JP7008885B1 - モータ制御装置、モータ制御システムおよびモータ制御方法 - Google Patents

モータ制御装置、モータ制御システムおよびモータ制御方法 Download PDF

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Abstract

モータ制御装置(100)は、モータ(2)の速度を検出する速度検出器(5)と、モータの速度および速度指令に基づいてトルク指令を生成する速度制御器(4)と、トルク指令を補正して補正トルク指令を生成する補正演算器(6)と、トルク指令および補正トルク指令に基づいてモータに電流を流す電流制御器(3)と、モータで発生している振動振幅と振動周波数とを検出する振動検出器(8)と、速度制御器のパラメータを変更するパラメータ設定変更器(9)と、を備え、補正演算器は、振動振幅がしきい値よりも大きくなった場合、モータ、速度検出器、速度制御器、補正演算器および電流制御器で構成されるフィードバック制御系について、振動周波数の伝達特性を安定化させる補正トルク指令を計算し、パラメータ設定変更器は、伝達特性を安定化させた後に振動振幅が減少した場合、速度制御器のパラメータを変更する。

Description

本開示は、機械装置に連結されたモータをフィードバック制御するモータ制御装置、モータ制御システムおよびモータ制御方法に関する。
位置や速度といった状態量を高い精度で制御する必要がある機械装置では、駆動源にモータを用い、フィードバック制御を行う。指令に対して高応答で高精度なフィードバック制御を実現するには、フィードバック制御演算のパラメータを適切に設計する必要がある。パラメータが適切な範囲から外れた場合は、高応答で高精度なフィードバック制御を実現できないだけでなく、フィードバック制御系が不安定化し、動作が振動的になるといった現象が生じる場合がある。
フィードバック制御系のパラメータは、モータに連結されている負荷機械の特性に合わせて設定する必要がある。機械特性の例として、負荷機械のイナーシャや剛性が挙げられ、これらの特性に応じてパラメータを設定する必要がある。
また、モータで駆動される負荷機械では、運転中に機械特性が変化するものがあり、例えばシート状の材料をロールから巻き出したり巻き取ったりしながら加工するロール・ツー・ロール装置では、ロールに巻き取られている材料の量によりロールを回転させるモータにかかるイナーシャが変化する。特に、ロール・ツー・ロール装置ではその変化が大きく、ロールに巻き取られている材料の量によって、イナーシャが何十倍も変化する場合がある。このような装置では、イナーシャの大きさがどちらかに偏った状態に適したパラメータ設定を行うと、逆側の状態で制御系が不安定化する場合がある。これを防ぐためには、イナーシャ変化を把握して、全範囲で安定になるようにパラメータ設定したり、イナーシャ変化に応じて予め決めておいたパラメータ設定を変更するような仕組みを用意したりする必要があり、装置立ち上げの作業量が大きくなる。また、変化範囲全体の特性を把握する必要があるため、装置立ち上げの作業時の自動調整機能の利用も難しくなる。
特許文献1には、イナーシャが変化する機械装置でフィードバック制御系が振動的になるのを防ぐためにイナーシャ検出手段または振動検出手段を備え、各手段の検出結果に基づいてフィードバック制御系のパラメータを変更し、モータの振動を抑制するモータシステムが開示されている。
特開2016-35676号公報
しかしながら、振動発生には外乱や制御系の不安定化など複数の要因があり、要因に応じて異なる対応が必要であるが、振動発生または振幅増大という情報だけでは発生現象の要因が判別できない。そのため、特許文献1に記載のモータシステムではパラメータ設定を適切に変更できない場合があった。また、イナーシャ検出手段には、加減速を伴う動作が必要となるため、運転パターンによってはイナーシャ検出が困難となる場合があった。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、制御対象のモータに連結された負荷が変化する場合の動作の安定化を実現可能なモータ制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示は、負荷機械を駆動するモータを制御するモータ制御装置であって、モータの速度を検出する速度検出器と、モータの速度および速度指令に基づいてモータに対するトルク指令を生成する速度制御器と、トルク指令を補正して補正トルク指令を生成する補正演算器と、トルク指令および補正トルク指令に基づいてモータに電流を流す電流制御器と、モータで発生している振動の振幅である振動振幅と振動の周波数である振動周波数とを検出する振動検出器と、速度制御器のパラメータを変更するパラメータ設定変更器と、を備える。補正演算器は、振動振幅がしきい値よりも大きくなった場合に、モータ、速度検出器、速度制御器、補正演算器および電流制御器で構成されるフィードバック制御系について、振動検出器が検出した振動周波数の伝達特性を安定化させる補正トルク指令を計算し、パラメータ設定変更器は、伝達特性を安定化させた後に振動検出器が検出する振動振幅が減少した場合、速度制御器のパラメータを変更する。
本開示にかかるモータ制御装置は、制御対象のモータに連結された負荷が変化する場合の動作の安定化を実現できる、という効果を奏する。
実施の形態1にかかるモータ制御装置を適用して実現されるモータ制御システムの構成例を示すブロック図 実施の形態1にかかるモータ制御装置が駆動するモータのボード線図 実施の形態1にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系の開ループ伝達関数のボード線図 実施の形態1にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系の開ループ伝達関数のナイキスト線図 実施の形態1にかかるモータ制御装置が不安定化したときの動作波形の一例を示す図 実施の形態1にかかるモータ制御装置の補正演算器の伝達関数のボード線図 実施の形態1にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系の開ループ伝達関数のボード線図 実施の形態1にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系の開ループ伝達関数のナイキスト線図 実施の形態1にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系が安定化したときの動作波形を示す図 実施の形態1にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系が安定化した場合の開ループ伝達関数のボード線図 実施の形態1にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系が安定化した場合の開ループ伝達関数のナイキスト線図 実施の形態1にかかるモータ制御装置に外乱振動が入ったときの動作波形を示す図 実施の形態1にかかるモータ制御装置がモータの振動を抑制する動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1にかかるモータ制御装置を実現するハードウェアの一例を示す図 実施の形態2にかかるモータ制御装置を適用して実現されるモータ制御システムの構成例を示すブロック図 実施の形態2にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系の開ループ伝達関数のボード線図 負荷機械のイナーシャが減少する過程のモータの速度検出値の波形の一例を示す図 実施の形態2にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系の開ループ伝達関数のボード線図 実施の形態2にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系が安定化したときの動作波形を示す図 実施の形態2にかかるモータ制御装置のフィードバック制御系が安定化した場合の開ループ伝達関数のボード線図 実施の形態2にかかるモータ制御装置に外乱振動が入ったときの動作波形を示す図 実施の形態3にかかるモータ制御装置を適用して実現されるモータ制御システムの構成例を示すブロック図 実施の形態4にかかるモータ制御装置を適用して実現されるモータ制御システムの構成例を示すブロック図
