、図5に示すように、制御装置180は、現巻取紙WRの外径が予め設定された所定値(所定外径)まで減少し、ブレーキ装置147のブレーキ力だけで現巻取紙WRの回転を適正時間で停止することができる外径になると、駆動装置117によりペースタアーム113を退避位置に移動する。
また、制御装置180は、ペースタアーム113が現巻取紙WRに接近した待機位置にあるとき、ペースタブラシ120と現巻取紙WRの外表面との所定距離が一定に維持されるように紙継ぎ装置103を制御する。現巻取紙WRが回転してウェブWを繰り出すことで現巻取紙WRの外径が減少すると、巻取紙WRの外表面とペースタブラシ120との距離が長くなる。ペースタアーム113は、光電センサ182が設けられており、制御装置180は、ペースタアーム113が待機位置にあるとき、光電センサ182の検出結果に応じて駆動装置117によりペースタアーム113を前進移動することで、所定距離を一定に維持する。
ここで、本実施形態の停電発生時における印刷機の停止制御について説明する。図2は、給紙作業時におけるペースタアームの作動制御を表すフローチャート、図3は、停電発生時におけるブレーキ制御を表すフローチャート、図4は、停電発生時における必要ブレーキ力に対する実ブレーキ力の配分を表すグラフである。
まず、給紙装置Rによる給紙作業時におけるペースタアーム113の作動制御について、図2及び図5に示すように、紙継ぎ装置103による紙継ぎ作業の終了後、ステップS11にて、制御装置180は、現巻取紙WRの外径が予め設定された所定値より大きいかどうかを判定する。この所定値とは、ブレーキ装置147のブレーキ力だけで巻取紙WRの回転を印刷装置Uの停止に同期して停止することができる限界値である。ここで、現巻取紙WRの外径が所定値以下であると判定(No)されると、ステップS15にて、制御装置180は、ペースタアーム113を待機位置に待機させずに、駆動装置117により退避位置に移動する。
一方、ステップS11にて、現巻取紙WRの外径が所定値より大きいと判定(Yes)されると、ステップS12にて、制御装置180は、ペースタアーム113を待機位置に待機させる。そして、ステップS13にて、制御装置180は、現巻取紙WRの外径の変動によるペースタアーム113の位置制御を実行する。即ち、現巻取紙WRが回転してウェブWを繰り出すことで現巻取紙WRの外径が減少する。そのため、制御装置180は、光電センサ182の検出結果に基づいて現巻取紙WRの外表面とペースタブラシ120との所定距離Lが維持されるように、駆動装置117によりペースタアーム113を前進移動する。
そして、ステップS14にて、制御装置180は、現巻取紙WRの外径が所定値以下になったかどうかを判定する。ここで、現巻取紙WRの外径が所定値より大きいと判定(No)されると、ステップS13に戻って処理を繰り返す。一方、現巻取紙WRの外径が所定値以下になったと判定(Yes)されると、ステップS15に移行し、制御装置180は、待機位置に待機しているペースタアーム113を駆動装置117により退避位置に移動する。
次に、停電発生時におけるブレーキ制御について、図3及び図5に示すように、ペースタアーム113が待機位置に待機しているとき、ステップS21にて、制御装置180は、停電信号が入力したかどうかを判定する。ここで、停電信号が入力していないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、ステップS21にて、停電信号が入力したと判定(Yes)されると、ステップS22にて、制御装置180は、現巻取紙WRの外径が所定値より大きいかどうかを判定する。
ここで、現巻取紙WRの外径が所定値より大きいと判定(Yes)されると、ステップS23にて、制御装置180は、紙継ぎ装置103のペースタレバー118(ペースタブラシ120)を作動すると共に、ブレーキ装置147を作動する。そのため、現巻取紙WRは、ブレーキ装置147により回転軸部にブレーキ力が付与されると共に、ペースタブラシ120が外表面を押圧することで外周部にブレーキ力が付与され、その回転が停止される。
