JP6750513B2 - ハブおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハブおよびその製造方法に関し、具体的には、自動車や建設機械等の回転部品に用いられるハブおよびその製造方法に関する。
ハブは、一般的に、円形または放射状の回転部品における回転軸付近に設けられる中空筒状の部品であり、その内部に、軸受とともに回転軸が貫通して配置される。ハブは、略略軸対称の形状を有し、軸方向の一部に軸径方向へ張り出したフランジと、フランジの双方または一方の表面から軸方向へ突き出たボスとを備える。ハブとしては、例えば、回転する自動車ホイールを支持するホイールハブや、自動車の常時噛み合いマニュアルトランスミッションに組み込まれるクラッチハブ等が知られる。
これまで、ホイールハブやクラッチハブといった比較的大型(フランジ径70〜180mm)のハブは、熱間鍛造により製造されてきた。すなわち、C含有量が0.5質量%程度の素材である丸鋼を所定寸法に切断し、1200℃程度の加工温度に加熱し、熱間鍛造により、フランジおよびボスを有する所定の形状に成形し、切削加工やショットブラスト処理等の後処理を行って表面のスケールを除去するとともに形状精度を高めた後に、高周波焼入れして硬化させることにより、製造されてきた。
しかし、熱間鍛造によりハブを製造すると、成形後にスケール除去や形状精度仕上げ等のための後処理を行う必要があるため、製造コストの上昇は否めないばかりか、フランジおよびボスの会合部の表面における鍛流線の一部が後処理により不可避的に切断されるため、この会合部の疲労強度の低下が避けられない。
一方、大型のハブを、材料歩留まりや形状精度に優れる冷間鍛造により製造しようとすると、フランジを張り出す成形において極めて高い加工荷重が必要になる。このため、大規模で高価な鍛造加工設備を用いらざるを得ないために設備費が著しく嵩み、現実には実施できない。したがって、通常の冷間鍛造により大型のハブを製造することは難しい。
一方、通常の冷間鍛造に替えて、冷間回転鍛造により製品の一部を逐次加工することにより加工荷重を低減する発明がこれまでにも知られている。
例えば、特許文献1には、展延性を有する金属からなり、軸の片端部にフランジを有するホイールハブを、フランジと接触する金型と被加工材との摩擦係数μを0.10以上として、回転鍛造により逐次冷間加工することにより、押し込み量を小さくして加工荷重を抑制し、これにより、金型の長寿命化および回転鍛造機の小型化を実現しながら、局所変形の発生を抑制して従来よりも拡径比(回転鍛造後の拡径部分の直径/回転鍛造前の素材直径)を安定的に増大させる発明が開示されている。
特許文献2には、上下の回転金型の位相ずれを抑制する回転鍛造加工装置が開示されている。
さらに、非特許文献1には、回転鍛造の短所として、回転鍛造による材料の変形様式は主として素材の軸方向の圧縮変形であるために、製造可能な製品形状が限定されることが指摘されている。
特開2016−159337号公報 特開平2−30350号公報
日本塑性加工学会編,塑性加工技術シリーズ「回転加工−転造とスピニング−」P.100,コロナ社発行,1990
特許文献1により開示された発明によれば、確かに、通常の冷間鍛造よりも押し込み量を小さくすることにより加工荷重を小さくすることは可能であるものの、加工荷重の低減の程度は、大型のハブを冷間鍛造するには十分ではなく、加工荷重のいっそうの抑制が望まれる。
特許文献2には、冷間回転鍛造における加工荷重を低減する手法は開示されていない。
さらに、非特許文献1には、製品形状が限定されることは開示されるものの、具体的な形状の制約やそれらの解決手段は何も開示されていない。
冷間回転鍛造や冷間揺動鍛造により上述の大型のハブを実際に成形することは、これまで行われていない。この理由は、ハブのボスを冷間回転鍛造や冷間揺動鍛造によって成形すると、成形性が不足して素材が割れたり、要求される形状精度を得られないため、現実には困難であると考えられてきたためである。
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、ホイールハブやクラッチハブといった大型のハブを、低加工荷重化を実現しながら、フランジとボスとの会合部の表面における鍛流線の切断による疲労強度の低下を生じることなく、冷間鍛造により製造する技術を提供することを目的とする。
本発明は、以下に列記の通りである。
