以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、第1実施形態に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る積層コンデンサの平面図である。図2は、第1実施形態に係る積層コンデンサの側面図である。図3及び図4は、第1実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。第1実施形態では、電子部品として積層コンデンサC1を例に説明する。
積層コンデンサC1は、図1及び図2に示されるように、直方体形状を呈している素体3と、素体3の外表面に配置されている一対の外部電極5と、を有している。一対の外部電極5は、互いに離間している。直方体形状には、角部及び稜部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜部が丸められている直方体の形状が含まれる。
素体3は、その外表面として、互いに対向している長方形状の一対の主面3a,3bと、互いに対向している長方形状の一対の側面3cと、互いに対向している一対の端面3eと、を有している。一対の主面3a,3bが対向している方向が第一方向D1であり、一対の側面3cが対向している方向が第二方向D2であり、一対の端面3eが対向している方向が第三方向D3である。
第一方向D1は、各主面3a,3bに直交する方向であり、第二方向D2と直交している。第三方向D3は、各主面3a,3bと各側面3cとに平行な方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。第1実施形態では、素体3の第三方向D3での長さは、素体3の第一方向D1での長さより大きく、かつ、素体3の第二方向D2での長さより大きい。第三方向D3が、素体3の長手方向である。
一対の側面3cは、一対の主面3a,3bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面3cは、第三方向D3にも延在している。一対の端面3eは、一対の主面3a,3bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の端面3eは、第二方向D2にも延在している。各主面3a,3bは、一対の側面3c及び一位の端面3eと隣り合っている。
素体3は、一対の主面3a,3bが対向している方向(第一方向D1)に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2と一致する。各誘電体層は、たとえば誘電体材料(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。実際の素体3では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2と一致していてもよい。
積層コンデンサC1は、図3及び図4に示されるように、それぞれ複数の内部電極7,9を備えている。内部電極7,9は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料からなる。導電性材料として、卑金属(たとえば、Ni又はCuなど)が用いられる。内部電極7,9は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。第1実施形態では、内部電極7,9は、Niからなる。
内部電極7と内部電極9とは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、内部電極7と内部電極9とは、素体3内において、第一方向D1に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、互いに極性が異なる。複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2である場合、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置される。内部電極7,9の一端部は、対応する端面3eに露出している。
外部電極5は、素体3における端面3e側に、すなわち素体3の端部にそれぞれ配置されている。外部電極5は、主面3a上に配置されている電極部5a、主面3b上に配置されている電極部5b、一対の側面3cに配置されている電極部5c、及び、対応する端面3eに配置されている電極部5eを有している。外部電極5は、一対の主面3a,3b、一対の側面3c、及び一つの端面3eの五つの面に形成されている。互いに隣り合う電極部5a,5b,5c,5e同士は、素体3の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
端面3eに配置されている電極部5eは、対応する内部電極7,9の端面3eに露出した一端部をすべて覆っている。内部電極7,9は、対応する電極部5eに直接的に接続されている。内部電極7,9は、対応する外部電極5に電気的に接続されている。
各外部電極5は、焼結金属層を有している。焼結金属層は、たとえば、導電性ペーストを素体3の外表面に付与し、焼き付けることによって形成されている。導電性ペーストは、金属粉末(たとえば、Cu又はNiからなる粉末)、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤が混合されている。焼結金属層は、導電性ペーストに含まれる金属粉末が焼結した層である。各外部電極5は、焼結金属層上に形成されるめっき層を有していてもよい。
