(本開示に至った経緯)
本開示に至った経緯を、図8を参照しながら説明する。図8は、比較例に係る栽培棚200を示す斜視図である。
図8に示すように、比較例に係る栽培棚200は、4隅に設けられた支柱210と、当該支柱210に支持された複数の板状部材220とを備える。
板状部材220は、例えば、上下方向から見たときの形状が矩形状であり、4隅のそれぞれが支柱210に支持される。なお、図8では、板状部材220は、5つ設けられる例を示しているが、板状部材220の数は、特に限定されない。
板状部材220の各々には、複数の菌床FBが所定間隔ごとに配置される。例えば、板状部材220の各々には、複数の菌床FBが4列配置される。このように、比較例に係る板状部材220は、所定間隔ごとに配置された複数の菌床FBが、複数列配置できる程度の大きさを有する。
この場合、図8から明らかであるが、最上段の板状部材220に配置された菌床FBにおいては、4列に並べられた複数の菌床FBのそれぞれを見ることができる。
一方、最上段以外の板状部材220に配置された菌床FBにおいては、手前の列に配置された菌床FBは見えるものの中央2列に配置された菌床FBは、見えにくい。具体的には、中央2列に配置された菌床FBは、その手前の列に配置された菌床FB、及び、1段上の板状部材220により発生する死角により見えにくい。
そのため、中央2列に配置された菌床FBの成育状況の確認をするときには、わざわざ菌床FBを取り出すことが行われている。つまり、中央2列に配置された菌床FBの視認性が低いために、菌床FBを取り出す作業を要していた。
また、まびき作業、収穫作業などをする場合にも、同様に、中央2列に配置された菌床FBにおいては、その手前の列に配置された菌床FB、及び、1段上の板状部材220が作業の邪魔となる。そのため、作業者は、板状部材220に配置された状態のまま菌床FBの作業を行うことが困難であり、わざわざ菌床FBを取り出している。
なお、視認性を向上させるために板状部材220に菌床FBを2列のみ配置することも可能であるが、菌床FBの数が減るので、収穫量に影響がでる。つまり、生産性の観点から、板状部材220に菌床FBを2列のみ配置することは、現実的ではない。
そこで、本願発明者らは、上記課題を解決できる栽培棚について、鋭意検討を行い、以下に説明する栽培棚を創案した。
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、および、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
また、本明細書において、特に断らない限り、「左」、「右」、「上」、「下」との記載は、栽培棚を正面から見たときの方向を指すものである。また、上下方向は、例えば、鉛直方向であり、前後方向は、例えば、水平方向のうち第1載置板及び第2載置板が並ぶ方向であり、左右方向は、水平方向のうち上下方向及び前後方向の両方と交差する方向である。左右方向は、例えば、水平方向のうち上下方向及び前後方向の両方と直交する方向である。
(実施の形態1)
[1−1.構成]
まず、栽培棚10の構成について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る栽培棚10を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る栽培棚10を前方から見た図である。図3は、本実施の形態に係る栽培棚10を右方から見た図である。図3は、右方向から左方向を見た(以降において、側面視したとも記載する)ときの最も手前に配置された支柱20と当該支柱20に支持された載置板30及び40とを図示している。また、図3では、載置板30及び40に菌床FBが載置された状態を示す。また、栽培棚10は、前後方向及び左右方向に複数配置されて使用されるが、各図においては、1つの栽培棚10のみを図示している。
図1〜図3に示すように、栽培棚10は、支柱20と、載置板30及び40と、梁部材50及び60と、支持部材70とを備える。以下では、栽培棚10に載置される栽培物は、菌床FB(キノコ菌が接種された菌床)である例について説明する。つまり、栽培棚10は、キノコの菌床栽培に使用する栽培棚である例について説明する。そのため、栽培棚10は、多湿環境(例えば、相対湿度が60%〜100%)に配置される。なお、栽培物は、菌床(キノコ)に限定されず、その他の野菜、果物、食品ではない花草などであってもよい。
また、以下では、栽培棚10における各種寸法を一例として記載しているが、当該寸法は、菌床の大きさにより適宜決定される。本実施の形態では、菌床FBの大きさは、左右方向の長さ(図6Aに示す長さL100を参照)が200mm、前後方向の長さ(図3に示す長さL101を参照)が150mm、上下方向の長さ(図3に示す長さL102を参照)が170mmであるとする。
支柱20は、複数の載置板30及び40を支持する支持体である。支柱20は、上下方向に延在して形成されている。支柱20は、例えば、中空の柱状部材により実現される。なお、支柱20の上下方向から見た形状は、特に限定されず、円形、多角形などであってもよい。本実施の形態では、支柱20は、角パイプである。
支柱20は、前後方向の前側部分において、複数の載置板30を支持する。支柱20は、例えば、前後方向の前面20aにおいて、複数の載置板30を支持する。言い換えると、複数の載置板30のそれぞれは、例えば、前面20aに支持される(例えば、固定される)。また、支柱20は、前後方向の後側部分において、複数の載置板40を支持する。支柱20は、例えば、前後方向の後面20bにおいて、複数の載置板30を支持する。言い換えると、複数の載置板40のそれぞれは、例えば、後面20bに支持される(例えば、固定される)。前面20aと後面20bとは、例えば、支柱20において、互いに平行な面である。
支柱20は、所定の支柱間隔ごとに左右方向に並んで配置される。所定の支柱間隔は、例えば、隣り合う支柱20の載置板30における、前後方向から見たとき(正面視したとき)の左右方向における間隔を間隔I1(図2参照)とすると、例えば、載置板30又は40の左右方向における長さL1と、当該間隔I1とを足した間隔である。なお、間隔I1は、菌床FBのサイズ、キノコのサイズ等により適宜決定される。間隔I1は、例えば、キノコの左右方向の長さの1倍以上であるとよく、例えば、50mmである。
なお、本実施の形態では、支柱20は5本設けられているが、支柱20の数は特に限定されにない。栽培棚10は、1本以上の支柱20を備えていればよい。
また、図1及び図3に示すように、支柱20は、下端部に水抜き穴21が形成されている。これにより、多湿環境において、支柱20内部に水が溜まり支柱20が劣化する(例えば、支柱20が金属である場合は、錆びる)ことを抑制することができる。