(1)軸方向の一部に該軸方向と略直交する方向へ張り出して設けられる中空のフランジと、該フランジの一方の表面から前記軸方向へ向けて突出する外壁を有する中空の円柱体である第1のボスと、前記フランジの他方の表面から前記軸方向へ向けて突出する外壁を有する中空の円柱体である第2のボスとを前記軸方向へ一体に備える金属製の冷間回転鍛造品または冷間揺動鍛造品であるハブであって、
前記軸方向を含む断面において、前記第1のボスの内側へ向けて傾斜する該第1のボスの前記外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度は、下記(1)式により表される臨界角度以上であり、
前記断面において、前記第2のボスの内側へ向けて傾斜する該第2のボスの前記外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度は、前記臨界角度未満であり、
前記フランジの直径は、前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの外壁の直径の1.5倍以上であり、かつ70mm以上、好ましくは70〜180mmである、ハブ。
臨界角度[deg.]=200×arctan[H/{R×(1-cos(arcsin(H/R)))}]/π・・・(1)
(1)式において、
H:前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの高さ[mm]
R:前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの外壁〜製品中心の距離[mm]
である。
(2)前記フランジと前記第1のボスとの会合部の表面における鍛流線が連続するとともに、前記フランジと前記第2のボスとの会合部の表面における鍛流線が連続する、1項に記載のハブ。
(3)金属製の素材に前方押出しによる冷間鍛造を行うことにより前記第1ボスを成形した後に、冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造を行うことにより前記フランジおよび前記第2のボスを成形する、1または2項に記載のハブの製造方法。
(4)軸方向の一部に該軸方向と略直交する方向へ張り出して設けられる中空のフランジと、該フランジの一方の表面から前記軸方向へ向けて突出する外壁を有する中空の円柱体である第1のボスと、前記フランジの他方の表面から前記軸方向へ向けて突出する外壁を有する中空の円柱体である第2のボスとを前記軸方向へ一体に備える金属製の冷間回転鍛造品または冷間揺動鍛造品であるハブであって、
前記軸方向を含む断面において、前記第1のボスの内側へ向けて傾斜する該第1のボスの前記外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度は、下記(1)式により表される臨界角度以上であり、
前記断面において、前記第2のボスの内側へ向けて傾斜する該第2のボスの前記外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度は、下記(1)式により表される臨界角度以上であり、
前記フランジの直径は、前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの外壁の直径の1.5倍以上であり、かつ70mm以上、好ましくは70〜180mmである、ハブ。
臨界角度[deg.]=200×arctan[H/{R×(1-cos(arcsin(H/R)))}]/π・・・(1)
(1)式において、
H:前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの高さ[mm]
R:前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの外壁〜製品中心の距離[mm]
である。
(5)前記フランジと前記第1のボスとの会合部の表面における鍛流線が連続するとともに、前記フランジと前記第2のボスとの会合部の表面における鍛流線が連続する、4項に記載のハブ。
(6)金属製の素材に前方押出しによる冷間鍛造を行うことにより前記第2ボスを有する第1の中間成形品を成形する事前加工と、
