JP6748204B2 - 接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤組成物に関する。
近年、自動車業界等の様々な分野で、金属材料から樹脂材料への代替、ならびに、樹脂材料を利用した構造物、成形物、および部品に関する検討が盛んに行われている。また、近年、ポリプロピレン等のポリオレフィンへの親和性を有する接着材料に注目が集まっている。
しかしながら、ポリオレフィン等の低表面エネルギー素材表面への親和性を確保しつつ、接着樹脂層を充分に硬化することが可能な接着材料は、未だ提供されておらず、低表面エネルギー素材の接着に用いられる接着材料には、改善が求められている。
特許文献1には、シアノアクリレート系接着剤用のプライマーが開示されている。特許文献1に記載のプライマーを用いることによって、ポリプロピレン等に対しても優れた接着力を発揮させることができる。しかしながら、プライマーが無い場合は充分な接着性が発現せず、また、プライマーを用いる場合には作業工程は増加する。
特許文献2には、クロロスルホン化ポリエチレン、または、塩素化ポリエチレンと有機過酸化物との混合物を用いた接着剤組成物が開示されている。特許文献2に記載の接着剤組成物は、接着性および保存安定性に優れることを特徴としているが、低表面エネルギー素材への接着性については検討されていない。
特許文献3には、有機ホウ素化合物を含む第一の液と、ハロゲン化ポリオレフィン等を含む第二の液とからなる二液型重合性組成物が開示されている。特許文献3に記載の二液型重合性組成物は、低表面エネルギー素材に対して接着することも可能であるが、低表面エネルギー素材に対するせん断接着強度の向上等、さらなる接着力の向上が求められている。
特開平6−57218号公報 特開平5−306379号公報 特表2010−506975号公報
本発明は、ポリオレフィン等の低表面エネルギー素材への接着性、異種材料間の接着性に優れ、且つプライマーレスによる接着工程の簡略化が可能な、接着剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有する接着剤組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[5]である。
[1] 下記式(1)で表される構造とニトリル基とを有する樹脂(A)を3〜45質量部、重合性不飽和基を有する化合物(B)を55〜97質量部、およびラジカル硬化触媒(C)を0.5〜15質量部含み、前記樹脂(A)と化合物(B)との合計が100質量部である接着剤組成物。
Figure 0006748204
(式(1)において、X1〜X3は、それぞれ独立に、水素またはハロゲンであり、X1〜X3の少なくとも2つはハロゲンであり、*は他の原子との結合手を表す。)
[2] 樹脂(A)のハロゲン含有量が30質量%以上である、[1]に記載の接着剤組成物。
[3] 樹脂(A)が、下記式(2)で表される構造を有する、[1]または[2]に記載の接着剤組成物。
Figure 0006748204
(式(2)において、X2およびX3は、ハロゲンであり、*は他の原子との結合手を表す。)
[4] 前記重合性不飽和基を有する化合物(B)が、(メタ)アクリルモノマーを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の接着剤組成物。
[5] 前記重合性不飽和基を有する化合物(B)が、極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の接着剤組成物。
本発明によれば、ポリオレフィン等の低表面エネルギー素材への接着性、異種材料間の接着性に優れ、且つ、プライマーレスによる接着工程の簡略化が可能な、接着剤組成物を提供することができる。
以下、本発明の接着剤組成物を説明する。以下では、本発明の接着剤組成物を単に「組成物」ともいう。また、アクリルおよびメタクリルを総称して「(メタ)アクリル」とも記載する。
<接着剤組成物>
本発明の組成物は、以下で説明する特定の構造を有する樹脂(A)(以下、単に「樹脂(A)」ともいう)、重合性不飽和基を有する化合物(B)(以下、単に「化合物(B)」ともいう)、およびラジカル硬化触媒(C)を含む。本発明の組成物は、必要に応じて、さらに他の成分を含んでもよい。
〔樹脂(A)〕
樹脂(A)は、下記式(1)で表される構造とニトリル基とを有する。
Figure 0006748204
式(1)において、X1〜X3は、それぞれ独立に、水素またはハロゲンであり、X1〜X3の少なくとも2つはハロゲンであり、*は他の原子との結合手を表す。また、X1は水素であり、かつ、X2およびX3はハロゲンであることが好ましい。
樹脂(A)が有する上記式(1)で表される構造のうち、少なくとも一部は下記式(2)で表わされる構造であることが好ましい。つまり、樹脂(A)は、下記式(2)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 0006748204
式(2)において、X2およびX3は、ハロゲンであり、*は他の原子との結合手を表す。
式(1)で表される構造は、上記式(2)で表される構造であることがより好ましい。
式(1)および(2)のX1〜X3におけるハロゲンは、塩素または臭素であることが好ましく、樹脂(A)の劣化に対する安定性の観点から、塩素であることがより好ましい。
樹脂(A)は、樹脂(A)100質量%中に、式(1)で表される構造を、20質量%以上含むことが好ましく、30〜90質量%含むことがより好ましく、40〜80質量%含むことが特に好ましい。式(1)で表される構造を前記範囲内含むことが、ポリオレフィンなどの低表面エネルギー素材への接着性の発現に必要な、接着界面の親和性の確保と製膜性とを両立する観点から望ましい。
樹脂(A)は、ニトリル基を有する。樹脂(A)がニトリル基を有することにより、樹脂(A)の、後述する化合物(B)に対する溶解性が向上する。これにより、本発明の組成物を基材に塗布した際の成膜性が良好となり、接着性が向上する。
樹脂(A)中のニトリル基の含有量は、樹脂(A)1g中のニトリル基の量(mol)として表すことができ、好ましくは1.0×10-4〜1.5×10-2mol/g、より好ましくは5.0×10-4〜1.0×10-2mol/g、さらに好ましくは1.0×10-3〜1.0×10-2mol/gである。
ニトリル基を樹脂(A)中に含有させる方法としては、特に限定されず、例えば、後述するようにニトリル基含有モノマーを含むモノマー成分を重合して樹脂(A)を製造してもよく、重合体をシアノ化して樹脂(A)中にニトリル基を含有させてもよい。
樹脂(A)のハロゲン含有量は、樹脂(A)100質量%中、通常は30質量%以上、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%である。前記ハロゲン含有量とは、樹脂(A)中に含まれるハロゲンの含有量であり、樹脂(A)が複数の種類のハロゲンを含有する場合は、樹脂(A)が含有する全種類のハロゲンの合計の含有量を表す。つまり、樹脂(A)がハロゲンとして塩素および臭素を含有する場合は、前記ハロゲン含有量は、樹脂(A)の塩素および臭素の合計の含有量であり、樹脂(A)がハロゲンとして塩素のみを含有する場合は、前記ハロゲン含有量は、樹脂(A)の塩素含有量である。樹脂(A)のハロゲン含有量が前記範囲内であると、ポリオレフィン等の低表面エネルギー素材への接着性の発現に必要な接着界面の親和性の確保と、接着樹脂層の充分な硬化とを両立する観点から好ましい。