積層コンデンサC1は、電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)に、はんだ実装される。積層コンデンサC1では、主面3aが、電子機器に対向する実装面とされる。
積層コンデンサC1は、図1〜図4に示されるように、一対の絶縁膜Iを備えている。絶縁膜Iは、電極部5aの端縁5ae及び電極部5cの端縁5ceに沿って、外部電極5の一部と素体3の一部とを覆っている。電極部5b、電極部5e、及び主面3bは、絶縁膜Iで覆われていない。
絶縁膜Iは、端縁5aeと端縁5ceの一部(第一方向D1での主面3a寄りの部分)のみとに沿って、端縁5aeと端縁5ceの一部のみとを連続して覆っていると共に、主面3aと側面3cとを連続して覆っている。絶縁膜Iは、電極部5a上に位置している膜部分Ia、電極部5c上に位置している膜部分Ib、主面3a上に位置している膜部分Ic、及び側面3c上に位置している膜部分Idを有している。各膜部分Ia,Ib,Ic,Idは、一体的に形成されている。
電極部5aの表面は、端縁5aeに沿って絶縁膜I(膜部分Ia)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。絶縁膜Iから露出している領域は、膜部分Iaで覆われている領域よりも端面3e寄りに位置している。電極部5cの表面は、端縁5ceに沿って絶縁膜I(膜部分Ib)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。
主面3aは、端縁5aeに沿って絶縁膜I(膜部分Ic)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。第一方向D1から見て、主面3aにおける、一対の絶縁膜I(膜部分Ic)の間に位置している領域は露出している。側面3cは、端縁5ceに沿って絶縁膜I(膜部分Id)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。
第1実施形態では、素体3の第一方向D1での長さL2に対する、膜部分Ibと膜部分Idとの第一方向D1での各長さL1の比率(L1/L2)は、0.1以上0.4以下である。また、電極部5aの第三方向D3での長さL4に対する、膜部分Iaの第三方向D3での長さL3の比率(L3/L4)は、0.3以上である。
絶縁膜Iは、電気絶縁性を有する材料(たとえば、絶縁性樹脂又はガラスなど)からなる。第1実施形態では、絶縁膜Iは、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂からなる。絶縁膜Iは、たとえば、絶縁性樹脂コーティング剤を付与して固化させることにより形成される。絶縁性樹脂コーティング剤の付与には、スクリーン印刷法又はスプレーコーティング法などを用いることができる。絶縁性樹脂コーティング剤としては、熱硬化型の絶縁性樹脂コーティング剤、紫外線硬化型の絶縁性樹脂コーティング剤、又は、これらの絶縁性樹脂コーティング剤の両者を含むコーティング剤を用いることができる。
図5に示されるように、積層コンデンサC1が電子機器EDにはんだ実装される際に、絶縁膜Iははんだレジストとして機能する。電子機器EDは、たとえば、回路基板又は他の電子部品である。図5は、第1実施形態に係る積層コンデンサの実装構造を説明するための図である。
絶縁膜Iが、端縁5aeと端縁5ceの一部のみとを連続して覆っているので、はんだフィレットSFが、端縁5ae、及び、端縁5ceの一部(電極部5cにおける主面3aの近傍に位置する部分の端縁)に達することはない。このため、はんだフィレットSFを通して積層コンデンサC1に外力が作用する場合でも、端縁5ae,5ceに応力が集中し難く、端縁5ae,5ceがクラックの起点となり難い。したがって、積層コンデンサC1では、クラックが素体3に発生するのが抑制される。
第1実施形態では、絶縁膜Iは、端縁5aeと端縁5ceの一部のみとに沿って、主面3aと側面3cとを連続して覆っているので、端縁5aeと端縁5ceの一部とが、絶縁膜Iによって確実に覆われる。したがって、積層コンデンサC1では、端縁5ae,5ceがより一層クラックの起点となり難い。
第1実施形態では、電極部5e全体が絶縁膜Iから露出しているので、図5にも示されるように、電極部5eにはんだフィレットSFが形成される。このため、積層コンデンサC1の実装強度が確保される。
第1実施形態では、素体3の長さL2に対する、膜部分Ibと膜部分Idとの各長さL1の比率(L1/L2)は、0.1以上0.4以下である。この場合、クラックの発生を抑制する効果を確保しつつ、絶縁膜Iのサイズが小さくされる。したがって、積層コンデンサC1の低コストが図られる。比率(L1/L2)が0.1未満の場合は、端縁5ae,5ceに作用する応力が大きく、端縁5ae,5ceがクラックの起点となり易い。
第1実施形態では、電極部5aの長さL4に対する、膜部分Iaの長さL3の比率(L3/L4)は、0.3以上である。この場合、端縁5aeにより一層応力が集中し難いので、クラックが素体3に発生するのがより一層抑制される。すなわち、比率(L3/L4)が0.3未満の場合、端縁5aeに作用する応力が大きく、端縁5aeがクラックの起点となり易い。
