JP6519945B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

この発明は鉛蓄電池に関する。
特許文献1(JP2012-79431A)は、鉛蓄電池の正極電極材料にアンチモンを含有させると、所定の要件を満たせば正極電極材料の軟化・脱落を抑制できることもある、ことを開示している。このことは、アイドリングストップ車用のように、頻繁に充放電される鉛蓄電池の寿命を向上させる。また特許文献2(JP2014-123525A)は、鉛蓄電池の負極電極材料に、リグニンではなくビスフェノール類のスルホン酸誘導体縮合物を含有させると、負極電極材料の細孔径を小さくできることを開示している。このことは、鉛蓄電池の高率放電性能を向上できることを意味する。
ところで、アンチモンには負極板へ移動し、水素過電圧を低下させる問題がある。このことは、減液により結果的にサイクル寿命性能を低下させ、また充電末期に大電流が流れるため、脱落した正極電極材料粒子を介しての短絡の原因となる。
JP2012-79431A JP2014-123525A
発明者はさらに、負極板へ移動したアンチモンが、ビスフェノール類のスルホン酸誘導体縮合物(以下ビスフェノールという)の効果を阻害することを見出した。そこで正極板から負極板へのアンチモンの移動を制限できれば、アンチモンの効果を引き出し、同時に水素過電圧の低下を防止し、さらにビスフェノールの効果も十分に引き出し、鉛蓄電池の寿命性能を向上させることができるはずである。
この発明の課題は、
・ アンチモンにより正極電極材料の軟化・脱落を抑制すること、
・ 正極板から負極板へのアンチモンの移動を制限することにより、合成防縮剤とアンチモンイオンが相互作用することを防止すると共に、水素過電圧の低下を防止することにある。
この発明の鉛蓄電池は、正極集電体または正極電極材料がアンチモンを含有する正極板と、負極電極材料が合成防縮剤を含有する負極板と、アンチモンイオンを吸着する吸着層とを備え、吸着層は負極板もしくは正極板の表面あるいは正極板と負極板との間に設けられている。
合成防縮剤は、フェノールあるいはナフタレン等の芳香族環がメチレン基等を介して互いに結合し、かつスルホン酸基、あるいはスルホニル基を多量に含むものが好ましい。なおスルホニル基(-SO2-基)はスルホン酸基と同様に作用する。リグニンスルホン酸等の天然物にスルホン酸基等を導入した化合物では、スルホニル基とスルホン酸基の合計を4000μmol/g以上にすることが難しい。これに対して、モノマーが芳香族環を含む合成高分子にスルホン酸基やスルホニル基を4000μmol/g以上導入することは容易である。合成防縮剤の作用はスルホン酸基やスルホニル基による親水性と帯電とにより定まり、芳香族環はフェノールでもナフタレン等でも良い。なおスルホン酸が塩型か酸型かは重要ではなく、例えば電解液のpH変化により酸型と塩型との間で変化すると考えられる。
合成防縮剤は、例えばビスフェノール類のホルムアルデヒド等による縮合物で、スルホン酸基やスルホニル基を有し、これら官能基は芳香族環に直接結合していても、メチレン基等を介して結合していても良い。本明細書では、これらの化合物がスルホン酸基を含む場合、ビスフェノール類のスルホン酸誘導体縮合物と呼び、ビスフェノール類のスルホン酸誘導体を縮合したのか、ビスフェノール類の縮合物をスルホン化したのか、等の製法とは関係がない。ビスフェノール類のスルホン酸誘導体を、以下単に「ビスフェノール」という。またβ−ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物(例えば花王株式会社の商品名「デモール」)等も用いることができる。
発明者の知見によれば、防縮剤のコロイド粒子径が負極電極材料の細孔径に反映され、小さなコロイド粒子径は細孔径を小さくすることにより、高率放電性能等を向上させる。そしてコロイド粒子径を小さくするには、防縮剤表面に多数のイオンあるいは極性の強い基が存在することにより、静電反発によりコロイド粒子の会合を防ぐと共に、親水性を高めることが有効である。このためには、防縮剤中のスルホン酸基とスルホニル基の合計量を高め、例えば4000μmol/g以上8000μmol/g以下が好ましく、より好ましくは4300μmol/g以上6000μmol/g以下とし、最も好ましくは4500μmol/g以上6000μmol/g以下とする。なお在来のリグニンでは、スルホン酸基の濃度は600μmol/g程度である。
