JP6750379B2 - 冷却装置 - Google Patents
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Description
「異方性熱伝導体」とは、方向によって熱伝導率が異なる性質を有する物質をいう。「熱伝導率」とは、物質の熱伝導のし易さを示すパラメータのことをいう。「熱伝導」とは、物質の高温側から低温側へ熱が伝わる移動現象のことをいう。「熱分散」とは、温度勾配によって物質が移動する現象のことをいう。「温度勾配」とは、任意の2地点間における温度の変化率や変化量のことをいう。「熱膨張率」とは、温度の上昇によって物体の長さや体積が熱膨張する割合を、温度当たりで示したものをいう。「熱膨張」とは、物体の体積が温度の上昇により増加する現象のことをいう。「応力」とは、物体に外部から力が働いたときに、物体に生じる単位面積あたりの力のことをいい、物体の温度変化による引張応力がある。「引張応力」とは、物体に対して外部から引張の力が働いたときに、物体が感じる応力のことをいう。「熱抵抗」とは、物体における熱の通りにくさを意味する。「接合」とは、焼成銀や半田などの接合材を用いて部材同士を熱的に結合することをいう。
実施例1における冷却装置は、走行用駆動源などとして車両に搭載されるモータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。以下、実施例1における冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
図1〜図3は実施例1における冷却装置の全体構成を示す。図4は実施例1における異方性熱伝導体の構成を示す。以下、図1〜図4に基づいて、全体構成を説明する。
ここで、「グラファイト」とは、炭素材料から成る元素鉱物をいう。「元素鉱物」とは、天然に産する一定の化学組成を有した無機質結晶質物質のこという。
ここで、「グラフェン」とは、1原子の厚さのsp2結合炭素原子のシートのことをいう。「sp2結合」とは、原子価状態の軌道関数を表すために人為的に導入された混成軌道のことをいう。「ファンデルワールス力」とは、原子、イオン、分子間に働く引力または反発力の総称であって、例えば、炭素原子間に働く引力のことをいう。
以下、図2及び図3に基づいて、配置構成を説明する。
ここで、「少なくとも一部」とは、一部又は全部を含む意味であり、グラファイト4の高熱伝導面40の一部に半導体素子2を接合する場合と、高熱伝導面40の全部に半導体素子2を接合する場合とを含む。
ここで、「高熱伝導面の少なくとも一面」とは、複数の高熱伝導面と、単一の高熱伝導面との双方を含む意味である。「高熱伝導面の少なくとも一面で接合される」とは、グラファイト4が銅3に対して複数の高熱伝導面で接合される場合と、銅3に対して一つの高熱伝導面で接合される場合と、の双方を含む。
実施例1の冷却装置1Aにおける作用を、「熱膨張の発生メカニズム」と、「冷却装置1Aにおける特徴作用」に分けて説明する。
一般的なパワーモジュールなどの半導体素子においては、発熱するチップ間で熱干渉を生じることなくすることが必要である。
ここで、「熱干渉」とは、例えば、発熱量の大きな複数のチップが近くに配置されることにより、各チップが発する熱が干渉し合い、各チップが高温になることをいう。
しかし、上記のような冷却装置にあっては、積層異方性高熱伝導体の1層目において、奥行方向の熱伝導率が低く、第2層目において、横方向の熱伝導率が低い。例えば、グラファイトは、グラフェンが積層された構造を有する。そのため、グラファイトは、熱伝導率や引張強度に異方性を有する。グラフェンは、ファンデルワールス力で結合しているため、積層方向に引っ張られると、はがれやすい性質を持つ。グラファイトは、熱伝導率と熱膨張率とが反比例する関係にある。このため、異方性熱伝導体にグラファイトを用いると、熱伝導率が低い方向ほど熱膨張が起こりやすい。これにより、異方性熱伝導体に発生する応力を抑制できない、という課題がある。
これに対し、実施例1では、半導体素子2は、グラファイト4の高熱伝導面40の少なくとも一部に接合され、グラファイト4は、銅3に対して高熱伝導面の少なくとも一面42,43で接合される。
即ち、高熱伝導面40,42は、低熱伝導面44,45よりも熱伝導率が高い。このため、半導体素子2の発生する熱は、高熱伝導面40,42,43を介してYZ方向(高熱伝導方向)に拡散されやすい。これにより、熱膨張が起こりやすい低熱伝導面44,45への熱の拡散が抑制される。つまり、グラファイト4に発生する応力を抑制できる。また、グラファイト4は、高熱伝導面42,43を介して銅3に接合される。このため、半導体素子2の発生する熱が、銅3の広い範囲に拡散される。これにより、冷却装置1Aの熱抵抗を低減できる。