前記第1の中間成形品に冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造を行って、前記フランジと、前記軸方向を含む断面において、前記第1のボスに成形される部分の内側へ向けて傾斜する該部分の外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度が下記(1)式により表される臨界角度未満である、前記第1のボスに成形される部分とを備える第2の中間成形品を成形する第1の加工と、
パンチ金型により前方押出しによる冷間鍛造を行って、前記第2の中間成形品の前記第1のボスに成形される部分を押圧することによって、前記第1のボスに成形される部分を外側に曲げ倒す口拡げ加工を行う第2の加工を含む、4または5項に記載のハブの製造方法。
(7)前記第2の加工により、前記第2の中間成形品の前記第1のボスに成形される部分の外壁の前記傾斜角度を65°以上とする、6項に記載のハブの製造方法。
すなわち、第1のボスに成形される部分の外壁の前記傾斜角度と、ハブの第1のボスの外壁の前記傾斜角度との差を25°以下とする。
(8)前記第2の加工において、前記金型により前記第2の中間成形品の前記第1のボスに成形される部分押圧する前に、前記第1のボスに成形される部分の外壁の外側に、前記ハブの前記第1のボスの外面形状に一致する内面形状を有する金型を配置する、6または7項に記載のハブの製造方法。
本発明により、ホイールハブやクラッチハブといった直径が70mm以上の大型のハブを、逐次成形(冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造)を活用することにより、低加工荷重化を実現しながら、冷間鍛造により製造することができる。
このため、本発明によれば、成形後の後処理が不要であるために大型のハブのフランジおよびボスの会合部の表面における鍛流線の切断による疲労強度の低下を防ぎながら、大型のハブを良好な形状精度で高い材料歩留まりにより成形できるとともに、設備投資額を抑制でき低コスト化を図ることができる。
図1(a)は、本発明の事前加工で用いる鍛造を模式的に示す説明図であり、図1(b)は、本発明の第1の加工で用いる回転鍛造を模式的に示す説明図であり、図1(c)は、本発明の第2の加工で用いる鍛造を模式的に示す説明図である。 図2(a)〜図2(e)は、本発明の第1の加工で用いる揺動鍛造を模式的かつ経時的に示す説明図である。 図3は、回転鍛造時の素材の変形状況を示す説明図である。 図4(a)は、本発明に係るハブを示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)のA部を拡大して示す説明図であり、図4(c)は、熱間鍛造により製造された従来のハブにおける前記A部に相当する部位を拡大して示す説明図である。
添付図面を参照しながら本発明を説明する。
本発明では、上述した大型のハブの冷間鍛造に、部分的に逐次に加工を行う逐次加工、具体的には回転鍛造または揺動鍛造を適用することにより、加工荷重を低減しながら、材料歩留まりや形状精度に優れる冷間鍛造化を実現する。以下、本発明に係るハブおよびその製造方法を順次説明する。
1.本発明に係るハブ7
図1(a)は、本発明の事前加工で用いる鍛造を模式的に示す説明図であり、図1(b)は、本発明の第1の加工で用いる回転鍛造を模式的に示す説明図であり、図1(c)は、本発明の第2の加工で用いる鍛造を模式的に示す説明図である。
図2(a)〜図2(e)は、本発明の第1の加工で用いる揺動鍛造を模式的かつ経時的に示す説明図である。図3は、回転鍛造時の素材の変形状況を示す説明図である。
さらに、図4(a)は、本発明に係るハブ7を示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)のA部を拡大して示す説明図であり、図4(c)は、熱間鍛造により製造された従来のハブ7における前記A部に相当する部位を拡大して示す説明図である。
図1(c)および図4(a)に示すように、ハブ7は、フランジ12と、第1のボス8と、第2のボス13とを軸方向(図1(c)における一点鎖線が延びる方向)へ一体に備える。ハブ7は、金属製(例えば鋼製やアルミニウム合金製)の冷間回転鍛造品または冷間揺動鍛造品である。
中空のフランジ12は、軸方向の一部に軸方向と直交する方向へ張り出して設けられる。第1のボス8は、フランジ12の一方の表面12aから軸方向へ向けて突出する内壁8aおよび外壁8bを有する。第1のボス8は、中空かつ円柱状に設けられる。