樹脂(A)のハロゲン含有量の測定方法は、特に限定されないが、例えば、JIS−K7229に規定される酸素フラスコ法、燃焼イオンクロマトグラフィー法、蛍光X線を用いる方法が挙げられる。
樹脂(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定される重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン換算値で、好ましくは10万〜50万、より好ましくは15万〜45万、さらに好ましくは20万〜40万である。Mwが前記範囲内にあると、良好な硬化性と接着性とを発現し易いという観点から好ましい。
また、樹脂(A)は、GPC法により測定される分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、好ましくは1.5〜8.0、より好ましくは2.0〜7.0、さらに好ましくは2.5〜6.0である。
樹脂(A)を得る方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。下記式(3)で表されるモノマーおよびニトリル基含有モノマーを含むモノマー成分を、重合することにより樹脂(A)を製造する方法。下記式(3)で表されるモノマーを含むモノマー成分を重合することにより得られた重合体をシアノ化することにより樹脂(A)を製造する方法。下記式(4)で表されるモノマーおよびニトリル基含有モノマーを含むモノマー成分を、重合することにより重合体を得て、得られた重合体をハロゲン化することにより樹脂(A)を製造する方法。下記式(4)で表されるモノマーを含むモノマー成分を、重合することにより重合体を得て、得られた重合体をハロゲン化およびシアノ化することにより樹脂(A)を製造する方法。
前記重合は、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の重合法により行うことができる。また、重合の際には、必要に応じて、重合開始剤、重合溶媒、分散剤、乳化剤等を使用することができる。
重合体をハロゲン化する工程において、ハロゲン化する方法およびハロゲン化する系については特に制限はない。ハロゲン化する方法としては、例えば、熱ハロゲン化法、光ハロゲン化法が挙げられる。ハロゲン化する系としては、例えば、気相ハロゲン化法、溶液ハロゲン化法、懸濁ハロゲン化法、膨潤ハロゲン化法が挙げられる。
重合体をシアノ化する方法としては、重合体とシアン化物とを反応させる方法等の当業者に公知の方法を始め、特に制限なく採用することができる。
Figure 0006748204
式(3)において、X1〜X3は、それぞれ独立に、水素またはハロゲンであり、X1〜X3の少なくとも2つはハロゲンである。前記ハロゲンとしては、塩素または臭素であることが好ましく、塩素であることがより好ましい。また、X1は水素であり、かつ、X2およびX3はハロゲンであることが好ましい。
式(3)で表されるモノマーとしては、例えば、トリクロロエチレン、トリブロモエチレン、1,1−ジクロロエチレン、1,1−ジブロモエチレン、1,2−ジクロロエチレン、1,2−ジブロモエチレンが挙げられる。式(3)で表されるモノマーの中でも、トリクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレンが好ましく、1,1−ジクロロエチレンがより好ましい。
式(3)で表されるモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
式(3)で表されるモノマーを含むモノマー成分100質量%中、式(3)で表されるモノマーの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30〜90質量%、さらに好ましくは40〜80質量%である。
Figure 0006748204
式(4)において、X1'〜X3'は、それぞれ独立に、水素またはハロゲンであり、X1'〜X3'の全てがハロゲンとなることは無い。前記ハロゲンとしては、塩素または臭素であることが好ましく、塩素であることがより好ましい。また、X1'〜X3'の少なくとも1つがハロゲンであることが好ましく、X1'およびX2'は水素であり、かつ、X3'はハロゲンであることがより好ましい。
式(4)で表されるモノマーとしては、例えば、1,1−ジクロロエチレン、1,1−ジブロモエチレン、1,2−ジクロロエチレン、1,2−ジブロモエチレン、クロロエチレン、ブロモエチレンが挙げられる。式(4)で表されるモノマーの中でも、クロロエチレンが好ましい。
式(4)で表されるモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
式(4)で表されるモノマーを含むモノマー成分100質量%中、式(4)で表されるモノマーの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30〜90質量%、さらに好ましくは40〜80質量%である。
前記重合を行う際には、式(3)で表されるモノマーあるいは式(4)で表されるモノマーに加え、ニトリル基含有モノマーを用いることが好ましい。
前記ニトリル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、炭素数1〜12のアルキル基を有する2−シアノアクリル酸エステルが挙げられる。
モノマー成分として、ニトリル基含有モノマーを用いる場合における、ニトリル基含有モノマーの含有量は、モノマー成分100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%である。
前記モノマー成分としては、さらに、必要に応じて、式(3)で表されるモノマーあるいは式(4)で表されるモノマー、およびニトリル基含有モノマー以外のモノマー(以下、他のモノマーとも記す。)を含んでもよい。他のモノマーとしては、例えば、下記化合物(B)として挙げたモノマーが挙げられる。
樹脂(A)は、ニトリル基を有するポリ塩化ビニリデン樹脂またはニトリル基を有する塩素化ポリ塩化ビニルであることが好ましい。樹脂(A)の市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製サランレジンF310が挙げられる。
〔化合物(B)〕
本発明の接着剤組成物は、重合性不飽和基を有する化合物(B)を含む。本発明の接着剤組成物は、前記化合物(B)が重合することにより、基材等を接着することができる。
前記化合物(B)としては、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーが挙げられる。ここで、(メタ)アクリルモノマーとは、アクリロイル基(H2C=CH−CO−)またはメタクリロイル基(H2C=CCH3−CO−)を有するモノマーである。
前記化合物(B)は、(メタ)アクリルモノマーを含むことが好ましく、極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを含むことがより好ましい。