その結果、グラファイト4に発生する応力を抑制しつつ、熱抵抗を低減できる。
加えて、グラファイト4は、銅3に対して低熱伝導面44,45で接合されない。グラファイト4のX方向の熱膨張率は、銅3の熱膨張率よりも大きい。グラファイト4及び銅3の温度が低下する場合、銅3よりもグラファイト4の方が熱収縮時のひずみが大きい。そのため、低熱伝導面44,45を銅3に接合させた状態で温度が低下すると、グラファイト4の引張応力により、グラファイト4が銅3から剥離するおそれがある。これに対し、実施例1では、低熱伝導面44,45を銅3に接合させない。このため、熱収縮による低熱伝導面44,45での引張応力の発生を抑制できる。これにより、グラファイト4の剥離を抑制できる。
従って、冷却装置1Aの信頼性が向上する。
即ち、グラファイト4は、2つの高熱伝導面42,43を介して銅3に対して接合される。このため、1つの高熱伝導面を介して銅3に対して接合する場合と比べて接合面積が増える。これにより、半導体素子2の発生する熱がより広い範囲に拡散される。
従って、1つの高熱伝導面を介して銅3にグラファイト4を接合する場合と比べて、冷却装置1Aの熱抵抗を低減できる。
即ち、対向する高熱伝導面42,43の距離L1が、対向する低熱伝導面44,45の距離L2よりも大きい。このため、半導体素子2で発生する熱がより広い範囲に拡散される。
従って、冷却装置1Aの熱抵抗をより低減できる。
即ち、銅3の熱伝導率が例えば、400W/mKであるのに対して、グラファイト4の高熱伝導面40〜43における熱伝導率は1000〜1500W/mKである。このため、半導体素子2を直接銅3に接合するよりも、半導体素子2で発生する熱がより広範囲に拡散される。また、低熱伝導面44,45における熱伝導率は5〜100W/mKであり、銅3の熱伝導率と比べて低い。このため、低熱伝導面44,45を銅3に接合しなくても熱抵抗への影響を抑制できる。
従って、半導体素子2で発生する熱を銅3の広い範囲で抜熱できる。
ここで、「抜熱」とは、半導体素子2で発生する熱を拡散させることをいう。
即ち、ヒートシンクは、金属の中でも比較的熱伝導率が良い銅3で構成される。
従って、半導体素子2で発生する熱の放熱性を向上できる。
実施例1における冷却装置1Aにあっては、下記に列挙する効果が得られる。
凸部もしくは凹部(凹部31)を備えるベース面(ベース面30)を有するヒートシンク(銅3)と、
凸部もしくは凹部(凹部31)に設けられ、熱伝導率が異なる熱伝導面(熱伝導面40〜45)を有する異方性熱伝導体(グラファイト4)と、を備える冷却装置(冷却装置1A)であって、
熱伝導面(熱伝導面40〜45)のうち、熱伝導率が高い方の熱伝導面を高熱伝導面(高熱伝導面40〜43)といい、熱伝導率が低い方の熱伝導面を低熱伝導面(低熱伝導面44,45)というとき、
発熱体(半導体素子2)は、異方性熱伝導体(グラファイト4)の高熱伝導面(高熱伝導面40)の少なくとも一部に接合され、
異方性熱伝導体(グラファイト4)は、ヒートシンク(銅3)に対して高熱伝導面(高熱伝導面40〜43)の少なくとも一面(高熱伝導面42,43)で接合される(図3)。
このため、異方性熱伝導体(グラファイト4)に発生する応力を抑制しつつ、熱抵抗を低減できる冷却装置(冷却装置1A)を提供することができる。
このため、1つの高熱伝導面を介してヒートシンク(銅3)に異方性熱伝導体(グラファイト4)を接合する場合と比べて、冷却装置(冷却装置1A)の熱抵抗を低減できる。
複数の高熱伝導面(高熱伝導面42,43)は、互いに対向して配置され、
複数の低熱伝導面(低熱伝導面44,45)は、互いに対向して配置され、
複数の高熱伝導面(高熱伝導面42,43)の間の距離(距離L1)は、複数の低熱伝導面(低熱伝導面44,45)の間の距離(距離L2)よりも長く設定される(図2)。
このため、(1)及び(2)の効果に加え、冷却装置(冷却装置1A)の熱抵抗をより低減できる。
低熱伝導面(低熱伝導面44,45)の熱伝導率は、ヒートシンク(銅3)の熱伝導率よりも低い(図1)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、発熱体(半導体素子2)で発生する熱をヒートシンク(銅3)の広い範囲で抜熱できる。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、半導体素子2で発生する熱の放熱性を向上できる。