さらに、第2のボス13は、フランジ12の他方の表面12bから軸方向へ向けて突出する内壁13aおよび外壁13bを有する。第2のボス13は、中空かつ円柱状に設けられる。
本発明は、形状が異なる二種類のハブ7を提供するので、これらを順次説明する。
(1−1)第1のハブ7
図1(b)に示すように、軸方向を含む断面において、第1のボス8の内側へ向けて傾斜する第1のボス8の外壁8bと軸方向とがなす劣角である傾斜角度θは、下記(1)式により表される臨界角度以上である。
また、前記断面において、第2のボス13の内側へ向けて傾斜する第2のボス13の外壁13bと軸方向とがなす劣角である傾斜角度θは、臨界角度未満である。
さらに、フランジ12の直径は、第1のボス8および第2のボス13のうちで直径が大きいボス(図1,4に示すハブ7では第1のボス8)の外壁8bの直径の1.5倍以上であり、かつ70mm以上、好ましくは70〜180mmである。
臨界角度[deg.]=200×arctan[H/{R×(1-cos(arcsin(H/R)))}]/π・・・(1)
(1)式において、Hは、第1のボス8および第2のボス13のうちで直径が大きいボスの高さ[mm]であり、Rは、第1のボス8および第2のボス13のうちで直径が大きいボスの外壁〜製品中心の距離[mm]である。
(1−2)第2のハブ7
軸方向を含む断面において、第1のボス8,13の内側へ向けて傾斜する第1のボス8,13の外壁8b,13bと軸方向とがなす劣角である傾斜角度θ,θは、いずれも、上記臨界角度以上である。
また、フランジ12の直径は、第1のボス8および第2のボス13のうちで直径が大きいボスの外壁8bの直径の1.5倍以上であり、かつ70mm以上、好ましくは70〜180mmである。
さらに、第1,2のハブ7は、いずれも、後述するように、冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造により製造されるため、成形後にスケール除去や形状精度仕上げ等のための後処理(切削加工やショットブラスト処理等)を行う必要がない。
このため、第1,2のハブ7は、いずれも、フランジ12と第1のボス8との会合部14の表面における鍛流線16が連続するとともに、フランジ12と第2のボス13との会合部15の表面における鍛流線(図示しない)が連続する。したがって、第1,2のハブ7では、いずれも、会合部14,15の表面における鍛流線16の切断による疲労強度の低下が防がれる。
これに対し、熱間鍛造により製造された従来のハブでは、図4(c)に示すように、会合部14,15の表面における鍛流線17が成形後の後処理により切断されており、疲労強度の低下は免れない。

2.本発明に係る製造方法
図1(a)に示すように、本発明の事前加工では、上型1および下型2を用いて円柱素材3に前方押出しによる冷間鍛造を行うことにより第2ボス13を有する第1の中間成形品4を成形する。
図1(b)に示すように、本発明の第1の加工(回転鍛造)は、上型5および下型6がともに回転しながら、第1の中間成形品4を加工して第2の中間成形品18を成形する回転鍛造プロセスである。
下型6は、回転のみの動作を行い、下型6に支持される第1の中間成形品4は、下型6とともに回転する。上型5は、鉛直線に対して所定角度θ傾斜して回転しながら、下型6へ向けて下降する動作を行う。
第1の加工により、第1の中間成形品4は、図3に示すように変形され、割れ不具合を生じることなく、第2の中間成形品18が製造される。
図1(c)に示すように、本発明の第2の加工では、第2の中間成形品18を下型2に設置した後、最終の製品形状に合致する形状の外壁19aを有する金型(上型)19を、第2の中間成形品18における、第1のボス8に成形される部分18aの外壁の外側に、第2の中間成形品18のフランジ18bを押さえるように配置する。
その後、円錐台形状を有するパンチ金型20を下降させることにより、第2の中間成形品18における、第1のボス8に成形される部分18aの内壁を外側に口拡げる口拡げ加工を行う。このようにしてハブ7が製造される。
以上の説明は、冷間回転鍛造により大型のハブ7を成形する場合を例にとったが、冷間回転鍛造ではなく、図2に示す冷間揺動鍛造であっても事情は同じである。すなわち、冷間回転鍛造では、図1(b)に示したように上型5は傾斜回転するとともに第1の中間成形品4は下型6とともに水平回転することによって、第1の中間成形品4に逐次加工を行う。