載置板30及び40は、菌床FBが載置される板状の部材である。載置板30及び40は、菌床FBに対して一対一に設けられる。つまり、1つの載置板30に対して1つの菌床FBが載置され、1つの載置板40に対して、1つの菌床FBが載置される。なお、載置板30は、第1載置板の一例であり、載置板40は、第2載置板の一例である。
複数の載置板30及び40のそれぞれは、上下方向に沿って複数配置される。複数の載置板30のそれぞれは、支柱20の前方(例えば、支柱20の前後方向の前側部分(例えば、前面20a))に上下方向に沿って間隔I2(図2参照)ごとに配置されており、かつ、前方側に突出するように配置されている。また、複数の載置板40のそれぞれは、支柱20の後方(例えば、支柱20の前後方向の後側部分(例えば、後面20b))に上下方向に沿って間隔I3ごとに配置されており、かつ、後方側に突出するように配置されている。本実施の形態では、間隔I2及びI3は、同一の間隔であるが、異なる間隔であってもよい。また、載置板30及び40は、支柱20に対して、互いに反対方向に突出するように配置されている。なお、間隔I2は、第1間隔の一例であり、間隔I3は、第2間隔の一例である。
また、図3に示すように、載置板30及び40は、1つの支柱20を左右方向から見た場合に、上下方向に対してジグザグ状に配置されている。つまり、載置板30及び40は、支柱20において、上下方向の異なる位置に交互に配置されている。このため、1つの支柱20において、載置板30及び40は、同一平面上には配置されない。
載置板30は、上下方向に隣り合う載置板40の上下方向における間の位置に配置されており、かつ、載置板40は、上下方向に隣り合う載置板30の上下方向における間の位置に配置されているとも言える。例えば、複数の載置板40のそれぞれは、左右方向から見たときに、上下方向に隣り合う載置板30の上下方向における中央の位置に配置される。
このように、栽培棚10は、支柱20の一方から他方に向けて、載置板30及び40が交互に配置される構造を有する。栽培棚10は、例えば、支柱20の一方から他方に向けて、載置板30及び40が等間隔に交互に配置される。
図8に示すように、比較例では、手前側の菌床FB及び奥側の菌床FBが同一平面上であって、かつ、奥側の菌床FBが手前側の菌床FBに対して左右方向にズレた位置に載置されている。この場合、奥側の菌床FBの側方が手前側の菌床FBの死角となり、手前側の菌床FBを取り出さずに奥側の菌床FBを見ることが困難であった。また、奥側の菌床FBを手前側の菌床FBに対して左右方向にズラさずに載置することも可能であるが、その場合、奥側の菌床FBの前方が手前側の菌床FBの死角となる。
これに対し、栽培棚10は、奥側の菌床FBが手前側の菌床FBに対して上下方向にズレた位置に載置されている。この場合、奥側の菌床FBの側方及び前方が手前側の菌床FBの死角となりにくく、手前側の菌床FBを取り出さずに奥側の菌床FBを見ることできる。なお、栽培棚10は、前後方向及び左右方向に複数配置されて使用されるので、上記奥側の菌床FBを、後ろ側から見ることは、困難である。
また、載置板30及び40は、菌床FBが載置される位置に配置され、かつ、菌床FBに応じた大きさを有するので、例えば、載置板40に載置されている菌床FBを見る場合に、当該載置板40より上方に配置された載置板30及び40がその妨げになりにくい。栽培棚10は、例えば、図8に示すように、奥側の菌床FBが当該菌床FBの上方の板状部材220のうち、菌床FBが載置されていない部分の死角となり視認性が低下することを抑制することができる。
これらにより、本実施の形態に係る栽培棚10は、作業者が奥側に載置された菌床FBを視認するときの視認性を向上させることができる。
間隔I2及びI3の少なくとも一方は、菌床FBの上下方向の大きさの1倍より大きく、かつ、2倍より小さい。本実施の形態では、間隔I2及びI3の両方が、菌床FBの上下方向の大きさの1倍より大きく、かつ、2倍より小さく、例えば、300mmである。また、この場合、上下方向に隣り合う載置板30及び40の当該上下方向における間隔I4は、間隔I2及びI3の半分であり、例えば、150mmである。すなわち、間隔I4は、例えば、菌床FBの上下方向の大きさの1倍より小さい。
載置板30及び40の形状は、上下方向から見た場合に、矩形状であるがこれに限定されない。載置板30及び40の上下方向から見た形状は、載置される栽培物に応じて適宜決定される。載置板30及び40の上下方向から見た形状は、例えば、半円状、楕円形状、多角形状などであってもよい。また、載置板30及び40の上下方向から見た形状は、互いに異なっていてもよい。
また、載置板30及び40は、上下方向に貫通する開口31及び41がそれぞれ形成されている。開口31は、例えば、複数の載置板30のそれぞれに形成され、開口41は、複数の載置板40のそれぞれに形成されている。本実施の形態では、開口31は、1つの載置板30に2つ形成されており、かつ、形状は楕円状である。また、開口41は、1つの載置板40に2つ形成されており、かつ、形状は楕円状である。なお、開口31及び41の数及び形状はこれに限定されず、菌床FBからの結露水などを流すことができる数及び形状であればよい。
載置板30及び40のそれぞれは、例えば、前後方向及び左右方向で規定される平面(例えば、水平面)と平行となるように支柱20に固定される。載置板30及び40は、互いに平行となるように支柱20に固定される。なお、載置板30及び40の支柱20への固定方法は特に限定されず、溶接により支柱20に接合されてもよいし、ボルトなどにより着脱自在に支柱20に取り付けられてもよい。載置板30及び40が支柱20に着脱自在に取り付けられていることで、様々な大きさの菌床において栽培棚10を使用することができる。なお、本実施の形態では、載置板30は、溶接により支柱20に接合されている。
以降において、1つの支柱20と、当該支柱20に配置された複数の載置板30及び複数の載置板40とを、棚部10aとも記載する。つまり、本実施の形態に係る栽培棚10は、左右方向に並んだ5つの棚部10aを備える。ここで、互いに隣り合う棚部10a1及び10a2における、載置板30及び40の配置について説明する。
図2に示すように、棚部10a1及び10a2の載置板30は、前後方向に見た場合に、上下方向に対してジグザグ状に配置されている。つまり、棚部10a1及び10a2のそれぞれ載置板30は、上下方向において、互いに支柱20の異なる位置に配置されている。このため、棚部10a1及び10a2のそれぞれの載置板30は、同一平面上には配置されない。
棚部10a1の載置板30は、左右方向から見た場合に、棚部10a2の上下方向に隣り合う載置板30の間に配置されているとも言える。例えば、棚部10a1の複数の載置板30のそれぞれは、左右方向から見たときに、棚部10a2の上下方向に隣り合う載置板30の上下方向における中央の位置に配置される。
また、棚部10a1及び10a2の載置板40は、前後方向に見た場合に、上下方向に対してジグザグ状に配置されている。つまり、棚部10a1及び10a2のそれぞれの載置板40は、上下方向において、互いに支柱20の異なる位置に配置されている。このため、棚部10a1及び10a2のそれぞれの載置板40は、同一平面上には配置されない。
