JP6750378B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池は、車載用、産業用の他、様々な用途で使用されている。鉛蓄電池は、負極板と、正極板と、電解液とを含む。負極板と正極板との間にはセパレータが配置される。セパレータとしては、ガラス繊維の不織布などが使用される。例えば、特許文献1には、ガラス繊維などを含み、圧縮された繊維マットが、制御弁式鉛蓄電池の絶縁材として適していることが教示されている。
負極板は、負極集電体と負極電極材料とを備える。放電性能などを高める観点から、一般に、負極板には防縮剤(エキスパンダ)が添加される。中でも有機物に由来する防縮剤は、有機防縮剤と称される。特許文献2では、低温ハイレート放電性能の観点から、硫黄元素含有量が4000〜6000μmol/gの有機防縮剤を用いることが教示されている。
特開2009−52192号公報 国際公開第2015/181865号パンフレット
負極板に添加された有機防縮剤の一部は、電解液に溶出して、正極電極材料側に移動し、正極電極材料を軟化させる傾向がある。正極電極材料が軟化すると、放電性能が低下する。
本発明の一側面は、極板群と、電解液と、を備え、
前記極板群は、負極板と、正極板と、前記負極板および前記正極板の間に介在するセパレータと、を備え、
前記負極板は、負極集電体と、負極電極材料と、を備え、
前記負極電極材料は、硫黄元素を含む有機防縮剤を含み、
前記有機防縮剤中の前記硫黄元素の含有量は、3000μmol/gを超え、かつ9000μmol/g未満であり、
前記セパレータは、ガラス繊維を含む不織布を含み、
前記極板群の加圧力は、10kPaを超え、かつ60kPa未満である、鉛蓄電池に関する。
本発明によれば、鉛蓄電池の放電性能を向上することができる。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池のフタを外した状態を模式的に示す斜視図である。 図1の鉛蓄電池の正面図である。 図2Aの鉛蓄電池のIIB−IIB線による矢示断面図である 有機防縮剤中の硫黄元素含有量が4000μmol/gの場合について、加圧力を変化させたときの、負極電極材料の密度と初期1CA放電容量との関係を示すグラフである。 有機防縮剤中の硫黄元素含有量が5000μmol/gの場合について、加圧力を変化させたときの、負極電極材料の密度と初期1CA放電容量との関係を示すグラフである。 有機防縮剤中の硫黄元素含有量が6000μmol/gの場合について、加圧力を変化させたときの、負極電極材料の密度と初期1CA放電容量との関係を示すグラフである。 有機防縮剤中の硫黄元素含有量が7000μmol/gの場合について、加圧力を変化させたときの、負極電極材料の密度と初期1CA放電容量との関係を示すグラフである。 有機防縮剤中の硫黄元素含有量が8000μmol/gの場合について、加圧力を変化させたときの、負極電極材料の密度と初期1CA放電容量との関係を示すグラフである。 有機防縮剤中の硫黄元素含有量が9000μmol/gの場合について、加圧力を変化させたときの、負極電極材料の密度と初期1CA放電容量との関係を示すグラフである。 有機防縮剤中の硫黄元素含有量が3000μmol/gの場合について、加圧力を変化させたときの、負極電極材料の密度と初期1CA放電容量との関係を示すグラフである。 硫黄元素含有量が600μmol/gであるリグニンを有機防縮剤として用いた場合について、加圧力を変化させたときの、負極電極材料の密度と初期1CA放電容量との関係を示すグラフである。 有機防縮剤中の硫黄元素含有量が5000μmol/gの場合について、加圧力を変化させたときの、負極電極材料の密度と3000サイクル容量維持率との関係を示すグラフである。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、極板群と、電解液と、を備え、極板群は、負極板と、正極板と、負極板および正極板の間に介在するセパレータと、を備える。負極板は、負極集電体と、負極電極材料と、を備える。負極電極材料は、硫黄元素を含む有機防縮剤を含み、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量は、3000μmol/gを超え、かつ9000μmol/g未満である。セパレータは、ガラス繊維を含む不織布を含む。極板群の加圧力は、10kPaを超え、かつ60kPa未満である。
鉛蓄電池の容量低下を抑制し、放電性能を高める目的で、硫黄元素の含有量が高い(例えば、3000μmol/gを超える)有機防縮剤が使用される。しかし、硫黄元素の含有量が高い有機防縮剤は、リグニンに比べると充放電サイクルにより電解液中に溶出し易い。溶出した有機防縮剤は、正極電極材料側へ移動し、正極電極材料を軟化させるため、実際には放電性能が低下してしまう。また、正極電極材料が軟化すると、正極板の耐久性が低下し、正極電極材料が脱落することもある。このような正極板の劣化は、鉛蓄電池の寿命性能を低下させる。
これに対し、本発明の一側面に係る鉛蓄電池では、ガラス繊維を含む不織布を含むセパレータを用いるとともに、極板群の加圧力を10kPaより大きく、60kPa未満に制御する。これにより、負極板からの有機防縮剤の溶出が抑制され、負極電極材料のBET比表面積もしくは孔径などの微細構造が維持される。また、負極板から有機防縮剤が溶出しても、セパレータを通過し難くなり、正極板側への有機防縮剤の移動が抑制される。有機防縮剤の正極への作用が低減されることになることで、正極電極材料の軟化が抑制されるとともに、加圧力により正極の軟化自体も抑制される。その結果、鉛蓄電池の放電性能が向上する。また、正極板の劣化が抑制されることで、優れた寿命性能を得ることもできる。