次に、図6〜図8を参照して、第1実施形態の変形例に係る積層コンデンサC2の構成を説明する。図6及び図7は、本変形例に係る積層コンデンサの平面図である。図8は、本変形例に係る積層コンデンサの側面図である。
積層コンデンサC2は、積層コンデンサC1と同様に、素体3、一対の外部電極5、複数の内部電極7、及び複数の内部電極9(不図示)を備えている。積層コンデンサC2では、絶縁膜Iの形状が積層コンデンサC1と相違している。
積層コンデンサC2は、図6〜図8に示されるように、一対の絶縁膜Iを備えている。絶縁膜Iは、電極部5aの端縁5ae、電極部5bの端縁5be、及び電極部5cの端縁5ceに沿って、外部電極5の一部と素体3の一部とを覆っている。電極部5eは、絶縁膜Iで覆われていない。
絶縁膜Iは、端縁5ae、端縁5be、及び端縁5ceの全てに沿って、端縁5ae、端縁5be、及び端縁5ceを連続して覆っていると共に、主面3aと主面3bと側面3cとを連続して覆っている。絶縁膜Iは、電極部5a上に位置している膜部分Ia、電極部5c上に位置している膜部分Ib、主面3a上に位置している膜部分Ic、側面3c上に位置している膜部分Id、電極部5b上に位置している膜部分Ie、及び主面3b上に位置している膜部分Ifを有している。各膜部分Ia,Ib,Ic,Id,Ie,Ifは、一体的に形成されている。
電極部5aの表面は、端縁5aeに沿って絶縁膜I(膜部分Ia)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。電極部5aの表面における絶縁膜Iから露出している領域は、膜部分Iaで覆われている領域よりも端面3e寄りに位置している。電極部5cの表面は、端縁5ceに沿って絶縁膜I(膜部分Ib)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。電極部5cの表面における絶縁膜Iから露出している領域は、膜部分Ibで覆われている領域よりも端面3e寄りに位置している。電極部5bの表面は、端縁5beに沿って絶縁膜I(膜部分Ie)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。電極部5bの表面における絶縁膜Iから露出している領域は、膜部分Ieで覆われている領域よりも端面3e寄りに位置している。
主面3aは、端縁5aeに沿って絶縁膜I(膜部分Ic)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。第一方向D1から見て、主面3aにおける、一対の絶縁膜I(膜部分Ic)の間に位置している領域は露出している。側面3cは、端縁5ceに沿って絶縁膜I(膜部分Id)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。第二方向D2から見て、側面3cにおける、一対の絶縁膜I(膜部分Id)の間に位置している領域は露出している。主面3bは、端縁5beに沿って絶縁膜I(膜部分If)で覆われている領域と、絶縁膜Iから露出している領域とを有している。第一方向D1から見て、主面3bにおける、一対の絶縁膜I(膜部分If)の間に位置している領域は露出している。
電極部5bの第三方向D3での長さL6に対する、膜部分Ieの第三方向D3での長さL5の比率(L5/L6)は、0.3以上である。本変形例では、長さL5は長さL3と同等であり、長さL6は長さL4と同等である。同等とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
本変形例では、絶縁膜Iは、端縁5ae、端縁5be、及び端縁5ceの全てを連続して覆っているので、クラックが素体3に発生するのが確実に抑制される。また、絶縁膜Iは、端縁5ae、端縁5be、及び端縁5ceの全てに沿って、主面3a、主面3b、及び側面3cを連続して覆っているので、端縁5ae、端縁5be、及び端縁5ceの全てが、絶縁膜Iによって確実に覆われる。このため、端縁5ae及び端縁5ceがより一層クラックの起点となり難い。
積層コンデンサC2は、主面3aを実装面として実装することも、主面3bを実装面として実装することも、可能となる。したがって、積層コンデンサC2を実装する際の方向性がなくなり、実装の作業性が向上する。
次に、図9〜図13を参照して、第1実施形態の他の変形例に係る積層コンデンサC3,C4の構成を説明する。図9、図11、及び図12は、本変形例に係る積層コンデンサの平面図である。図10及び図13は、本変形例に係る積層コンデンサの側面図である。
各積層コンデンサC3,C4は、積層コンデンサC1,C2と同様に、素体3、一対の外部電極5、複数の内部電極7(不図示)、及び複数の内部電極9(不図示)を備えている。積層コンデンサC3では、素体3の形状が積層コンデンサC1と相違している。積層コンデンサC4では、素体3の形状が積層コンデンサC2と相違している。
積層コンデンサC3,C4では、素体3の第二方向D2での長さは、素体3の第一方向D1での長さより大きく、かつ、素体3の第三方向D3での長さより大きい。第二方向D2が、素体3の長手方向である。