左右方向から見た場合に、棚部10a1の載置板40は、棚部10a2の上下方向に隣り合う載置板40の間に配置されているとも言える。例えば、棚部10a1の複数の載置板40のそれぞれは、左右方向から見たときに、棚部10a2の上下方向に隣り合う載置板40の上下方向における中央の位置に配置される。
また、本実施の形態に係る棚部10a2は、棚部10a1を上下方向を回転軸として180°回転させた構造を有する。棚部10aは、例えば、1種類の棚部10a1を、梁部材50及び60に固定するときの向きを変えることで形成されている。これにより、栽培棚10の製造において、棚部10aとしては1種類のみを製造すればよいので、低コストで栽培棚10を作製することができる。この場合、棚部10a1の載置板30と、棚部10a2の載置板40とは、同一平面上に配置される。
このような栽培棚10においては、作業者がまびき作業及び収穫作業などの作業を行うときの作業効率が向上する。図4は、本実施の形態に係る栽培棚10の作業効率の向上を説明するための図である。具体的には、図4は、図2に示す破線領域Rの拡大図である。また、図4では、菌床FB及びキノコMを図示している。
図4に示すように、作業者が奥側に載置された菌床FB(載置板40に載置された菌床FB)に対してまびき作業及び収穫作業などの作業を行う場合、手前側に載置された菌床FB(載置板30に載置された菌床FB)が、奥側の菌床FBに対して上下方向に配置されるので、当該作業の妨げになりにくい。具体的には、載置板40に菌床FBを載置した状態のまま、当該菌床FBに対してまびき作業及び収穫作業などの作業を行うことができる。また、作業者は、奥側の菌床FBを載置板40上で上下方向を回転軸として回転(例えば、90°又は180°回転)させることで、当該菌床FBの後面を視認でき、かつ、当該後面に対しても、菌床FBを載置板40に載置した状態のまま作業することができる。
また、棚部10a1及び10a2は、上記で説明したように、所定の支柱間隔をあけて配置される。これにより、図4の例では、棚部10a1の載置板40に載置された菌床FBを作業するときに、棚部10a2の載置板30に載置された菌床FBが当該作業の妨げになりにくい。よって、棚部10aが複数配置されていても、作業者の作業効率を比較例に比べて向上させることができる。このように栽培棚10の載置板30及び40は、複数の菌床FBを個別に作業できるように配置されている。
栽培棚10が備える載置板30及び40の数は特に限定されないが、例えば、同数であってもよい。なお、栽培棚10が備える載置板30及び40の合計数は、例えば、当該栽培棚10が載置可能な菌床FBの最大数を示す。
ここで、載置板30及び40の形状等について、図5を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、載置板30及び40の上下方向から見た形状は同じである(例えば、180°回転対称関係である)ため、載置板30についてのみ説明する。図5は、本実施の形態に係る載置板30の拡大図である。図5の(a)は、載置板30を側面視したときの拡大図であり、図5の(b)は、載置板30を上方から下方を見たときの拡大図である。
図5の(a)及び図5の(b)に示すように、複数の載置板30のそれぞれは、載置された菌床FBの落下を抑制する折曲部32(抑制防止構造の一例)を有する。本実施の形態では、複数の載置板30のそれぞれは、少なくとも前側の端部33が上方に折り曲げられた折曲部32を有する。折曲部32は、菌床FBの前方側への移動を規制することで、菌床FBが載置板30の前方から落下することを防止する。折曲部32は、例えば、落下防止用の反りである。端部33は、載置板30の外周部の少なくとも一部の一例である。
折曲部32の左右方向から見た長さL2は、例えば、12mmであり、高さH1は、例えば、9.6mmであり、載置板30に対する角度α(平板状の部分であり、水平面と平行な面に対する角度)は、例えば、45°であるが、これに限定されない。長さL2、高さH1、及び、角度αは、菌床FBの大きさ及び重さなどに基づいて適宜設定されればよい。また、載置板30の厚み(上下方向の長さ)は、1〜2mm程度であり、例えば、1.6mmであるが、これに限定されない。載置板30の厚みは、菌床FBの重さ及び材質の強度に基づいて、適宜決定されればよい。
折曲部32は、例えば、4隅の角部を有する矩形の載置板30の前側の端部33の両端(左右側の部分)を切り落とすことで形成された切出部を、上方に折り曲げて形成される。例えば、折曲部32の左右方向の長さL3は、載置板30の左右方向の長さL1より小さい。
なお、折曲部32は、端部33に形成されていることに限定されず、端部33〜35のうち少なくとも1つの端部に形成されていればよい。なお、端部34は、載置板30における左側の端部であり、端部35は、載置板30における右側の端部である。
なお、上記では、抑制防止構造の一例として、折曲部32を例に説明したが、抑制防止構造は、折曲部32以外で形成されてもよい。抑制防止構造は、例えば、端部33に所定の厚み(例えば、高さH1)の物体を配置することで形成されてもよいし、載置板30を端部33が端部36より上下方向の位置が高くなるように所定の傾斜で支柱20に固定されることで形成されてもよい。
次に、折曲部32が端部33に形成されている場合における、菌床FBの左右方向からの落下の抑制について、図6A及び図6Bを参照しながら説明する。図6Aは、栽培物の左右方向の移動における落下防止を説明するための第1図である。図6Bは、栽培物の左右方向の移動における落下防止を説明するための第2図である。図6A及び図6Bは、図2に示す破線領域Rの拡大図である。なお、図6A及び図6Bでは、便宜上、載置板30及び40のうち、載置板30のみを図示している。
図6Aは、棚部10a2の載置板30に菌床FBが載置された状態を示す。棚部10a1及び10a2の載置板30の上下方向における間隔I5は、例えば、菌床FBの上下方向の長さL102より小さい。本実施の形態では、間隔I5は、間隔I4と等しい。また、棚部10a1及び10a2の載置板30の左右方向における間隔I1は、例えば、菌床FBの左右方向の長さL100の半分より小さい。
図6Bは、棚部10a2の載置板30に載置された菌床FBが何らかの要因により右方向に移動した状態を示す。図6Bに示すように、菌床FBは、間隔I5が長さL102より小さく、かつ、間隔I1が長さL100の半分より小さいので、落下する前に棚部10a1の載置板30に接触する。具体的には、菌床FBは、落下する前に棚部10a1の載置板30の端部34に当接する。これにより、棚部10a2の載置板30に載置された菌床FBの左右方向の移動を棚部10a1の載置板30により規制することができるので、当該菌床FBの左右方向の移動における落下を防止することができる。