極板群の加圧力は、10kPaを超え、60kPa未満であればよい。放電性能をさらに高める観点から、極板群の加圧力は、12kPa〜55kPaが好ましく、15kPa〜50kPaがさらに好ましい。
なお、極板群の加圧力とは、鉛蓄電池内で、極板群の構成要素(特に、セパレータ)に加わる圧力の指標である。極板群の加圧力は、次のようにして求められる値である。まず、鉛蓄電池内に極板群が収容された気密状態において、正極板および負極板の積層方向に沿う方向の電槽の外寸t0を計測する。次いで、鉛蓄電池を解体して極板群を取り出した直後に、正極板および負極板の積層方向に対して垂直な極板群の2つの主面全体を、積層方向に沿って、気密時の電槽の内寸(=気密時の電槽の外寸t0−電槽の厚み)になるまで加圧する。このときに極板群に加える力(N)を測定し、極板群の上記の主面(一方の主面)の面積で除することにより、単位面積当たりの力である加圧力(Pa)を求めることができる。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池で使用する有機防縮剤の硫黄元素の含有量は、3000μmol/gを超え、かつ9000μmol/g未満である。硫黄元素の含有量がこのような範囲である場合、加圧力を上記の範囲に制御することにより、放電性能を格段に向上することができる。それに対して、硫黄元素の含有量が3000μmol/g以下および9000μmol/g以上では、加圧力を上記の範囲に制御することによる効果が十分には得られない。放電性能をさらに高める観点からは、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量は、4000〜8000μmol/gが好ましく、5000〜8000μmol/gがより好ましい。
なお、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量がXμmol/gであるとは、有機防縮剤の1g当たりに含まれる硫黄元素の含有量がXμmolであることをいう。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、特に制御弁式(密閉式)鉛蓄電池に適している。本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、例えば、自動車用の鉛蓄電池、据置型の無停電電源用の鉛蓄電池などとして利用できる。
負極電極材料の密度は、例えば2.4〜5g/cm3である。加圧力を、上記の範囲(例えば、10kPaを超え、60kPa未満の範囲)とすることによる効果が得られ易い観点からは、負極電極材料の密度は、2.4〜4.0g/cm3が好ましく、2.7〜4.0g/cm3がより好ましい。鉛蓄電池の放電性能をさらに高める観点からは、負極電極材料の密度は、3.0〜4.0g/cm3であることが好ましい。
負極電極材料の密度が小さい(例えば、3.8g/cm3以下である)場合、鉛蓄電池を軽量化する上で有利である。負極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する活物質(鉛もしくは硫酸鉛)を含んでいるが、充放電を繰り返すうちに、活物質の溶解および析出に伴って、負極電極材料における空隙の微細構造および空隙の孔径が大きく変化するため、容量が低下する。上記のような硫黄含有量を有する有機防縮剤を負極電極材料に添加すると、負極電極材料中の鉛成分のBET比表面積を大きくして、空隙の孔径を小さくすることができると考えられる。しかし、充放電により、有機防縮剤自体も負極電極材料から溶出するため、負極電極材料の微細構造を維持することが難しい。本発明の一側面に係る鉛蓄電池では、極板群の加圧力を上記のような範囲に制御することで、このように負極電極材料が低密度である場合でも、負極電極材料の微細構造を維持することができ、容量の低下を抑制することができるとともに、正極の軟化を抑制することができる。よって、放電性能の低下を抑制することができる。また、充放電サイクル特性の低下または寿命性能の低下も抑制することができる。従って、負極電極材料の密度を、3.8g/cm3以下(例えば、2.4〜3.8g/cm3)とすることも好ましい。
なお、本明細書中、1CAは電池の公称容量を1時間で放電する電流値である。例えば、公称容量が30Ahの電池であれば、1CAは30Aであり、1mCAは30mAである。
以下、本発明の一側面に係る鉛蓄電池について、主要な構成要件ごとに説明するが、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
(負極板)
鉛蓄電池の負極板は、負極集電体と、負極電極材料とで構成されている。負極電極材料は、負極板から負極集電体を除いたものである。負極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛または鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。
鉛合金は、Pb−Sb系合金、Pb−Ca系合金、Pb−Ca−Sn系合金のいずれであってもよい。これらの鉛もしくは鉛合金は、更に、添加元素として、Ba、Ag、Al、Bi、As、Se、Cuなどからなる群より選択された少なくとも1種を含んでもよい。負極集電体は、組成の異なる鉛合金層を有してもよく、合金層は複数でもよい。