(メタ)アクリルモノマーとしては、アクリルモノマーおよびメタクリルモノマーから選択される少なくとも1種のモノマーを用いることができる。また、極性基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、極性基を有するアクリルモノマーおよび極性基を有するメタクリルモノマーから選択される少なくとも1種のモノマーを用いることができる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、極性基を有する(メタ)アクリルモノマー、極性基を有しない(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。
極性基としては、酸素、窒素、および硫黄から選択される少なくとも1種の原子を含むことが好ましく、酸素および窒素から選択される少なくとも1種の原子を含むことがより好ましい。
極性基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、酸素含有(メタ)アクリルモノマー、窒素含有(メタ)アクリルモノマー、硫黄含有(メタ)アクリルモノマーが挙げられ、酸素含有(メタ)アクリルモノマー、窒素含有(メタ)アクリルモノマーが好ましい。
酸素含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
窒素含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。
硫黄含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、2−メチルチオエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
極性基を有しない(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレートおよびヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート等のアリル系モノマーが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記化合物(B)としては、詳細な機構は不明ではあるが、ポリプロピレン等の低表面エネルギー素材との接着強度が高くなるという観点から、極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを用いることが好ましい。極性基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、具体的には、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
極性基を有する(メタ)アクリルモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを2種以上用いる場合は、極性基を有するアクリルモノマーと極性基を有するメタクリルモノマーとを用いることが好ましい。この場合、化合物(B)中の、極性基を有するアクリルモノマーと極性基を有するメタクリルモノマーとの比(質量比)(極性基を有するアクリルモノマー:極性基を有するメタクリルモノマー)は、好ましくは95:5〜5:95、より好ましくは80:20〜20:80である。
前記組成物に含まれる化合物(B)100質量部中の極性基を有する(メタ)アクリルモノマーの配合量の下限としては特に制限は無く、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上である。前記範囲では化合物(B)とラジカル硬化触媒(C)とを混合した後の組成物のゲル化を抑制し、かつ良好な硬化性および接着性を発現することができるため好ましい。また、前記組成物に含まれる化合物(B)100質量部中の極性基を有する(メタ)アクリルモノマーの配合量の上限としては特に制限は無く、100質量部以下である。
化合物(B)が極性基を有する(メタ)アクリルモノマーである場合、すなわち、化合物(B)100質量部中の極性基を有する(メタ)アクリルモノマーの配合量が100質量部である場合には、良好な硬化性および接着性を発現することが可能であるため好ましい。
また、化合物(B)として、極性基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーを用いることも、組成物のゲル化を抑制する観点から好ましい。化合物(B)として、極性基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーを用いる場合には、化合物(B)100質量部中の極性基を有する(メタ)アクリルモノマーの配合量は、好ましくは5〜95質量部、より好ましくは10〜90質量部、さらに好ましくは20〜80質量部である。
前記化合物(B)として、極性基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーを用いる場合には、単官能化合物(但し、極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを除く)、多官能化合物(但し、極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを除く)のどちらも用いることができるが、単官能化合物を用いることが好ましい。単官能化合物とは、1分子内に重合性不飽和基を1つ有する化合物であり、多官能化合物とは、1分子内に重合性不飽和基を2以上有する化合物である。前記化合物(B)として用いる単官能化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましい。多官能化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジアリルイソフタレートが好ましい。
単官能化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記化合物(B)として、単官能化合物(但し、極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを除く)を用いる場合には、組成物に含まれる化合物(B)100質量部中の単官能化合物の配合量は、好ましくは1〜70質量部、より好ましくは1〜60質量部、さらに好ましくは1〜50質量部である。
前記化合物(B)として、多官能化合物(但し、極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを除く)を用いる場合には、組成物に含まれる化合物(B)100質量部中の多官能化合物の配合量は、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは0.1〜30質量部である。
〔ラジカル硬化触媒(C)〕
本発明の接着剤組成物は、ラジカル硬化触媒(C)を含む。
接着剤組成物中で、ラジカル硬化触媒(C)からラジカルが発生することにより、前記化合物(B)の重合反応が進行し、接着剤組成物から得られる接着樹脂層を硬化させることができる。