図1〜3を再び参照して、梁部材50及び60は、複数の支柱20を左右方向に並んで固定するための左右方向に延在する部材である。梁部材50及び60は、互いに平行となるように配置される。梁部材50及び60は、例えば、中空の柱状部材により実現される。なお、梁部材50及び60の左右方向から見た形状は、特に限定されず、円形、多角形などであってもよい。本実施の形態では、梁部材50及び60は、角パイプである。
梁部材50には、複数の支柱20の下端が溶接により接合され、梁部材60には、複数の支柱20の上端が溶接により接合される。複数の支柱20は、所定の支柱間隔ごとに梁部材50及び60に溶接接合される。なお、複数の支柱20は、梁部材50及び60に着脱自在に固定されていてもよい。複数の支柱20は、例えば、梁部材50及び60にボルト等の締結部材により固定されていてもよい。
支持部材70は、栽培棚10の設置面(例えば、床、又は、地面)に当該栽培棚10を設置するために前後方向に延在する部材である。栽培棚10は、2つの支持部材70により安定して設置面に設置される。
支持部材70は、例えば、中空の柱状部材により実現される。なお、支持部材70の前後方向から見た形状は、特に限定されず、円形、多角形などであってもよい。本実施の形態では、支持部材70は、角パイプである。
なお、支持部材70は、移動用のローラなどを有していてもよい。栽培棚10は、移動式の棚であってもよい。
栽培棚10を構成する各構成要素のそれぞれは、金属で形成されていてもよいし、樹脂により形成されていてもよい。例えば、載置板30及び40は、栽培物(例えば、菌床FB)の重さに耐えることができれば(例えば、栽培物の重さにより変形しなければ)、金属により形成されていてもよいし、樹脂により形成されていてもよい。
栽培物が菌床FBである場合、栽培棚10は、多湿環境下に配置される。そのため、栽培棚10は、耐水性が高い材料により形成される、又は、耐水性処理が施されているとよい。
[1−2.効果など]
以上説明したように、栽培棚10は、菌床FB(栽培物の一例)が載置され、かつ、菌床FBに一対一に設けられる複数の載置板と、上下方向に延在し、複数の載置板30及び40のそれぞれを支持する支柱20(支持体の一例)とを備える。複数の載置板30及び40は、支柱20の前方に突出するように、上下方向に沿って配置された複数の載置板30(第1載置板の一例)と、支柱20の後方に突出するように、上下方向に沿って配置された複数の載置板40(第2載置板の一例)とを含む。そして、上下方向及び前後方向のそれぞれと交差する左右方向から支柱20を見たときに、複数の載置板30のそれぞれ及び複数の載置板40のそれぞれは、上下方向に対して交互に配置されている。
これにより、載置板30及び載置板40は、上下方向において互いに異なる位置に配置される。そのため、前方側から載置板40に載置されている菌床FBを見る場合、載置板30に載置された菌床FB(手前側に載置されている菌床FB)がその妨げになりにくい。また、載置板30及び40のそれぞれは、菌床FBに対して一対一に設けられる。例えば、載置板30及び40が菌床FBに応じた大きさを有することで、例えば、載置板40に載置されている菌床FBを見る場合に、当該載置板40より上方に配置された載置板30及び40がその妨げになりにくい。
これらにより、本実施の形態に係る栽培棚10は、作業者が奥側に載置された菌床FBを視認するときの視認性を向上させることができる。
また、複数の載置板40のそれぞれは、上下方向に隣り合う2つの載置板30の上下方向における中央の位置に配置されている。
これにより、載置板30及び40のそれぞれに同じサイズの菌床FBが載置されている場合において、奥側に載置されている菌床FBの視認性を特に向上させることができる。
また、さらに、複数の載置板30及び40と、支柱20とを有する棚部10aを複数備える。複数の棚部10aは、左右方向に沿って配置されている。
これにより、より多くの菌床FBを1つの栽培棚10で栽培することができる。
また、複数の棚部10aは、左右方向に並んで配置された棚部10a1(第1棚部の一例)及び棚部10a2(第2棚部の一例)を含む。そして、棚部10a2の複数の載置板30のそれぞれは、左右方向から見たときに、棚部10a1の上下方向に隣り合う2つの載置板30の間の位置に配置されており、棚部10a2の複数の載置板40のそれぞれは、左右方向から見たときに、棚部10a1の上下方向に隣り合う2つの載置板40の間の位置に配置されている。
これにより、例えば、棚部10a1の載置板40に載置された菌床FBに対して所定の作業を行う場合に、棚部10a2の載置板30がその妨げになりにくい。よって、栽培棚10が複数の棚部10aを備える構成であっても、作業性が低下することを抑制することができる。
また、棚部10a2の複数の載置板30のそれぞれは、左右方向から見たときに、棚部10a1の上下方向に隣り合う2つの載置板30の間の中央の位置に配置されており、棚部10a2の複数の載置板40のそれぞれは、左右方向から見たときに、棚部10a1の上下方向に隣り合う2つの載置板40の間の中央の位置に配置されている。
これにより、複数の棚部10aのそれぞれにおいて同じサイズの菌床FBが載置されている場合において、奥側に載置されている菌床FBの視認性を特に向上させることができる。
また、複数の載置板30のそれぞれは、上下方向に沿って間隔I2(第1間隔の一例)で配置されており、複数の載置板40のそれぞれは、上下方向に沿って間隔I3(第2間隔の一例)で配置されている。そして、間隔I2及びI3のそれぞれは、菌床FBの上下方向の長さL102の2倍より小さい。
これにより、例えば、棚部10a2の載置板30に載置されている菌床FBが左右方向に移動した場合、当該菌床FBが棚部10a1の載置板30に接触することにより当該移動を規制することができる。よって、菌床FBの左右方向の移動における落下を抑制することができる。
また、複数の載置板30のそれぞれ及び複数の載置板40のそれぞれには、上下方向に貫通する開口31、41が形成されている。
これにより、栽培棚10が多湿環境下に配置された場合において、載置板30及び40に結露水が溜まり、当該結露水により菌床FBが劣化する(例えば、腐る)ことを抑制することができる。
また、複数の載置板30のそれぞれ及び複数の載置板40のそれぞれは、載置された菌床FBの落下を抑制する落下防止構造を有する。
これにより、菌床FBが載置板30又は40上で移動した場合、当該菌床FBが当該載置板30又は40から落下してしまうことを抑制することができる。
また、落下防止構造は、複数の載置板30のそれぞれ及び複数の載置板40のそれぞれの外周部の少なくとも一部が上方に折り曲げられた折曲部32を含む。
これにより、菌床FBの落下を抑制するための追加の部材を配置することなく(部品点数が増加することなく)、載置板30及び40の形状を加工するだけで、菌床FBの落下を抑制する落下防止構造を実現することができる。