合成防縮剤の効果は、正極板から移動したアンチモンにより低下する。これは、合成防縮剤が多量のスルホン酸基等を有するため、3価あるいは5価のアンチモンイオンと結合して会合しやすいためと考えることができる。そして会合によりコロイド粒子径が増し、負極電極材料の平均細孔径が増すため、高率放電性能が低下すると考えられる。これに対して、アンチモンイオンの吸着層を設けると、負極電極材料中の合成防縮剤をアンチモンイオンから保護し、高率放電性能の低下を防止でき、かつ負極板での水素過電圧の低下を制限できる。
好ましくは、吸着層は活性炭等の炭素質吸着剤を有効成分とする。活性炭は電解液中の重金属イオンを吸着できるので、アンチモンイオンの捕捉に適し、粒状でも繊維状でも良く、特にシート状の活性炭はそのまま吸着層になる。また粒状の活性炭は、例えば合成高分子等の結着剤により不織布等の基材に担持させシート状の吸着層とするか、負極板の表面、あるいは正極板の表面等に成膜し吸着層とする。活性炭の他に、カーボンブラック等も炭素質から成る吸着剤として使用できる。
酸化チタン、酸化スズ、希土類酸化物等の金属酸化物は、表面の水酸基等を介して重金属イオンを吸着する性質があり、アンチモンイオンの吸着剤として使用できる。硫酸酸性の電解液に溶解せず、かつ表面積が大きな金属酸化物が、アンチモンイオンの吸着層に適し、不織布等の基材に支持させてシート状にするか、結着剤等により負極板、正極板等の表面に支持させる。
また好ましくは、吸着層は負極板と正極板とを分離するセパレータで構成され、かつセパレータはイオン交換樹脂をアンチモンイオンの吸着剤として含有する。イオン交換樹脂は重金属イオンを吸着でき、陽イオン交換型の樹脂が好ましく、ガラスマット等の繊維セパレータ、あるいはポリエチレン等の合成樹脂セパレータに担持させると、正極板から負極板へ移動するアンチモンイオンを捕捉でき、セパレータをアンチモンイオンの捕捉に利用できる。特に好ましくは、イオン交換樹脂は、合成防縮剤及びリグニンの少なくともいずれかから成る。これらの材料はスルホン酸基等を有してアンチモンイオンを捕捉でき、鉛蓄電池への悪影響が少ない材料である。
この発明には以下の特徴がある。
1) 正極板のアンチモンにより、正極活物質の軟化・脱落を抑制することにより、高温での軽負荷寿命性能とアイドリングストップ寿命性能とを向上させる。
2) 合成防縮剤中のスルホニル基とスルホン酸基の合計含有量を4000μmol/g以上とすると、負極電極材料の平均細孔径を小さくし、低温高率放電性能を向上させることができる。
3) 正極板から負極板へのアンチモンの移動を、アンチモンイオンの吸着層で制限する。これによって、アンチモンが負極の合成防縮剤と相互作用することを防ぎ、合成防縮剤の効果が失われ、低温高率放電性能が低下することを防止できる。
4) 負極板へのアンチモンの移動を制限することにより、水素過電圧の低下による減液を防止でき、また充電末期の大電流により脱落した正極活物質が浮遊して短絡することも防止できる。
5) これらにより、軽負荷寿命とアイドリングストップ寿命とに優れ、低温ハイレート放電性能を長期間維持できる鉛蓄電池が得られる。
6) カーボンブラック、黒鉛等の炭素質の吸着剤、及び金属酸化物の吸着剤はアンチモンイオンを吸着して捕捉し、効率的にアンチモンイオンの移動を制限できる。
7) 上記の吸着剤は、例えば負極板の表面に膜状に形成すると、製造が簡単で、構造も簡単である。
8) セパレータにイオン交換樹脂を含有させると、イオン交換樹脂によりアンチモンイオンを捕捉でき、また追加の部材が不要なので、鉛蓄電池の構造が簡単である。
9) リグニンあるいは合成防縮剤をイオン交換樹脂とすると、これらは鉛蓄電池で実績のある材料で、予想外の副作用が少ない。