負極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する負極活物質(鉛もしくは硫酸鉛)と、上記の硫黄元素含有量を有する有機防縮剤とを所定の含有量で含む。負極電極材料は、更に、カーボンブラックのような炭素質材料、硫酸バリウムなどを含んでもよく、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
充電状態の負極活物質は、海綿状鉛であるが、未化成の負極板は、通常、鉛粉を用いて作製される。
有機防縮剤は、硫黄元素を含む有機高分子であり、一般に、分子内に複数の芳香環を含むとともに、硫黄含有基として硫黄元素を含んでいる。硫黄含有基の中では、安定形態であるスルホン酸基もしくはスルホニル基が好ましい。スルホン酸基は、酸型で存在してもよく、Na塩のように塩型で存在してもよい。
有機防縮剤の具体例としては、硫黄含有基を有するとともに芳香環を有する化合物のホルムアルデヒドによる縮合物が好ましい。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。芳香環を有する化合物が複数の芳香環を有する場合には、複数の芳香環は直接結合や連結基(例えば、アルキレン基、スルホン基など)などで連結していてもよい。このような構造としては、例えば、ビフェニル、ビスフェニルアルカン、ビスフェニルスルホンなどが挙げられる。芳香環を有する化合物としては、例えば、上記の芳香環と、ヒドロキシ基および/またはアミノ基とを有する化合物が挙げられる。ヒドロキシ基やアミノ基は、芳香環に直接結合していてもよく、ヒドロキシ基やアミノ基を有するアルキル鎖として結合していてもよい。芳香環を有する化合物としては、ビスフェノール化合物、ヒドロキシビフェニル化合物、ヒドロキシナフタレン化合物、フェノール化合物などが好ましい。芳香環を有する化合物は、さらに置換基を有していてもよい。有機防縮剤は、これらの化合物の残基を一種含んでもよく、複数種含んでもよい。ビスフェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどが好ましい。中でも、ビスフェノールSは、スルホニル基(−SO2−)を有するため、硫黄元素の含有量を大きくすることが容易である。なお、ビスフェノール化合物の縮合物は、常温より高い環境を経験しても、低温での始動性能が損なわれないので、常温より高い温度環境に置かれる鉛蓄電池に適している。
硫黄含有基は、化合物に含まれる芳香環に直接結合していてもよく、例えば硫黄含有基を有するアルキル鎖として芳香環に結合していてもよい。また、例えば、アミノベンゼンスルホン酸もしくはアルキルアミノベンゼンスルホン酸のような単環式の芳香族化合物を、上記の芳香環を有する化合物とともにホルムアルデヒドで縮合させてもよい。
N,N’−(スルホニルジ−4,1−フェニレン)ビス(1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−2,4−ジオキソピリミジン−5−スルホンアミド)の縮合物などを有機防縮剤として用いてもよい。
負極電極材料中に含まれる有機防縮剤の含有量は、一般的な範囲であれば、有機防縮剤の作用を大きく左右するものではない。負極電極材料中に含まれる有機防縮剤の含有量は、例えば0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、一方、1.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。ここで、負極電極材料中に含まれる有機防縮剤の含有量とは、化成後で満充電状態の鉛蓄電池から、後述の方法で採取した化成後で満充電状態の負極電極材料における含有量である。
負極板は、負極集電体に、負極ペーストを充填し、熟成、乾燥することにより未化成の負極板を作製し、その後、未化成の負極板を化成することにより形成できる。負極ペーストは、鉛粉と有機防縮剤および必要に応じて添加剤に、水と硫酸を加えて混練することで作製する。熟成工程では、室温より高温かつ高湿度で、未化成の負極板を熟成させることが好ましい。
化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の負極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。化成により、海綿状鉛が生成する。
(正極)
鉛蓄電池の正極板としては、ペースト式の正極板を用いることが好ましい。
ペースト式正極板は、正極集電体と、正極電極材料とを具備する。正極電極材料は、正極集電体に保持されている。正極集電体は、負極集電体と同様に形成すればよく、鉛または鉛合金の鋳造や、鉛または鉛合金シートの加工により形成することができる。
正極集電体に用いる鉛合金としては、耐食性および機械的強度の点で、Pb−Ca系合金、Pb−Ca−Sn系合金が好ましい。正極集電体は、組成の異なる鉛合金層を有してもよく、合金層は複数でもよい。
正極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する正極活物質(二酸化鉛もしくは硫酸鉛)を含む。正極電極材料は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
未化成のペースト式正極板は、負極板の場合に準じて、正極集電体に、正極ペーストを充填し、熟成、乾燥することにより得られる。その後、未化成の正極板を化成する。正極ペーストは、鉛粉、添加剤、水、硫酸を練合することで調製される。