以下に、本開示の実施の形態にかかるモータ制御装置、モータ制御システムおよびモータ制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるモータ制御装置を適用して実現されるモータ制御システムの構成例を示すブロック図である。
実施の形態1にかかるモータ制御システム200は、モータ制御装置100と、モータ制御装置100により制御されるモータ2と、モータ2に連結された負荷機械1とを備える。
モータ2は、モータ制御装置100から電流の供給を受けてトルクを発生し、負荷機械1を駆動する。
モータ制御装置100は、電流制御器3と、速度制御器4と、速度検出器5と、補正演算器6と、位置制御器7と、振動検出器8と、パラメータ設定変更器9と、を備える。速度検出器5は、位置検出器51および微分演算器52で構成される。
電流制御器3は、補正演算器6から入力される補正トルク指令に基づいて、モータ2に供給する電流を制御する。
速度制御器4は、位置制御器7から入力される速度指令と速度検出器5から入力される速度検出値とに基づいてトルク指令を生成する。具体的には、速度制御器4は、速度検出値が速度指令に追従するように、比例計算および積分計算を含む演算を行うことでトルク指令を生成する。
速度検出器5の位置検出器51は、モータ2の位置、具体的には、モータ2の図示を省略したロータの位置を検出する。速度検出器5の微分演算器52は、位置検出器51によるモータ2の位置の検出結果を示す位置検出値を微分してモータ2の速度を算出する。モータ2の速度とは、モータ2のロータの回転速度である。微分演算器52が算出したモータ2の速度は、速度検出値として速度制御器4および振動検出器8に出力される。
補正演算器6は、振動検出器8で検出された振動振幅および周波数が定められた条件を満たす場合に、速度制御器4から入力されるトルク指令に対して補正演算を行い、補正トルク指令を生成する。補正演算器6は、振動振幅および周波数が定められた条件を満たさない場合、入力されたトルク指令を補正トルク指令として出力する。
位置制御器7は、位置検出器51で検出されたモータ2の位置検出値が外部から入力された位置指令に追従するように、比例計算を含む演算を行うことで速度指令を生成する。
振動検出器8は、速度検出器5が出力する速度検出値の波形に含まれる振動の振幅および周波数を検出し、検出した振幅である振動振幅と、検出した周波数である振動周波数とを、補正演算器6およびパラメータ設定変更器9に出力する。
パラメータ設定変更器9は、振動検出器8で検出された振動振幅および周波数に基づいて、速度制御器4および位置制御器7のパラメータを変更する。
次に、図1に示すモータ制御装置100の動作について説明する。このモータ制御装置100は、負荷機械1およびモータ2が位置指令に追従した動作を行うようにすることを目的としている。
モータ制御装置100において、位置制御器7は、位置検出器51が検出したモータ2の位置を示す位置検出値が位置指令に追従するように、比例計算を含む演算を行い、速度指令を計算する。位置制御器7の演算は、比例計算の係数Kpを使って式(1)のように表される。
Figure 0007008885000001
速度制御器4は、速度検出器5の微分演算器52が算出するモータ2の速度検出値が、位置制御器7が出力する速度指令に追従するように、比例計算と積分計算とを含む演算を実行してトルク指令を計算する。速度制御器4がトルク指令を計算するための演算は、比例計算の係数Kvおよび積分計算の係数Kiを使って式(2)のように表される。なお、式(2)中のsはラプラス演算子であり、1/sは積分計算を表す。
Figure 0007008885000002
速度制御器4が出力したトルク指令は、補正演算器6において補正トルク指令に変換され、補正トルク指令に応じた値の電流を電流制御器3がモータ2に供給することで、モータ2はトルクを発生させ回転する。このように、モータ制御装置100は、位置制御器7、速度制御器4、補正演算器6、電流制御器3、位置検出器51、速度検出器5、モータ2および負荷機械1で構成されるフィードバックループで行われる演算、つまりフィードバック(以下、FBと記載する)制御演算を行うことで、負荷機械1およびモータ2が位置指令に追従する動作を実現する。なお、この場合では、補正演算器6がトルク指令を補正する演算で使用する伝達関数h(s)をh(s)=1としており、トルク指令と補正トルク指令は同一である。詳細については後述するが、補正演算器6は、振動検出器8が検出する振動の振幅が予め定められたしきい値を超えた場合にトルク指令を補正して補正トルク指令を生成し、振幅がしきい値以下の場合は、トルク指令を補正せずに、すなわち、伝達関数h(s)をh(s)=1として演算を行い、入力されたトルク指令と同じ値の補正トルク指令を出力する。
上述した構成のFB制御系は、モータ2で位置や速度を制御する場合に多く用いられ、負荷機械1およびモータ2を位置指令に高応答かつ高精度に追従させるためには、FB制御系が適切な特性をもつように設定する必要がある。FB制御系の特性は、位置制御器7および速度制御器4の特性で調整でき、これらの各制御器が実行する比例計算および積分計算の係数がパラメータとなる。FB制御系のパラメータ設定には、高応答かつ高精度な特性だけでなく、安定性を考慮する必要がある。FB制御系が不安定になると、大振幅の発振現象が発生することがあるため、制御系が安定でありかつ、高応答で高精度な特性を持つようにパラメータを設定する必要がある。
続いて、モータ2が、イナーシャが変化する負荷機械1を駆動する場合について説明する。例えば、負荷機械1が、シート状の材料をロールから巻き出したり巻き取ったりしながら加工するロール・ツー・ロール装置のロール部分であるとき、ロールに巻き取られている材料の量によりロールのイナーシャ、つまり、負荷機械1のイナーシャが変化する。ロール・ツー・ロール装置ではイナーシャの変化が大きく、ロールに巻き取られている材料の量によって、イナーシャが何十倍も変化する場合がある。
負荷機械1のイナーシャが初期状態から増加する場合のFB制御系への影響について説明する。例として、負荷機械1のイナーシャが、モータイナーシャ比5倍である初期状態から、最終的にモータイナーシャ比250倍まで増加する機械である場合を考える。
図2は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100が駆動するモータ2のボード線図である。図2のボード線図は、負荷機械1のイナーシャがモータイナーシャ比5倍、31倍、250倍のときの、モータ2の入力である電流からモータ2の速度検出値までの伝達特性を示す。
図3は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100のFB制御系の開ループ伝達関数のボード線図である。図3のボード線図は、イナーシャがモータイナーシャ比5倍である初期状態の負荷機械1に対して、位置制御器7および速度制御器4のパラメータを設定し、このパラメータ設定を変更せずに、負荷機械1のイナーシャが増加したときのFB制御系の開ループ伝達関数を示す。なお、180Hz付近の共振特性をノッチフィルタで抑制しているが、負荷機械1のイナーシャの変化による影響はほとんどなく、本実施の形態との関係はないため詳細な説明は省略する。また、図4は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100のFB制御系の開ループ伝達関数のナイキスト線図である。図3および図4から、負荷機械1のイナーシャが増加しモータイナーシャ比31倍になったときに、FB制御系が安定限界になることがわかる。