各変形例でも、クラックが素体3に発生するのが抑制される。また、積層コンデンサC3では、端縁5aeと端縁5ceの一部とが、絶縁膜Iによって確実に覆われているので、積層コンデンサC1では、端縁5ae,5ceがより一層クラックの起点となり難い。積層コンデンサC4では、端縁5ae、端縁5be、及び端縁5ceの全てが、絶縁膜Iによって確実に覆われているので、端縁5ae及び端縁5ceがより一層クラックの起点となり難い。
(第2実施形態)
図14〜図17を参照して、第2実施形態に係る積層貫通コンデンサC5の構成を説明する。図14は、第2実施形態に係る積層貫通コンデンサの平面図である。図15は、第2実施形態に係る積層貫通コンデンサの側面図である。図16及び図17は、第2実施形態に係る積層貫通コンデンサの断面構成を説明するための図である。第2実施形態では、電子部品として積層貫通コンデンサC5を例に説明する。
積層貫通コンデンサC5は、図14及び図15に示されるように、素体3と、素体3の外表面に配置されている一対の外部電極13及び一対の外部電極15を有している。一対の外部電極13及び一対の外部電極15は、それぞれ離間している。一対の外部電極13は、たとえば、信号用端子電極として機能し、一対の外部電極15は、たとえば、接地用端子電極として機能する。
積層貫通コンデンサC5は、図16及び図17に示されるように、それぞれ複数の内部電極17,19を備えている。内部電極17,19は、内部電極7,9と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料からなる。第2実施形態でも、内部電極17,19は、Niからなる。
内部電極17と内部電極19とは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、内部電極17と内部電極19とは、素体3内において、第一方向D1に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極17と内部電極19とは、互いに極性が異なる。複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2である場合、内部電極17と内部電極19とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置される。内部電極17の端部は、一対の端面3eに露出している。内部電極19の端部は、一対の側面3cに露出している。
外部電極13は、素体3の第三方向D3での端部に配置されている。外部電極13は、主面3a上に配置されている電極部13a、主面3b上に配置されている電極部13b、一対の側面3cに配置されている電極部13c、及び、対応する端面3eに配置されている電極部13eと、を有している。外部電極13は、一対の主面3a,3b、一対の側面3c、及び一つの端面3eの五つの面に形成されている。互いに隣り合う電極部13a,13b,13c,13e同士は、素体3の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
端面3eに配置されている電極部13eは、内部電極17の端面3eに露出した端部をすべて覆っている。内部電極17は、各電極部13eに直接的に接続されている。内部電極17は、一対の外部電極13に電気的に接続されている。
外部電極15は、素体3の第三方向D3での中央部分に配置されている。外部電極15は、主面3a上に配置されている電極部15a、主面3b上に配置されている電極部15b、及び側面3c上に配置されている電極部15c、を有している。外部電極15は、一対の主面3a,3b、及び、一つの側面3cの三つの面に形成されている。互いに隣り合う電極部15a,15b,15c同士は、素体3の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
側面3cに配置されている電極部15cは、内部電極19の側面3cに露出した端部をすべて覆っている。内部電極19は、各電極部15cに直接的に接続されている。内部電極19は、一対の外部電極15に電気的に接続されている。
各外部電極13,15は、外部電極5と同じく、焼結金属層を有している。各外部電極13,15は、焼結金属層上に形成されるめっき層を有していてもよい。
積層貫通コンデンサC5も、電子機器に、はんだ実装される。積層貫通コンデンサC5では、主面3aが、電子機器に対向する実装面とされる。
積層貫通コンデンサC5は、図14〜図17に示されるように、一対の絶縁膜I1と一対の絶縁膜I2とを備えている。絶縁膜I1及び絶縁膜I2は、絶縁膜Iと同じく、電気絶縁性を有する材料(たとえば、絶縁性樹脂又はガラスなど)からなる。本実施形態では、絶縁膜I1及び絶縁膜I2は、絶縁膜Iと同じく、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂からなる。
絶縁膜I1は、電極部13aの端縁13ae及び電極部13cの端縁13ceに沿って、外部電極13の一部と素体3の一部とを覆っている。電極部13b、電極部13e、及び主面3bは、絶縁膜I1で覆われていない。
絶縁膜I1は、端縁13aeと端縁13ceの一部(第一方向D1での主面3a寄りの部分)のみとに沿って、端縁13aeと端縁13ceの一部のみとを連続して覆っていると共に、主面3aと側面3cとを連続して覆っている。絶縁膜I1は、電極部13a上に位置している膜部分I1a、電極部13c上に位置している膜部分I1b、主面3a上に位置している膜部分I1c、及び側面3c上に位置している膜部分I1dを有している。各膜部分I1a,I1b,I1c,I1dは、一体的に形成されている。
