JP6751615B2 - モータシステム - Google Patents

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Description

本発明は、動作対象物を動作させるモータと、モータの回転をフィードバック制御するモータ制御装置とを備えるモータシステムに関する。
従来、ロボットなどを動作させるモータの制御装置として、P−PI制御(比例・比例積分制御)でモータを制御するモータ制御装置が知られている。P−PI制御を行うモータ制御装置では、モータの回転位置と回転速度とがフィードバックされると共に、回転位置の偏差に対して比例制御(P制御)が行われ、回転速度の偏差に対して比例積分制御(PI制御)が行われる。
従来、この種のP−PI制御を行うモータシステムとしては、例えば、特許文献1に開示された電動機制御装置を用いたものがある。この電動機制御装置は、機械共振に起因する振動成分を抽出し、抽出振動信号として出力する振動抽出フィルタを備える。ノッチ制御部は、抽出振動信号および第2ノッチフィルタ出力信号に基づき、第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が減少するように、第1ノッチフィルタおよび第2ノッチフィルタの各ノッチ中心周波数を変更する。また、ノッチ深さ制御部は、抽出振動信号に基づいて第1ノッチフィルタのノッチ深さを変更する。判断制御部は、各ノッチフィルタのパラメータをオートチューニングして、機械振動を抑制する。すなわち、第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が所定値より大きい場合、ノッチ制御部を動作させ、機械共振の発振による振動成分が減少するように、第1ノッチフィルタおよび第2ノッチフィルタの各ノッチ中心周波数を変更する。また、第2ノッチフィルタ出力信号の振幅が所定値より小さい場合、ノッチ深さ制御部を動作させ、機械共振の発振による振動成分が減少するように、第1ノッチフィルタのノッチ深さを変更する。
また、従来、P−PI制御を行うモータシステムとして、例えば、特許文献2に開示されたモータ制御装置を用いたものもある。このモータ制御装置は、負荷イナーシャ値JLと目標応答周波数ωfを入力すると、モータイナーシャ値JMとの比から求めたイナーシャ値補正ゲインJCOM=((JL+JM)/JM)0.5を用いて、速度ループゲインkv、速度積分時定数ti、位置ループゲインkp、トルクフィルタ定数tf、電流ループゲインki、電流積分時定数ta、およびフィルタ時定数tvを設定する。すなわち、複数個あるこれらの制御パラメータは、1つのパラメータである目標応答周波数ωfと、イナーシャ値補正ゲインJCOMとから、オートチューニングされる。
また、従来、ロバスト極配置制御を行うモータシステムとして、例えば、特許文献3に開示されたものがある。このモータシステムにおけるモータ制御装置は、モータの回転位置指令を入力とし、モータの回転位置を出力とする閉ループ系を有する。閉ループ系は、前向き経路において、第1の加え合わせ点、比例ゲイン要素、第2の加え合わせ点、積分フィルタ要素、モータゲイン要素およびモータ要素を備える。また、第1の加え合わせ点には第1帰還経路が負帰還接続され、第2の加え合わせ点には微分フィルタ要素を介して第2帰還経路が負帰還接続される。このモータシステムでは、動作対象物やモータのイナーシャが大きくなったときに動作対象物やモータに振動が生じても、イナーシャ検出手段での検出結果に基づいて、外乱応答特性に関する制御パラメータqおよびqがオートチューニングされる。この調整により、動作対象物やモータの振動を抑制しつつ、閉ループ系の特性が一定に保たれる。
特許第5873975号公報 特許第3561911号公報 特開2016−35676号公報
しかしながら、振動を検出して制御パラメータをオートチューニングする上記従来の特許文献1および特許文献3に記載のモータシステムでは、振動の周波数および振動の振幅を解析する処理が必要となる。そのためには、振動の周波数の1/2よりも十分高い周波数でモータから速度検出信号をサンプリングし、解析しないと、振動抽出の十分な分解能が得られない。このため、上記従来の特許文献1および特許文献3に記載のモータシステムでは、モータ制御装置に用いられる演算装置に速い演算速度が必要とされ、演算負荷が大きくなってしまう。
また、上記従来の特許文献2に記載のモータシステムでは、制御パラメータの演算に用いられるイナーシャ値補正ゲインJCOMの計算に平方根((JL+JM)/JM)0.5を使う。このため、上記従来の特許文献2に記載のモータシステムでは、その平方根の計算により、モータ制御装置に用いられる演算装置の演算負荷が大きくなってしまう。
上記の課題を解決するため、本発明は、
動作対象物を動作させるモータと、モータの回転をフィードバック制御するモータ制御装置とを備えるモータシステムにおいて、
モータの回転速度指令を入力すると共にモータの回転位置をフィードバック制御して回転速度を出力する、速度ループゲインを因子に含む伝達関数を構成する閉ループ系と、
動作対象物およびモータのイナーシャを検出するイナーシャ検出手段と、
モータに電力を供給するアンプの固定ゲインとモータのトルク定数とを含む固定値を動作対象物およびモータのイナーシャで割った値であるゲインKをモータ位置伝達要素への入力とモータ位置伝達要素からの出力とに基づいて同定する適応同定手段と、
モータに電力を供給するアンプの固定ゲインとモータのトルク定数とを含む固定値をモータのイナーシャで割った値であるゲインKのゲインKに対するイナーシャ比Grを算出し、算出したイナーシャ比Grを用いた、イナーシャ比Grを因子とする所定の関数値に対する任意のパラメータ定数Riの比から速度ループゲインを算出する算出手段とを備え、
パラメータ定数Riをモータと動作対象物との間における動力伝達機構の種類に応じた値とし、算出手段で算出された速度ループゲインによって伝達関数を補正する
ことを特徴とする。
適応同定手段は、モータ位置伝達要素への入力とモータ位置伝達要素からの出力とに基づいて、動作対象物およびモータのイナーシャを同定することで、イナーシャ検出手段を構成することが出来る。
本構成によれば、伝達関数の因子である速度ループゲインは、モータに負荷が繋がっていないときにおけるゲインKの、モータに負荷が繋がったときにおけるゲインKに対するイナーシャ比Gr(=K/K)を算出手段によって算出し、算出したイナーシャ比Grを用いた、イナーシャ比Grを因子とする所定の関数値f(Gr)に対する任意のパラメータ定数Riの比(=Ri/f(Gr))を求めることで、簡単に算出される。速度ループゲインは、一定の比例定数Riで関数値f(Gr)に反比例し、イナーシャ比Grが大きくなると小さくなる傾向を示す。イナーシャ比Grが大きくなると、制御対象のゲイン周波数特性の機械共振周波数におけるゲインピークおよび機械共振周波数より高い周波数におけるゲインは大きくなり、発振しやすくなる。しかし、本構成では、これを打ち消す方向に速度ループゲインが下がるので、閉ループ系の安定度を示すゲイン余裕が確保される。したがって、算出手段を構成する演算処理装置(CPU)の演算処理負荷を大きくすることなく、オートチューニングで振動を抑制することが出来る。この結果、CPUの演算処理負荷が少なく、処理速度が遅いCPUを使うことも出来るので、モータ制御装置のコストを削減することが出来る。
また、2慣性系または多慣性系の駆動系に対して、1慣性系の駆動系と同じように推定された負荷イナーシャにより制御ゲインを更新すると、サーボ発振する。しかし、本構成によれば、2慣性系または多慣性系の駆動系における共振に対して、簡単な演算処理で、発振を抑制することが出来る。