また、複数の載置板30のそれぞれ及び複数の載置板40のそれぞれは、上下方向から見たときに、矩形状である。そして、複数の載置板30のそれぞれは、少なくとも前方側の端部33が上方に折り曲げられた折曲部32を有し、複数の載置板40のそれぞれは、少なくとも後方側の端部が上方に折り曲げられた折曲部42を有する。
これにより、載置板30に載置された菌床FBにおける前方への移動、及び、載置板40に載置された菌床FBにおける後方への移動による、菌床FBの落下を抑制することができる。
また、栽培物は、キノコ菌が接種された菌床FBである。
これにより、栽培棚10を菌床栽培に用いることができる。そして、栽培棚10によれば、キノコの成育状況の確認等を容易に行うことができる。
(実施の形態の変形例)
本変形例に係る栽培棚100の構成について、図7を参照しながら説明する。図7は、本変形例に係る栽培棚100を示す斜視図である。上記実施の形態では、前後方向から見た場合に、載置板30及び40は、左右方向(例えば、一端側に配置された棚部10aから他端側に配置された棚部10a)に向けて階段状に配置されている例について説明した。本変形例においては、前後方向から見た場合に、複数の棚部10aにおける載置板30及び40の位置が等しい例について説明する。
図7に示すように、本変形例に係る栽培棚100は、複数の棚部10aにおける載置板30及び40の位置が等しい。この場合、複数の棚部10aのそれぞれの載置板30は、同一平面上に配置される。また、複数の棚部10aのそれぞれの載置板40は、同一平面上に配置される。このような栽培棚100においても、実施の形態と同様に、奥側の菌床FBの視認性を向上させることができる。
なお、左右方向に隣り合う載置板30に載置された菌床FBからのキノコ同士が接触することを抑制する観点から、間隔I11(所定の支柱間隔の一例)は、実施の形態での支柱間隔より大きいとよい。具体的には、間隔I11は、実施の形態に係る長さL1(図2参照)と、間隔I1(図2参照)とを足した長さより大きいとよい。
間隔I12は、並んで配置された載置板30の左右方向の長さであり、実施の形態における間隔I1に対応する長さである。間隔I12は、例えば、キノコの左右方向の長さ(例えば、平均長さ)の2倍より大きいとよい。これにより、左右方向に隣り合う載置板30に載置された菌床FBからのキノコ同士が接触することを抑制することができる。
なお、栽培棚10を小型化する観点から、実施の形態に示すように、隣り合う棚部10aにおける載置板30及び40の位置は、異なっているとよい。
(実施の形態2)
[2−1.構成]
まず、本実施の形態に係る栽培棚の構成について、図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、本実施の形態に係る載置板330の一例を示す図である。具体的には、図9の(a)は、載置板330を上方から下方を見た(平面視した)ときの平面図であり、図9の(b)は、図9の(a)のIXb−IXb線における断面図である。
本実施の形態に係る載置板330は、平板状ではなく、上方向に突出した突起部332を有する点において、実施の形態1の載置板30と相違する。以降において、本実施の形態に係る載置板330について、実施の形態1の載置板30との相違点を中心に説明する。また、実施の形態1の栽培棚10と同一又は類似の構成については、実施の形態1の栽培棚10と同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。なお、以下では、第1の載置板の一例である載置板330について説明するが、第2の載置板についても同様のことがいえる。
図9の(a)及び(b)に示すように、載置板330は、底面部331と、突起部332とを有する。
底面部331は、突起部332より下方向に位置している。底面部331には、例えば、開口31が形成されている。
突起部332は、底面部331から上方向に突出して設けられる。突起部332は、載置板330に載置された菌床FBを支持する支持部である。突起部332は、上面部で菌床FBを支持する。言い換えると、底面部331は、菌床FBと接触しない。
突起部332は、平面視において、載置板330における菌床FBが載置される面(上面)において、その前後方向に長尺な形状を有している。一つの載置板330には、少なくとも2以上の突起部332が形成され、例えば、図9では3つの突起部332が形成されている。3つの突起部332は、例えば、等間隔に形成される。3つの突起部332のうちの1つである第1突起部は、載置板330を正面視したときに、載置板330の左端部と、左側の開口31との間(例えば、中央部)に形成されている。また、3つの突起部332のうちの他の1つである第2突起部は、載置板330を正面視したときに、載置板330の中央部に形成されている。また、3つの突起部332のうちのさらに他の1つである第3突起部は、載置板330を正面視したときに、載置板330の右端部と、右側の開口31との間(例えば、中央部)に形成されている。少なくとも2つの突起部332は、載置板330を上方から下方を見たときに、開口31を挟むように形成されてもよい。また、第2突起部は、例えば、第1突起部と第3突起部との間の中央部に形成されている。
突起部332の側面視における長さL300は、例えば200mmであり、正面視における長さW(幅)は例えば15mmであり、正面視における高さH2は例えば5mmであり、底面部331に対する角度θは例えば90°であるが、これに限定されない。また、例えば、載置板330を平面視したとき、突起部332の面積は、底面部331の面積より小さくてもよい。
このような突起部332は、平板状の載置板330(例えば、実施の形態1の載置板30)をプレス加工することによって形成される。なお、突起部332の形成は、プレス加工に限定されず、例えば、底面部331上に別部材が配置されることで形成されてもよい。例えば、実施の形態1の載置板30に長尺状の突起部が配置されることで、本実施の形態に係る載置板330が形成されてもよい。
なお、本実施の形態に係る載置板330の形状は、上記に限定されない。図10は、本実施の形態に係る載置板330aの他の一例を示す図である。具体的には、図10の(a)は、載置板330を上方から下方を見た(平面視した)ときの平面図であり、図10の(b)は、図10の(a)のXb−Xb線における断面図である。
図10の(a)及び(b)に示すように載置板330aは、底面部331aと、突起部332aとを有する。図10では、突起部332aが形成される位置が図9に示す突起部332と異なる。