図5は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100が不安定化したときの動作波形の一例を示す図であり、負荷機械1のイナーシャが増加する過程の速度検出値の波形の一例を示す。図5に示す速度検出値は、3秒の時点で負荷機械1のイナーシャがモータイナーシャ比31倍になり、不安定化により7.5Hzの発振が発生している。なお、図5では、発振波形を見るため、ハイパスフィルタを使って速度指令に追従した速度波形の成分を取り除いている。
振動検出器8は、速度検出器5が出力する速度検出値の波形に含まれる振動の振幅および周波数を算出する。図5に示すような振動が発生した場合では、6.5秒の時点で振幅0.5r/minで周波数が7.5Hzと算出される。0.5r/minの振幅をしきい値として振動発生を判定した場合、補正演算器6は一時的に振動周波数付近のFB制御系特性を安定化する補正演算をトルク指令に対して行い、補正されたトルク指令である補正トルク指令を生成する。補正演算器6は、式(3)に示す伝達関数h(s)を用いて補正演算を行い、補正トルクを計算する。
Figure 0007008885000003
式(3)において、ωhは、検出した振動周波数ωo=7.5×2π[rad/s]に対して、ωh=ωo×2.5[rad/s]と設定される。このときの伝達関数h(s)のボード線図は図6のようになる。図6は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100の補正演算器6の伝達関数のボード線図である。補正演算器6で補正演算をしたときのFB制御系の開ループ伝達関数のボード線図は図7、ナイキスト線図は図8のようになり、補正演算器6の補正演算によりFB制御系は安定化する。図7は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100のFB制御系の開ループ伝達関数のボード線図である。図8は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100のFB制御系の開ループ伝達関数のナイキスト線図である。
FB制御系が安定化した場合、図9のように発振は抑制され、振動振幅が減少する。FB制御系が安定化により振動振幅が減少したことから、発振はFB制御系の不安定化が要因であったと判定できる。図9は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100のFB制御系が安定化したときの動作波形を示す図である。パラメータ設定変更器9は、これに基づいて、すなわち、振動振幅が上述のしきい値である0.5r/minに達した後、振動振幅が減少した場合、位置制御器7の比例計算の係数Kpと、速度制御器4の積分計算の係数Kiを変更し、FB制御系を安定化させる。パラメータ設定変更器9は、それぞれの係数を、検出した振動周波数に基づいてKp=Ki=7.5×2π/4の値に変更し、FB制御系を安定化させる。その様子を示すFB制御系の開ループ伝達関数のボード線図を図10に、ナイキスト線図を図11に示している。図10は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100のFB制御系が安定化した場合の開ループ伝達関数のボード線図、図11は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100のFB制御系が安定化した場合の開ループ伝達関数のナイキスト線図である。
また、モータ制御装置100は、パラメータ設定変更器9が位置制御器7および速度制御器4のパラメータを変更した後、補正演算器6が補正演算に用いる伝達関数をh(s)=1に戻す。なお、上記の式(3)の伝達関数を使用する補正演算で得られる安定化は大きな安定余裕を得られないため、FB制御系を一時的に安定化させる用途には利用できるが、定常的な安定化を得る目的には不適当である。補正演算器6の伝達関数の変更による安定化だけを実施した状態で、負荷機械1のイナーシャが更に増大すると、少しの増加でFB制御系は再び不安定化することになる。
次に、振動の要因が外乱である場合について説明する。図12は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100に外乱振動が入ったときの動作波形を示す図である。図12の動作波形は、7.5Hzの外乱が発生したときの動作を示す。3秒の時点で外乱が入力され、振動検出器8は、速度検出値から振動振幅0.8r/minと周波数7.5Hzを算出する。これに伴い、補正演算器6が上記式(3)の伝達関数を用いた補正演算を開始するが、振動振幅に変化がなく、この結果から、モータ制御装置100は振動の発生がFB制御系の不安定化ではないと判別する。そのため、パラメータ設定変更器9は位置制御器7および速度制御器4のパラメータ設定を変更しない。なお、補正演算器6は、上記式(3)の伝達関数を用いた補正演算を開始した後、定められた時間が経過した時点で、補正演算に用いる伝達関数をh(s)=1に戻す。補正演算器6が伝達関数をh(s)=1に戻すタイミングは、速度検出値の振動の発生の要因が外乱であるかFB制御系の不安定化であるかを判定するために必要な時間が経過した後とする。
以上のモータ制御装置100がモータ2の発振を抑制する動作をフローチャートで示すと図13のようになる。図13は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100がモータ2の振動を抑制する動作の一例を示すフローチャートである。
モータ制御装置100は、モータ2を制御している状態のとき、図13のフローチャートに従ってモータ2の振動発生の有無を判定し、振動発生を検出した場合、振動の発生要因を特定し、発生要因がFB制御系の不安定化である場合は位置制御器7および速度制御器4のパラメータ設定を変更する。
すなわち、モータ2を制御中のモータ制御装置100は、モータ2の速度の振動振幅をしきい値と比較し(ステップS1)、振動振幅がしきい値以下の場合(ステップS1:No)、ステップS1を繰り返す。振動振幅がしきい値よりも大きい場合(ステップS1:Yes)、モータ制御装置100は、補正演算器6の伝達関数h(s)を変更する(ステップS2)。具体的には、補正演算器6がトルク指令の補正演算で用いる伝達関数h(s)を上記の式(3)に示すものに変更する。モータ制御装置100は、次に、モータ2の速度の振動振幅が減少したかを確認する(ステップS3)。例えば、モータ制御装置100は、ステップS2で補正演算器6の伝達関数を変更してから定められた時間が経過するまで振動振幅を監視し、振動振幅が減少したかを判定する。振動振幅が減少した場合(ステップS3:Yes)、モータ制御装置100は、位置制御器7および速度制御器4のパラメータを調整する(ステップS4)。モータ制御装置100は、位置制御器7および速度制御器4のパラメータを調整後、補正演算器6の伝達関数h(s)を変更する(ステップS5)。このステップS5では、伝達関数h(s)を上記のステップS2を実行する前の状態に、すなわち、伝達関数h(s)=1に変更する。また、ステップS2で補正演算器6の伝達関数を変更した後、振動振幅が減少しない場合(ステップS3:No)、モータ制御装置100は、ステップS5を実行し、伝達関数h(s)=1に変更する。モータ制御装置100は、ステップS5を実行した後は、ステップS1に戻り、ステップS1~S5の処理を繰り返す。