また、本発明は、
閉ループ系が、速度ループゲインおよび位置ループゲインを因子に含む伝達関数を構成し、回転速度指令に代えてモータの回転位置指令を入力すると共にモータの回転位置をフィードバック制御して回転位置を出力し、
算出手段が、速度ループゲインと一定の関係を有する値を位置ループゲインの値として算出し、
算出手段で算出された速度ループゲインおよび位置ループゲインによって伝達関数を補正する
ことを特徴とする。
本構成によれば、位置ループゲインの値は、速度ループゲインと一定の関係を有する値として算出手段によって簡単に算出され、速度ループゲインに対して制御系のバランスが良い値にオートチューニングされる。このため、制御が不安定になることのない、モータの回転速度とモータの回転位置とを考慮した安定なフィードバック制御を、簡単な演算処理で、CPUに負荷を掛けずに行うことが出来る。
また、本発明は、
閉ループ系が、第1比例ゲイン伝達要素、モータの回転速度指令が入力される第1の加え合わせ点、積分フィルタ伝達要素、モータゲイン伝達要素およびモータ位置伝達要素を有する前向き経路、並びに、モータの回転位置を微分フィルタ伝達要素を介して第1の加え合わせ点に負帰還する第1帰還経路を有し、
動作対象物およびモータの速度を制御する希望特性を有する閉ループ系の希望伝達関数が、速度ループゲインをm、ラプラス演算子をsとすると、演算式m/(s+m)で規定され、
適応同定手段によってモータ位置伝達要素への入力とモータ位置伝達要素からの出力とに基づいて同定される、動作対象物およびモータの粘性に関わる項を動作対象物およびモータのイナーシャで割った値であるゲインをp、外乱応答特性に関する制御パラメータをqおよびq、閉ループ系の特性を希望伝達関数に一致させるパラメータをa=q+m−p、b=q・m、b=(q−p)・(m−p)+qとしたときに、
第1比例ゲイン伝達要素はm
積分フィルタ伝達要素は(s+q・s+q)/(s+a・s)、
モータゲイン伝達要素は1/K、
モータ位置伝達要素はK/(s+p・s)、
微分フィルタ伝達要素は(b・s+b・s)/(s+q・s+q
で表わされ、
モータ制御装置にはmとq、qとの関係が対応付けられたテーブルが記憶され、
算出手段は、算出した速度ループゲインmからq、qへの変換をテーブルを参照して行う
ことを特徴とする。
本構成によれば、mとq、qとの関係が対応付けられたテーブルがモータ制御装置に記憶されているため、mからq、qへ変換する演算処理はテーブルを単に検索することで行える。このため、演算処理時間が短縮されると共に、CPUの演算処理負荷が一層低減される。
また、本発明は、
閉ループ系が、第1比例ゲイン伝達要素、モータの回転速度指令が入力される第1の加え合わせ点、積分フィルタ伝達要素、モータゲイン伝達要素およびモータ位置伝達要素を有する前向き経路、並びに、モータの回転位置を微分フィルタ伝達要素を介して第1の加え合わせ点に負帰還する第1帰還経路を有し、
動作対象物およびモータの速度を制御する希望伝達関数が、速度ループゲインをm、ラプラス演算子をsとすると、演算式m/(s+m)で規定され、
適応同定手段によってモータ位置伝達要素への入力とモータ位置伝達要素からの出力とに基づいて同定される、動作対象物およびモータの粘性に関わる項を動作対象物およびモータのイナーシャで割った値であるゲインをp、外乱応答特性に関する制御パラメータをω、閉ループ系の特性を希望伝達関数に一致させるパラメータをb=ω・m、b=m−p+ωとしたときに、
第1比例ゲイン伝達要素はm
積分フィルタ伝達要素は(s+ω)/s、
モータゲイン伝達要素は1/K、
モータ位置伝達要素はK/(s+p・s)、
微分フィルタ伝達要素は(b・s+b・s)/(s+ω
で表わされ、
モータ制御装置にはmとωとの関係が対応付けられたテーブルが記憶され、
算出手段は、算出した速度ループゲインmからωへの変換をテーブルを参照して行う
ことを特徴とする
本構成によれば、mとωとの関係が対応付けられたテーブルがモータ制御装置に記憶されているため、mからωへ変換する演算処理はテーブルを単に検索することで行える。このため、演算処理時間が短縮されると共に、CPUの演算処理負荷が一層低減される。
また、本発明は、
閉ループ系が、回転速度指令に代えてモータの回転位置指令が入力される第2の加え合わせ点、第2比例ゲイン伝達要素、第1の加え合わせ点、積分フィルタ伝達要素、モータゲイン伝達要素およびモータ位置伝達要素を有する前向き経路、モータの回転位置を微分フィルタ伝達要素を介して第1の加え合わせ点に負帰還する第1帰還経路、並びに、モータの回転位置を第2の加え合わせ点に直接負帰還する第2帰還経路を有し、
動作対象物およびモータの位置を制御する希望伝達関数が、速度ループゲインをm、位置ループゲインをm/m、ラプラス演算子をsとすると、演算式m/(s+m・s+m)で規定され、
適応同定手段によってモータ位置伝達要素への入力とモータ位置伝達要素からの出力とに基づいて同定される、動作対象物およびモータの粘性に関わる項を動作対象物およびモータのイナーシャで割った値であるゲインをp、外乱応答特性に関する制御パラメータをqおよびq、閉ループ系の特性を希望伝達関数に一致させるパラメータをa=q+m−p、b=q・m、b=(q−p)・(m−p)+qとしたときに、
第2比例ゲイン伝達要素はm
積分フィルタ伝達要素は(s+q・s+q)/(s+a・s)、
モータゲイン伝達要素は1/K、
モータ位置伝達要素はK/(s+p・s)、
微分フィルタ伝達要素は(b・s+b・s)/(s+q・s+q
で表わされ、
モータ制御装置にはmとm、q、qとの関係が対応付けられたテーブルが記憶され、
算出手段は、算出した速度ループゲインmからm、q、qへの変換をテーブルを参照して行う
ことを特徴とする。
本構成によれば、mとm、q、qとの関係が対応付けられたテーブルがモータ制御装置に記憶されているため、mからm、q、qへ変換する演算処理はテーブルを単に検索することで行える。このため、演算処理時間が短縮されると共に、CPUの演算処理負荷が一層低減される。
また、本発明は、イナーシャ比Grを因子とする前記所定の、速度ループゲインを算出する関数が、イナーシャ比Grのみを因子とする1次関数であることを特徴とする。
本構成によれば、速度ループゲインm,Kvpの値は、イナーシャ比Grの増加に対して単純な反比例の関係で減少する。このため、速度ループゲインm,Kvpの値を算出するCPUの演算処理は簡単になり、CPUの演算処理負荷をさらに抑えることが出来る。
また、本発明は、イナーシャ比Grを因子とする前記所定の、速度ループゲインを算出する関数が、イナーシャ比Grと定数を因子とする1次関数であることを特徴とする。
本構成によれば、速度ループゲインm,Kvpとイナーシャ比Grとの反比例関係を定数の値分調整することが出来る。このため、速度ループゲインm,Kvpの設定範囲を広めつつ、CPUの演算処理負荷を抑えることが出来る。
また、本発明は、イナーシャ比Grを因子とする前記所定の、速度ループゲインを算出する関数が、イナーシャ比Grと定数を因子とする2次関数であることを特徴とする。
本構成によれば、速度ループゲインm,Kvpの値は、単純な反比例関係と異なる、イナーシャ比Grの増加に対して単調に減少する所望の関係に設定することが出来る。このため、閉ループ系の指令応答特性と振動抑制特性との両立を図ることが出来る。
また、本発明は、パラメータ定数Riが、モータと動作対象物との間における動力伝達機構の種類に応じた複数の値としてモータ制御装置に記憶されていることを特徴とする。