この場合、制御装置180は、現巻取紙WRの回転を所定時間で停止させるための必要ブレーキ力に対して、紙継ぎ装置103(ペースタブラシ120)を作動することで発生するブレーキ力を一定とし、ブレーキ装置147を作動することで発生するブレーキ力を増減して調整する。即ち、図4に示すように、必要ブレーキ力に対して、ブレーキ装置147によるブレーキ力B1が実線で表され、紙継ぎ装置103によるブレーキ力B2が二点鎖線で表される。必要ブレーキ力0〜Bm1の領域では、ブレーキ装置147によるブレーキ力0からBrにより確保できる。必要ブレーキ力Bm1〜Bm2の領域では、ブレーキ装置147と紙継ぎ装置103によるブレーキ力により確保できる。ここで、必要ブレーキ力の増減に対して、紙継ぎ装置103によるブレーキ力Bbを一定とし、ブレーキ装置147によるブレーキ力Baを増減する。
ここで、紙継ぎ装置103によるブレーキ力は、ペースタレバー118を回動してペースタブラシ120を巻取紙WRの外表面に押圧することで発生するものであることから、常時一定である。一方、ブレーキ装置147は、ディスクブレーキであることから、そのブレーキ力を調整することができる。そのため、必要ブレーキ力Bm1〜Bm2の領域では、紙継ぎ装置103によるブレーキ力を一定とし、ブレーキ装置147によるブレーキ力を増減することで不足分を調整する。
一方、図3及び図5に示すように、現巻取紙WRの外径が所定値以下であると判定(No)されると、ステップS24にて、制御装置180は、紙継ぎ装置103を作動させずに、ブレーキ装置147だけを作動する。そのため、現巻取紙WRは、ブレーキ装置147により回転軸部にブレーキ力が付与され、その回転が停止される。その後、ステップS25にて、印刷機Pが停止する。
このように本実施形態の給紙装置にあっては、先端部に巻取紙WRを回転自在に支持可能な複数のアーム部101a,101b,101cを有して回転自在に支持される支持アーム101と、現巻取紙WRから繰り出されて走行するウェブWと新巻取紙WRから繰り出されるウェブWとが重ねられた接着位置を押圧するように作動するペースタブラシ120と現巻取紙WRから繰り出されて走行するウェブWを切断するカッタ124とを有する紙継ぎ装置103と、巻取紙WRと一体回転する支持アーム101の回転軸部に対して制動力を付与するブレーキ装置147と、現巻取紙WRからのウェブWの供給停止時にブレーキ装置147を作動すると共にペースタブラシ120を作動する制御装置180とを設けている。
従って、現巻取紙WRの回転を停止するための十分なブレーキ力を適正に確保することができ、適正時期に現巻取紙WRの回転を停止することができる。そして、現巻取紙WRの回転を停止するためのブレーキ力を確保するために、紙継ぎ装置103のペースタブラシ120を用いることで、別のブレーキ装置を追加する必要はなく、装置の大型化や設備コストの増加を抑制することができる。また、既存の紙継ぎ装置103を用いることで、ペースタブラシ120の作動時にウェブWに対する損傷を抑制しながら、必要な制動力を確保することができる。
本実施形態の給紙装置では、制御装置180は、現巻取紙WRの回転による慣性力が予め設定された所定値より大きいとき、現巻取紙WRからのウェブWの供給停止時にブレーキ装置147を作動すると共にペースタブラシ120を作動する。従って、現巻取紙WRの回転による慣性力が所定値以下のときは、ブレーキ装置147だけを作動して現巻取紙WRの回転を停止し、現巻取紙WRの回転による慣性力が所定値より大きいとき、ブレーキ装置147とペースタブラシ120の両方を作動して現巻取紙WRの回転を停止することとなり、必要時だけ紙継ぎ装置103のペースタブラシ120を使用することで、紙継ぎ作業に悪影響を与えることなく、常時適正時期に現巻取紙WRの回転を停止することができる。