ラジカル硬化触媒(C)は、カルボン酸金属塩およびポリアミンを含む硬化触媒(C1)、オルガノボラン−アミン錯体およびカルボニル化合物を含む硬化触媒(C2)、ハロゲン化アルキル基を有する化合物および遷移金属化合物を含む硬化触媒(C3)、過酸化物レドックス硬化触媒(C4)、過酸化物硬化触媒(C5)、アゾ化合物硬化触媒(C6)、ならびに、UVラジカル開始剤硬化触媒(C7)から選ばれる少なくとも1種の硬化触媒であることが好ましい。中でも、ラジカル硬化触媒(C)は、カルボン酸金属塩およびポリアミンを含む硬化触媒(C1)、ならびに、オルガノボラン−アミン錯体およびカルボニル化合物を含む硬化触媒(C2)から選ばれる少なくとも1種の硬化触媒であることがより好ましい。
カルボン酸金属塩およびポリアミンを含む硬化触媒(C1)に含まれるカルボン酸金属塩を構成する金属としては、例えば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムが挙げられ、鉄または銅が好ましい。すなわち、カルボン酸金属塩としては、カルボン酸鉄、カルボン酸銅が好ましい。
カルボン酸金属塩を構成する金属の価数としては、通常は2価以下であり、好ましくは1価または2価である。前記金属が鉄である場合には2価、銅である場合には1価が好ましい。
カルボン酸金属塩としては、例えば、酢酸金属塩、ギ酸金属塩、シュウ酸金属塩、ステアリン酸金属塩、2−エチルヘキサン酸金属塩、ナフテン酸金属塩、安息香酸金属塩が挙げられ、酢酸金属塩、ギ酸金属塩が好ましく、酢酸金属塩がより好ましい。
なお、カルボン酸金属塩は、水和物の形で接着剤組成物中に含まれていてもよい。
カルボン酸金属塩としては、具体的には、酢酸鉄(II)、酢酸銅(I)、ギ酸鉄(II)、ギ酸銅(I)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸銅(I)、ステアリン酸鉄(II)、ステアリン酸銅(I)、ビス(2−エチルヘキサン酸)鉄(II)、ビス(2−エチルヘキサン酸)銅(I)、ナフテン酸鉄(II)、ナフテン酸銅(I)等が挙げられ、酢酸鉄(II)、酢酸銅(I)、ギ酸鉄(II)が好ましく、酢酸鉄(II)、酢酸銅(I)がより好ましい。
遷移金属のカルボン酸塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
硬化触媒(C1)に含まれるポリアミンは、分子内にアミンを2つ以上有する。
ポリアミンは、分子内に2つ以上のアミンを有するが、通常は分子内に2〜6、好ましくは2〜4、より好ましくは2または3のアミンを有する。ポリアミンが分子内に有するアミンの数が前記範囲内であると、充分な硬化性および良好な接着性を発現できるため好ましい。
ポリアミンは、好ましくは、少なくとも一つの3級アミノ基を有し、より好ましくは、少なくとも二つの3級アミノ基を有し、さらに好ましくは少なくとも二つの3級アミノ基を有し、かつ1級および2級のアミノ基を有さない。
ポリアミンとしては、例えば、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、N,N−ジメチル−1,2−エタンジアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、2,2'−ビピリジル、4,4'−ジメチル−2,2'−ジピリジル、4,4'−ジーtert−ブチル−2,2'−ジピリジル、トリス(2−ピリジルメチル)アミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミンが挙げられ、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンが好ましい。
ポリアミンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
カルボン酸金属塩およびポリアミンの組み合わせは特に制限されないが、硬化触媒(C1)としては、例えば、酢酸鉄(II)およびN,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンを含む硬化触媒、酢酸鉄(II)およびN,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミンを含む硬化触媒、酢酸鉄(II)およびトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンを含む硬化触媒、酢酸銅(I)およびN,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミンを含む硬化触媒、酢酸銅(I)およびトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンを含む硬化触媒が挙げられる。
硬化触媒(C1)に含まれる、カルボン酸金属塩とポリアミンとの比(モル比)(カルボン酸金属塩:ポリアミン)は、特に限定されないが、好ましくは1:0.01〜1:10、より好ましくは1:0.1〜1:5である。
オルガノボラン−アミン錯体およびカルボニル化合物を含む硬化触媒(C2)に含まれるオルガノボラン−アミン錯体のオルガノボランとしては、例えば、BR3で表される化合物が挙げられる。前記式中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜8の、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、またはフェニル基を表す。
オルガノボランとしては、例えば、トリエチルボラン、トリブチルボラン、トリヘキシルボラン、モノメトキシジエチルボランが挙げられる。
オルガノボラン−アミン錯体のアミンは、分子内に少なくとも1つのアミノ基を有していればよく、好ましくは2または3のアミノ基を有している。
アミンとしては、例えば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、メトキシプロピルアミン等のモノアミン;1,3−ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン等のポリアミンが挙げられる。
オルガノボラン−アミン錯体は、前述のオルガノボランとポリアミンとから形成される錯体だけではなく、同一分子内に、オルガノボランとアミンとを有し、かつ同一分子内で錯体を形成している錯体であってもよい。このようなオルガノボラン−アミン錯体としては、例えば、下記式(A)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006748204
式(A)において、NからBに向かう矢印は、配位結合を表す。
オルガノボラン−アミン錯体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
硬化触媒(C2)に含まれるカルボニル化合物とは、分子中に少なくとも1つのカルボニル基(−C(=O)−)を有していればよく、カルボニル化合物としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、アルデヒド基、ケト基、エステル基等を有する化合物が挙げられ、カルボキシル基、酸無水物基を有する化合物であることが好ましい。カルボニル化合物は、ポリマー、オリゴマーであってもよく、この場合、カルボニル化合物としては、カルボキシル基、酸無水物基を有するポリマー、オリゴマーが好ましい。
カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、フタル酸、(メタ)アクリル酸が挙げられ、酸無水物基を有する化合物としては、無水コハク酸、無水マレイン、無水フタル酸が挙げられる。