本構成によれば、ユーザは、モータ制御装置に予め記憶された複数のパラメータ定数Riの中から、動力伝達機構の種類に応じたパラメータ定数Riの値を単に選択することで、パラメータ設定をすることが出来る。このため、ユーザーの利便性を高めたモータシステムを提供することが出来る。
また、本発明は、イナーシャ比Grの上限値に制限が設定されていることを特徴とする。
イナーシャ比Grの増加に応じて速度ループゲインm,Kvpの値が小さくなり過ぎ、イナーシャ比Grの値に対応した速度ループゲインm,Kvpの値を設定できない場合、例えば、イナーシャ比Grの値に対応した速度ループゲインm,Kvpの値が、テーブルに設定された最小レベルの速度ループゲインm,Kvpの値より小さい場合、速度ループゲインm,Kvpの値を下げることが出来ない。このような場合、設定可能な速度ループゲインm,Kvpの最小値m1min,Kvpminから関係式(m=Ri/f(Gr)、Kvp=Ri/f(Gr))に基づいて求められるイナーシャ比Gr(=Ri/m1min、=Ri/Kvpmin)をイナーシャ比Grの上限値として設定し、本構成のようにイナーシャ比Grの上限値に制限を掛けておくことで、イナーシャ比Grの値に対応した速度ループゲインm,Kvpの値の下限に制限がかかる。このため、関係式(m=Ri/f(Gr),Kvp=Ri/f(Gr))が常に成立し、速度ループゲインm,Kvpの値を設定出来なくなることはなくなる。
本発明のモータシステムによれば、上記のように、CPUの演算処理負荷を大きくすることなく、オートチューニングで振動を抑制することが出来る。
本発明の各実施形態にかかるモータシステムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態にかかるモータシステムにおける閉ループ系を表すブロック線図である。 (a)は、第1の実施形態にかかるモータシステムにおける速度ループゲインmとイナーシャ比Grとの関係を単純な反比例関係で示したグラフ、(b)は、第3の実施形態の変形例にかかるモータシステムにおける、イナーシャ比Grに上限値grcamaxが設定されたときにおけるイナーシャ比Grの時間変化を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態にかかるモータシステムにおける閉ループ系を表すブロック線図である。 本発明の第3の実施形態にかかるモータシステムにおける閉ループ系を表すブロック線図である。 本発明の第4の実施形態にかかるモータシステムにおける閉ループ系を表すブロック線図である。 本発明の第5の実施形態にかかるモータシステムにおける閉ループ系を表すブロック線図である。 本発明の第3の実施形態の変形例にかかるモータシステムにおける閉ループ系を表すブロック線図である。
次に、本発明によるモータシステムを実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の各実施形態にかかるモータシステム1の概略構成を示すブロック図である。
モータシステム1は、動作対象物2を動作させるモータ3と、モータ3を制御するモータ制御装置4とを備えている。モータ3は、ACサーボモータまたはDCサーボモータであり、たとえば、動作対象物2である産業用ロボットのアームなどを動作させる。動作対象物2は、ベルトなどの動力伝達機構6を介してモータ3に接続される。モータ3は、モータ3の回転位置を検出するための検出機構(エンコーダ)5を備えている。検出機構5の出力信号は、モータ3の回転をフィードバック制御するモータ制御装置4に入力されている。モータ制御装置4のモータ制御回路は、アナログ回路(連続時間系の回路)によって構成されているが、デジタル回路(離散時間系の回路)で構成されてもよいし、ソフトウエアによって構成されてもよい。
図2は、本発明の第1の実施形態にかかるモータシステム1における閉ループ系8Aを表すブロック線図である。
閉ループ系8Aは、第1比例ゲイン伝達要素9、モータ3の回転速度指令が入力される第1の加え合わせ点10、積分フィルタ伝達要素11、モータゲイン伝達要素12およびモータ位置伝達要素13を有する前向き経路、並びに、モータ3の回転位置をモータ位置伝達要素13から微分フィルタ伝達要素14を介して第1の加え合わせ点10に負帰還する第1帰還経路(第1フィードバック経路)を有し、モータ3の回転速度指令を入力すると共に、モータ3の回転位置をフィードバック制御して回転速度を出力する。この閉ループ系8Aは、速度ループゲインmを因子に含む伝達関数を構成し、ラプラス演算子をsとすると、速度の希望伝達関数は演算式m/(s+m)で規定される。希望伝達関数は、動作対象物2に応じてモータ3を適切に制御する希望特性を有する。動作対象物2は、閉ループ系8Aによって回転制御されるモータ3によって動作対象速度が設定される。
適応同定手段21は、モータ3に電力を供給するアンプの固定ゲインとモータ3のトルク定数とを含む固定値を動作対象物2およびモータ3のイナーシャで割った値であるゲインK(=(アンプの固定ゲイン)×(モータ3の固定値)/(動作対象物2およびモータ3のイナーシャ))を、モータ位置伝達要素13への入力とモータ位置伝達要素13からの出力とに基づいて、同定する。この同定は、最小二乗法等の同定法によって所定時間間隔で逐次行われる。なお、ここでいうアンプとは、閉ループ系8Aにおけるモータ位置伝達要素13を除いた構成部分である。また、本実施形態では、適応同定手段21はイナーシャ検出手段を構成し、モータ位置伝達要素13への入力とモータ位置伝達要素13からの出力とに基づき、動作対象物2およびモータ3のイナーシャを最小二乗法等の同定法によって同定し、所定時間間隔で逐次検出する。さらに、適応同定手段21は、モータ位置伝達要素13への入力とモータ位置伝達要素13からの出力とに基づいて、動作対象物2およびモータ3の粘性に関わる項を動作対象物2およびモータ3のイナーシャで割った値であるゲインpを、同定する。この同定も、最小二乗法等の同定法によって所定時間間隔で逐次行われる。
外乱応答特性に関する制御パラメータをqおよびqとし、閉ループ系8Aの特性を希望伝達関数に一致させるパラメータであるa,bおよびbをそれぞれ次の式(1),(2),(3)で表したときに、
=q+m−p …(1)
=q …(2)
=(q−p)(m−p)+q …(3)
第1比例ゲイン伝達要素9はm、積分フィルタ伝達要素11は(s+q・s+q)/(s+a・s)、モータゲイン伝達要素12は1/K、モータ位置伝達要素13はK/(s+p・s)、微分フィルタ伝達要素14は(b・s+b・s)/(s+q・s+q)で表わされる。
第1ゲイン変換手段15には、ユーザによって設定される任意のパラメータ定数Riが入力される。第1ゲイン変換手段15は、適応同定手段21で同定されたゲインKと入力されたパラメータ定数Riとに基づき、ゲインKのゲインKに対するイナーシャ比Gr(=K/K)を算出する。ここでゲインKは、モータ3に電力を供給するアンプの固定ゲインとモータ3のトルク定数とを含む固定値をモータ3のイナーシャで割った値(=(アンプの固定ゲイン)×(モータ3の固定値)/(モータ3のイナーシャ))である。そして、第1ゲイン変換手段15は、算出したイナーシャ比Grを用いた、イナーシャ比Grを因子とする所定の関数値(f(Gr))に対するパラメータ定数Riの比(=Ri/f(Gr))から、速度ループゲインmを算出する。本実施形態では、所定の関数f(Gr)がGrに設定されており(f(Gr)=Gr)、速度ループゲインmは次の式(4)で表される。
=Ri/Gr …(4)