(セパレータ)
セパレータを構成する不織布は、ガラス繊維を織らずに絡み合わせたマットである。負極板と正極板との間に介在させるセパレータの厚さや枚数は、極間距離に応じて選択すればよい。セパレータは、不織布のみで構成してもよく、必要に応じて、不織布とフィルムとを積層したもの、不織布とこれと同種または異種の素材とを貼り合わせた物、不織布とまたはこれと同種または異種の素材とでオスメスをかみ合わせた物などであってもよい。
ガラス繊維の平均繊維径は、例えば0.1μm以上、25μm以下が好ましい。平均繊維径は、10本以上の繊維を任意に選択し、選択された繊維の拡大写真から求めることができる。なお、ガラス繊維は、単一の繊維径のものだけでなく、複数の繊維径(例えば、1μmのものと10μmのもの)を混合して用いてもよい。
上記の不織布は、ガラス繊維以外に、電解液に不溶性の繊維材料を含んでいてもよい。ガラス繊維以外の繊維材料としては、ポリマー繊維(ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維など)、パルプ繊維などを用いることができる。セパレータは、例えば、60質量%以上が繊維材料で形成されていることが好ましい。セパレータを構成する繊維材料に占めるガラス繊維の割合は、60質量%以上であることが好ましい。また、不織布は、無機粉体、例えば、シリカ粉末、ガラス粉末、珪藻土などを含んでいてもよい。
セパレータの厚さ(総厚み)は、鉛蓄電池のサイズ、極板間の距離などに応じて選択すればよいが、例えば、20kPa加圧時で0.5〜3.3mmである。
(電解液)
電解液は、硫酸を含む水溶液であり、必要に応じてゲル化させてもよい。化成後で満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は、例えば1.10〜1.35g/cm3であり、1.20〜1.35g/cm3であることが好ましい。
次に、各物性の分析方法について説明する。
(1)負極電極材料の密度
負極電極材料の密度は、化成後の満充電状態の負極電極材料のかさ密度の値を意味し、以下のようにして測定する。化成後の電池を満充電してから解体し、入手した負極板に水洗と乾燥とを施すことにより、負極板中の電解液を除く。次いで負極板から負極電極材料を分離して、未粉砕の測定試料を入手する。測定容器に試料を投入し、真空排気した後、0.5〜0.55psiaの圧力で水銀を満たして、負極電極材料のかさ容積を測定し、測定試料の質量をかさ容積で除すことにより、負極電極材料のかさ密度を求める。なお、測定容器の容積から、水銀の注入容積を差し引いた容積をかさ容積とする。
本明細書中、鉛蓄電池の満充電状態とは、化成後の鉛蓄電池を、25℃の気槽中で、まず、5時間率電流で2.23V/セルの定電流定電圧充電を行い、定電圧充電時の充電電流が1mCA以下になった時点で充電を終了した状態である。
(2)有機防縮剤の分析
まず、化成後で満充電状態の鉛蓄電池を分解し、負極板を取り出し、水洗により硫酸を除去し、乾燥する。次に、乾燥した負極板から負極電極材料(初期試料)を採取し、初期試料を下記方法で分析する。
(2−1)負極電極材料中の有機防縮剤の定性分析
初期試料を1mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、有機防縮剤を抽出する。次に、抽出された有機防縮剤を含むNaOH水溶液から不溶成分を濾過で取り除き、得られた濾液を透析により脱塩した後、濃縮し、乾燥する。脱塩は、濾液をイオン交換膜に通すことにより行ってもよく、濾液を透析チューブに入れて蒸留水中に浸すことにより行ってもよい。これにより有機防縮剤の粉末試料が得られる。
このようにして得た有機防縮剤の粉末試料を用いて測定した赤外分光スペクトルや粉末試料を蒸留水等で溶解し紫外可視吸光度計で測定した紫外可視吸収スペクトル、重水等の所定の溶媒で溶解し、得られた溶液のNMRスペクトルなどから得た情報を組み合わせて用いて、有機防縮剤種を特定する。
(2−2)負極電極材料中における有機防縮剤の含有量
上記(2−1)と同様に、有機防縮剤を含むNaOH水溶液の濾液を得た後、濾液の紫外可視吸収スペクトルを測定する。スペクトル強度と、予め作成した検量線とを用いて、負極電極材料中の有機防縮剤の含有量を定量することができる。
なお、有機防縮剤の含有量が未知の鉛蓄電池を入手して有機防縮剤の含有量を測定する際に、有機防縮剤の構造式の厳密な特定ができないために検量線に同一の有機防縮剤が使用できないことがある。この場合には、当該電池の負極から抽出した有機防縮剤と、紫外可視吸収スペクトル、赤外分光スペクトル、およびNMRスペクトルなどが類似の形状を示す、別途入手可能な有機防縮剤を使用して検量線を作成することで、紫外可視吸収スペクトルを用いて有機防縮剤の含有量を測定することができる。
(2−3)有機防縮剤中の硫黄元素の含有量
上記(2−1)と同様に、有機防縮剤の粉末試料を得た後、酸素燃焼フラスコ法によって、0.1gの有機防縮剤中の硫黄元素を硫酸に変換する。このとき、吸着液を入れたフラスコ内で粉末試料を燃焼させることで、硫酸イオンが吸着液に溶け込んだ溶出液が得られる。次に、トリン(thorin)を指示薬として、溶出液を過塩素酸バリウムで滴定することにより、0.1gの有機防縮剤中の硫黄元素の含有量(C1)を求める。次に、C1を10倍して1g当たりの有機防縮剤中の硫黄元素の含有量(μmol/g)を算出する。