電極部13aの表面は、端縁13aeに沿って絶縁膜I1(膜部分I1a)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。絶縁膜I1から露出している領域は、膜部分I1aで覆われている領域よりも端面3e寄りに位置している。電極部13cの表面は、端縁13ceに沿って絶縁膜I1(膜部分I1b)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。
主面3aは、端縁13aeに沿って絶縁膜I1(膜部分I1c)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。側面3cは、端縁13ceに沿って絶縁膜I1(膜部分I1d)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。
第2実施形態では、素体3の第一方向D1での長さL2に対する、膜部分I1bと膜部分I1dとの第一方向D1での各長さL11の比率(L11/L2)は、0.1以上0.4以下である。また、電極部13aの第三方向D3での長さL14に対する、膜部分I1aの第三方向D3での長さL13の比率(L13/L14)は、0.3以上である。
絶縁膜I2は、電極部15aの端縁15ae及び電極部15cの端縁15ceに沿って、外部電極15の一部と素体3の一部とを覆っている。電極部15b及び主面3bは、絶縁膜I2で覆われていない。
絶縁膜I2は、端縁15aeと端縁15ceの一部(第一方向D1での主面3a寄りの部分)のみとに沿って、端縁15aeと端縁15ceの一部のみとを連続して覆っていると共に、主面3aと側面3cとを連続して覆っている。絶縁膜I2は、電極部15a上に位置している膜部分I2a、電極部15c上に位置している膜部分I2b、主面3a上に位置している膜部分I2c、及び側面3c上に位置している膜部分I2dを有している。各膜部分I2a,I2b,I2c,I2dは、一体的に形成されている。
電極部15aの表面は、端縁15aeに沿って絶縁膜I2(膜部分I2a)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。電極部15cの表面は、端縁15ceに沿って絶縁膜I2(膜部分I2b)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。
主面3aは、端縁15aeに沿って絶縁膜I2(膜部分I2c)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。側面3cは、端縁15ceに沿って絶縁膜I2(膜部分I2d)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。
第2実施形態では、素体3の第一方向D1での長さL2に対する、膜部分I2bと膜部分I2dとの第一方向D1での各長さL21の比率(L21/L2)は、0.1以上0.4以下である。また、電極部15aの第二方向D2での長さL15に対する、膜部分I2aの第二方向D2での長さL23の比率(L23/L15)は、0.3以上である。
絶縁膜I1が、端縁13aeと端縁13ceの一部のみとを連続して覆っているので、はんだフィレットが、端縁13ae、及び、端縁13ceの一部(電極部13cにおける主面3aの近傍に位置する部分の端縁)に達することはない。絶縁膜I2が、端縁15aeと端縁15ceの一部のみとを連続して覆っているので、はんだフィレットが、端縁15ae、及び、端縁15ceの一部(電極部15cにおける主面3aの近傍に位置する部分の端縁)に達することはない。このため、はんだフィレットを通して積層貫通コンデンサC5に外力が作用する場合でも、端縁13ae,13ce,15ae,15ceに応力が集中し難く、端縁13ae,13ce,15ae,15ceがクラックの起点となり難い。したがって、積層貫通コンデンサC5では、クラックが素体3に発生するのが抑制される。
第2実施形態では、絶縁膜I1は、端縁13aeと端縁13ceの一部のみとに沿って、主面3aと側面3cとを連続して覆っているので、端縁13aeと端縁13ceの一部とが、絶縁膜I1によって確実に覆われる。絶縁膜I2は、端縁15aeと端縁15ceの一部のみとに沿って、主面3aと側面3cとを連続して覆っているので、端縁15aeと端縁15ceの一部とが、絶縁膜I2によって確実に覆われる。したがって、積層貫通コンデンサC5では、端縁13ae,13ce,15ae,15ceがより一層クラックの起点となり難い。
第2実施形態では、電極部13b全体が絶縁膜I1から露出しているので、電極部13bにはんだフィレットが形成される。また、電極部15cの表面が、絶縁膜I2から露出している領域を有しているので、当該領域にはんだフィレットが形成される。このため、積層貫通コンデンサC5の実装強度が確保される。
第2実施形態では、素体3の長さL2に対する、膜部分I1bと膜部分I1dとの各長さL11の比率(L11/L2)は、0.1以上0.4以下である。素体3の長さL2に対する、膜部分I2bと膜部分I2dとの各長さL21の比率(L21/L2)は、0.1以上0.4以下である。これら場合、クラックの発生を抑制する効果を確保しつつ、絶縁膜I1,I2のサイズが小さくされる。したがって、積層貫通コンデンサC5の低コストが図られる。