モータ制御装置4には、mとq、qとの関係が、mの低下に応じてq、qも低下するように対応付けられた第1テーブルが記憶されている。第2ゲイン変換手段16は、第1ゲイン変換手段15が算出した速度ループゲインmからq、qへの変換を第1テーブルを参照して行う。この際、第1ゲイン変換手段15が算出した速度ループゲインmの値に最も近いテーブル値のmから、q、qへの変換を行う。第3ゲイン変換手段17は、第1ゲイン変換手段15で算出されたmと、適応同定手段21で同定されたゲインpとから、式(1),(2),(3)に基づき、a,bおよびbをそれぞれ算出する。
第1ゲイン変換手段15および第2ゲイン変換手段16は、イナーシャ比Grを算出し、算出したイナーシャ比Grを用いて式(4)により速度ループゲインmを算出する算出手段を構成する。第1ゲイン変換手段15、第2ゲイン変換手段16および第3ゲイン変換手段17は、本実施形態では、モータ制御装置4に備えられたマイコンのCPUによって構成される。モータ制御装置4は、第1ゲイン変換手段15で算出された速度ループゲインmを第1比例ゲイン伝達要素9に与えて、第1比例ゲイン伝達要素9を所定時間間隔で逐次更新する。また、第2ゲイン変換手段16で求まったq,q、および第3ゲイン変換手段17で算出されたa,b,bを積分フィルタ伝達要素11および微分フィルタ伝達要素14に与えて、積分フィルタ伝達要素11および微分フィルタ伝達要素14をそれぞれ所定時間間隔で逐次更新する。また、適応同定手段21は同定したゲインKをモータゲイン伝達要素12に与えて、モータゲイン伝達要素12を所定時間間隔で逐次更新する。
これらの更新により、閉ループ系8Aの伝達関数が所定時間間隔で逐次補正され、動作対象物2やモータ3のイナーシャが大きくなって振動が強くなる傾向になっても、閉ループ系8Aの伝達関数を希望伝達関数に自動的に一致させることができる。このため、動作対象物2やモータ3のイナーシャが大きくなっても、閉ループ系8Aの特性を安定になるように変化させて振動を抑制することが可能になる。
このような第1の実施形態によるモータシステム1によれば、速度ループゲインmは、モータ3に動作対象物2が繋がっていないときにおけるゲインKの、モータ3に動作対象物2が繋がったときにおけるゲインKに対するイナーシャ比Gr(=K/K)を第1ゲイン変換手段15によって算出し、算出したイナーシャ比Grに対する任意のパラメータ定数Riの比(=Ri/Gr)を求めることで、簡単に算出される。
図3(a)のグラフは、速度ループゲインmとイナーシャ比Grとの関係を式(4)で表される単純な反比例関係で示したグラフである。同グラフの横軸はイナーシャ比Gr、縦軸は速度ループゲインmである。各特性線a,b,cは、それぞれ比例定数Riの値がRi1,Ri2,Ri3(Ri1<Ri2<Ri3)のときの特性を示している。同グラフに示すように、速度ループゲインmは、一定の比例定数Riでイナーシャ比Grに反比例し、イナーシャ比Grが大きくなると小さくなる傾向を示す。また、比例定数Riの値が小さいほど、イナーシャ比Grの増加に対して速度ループゲインmの値を下げる作用が強くなる。
比例定数Riは、ユーザによって設定される制御パラメータであり、動力伝達機構6の剛性に応じて設定される。例えば、動力伝達機構6がベルト駆動のような剛性が小さい機構である場合には、剛性が小さいほど、比例定数Riは小さな値に設定する。また、動作対象物2の粘性抵抗が小さいほど、比例定数Riは小さな値に設定する。比例定数Riが小さい場合、イナーシャ比Grの増加に応じた速度ループゲインmの値の低減率が大きくなり、指令応答性が穏やかになるが、振動抑制性能が向上する。mの値の低下に応じてq,qの値も低下するようにテーブル値を設定しておくと、さらに振動抑制効果が強くなる。
また、動力伝達機構6がボールねじ駆動のような剛性が大きい機構である場合には、剛性が大きいほど、比例定数Riは大きな値に設定し、速度ループゲインmが下がり過ぎないようにする。比例定数Riが大きい場合、イナーシャ比Grの増加に応じた速度ループゲインmの値の低減率が小さくなり、指令応答性が向上するが、振動抑制性能は低下する。
イナーシャ比Grが大きくなると、制御対象のゲイン周波数特性の機械共振周波数におけるゲインピークおよび機械共振周波数より高い周波数におけるゲインは大きくなり、発振しやすくなる。しかし、本実施形態によるモータシステム1では、イナーシャ比Grが大きくなると、上記のように、これを打ち消す方向に速度ループゲインmが下がるので、閉ループ系の安定度を示すゲイン余裕が確保される。また、速度ループゲインmは上記のように簡単に算出される。したがって、CPUの演算処理負荷を大きくすることなく、オートチューニングで振動を抑制することが出来る。この結果、CPUの演算処理負荷が少なく、処理速度が遅いCPUを使うことも出来るので、モータ制御装置4を構成するマイコンのコストを削減することが出来る。ユーザは、このオートチューニングにより、モータシステムの使い始め時に無調整で発振させることなく、モータ3を動作させることが出来る。
また、2慣性系または多慣性系の駆動系に対して、1慣性系の駆動系と同じように推定された負荷イナーシャにより制御ゲインを更新すると、サーボ発振する。しかし、本実施形態によれば、2慣性系または多慣性系の駆動系における共振に対して、簡単な演算処理で、発振を抑制することが出来る。
また、第1の実施形態によるモータシステム1によれば、mとq、qとの関係が対応付けられた第1テーブルがモータ制御装置4に記憶されている。このため、mからq、qへ変換する演算処理は、第2ゲイン変換手段16によって第1テーブルを単に検索することで行える。この結果、演算処理時間が短縮されると共に、CPUの演算処理負荷が一層低減される。
また、第1の実施形態によるモータシステム1では、イナーシャ比Grを因子とする所定の関数が、式(4)の分母に示されるように、イナーシャ比Grのみを因子とする1次関数として規定される。したがって、速度ループゲインmの値は、イナーシャ比Grの増加に対して単純な反比例の関係で減少する。このため、速度ループゲインmの値を算出するCPUの演算処理は簡単になり、CPUの演算処理負荷をさらに抑えることが出来る。
次に、本発明の第2の実施形態にかかるモータシステム1における閉ループ系8Bについて説明する。図4は、この閉ループ系8Bを表すブロック線図である。なお、同図において図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
閉ループ系8Bの速度の希望伝達関数も、第1の実施形態と同じ演算式m/(s+m)で規定される。しかし、外乱応答特性に関する制御パラメータをωとし、閉ループ系8Bの特性を希望伝達関数に一致させるパラメータであるbおよびbをそれぞれ次の式(5),(6)で表したときに、
=ω・m …(5)
=m−p+ω …(6)
積分フィルタ伝達要素11は(s+ω)/s、微分フィルタ伝達要素14は(b・s+b・s)/(s+ω)で表わされる。
また、モータ制御装置4には、mとωとの関係が、mの低下に応じてωも低下するように対応付けられた第2テーブルが記憶されている。第2ゲイン変換手段16は、第1ゲイン変換手段15が前述のように算出した速度ループゲインmからωへの変換を、第2テーブルを参照して行う。第3ゲイン変換手段17は、第1ゲイン変換手段15で算出されたmと、適応同定手段21で同定されたゲインpとから、式(5),(6)に基づき、bおよびbをそれぞれ算出する。