(3)ガラス繊維の平均繊維径
既化成の満充電状態の鉛蓄電池を分解し、セパレータを取り出し、水洗により硫酸を除去し、乾燥する。次に、乾燥したセパレータを粉砕し、粉砕試料を得る。次いで、粉砕試料を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察し、長さを測定可能な繊維を10本以上選択して、その拡大写真を撮影する。次に、各繊維の写真を画像処理して、繊維の長さ方向の中心付近における繊維径を求める。得られた繊維径の平均を算出し、ガラス繊維の平均繊維径とすればよい。
図1は、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池のフタを外した一例を模式的に示す斜視図である。図2Aは、図1の鉛蓄電池の正面図であり、図2Bは、図2AのIIB−IIB線による矢示断面図である。
鉛蓄電池1は、極板群11と電解液(図示せず)とを収容する電槽10を具備する。極板群11は、それぞれ複数枚の負極板2および正極板3を、セパレータ4を介して積層することにより構成されている。
複数の負極板2のそれぞれの上部には、上方に突出する集電用の耳部(図示せず)が設けられている。複数の正極板3のそれぞれの上部にも、上方に突出する集電用の耳部(図示せず)が設けられている。そして、負極板2の耳部同士は負極用ストラップ5aにより連結され一体化されている。同様に、正極板3の耳部同士も正極用ストラップ5bにより連結されて一体化されている。負極用ストラップ5aには負極柱6aが固定され、正極用ストラップ5bには正極柱6bが固定されている。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)および(1−B1)〜(1−B28),有機防縮剤中の硫黄元素含有量:4000μmol/g》
以下の手順で、鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)、および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)を作製した。鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力がそれぞれ表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は4000μmol/gである。
(1)鉛蓄電池(1−A1)の作製
(a)負極板の作製
鉛粉、水、希硫酸、硫酸バリウム、カーボンブラック、および所定量の有機防縮剤を混合して、負極ペーストを得た。負極ペーストを、Pb−Ca−Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成、乾燥し、未化成の負極板を得た。
有機防縮剤は、既化成で満充電後の負極電極材料100質量%に対し、有機防縮剤の含有量(A(質量%))が0.1質量%になるように、添加量を調整して、負極ペーストに配合した。また、負極ペーストを調製する際には、既化成で満充電後の負極電極材料の密度が表1に示す3.0g/cm3になるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節した。
なお、負極電極材料の密度は、既述の手順で、化成後の電池を満充電してから解体し、回収した測定試料を用いて求めた。電池の満充電は、既述の手順で行なった。負極電極材料の密度は、島津製作所(株)製の自動ポロシメータ(オートポアIV9505)を用いて既述の方法で測定した。
有機防縮剤には、スルホン酸基を導入したビスフェノール化合物のホルムアルデヒドによる縮合物を用いた。ここでは、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が4000μmol/gになるように、導入するスルホン酸基の量を制御した。
なお、有機防縮剤中の硫黄元素含有量(μmol/g)については、負極電極材料を調製する前と、鉛蓄電池を解体し、有機防縮剤を抽出して測定した値には差がないことを確認した。そのため、以下、実施例および比較例で記載した有機防縮剤中の硫黄元素含有量としては、負極電極材料を調製する前の有機防縮剤について求めた値を記載している。
(b)正極板の作製
鉛粉を、硫酸、水と混合して、正極ペーストを得た。正極ペーストを、Pb−Ca−Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成、乾燥し、未化成の正極板を得た。
(c)鉛蓄電池の組み立て
未化成の負極板4枚と未化成の正極板3枚とを用いて、負極板と正極板の間にセパレータを介在させて、負極板と正極板とを交互に積層することにより、極板群を形成した。このとき、極板群の加圧力が表1のA1に示す値(15kPa)となるように、セパレータの圧縮率を調節した。セパレータとしては、ガラス繊維の不織布シートを用いた。
極板群をポリプロピレン製の電槽に収容し、電解液を注液して、電槽内で化成を施し、実施例1の制御弁式鉛蓄電池(1−A1)とした。公称容量500Ah(10時間率)である。
(2)鉛蓄電池(1−A2)〜(1−A4)および(1−B1)〜(1−B4)の作製
極板群の加圧力が、それぞれ、表1のA2〜A4およびB1〜B4に示す値となるように、セパレータとしての不織布シートの多孔度および圧縮率を調節した。このこと以外は、(1)の鉛蓄電池(1−A1)の場合と同様にして、鉛蓄電池(1−A2)〜(1−A4)、および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B4)を組み立てた。
