JP2018018801A - 鉛蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】極板群11と、電解液と、を備え、極板群11は、負極板2と、正極板3と、負極板2及び正極板3の間に介在するセパレータ4と、を備え、負極板2は、負極集電体と、負極電極材料と、を備え、負極電極材料は、硫黄元素を含む有機防縮剤を含み、前記有機防縮剤中の前記硫黄元素の含有量は、3000超〜9000μmol/g未満であり、セパレータ4は、ガラス繊維を含む不織布を含み、極板群11の加圧力は、10〜超〜60kPa未満である鉛蓄電池1。
【選択図】図2B
Description
前記極板群は、負極板と、正極板と、前記負極板および前記正極板の間に介在するセパレータと、を備え、
前記負極板は、負極集電体と、負極電極材料と、を備え、
前記負極電極材料は、硫黄元素を含む有機防縮剤を含み、
前記有機防縮剤中の前記硫黄元素の含有量は、3000μmol/gを超え、かつ9000μmol/g未満であり、
前記セパレータは、ガラス繊維を含む不織布を含み、
前記極板群の加圧力は、10kPaを超え、かつ60kPa未満である、鉛蓄電池に関する。
なお、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量がXμmol/gであるとは、有機防縮剤の1g当たりに含まれる硫黄元素の含有量がXμmolであることをいう。
(負極板)
鉛蓄電池の負極板は、負極集電体と、負極電極材料とで構成されている。負極電極材料は、負極板から負極集電体を除いたものである。負極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛または鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。
充電状態の負極活物質は、海綿状鉛であるが、未化成の負極板は、通常、鉛粉を用いて作製される。
鉛蓄電池の正極板としては、ペースト式の正極板を用いることが好ましい。
ペースト式正極板は、正極集電体と、正極電極材料とを具備する。正極電極材料は、正極集電体に保持されている。正極集電体は、負極集電体と同様に形成すればよく、鉛または鉛合金の鋳造や、鉛または鉛合金シートの加工により形成することができる。
正極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する正極活物質(二酸化鉛もしくは硫酸鉛)を含む。正極電極材料は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
セパレータを構成する不織布は、ガラス繊維を織らずに絡み合わせたマットである。負極板と正極板との間に介在させるセパレータの厚さや枚数は、極間距離に応じて選択すればよい。セパレータは、不織布のみで構成してもよく、必要に応じて、不織布とフィルムとを積層したもの、不織布とこれと同種または異種の素材とを貼り合わせた物、不織布とまたはこれと同種または異種の素材とでオスメスをかみ合わせた物などであってもよい。
電解液は、硫酸を含む水溶液であり、必要に応じてゲル化させてもよい。化成後で満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は、例えば1.10〜1.35g/cm3であり、1.20〜1.35g/cm3であることが好ましい。
(1)負極電極材料の密度
負極電極材料の密度は、化成後の満充電状態の負極電極材料のかさ密度の値を意味し、以下のようにして測定する。化成後の電池を満充電してから解体し、入手した負極板に水洗と乾燥とを施すことにより、負極板中の電解液を除く。次いで負極板から負極電極材料を分離して、未粉砕の測定試料を入手する。測定容器に試料を投入し、真空排気した後、0.5〜0.55psiaの圧力で水銀を満たして、負極電極材料のかさ容積を測定し、測定試料の質量をかさ容積で除すことにより、負極電極材料のかさ密度を求める。なお、測定容器の容積から、水銀の注入容積を差し引いた容積をかさ容積とする。
まず、化成後で満充電状態の鉛蓄電池を分解し、負極板を取り出し、水洗により硫酸を除去し、乾燥する。次に、乾燥した負極板から負極電極材料(初期試料)を採取し、初期試料を下記方法で分析する。
初期試料を1mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、有機防縮剤を抽出する。次に、抽出された有機防縮剤を含むNaOH水溶液から不溶成分を濾過で取り除き、得られた濾液を透析により脱塩した後、濃縮し、乾燥する。脱塩は、濾液をイオン交換膜に通すことにより行ってもよく、濾液を透析チューブに入れて蒸留水中に浸すことにより行ってもよい。これにより有機防縮剤の粉末試料が得られる。
上記(2−1)と同様に、有機防縮剤を含むNaOH水溶液の濾液を得た後、濾液の紫外可視吸収スペクトルを測定する。スペクトル強度と、予め作成した検量線とを用いて、負極電極材料中の有機防縮剤の含有量を定量することができる。