突起部332aは、載置板330aにおける菌床FBが載置される面(上面)において、その前後方向に長尺な形状を有している。一つの載置板330aには、少なくとも2以上の突起部332aが形成され、例えば、図10では3つの突起部332aが形成されている。3つの突起部332aは、例えば、等間隔に形成される。3つの突起部332aのうちの1つである第4突起部は、載置板330aを正面視したときに、載置板330aの左端部と、左側の開口31との間において当該左端部側に形成されている。また、3つの突起部332aのうちの他の1つである第5突起部は、載置板330aを正面視したときに、載置板330aの中央部より左側に形成されている。また、3つの突起部332aのうちのさらに他の1つである第6突起部は、載置板330aを正面視したときに、載置板330aの右端部と、右側の開口31との間において、当該右側の開口側に形成されている。少なくとも2つの突起部332aは、載置板330aを平面視したときに、開口31を挟むように形成されてもよい。また、第5突起部は、例えば、第4突起部と第6突起部との間の中央部に形成されている。また、第5突起部は、例えば、2つの開口31の中央部より左側に形成されている。
これにより、載置板330aに菌床FBを載置した状態で、当該菌床FBを、上下方向を回転軸として180°回転させたとき、回転の前後において菌床FBにおける突起部332aと接触する部分が変化する。よって、菌床FBの底面の同一部分が滞留した水に長時間浸った状態になることを抑制することができる。その結果、載置板330aによれば、青カビ等、栽培の妨げとなる栽培物以外の生物の繁殖が菌床FBの底面の同一部分で発生することをさらに抑制することができる。
なお、突起部332及び332aの数、位置、形成する方向(延在する方向)、及び、形状は、菌床FBを支持することができれば、上記に限定されない。例えば、複数の突起部332及び332aの各々の延在する方向は、互いに異なっていてもよい。例えば、1つの突起部332及び332aと、他の突起部332及び332aとは、平面視において交差していてもよい。また、例えば、突起部332及び332aは、平面視において、枠状であってもよい。例えば、突起部332及び332aは、開口31を囲む枠状であってもよい。また、例えば、突起部332及び332aは、底面部331から上方向に突出する柱状の物体であってもよい。柱状は、例えば、角柱状又は円柱状などである。
[2−2.効果など]
以上説明したように、栽培棚の複数の載置板330(第1載置板の一例)のそれぞれ及び複数の第2載置板のそれぞれには、上方に突出する突起部332が形成されている。
これにより、載置板330が菌床FBを支持する面積(当接する面積)を小さくすることができるので、菌床FBの底面が滞留した水に長時間浸った状態になることを抑制することができる。その結果、載置板330によれば、青カビ等、栽培の妨げとなる栽培物以外の生物の繁殖を抑制することができる。
(実施の形態2の変形例)
本変形例に係る栽培棚の構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、本変形例に係る載置板430の一例を示す平面図である。なお、以下では、第1の載置板の一例である載置板430について説明するが、第2の載置板についても同様のことがいえる。
図11に示すように、載置板430は、開口431と、底面部432とを有する。
開口431は、底面部432の中央付近に形成され、載置板430を上下方向に貫通する開口である。開口431は、底面部432が菌床FBを支持することができる範囲で、大きく形成されるとよい。開口431の面積は、例えば、平面視において、菌床FBの底面の面積の1/2以上であるとよく、より好ましくは2/3以上であるとよい。また、開口431の面積は、例えば、平面視において、菌床FBの面積未満である。
なお、開口431の数、位置、及び、形状は、菌床FBを支持することができれば、上記に限定されない。例えば、開口431は、複数形成されており、複数の開口431の面積の合計が、平面視において、菌床FBの底面の面積の1/2以上であり、より好ましくは2/3以上であってもよい。
底面部432は、例えば、開口431を囲むように形成される。本変形例では、底面部432が菌床FBを支持する。
以上説明したように、本実施の形態に係る載置板430の開口431の面積は、例えば、平面視において、菌床FBの面積の1/2以上である。また、開口431の面積は、例えば、平面視において、菌床FBの面積未満である。
これにより、実施の形態2と同様の効果を奏する。具体的には、載置板430が菌床FBを支持する面積(当接する面積)を小さくすることができるので、菌床FBの底面が滞留した水に長時間浸った状態になることを抑制することができる。その結果、載置板430によれば、青カビ等、栽培の妨げとなる栽培物以外の生物の繁殖を抑制することができる。
(実施の形態3)
[3−1.構成]
まず、本実施の形態に係る栽培棚500の構成について、図12及び図13を参照しながら説明する。図12は、本実施の形態に係る栽培棚500を右方から見た図である。本実施の形態に係る栽培棚500は、菌床FBが載置される部分が、上下方向を回転軸として回転する点について、実施の形態1の栽培棚10と相違する。以降において、本実施の形態に係る栽培棚500について、実施の形態1の栽培棚10との相違点を中心に説明する。また、実施の形態1の栽培棚10と同一又は類似の構成については、実施の形態1の栽培棚10と同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
図12に示すように、栽培棚500は、実施の形態1の栽培棚10に加えて、回転部530と、第1回転支持部531と、回転部540と、第2回転支持部541とを備える。
回転部530は、載置板30より上方に位置し、菌床FBが載置される板状の部材である。回転部540は、載置板40より上方に位置し、菌床FBが載置される板状の部材である。回転部530及び540は、菌床FBに対して一対一に設けられる。つまり、1つの回転部530に対して1つの菌床FBが載置され、1つの回転部540に対して、1つの菌床FBが載置される。なお、本実施の形態では、回転部530は、第1載置板の一例であり、回転部540は、第2載置板の一例である。
回転部530は、第1回転支持部531に回転可能に支持されている。回転部530は、菌床FBが載置された状態で、上下方向と平行な回転軸J1を中心に回転する。回転軸J1は、例えば、鉛直方向と平行である。
回転部530は、例えば、第1回転支持部531に対して回転可能な構成を有する。回転部530は、例えば、菌床FBが載置される板状部(図13の板状部530a)と、第1回転支持部531と接続されるベアリング部(図13のベアリング部530b)とを有する。板状部の平面視形状は、例えば、円形であるが、これに限定されない。
これにより、回転部530は、支柱20に固定されており回転しない載置板30に対して、回転軸J1を中心に自由に回転することができる。言い換えると、回転部530は、載置された菌床FBを載置板30に対して、自由に回転させることができる。回転部530は、例えば、回転軸J1を中心に360°回転する。
回転部530は、上記の載置板30及び第1回転支持部531を介して、支柱20に回転可能に支持されているともいえる。