実施例の鉛蓄電池の要部平面図 75℃でのJIS軽負荷寿命と、SBA-IS寿命とを示す特性図 JIS軽負荷寿命試験(75℃)における、充電末電流の推移を示す特性図 75℃でのJIS軽負荷寿命試験1440サイクルの前後での、低温高率放電性能の変化を示す特性図
以下に、本願発明の最適実施例を示す。本願発明の実施に際しては、当業者の常識及び先行技術の開示に従い、実施例を適宜に変更できる。なお実施例では、負極電極材料を負極活物質と呼び、正極電極材料を正極活物質と呼ぶことがある。また負極板は、負極集電体(負極格子)と負極電極材料(負極活物質)とから成り、正極板は、正極集電体(正極格子)と正極電極材料(正極活物質)とから成り、集電体以外の固形成分は電極材料に属するものとする。
鉛蓄電池の構造
図1に実施例の鉛蓄電池2を示し、液式でも制御弁式でも良い。4は負極板で、負極格子と負極活物質(負極電極材料)とから成り、その表裏に吸着シート12が結着されている。6は正極板で、正極格子あるいは芯金等の正極集電体と正極活物質(正極電極材料)とから成り、10は微多孔質のポリエチレン等のセパレータで、11はそのリブである。また8は負極板4の耳、9は正極板6の耳で、負極板4〜セパレータ10は電解液中に浸されている。なおセパレータ10は正極板6を包んでも良く、またリブ11は正極板6を向いても、負極板4を向いても良い。
吸着シート12は、例えば合成繊維の不織布に、活性炭とカーボンブラックとを、スチレンブタジエン共重合体、クロロプレン、テトラフルオロエチレン等の合成高分子結着剤で支持させたもので、カーボンブラックを含まず活性炭のみでも良い。また繊維状の活性炭をシート状にすると、不織布も結着剤も不要である。活性炭は、ミネラル分及び焼成の過程で生じる表面水酸基等のために親水性で、その細孔はアンチモンイオンを吸着する。またポリスチレンあるいはフッ素樹脂にスルホン酸基やリン酸基等の多価の陽イオン交換基を導入したイオン交換樹脂は、ポリスチレン骨格あるいはフッ素樹脂骨格が不織布等に固定される。そして多価の陽イオン交換基がアンチモンイオンを吸着する。
活性炭等の炭素質吸着剤に代え、酸化チタン、酸化スズ、希土類酸化物、ゼオライト等の金属酸化物を、アンチモンイオンの吸着剤としても良い。これ以外にポリリン酸化合物、ポリタングステン酸化合物のように、硫酸中で安定で重金属イオンを吸着する化合物も使用できる。吸着シート12は、負極板4と正極板6の間にあれば良く、正極板6の表面に結合しても、例えばセパレータ10と共に電解液中に配置しても良い。吸着シート12は、正極板6から負極板4へのアンチモンイオンの移動を制限できれば良く、位置は任意である。さらに、活性炭吸着剤、金属酸化物吸着剤等を、結着剤により極板4,6の表面に成層し、極板4,6により吸着剤を支持しても良い。
吸着シート12を設ける代わりに、セパレータ10にイオン交換樹脂を含有させ、アンチモンイオンを吸着させても良い。例えば合成防縮剤、リグニン等をセパレータ10に含浸、乾燥させても、あるいはセパレータ10をポリエチレン等の合成樹脂とイオン交換樹脂との共重合物もしくは混合物としても良い。セパレータ10中のイオン交換樹脂の含有量は、例えば0.05mass%以上5mass%以下が好ましい。なお鉛蓄電池を制御弁式とし、ガラスマットセパレータに合成防縮剤、リグニン等を固定し、アンチモンイオンを吸着させても良い。
正極板6中の正極活物質は酸化アンチモン等の形態でアンチモンを含有し、正極活物質中の濃度は、アンチモン金属換算で、例えば0.01mass%以上1mass%以下、好ましくは0.02mass%以上0.5mass%以下、特に好ましくは0.05mass%以上0.5mass%以下である。正極活物質にアンチモンを含有させる代わりに、正極格子にPb-Sb合金の箔を積層する等により、正極板6にアンチモンを導入しても良い。