上記(2−1)と同様に、有機防縮剤の粉末試料を得た後、酸素燃焼フラスコ法によって、0.1gの有機防縮剤中の硫黄元素を硫酸に変換する。このとき、吸着液を入れたフラスコ内で粉末試料を燃焼させることで、硫酸イオンが吸着液に溶け込んだ溶出液が得られる。次に、トリン(thorin)を指示薬として、溶出液を過塩素酸バリウムで滴定することにより、0.1gの有機防縮剤中の硫黄元素の含有量(C1)を求める。次に、C1を10倍して1g当たりの有機防縮剤中の硫黄元素の含有量(μmol/g)を算出する。
既化成の満充電状態の鉛蓄電池を分解し、セパレータを取り出し、水洗により硫酸を除去し、乾燥する。次に、乾燥したセパレータを粉砕し、粉砕試料を得る。次いで、粉砕試料を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察し、長さを測定可能な繊維を10本以上選択して、その拡大写真を撮影する。次に、各繊維の写真を画像処理して、繊維の長さ方向の中心付近における繊維径を求める。得られた繊維径の平均を算出し、ガラス繊維の平均繊維径とすればよい。
鉛蓄電池1は、極板群11と電解液(図示せず)とを収容する電槽10を具備する。極板群11は、それぞれ複数枚の負極板2および正極板3を、セパレータ4を介して積層することにより構成されている。
以下の手順で、鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)、および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)を作製した。鉛蓄電池(1−A1)〜(1−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力がそれぞれ表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は4000μmol/gである。
(a)負極板の作製
鉛粉、水、希硫酸、硫酸バリウム、カーボンブラック、および所定量の有機防縮剤を混合して、負極ペーストを得た。負極ペーストを、Pb−Ca−Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成、乾燥し、未化成の負極板を得た。
なお、有機防縮剤中の硫黄元素含有量(μmol/g)については、負極電極材料を調製する前と、鉛蓄電池を解体し、有機防縮剤を抽出して測定した値には差がないことを確認した。そのため、以下、実施例および比較例で記載した有機防縮剤中の硫黄元素含有量としては、負極電極材料を調製する前の有機防縮剤について求めた値を記載している。
鉛粉を、硫酸、水と混合して、正極ペーストを得た。正極ペーストを、Pb−Ca−Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成、乾燥し、未化成の正極板を得た。
未化成の負極板4枚と未化成の正極板3枚とを用いて、負極板と正極板の間にセパレータを介在させて、負極板と正極板とを交互に積層することにより、極板群を形成した。このとき、極板群の加圧力が表1のA1に示す値(15kPa)となるように、セパレータの圧縮率を調節した。セパレータとしては、ガラス繊維の不織布シートを用いた。
極板群をポリプロピレン製の電槽に収容し、電解液を注液して、電槽内で化成を施し、実施例1の制御弁式鉛蓄電池(1−A1)とした。公称容量500Ah(10時間率)である。
極板群の加圧力が、それぞれ、表1のA2〜A4およびB1〜B4に示す値となるように、セパレータとしての不織布シートの多孔度および圧縮率を調節した。このこと以外は、(1)の鉛蓄電池(1−A1)の場合と同様にして、鉛蓄電池(1−A2)〜(1−A4)、および鉛蓄電池(1−B1)〜(1−B4)を組み立てた。
既化成で満充電後の負極電極材料の密度が、それぞれ表1のA5〜A28およびB5〜B28に示す値となるように、負極ペーストに加える水と希硫酸の量を調節したこと以外は、(1)の鉛蓄電池(1−A1)の場合と同様にして負極板を作製した。得られた負極板を用いたこと以外は、鉛蓄電池(1−A1)の場合と同様にして、鉛蓄電池(1−A5)〜(1−A28)、および鉛蓄電池(1−B5)〜(1−B28)を組み立てた。
以下の手順で、鉛蓄電池(2−A1)〜(2−A28)および鉛蓄電池(2−B1)〜(2−B28)を作製した。鉛蓄電池(2−A1)〜(2−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(2−B1)〜(2−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は5000μmol/gである。