実施例2における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。図5は実施例2における冷却装置の全体構成を示す。以下、図5に基づいて、実施例2における冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
冷却装置1Bは、実施例1と同様に、半導体素子2(発熱体)と、銅3(ヒートシンク)と、グラファイト4(異方性熱伝導体)と、接合材5(例えば、焼成銀)と、を備える。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
半導体素子2は、実施例1と同様に、グラファイト4の高熱伝導面40の少なくとも一部に接合される。
実施例2では、グラファイト4は、複数の高熱伝導面40〜43のうち、半導体素子2が接合される高熱伝導面40以外の高熱伝導面41〜43を介して銅3に対して接合される。
即ち、グラファイト4は、3つの高熱伝導面41〜43を介して銅3に対して接合される。このため、2つ以下の高熱伝導面を介して銅3に対して接合する場合と比べて接合面積が増える。これにより、半導体素子2の発生する熱がより広い範囲に拡散される。
従って、2つ以下の高熱伝導面を介してヒートシンク(銅3)に異方性熱伝導体(グラファイト4)を接合する場合と比べて、冷却装置1Bの熱抵抗を低減できる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例2における冷却装置1Bにあっては、実施例1の(1)〜(5)と同様の効果を得ることができる。
実施例3における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。図6は実施例3における冷却装置の全体構成を示す。以下、図6に基づいて、実施例3における冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
冷却装置1Cは、実施例1と同様に、半導体素子2(発熱体)と、銅3(ヒートシンク)と、グラファイト4(異方性熱伝導体)と、接合材5(例えば、焼成銀)と、を備える。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
半導体素子2は、実施例1と同様に、グラファイト4の高熱伝導面40の少なくとも一部に接合される。
実施例3では、グラファイト4は、半導体素子2が接合される高熱伝導面40を介して銅3に対して接合される。
即ち、グラファイト4は、高熱伝導面40以外の高熱伝導面41〜43に加えて、高熱伝導面40によっても銅3に対して接合される。これにより、高熱伝導面40以外の高熱伝導面で銅3にグラファイト4を接合する場合と比べて、半導体素子2から発生する熱の抜熱経路を拡大できる。
従って、冷却装置1Cの熱抵抗をより低減できる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例3における冷却装置1Cにあっては、上記(1)〜(5)の効果に加え、下記の効果が得られる。
このため、冷却装置(冷却装置1C)の熱抵抗をより低減できる。
実施例4における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。以下、実施例4における冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
図7〜図9は実施例4における冷却装置の全体構成を示す。以下、図7〜図9に基づいて、実施例4における冷却装置の全体構成を説明する。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
以下、図8及び図9に基づいて、配置構成を説明する。
実施例4では、グラファイト4は、半導体素子2が接合される高熱伝導面40を介して銅3に対して接合される。
即ち、グラファイト4は、高熱伝導面40以外の高熱伝導面41〜43に加えて、高熱伝導面40によっても銅3に対して接合される。これにより、高熱伝導面40以外の高熱伝導面で銅3にグラファイト4を接合する場合と比べて、半導体素子2から発生する熱の抜熱経路を拡大できる。
従って、冷却装置1Dの熱抵抗をより低減できる。
なお、他の作用は、実施例1及び実施例3と同様であるので、説明を省略する。
実施例4における冷却装置1Dにあっては、実施例1の(1)〜(5)及び実施例3の(6)と同様の効果を得ることができる。
実施例5における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。以下、実施例5における冷却装置における「配置構成」について説明する。なお、実施例5の冷却装置における「全体構成」については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