回転部540は、第2回転支持部541に回転可能に支持されている。回転部540は、菌床FBが載置された状態で、上下方向と平行な回転軸J2を中心に回転する。回転軸J2は、例えば、鉛直方向と平行である。また、回転軸J2は、例えば、回転軸J1と平行である。
回転部540は、例えば、第2回転支持部541に対して回転可能な構成を有する。回転部540は、例えば、菌床FBが載置される板状部と、第2回転支持部541と接続されるベアリング部とを有する。板状部の平面視形状は、例えば、円形であるが、これに限定されない。
これにより、回転部540は、支柱20に固定されており回転しない載置板40に対して、回転軸J2を中心に自由に回転することができる。言い換えると、回転部540は、載置された菌床FBを載置板40に対して、自由に回転させることができる。回転部540は、例えば、回転軸J2を中心に360°回転する。
回転部540は、上記の載置板40及び第2回転支持部541を介して、支柱20に回転可能に支持されているともいえる。
また、回転部530及び540は、所定回転角ごとに軽くロックがかかる機構を有していてもよい。所定回転角は、菌床FBの平面視形状に応じて決定されてもよく、例えば、90°である。これにより、作業者が菌床FBに対して作業するときに、回転部530及び540が軽くロックがかかっている状態であると、当該作業者は、作業が行いやすくなる。作業者は、例えば、回転部530及び540を手で固定することなく、菌床FBに対して作業を行うことができる。なお、栽培棚500は、回転部530及び540の回転を規制する規制部(図示しない)をさらに備えていてもよい。そして、作業者は、菌床FBを回転させるときには、当該規制部による回転部530及び540の規制を解除してもよい。規制部は、例えば、一端が支柱20に回動可能に取り付けられており、他端が回転部530又は540と接触することで当該回転部530又は540の回転を規制する構成であるが、これに限定されない。
なお、回転部530及び540の形状および構成部材は、菌床FBを回転させることができれば、上記に限定されない。
第1回転支持部531は、載置板30から上方に突出し、回転部530を支持する支持体である。第1回転支持部531は、例えば、回転部530を回転可能に支持する。第1回転支持部531は、平面視における、載置板30の中心及び回転部530の中心を接続するように設けられる。
第2回転支持部541は、載置板40から上方に突出し、回転部540を支持する支持体である。第2回転支持部541は、例えば、回転部540を回転可能に支持する。第2回転支持部541は、平面視における、載置板40の中心及び回転部540の中心を接続するように設けられる。
回転部530、第1回転支持部531、回転部540及び第2回転支持部541は、栽培物が菌床FBである場合、例えば、耐水性が高い材料により形成される、又は、耐水性処理が施されているとよい。
ここで、回転部530及び540の平面視形状について、図13を参照しながら説明する。図13は、本実施の形態に係る回転部530及び載置板30を上方から下方を見たときの図である。図13では、回転部530及び載置板30を紙面上の上下方向にずらして図示しているが、本来であれば回転部530及び載置板30は平面視において少なくとも一部が重なるように配置される。
図13の(a)は、回転部530の形状を示しており、図13の(b)は、載置板30の形状を示している。本実施の形態に係る載置板30の形状は、実施の形態1に係る載置板30と同じであり説明を省略する。なお、図13では、回転部530の形状を示しているが、回転部540においても同様である。
図13の(a)及び(b)に示すように、回転部530には、当該回転部530を上下方向に貫通する開口532が形成されている。本実施の形態では、1つの回転部530に4つの開口532が形成されているが、開口532の数は特に限定されない。開口532は、例えば、複数の回転部530のそれぞれに形成されている。開口532は、回転部530に載置された菌床FBからの結露水などを流すために形成される。
4つの開口532の平面視形状は、例えば、円形であり、直径が開口31の左右方向の長さと等しくてもよい。
4つの開口532は、例えば、回転部530が回転軸J1を中心に回転するときに、載置板30の開口31と少なくとも一部が重なるような形状及び位置に形成される。また、4つの開口532は、例えば、平面視において、回転軸J1を中心とした円環状に配置される。これにより、4つの開口532のそれぞれは、回転部530が360°回転する間に、少なくとも一部が載置板30の開口31と重なるので、回転部530上に水が溜まることを抑制することができる。
なお、開口532の数、形状及び位置はこれに限定されず、菌床FBからの結露水などを流すことができる数及び形状であり、かつ、回転時に少なくとも一部が載置板30の開口31と重なる位置であればよい。
また、回転部530の回転軸J1は、例えば、平面視において、回転部530の中央付近に配置される。言い換えると、ベアリング部530bは、平面視において、回転部530の中央付近に配置される。回転軸J1は、例えば、回転部530を側面視したときの中央の位置を通り、かつ、左右方向に平行な仮想線l1と、回転部530を正面視したときの中央の位置を通り、かつ、前後方向に平行な仮想線l2との平面視における交点近傍に配置される。回転軸J1は、例えば、回転部530の中心(円の中心)に配置されてもよい。
[3−2.効果など]
以上説明したように、栽培棚500の複数の回転部530(第1載置板の一例)のそれぞれ及び複数の回転部540(第2載置板の一例)のそれぞれは、前記上下方向を回転軸として支柱20(支持体の一例)に回転可能に支持されている。
例えば、栽培棚500は、支柱20に固定される載置板30と、載置板30の上方に配置され、菌床FBが載置される回転部530と、一端が載置板30に固定され、回転部530を回転可能に支持する第1回転支持部531と、支柱20に固定される載置板40と、載置板40の上方に配置され、菌床FBが載置される回転部540と、一端が載置板40に固定され、回転部540を回転可能に支持する第2回転支持部541とを備える構成であってもよい。
これにより、回転部530及び540上に載置された菌床FBを支柱20に対して自在に回転させることが可能となり、菌床FBの視認性及び菌床FBに対する作業性を格段に向上させることができる。
(実施の形態3の変形例)
本変形例に係る栽培棚600の構成について、図14を参照しながら説明する。図14は、本変形例に係る栽培棚600を右方から見た図である。本変形例に係る栽培棚600は、菌床FBが載置される部分である載置板630及び640自体が、上下方向を回転軸として回転する点について、実施の形態3の栽培棚500と相違する。以降において、本変形例に係る栽培棚600について、実施の形態1の栽培棚10との相違点を中心に説明する。また、実施の形態1の栽培棚10と同一又は類似の構成については、実施の形態1の栽培棚10と同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