モータ制御装置4は、第2ゲイン変換手段16で求まったω、および第3ゲイン変換手段17で算出されたb,bを積分フィルタ伝達要素11および微分フィルタ伝達要素14に与えて、積分フィルタ伝達要素11および微分フィルタ伝達要素14をそれぞれ所定時間間隔で逐次更新する。これらの更新により、閉ループ系8Bの伝達関数が所定時間間隔で逐次補正され、動作対象物2やモータ3のイナーシャが大きくなって振動が強くなる傾向になっても、閉ループ系8Bの伝達関数を希望伝達関数に自動的に一致させることができる。このため、動作対象物2やモータ3のイナーシャが大きくなっても、閉ループ系8Bの特性を安定になるように変化させて振動を抑制することが可能になる。
このような第2の実施形態によるモータシステム1によっても、速度ループゲインmは、イナーシャ比Gr(=K/K)を第1ゲイン変換手段15によって算出し、算出したイナーシャ比Grに対する任意のパラメータ定数Riの比(=Ri/Gr)を求めることで、簡単に算出される。このため、第2の実施形態によるモータシステム1によっても、CPUの演算処理負荷を大きくすることなく、オートチューニングで振動を抑制することが出来、第1の実施形態と同様な作用効果が奏される。
また、第2の実施形態によるモータシステム1においては、mとωとの関係が対応付けられた第2テーブルがモータ制御装置4に記憶されている。このため、mからωへ変換する演算処理は、第2ゲイン変換手段16によって第2テーブルを単に検索することで行える。このため、演算処理時間が短縮されると共に、CPUの演算処理負荷が一層低減される。
次に、本発明の第3の実施形態にかかるモータシステム1における閉ループ系8Cについて説明する。図5は、この閉ループ系8Cを表すブロック線図である。なお、同図において図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
閉ループ系8Cは、速度ループゲインmおよび位置ループゲインm/mを因子に含む伝達関数を構成し、回転速度指令に代えてモータ3の回転位置指令を入力すると共に、モータ3の回転位置をフィードバック制御して回転位置を出力する。閉ループ系8Cの位置の希望伝達関数は、演算式m/(s+m・s+m)で規定される。また、閉ループ系8Cは、図2に示す閉ループ系8Aに比べ、第1比例ゲイン伝達要素9に代えて、第2の加え合わせ点18と第2比例ゲイン伝達要素19とを、前向き経路における第1の加え合わせ点10の前段に有する。第2の加え合わせ点18には、回転速度指令に代えてモータ3の回転位置指令が入力されると共に、モータ3の回転位置がモータ位置伝達要素13から第2帰還経路(第2フィードバック経路)を介して直接負帰還される。第2比例ゲイン伝達要素19には、第2の加え合わせ点18から出力される、回転位置指令と回転位置との偏差が入力される。動作対象物2は、閉ループ系8Cによって回転制御されるモータ3によって動作対象位置が設定される。
この閉ループ系8Cでは、第2比例ゲイン伝達要素19はmで表わされ、積分フィルタ伝達要素11、モータゲイン伝達要素12および微分フィルタ伝達要素14は、図2に示す閉ループ系8Aと同様に表わされる。
また、モータ制御装置4には、mとm、q、qとの関係が、mの低下に応じてm、q、qも低下するように対応付けられた第3テーブルが記憶されている。第2ゲイン変換手段16は、第1ゲイン変換手段15が算出した速度ループゲインmから、m、q、qへの変換を第3テーブルを参照して行う。この際、第3テーブルのテーブル値は、速度ループゲインmと一定の関係を有する値が位置ループゲインm/mの値として算出されるように、設定されている。これは、mだけ単独で値を下げると、mとのバランスが悪くなり、制御が不安定になることがあるためである。そこで、mの値を下げたらmの値を下げ、mの値に応じてmの値を調整する。mの値に対してmの値をどれだけ下げるかは、1慣性系で安定となるようなmとmとの比率となるように決定する。
また、この際、第3テーブルのテーブル値は、速度ループゲインmと一定の関係を有する値がq、qの値として算出されるように、設定されている。これも、mだけ単独で値を下げると、制御が不安定になることがあるためである。そこで、mの値を下げたらq、qの値を下げ、mの値に応じてq、qの値を調整する。
第3ゲイン変換手段17は、第1ゲイン変換手段15で前述のように算出されたmと、適応同定手段21で同定されたゲインpとから、式(1),(2),(3)に基づき、閉ループ系8Cの特性を希望伝達関数に一致させるパラメータであるa,bおよびbをそれぞれ算出する。モータ制御装置4は、第2ゲイン変換手段16で求まったm,q,q、および第3ゲイン変換手段17で算出されたa,b,bを積分フィルタ伝達要素11、微分フィルタ伝達要素14および第2比例ゲイン伝達要素19に与えて、積分フィルタ伝達要素11、微分フィルタ伝達要素14および第2比例ゲイン伝達要素19をそれぞれ所定時間間隔で逐次更新する。これらの更新により、閉ループ系8Cの伝達関数が所定時間間隔で逐次補正され、動作対象物2やモータ3のイナーシャが大きくなって振動が強くなる傾向になっても、閉ループ系8Cの伝達関数を希望伝達関数に自動的に一致させることができる。このため、動作対象物2やモータ3のイナーシャが大きくなっても、閉ループ系8Cの特性を安定になるように変化させて振動を抑制することが可能になる。
このような第3の実施形態によるモータシステム1によっても、速度ループゲインmは、イナーシャ比Gr(=K/K)を第1ゲイン変換手段15によって算出し、算出したイナーシャ比Grに対する任意のパラメータ定数Riの比(=Ri/Gr)を求めることで、簡単に算出される。このため、第3の実施形態によるモータシステム1によっても、CPUの演算処理負荷を大きくすることなく、オートチューニングで振動を抑制することが出来、第1の実施形態と同様な作用効果が奏される。
また、第3の実施形態によるモータシステム1においては、mとm、q、qとの関係が対応付けられた第3テーブルがモータ制御装置4に記憶されているため、mからm、q、qへ変換する演算処理は、第2ゲイン変換手段16によって第3テーブルを単に検索することで行える。このため、演算処理時間が短縮されると共に、CPUの演算処理負荷が一層低減される。
また、第3の実施形態によるモータシステム1によれば、位置ループゲインm/mの値が、速度ループゲインmと一定の関係を有する値として第2ゲイン変換手段16によって簡単に算出され、速度ループゲインmに対して制御系のバランスが良い値にオートチューニングされる。このため、制御が不安定になることのない、モータ3の回転速度とモータ3の回転位置とを考慮した安定なフィードバック制御を、簡単な演算処理で、CPUに負荷を掛けずに行うことが出来る。
また、上記の閉ループ系8Cにおける、演算式m/(s+m・s+m)で規定される希望伝達関数は、以下のように変形することができる。
/(s+m・s+m)=ω・ω/(s+ω)・(s+ω
ここで、ω,ωは希望伝達関数の遮断周波数であり、以下の関係が成立する。
=ω・ω、m=ω+ω
したがって、第3の実施形態において、m,mを制御する代わりに、ω,ωを制御するようにしても良い。
また、積分フィルタ伝達要素11および微分フィルタ伝達要素14における特性多項式(s+q・s+q)は、以下のように変形することができる。
+q・s+q=(s+ωq1)・(s+ωq2
ここで、ωq1,ωq2について、以下の関係が成立する。
=ωq1・ωq2、q=ωq1+ωq2
また、調整を簡単にするために、次式のようにωq1とωq2を等しくしても良い。
ω=ωq1=ωq2
ここで、ωについて、以下の関係が成立する。
=ω 、q=2・ω
したがって、第1の実施形態および第3の実施形態において、q,qを制御する代わりに、ωq1,ωq2を制御するようにしても良い。
なお、上述した第1,第2および第3の各実施形態によるモータシステム1は、ロバスト極配置制御を行う場合について、説明した。しかし、P−PI制御を行うモータシステムにも本発明を同様に適用することが出来る。