実施例5では、グラファイト4の低熱伝導面44,45と、銅3との間には、空隙G1,G2が設けられる。
即ち、グラファイト4の低熱伝導面44,45が、いずれも銅3との間に空隙を有する。これにより、温度上昇時における銅3とグラファイト4の熱膨張率の違いによりグラファイト4に発生する圧縮応力が、空隙によって抑制される。
従って、冷却装置1Eの信頼性を向上できる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例5における冷却装置1Eにあっては、上記(1)〜(5)の効果に加え、下記の効果が得られる。
このため、冷却装置(冷却装置1E)の信頼性を向上できる。
実施例6における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。以下、実施例6における冷却装置における「配置構成」について説明する。なお、実施例6の冷却装置における「全体構成」については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
ここで、「応力緩衝剤」とは、例えば、グラファイト4のX方向における熱伝導率(5〜100W/mK)よりも低い熱伝導率を有し、且つ、X方向に作用する圧縮応力を吸収可能な柔軟性のある材料をいう。「ゲル」とは、分散質のネットワークにより高い粘性を持ち流動性を失い、系全体としては固体状になったものをいう。
実施例6では、グラファイト4の低熱伝導面44,45と、銅3との間の空隙G1,G2には、応力緩衝剤Cが充填される。
即ち、グラファイト4の低熱伝導面44,45が、いずれも銅3との間の隙間に応力緩衝剤Cを有する。これにより、温度上昇時における銅3とグラファイト4の熱膨張率の違いによりグラファイト4に発生する圧縮応力が、応力緩衝剤Cによって緩衝される。
従って、冷却装置1Fの信頼性をより向上できる。
なお、他の作用は、実施例1、実施例3及び実施例5と同様であるので、説明を省略する。
実施例6における冷却装置1Fにあっては、上記(1)〜(5),(7)の効果に加え、下記の効果が得られる。
このため、冷却装置(冷却装置1F)の信頼性をより向上できる。
実施例7における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。図14は実施例7における冷却装置の全体構成を示す。以下、図14に基づいて、実施例7の冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
冷却装置1Gは、実施例1と同様に、半導体素子2(発熱体)と、銅3(ヒートシンク)と、グラファイト4(異方性熱伝導体)と、接合材5(例えば、焼成銀)と、を備える。実施例7では、半導体素子2(例えば、SiC)と、グラファイト4との組は、二つの組が設けられる。実施例7では、+X方向寄りの半導体素子2を第1半導体素子2Aとし、−X方向寄りの半導体素子2を第2半導体素子2Bとする。実施例7では、+X方向寄りのグラファイト4を第1グラファイト4Aとし、−X方向寄りのグラファイト4を第2グラファイト4Bとする。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
第1半導体素子2Aは、実施例1と同様に、第1グラファイト4Aの高熱伝導面40RHの少なくとも一部に接合される。第2半導体素子2Bは、実施例1と同様に、第2グラファイト4Bの高熱伝導面40LHの少なくとも一部に接合される。
実施例7では、半導体素子2及びグラファイト4の組は、二つの組が設けられ、二つの組における第1グラファイト4A及び第2グラファイト4Bは、夫々の低熱伝導面44RH,45LH同士が対向配置される。
即ち、第1グラファイト4Aの低熱伝導面44RHと、第2グラファイト4Bの低熱伝導面45LHと、が接合されない。
これにより、温度上昇時における銅3とグラファイト4の熱膨張率の違いにより低熱伝導面44RH,45LH間に発生する熱応力が抑制される。
従って、冷却装置1Gの信頼性を向上できる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例7における冷却装置1Gにあっては、上記(1)〜(5)の効果に加え、下記の効果が得られる。
複数組(二つの組)における異方性熱伝導体(第1グラファイト4A及び第2グラファイト4B)は、夫々の低熱伝導面(低熱伝導面44RH,45LH)同士が対向配置される(図14)。
このため、冷却装置(冷却装置1G)の信頼性を向上できる。