図14に示すように、栽培棚600は、実施の形態1の栽培棚10に加えて、第1回転支持部631と、回転部632と、第2回転支持部641と、回転部642とを備える。また、栽培棚600は、実施の形態1の栽培棚10の載置板30及び40に替えて載置板630及び640を備える。
載置板630及び640は、菌床FBが載置される板状の部材である。本変形例では、載置板630及び640が支柱20に直接支持されていない。載置板630は、第1回転支持部631及び回転部632を介して、支柱20に回転可能に支持される。載置板640は、第2回転支持部641及び回転部642を介して、支柱20に回転可能に支持される。
載置板630は、回転部632の上方に配置され、回転部632の回転に合わせて回転するように回転部632に取り付けられる。載置板630は、例えば、回転部632に対して回転不可能に取り付けられる。つまり、載置板630は、例えば、回転部632と一体となって回転するように回転部632に取り付けられる。
載置板640は、回転部642の上方に配置され、回転部642の回転に合わせて回転するように回転部642に取り付けられる。載置板640は、例えば、回転部642に対して回転不可能に取り付けられる。つまり、載置板640は、例えば、回転部642と一体となって回転するように回転部642に取り付けられる。
なお、載置板630及び640の形状、材料等は、実施の形態1の載置板30及び40と同様である。また、載置板630は、第1載置板の一例であり、載置板640は、第2載置板の一例である。
第1回転支持部631は、一端が支柱20に固定され、回転部632を回転可能に支持する支持体である。第1回転支持部631は、例えば、一端が溶接などにより支柱20に固定される。第1回転支持部631は、側面視において、L字状である。
なお、第1回転支持部631の形状及び大きさは、載置板630と、回転部632とを支持できれば、特に限定されない。
回転部632は、第1回転支持部631に回転可能に支持されている。回転部632は、上下方向と平行な回転軸J3を中心に回転する。回転部632は、例えば、回転軸J3を中心に360°回転する。回転軸J3は、例えば、鉛直方向と平行である。
回転部632は、例えば、第1回転支持部631に対して回転可能な構造を有する。回転部632は、例えば、第1回転支持部631の他端と接続されるベアリング部を有する。これにより、回転部632は、回転軸J3を中心に自由に回転することができる。言い換えると、回転部632は、載置板630に載置された菌床FBを自由に回転させることができる。
第2回転支持部641は、一端が支柱20に固定され、回転部642を回転可能に支持する支持体である。第2回転支持部641は、例えば、一端が溶接などにより支柱20に固定される。第2回転支持部641は、側面視において、L字状である。
なお、第2回転支持部641の形状及び大きさは、載置板640と、回転部642とを支持できれば、特に限定されない。
回転部642は、第2回転支持部641に回転可能に支持されている。回転部642は、上下方向と平行な回転軸J4を中心に回転する。回転部642は、例えば、回転軸J4を中心に360°回転する。回転軸J4は、例えば、鉛直方向と平行である。また、回転軸J4は、例えば、回転軸J3と平行である。
回転部642は、例えば、第2回転支持部641に対して回転可能な構造を有する。回転部642は、例えば、第2回転支持部641の他端と接続されるベアリング部を有する。これにより、回転部642は、回転軸J4を中心に自由に回転することができる。言い換えると、回転部642は、載置板640に載置された菌床FBを自由に回転させることができる。
なお、第1回転支持部631、回転部642、第2回転支持部641及び回転部642は、栽培物が菌床FBである場合、例えば、耐水性が高い材料により形成される、又は、耐水性処理が施されているとよい。
以上説明したように、栽培棚600の複数の載置板630(第1載置板の一例)のそれぞれ及び複数の載置板640(第2載置板の一例)のそれぞれは、上下方向を回転軸J3及びJ4として支柱20(支持体の一例)に回転可能に支持されている。
例えば、栽培棚600において、複数の載置板630のそれぞれには、上下方向を回転軸J3とした回転部632が設けられ、複数の載置板640のそれぞれには、上下方向を回転軸J4とした回転部642が設けられる。
より具体的には、栽培棚600は、一端が支柱20に固定される第1回転支持部631及び第2回転支持部641と、第1回転支持部631に回転可能に支持される回転部632と、回転部632の上方に配置され、回転部632の回転とともに回転する載置板630であって、菌床FBが載置される載置板630と、第2回転支持部641に回転可能に支持される回転部642と、回転部642の上方に配置され、回転部642の回転とともに回転する載置板640であって、菌床FBが載置される載置板640とを備える構成であってもよい。
これにより、載置板630及び640上に載置された菌床FBを支柱20に対して自在に回転させることが可能となり、菌床FBの視認性及び菌床FBに対する作業性を格段に向上させることができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、複数の載置板30のそれぞれは、間隔I2ごとに配置されている例について説明したが、等間隔に配置されていることに限定されない。また、複数の載置板40のそれぞれは、間隔I3ごとに配置されている例について説明したが、等間隔に配置されていることに限定されない。
また、上記実施の形態では、載置板30は、支柱20の前面20aに固定されている例について説明したが、支柱20に固定されていれば、前面20a以外の面(又は部分)に固定されていてもよい。また、載置板40は、支柱20の後面20bに固定されている例について説明したが、支柱20に固定されていれば、後面20b以外の面(又は部分)に固定されていてもよい。
また、上記実施の形態では、栽培棚10は、載置板30及び40の上下方向における位置が互いに異なる棚部10a1及び10a2の2つの棚部を備えている例について説明したが、これに限定されない。栽培棚10は、棚部10a1及び10a2のそれぞれと載置板30及び40の上下方向における位置が互いに異なる棚部を備えていてもよい。栽培棚10は、例えば、載置板30及び40の上下方向における位置が互いに異なる3以上の棚部を備えていてもよい。
また、上記実施の形態では、折曲部32は、端部33に1つ設けられる例について説明したが、端部33に設けられる折曲部32は、2以上であってもよい。
また、上記実施の形態において、栽培棚10を構成する各構成要素のそれぞれは、溶接により接合される例について説明したが、各構成要素のそれぞれの接続方法はこれに限定されない。栽培棚10を構成する各構成要素の同士が固定されていれば、それ以外の接続方法であってもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。