以上で説明したように、モータ制御装置100においては、振動検出器8で検出した振動の振幅がしきい値よりも大きい場合、補正演算器6が補正演算に用いる伝達関数を、検出した振動の周波数に基づき変更してFB制御系の特性を変化させる。そして、その後の振動振幅の変化状態から、負荷機械1のイナーシャが初期状態から増加する場合に発生した振動の発生要因を判別する。また、振動の発生要因がFB制御系の不安定化の場合、パラメータ設定変更器9が位置制御器7および速度制御器4のパラメータを変更し、大振幅の発振を抑制する。また、発生要因がFB制御系の不安定化ではない場合、パラメータ設定変更器9は位置制御器7および速度制御器4のパラメータの変更、すなわち、FB制御系の特性の変更を行わないようにする。これにより、負荷機械1のイナーシャの増加に伴いFB制御系が不安定化してモータ2の振動が発生した場合に限定して位置制御器7および速度制御器4のパラメータ設定を変更することができる。言い換えると、外乱により一時的に振動が発生した場合に位置制御器7および速度制御器4のパラメータを変更してしまうことで制御が却って不安定になるのを防止することができ、モータ制御システム200の動作の安定化を実現できる。
また、以上の説明では、イナーシャが変化する負荷機械1の例としてロールに巻き取られている材料の量によりロールのイナーシャが変わるロール・ツー・ロール装置を挙げたが、これに限らず、搬送用機械やアーム型ロボットなど負荷となる物体の有無や姿勢変化によりモータにかかるイナーシャが変化する装置の場合でも、同様の方法で振動を抑制してFB制御系を安定化させることができる。
また、本実施の形態にかかるモータ制御システム200は、負荷機械1と、負荷機械1を駆動するモータ2と、モータ2の速度を検出する速度検出器5と、モータ2の速度および速度指令に基づいてモータ2に対するトルク指令を生成する速度制御器4と、トルク指令を補正して補正トルク指令を生成する補正演算器6と、トルク指令および補正トルク指令に基づいてモータ2に電流を流す電流制御器3と、モータ2で発生している振動の振動振幅と振動周波数とを検出する振動検出器8と、速度制御器4のパラメータを変更するパラメータ設定変更器9と、を備える。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100が実行するモータ制御方法は、負荷機械1を駆動するモータ2の位置を検出し、モータ2の位置および位置指令から比例計算を含む演算により速度指令を生成し、モータ2の速度を検出し、モータ2の速度および速度指令に基づいて比例計算と積分計算とを含む演算によりモータ2に対するトルク指令を生成し、トルク指令を補正して補正トルク指令を生成し、トルク指令および補正トルク指令に基づいてモータ2に電流を流し、モータ2で発生している振動の振動振幅と振動周波数とを検出し、振動振幅がしきい値よりも大きくなった場合に、モータ2の位置の検出と、速度指令の生成と、モータ2の速度の検出と、トルク指令の生成と、補正トルク指令の生成と、モータ2に電流を流すことを繰り返すFB制御系において、モータ2で発生している振動周波数における伝達特性を安定化させ、伝達特性を安定化させた後に振動振幅が減少した場合、速度指令を生成する演算のパラメータである比例計算の係数を変更するとともに、トルク指令を生成する際の演算のパラメータである積分計算の係数を変更する。
なお、本実施の形態にかかるモータ制御装置100の振動検出器8は、速度検出値の波形から振動の振幅および周波数を算出することとしたが、位置検出値、速度指令、トルク指令、補正トルク指令、電流の波形から振動の振幅および周波数を算出するようにしてもよい。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100は、振動の発生要因がFB制御系の不安定化と判断した場合に、位置制御器7の比例計算の係数Kpおよび速度制御器4の積分計算の係数Kiを、検出した振動周波数に基づいて変更し、それぞれKp=Ki=7.5×2π/4、すなわち、振動周波数の1/4倍に設定したが、1/4倍に限らず係数KpおよびKiが振動周波数よりも小さい値になるように変更すればよい。具体的には、係数KpおよびKiを、振動周波数×2πの1/2倍よりも小さくすれば、FB制御系の不安定化を抑制できる。さらには、変更前の係数KpおよびKiを1/4倍するなど、変更前の係数KpおよびKiよりも小さい値に変更してもよく、変更前の値の1/2倍よりも小さくすればFB制御系の不安定化を抑制できる。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100では、位置制御器7が式(1)に従って速度指令を生成し、速度制御器4が式(2)に従ってトルク指令を生成する構成としたが、別の構成でもよい。例えば、速度I-P制御系の構成としたり、微分演算器を追加した構成としたりしてもよい。その場合は、検出した振動周波数に基づいて、図10、図11で示したような特性変化となるようにパラメータを変更すればよい。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100では、補正演算器6が式(3)の伝達関数h(s)を用いてFB制御系の特性を変化させることとしたが、他の伝達関数を用いてもよい。例えば、ローパスフィルタを設定してFB制御系の特性を変化させる、位相進み補償器を用いてFB制御系の特性を変化させる、次式(4)のように速度検出値を整形した波形をトルク指令に加算してFB制御系の特性を変化させる、といった方法を適用してもよい。これらの方法を適用した場合も同様の機能を実現できる。
Figure 0007008885000004
続いて、本実施の形態にかかるモータ制御装置100を実現するハードウェアについて説明する。
本実施の形態にかかるモータ制御装置100において、FB制御系の特性を変化させるための構成、具体的には、位置制御器7、速度制御器4、補正演算器6、振動検出器8およびパラメータ設定変更器9は、専用の処理回路で実現してもよいし、プログラムを実行する汎用のプロセッサで実現してもよい。専用の処理回路の例は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせた回路である。また、上記の構成をプロセッサで実現する場合、例えば、図14に示すプロセッサ101およびメモリ102からなる制御回路を使用する。図14は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100を実現するハードウェアの一例を示す図である。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、システムLSI(Large Scale Integration)などである。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などである。メモリ102には、位置制御器7、速度制御器4、補正演算器6、振動検出器8およびパラメータ設定変更器9のそれぞれの機能が記述されたプログラムが格納される。プロセッサ101は、メモリ102に格納されているプログラムを実行することにより、位置制御器7、速度制御器4、補正演算器6、振動検出器8およびパラメータ設定変更器9として動作する。なお、位置制御器7、速度制御器4、補正演算器6、振動検出器8およびパラメータ設定変更器9を専用の処理回路で実現し、残りを図14に示す制御回路で実現してもよい。
モータ制御装置100の速度検出器5はエンコーダで実現される。電流制御器3は、補正演算器6から入力される補正トルク指令に対応する値の電流を出力する電子回路で実現される。
実施の形態2.