実施例8における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。図15及び図16は実施例8における冷却装置の全体構成を示す。以下、図15及び図16に基づいて、実施例8の冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
実施例8の冷却装置1Hは、図15に示すように、半導体素子2(発熱体)と、銅3(ヒートシンク)と、グラファイト4(異方性熱伝導体)と、接合材5(例えば、焼成銀)と、を備える。実施例8では、半導体素子2(例えば、SiC)と、グラファイト4との組は、図15及び図16に示すように、二つの組が設けられる。図15及び図16に示すように、実施例8では、+X方向寄りの半導体素子2を第1半導体素子2Aとし、−X方向寄りの半導体素子2を第2半導体素子2Bとする。図15及び図16に示すように、実施例8では、図15及び図16に示すように、+X方向寄りのグラファイト4を第1グラファイト4Aとし、−X方向寄りのグラファイト4を第2グラファイト4Bとする。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
第1半導体素子2Aは、図15及び図16に示すように、第1グラファイト4Aの高熱伝導面40RHの少なくとも一部に接合される。第2半導体素子2Bは、図15及び図16に示すように、第2グラファイト4Bの高熱伝導面40LHの少なくとも一部に接合される。
実施例8では、半導体素子2及びグラファイト4の組は、二つの組が設けられ、二つの組における第1グラファイト4A及び第2グラファイト4Bは、夫々の低熱伝導面44RH,45LH同士が対向配置される。
即ち、第1グラファイト4Aの低熱伝導面44RHと、第2グラファイト4Bの低熱伝導面45LHと、が接合されない。
これにより、温度上昇時における銅3とグラファイト4の熱膨張率の違いにより低熱伝導面44RH,45LH間に発生する熱応力が抑制される。
従って、冷却装置1Hの信頼性を向上できる。
なお、他の作用は、実施例1、実施例5及び実施例7と同様であるので、説明を省略する。
実施例8における冷却装置1Hにあっては、実施例1の(1)〜(5)、実施例5の(7)及び実施例7の(9)と同様の効果を得ることができる。
実施例9における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。図17は実施例9における冷却装置の全体構成を示す。以下、図17に基づいて、実施例9の冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
実施例9の冷却装置1Iは、半導体素子2(発熱体)と、銅3(ヒートシンク)と、グラファイト4(異方性熱伝導体)と、接合材5(例えば、焼成銀)と、放熱フィン6(例えば、アルミニウム)と、を備える。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
半導体素子2は、実施例1と同様に、グラファイト4の高熱伝導面40の少なくとも一部に接合される。
実施例9では、銅3においてグラファイト4が形成されるベース面30と反対側の面34に、放熱フィン6が設けられる。
即ち、銅3に放熱フィン6が設けられる。このため、グラファイト4を介して半導体素子2から銅3へ伝導された熱が、放熱フィン6によって放熱される。これにより、半導体素子2の発する熱を放熱する効果を、銅3に放熱フィン6を設けない場合と比べて大きくできる。
従って、冷却装置1Iにおける熱抵抗を、銅3に放熱フィン6を設けない場合と比べて低減できる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例9における冷却装置1Iにあっては、上記(1)〜(5)の効果に加え、下記の効果が得られる。
このため、冷却装置(冷却装置1I)における熱抵抗を、ヒートシンク(銅3)に放熱フィン(放熱フィン6)を設けない場合と比べて低減できる。
実施例10における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。図18は実施例10における冷却装置の全体構成を示す。以下、図18に基づいて、実施例10の冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
冷却装置1Jは、半導体素子2(発熱体)と、銅3(ヒートシンク)と、グラファイト4(異方性熱伝導体)と、接合材5(例えば、焼成銀)と、放熱フィン6(例えば、アルミニウム)と、を備える。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