(3)鉛蓄電池(1−A5)〜(1−A28)および(1−B5)〜(1−B28)の作製
既化成で満充電後の負極電極材料の密度が、それぞれ表1のA5〜A28およびB5〜B28に示す値となるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節したこと以外は、(1)の鉛蓄電池(1−A1)の場合と同様にして負極板を作製した。得られた負極板を用いたこと以外は、鉛蓄電池(1−A1)の場合と同様にして、鉛蓄電池(1−A5)〜(1−A28)、および鉛蓄電池(1−B5)〜(1−B28)を組み立てた。
なお、作製した1つの鉛蓄電池について、既述の手順で、負極板から取り出した負極電極材料(100質量%)中に含まれる有機防縮剤の含有量(A(質量%))を求めた。このようにして定量された有機防縮剤の含有量は、鉛蓄電池について調製される負極電極材料(100質量%)中の有機防縮剤の含有量(B(質量%))とは幾分異なった値となる。そのため、これらの含有量AおよびBの比率R(=A/B)を予め求め、他の鉛蓄電池の負極板に使用する負極電極材料を調製する際に、比率Rを利用して、負極電極材料中の有機防縮剤の含有量(A(質量%))が所定の値になるように、調製される負極電極材料中の有機防縮剤の含有量(B(質量%))を調整した。また、実施例および比較例では、使用する有機防縮剤の硫黄元素含有量ごとに比率Rを求め、同じ硫黄元素含有量の有機防縮剤を用いる負極電極材料については、求めた比率Rに基づいて有機防縮剤の含有量(B(質量%))を調整した。
《鉛蓄電池(2−A1)〜(2−A28)および(2−B1)〜(2−B28),有機防縮剤中の硫黄元素含有量:5000μmol/g》
以下の手順で、鉛蓄電池(2−A1)〜(2−A28)および鉛蓄電池(2−B1)〜(2−B28)を作製した。鉛蓄電池(2−A1)〜(2−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(2−B1)〜(2−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は5000μmol/gである。
既化成で満充電後の負極電極材料の密度が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節した。極板群の加圧力が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、セパレータとしての不織布シートの多孔度および圧縮率を調節した。有機防縮剤の硫黄元素含有量は、ビスフェノール化合物のホルムアルデヒドによる縮合物に導入するスルホン酸基の量を調節することにより調節した。これら以外は、鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)と同様にして、鉛蓄電池(2−A1)〜(2−A28)および鉛蓄電池(2−B1)〜(2−B28)を組み立てた。
《鉛蓄電池(3−A1)〜(3−A28)および(3−B1)〜(3−B28),有機防縮剤中の硫黄元素含有量:6000μmol/g》
以下の手順で、鉛蓄電池(3−A1)〜(3−A28)、および鉛蓄電池(3−B1)〜(3−B28)を作製した。鉛蓄電池(3−A1)〜(3−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(3−B1)〜(3−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は6000μmol/gである。
既化成で満充電後の負極電極材料の密度が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節した。極板群の加圧力が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、セパレータとしての不織布シートの多孔度および圧縮率を調節した。有機防縮剤の硫黄元素含有量は、ビスフェノール化合物のホルムアルデヒドによる縮合物に導入するスルホン酸基の量を調節することにより調節した。これら以外は、鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)と同様にして、鉛蓄電池(3−A1)〜(3−A28)および鉛蓄電池(3−B1)〜(3−B28)を組み立てた。
《鉛蓄電池(4−A1)〜(4−A28)および(4−B1)〜(4−B28),有機防縮剤中の硫黄元素含有量:7000μmol/g》
以下の手順で、鉛蓄電池(4−A1)〜(4−A28)、および鉛蓄電池(4−B1)〜(4−B28)を作製した。鉛蓄電池(4−A1)〜(4−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(4−B1)〜(4−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は7000μmol/gである。
既化成で満充電後の負極電極材料の密度が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節した。極板群の加圧力が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、セパレータとしての不織布シートの多孔度および圧縮率を調節した。有機防縮剤の硫黄元素含有量は、ビスフェノール化合物のホルムアルデヒドによる縮合物に導入するスルホン酸基の量を調節することにより調節した。これら以外は、鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)と同様にして、鉛蓄電池(4−A1)〜(4−A28)および鉛蓄電池(4−B1)〜(4−B28)を組み立てた。