図15は、実施の形態2にかかるモータ制御装置100aを適用して実現されるモータ制御システム200aの構成例を示すブロック図である。図15に示すモータ制御装置100aは、図1に示す実施の形態1にかかるモータ制御装置100のパラメータ設定変更器9に代えて、速度制御器4のパラメータを変更するパラメータ設定変更器9aを備える。その他の同一符号の構成要素については、図1と同様であるため、説明を省略する。
次に、図15に示すモータ制御装置100aの動作について説明する。モータ制御装置100aは、実施の形態1にかかるモータ制御装置100と同様に、負荷機械1およびモータ2が、位置指令に追従して動作することを目的としており、図1と同一符号の構成要素についてはモータ制御装置100と同様の動作をする。パラメータ設定変更器9aは、位置制御器7、速度制御器4、速度検出器5、補正演算器6および電流制御器3と、モータ2および負荷機械1とで構成されるFB制御系が不安定化したと判定したとき、振動検出器8で算出した振動の振幅および周波数に基づいて、速度制御器4のパラメータを変更する。
続いて、実施の形態2にかかるモータ制御システム200aにおいて負荷機械1のイナーシャが初期状態から減少する場合のFB制御系への影響と、モータ制御装置100aの動作について説明する。負荷機械1のイナーシャが、モータイナーシャ比250倍である初期状態から、最終的にモータイナーシャ比5倍まで減少する場合を考える。モータ2の入力である電流からモータ2の速度検出値までの伝達特性を示すボード線図は、図2で示したものと同じとする。
図16は、実施の形態2にかかるモータ制御装置100aのFB制御系の開ループ伝達関数のボード線図である。図16のボード線図は、初期状態の負荷機械1に対して、位置制御器7および速度制御器4のパラメータを設定し、この設定を変更せずに、負荷機械1のイナーシャが減少したときのFB制御系の開ループ伝達関数を示す。負荷機械1のイナーシャが減少してモータイナーシャ比5.5倍程度になったときに、FB制御系が安定限界になる。なお、180Hz付近の共振特性をノッチフィルタで抑制しているが、負荷機械1のイナーシャの変化による影響はほとんどなく、本実施の形態との関係はないため詳細な説明は省略する。図17は、負荷機械1のイナーシャが減少する過程のモータ2の速度検出値の波形の一例を示す図である。図17に示す速度検出値は、7秒の時点で負荷機械1のイナーシャがモータイナーシャ比5.5倍になり、不安定化により52Hzの発振が発生している。なお、図17では、発振波形を見るため、ハイパスフィルタを使って速度指令に追従した速度波形の成分を取り除いている。
振動検出器8は、実施の形態1と同様に、速度検出値で発生している振動の振幅と周波数を算出する。速度検出値で図17のような振動が発生した場合、振動検出器8は、8秒の時点で、振動の振幅が0.5r/minで周波数が52Hzと算出する。0.5r/minが振動発生を検知するための振幅のしきい値に設定されている場合、補正演算器6は、8秒の時点で振動発生と判定し、一時的に振動周波数付近のFB制御系特性を安定にするような補正演算を行い、トルク指令に対して補正トルク指令を生成する。具体的には、補正演算器6は、式(3)の伝達関数h(s)を用いた演算で補正トルク指令を計算する。式(3)において、ωhは、振動検出器8が検出した振動周波数ωo=52×2π[rad/s]に対して、ωh=ωo×2.5[rad/s]と設定される。補正演算器6が式(3)の伝達関数h(s)を用いた補正演算をしたときのFB制御系の開ループ伝達関数のボード線図は図18のようになり、補正演算器6の補正演算によりFB制御系は安定化する。図18は、実施の形態2にかかるモータ制御装置100aのFB制御系の開ループ伝達関数のボード線図である。FB制御系が安定化した場合、図19のように発振は抑制され、振動振幅は減少する。図19は、実施の形態2にかかるモータ制御装置100aのFB制御系が安定化したときの動作波形を示す図である。FB制御系の安定化により振動振幅が減少したことから、発振はFB制御系の不安定化が要因であったと判定できる。パラメータ設定変更器9aは、この判定に基づいて、速度制御器4の比例計算の係数Kvを変更し、FB制御系を安定化させる。変更後の係数Kvは、例えば、変更前の係数Kvの値を1/2倍した値とする。この場合のFB制御系の開ループ伝達関数のボード線図は図20に示すものとなる。図20は、実施の形態2にかかるモータ制御装置100aのフィードバック制御系が安定化した場合の開ループ伝達関数のボード線図である。
また、補正演算器6は、パラメータ設定変更器9aが速度制御器4のパラメータを変更した後、実施の形態1と同様に、補正演算に用いる伝達関数をh(s)=1に戻す。補正演算器6の伝達関数をh(s)=1に戻す理由は、実施の形態1で説明した、負荷機械1のイナーシャが初期状態から増加する場合と同じである。
次に、振動の要因が外乱である場合について説明する。図21は、実施の形態2にかかるモータ制御装置100aに外乱振動が入ったときの動作波形を示す図である。図21は、52Hzの外乱が発生したときの速度検出値の波形を示す。3秒の時点で外乱が入力され、振動検出器8は、速度検出値から振動振幅0.5r/minと周波数52Hzを算出する。これに伴い、補正演算器6が上記式(3)の伝達関数を用いた補正演算を開始するが、振動振幅に変化がなく、この結果から振動の発生がFB制御系の不安定化ではないと判別する。そのため、パラメータ設定変更器9aは位置制御器7および速度制御器4のパラメータ設定を変更しない。また、補正演算器6は、上記式(3)の伝達関数を用いた補正演算を開始した後、定められた時間が経過した時点で、補正演算に用いる伝達関数をh(s)=1に戻す。
以上のモータ制御装置100aがモータ2の発振を抑制する動作は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100がモータ2の発振を抑制する動作と同様に、図13のフローチャートで示すことができる。ただし、モータ制御装置100aの動作の場合、図13のステップS4では、速度制御器4のパラメータを調整する。
以上で説明したように、モータ制御装置100aにおいては、振動検出器8で検出した振動の振幅がしきい値よりも大きい場合、補正演算器6が補正演算に用いる伝達関数を、検出した振動の周波数に基づき変更してFB制御系の特性を変化させる。そして、その後の振動振幅の変化状態から、負荷機械1のイナーシャが初期状態から減少する場合に発生した振動の発生要因を判別する。また、振動の発生要因がFB制御系の不安定化の場合、パラメータ設定変更器9aが速度制御器4のパラメータを変更し、大振幅の発振を抑制する。また、発生要因がFB制御系の不安定化ではない場合、パラメータ設定変更器9aは速度制御器4のパラメータの変更、すなわち、FB制御系の特性の変更を行わないようにする。これにより、負荷機械1のイナーシャの減少に伴いFB制御系が不安定化してモータ2の振動が発生した場合に限定して速度制御器4のパラメータ設定を変更することができる。言い換えると、外乱により一時的に振動が発生した場合に速度制御器4のパラメータを変更してしまうことで制御が却って不安定になるのを防止することができ、モータ制御システム200aの動作の安定化を実現できる。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100aは、実施の形態1にかかるモータ制御装置100のパラメータ設定変更器9に代えて、速度制御器4のパラメータを変更するパラメータ設定変更器9aを備える。その他の構成要素は同一である。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100aが実行するモータ制御方法は、負荷機械1を駆動するモータ2の位置を検出し、モータ2の位置および位置指令から比例計算を含む演算により速度指令を生成し、モータ2の速度を検出し、モータ2の速度および速度指令に基づいて比例計算と積分計算とを含む演算によりモータ2に対するトルク指令を生成し、トルク指令を補正して補正トルク指令を生成し、トルク指令および補正トルク指令に基づいてモータ2に電流を流し、モータ2で発生している振動の振動振幅と振動周波数とを検出し、振動振幅がしきい値よりも大きくなった場合に、モータ2の位置の検出と、速度指令の生成と、モータ2の速度の検出と、トルク指令の生成と、補正トルク指令の生成と、モータ2への電流を流すことを繰り返すFB制御系において、モータ2で発生している振動周波数における伝達特性を安定化させ、伝達特性を安定化させた後に振動振幅が減少した場合、トルク指令を生成する際の演算のパラメータである比例計算の係数を変更する。
なお、本実施の形態にかかるモータ制御装置100aの振動検出器8は、速度検出値の波形から振動の振幅および周波数を算出することとしたが、位置検出値、速度指令、トルク指令、補正トルク指令、電流の波形から振動の振幅および周波数を算出するようにしてもよい。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100aは、振動の発生要因がFB制御系の不安定化と判断した場合に、速度制御器4の比例計算の係数Kvを変更前の係数Kvの1/2倍としたが、1/2倍に限らず係数Kvを変更前の係数Kvよりも小さい値になるように変更すればよい。例えば、係数Kvを変更前の値の1/√2倍よりも小さくすればFB制御系の不安定化を抑制できる。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100aでは、位置制御器7が式(1)に従って速度指令を生成し、速度制御器4が式(2)に従ってトルク指令を生成する構成としたが、別の構成でもよい。例えば、速度I-P制御系の構成としたり、微分演算器を追加した構成としたりしてもよい。その場合は、検出した振動周波数に基づいて、図20で示したような特性変化となるようにパラメータを変更すればよい。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100aでは、補正演算器6が式(3)の伝達関数h(s)を用いてFB制御系の特性を変化させることとしたが、他の伝達関数を用いてもよい。例えば、ローパスフィルタを設定してFB制御系の特性を変化させる、位相進み補償器を用いてFB制御系の特性を変化させる、式(4)のように速度検出値を整形した波形をトルク指令に加算してFB制御系の特性を変化させる、といった方法を適用してもよい。これらの方法を適用した場合も同様の機能を実現できる。
実施の形態3.