カルボニル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
オルガノボラン−アミン錯体およびカルボニル化合物の組み合わせは特に制限されないが、硬化触媒(C2)としては、例えば、トリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体および酢酸を含む硬化触媒、トリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体およびグルタル酸を含む硬化触媒、トリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体および無水コハク酸を含む硬化触媒、トリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体および酢酸を含む硬化触媒、トリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体およびグルタル酸を含む硬化触媒、トリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体および無水コハク酸を含む硬化触媒が挙げられる。
硬化触媒(C2)に含まれる、オルガノボラン−アミン錯体とカルボニル化合物との比(モル比)(オルガノボラン−アミン錯体:カルボニル化合物)は、特に限定されないが、好ましくは1:0.01〜1:10、より好ましくは1:0.1〜1:5である。
ハロゲン化アルキル基を有する化合物および遷移金属化合物を含む硬化触媒(C3)に含まれるハロゲン化アルキル基を有する化合物とは、1または2以上の水素がハロゲンに置換されたアルキル基を有する化合物である。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。前記アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜12である。ハロゲン化アルキル基を有する化合物は、化合物内にハロゲン化アルキル基を1つ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。
ハロゲン化アルキル基を有する化合物としては、例えば、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ブロモイソブチリルブロミド、エチレンビス(2−ブロモイソブチラート)が挙げられる。
硬化触媒(C3)に含まれる遷移金属化合物としては、例えば、カルボン酸金属塩が挙げられる。カルボン酸金属塩としては、硬化触媒(C1)の欄で挙げたカルボン酸金属塩を使用することができる。
また、硬化触媒(C3)は、さらに、ポリアミンを含むことが好ましい。ポリアミンとしては、硬化触媒(C1)の欄で挙げたポリアミンを使用することができる。
ハロゲン化アルキル基を有する化合物および遷移金属化合物の組み合わせは特に制限されないが、硬化触媒(C3)としては、例えば、2−ブロモイソ酪酸エチル、酢酸鉄(II)およびN,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンを含む硬化触媒、2−ブロモイソブチリルブロミド、酢酸鉄(II)およびN,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンを含む硬化触媒、エチレンビス(2−ブロモイソブチラート)、酢酸鉄(II)およびN,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンを含む硬化触媒が挙げられる。
ラジカル硬化触媒(C)として硬化触媒(C3)を用いる場合、樹脂(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する、ハロゲン化アルキル基を有する化合物の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部である。
樹脂(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する、遷移金属化合物の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部である。さらに、硬化触媒(C3)としてポリアミンを含む場合における、遷移金属化合物とポリアミンとの比は、硬化触媒(C1)のカルボン酸金属塩とポリアミンとの比と同じである。
過酸化物レドックス硬化触媒(C4)とは、過酸化物を含むレドックス触媒を意味し、酸化剤としての過酸化物と還元剤とを含む硬化触媒であることが好ましい。ここで、過酸化物としては、後述の過酸化物硬化触媒(C5)で例示した過酸化物を用いることができる。還元剤としては、硬化触媒(C1)に含まれるカルボン酸金属塩を使用してもよい。また、還元剤の還元能力を向上させるため、補助還元剤を使用することも好ましく、特に、還元剤として、カルボン酸金属塩を使用した場合、硬化触媒(C1)に含まれるポリアミンをあわせて併用することが好ましい。
硬化触媒(C4)としては、ベンゾイルペルオキシドおよびN,N−ジメチルアニリンを含む硬化触媒、クメンヒドロペルオキシド、ナフテン酸コバルトおよびα−アセチル−γ−ブチロラクトンを含む硬化触媒、ならびに、ジ−tert−ブチルペルオキシド、酢酸鉄(II)およびN,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンを含む硬化触媒が好ましい。
ラジカル硬化触媒(C)として硬化触媒(C4)を用いる場合、樹脂(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する、過酸化物の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜7質量部である。
樹脂(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する、還元剤の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部であり、補助還元剤を使用する場合の補助還元剤の配合量は、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部である。
過酸化物硬化触媒(C5)としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート等の過酸化物が挙げられる。
アゾ化合物硬化触媒(C6)としては、例えば、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチルが挙げられる。
なお、ラジカル硬化触媒(C)として、過酸化物硬化触媒(C5)とアゾ化合物硬化触媒(C6)とを併用することも好ましい。
UVラジカル開始剤硬化触媒(C7)としては、例えば、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
ラジカル硬化触媒(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
〔シランカップリング剤〕