半導体素子2は、実施例1と同様に、グラファイト4の高熱伝導面40の少なくとも一部に接合される。
実施例10では、銅3においてグラファイト4が形成されるベース面30と反対側の面34に、放熱フィン6が設けられる。
即ち、銅3に放熱フィン6が設けられる。このため、グラファイト4を介して半導体素子2から銅3へ伝導された熱が、放熱フィン6によって放熱される。これにより、半導体素子2の発する熱を放熱する効果を、銅3に放熱フィン6を設けない場合と比べて大きくできる。
従って、冷却装置1Jにおける熱抵抗を、銅3に放熱フィン6を設けない場合と比べて低減できる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例10における冷却装置1Jにあっては、実施例1の(1)〜(5)及び実施例9の(10)と同様の効果を得ることができる。
実施例11における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。図19は実施例11における冷却装置の全体構成を示す。以下、図19に基づいて、実施例11の冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
冷却装置1Kは、半導体素子2(発熱体)と、銅3(ヒートシンク)と、グラファイト4(異方性熱伝導体)と、接合材5(例えば、焼成銀)と、電気絶縁層7(例えば、窒化ケイ素)と、冷却器8(例えば、アルミニウム)と、を備える。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
半導体素子2は、実施例1と同様に、グラファイト4の高熱伝導面40の少なくとも一部に接合される。
実施例11では、銅3においてグラファイト4が形成されるベース面30と反対側の面34に、電気絶縁層7が接合され、電気絶縁層7において銅3が接合される面70と反対側の面71に、冷却器8が接合される。
即ち、電気絶縁層7を介して銅3が冷却器8に接合される。これにより、半導体素子2で発生した熱が、冷却器8の冷媒に放熱される。つまり、半導体素子2から銅3に伝わる熱が、冷却器8に拡散される。
従って、冷却装置1Kにおける熱抵抗を、銅3に電気絶縁層7及び冷却器8を設けない場合と比べて低減できる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例11における冷却装置1Kにあっては、上記(1)〜(5)の効果に加え、下記の効果が得られる。
電気絶縁層(電気絶縁層7)においてヒートシンク(銅3)が接合される面(面70)と反対側の面(面71)に、冷却器(冷却器8)が接合される。
このため、冷却装置(冷却装置1K)における熱抵抗を、ヒートシンク(銅3)に電気絶縁層(電気絶縁層7)及び冷却器(冷却器8)を設けない場合と比べて低減できる。
実施例12における冷却装置は、実施例1と同様に、モータジェネレータのインバータに用いられる半導体素子の冷却装置に適用したものである。図20は実施例12における冷却装置の全体構成を示す。以下、図20に基づいて、実施例12の冷却装置の構成を、「全体構成」と、「配置構成」に分けて説明する。
冷却装置1Lは、半導体素子2(発熱体)と、銅3(ヒートシンク)と、グラファイト4(異方性熱伝導体)と、接合材5(例えば、焼成銀)と、電気絶縁層7(例えば、窒化ケイ素)と、冷却器8(例えば、アルミニウム)と、を備える。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
半導体素子2は、実施例1と同様に、グラファイト4の高熱伝導面40の少なくとも一部に接合される。
実施例12では、銅3においてグラファイト4が形成されるベース面30と反対側の面34に、電気絶縁層7が接合され、電気絶縁層7において銅3が接合される面70と反対側の面71に、冷却器8が接合される。
即ち、電気絶縁層7を介して銅3が冷却器8に接合される。これにより、半導体素子2で発生した熱が、冷却器8の冷媒に放熱される。つまり、半導体素子2から銅3に伝わる熱が、冷却器8に拡散される。
従って、冷却装置1Lにおける熱抵抗を、銅3に電気絶縁層7及び冷却器8を設けない場合と比べて低減できる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例12における冷却装置1Lにあっては、実施例1の(1)〜(5)及び実施例11の(11)と同様の効果を得ることができる。
2,2A,2B 半導体素子(発熱体)
3 銅(ヒートシンク)
4,4A,4B グラファイト(異方性熱伝導体)
6 放熱フィン
7 電気絶縁層
8 冷却器
30 ベース面
31 凹部
32,32RH,32LH,33 凸部