図22は、実施の形態3にかかるモータ制御装置100bを適用して実現されるモータ制御システム200bの構成例を示すブロック図である。図22に示すモータ制御装置100bは、図1に示す実施の形態1にかかるモータ制御装置100に、特性変化方向記憶部10を追加し、振動検出器8に代えて振動検出器8aを、パラメータ設定変更器9に代えてパラメータ設定変更器9bを備える。その他の同一符号の構成要素については、図1と同様であるため、説明を省略する。
次に、図22に示すモータ制御装置100bの動作について説明する。モータ制御装置100bは、実施の形態1にかかるモータ制御装置100および実施の形態2にかかるモータ制御装置100aと同様に、負荷機械1およびモータ2が、位置指令に追従して動作することを目的としており、図1と同一符号の構成要素については実施の形態1にかかるモータ制御装置100と同様の動作をする。
特性変化方向記憶部10は、負荷機械1のイナーシャが初期状態から変化する際の増減方向の情報、すなわち、イナーシャが増加する方向か、減少する方向かといった情報を記憶する。
振動検出器8aは、特性変化方向記憶部10が記憶している負荷機械1のイナーシャの増減方向に応じて、速度検出器5から入力される速度検出値にフィルタ処理を行った上で振動の振幅および周波数の計算を行う。例えば、負荷機械1のイナーシャが増加する場合は、FB制御系が不安定になるときに発生する振動は、位置制御器7の比例計算の係数Kpおよび速度制御器4の積分計算の係数Kiから求められる周波数に近い周波数で発生する。そのため、この周波数帯を通過するバンドパスフィルタやハイパスフィルタなどを使うことで、不安定化に関係する振動成分を抽出して処理することができる。さらに、負荷機械1のイナーシャが減少する場合は、FB制御系が不安定になるときに発生する振動は、速度制御器4の比例計算の係数Kvから求められる周波数に近い周波数または、初期状態でFB制御系を調整したときに得られる限界特性の周波数に近い周波数で発生する。そのため、この周波数帯を通過するバンドパスフィルタやハイパスフィルタなどを使うことで、不安定化に関係する振動成分を抽出して処理することができる。すなわち、振動検出器8aは、速度検出器5から入力される速度検出値に対し、負荷機械1のイナーシャの増減方向に応じたフィルタ処理を行い、フィルタ処理実施後の速度検出値を用いて振動の振幅および周波数を算出する。
パラメータ設定変更器9bは、位置制御器7、速度制御器4、位置検出器51、速度検出器5、補正演算器6および電流制御器3と、モータ2および負荷機械1とで構成されるFB制御系が不安定化したと判定したとき、特性変化方向記憶部10が記憶している負荷機械1のイナーシャの増減方向に応じて、位置制御器7または速度制御器4のパラメータを変更する。パラメータ設定変更器9bは、負荷機械1のイナーシャが増加する場合は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100のパラメータ設定変更器9と同様に、振動検出器8aが算出した振動の振幅および周波数に基づいて、位置制御器7の比例計算の係数および速度制御器4の積分計算の係数を変更する。また、パラメータ設定変更器9bは、負荷機械1のイナーシャが減少する場合は、実施の形態2にかかるモータ制御装置100aのパラメータ設定変更器9aと同様に、振動検出器8aが算出した振動の振幅および周波数に基づいて、速度制御器4の比例計算の係数を変更する。
以上のモータ制御装置100bがモータ2の発振を抑制する動作は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100がモータ2の発振を抑制する動作と同様に、図13のフローチャートで示すことができる。ただし、モータ制御装置100bの動作の場合、図13のステップS4では、負荷機械1のイナーシャの増減方向に応じて、位置制御器7および速度制御器4の双方のパラメータ、または、速度制御器4のパラメータを調整する。
以上で説明したように、モータ制御装置100bにおいては、振動検出器8aで検出した振動の振幅がしきい値よりも大きい場合、補正演算器6が補正演算に用いる伝達関数を、検出した振動の周波数に基づき変更してFB制御系の特性を変化させる。そして、その後の振動振幅の変化状態から、振動の発生要因を判別する。また、振動の発生要因が負荷機械1の特性変化によるFB制御系の不安定化の場合、特性変化方向記憶部10が記憶している、負荷機械1の特性が変化する方向、すなわち、負荷機械1のイナーシャが初期状態から変化する際の増減方向に応じて、パラメータ設定変更器9bが、位置制御器7の比例計算の係数および速度制御器4の積分計算の係数、または、速度制御器4の比例計算の係数を変更する。これにより、負荷機械1のイナーシャの変化に伴いFB制御系が不安定化してモータ2の振動が発生した場合に限定して、位置制御器7および速度制御器4のパラメータ設定を変更して大振幅の発振を抑制できるようになる。また、振動の発生要因がFB制御系の不安定化ではない場合は、FB制御系の特性を変更しないようにできる。すなわち、外乱により一時的に振動が発生した場合に位置制御器7および速度制御器4のパラメータを変更してしまうことで制御が却って不安定になるのを防止することができ、モータ制御システム200bの動作の安定化を実現できる。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100bは、実施の形態1にかかるモータ制御装置100に、特性変化方向記憶部10を追加し、振動検出器8に代えて振動検出器8aを備え、パラメータ設定変更器9に代えてパラメータ設定変更器9bを備える。その他の構成要素はモータ制御装置100と同一である。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100bが実行するモータ制御方法は、負荷機械1を駆動するモータ2の位置を検出し、モータ2の位置および位置指令から比例計算を含む演算により速度指令を生成し、モータ2の速度を検出し、モータ2の速度および速度指令に基づいて比例計算と積分計算とを含む演算によりモータ2に対するトルク指令を生成し、トルク指令を補正して補正トルク指令を生成し、トルク指令および補正トルク指令に基づいてモータ2に電流を流し、モータ2が駆動する負荷機械1のイナーシャの増減方向を記憶し、記憶している負荷機械1のイナーシャの増減方向に応じて、モータ2の位置、速度またはトルクに基づく駆動波形に対するフィルタ処理を変更して、フィルタ処理後の駆動波形から、モータ2で発生している振動の振動振幅と振動周波数とを検出し、モータ2で発生している振動の振動振幅がしきい値よりも大きくなった場合に、モータ2の位置の検出と、速度指令の生成と、モータ2の速度の検出と、トルク指令の生成と、補正トルク指令の生成と、モータ2へ電流を流すことを繰り返すFB制御系において、モータ2で発生している振動周波数における伝達特性を安定化させ、伝達特性を安定化させた後に振動振幅が減少した場合、負荷機械1のイナーシャが増加する場合は速度指令を生成する際の演算に含まれる比例計算の係数と、トルク指令を生成する際の演算に含まれる積分計算の係数とを変更し、負荷機械1のイナーシャが減少する場合はトルク指令を生成する際の演算に含まれる比例計算の係数を変更する。
なお、本実施の形態にかかるモータ制御装置100bの振動検出器8aは、速度検出値の波形から振動の振幅および周波数を算出することとしたが、位置検出値、速度指令、トルク指令、補正トルク指令、電流の波形から振動の振幅および周波数を算出するようにしてもよい。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100bでは、位置制御器7が式(1)に従って速度指令を生成し、速度制御器4が式(2)に従ってトルク指令を生成する構成としたが、別の構成でもよい。例えば、速度I-P制御系の構成としたり、微分演算器を追加した構成としたりしてもよい。その場合は、検出した振動周波数に基づいて、図10、図11、図20で示したような特性変化となるようにパラメータを変更すればよい。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100bでは、補正演算器6が式(3)の伝達関数h(s)を用いてFB制御系の特性を変化させることとしたが、他の伝達関数を用いてもよい。例えば、ローパスフィルタを設定してFB制御系の特性を変化させる、位相進み補償器を用いてFB制御系の特性を変化させる、式(4)のように速度検出値を整形した波形をトルク指令に加算してFB制御系の特性を変化させる、といった方法を適用してもよい。これらの方法を適用した場合も同様の機能を実現できる。
実施の形態4.