負極板4中の負極活物質は、ビスフェノール類のスルホン酸誘導体縮合物(以下単に「ビスフェノール」という)等の合成防縮剤を含有する。ビスフェノールに代え、ナフタレンスルホン酸の縮合物を用いても良く、スルホン酸基の代わりにスルホニル基を含有しても良い。合成防縮剤は、スルホン酸基とスルホニル基の合計濃度が4000μmol/g以上で6000μmol/g以下のものが好ましい。スルホン酸基とスルホニル基の合計濃度が高い防縮剤を用いることにより、負極活物質の細孔径が小さくなり、高率放電性能等が向上する。そして在来のリグニン防縮剤では、スルホン酸基とスルホニル基の合計濃度を高くすることは難しい。負極活物質での合成防縮剤の濃度は0.01mass%以上1mass%以下が好ましく、0.02mass%以上0.8mass%以下、特に0.02mass%以上0.5mass%以下が好ましい。
鉛蓄電池の製造
ボールミル法による鉛粉と、合成繊維補強材、有機防縮剤、硫酸バリウム、カーボンブラックとを含み、水と硫酸を加えたペーストを、アンチモンフリーの負極格子に充填し、乾燥と熟成とを施した。負極活物質中の濃度は合成繊維補強材が0.1mass%、硫酸バリウムが0.3mass%、カーボンブラックが0.15mass%で、有機防縮剤の濃度と種類は各表に示す。鉛粉の製法は任意で、グラファイト等の公知の添加物をさらに含んでいても良い。
ボールミル法による鉛粉と合成繊維補強剤と酸化アンチモン等のアンチモン源を含み、水と硫酸を加えたペーストを、アンチモンフリーの正極格子に充填し、乾燥と熟成とを施した。正極活物質中の濃度は合成繊維補強材が0.1mass%で、アンチモンの濃度を金属換算で各表に示す。鉛粉の製法は任意で、重金属イオンを吸着シート12により捕捉できるので、負極板4に有害な金属も正極板6に含有させることができる。鉛−アンチモンの合金箔(アンチモン濃度5mass%で、好ましい濃度は1mass%以上20mass%以下)を正極格子に積層し、アンチモンを正極格子に含有させたものも製造した。この場合、正極板6中の全アンチモン含有量と正極活物質との質量比を、0.01mass%以上1mass%以下、より狭くは0.02mass%以上0.5mass%以下、特に0.05mass%以上0.5mass%以下とすることが好ましい。
負極板群と正極板群とで極板群を作製し、比重1.280の硫酸を電解液として、電槽化成を施し、44B20型の鉛蓄電池とした。電解液はアルミニウムイオン、リチウムイオン等を含んでいても良い。
測定法
負極活物質中の有機防縮剤の含有量は以下のようにして測定する。満充電された鉛蓄電池を分解し、負極板を取り出し水洗により硫酸分を除去し、乾燥重量を測定する。負極板から活物質を分離し、例えば、1mol/lのNaOH水溶液に浸漬して有機防縮剤を抽出し、紫外可視吸光度計で得られた吸光度で、予め作成した検量線を用い有機防縮剤の含有量を測定する。
また例えば、有機防縮剤のS元素含有量(以下単に「S元素含有量」)は以下のようにして測定する。活物質から抽出して得られた有機防縮剤のNaOH水溶液を脱塩し、濃縮・乾燥する。酸素燃焼フラスコ法により0.1gの有機防縮剤中のS元素を硫酸に変換し、トリンを指示薬として溶出液を過塩素酸バリウムで滴定することにより、有機防縮剤中のS元素含有量を求める。測定したS元素含有量をスルホニル基及びスルホン酸基の合計含有量とする。
セパレータ中の有機防縮剤等のイオン交換樹脂は、赤外全反射測定法により検出できる。電池を解体して取り出したセパレータを水洗及び乾燥し、プリズムにセパレータの正極側表面を接触させて赤外光を反射させ、赤外光の吸収スペクトルを測定する。この方法では、負極板に由来する有機防縮剤の影響を受けず、イオン交換樹脂の存在が確認できる。
活性炭、カーボンブラック等の含有量は、遠心分離等により測定できる。正極活物質中のアンチモン濃度を測定する場合、満充電した鉛蓄電池から正極板を取り出し、水洗と乾燥を施し、正極活物質を採取し、鉛とアンチモンを硝酸中に溶解させ、ICP-AESによりアンチモン含有量を定量する。正極格子中のアンチモン濃度も同様にして測定できる。
解体時にアンチモンを吸収していなかった部材が、アンチモンを吸収できるかどうかについては、以下のようにして確認できる。吸着層をアンチモンイオンが飽和している溶液に浸し、一晩静置させることで、アンチモン溶液の濃度減少からアンチモンの吸着が確認できる。なお、本明細書で呼ぶアンチモンとは、アンチモン元素のことであり、金属アンチモンやイオン化したアンチモン、アンチモン化合物のことを指す。