本実施形態の給紙装置では、慣性力の所定値をウェブW(巻取紙WR)の種類ごとに複数設定し、ウェブWの種類ごとの複数の所定値を記憶装置183に記憶し、制御装置180は、記憶装置183に記憶されたウェブWの種類ごとの複数の所定値の中から使用するウェブWの所定値を選択し、現巻取紙WRの慣性力が選択された所定値より大きいとき、ブレーキ装置147を作動すると共にペースタブラシ120を作動する。従って、記憶された複数の所定値の中から使用するウェブWに最適な所定値を選択してブレーキ力を発生させることとなり、停電停止時のみならず、通常運転の停止であっても、ウェブWの断紙を防止しながら印刷機を適正に停止することができる。
本実施形態の給紙装置では、制御装置180は、現巻取紙WRの外径が予め設定された所定外径より大きいとき、現巻取紙WRからのウェブWの供給停止時にブレーキ装置147を作動すると共にペースタブラシ120を作動する。従って、現巻取紙WRの外径が所定外径以下のときは、ブレーキ装置147だけを作動して現巻取紙WRの回転を停止し、現巻取紙WRの外径が所定外径より大きいとき、ブレーキ装置147とペースタブラシ120の両方を作動して現巻取紙WRの回転を停止することとなり、必要時だけ紙継ぎ装置103のペースタアーム113を使用することで、紙継ぎ作業に悪影響を与えることなく、常時適正時期に現巻取紙WRの回転を停止することができる。
本実施形態の給紙装置では、所定外径をウェブWの種類ごとに複数設定し、ウェブWの種類ごとの複数の所定外径を記憶装置183に記憶し、制御装置180は、記憶装置183に記憶されたウェブWの種類ごとの複数の所定外径の中から使用するウェブWの所定外径を選択し、現巻取紙WRの外径が選択された所定外径より大きいとき、ブレーキ装置147を作動すると共にペースタブラシ120を作動する。従って、記憶された複数の所定外径の中から使用するウェブWに最適な所定外径を選択してブレーキ力を発生させることとなり、停電停止時のみならず、通常運転の停止であっても、ウェブWの断紙を防止しながら印刷機を適正に停止することができる。
本実施形態の給紙装置では、紙継ぎ装置103は、現巻取紙WRから離間した退避位置と現巻取紙WRに接近した待機位置とに移動可能なペースタアーム113と、ペースタアーム113に支持されて現巻取紙WRの外表面から予め設定された所定距離Lだけ離間した非作動位置と現巻取紙WRの外表面を押圧する作動位置とに移動可能なペースタブラシ120とを有し、制御装置180は、ペースタアーム113が待機位置にあるとき、ペースタブラシ120と現巻取紙WRの外表面との所定距離Lを一定に維持する。従って、現巻取紙WRからのウェブWの供給停止時に、短時間でペースタブラシ120を現巻取紙WRの外表面に押圧してブレーキを付与することができ、現巻取紙WRからのウェブWの供給を適正に停止することができる。
本実施形態の給紙装置では、ペースタアーム113を退避位置と待機位置とに移動可能な駆動装置117を設け、制御装置180は、ペースタアーム113が待機位置にあるとき、駆動装置に117よりペースタアーム113を移動することで、所定距離Lを一定に維持する。従って、支持アーム101側の作動、つまり、現巻取紙WRからのウェブWの繰り出し作業に悪影響を与えることなく、所定距離Lを一定に維持することができる。
本実施形態の給紙装置では、制御装置180は、現巻取紙WRの外径が予め設定された所定値まで減少すると、駆動装置117によりペースタアーム113を退避位置に移動する。従って、次の紙継ぎ作業を支障なく実施することができる。
本実施形態の給紙装置では、制御装置180は、必要ブレーキ力に対してペースタブラシ120を作動することで発生するブレーキ力を一定とし、ブレーキ装置147を作動することで発生するブレーキ力を増減する。従って、紙継ぎ作業時に必要なペースタブラシ120の押圧力と、ウェブWの供給停止時に必要なペースタブラシ120の押圧力が同じとなり、ペースタブラシ120の押圧力の調整を不要として作業性を向上することができる。
また、本実施形態の給紙停止方法は、現巻取紙WRからのウェブWの供給停止指令に応じてブレーキ装置147を作動すると共にペースタブラシ120を作動するようにしている。従って、現巻取紙WRの回転を停止するための十分なブレーキ力を適正に確保することができ、適正時期に現巻取紙WRの回転を停止することができる。そして、現巻取紙WRの回転を停止するためのブレーキ力を確保するために、紙継ぎ装置103のペースタブラシ120を用いることで、別のブレーキ装置を追加する必要はなく、装置の大型化や設備コストの増加を抑制することができる。また、既存の紙継ぎ装置103を用いることで、ペースタブラシ120の作動時にウェブWに対する損傷を抑制しながら、必要な制動力を確保することができる。