図23は、実施の形態4にかかるモータ制御装置100cを適用して実現されるモータ制御システム200cの構成例を示すブロック図である。図23に示すモータ制御装置100cは、図22に示す実施の形態3にかかるモータ制御装置100bから位置制御器7を削除し、さらに、パラメータ設定変更器9bに代えてパラメータ設定変更器9cを備える構成である。その他の同一符号の構成要素については、図22と同様であるため、説明を省略する。
次に、図23に示すモータ制御装置100cの動作について説明する。モータ制御装置100cは、負荷機械1およびモータ2が、外部から入力された速度指令に追従して動作することを目的としており、図22と同一符号の構成要素については実施の形態3にかかるモータ制御装置100bと同様の動作をする。
振動検出器8aは、特性変化方向記憶部10が記憶している負荷機械1のイナーシャの増減方向に応じて、速度検出器5から入力される速度検出値にフィルタ処理を行った上で振動の振幅および周波数の計算を行う。例えば、負荷機械1のイナーシャが増加する場合は、FB制御系が不安定になるときに発生する振動は、速度制御器4の積分計算の係数から求められる周波数に近い周波数で発生する。そのため、この周波数帯を通過するバンドパスフィルタやハイパスフィルタなどを使うことで、不安定化に関係する振動成分を抽出して処理することができる。さらに、負荷機械1のイナーシャが減少する場合は、FB制御系が不安定になるときに発生する振動は、速度制御器4の比例計算の係数から求められる周波数に近い周波数または、初期状態でFB制御系を調整したときに得られる限界特性の周波数に近い周波数で発生する。そのため、この周波数帯を通過するバンドパスフィルタやハイパスフィルタなどを使うことで、不安定化に関係する振動成分を抽出して処理することができる。
パラメータ設定変更器9cは、速度制御器4、速度検出器5、補正演算器6および電流制御器3と、モータ2および負荷機械1とで構成されるFB制御系が不安定化したと判定したとき、特性変化方向記憶部10が記憶している負荷機械1のイナーシャの増減方向に応じて、速度制御器4のパラメータを変更する。パラメータ設定変更器9cは、負荷機械1のイナーシャが増加する場合は、振動検出器8aで算出した振動の振幅および周波数に基づいて、速度制御器4の積分計算の係数を変更する。また、パラメータ設定変更器9cは、負荷機械1のイナーシャが減少する場合は、実施の形態2にかかるモータ制御装置100aのパラメータ設定変更器9aと同様に、振動検出器8aが算出した振動の振幅および周波数に基づいて、速度制御器4の比例計算の係数を変更する。
以上のモータ制御装置100cがモータ2の発振を抑制する動作は、実施の形態1にかかるモータ制御装置100がモータ2の発振を抑制する動作と同様に、図13のフローチャートで示すことができる。ただし、モータ制御装置100cの動作の場合、図13のステップS4では、速度制御器4のパラメータを調整する。
以上で説明したように、モータ制御装置100cにおいては、振動検出器8aで検出した振動の振幅がしきい値よりも大きい場合、補正演算器6が補正演算に用いる伝達関数を、検出した振動の周波数に基づき変更してFB制御系の特性を変化させる。そして、その後の振動振幅の変化状態から、振動の発生要因を判別する。また、振動の発生要因が負荷機械1の特性変化によるFB制御系の不安定化の場合、特性変化方向記憶部10が記憶している、負荷機械1の特性が変化する方向、すなわち、負荷機械1のイナーシャが初期状態から変化する際の増減方向に応じて、パラメータ設定変更器9cが、速度制御器4の積分計算の係数または比例計算の係数を変更する。これにより、負荷機械1のイナーシャの変化に伴いFB制御系が不安定化してモータ2の振動が発生した場合に限定して、速度制御器4のパラメータ設定を変更して大振幅の発振を抑制できるようになる。また、振動の発生要因がFB制御系の不安定化ではない場合は、FB制御系の特性を変更しないようにできる。すなわち、外乱により一時的に振動が発生した場合に速度制御器4のパラメータを変更してしまうことで制御が却って不安定になるのを防止することができ、モータ制御システム200cの動作の安定化を実現できる。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100cは、実施の形態3にかかるモータ制御装置100bから位置制御器7を削除し、さらに、パラメータ設定変更器9bに代えてパラメータ設定変更器9cを備える。その他の構成要素はモータ制御装置100bと同一である。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100cが実行するモータ制御方法は、負荷機械1を駆動するモータ2の速度を検出し、モータ2の速度および速度指令に基づいて比例計算と積分計算とを含む演算によりモータ2に対するトルク指令を生成し、トルク指令を補正して補正トルク指令を生成し、トルク指令および補正トルク指令に基づいてモータ2に電流を流し、モータ2が駆動する負荷機械1のイナーシャの増減方向を記憶し、記憶している負荷機械1のイナーシャの増減方向に応じて、モータ2の位置、速度またはトルクに基づく駆動波形に対するフィルタ処理を変更して、フィルタ処理後の駆動波形から、モータ2で発生している振動の振動振幅と振動周波数とを検出し、モータ2で発生している振動の振動振幅がしきい値よりも大きくなった場合に、モータ2の速度の検出と、トルク指令の生成と、補正トルク指令の生成と、モータ2へ電流を流すことを繰り返すFB制御系において、モータ2で発生している振動周波数における伝達特性を安定化させ、伝達特性を安定化させた後に振動振幅が減少した場合、負荷機械1のイナーシャが増加する場合はトルク指令を生成する際の演算に含まれる積分計算の係数を変更し、負荷機械1のイナーシャが減少する場合はトルク指令を生成する際の演算に含まれる比例計算の係数を変更する。
なお、本実施の形態にかかるモータ制御装置100cの振動検出器8aは、速度検出値の波形から振動の振幅および周波数を算出することとしたが、トルク指令、補正トルク指令、電流の波形から振動の振幅および周波数を算出するようにしてもよい。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100cでは、速度制御器4が式(2)に従ってトルク指令を生成する構成としたが、別の構成でもよい。例えば、速度I-P制御系の構成としたり、微分演算器を追加した構成としたりしてもよい。その場合は、検出した振動周波数に基づいて、図10、図11、図20で示したような特性変化となるようにパラメータを変更すればよい。
また、本実施の形態にかかるモータ制御装置100cでは、補正演算器6が式(3)の伝達関数h(s)を用いてFB制御系の特性を変化させることとしたが、他の伝達関数を用いてもよい。例えば、ローパスフィルタを設定してFB制御系の特性を変化させる、位相進み補償器を用いてFB制御系の特性を変化させる、式(4)のように速度検出値を整形した波形をトルク指令に加算してFB制御系の特性を変化させる、といった方法を適用してもよい。これらの方法を適用した場合も同様の機能を実現できる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 負荷機械、2 モータ、3 電流制御器、4 速度制御器、5 速度検出器、6 補正演算器、7 位置制御器、8,8a 振動検出器、9,9a,9b,9c パラメータ設定変更器、10 特性変化方向記憶部、51 位置検出器、52 微分演算器、100,100a,100b,100c モータ制御装置、200,200a,200b,200c モータ制御システム。