《鉛蓄電池(5−A1)〜(5−A28)および(5−B1)〜(5−B28),有機防縮剤中の硫黄元素含有量:8000μmol/g》
以下の手順で、鉛蓄電池(5−A1)〜(5−A28)、および鉛蓄電池(5−B1)〜(5−B28)を作製した。鉛蓄電池(5−A1)〜(5−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(5−B1)〜(5−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は8000μmol/gである。
既化成で満充電後の負極電極材料の密度が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節した。極板群の加圧力が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、セパレータとしての不織布シートの多孔度および圧縮率を調節した。有機防縮剤の硫黄元素含有量は、ビスフェノール化合物のホルムアルデヒドによる縮合物に導入するスルホン酸基の量を調節することにより調節した。これら以外は、鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)と同様にして、鉛蓄電池(5−A1)〜(5−A28)および鉛蓄電池(5−B1)〜(5−B28)を組み立てた。
《鉛蓄電池(6−A1)〜(6−A28)および(6−B1)〜(6−B28),有機防縮剤中の硫黄元素含有量:9000μmol/g》
以下の手順で、鉛蓄電池(6−A1)〜(6−A28)および鉛蓄電池(6−B1)〜(6−B28)を作製した。鉛蓄電池(6−A1)〜(6−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(6−B1)〜(6−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は9000μmol/gである。
既化成で満充電後の負極電極材料の密度が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節した。極板群の加圧力が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、セパレータとしての不織布シートの多孔度および圧縮率を調節した。有機防縮剤の硫黄元素含有量は、ビスフェノール化合物のホルムアルデヒドによる縮合物に導入するスルホン酸基の量を調節することにより調節した。これら以外は、鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)と同様にして、鉛蓄電池(6−A1)〜(6−A28)および鉛蓄電池(6−B1)〜(6−B28)を組み立てた。
《鉛蓄電池(7−A1)〜(7−A28)および(7−B1)〜(7−B28),有機防縮剤中の硫黄元素含有量:3000μmol/g》
以下の手順で、鉛蓄電池(7−A1)〜(7−A28)および鉛蓄電池(7−B1)〜(7−B28)を作製した。鉛蓄電池(7−A1)〜(7−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(7−B1)〜(7−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は3000μmol/gである。
既化成で満充電後の負極電極材料の密度が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節した。極板群の加圧力が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、セパレータとしての不織布シートの多孔度および圧縮率を調節した。有機防縮剤の硫黄元素含有量は、ビスフェノール化合物のホルムアルデヒドによる縮合物に導入するスルホン酸基の量を調節することにより調節した。これら以外は、鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)と同様にして、鉛蓄電池(7−A1)〜(7−A28)および鉛蓄電池(7−B1)〜(7−B28)を組み立てた。
《鉛蓄電池(8−A1)〜(8−A28)および(8−B1)〜(8−B28),有機防縮剤中の硫黄元素含有量:600μmol/g》
以下の手順で、鉛蓄電池(8−A1)〜(8−A28)および鉛蓄電池(8−B1)〜(8−B28)を作製した。鉛蓄電池(8−A1)〜(8−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(8−B1)〜(8−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は600μmol/gである。
既化成で満充電後の負極電極材料の密度が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節した。極板群の加圧力が、それぞれ、表1のA1〜A28およびB1〜B28に示す値となるように、セパレータとしての不織布シートの多孔度および圧縮率を調節した。有機防縮剤としては、天然物に由来し、硫黄元素の含有量が600μmol/gであるリグニンを用いた。これら以外は、鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)と同様にして、鉛蓄電池(8−A1)〜(8−A28)および鉛蓄電池(8−B1)〜(8−B28)を組み立てた。