一方、冷間揺動鍛造では、図2に示すように、上型21は回転軸を旋回させる揺動運動をしながら下降する。第1の中間成形品4は下型6とともに動かない。このようにして、第1の中間成形品4に逐次加工を行う。このため、回転鍛造および揺動鍛造ともに、素材が上型5,21および下型2から負荷される加工荷重は同じである。
大型のハブ7を冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造により製造することにより、加工荷重は、通常の冷間鍛造の1/3〜1/10程度にまで大幅に低減される。
しかし、本発明が製造対象とする大型のハブ7を、冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造によって製造する場合、ハブ7の第1のボス8の形状によっては、加工の途中で、素材における第1のボス8に成形される部分4aの破断または顕著な形状精度不良を生じ、製造できない場合がある。
冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造による加工領域10(上型5が第1の中間成形品4に接触して押圧する領域)とは反対側の非加工領域11(上型5が第1の中間成形品4から離れる領域)において、上型5により、第1の中間成形品4における第1のボス8に成形される部分4aの外壁を内側へ向けて曲げ倒す方向へ力が発生する。非加工領域11での上型5および第1の中間成形品4の接触の程度が激しい場合には、第1の中間成形品4の破断または顕著な形状精度不良が発生する。
上述の第1の中間成形品4の破断または顕著な形状精度不良の原因になる、製品であるハブ7の第1のボス8の外壁8bの形状の要件は、上記(1)式により示される。すなわち、(1)式により規定される臨界角度よりも、第1のボス8の外壁8bの形状が緩やかな形状、すなわち第1のボス8の外壁8bの傾斜角度θが臨界角度よりも小さい場合には、冷間回転鍛造である第1の加工による形状精度不良を回避できる。
次に、(1)式の範囲外の形状、すなわち外壁8bの形状が急峻な第1のボス8は、回転鍛造によって加工できない。そこで、本発明では、素材4に前方押出しによる冷間鍛造を行う事前加工によって、第2ボスの13を有する第1の中間成形品4を成形する。
次に、回転鍛造である第1の加工によって加工可能な形状を有する第2の中間成形品18を成形する。
最後に、第2の中間成形品18に、回転鍛造を必要としない、換言すると低加工荷重で済む曲げ加工である第2の加工を行うことによって、第2の中間成形品18を、第1のボス8の外壁8bが急峻な形状であるハブ7を成形する。
略述すると、(1)式で表わされる外壁の形状を満足する形状を、冷間回転鍛造によって加工した(第1の加工)後に、第2の加工として口拡げ加工によって、第2の中間成形品18における、第1のボス8の根本部8cを曲げ加工することによって、急峻な外壁8bを有する第1のボス8の仕上げ加工を行う。
ハブ7のフランジ12の加工は、加工部位が広く、それに応じて大きな加工荷重が必要になる。これに対し、ハブ7の第1のボス8の根元部8cに対する第2の加工(通常の前方押出しによる冷間鍛造)は、主に根元部8cに対する曲げ加工(口拡げ加工)となる。このため、回転鍛造に頼らずとも加工荷重を小さく抑えることができる。
さらに、ハブ7の第1のボス8の外壁8bの形状が(1)式で表わされる外壁の形状を満足する場合であっても、過度に緩やかな形状である場合、具体的には、ハブ7の第1のボス8の外壁8bの傾斜角度と、第2の中間成形品18における、第1のボス8に成形される部分18aの外壁の傾斜角度との差が25°よりも大きい場合には、第2の加工により、第1のボス8の外壁の形状を精度良く加工できないか、あるいは加工荷重が過大となり、加工できない。
このため、本発明が対象とするハブ7は、(1)式で表わされる外壁8bの形状を満足する場合には、冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造によって加工し、(1)式で表わされる外壁8bの形状を満足しない場合には、冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造(第1の加工)によって、(1)式で表わされる外壁の形状を満足し、かつ、ハブ7の第1のボス8の外壁8bの傾斜角度と、第2の中間成形品18における、第1のボス8に成形される部分18aの外壁の角度との差が25°以内となる形状に加工した後、第2の加工によって、(1)式の範囲外の急峻な外壁8bを備える形状に加工することにより、所望の形状を有するハブ7を成形できる。