本発明の組成物は、低表面エネルギー基材と、異種材料との接着性を向上させるために、シランカップリング剤を含んでいてもよい。本発明の組成物は、樹脂(A)と化合物(B)と合計100質量部に対して、シランカップリング剤を1〜5質量部含有すると、より異種材料との接着性が向上するため好ましい。
〔他の成分〕
本発明の組成物は、さらに必要に応じて、他の成分を含んでもよい。
他の成分としては、例えば、可塑剤、滑剤、硬化促進剤、増粘剤、被膜形成助剤、剥離剤、充填剤、消泡剤、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、帯電防止剤、導電性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、防曇剤、抗菌・防カビ剤、光触媒、染料、顔料、チクソ性付与剤、可撓性付与剤、補強材(繊維、布、不織布等)、(メタ)アクリルモノマー以外の硬化性モノマー・オリゴマー、溶剤等が挙げられる。
≪接着剤組成物の組成、製造方法等≫
本発明の組成物は、樹脂(A)を3〜45質量部、化合物(B)を55〜97質量部、およびラジカル硬化触媒(C)を0.5〜15質量部含み、前記樹脂(A)と化合物(B)との合計が100質量部である。
前記組成物に含まれる樹脂(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する樹脂(A)の配合量は、3〜45質量部、好ましくは3〜43質量部、より好ましくは5〜40質量部である。樹脂(A)の配合量が前記下限値以上であると、良好な接着性が発現するという観点から好ましく、前記上限値以下であると、混合時のゲル化を抑制することができる観点から好ましい。
前記組成物に含まれる樹脂(A)と化合物(B)との合計100質量部に対する化合物(B)の配合量は、55〜97質量部、好ましくは57〜97、より好ましくは60〜95質量部である。
前記組成物に含まれる樹脂(A)と化合物(B)との合計100質量部に対するラジカル硬化触媒(C)の配合量は、0.5〜15質量部、好ましくは0.6〜14質量部、より好ましくは0.75〜13質量部である。ラジカル硬化触媒(C)の配合量が前記範囲内であると、接着剤組成物から形成される接着樹脂層を充分に硬化させ、かつ良好な接着性を発現することができるため好ましい。
本発明の組成物の製造方法としては、特に制限は無い。前記組成物は、通常は組成物を構成する成分、すなわち、樹脂(A)、化合物(B)、ラジカル硬化触媒(C)および必要に応じて他の成分を混合することにより得ることができる。なお、ラジカル硬化触媒(C)が空気中の酸素等と反応してラジカルを発生させる場合には、酸素存在下で混合することが好ましい。
前記組成物は、化合物(B)とラジカル硬化触媒(C)とが混合等により接触すると、化合物(B)の重合反応が開始して接着剤組成物から得られる接着樹脂層が硬化するため、使用の直前に各成分を混合するか、化合物(B)とラジカル硬化触媒(C)とが接触しないように二液型または多成分型(一部の成分が固形、粉体でも良い)の接着剤として調製して保存し、使用直前に両者あるいは全ての成分を混合することが好ましい。
このとき、樹脂(A)は、化合物(B)と混合した状態で保存してもよいが、ラジカル硬化触媒(C)とは接触しない状態で保存した方が好ましい。
また、ラジカル硬化触媒(C)が空気中の酸素等と反応してラジカルを発生させる場合には、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下(酸素不存在下)で、各成分を混合し、一液型の接着剤として前記組成物を調製してもよい。この場合には、使用の際に、空気中の酸素等と接触することにより硬化が始まる。
本発明の組成物は、調製後、例えば、室温にて静置することによって、硬化した接着樹脂層を形成することができる。このとき、例えば、基材を2枚用意し、一方の基材上に前記組成物を塗布し、もう一方の基材を張り合わせた状態で、前記組成物を硬化させることにより、2枚の基材を接着することができる。また、ラジカル硬化触媒(C)の種類によっても異なるが、前記組成物を硬化させる際に、加熱してもよく、また、紫外線等の活性エネルギー線を照射してもよい。
本発明の組成物は、様々な基材を接着することが可能であり、接着界面親和性の確保と、接着樹脂層の硬化とを両立することができるため、特にポリプロピレン等の低表面エネルギー基材であっても接着することができる。また、本発明の組成物は、プライマーが不要である。さらに本発明の組成物は、樹脂(A)、化合物(B)およびラジカル硬化触媒(C)が相互作用して架橋構造が形成されるため、耐熱性にも期待できる。
本発明の組成物が、低表面エネルギー基材の接着に好適な理由は明らかではないが、本発明者らは次のような理由であると推測した。まず、ラジカル硬化触媒(C)から高活性なラジカルが発生する。発生したラジカルは、樹脂(A)が有するC−X結合(前記Xはハロゲンである)からハロゲンを引き抜き、樹脂(A)が有する炭素上にラジカルを発生させることができる。このようにして、組成物中には、ラジカル硬化触媒(C)から発生したラジカルに加え、樹脂(A)の炭素上に発生したラジカル等が混在する。これらのラジカルによって、ポリプロピレン等の低表面エネルギー基材の表面のC−H結合から水素を引抜き、生成したCラジカルから化合物(B)がグラフト重合したり、化合物(B)の重合反応を開始させたりすることによって、接着界面が共有結合で結合し、強い接着が得られ接着界面親和性の確保できたり、化合物(B)を重合させ接着樹脂層を硬化させたりできる。
本発明の接着剤組成物は、前記特徴を有するため、様々な素材からなる基材、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ナイロン、ポリアセタール、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)等からなる基材を接着することが可能であり、異種材料の複合体製造も可能となる。従って、電気機器、自動車、車輌、船舶、住宅設備機器等、様々な構造物を構成する部品等の接着やコーティング等に使用することができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔合成例1〕(塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合物の合成)
特開平7−316233号公報を参考に、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合物の合成を、以下の方法で行った。