34 ベース面と反対側の面
70 電気絶縁層においてヒートシンクが接合される面
71 電気絶縁層においてヒートシンクが接合される面と反対側の面
40,41,42,43,44,45,40RH,41RH,42RH,43RH,44RH,45RH,40LH,41LH,42LH,43LH,44LH,45LH 熱伝導面
40,41,42,43,40RH,41RH,42RH,43RH,40LH,41LH,42LH,43LH 高熱伝導面
44,45,44RH,45RH,44LH,45LH 低熱伝導面
60 放熱板
C 応力緩衝剤
G1,G2,G3,G4,G5 空隙
L1,L2 距離
Claims (11)
- 発熱体と、
凸部もしくは凹部を備えるベース面を有するヒートシンクと、
前記凸部もしくは前記凹部に設けられ、熱伝導率が異なる熱伝導面を有する異方性熱伝導体と、を備える冷却装置であって、
前記熱伝導面のうち、熱伝導率が高い方の熱伝導面を高熱伝導面といい、熱伝導率が低い方の熱伝導面を低熱伝導面というとき、
前記発熱体は、前記異方性熱伝導体の前記高熱伝導面の少なくとも一部に接合され、
前記異方性熱伝導体は、前記ヒートシンクに対して前記高熱伝導面の少なくとも一面で接合され、前記ヒートシンクに対して前記低熱伝導面が接合されない
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1に記載された冷却装置において、
前記異方性熱伝導体は、複数の高熱伝導面を備え、前記複数の高熱伝導面のうち、前記発熱体が接合される高熱伝導面以外の高熱伝導面を介して前記ヒートシンクに対して接合される
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1又は請求項2に記載された冷却装置において、
前記異方性熱伝導体は、前記発熱体が接合される高熱伝導面を介して前記ヒートシンクに対して接合される
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された冷却装置において、
前記異方性熱伝導体は、複数の高熱伝導面と、複数の低熱伝導面と、を備え、
前記複数の高熱伝導面は、互いに対向して配置され、
前記複数の低熱伝導面は、互いに対向して配置され、
前記複数の高熱伝導面の間の距離は、前記複数の低熱伝導面の間の距離よりも長く設定される
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1から請求項4までの何れか一項に記載された冷却装置において、
前記異方性熱伝導体の前記低熱伝導面と、前記ヒートシンクとの間には、空隙が設けられる
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項5に記載された冷却装置において、
前記空隙には、応力緩衝剤が充填される
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1から請求項6までの何れか一項に記載された冷却装置において、
前記発熱体及び前記異方性熱伝導体の組は、複数組が設けられ、
前記複数組における異方性熱伝導体は、夫々の低熱伝導面同士が対向配置される
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1から請求項7までの何れか一項に記載された冷却装置において、
前記ヒートシンクにおいて前記異方性熱伝導体が形成される前記ベース面と反対側の面に、放熱フィンが設けられる
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1から請求項7までの何れか一項に記載された冷却装置において、
前記ヒートシンクにおいて前記異方性熱伝導体が形成される前記ベース面と反対側の面に、電気絶縁層が接合され、
前記電気絶縁層において前記ヒートシンクが接合される面と反対側の面に、冷却器が接合される
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1から請求項9までの何れか一項に記載された冷却装置において、
前記高熱伝導面の熱伝導率は、前記ヒートシンクの熱伝導率より高く、
前記低熱伝導面の熱伝導率は、前記ヒートシンクの熱伝導率よりも低い
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1から請求項10までの何れか一項に記載された冷却装置において、
前記ヒートシンクは、銀、銅、アルミニウム及び金のうちいずれか一つである
ことを特徴とする冷却装置。
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