図6は、PI速度制御を行う本発明の第4の実施形態にかかるモータシステム1における閉ループ系8Dを示すブロック線図である。なお、同図において図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
閉ループ系8Dは、速度ループゲインKvpを因子に含む伝達関数を構成し、モータ3の回転速度指令を入力すると共に、モータ3の回転位置をフィードバック制御して回転速度を出力する。閉ループ系8Dにおける第1の加え合わせ点10にはモータ3の回転速度指令が直接入力され、積分フィルタ伝達要素11には速度ループゲインKvpが比例ゲイン伝達要素として含まれている。閉ループ系8Dにおける積分フィルタ伝達要素11は速度積分ゲインをKviとするとKvp・(1+Kvi/s)、微分フィルタ伝達要素14は遮断周波数をωcとするとωc・s/(s+ωc)で表わされる。動作対象物2は、閉ループ系8Dによって回転制御されるモータ3によって動作対象速度が設定される。
この閉ループ系8Dにおいても、適応同定手段21で同定されたゲインKと、入力されたパラメータ定数Riとに基づき、ゲインKのゲインKに対するイナーシャ比Gr(=K/K)を算出する。そして、算出したイナーシャ比Grを用いた、イナーシャ比Grを因子とする所定の関数値に対するパラメータ定数Riの比から、速度ループゲインKvpを算出する。本実施形態では、式(4)に相当する演算式(Kvp=Ri/Gr)から、速度ループゲインKvpを算出する。さらに、算出した速度ループゲインKvpに基づいて、閉ループ系8Dにおける各制御パラメータをテーブルを参照して逐次更新する。このため、第4の実施形態によるモータシステム1によっても、速度ループゲインKvpが簡単に算出され、CPUの演算処理負荷を大きくすることなく、オートチューニングで振動を抑制することが出来て、第1の実施形態と同様な作用効果が奏される。
図7は、PI位置制御を行う本発明の第5の実施形態にかかるモータシステム1における閉ループ系8Eを示すブロック線図である。なお、同図において図6と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
閉ループ系8Eは、速度ループゲインKvpおよび位置ループゲインKppを因子に含む伝達関数を構成し、回転速度指令に代えてモータ3の回転位置指令を入力すると共に、モータ3の回転位置をフィードバック制御して回転位置を出力する。閉ループ系8Eは、図6に示す閉ループ系8Dに比べ、第2の加え合わせ点18と第2比例ゲイン伝達要素19とを、前向き経路における第1の加え合わせ点10の前段に有する。第2の加え合わせ点18には、回転速度指令に代えてモータ3の回転位置指令が入力されると共に、モータ3の回転位置がモータ位置伝達要素13から第2帰還経路を介して直接負帰還される。第2比例ゲイン伝達要素19には、第2の加え合わせ点18から出力される、回転位置指令と回転位置との偏差が入力される。動作対象物2は、閉ループ系8Eによって回転制御されるモータ3によって動作対象位置が設定される。
この閉ループ系8Eにおいても、適応同定手段21で同定されたゲインKと、入力されたパラメータ定数Riとに基づき、ゲインKのゲインKに対するイナーシャ比Gr(=K/K)を算出する。そして、算出したイナーシャ比Grを用いた、イナーシャ比Grを因子とする所定の関数値に対するパラメータ定数Riの比から、速度ループゲインKvpを算出する。本実施形態でも、式(4)に相当する演算式(Kvp=Ri/Gr)から、速度ループゲインKvpを算出する。さらに、算出した速度ループゲインKvpに基づいて、閉ループ系8Eにおける各制御パラメータをテーブルを参照して逐次更新する。
この際、位置ループゲインKppおよび速度積分ゲインKviの値は、速度ループゲインKvpと一定の関係を有する値が算出される。これは、Kvpだけ単独で値を下げると、KppおよびKviとのバランスが悪くなり、制御が不安定になることがあるためである。そこで、Kvpの値を下げたらKppおよびKviの値を下げ、Kvpの値に応じてKppおよびKviの値を調整する。Kvpの値に対してKppおよびKviの値をどれだけ下げるかは、1慣性系で安定となるようなKvpとKppおよびKviとの比率となるように決定する。
このような第5の実施形態によるモータシステム1によっても、速度ループゲインKvpおよび位置ループゲインKppが簡単に算出され、CPUの演算処理負荷を大きくすることなく、オートチューニングで振動を抑制することが出来て、第1の実施形態と同様な作用効果が奏される。
また、上述した第1〜第5の各実施形態によるモータシステム1においては、イナーシャ比Grを因子とする所定の関数f(Gr)がイナーシャ比Grのみを因子とする1次関数(f(Gr)=Gr)に設定され、速度ループゲインm,Kvpとイナーシャ比Grとが式(4)で表される単純な反比例関係にある場合について、説明した。しかし、イナーシャ比Grと定数Rid0を因子とする1次関数(f(Gr)=Gr+Rid0)によって所定の関数f(Gr)を表し、次の式(7.1),(7.2)によって速度ループゲインm,Kvpを規定してもよい。
=Ri/(Gr+Rid0) …(7.1)
Kvp=Ri/(Gr+Rid0) …(7.2)
式(7.1),(7.2)によれば、速度ループゲインm,Kvpとイナーシャ比Grとの反比例関係を定数の値Rid0分調整することが出来る。このため、速度ループゲインm,Kvpの設定範囲を広めつつ、CPUの演算処理負荷を抑えることが出来る。
また、イナーシャ比Grと定数Rid0を因子とする2次関数(f(Gr)=Gr+Rid1・Gr+Rid0)によって所定の関数f(Gr)を表し、次の式(8.1),(8.2)によって速度ループゲインm,Kvpを規定してもよい。
=Ri/(Gr+Rid1・Gr+Rid0) …(8.1)
Kvp=Ri/(Gr+Rid1・Gr+Rid0) …(8.2)
分母を2次の分数関数とする式(8.1),(8.2)によれば、速度ループゲインm,Kvpの値は、単純な反比例関係と異なる、イナーシャ比Grの増加に対して単調に減少する所望の関係に設定することが出来る。分母が1次関数の反比例関係よりも、分母を2次の分数関数とする方が、より指令応答特性と振動抑制特性の両立を図ることが出来る。
速度ループゲインm,Kvpを規定する各式(4)、(7.1),(7.2)、(8.1),(8.2)によって表される具体的な特性は、本実施形態では、速度ループゲインm,Kvpとイナーシャ比Grの関係を実験によって測定した点を通る特性になるように、決定した。分母の関数の次数が高いほど、関数値を測定点にフィッティングさせる精度を上げることが出来るが、CPUの演算処理負荷は大きくなる。
また、上述した第1〜第5の各実施形態によるモータシステム1においては、ユーザが任意のパラメータ定数Riをモータ制御装置4に全く自由に入力する場合について、説明した。しかし、パラメータ定数Riを、モータ3と動作対象物2との間の動力伝達機構6の種類に応じた複数の値として、モータ制御装置4に記憶しておく構成としてもよい。この構成によれば、ユーザは、モータ制御装置4に予め記憶された複数のパラメータ定数Riの中から、動力伝達機構6の種類に応じたパラメータ定数Riの値を単に選択することで、パラメータ設定をすることが出来る。このため、ユーザーの利便性を高めたモータシステム1を提供することが出来る。