まず、ガラス製1L耐圧反応器内に、イオン交換水100質量部、アルキル硫酸ナトリウム2質量部、過硫酸ナトリウム0.9質量部を仕込み撹拌を行いながら窒素ガスを1L/minで30分吹き込み、その後ウォータバスを用いて反応器内容物の温度を50℃に保った。別の容器に塩化ビニリデン81質量%、アクリロニトリル19質量%の比で混合してモノマー混合物を調製した。前記反応器内にアクリロニトリル1.3質量部を添加した後、前述のモノマー混合物3質量部を仕込み、その後に残りのモノマー混合物97質量部を16時間かけて全量連続添加した。このとき亜硫酸水素ナトリウム0.1質量部もモノマー混合物と一緒に連続添加した。前記モノマー混合物と亜硫酸水素ナトリウムの滴下が終了してから10時間後に反応終了とした。この水分散体を60℃に加温した塩化カルシウムの3%水溶液の中に撹拌しながら滴下した後、生成した凝集物を水洗、乾燥して白色粉末状の塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合物を得た。得られた塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合物のMwは26.0万、Mw/Mnは4.5、塩素含有量は59質量%、ニトリル基含有量(塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合物1g中のニトリル基の量(mol))は3.8×10‐3mol/gであった。なお、前記MwおよびMw/Mnはゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により下記条件で求めた値であり、前記塩素含有量およびニトリル基含有量は、原料の配合量に基づいて計算により算出した値である。
(MwおよびMw/Mn)
塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合物について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、下記条件でMwおよびMw/Mnを求めた。
・測定装置:HLC−8320GPC(東ソー(株)製)
・GPCカラム構成:以下の4連カラム(すべて東ソー(株)製)
(1)TSKgel HxL−H(ガードカラム)
(2)TSKgel GMHxL
(3)TSKgel GMHxL
(4)TSKgel G2500HxL
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・サンプル濃度:1.5%(w/v)(テトラヒドロフランで希釈)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・標準ポリスチレン換算
〔実施例1〜22、比較例1〜15〕
表1、2に記載の処方となるように、樹脂、重合性不飽和基を有する化合物(B)それぞれを計量し、ガラス製の容器に投入した。その後、各成分が均一に溶解するまで10分程度混ぜ、接着剤主剤を調製した。
なお、接着剤主剤が、シランカップリング剤含有する場合は、表2に記載の処方となるように、樹脂、重合性不飽和基を有する化合物(B)それぞれを計量し、ガラス製の容器に投入し、その後、各成分が均一に溶解するまで10分程度混ぜ、次いで、シランカップリング剤を計量して投入し、混合することで接着剤主剤を調製した。
得られた接着剤主剤に、ラジカル硬化触媒(C)を計量し、投入した。その後均一に溶解または分散するまで3分程度混ぜ、接着剤組成物を調製した。なお、表1、2に記載の「部数」とは、質量部数を表す。
(接着剤組成物の評価)
各実施例、比較例で得られた接着剤組成物それぞれについて、以下のように評価した。
(実施例1〜15、比較例1〜3、5〜14で得た接着剤組成物を用いたサンプルの作製)
得られた接着剤組成物および、基材としてポリプロピレンシート(25mm×100mm×1.6mm厚)(2枚)を用い、JIS K 6850(引張せん断接着強さ)に基づき、貼り合せ面が25mm×12.5mm、接着樹脂層の厚さが50μmとなる様に、一方の基材に接着剤組成物を塗布し、もう一方の基材と貼り合わせ、23℃50%RHにて24hr静置し、サンプルを作製した。
(実施例16で得た接着剤組成物を用いたサンプルの作製)
基材と張り合わせた後、60℃で5hr静置後、23℃50%RHにて24hr静置する以外は、「実施例1〜15、比較例1〜3、5〜14で得た接着剤組成物を用いたサンプルの作製」の項と同様に行い、サンプルを作製した。
(実施例17で得た接着剤組成物を用いたサンプルの作製)
基材と貼り合わせた後、被着体ポリプロピレンシートに紫外線照射を、紫外線照射装置(JATEC製、ピーク波長365nm)を用いて150mvにて20分行い、続いて23℃50%RHにて24hr静置する以外は、「実施例1〜15、比較例1〜3、5〜14で得た接着剤組成物を用いたサンプルの作製」の項と同様に行い、サンプルを作製した。
(実施例18〜22、比較例15で得た接着剤組成物を用いたサンプルの作製)
基材の一方をSUS(ステンレス鋼、25mm×150mm×2.0mm厚)に変更した以外は、「実施例1〜15、比較例1〜3、5〜14で得た接着剤組成物を用いたサンプルの作製」の項と同様に行い、サンプルを作製した。
(比較例4で得た接着剤組成物を用いたサンプルの作製)
接着剤組成物を調製後、接着剤組成物が増粘し、ゲル化した。このため、基材であるポリプロピレンシートに接着剤組成物を塗布することができず、サンプルを作製することができなかった。
(引張せん断接着強度)
上記方法で得られたサンプルについて、引張せん断接着強度を測定した。
引張せん断接着強度は、島津製作所オートグラフAG−Xにて10kNロードセルを用い引張速度1cm/min.で測定した。なお、表1中の「硬化不良」とは、接着剤組成物の硬化が殆ど進行せず液状のままであり、基材同士の接着が不可能であったことを表し、「硬化弱い」とは、接着剤組成物の硬化は進行し、基材同士の接着は可能であるが、硬化が不充分であり引張せん断接着強度が非常に弱いことを表す。
引張せん断接着強度測定後の破壊面を観察し、破壊形態が、基材破壊(sf)、凝集破壊(cf)、界面破壊(af)のいずれであるか判断した。
凝集破壊(cf)したものについては、試験後のサンプルを酢酸エチルで洗浄した。洗浄後のサンプルの接着樹脂残渣を目視で観察し、70%以上の面積に接着樹脂残渣が観察されたものを「cf−3」、70%未満の面積に接着樹脂残渣が観察されたものを「cf−1」と評価した。
各サンプルの評価結果を表1、2に示す。
なお、各実施例、比較例で使用した成分は以下の通りである。
<樹脂>
・塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合物:前記合成例1で得られた塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合物、塩素含有量(ハロゲン含有量)59質量%、ニトリル基含有量3.8×10-3mol/g
・アクリロニトリル・ブタジエン共重合物:日本ゼオン株式会社製、Nipol1001CG、ハロゲン含有量0質量%、ニトリル基含有量7.6×10-3mol/g
・塩素化ポリエチレン:昭和電工株式会社製、エラスレン353A、塩素含有量35質量%、ニトリル基含有量0mol/g
・クロロスルホン化ポリエチレン:東ソー株式会社製、TOSO−CSM CS340、塩素含有量43質量%、ニトリル基含有量0mol/g
・塩素化ポリプロピレン:東洋紡績株式会社製、ハードレンDX526P、塩素含有量26質量%、ニトリル基含有量0mol/g
・クロロプレン・2,3−ジクロルブタジエン共重合物:昭和電工株式会社製、ショウプレンSND8、塩素含有量40質量%、ニトリル基含有量0mol/g
・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合物:株式会社カネカ製、カネビニールT555、塩素含有量47質量%、ニトリル基含有量0mol/g
ポリメチルメタクリレート:旭化成ケミカルズ株式会社製、デルペット80N、ハロゲン含有量0質量%、ニトリル基含有量0mol/g