性能試験
各電池に対し、以下の試験を行った。
75℃軽負荷寿命試験: JIS D 5301:2006を変更し、75℃の水槽内で試験した。25Aの定電流で240秒間放電し、次いで2.47V/セル、最大25Aで600秒間充電し充電末電流を測定するサイクルを行い、480サイクル毎に300Aで30秒間放電し、30秒目の端子電圧が1.2V/セル以下となると寿命とする。なお寿命に達した後に、蓄電池を解体し、負極活物質中のアンチモン濃度を測定した。
SBA-IS寿命試験: SBA S 0101:2014に従い、25℃の気槽内で、31A×59秒間の放電と、300A×1秒間のパルス放電の後に、2.33V/セル、最大100Aの充電を60秒間行うサイクルを繰り返し、3600サイクル毎に40〜48時間放置する。そして300A×1秒間のパルス放電時の端子電圧が1.2V/セル未満で寿命とする。なお試験中30000サイクルまでは補水しない。
低温ハイレート放電試験: -15℃で150Aの定電流放電で端子電圧が1V/セルへ低下するまでの時間を測定した。さらに75℃で、25A×240秒間の放電と、2.47V/セルで最大25Aの600秒間の充電のサイクルを1440サイクル行い、1440サイクル後に、低温ハイレート放電試験を再度行い、初期値との比を求めた。
なお試験に用いた蓄電池では、吸着シート12は厚さ0.2mm、密度1.5g/cm3としたが、これらの値は任意である。またリグニン防縮剤はスルホン酸基の含有量が600μmol/g、ビスフェノールスルホン酸類の縮合物では5000μmol/gとした。なお補水は、いずれの試験においても液面がLower Levelを下回った際に行うものとした。
結果を、リグニンを防縮剤とし、正極活物質がアンチモンを含有せず、吸着シート(カーボンシート)を備えない比較例(試料No.1)との相対値で、表1〜表4と図2〜図4とに示す。試料の組成は各表に示し、濃度の単位はmass%とmassppmである。
表1と図2は、75℃でのJIS軽負荷寿命と、SBA-IS寿命とを示し、正極板がアンチモンを含有しない場合、リグニンに対してビスフェノールが優位であるとは言えない(試料No.1〜No.4)。正極板がアンチモンを含有すると、寿命性能が向上した。しかし、吸着シート(カーボンシート)が無い場合、ビスフェノールは軽負荷寿命で、リグニンに劣っていた(試料No.5,6,9,10)。これに対して、正極板がアンチモンを含有し、吸着シートがある場合、ビスフェノールを含有する電池で寿命性能が向上し、軽負荷寿命でもリグニンを含有する電池を上回った(試料No.8,12)。
Figure 0006519945
表2は、軽負荷寿命試験後の、負極活物質中のアンチモン濃度を示し、カーボンシートを設けることにより、負極活物質へのアンチモンの蓄積を制限できたことが分かる。図3は、試料No.1〜No.8に対する、軽負荷寿命試験での充電末電流の推移を示し、正極活物質がアンチモンを含有してカーボンシートがないNo.5,6では、充電末電流が徐々に増加した。これは、カーボンシートが無いと、アンチモンが負極活物質に蓄積すること(表2)と符合し、水素過電圧の低下を表している。正極活物質がアンチモンを含有しても、カーボンシートを設けると、充電末電流は経時的に安定で、これはアンチモンの負極活物質への蓄積を抑制できたこと(表2)と対応する。
Figure 0006519945
表1及び表2の試料No.9〜12では、正極活物質ではなく、正極格子の表面にアンチモンを含有させた。75℃の軽負荷寿命、SBA-IS寿命、及び負極活物質へのアンチモンの蓄積の各点で、正極活物質にアンチモンを含有させた場合と類似の結果が得られた。
表3と図4は、1440サイクル後の低温ハイレート放電性能の維持率を示し、ビスフェノールを用いるとリグニンよりも維持率が高まった(試料No.2,4)。しかし正極板がアンチモンを含有し、しかもカーボンシートが無い場合、ビスフェノールの効果が確認できなかった(試料No.6)。このことは、アンチモンイオンとビスフェノールとの相互作用により、ビスフェノールの効果が失われることを示し、おそらくはアンチモンイオンがビスフェノール粒子の表面に吸着して、表面電荷を打ち消すものと思われる。