Claims (13)

  1. 負荷機械を駆動するモータを制御するモータ制御装置であって、
    前記モータの速度を検出する速度検出器と、
    前記モータの速度および速度指令に基づいて前記モータに対するトルク指令を生成する速度制御器と、
    前記トルク指令を補正して補正トルク指令を生成する補正演算器と、
    前記トルク指令および補正トルク指令に基づいて前記モータに電流を流す電流制御器と、
    前記モータで発生している振動の振幅である振動振幅と前記振動の周波数である振動周波数とを検出する振動検出器と、
    前記速度制御器のパラメータを変更するパラメータ設定変更器と、
    を備え、
    前記補正演算器は、前記振動振幅がしきい値よりも大きくなった場合に、前記モータ、前記速度検出器、前記速度制御器、前記補正演算器および前記電流制御器で構成されるフィードバック制御系について、前記振動検出器が検出した前記振動周波数の伝達特性を安定化させる補正トルク指令を計算し、
    前記パラメータ設定変更器は、前記伝達特性を安定化させた後に前記振動検出器が検出する前記振動振幅が減少した場合、前記速度制御器のパラメータを変更する、
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記負荷機械のイナーシャが変化する際の増減方向を記憶する特性変化方向記憶部、
    を備え、
    前記速度制御器は、比例計算および積分計算を含む演算により前記トルク指令を生成し、
    前記パラメータ設定変更器は、前記特性変化方向記憶部が記憶している前記増減方向が増加方向の場合は前記積分計算の係数を変更し、前記増減方向が減少方向の場合は前記比例計算の係数を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記パラメータ設定変更器は、前記増減方向が増加方向の場合、前記速度制御器の積分計算の係数を、変更前の値よりも小さい値、または、前記振動周波数よりも小さい値に変更する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記パラメータ設定変更器は、前記増減方向が減少方向の場合、前記速度制御器の比例計算の係数を変更前の値よりも小さい値に変更する、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記振動検出器は、前記モータの位置、速度またはトルクに基づく駆動波形に対して、前記特性変化方向記憶部が記憶している前記増減方向が増加方向の場合と減少方向の場合とで異なるフィルタ処理を実行し、フィルタ処理後の前記駆動波形から前記振動振幅および前記振動周波数を検出する、
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載のモータ制御装置。
  6. 前記モータの位置を検出する位置検出器と、
    前記モータの位置および位置指令に基づいて、比例計算を含む演算により前記速度指令を生成する位置制御器と、
    を備え、
    前記パラメータ設定変更器は、前記増減方向が増加方向の場合、前記位置制御器の前記比例計算の係数を変更前の値よりも小さい値、または、前記振動周波数よりも小さい値に変更する、
    ことを特徴とする請求項2から5のいずれか一つに記載のモータ制御装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一つに記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置により制御される前記モータと、
    前記モータにより駆動される前記負荷機械と、
    を備えることを特徴とするモータ制御システム。
  8. 負荷機械を駆動するモータを制御するモータ制御装置が実行するモータ制御方法であって、
    前記モータの速度を検出する第1ステップと、
    前記モータの速度および速度指令に基づいて前記モータに対するトルク指令を出力する第2ステップと、
    前記トルク指令を補正して補正トルク指令を生成する第3ステップと、
    前記トルク指令および補正トルク指令に基づいて前記モータに電流を流す第4ステップと、
    前記モータで発生している振動の振幅である振動振幅と前記振動の周波数である振動周波数とを検出する第5ステップと、
    前記振動振幅がしきい値よりも大きくなった場合に、前記モータの速度の検出と、前記トルク指令の生成と、前記補正トルク指令の生成と、前記モータに電流を流すこととを繰り返すフィードバック制御系において、前記振動周波数における伝達特性を安定化させる第6ステップと、
    前記伝達特性を安定化させた後に前記振動振幅が減少した場合、前記トルク指令を生成する演算のパラメータを変更する第7ステップと、
    を含むことを特徴とするモータ制御方法。
  9. 前記第2ステップでは、比例計算および積分計算を含む演算により前記トルク指令を生成し、
    前記第7ステップでは、前記負荷機械のイナーシャが増加する場合は前記積分計算の係数を変更し、前記負荷機械のイナーシャが減少する場合は前記比例計算の係数を変更する、
    ことを特徴とする請求項8に記載のモータ制御方法。
  10. 前記第7ステップでは、前記イナーシャが増加する場合、前記積分計算の係数を変更前の値よりも小さい値、または、前記振動周波数よりも小さい値に変更する、
    ことを特徴とする請求項9に記載のモータ制御方法。
  11. 前記第7ステップでは、前記イナーシャが減少する場合、前記比例計算の係数を変更前の値よりも小さい値に変更する、
    ことを特徴とする請求項9または10に記載のモータ制御方法。
  12. 前記第5ステップでは、前記モータの位置、速度またはトルクに基づく駆動波形に対して、前記イナーシャが増加する場合と前記イナーシャが減少する場合とで異なるフィルタ処理を実行し、フィルタ処理後の駆動波形から前記振動振幅および前記振動周波数を検出する、
    ことを特徴とする請求項9から11のいずれか一つに記載のモータ制御方法。
  13. 前記モータの位置を検出する第8ステップと、
    前記モータの位置および位置指令に基づいて、比例計算を含む演算により前記速度指令を生成する第9ステップと、
    前記イナーシャが増加する場合は、前記第9ステップの前記比例計算の係数を変更前の値よりも小さい値、または、前記振動周波数よりも小さい値に変更する第10ステップと、
    を含むことを特徴とする請求項9から12のいずれか一つに記載のモータ制御方法。
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