素材として、機械構造用炭素鋼S55C(C:0.52〜0.58質量%、Si:0.15〜0.35質量%、Mn:0.60〜0.90質量%、P:0.030質量%以下、S:0.035質量%以下)の球状化焼鈍材を用いた。
図1(a)に示すように、この素材3に前方押出しによる冷間鍛造を行う事前加工によって、第2ボスの13を有する第1の中間成形品4を成形した。
次に、図1(b)に示すように、第1の加工では、上型5および下型6を回転させながら、第1の中間成形品4を加工して第2の中間成形品18に成形する冷間回転鍛造プロセスとした。上型5の下降速度は0.4mm/secに設定し、上型5および下型6の回転速度は約50rpmに設定し、上型1の傾斜角度θは4°に設定した。
図1(c)に示すように、第2の加工では、第2の中間成形品18を下型6に設置した後、金型(上型)19を、第2の中間成形品18における、第1のボス8に成形される部分18aの外壁の外側に、フランジ12に成形される部分を押さえるように配置した。
そして、パンチ金型20を下降させることにより、第2の中間成形品18に対して口拡げ加工を行って、第1のボス8の直径:35または40mm,第2のボス13の直径:30または40mm,フランジ12の直径が80mmのハブ7を製造した。
表1に、第1の加工および第2の加工における金型および部品形状を、実験結果とともに、まとめて示す。表1は、鋼材割れ,形状精度不具合の実験結果を示す。なお、表1における第1の加工の結果は実験により、第2の加工の結果はFEM解析による。
Figure 0006750513
表1における、第1の加工の結果の「×」は、成形途中で第1のボス8に成形される部分が割れたことを示す。また、第2の加工の結果の「×」は、外壁形状を急峻な角度に立ち上げた上で金型に沿った狙いの形状に精度良く加工するためには、過大な加工荷重が必要となるため、鍛造加工設備が高価になることを示す。
表1に示す結果より、本発明によれば、ホイールハブやクラッチハブといったフランジ12の直径が70mm以上の大型のハブ7を、冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造により、低加工荷重化を実現しながら、フランジ12と第1,2のボス8,13との会合部14,15の表面における鍛流線16の切断による疲労強度の低下を生じることなく、良好な形状精度で高い材料歩留まりにより成形できるとともに、設備投資額を抑制でき低コスト化を図ることができることが分かる。
1 上型
2 下型
3 円柱素材
4 第1の中間成形品
4a 第1のボスに成形される部分
5 上型
6 下型
7 ハブ
8 第1のボス
8a 内壁
8b 外壁
8c 根元部
10 加工領域
11 非加工領域
12 フランジ
12a,12b 表面
13 第2のボス
13a 内壁
13b 外壁
14,15 会合部
16,17 鍛流線
18 第2の中間成形品
18a ハブの第1のボスに成形される部分
18b フランジ
19 金型(上型)
19a 外壁
20 パンチ金型
21 上型

Claims (8)

  1. 軸方向の一部に該軸方向と略直交する方向へ張り出して設けられる中空のフランジと、該フランジの一方の表面から前記軸方向へ向けて突出する外壁を有する中空の円柱体である第1のボスと、前記フランジの他方の表面から前記軸方向へ向けて突出する外壁を有する中空の円柱体である第2のボスとを前記軸方向へ一体に備える金属製の冷間回転鍛造品または冷間揺動鍛造品であるハブであって、
    前記軸方向を含む断面において、前記第1のボスの内側へ向けて傾斜する該第1のボスの前記外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度は、下記(1)式により表される臨界角度以上であり、
    前記断面において、前記第2のボスの内側へ向けて傾斜する該第2のボスの前記外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度は、前記臨界角度未満であり、
    前記フランジの直径は、前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの外壁の直径の1.5倍以上であり、かつ70mm以上である、ハブ。