<化合物(B)>
・THF−A:大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#150(テトラヒドロフルフリルアクリレート)
・THF−MA:共栄社化学株式会社製、ライトエステルTHF(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)
・MMA:三菱レイヨン株式会社製、アクリエステルM(メチルメタクリレート)
・DMAA:KJケミカルズ株式会社製、DMAA(ジメチルアクリルアミド)
・St:NSスチレンモノマー株式会社製、スチレン
・MA:三菱化学株式会社製、アクリル酸メチル
・TMPTA:大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#295(トリメチロールプロパントリアクリレート)
・DAP100:株式会社大阪ソーダ製、ダイソーダップ100モノマー(ジアリルイソフタレートモノマー)
<ラジカル硬化触媒(C)>
・Fe(Ac)2:東京化成工業株式会社製、酢酸鉄(II)、分子量:172.19
・TMEDA:広栄化学工業株式会社製、テトラメチルエチレンジアミン、分子量:116.12
・PMDETA:東京化成工業株式会社製、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン、分子量:173.3
・Cu(Ac):東京化成工業株式会社製、酢酸銅(I)、分子量:122.59
・TEB−DAP:BASF社製、TEB−DAP(トリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体)、分子量:171.8
・AcOH:東京化成工業株式会社製、酢酸、分子量:60
・GulOH:東京化成工業株式会社製、グルタル酸、分子量:132.12
・BPO:日油株式会社製、ナイパーBW(ベンゾイルペルオキシド、水25質量%含有)、分子量:242.23(なお、表1に記載の値は、水を含むナイパーBWの使用量である。)
・DMany:東京化成工業株式会社製、N,N−ジメチルアニリン、分子量:121.19
・V−70:和光純薬工業株式会社製、油溶性アゾ重合開始剤(2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル))、分子量:308.43
・BZP:和光純薬工業株式会社製、UVラジカル開始剤(ベンゾフェノン)、分子量:182.22
<シランカップリング剤>
・KBM−403:信越化学工業株式会社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・KBM−5103:信越化学工業株式会社製、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
Figure 0006748204
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ポリプロピレンからなる基材(PP基材)に対する接着性を評価した実施例1〜17(表1)では、本発明の接着剤組成物を使用しており、本発明の範囲内で樹脂(A)の配合量や、化合物(B)およびラジカル硬化触媒(C)の種類および配合量を変更したとしても、高い引張せん断接着強度が得られ、また、破壊形態も基材破壊(sf)あるいは、基材の接着樹脂残渣の多い凝集破壊(cf−3)であることからPP基材への親和性を有し、良好な接着性が得られた。
一方、樹脂(A)を配合しなかった組成物を使用した比較例1、2は充分な引張せん断強度が得られず、破壊形態は接着樹脂残渣の少ない凝集破壊(cf−1)あるいは界面破壊(af)であった。また、比較例3において樹脂(A)の配合量が1部である組成物を使用したところ、樹脂(A)を配合しなかった組成物を使用した比較例1、2に比べて引張せん断接着強度がわずかに増加するものの、破壊形態は接着樹脂残渣の少ない凝集破壊(cf−1)であることから充分なPP基材への親和性が得られなかった。樹脂(A)の配合量が50部である組成物を使用した比較例4では、組成物を調製後にゲル化が生じたため、サンプルを作成することができず、評価することができなかった。比較例5〜11では、樹脂(A)の代わりに樹脂(A)以外の樹脂を配合した組成物を使用したが、前記樹脂は、式(1)で表される構造とニトリル基とを有する樹脂ではないため、比較例5〜10では硬化が弱く、比較例11では、比較例5〜10よりも高い引っ張り剪断強度を有しているが破壊形態は界面破壊(af)であり、充分なPP基材への親和性を有さず、良好な接着性が得られなかった。また、比較例12〜14において、ラジカル硬化触媒(C)を配合しない、あるいは、ラジカル硬化触媒(C)の配合量が少ない組成物を使用したところ、いずれも硬化不良または硬化が弱い状態であった。
次に、基材をPP基材およびSUS基材に変更したところ(表2)、樹脂(A)として塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合物を配合した組成物を使用すれば、高い引張せん接着断強度が得られ、接着樹脂残渣の状態からPP基材への親和性も確保されていたが(実施例18〜20)、樹脂(A)を配合していない比較例15では引張せん断接着強度が低かった。また、シランカップリング剤を含有する組成物(実施例21、22)は、PPとSUSの接着強度が更に向上した。
以上から、本発明の接着剤組成物は、ポリプロピレン等の低表面エネルギー素材への着性および異種材料間の接着性に優れ、且つ、プライマーレスによる接着工程の簡略化が可能であることが分かる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される構造とニトリル基とを有する樹脂(A)を5〜45質量部、酸素、窒素、および硫黄から選択される少なくとも1種の原子を含む極性基を有する(メタ)アクリルモノマーを含む、重合性不飽和基を有する化合物(B)を55〜95質量部、およびラジカル硬化触媒(C)を0.5〜15質量部含み、
    前記樹脂(A)のハロゲン含有量が樹脂(A)100質量%中、30〜70質量%であり、前記樹脂(A)1g中のニトリル基含有量が1.0×10-4〜1.5×10-2molであり、
    前記樹脂(A)と化合物(B)との合計が100質量部である接着剤組成物。
    Figure 0006748204
    (式(1)において、X1〜X3は、それぞれ独立に、水素またはハロゲンであり、X1〜X3の少なくとも2つはハロゲンであり、*は他の原子との結合手を表す。)
  2. 樹脂(A)が、下記式(2)で表される構造を有する、請求項1に記載の接着剤組成物。
    Figure 0006748204
    (式(2)において、X2およびX3は、ハロゲンであり、*は他の原子との結合手を表す。)
  3. 前記式(1)における前記ハロゲンが、塩素である請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記樹脂(A)が、ニトリル基を有するポリ塩化ビニリデン樹脂である請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
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