Figure 0006750378
[評価1]
実施例および比較例で作製した鉛蓄電池に関し、25℃にて、1.0CAの電流値で、1.5Vの終止電圧まで放電した。そして、このときの放電容量(初期1CA放電容量)(Ah)を測定した。この初期1CA放電容量に基づいて放電性能を評価した。
図3〜図10に、有機防縮剤中の硫黄元素含有量の値ごとに、それぞれ、加圧力を変化させた場合の、負極電極材料の密度と初期1CA放電容量との関係を示す。硫黄元素含有量が3000μmol/g以下および9000μmol/gである場合には、加圧力の大きさによってそれほど大きな違いは見られず、初期1CA放電容量も300Ah以下である(図8〜図10)。それに対し、硫黄元素含有量が、3000μmol/gよりも大きく、9000μmol/gよりも小さい範囲では、加圧力が10kPa以下や60kPa以上である場合に比べて、加圧力が10kPaよりも大きく60kPaよりも小さい場合に初期1CA放電容量が格段に向上している(図3〜図7)。図3〜図7では、グラフの形状が類似しており、加圧力が10kPa以下や60kPa以上である場合と、加圧力が10kPaよりも大きく60kPaよりも小さい場合とで、初期1CA放電容量に大きな差があることを示している。これに対して、図8〜図10と、図3〜図7とのグラフの形状は大きく異なっており、放電性能に及ぼす加圧力の影響が大きく異なることが分かる。このような実施例の効果は、硫黄元素の含有量が600μmol/gや3000μmol/gで、加圧力が10kPa以下や60kPa以下の場合とは傾向が全く異なり、これらの結果からは予想できない。
また、図3〜図7から、試験した負極電極材料の密度範囲全てについて加圧力が10kPaより大きく60kPaより小さい範囲で効果が得られることが分かる。初期1CA放電容量がさらに大きくなる観点からは、負極電極材料の密度は2.7g/cm3以上が好ましく、3.0g/cm3以上がより好ましい。
[評価2]
硫黄元素含有量が5000μmol/gであり、加圧力が5kPa(比較例2)、25kPa(実施例2)および60kPa(比較例2)である場合について作製した鉛蓄電池に関し、25℃にて、70%の放電深度で、3000サイクル充放電を行なった。1サイクル目の放電容量を100%としたときの、3000サイクル目の放電容量の比率を3000サイクル容量維持率(%)として求めた。この3000サイクル容量維持率(%)を寿命性能として評価した。
なお、充放電サイクル試験では、放電時には、0.2CAの電流値で3.5時間放電し、充電時には、2.42Vの一定電圧、最大電流0.2CAで、充電電気量が放電電気量の102%になるように定電圧充電した。そして、6サイクル毎に、均等充電を行なった。均等充電は、通常充電に加え、2.42Vの電圧で8時間充電を行なった。
図11は、硫黄元素含有量が5000μmol/gの有機防縮剤を用いたときの、3000サイクル容量維持率と、負極電極材料の密度との関係を示すグラフである。図11に示されるように、実施例の加圧力25kPaの場合は、比較例の加圧力5kPaおよび60kPaの場合に比べて、格段に高い3000サイクル容量維持率が得られている。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、制御弁式鉛蓄電池に適用可能であり、据置用などの産業用蓄電装置などの電源として好適に用いられる。また、自動車もしくはバイクなどの蓄電装置、始動用、補機用の電源としても利用できる。
1:鉛蓄電池
2:負極板
3:正極板
4:セパレータ
5a:負極用ストラップ
5b:正極用ストラップ
6a:負極柱
6b:正極柱
10:電槽
11:極板群

Claims (5)

  1. 極板群と、電解液と、を備え、
    前記極板群は、負極板と、正極板と、前記負極板および前記正極板の間に介在するセパレータと、を備え、
    前記負極板は、負極集電体と、負極電極材料と、を備え、
    前記負極電極材料は、硫黄元素を含む有機防縮剤を含み、
    前記有機防縮剤中の前記硫黄元素の含有量は、3000μmol/gを超え、かつ9000μmol/g未満であり、
    前記セパレータは、ガラス繊維を含む不織布を含み、
    前記極板群の加圧力は、10kPaを超え、かつ60kPa未満である、鉛蓄電池。
  2. 前記有機防縮剤中の前記硫黄元素の含有量は、4000〜8000μmol/gである、請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記極板群の加圧力は、15kPa〜50kPaである、請求項1または2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記負極電極材料の密度は、2.4〜4.0g/cm3である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  5. 前記負極電極材料の密度は、2.7〜4.0g/cm3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
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