    臨界角度[deg.]=200×arctan[H/{R×(1-cos(arcsin(H/R)))}]/π・・・(1)
    (1)式において、
    H:前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの高さ[mm]
    R:前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの外壁〜製品中心の距離[mm]
    である。
  2. 前記フランジと前記第1のボスとの会合部の表面における鍛流線が連続するとともに、前記フランジと前記第2のボスとの会合部の表面における鍛流線が連続する、請求項1に記載のハブ。
  3. 金属製の素材に前方押出しによる冷間鍛造を行うことにより前記第1ボスを成形した後に、冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造を行うことにより前記フランジおよび前記第2のボスを成形する、請求項1または2に記載のハブの製造方法。
  4. 軸方向の一部に該軸方向と略直交する方向へ張り出して設けられる中空のフランジと、該フランジの一方の表面から前記軸方向へ向けて突出する外壁を有する中空の円柱体である第1のボスと、前記フランジの他方の表面から前記軸方向へ向けて突出する外壁を有する中空の円柱体である第2のボスとを前記軸方向へ一体に備える金属製の冷間回転鍛造品または冷間揺動鍛造品であるハブであって、
    前記軸方向を含む断面において、前記第1のボスの内側へ向けて傾斜する該第1のボスの前記外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度は、下記(1)式により表される臨界角度以上であり、
    前記断面において、前記第2のボスの内側へ向けて傾斜する該第2のボスの前記外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度は、下記(1)式により表される臨界角度以上であり、
    前記フランジの直径は、前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの外壁の直径の1.5倍以上であり、かつ70mm以上である、ハブ。
    臨界角度[deg.]=200×arctan[H/{R×(1-cos(arcsin(H/R)))}]/π・・・(1)
    (1)式において、
    H:前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの高さ[mm]
    R:前記第1のボスおよび前記第2のボスのうちで直径が大きいボスの外壁〜製品中心の距離[mm]
    である。
  5. 前記フランジと前記第1のボスとの会合部の表面における鍛流線が連続するとともに、前記フランジと前記第2のボスとの会合部の表面における鍛流線が連続する、請求項4に記載のハブ。
  6. 金属製の素材に前方押出しによる冷間鍛造を行うことにより前記第2ボスを有する第1の中間成形品を成形する事前加工と、
    前記第1の中間成形品に冷間回転鍛造または冷間揺動鍛造を行って、前記フランジと、前記軸方向を含む断面において、前記第1のボスに成形される部分の内側へ向けて傾斜する該部分の外壁と前記軸方向とがなす劣角である傾斜角度が下記(1)式により表される臨界角度未満である、前記第1のボスに成形される部分とを備える第2の中間成形品を成形する第1の加工と、
    パンチ金型により前方押出しによる冷間鍛造を行って、前記第2の中間成形品の前記第1のボスに成形される部分を押圧することによって、前記第1のボスに成形される部分を外側に曲げ倒す口拡げ加工を行う第2の加工を含む、請求項4または5に記載のハブの製造方法。
  7. 前記第2の加工により、前記第2の中間成形品の前記第1のボスに成形される部分の外壁の前記傾斜角度を65°以上とする、請求項6に記載のハブの製造方法。
  8. 前記第2の加工において、前記金型により前記第2の中間成形品の前記第1のボスに成形される部分押圧する前に、前記第1のボスに成形される部分の外壁の外側に、前記ハブの前記第1のボスの外面形状に一致する内面形状を有する金型を配置する、請求項6または7に記載のハブの製造方法。
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