また、上述した第1〜第5の各実施形態によるモータシステム1においては、速度ループゲインm,Kvpから各制御パラメータへの変換をテーブルを用いて行った場合について、説明した。しかし、テーブルを用いることなく、演算式を用いた演算により、速度ループゲインm,Kvpから各制御パラメータへの変換を行うようにしてもよい。
また、上述した第1〜第5の各実施形態によるモータシステム1において、イナーシャ比Grの上限値に制限を設定するように構成してもよい。
イナーシャ比Grの増加に応じて速度ループゲインm,Kvpの値が小さくなり過ぎ、イナーシャ比Grの値に対応した速度ループゲインm,Kvpの値を設定できない場合、例えば、イナーシャ比Grの値に対応した速度ループゲインm,Kvpの値が、テーブルに設定された最小レベルの速度ループゲインm,Kvpの値より小さい場合、速度ループゲインm,Kvpの値を下げることが出来ない。
このような場合、テーブルで設定可能な速度ループゲインmの最小値m1min,Kvpの最小値Kvpminから関係式(m=Ri/f(Gr),Kvp=Ri/f(Gr))に基づいて求められるイナーシャ比Grを、イナーシャ比Grの上限値として、モータ制御装置4に設定しておく。このようにイナーシャ比Grの上限値に制限を掛けておくことで、イナーシャ比Grの値に対応した速度ループゲインm,Kvpの値の下限に制限がかかる。このため、関係式(m=Ri/f(Gr),Kvp=Ri/f(Gr))が常に成立し、速度ループゲインm,Kvpの値を設定出来なくなることはなくなる。
例えば、速度ループゲインmの値が式(4)によって算出され、図3(a)のグラフに示すように、速度ループゲインmとイナーシャ比Grとの関係が単純な反比例関係(m=Ri/Gr)で表される場合、テーブルにおいて設定可能な速度ループゲインmの最小値をm1minとすると、イナーシャ比Grの上限値grcamaxは、式(4)に基づき、次の式(9)で表される。
grcamax=Ri/m1min …(9)
図3(b)は、イナーシャ比Grに上限値grcamaxが設定されたときにおけるイナーシャ比Grの時間変化を示すグラフである。同グラフの横軸は時間、縦軸はイナーシャ比Grである。同グラフに示すように、時間tにおいて、イナーシャ比Grに上限値grcamaxが設定されると、時間t以降は、鎖線で示すように漸増するイナーシャ比Grの推定値がgrcamax[%]に制限される。したがって、イナーシャ比Grの設定を式(9)で決まる上限値grcamaxに制限しておくことで、イナーシャ比Grの値に対応した速度ループゲインmの値の下限に制限がかかり、関係式(m=Ri/f(Gr))が常に成立し、速度ループゲインmの値を設定出来なくなることはなくなる。
また、図3(a)に示す、速度ループゲインmとイナーシャ比Grとの関係において、同グラフに示すように、速度ループゲインmの値に上限値m1maxを設定し、速度ループゲインmの値をユーザの希望する上限値m1maxで飽和させるようにすると、指令応答性を出来るだけ高くすることが出来る。このようなモータシステム1によれば、CPUの演算処理負荷を大きくすることなく、オートチューニングで振動を抑制し、指令応答性をユーザーの希望する特性に近付けることが出来る。
図8は、第3の実施形態によるモータシステム1において、イナーシャ比Grの上限値に制限を設定する構成を追加した変形例による閉ループ系8C’のブロック線図である。なお、同図において図5と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
閉ループ系8C’は、CPUによって構成されるGr上限値算出手段22およびリミッタ23を、閉ループ系8Cに追加して有する。この閉ループ系8C’では、図5で1/K(=Gr/K)で表されていたモータゲイン伝達要素12が、1/Kで表される伝達要素12aと、Grで表される伝達要素12bとの2つの伝達要素に分割されて、表現されている。Gr上限値算出手段22には、第3テーブルにおいて設定可能な速度ループゲインmの最小値m1min、およびパラメータ定数Riが与えられている。Gr上限値算出手段22は、最小値m1minおよびパラメータ定数Riから、イナーシャ比Grの上限値grcamaxを式(9)によって算出し、記憶する。式(4)によって算出される速度ループゲインmの値が第3テーブルにおいて下限飽和すると、リミッタ23は、伝達要素12bにおけるGrの値を、Gr上限値算出手段22によって算出された上限値grcamaxに制限する。これにより、1/K設定値が上がり過ぎないように、言い換えると、K設定値が下がり過ぎないように、制限される。したがって、関係式(m=Ri/Gr)が常に成立し、速度ループゲインmの値を設定出来なくなることはなくなる。
また、上述した第1〜第5の各実施形態および上記変形例によるモータシステム1においては、閉ループ系8A,8B,8C,8C’,8D,8Eの伝達関数が多慣性系の特性を規定する場合について、説明した。しかし、閉ループ系の伝達関数が1慣性系の特性を規定する場合においても、本発明を同様に適用することが出来る。このような構成によれば、閉ループ系の指令応答特性は低下するが、ユーザーが制御対象装置の剛性が高い1慣性系か、制御剛性が低い多慣性系か、意識することなく、制御による発振を防止することができる。
また、上述した第1〜第5の各実施形態および上記変形例によるモータシステム1においては、適応同定手段21が、動作対象物2およびモータ3のイナーシャを検出するイナーシャ検出手段を構成している場合について、説明した。しかし、モータ制御装置4は、適応同定手段21に加えて、動作対象物2およびモータ3のイナーシャを検出するイナーシャ検出手段を別途備えるように構成してもよい。
1…モータシステム
2…動作対象物
3…モータ
4…モータ制御装置
6…動力伝達機構
8A,8B,8C,8C’,8D,8E…閉ループ系
9…第1比例ゲイン伝達要素
10…第1の加え合わせ点
11…積分フィルタ伝達要素
12…モータゲイン伝達要素
13…モータ位置伝達要素
14…微分フィルタ伝達要素
15…第1ゲイン変換手段
16…第2ゲイン変換手段
17…第3ゲイン変換手段
18…第2の加え合わせ点
19…第2比例ゲイン伝達要素
21…適応同定手段

Claims (11)

  1. 動作対象物を動作させるモータと、前記モータの回転をフィードバック制御するモータ制御装置とを備えるモータシステムにおいて、
    前記モータの回転速度指令を入力すると共に前記モータの回転位置をフィードバック制御して回転速度を出力する、速度ループゲインを因子に含む伝達関数を構成する閉ループ系と、
    前記動作対象物および前記モータのイナーシャを検出するイナーシャ検出手段と、
    前記モータに電力を供給するアンプの固定ゲインと前記モータのトルク定数とを含む固定値を前記動作対象物および前記モータのイナーシャで割った値であるゲインKをモータ位置伝達要素への入力とモータ位置伝達要素からの出力とに基づいて同定する適応同定手段と、
    前記モータに電力を供給するアンプの固定ゲインと前記モータのトルク定数とを含む固定値を前記モータのイナーシャで割った値であるゲインKの前記ゲインKに対するイナーシャ比Grを算出し、算出した前記イナーシャ比Grを用いた、前記イナーシャ比Grを因子とする所定の関数値に対する任意のパラメータ定数Riの比から前記速度ループゲインを算出する算出手段とを備え、
    前記パラメータ定数Riを前記モータと前記動作対象物との間における動力伝達機構の種類に応じた値とし、前記算出手段で算出された前記速度ループゲインによって前記伝達関数を補正する
    ことを特徴とするモータシステム。
  2. 前記閉ループ系は、前記速度ループゲインおよび位置ループゲインを因子に含む伝達関数を構成し、前記回転速度指令に代えて前記モータの回転位置指令を入力すると共に前記モータの回転位置をフィードバック制御して回転位置を出力し、