以下の手順で、鉛蓄電池(3−A1)〜(3−A28)、および鉛蓄電池(3−B1)〜(3−B28)を作製した。鉛蓄電池(3−A1)〜(3−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(3−B1)〜(3−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は6000μmol/gである。
以下の手順で、鉛蓄電池(4−A1)〜(4−A28)、および鉛蓄電池(4−B1)〜(4−B28)を作製した。鉛蓄電池(4−A1)〜(4−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(4−B1)〜(4−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は7000μmol/gである。
以下の手順で、鉛蓄電池(5−A1)〜(5−A28)、および鉛蓄電池(5−B1)〜(5−B28)を作製した。鉛蓄電池(5−A1)〜(5−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(5−B1)〜(5−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は8000μmol/gである。
以下の手順で、鉛蓄電池(6−A1)〜(6−A28)および鉛蓄電池(6−B1)〜(6−B28)を作製した。鉛蓄電池(6−A1)〜(6−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(6−B1)〜(6−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は9000μmol/gである。
以下の手順で、鉛蓄電池(7−A1)〜(7−A28)および鉛蓄電池(7−B1)〜(7−B28)を作製した。鉛蓄電池(7−A1)〜(7−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(7−B1)〜(7−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は3000μmol/gである。
以下の手順で、鉛蓄電池(8−A1)〜(8−A28)および鉛蓄電池(8−B1)〜(8−B28)を作製した。鉛蓄電池(8−A1)〜(8−A28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のA1〜A28に示す値となるようにした。鉛蓄電池(8−B1)〜(8−B28)は、それぞれ、負極電極材料の密度および加圧力が表1のB1〜B28に示す値となるようにした。
なお、これらの鉛蓄電池で用いた有機防縮剤の硫黄元素含有量は600μmol/gである。
実施例および比較例で作製した鉛蓄電池に関し、25℃にて、1.0CAの電流値で、1.5Vの終止電圧まで放電した。そして、このときの放電容量(初期1CA放電容量)(Ah)を測定した。この初期1CA放電容量に基づいて放電性能を評価した。
硫黄元素含有量が5000μmol/gであり、加圧力が5kPa(比較例2)、25kPa(実施例2)および60kPa(比較例2)である場合について作製した鉛蓄電池に関し、25℃にて、70%の放電深度で、3000サイクル充放電を行なった。1サイクル目の放電容量を100%としたときの、3000サイクル目の放電容量の比率を3000サイクル容量維持率(%)として求めた。この3000サイクル容量維持率(%)を寿命性能として評価した。
2:負極板
3:正極板
4:セパレータ
5a:負極用ストラップ
5b:正極用ストラップ
6a:負極柱
6b:正極柱
10:電槽
11:極板群
Claims (5)
- 極板群と、電解液と、を備え、
前記極板群は、負極板と、正極板と、前記負極板および前記正極板の間に介在するセパレータと、を備え、
前記負極板は、負極集電体と、負極電極材料と、を備え、
前記負極電極材料は、硫黄元素を含む有機防縮剤を含み、
前記有機防縮剤中の前記硫黄元素の含有量は、3000μmol/gを超え、かつ9000μmol/g未満であり、
前記セパレータは、ガラス繊維を含む不織布を含み、
前記極板群の加圧力は、10kPaを超え、かつ60kPa未満である、鉛蓄電池。 - 前記有機防縮剤中の前記硫黄元素の含有量は、4000〜8000μmol/gである、請求項1に記載の鉛蓄電池。
- 前記極板群の加圧力は、15kPa〜50kPaである、請求項1または2に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極電極材料の密度は、2.4〜4.0g/cm3である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極電極材料の密度は、2.7〜4.0g/cm3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
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