Figure 0006519945
表4は、防縮剤のビスフェノール濃度を0.01mass%から1.0mass%の範囲で変化させた際の結果(試料No.17〜21)と、正極活物質中のアンチモン濃度を0.01mass%から1.0mass%の範囲で変化させた際の結果(試料No.26〜29)を示す。さらにカーボンシートに代え、ポリエチレンセパレータに、ビスフェノール類のスルホン酸誘導体縮合物(スルホン酸基の含有量は5000μmol/g)を、セパレータに対し0.5mass%の濃度で含有させた際の結果(試料No.30,31)も示す。またビスフェノールの代わりにナフタレンスルホン酸縮合物(スルホン酸基としてS元素を含有し、含有量は5000μmol/g)でも、ビスフェノールと同等の効果が得られた(試料No.32)。
Figure 0006519945
負極活物質中のビスフェノール防縮剤は0.01mass%から1mass%の全範囲で効果があるが、0.02mass%以上0.8mass%以下、特に0.02mass%以上0.5mass%以下が好ましいことが分かる。正極活物質中のアンチモンも、0.01mass%から1mass%の全範囲で効果があるが、0.05mass%以上0.5mass%以下で特に効果が高いことが分かる。このことから、アンチモン濃度は0.01mass%と0.05mass%の中間の0.02mass%以上が好ましいものとした。
セパレータにビスフェノールを含有させても、カーボンシートを設けた場合と同等の結果が得られた。このことは、セパレータ中のビスフェノールがアンチモンイオンと相互作用して捕捉していることを示している。そして、ビスフェノールに代えてリグニンをセパレータに含有させても、同様にアンチモンイオンを捕捉できる。
軽負荷寿命試験後に、正極板から脱落した正極活物質の量を測定すると、アンチモンを含有させたものでは少なかった。また減液量は、正極板がアンチモンを含有し、かつアンチモンイオンの吸着層を設けないと増加した。
実施例には以下の特徴がある。
1) 正極板のアンチモンにより、正極活物質の軟化・脱落を抑制できた。
2) 正極板から負極板へのアンチモンの移動を、アンチモンイオンの吸着層(カーボンシートとビスフェノール含有のセパレータ)で制限した。これによって、ビスフェノールとアンチモンイオンの相互作用により、効果が失われることを防止した。
3) 正極板から負極板へのアンチモンの移動を、アンチモンイオンの吸着層で制限することにより、負極での水素過電圧の低下を防止できた。また充電末期の大電流により脱落した正極活物質が浮遊して短絡することも防止できた。
4) これらにより、軽負荷寿命とアイドリングストップ寿命とに優れ、低温ハイレート放電性能を長期間維持できる鉛蓄電池が得られた。
2 鉛蓄電池
4 負極板
6 正極板
8,9 耳
10 セパレータ
11 リブ
12 吸着シート

Claims (5)

  1. 正極集電体または正極電極材料がアンチモンを含有する正極板と、負極電極材料が合成防縮剤を含有する負極板と、アンチモンイオンを吸着する吸着層とを備え、前記吸着層が負極板もしくは正極板の表面あるいは正極板と負極板との間に設けられている鉛蓄電池。
  2. 前記合成防縮剤は、スルホン酸基及び/又はスルホニル基を有することを特徴とする、請求項1の鉛蓄電池。
  3. 前記吸着層が炭素質吸着剤もしくは金属酸化物吸着剤を有効成分とすることを特徴とする、請求項1又は請求項2の鉛蓄電池。
  4. 前記吸着層は負極板と正極板とを分離するセパレータで構成され、かつ前記セパレータはイオン交換樹脂をアンチモンイオンの吸着剤として含有していることを特徴とする、請求項1又は請求項2の鉛蓄電池。
  5. 前記イオン交換樹脂は、合成防縮剤及びリグニンの少なくともいずれかから成ることを特徴とする、請求項4の鉛蓄電池。
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