本実施形態の給紙停止方法では、現巻取紙WRの回転による慣性力が予め設定された所定値より大きいとき、現巻取紙WRからのウェブWの供給停止時にブレーキ装置147を作動すると共にペースタブラシ120を作動する。従って、現巻取紙WRの回転による慣性力が所定値以下のときは、ブレーキ装置147だけを作動して現巻取紙WRの回転を停止し、現巻取紙WRの回転による慣性力が所定値より大きいとき、ブレーキ装置147とペースタブラシ120の両方を作動して現巻取紙WRの回転を停止することとなり、必要時だけ紙継ぎ装置103のペースタブラシ120を使用することで、紙継ぎ作業に悪影響を与えることなく、常時適正時期に現巻取紙WRの回転を停止することができる。
また、本実施形態の印刷機にあっては、給紙装置Rと印刷装置Uとウェブパス装置Dと折機Fとを設けている。従って、給紙装置Rにて、現巻取紙WRの回転を停止するための十分なブレーキ力を適正に確保することができ、適正時期に現巻取紙WRの回転を停止することができる。そして、現巻取紙WRの回転を停止するためのブレーキ力を確保するために、紙継ぎ装置103のペースタブラシ120を用いることで、別のブレーキ装置を追加する必要はなく、装置の大型化や設備コストの増加を抑制することができる。また、既存の紙継ぎ装置103を用いることで、ペースタブラシ120の作動時にウェブWに対する損傷を抑制しながら、必要な制動力を確保することができる。
本実施形態の印刷機では、停電信号が入力すると、ブレーキ装置147を作動すると共にペースタブラシ120を作動する。従って、同時に緊急停止する印刷装置Uと折機Fの停止動作に同期させて給紙装置Rを停止することができる。
本実施形態の印刷機では、停電信号が入力すると、給紙装置Rから印刷装置UまでのウェブWのテンションが適正値に維持されるように、ブレーキ装置147とペースタブラシ120を作動する。従って、停電時に、ウェブWのテンションが適正値に維持されるように給紙装置Rを停止することで、ウェブWの断紙を防止しながら印刷機Pを停止することができ、停電の復帰時に、早期に印刷機Pを稼働することができる。
なお、上述した実施形態では、使用前の巻取紙WRの外径データと紙厚データと現巻取紙WRの回転数に基づいて現巻取紙WRの外径を算出し、これを所定値と比較するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、使用前の巻取紙WRの外径データと紙厚データと現巻取紙WRの回転速度が予めわかっていれば、現巻取紙WRの外径が所定値になる時間が推定されることから、紙継ぎをしてから所定時間が経過したら、巻取紙WRの外径が所定値以下になったものと推定するように構成してもよい。
また、上述した実施形態では、光電センサ182の検出結果に基づいて現巻取紙WRの外表面とペースタブラシ120との所定距離Lが維持されるように、駆動装置117によりペースタアーム113を現巻取紙WR側に移動するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、ペースタアーム113に代えてペースタレバー118を現巻取紙WR側に移動するように構成してもよい。また、現巻取紙WRの外表面とペースタブラシ120との所定距離Lが維持されるように、支持アーム101、アーム部101a,101b,101c、巻取紙WRをペースタブラシ120側に移動するように構成してもよい。
また、上述した実施形態では、本発明の押圧部材としてペースタブラシ120やペースタローラを用いたが、押圧したときに巻取紙WRの表面が損傷しないものであればよく、ゴムなどの弾性部材、スポンジ、布などを用いてもよい。
また、上述した実施形態では、停電時の処理として説明したが、別の要因で印刷機を停止する場合に適用してもよい。