    前記算出手段は、前記速度ループゲインと一定の関係を有する値を前記位置ループゲインの値として算出し、
    前記算出手段で算出された前記速度ループゲインおよび前記位置ループゲインによって前記伝達関数を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータシステム。
  3. 前記閉ループ系は、第1比例ゲイン伝達要素、前記モータの回転速度指令が入力される第1の加え合わせ点、積分フィルタ伝達要素、モータゲイン伝達要素およびモータ位置伝達要素を有する前向き経路、並びに、前記モータの回転位置を微分フィルタ伝達要素を介して前記第1の加え合わせ点に負帰還する第1帰還経路を有し、
    前記動作対象物および前記モータの速度を制御する希望特性を有する希望伝達関数は、前記速度ループゲインをm、ラプラス演算子をsとすると、演算式m/(s+m)で規定され、
    前記適応同定手段によって前記モータ位置伝達要素への入力と前記モータ位置伝達要素からの出力とに基づいて同定される、前記動作対象物および前記モータの粘性に関わる項を前記動作対象物および前記モータのイナーシャで割った値であるゲインをp、外乱応答特性に関する制御パラメータをqおよびq、前記閉ループ系の特性を前記希望伝達関数に一致させるパラメータをa=q+m−p、b=q・m、b=(q−p)・(m−p)+qとしたときに、
    前記第1比例ゲイン伝達要素はm
    前記積分フィルタ伝達要素は(s+q・s+q)/(s+a・s)、
    前記モータゲイン伝達要素は1/K、
    前記モータ位置伝達要素はK/(s+p・s)、
    前記微分フィルタ伝達要素は(b・s+b・s)/(s+q・s+q
    で表わされ、
    前記モータ制御装置にはmとq、qとの関係が対応付けられたテーブルが記憶され、
    前記算出手段は、算出した前記速度ループゲインmからq、qへの変換を前記テーブルを参照して行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータシステム。
  4. 前記閉ループ系は、第1比例ゲイン伝達要素、前記モータの回転速度指令が入力される第1の加え合わせ点、積分フィルタ伝達要素、モータゲイン伝達要素およびモータ位置伝達要素を有する前向き経路、並びに、前記モータの回転位置を微分フィルタ伝達要素を介して前記第1の加え合わせ点に負帰還する第1帰還経路を有し、
    前記動作対象物および前記モータの速度を制御する希望特性を有する希望伝達関数は、前記速度ループゲインをm、ラプラス演算子をsとすると、演算式m/(s+m)で規定され、
    前記適応同定手段によって前記モータ位置伝達要素への入力と前記モータ位置伝達要素からの出力とに基づいて同定される、前記動作対象物および前記モータの粘性に関わる項を前記動作対象物および前記モータのイナーシャで割った値であるゲインをp、外乱応答特性に関する制御パラメータをω、前記閉ループ系の特性を前記希望伝達関数に一致させるパラメータをb=ω・m、b=m−p+ωとしたときに、
    前記第1比例ゲイン伝達要素はm
    前記積分フィルタ伝達要素は(s+ω)/s、
    前記モータゲイン伝達要素は1/K、
    前記モータ位置伝達要素はK/(s+p・s)、
    前記微分フィルタ伝達要素は(b・s+b・s)/(s+ω
    で表わされ、
    前記モータ制御装置にはmとωとの関係が対応付けられたテーブルが記憶され、
    前記算出手段は、算出した前記速度ループゲインmからωへの変換を前記テーブルを参照して行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータシステム。
  5. 前記閉ループ系は、前記回転速度指令に代えて前記モータの回転位置指令が入力される第2の加え合わせ点、第2比例ゲイン伝達要素、第1の加え合わせ点、積分フィルタ伝達要素、モータゲイン伝達要素およびモータ位置伝達要素を有する前向き経路、前記モータの回転位置を微分フィルタ伝達要素を介して前記第1の加え合わせ点に負帰還する第1帰還経路、並びに、前記モータの回転位置を前記第2の加え合わせ点に直接負帰還する第2帰還経路を有し、
    前記動作対象物および前記モータの位置を制御する希望特性を有する希望伝達関数は、前記速度ループゲインをm、前記位置ループゲインをm/m、ラプラス演算子をsとすると、演算式m/(s+m・s+m)で規定され、
    前記適応同定手段によって前記モータ位置伝達要素への入力と前記モータ位置伝達要素からの出力とに基づいて同定される、前記動作対象物および前記モータの粘性に関わる項を前記動作対象物および前記モータのイナーシャで割った値であるゲインをp、外乱応答特性に関する制御パラメータをqおよびq、前記閉ループ系の特性を前記希望伝達関数に一致させるパラメータをa=q+m−p、b=q・m、b=(q−p)・(m−p)+qとしたときに、
    前記第2比例ゲイン伝達要素はm
    前記積分フィルタ伝達要素は(s+q・s+q)/(s+a・s)、
    前記モータゲイン伝達要素は1/K、
    前記モータ位置伝達要素はK/(s+p・s)、
    前記微分フィルタ伝達要素は(b・s+b・s)/(s+q・s+q
    で表わされ、
    前記モータ制御装置にはmとm、q、qとの関係が対応付けられたテーブルが記憶され、
    前記算出手段は、算出した前記速度ループゲインmからm、q、qへの変換を前記テーブルを参照して行う
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータシステム。
  6. 前記イナーシャ比Grを因子とする前記所定の、前記速度ループゲインを算出する関数は、前記イナーシャ比Grのみを因子とする1次関数であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータシステム。
  7. 前記イナーシャ比Grを因子とする前記所定の、前記速度ループゲインを算出する関数は、前記イナーシャ比Grと定数を因子とする1次関数であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータシステム。
  8. 前記イナーシャ比Grを因子とする前記所定の、前記速度ループゲインを算出する関数は、前記イナーシャ比Grと定数を因子とする2次関数であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータシステム。
  9. 前記パラメータ定数Riは、前記モータと前記動作対象物との間における動力伝達機構の種類に応じた複数の値として前記モータ制御装置に記憶されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のモータシステム。
  10. 前記イナーシャ比Grの上限値に制限が設定されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のモータシステム。
  11. 前記適応同定手段は、前記イナーシャ検出手段を構成し、前記モータ位置伝達要素への入力と前記モータ位置伝達要素からの出力とに基づいて、前記動作対象物および前記モータのイナーシャを同定することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のモータシステム。
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