第2実施形態では、電極部13aの長さL14に対する、膜部分I1aの長さL13の比率(L13/L14)は、0.3以上である。電極部15aの長さL15に対する、膜部分I2aの長さL23の比率(L23/L15)は、0.3以上である。これらの場合、端縁13ae,15aeにより一層応力が集中し難いので、クラックが素体3に発生するのがより一層抑制される。
次に、図18〜図20を参照して、第2実施形態の変形例に係る積層貫通コンデンサC6の構成を説明する。図18及び図19は、本変形例に係る積層貫通コンデンサの平面図である。図20は、本変形例に係る積層貫通コンデンサの側面図である。
積層貫通コンデンサC6は、積層貫通コンデンサC5と同様に、素体3、一対の外部電極13、一対の外部電極15、複数の内部電極17(不図示)、及び複数の内部電極19(不図示)を備えている。積層貫通コンデンサC6では、絶縁膜I1,I2の形状が積層貫通コンデンサC5と相違している。
積層貫通コンデンサC6は、図18〜図20に示されるように、一対の絶縁膜I1を備えている。絶縁膜I1は、電極部13aの端縁13ae、電極部13bの端縁13be、及び電極部13cの端縁13ceに沿って、外部電極13の一部と素体3の一部とを覆っている。電極部13eは、絶縁膜I1で覆われていない。
絶縁膜I1は、端縁13ae、端縁13be、及び端縁13ceの全てに沿って、端縁13ae、端縁13be、及び端縁13ceを連続して覆っていると共に、主面3aと主面3bと側面3cとを連続して覆っている。絶縁膜I1は、電極部13a上に位置している膜部分I1a、電極部13c上に位置している膜部分I1b、主面3a上に位置している膜部分I1c、側面3c上に位置している膜部分I1d、電極部13b上に位置している膜部分I1e、及び主面3b上に位置している膜部分I1fを有している。各膜部分I1a,I1b,I1c,I1d,I1e,I1fは、一体的に形成されている。
電極部13aの表面は、端縁13aeに沿って絶縁膜I1(膜部分I1a)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。電極部13aの表面における絶縁膜I1から露出している領域は、膜部分I1aで覆われている領域よりも端面3e寄りに位置している。電極部13cの表面は、端縁13ceに沿って絶縁膜I1(膜部分I1b)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。電極部13cの表面における絶縁膜I1から露出している領域は、膜部分I1bで覆われている領域よりも端面3e寄りに位置している。電極部13bの表面は、端縁13beに沿って絶縁膜I1(膜部分I1e)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。電極部13bの表面における絶縁膜I1から露出している領域は、膜部分I1eで覆われている領域よりも端面3e寄りに位置している。
主面3aは、端縁13aeに沿って絶縁膜I1(膜部分I1c)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。側面3cは、端縁13ceに沿って絶縁膜I1(膜部分I1d)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。主面3bは、端縁13beに沿って絶縁膜I1(膜部分I1f)で覆われている領域と、絶縁膜I1から露出している領域とを有している。
積層貫通コンデンサC6は、図18〜図20に示されるように、一対の絶縁膜I2を備えている。絶縁膜I2は、電極部15aの端縁15ae、電極部15bの端縁15be、及び電極部15cの端縁15ceに沿って、外部電極15の一部と素体3の一部とを覆っている。
絶縁膜I2は、端縁15ae、端縁15be、及び端縁15ceの全てに沿って、端縁15ae、端縁15be、及び端縁15ceを連続して覆っていると共に、主面3aと主面3bと側面3cとを連続して覆っている。絶縁膜I2は、電極部15a上に位置している膜部分I2a、電極部15c上に位置している膜部分I2b、主面3a上に位置している膜部分I2c、側面3c上に位置している膜部分I2d、電極部15b上に位置している膜部分I2e、及び主面3b上に位置している膜部分I2fを有している。各膜部分I2a,I2b,I2c,I2d,I2e,I2fは、一体的に形成されている。
電極部15aの表面は、端縁15aeに沿って絶縁膜I2(膜部分I2a)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。電極部15cの表面は、端縁15ceに沿って絶縁膜I2(膜部分I2b)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。電極部15bの表面は、端縁15beに沿って絶縁膜I2(膜部分I2e)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。
主面3aは、端縁15aeに沿って絶縁膜I2(膜部分I2c)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。側面3cは、端縁15ceに沿って絶縁膜I2(膜部分I2d)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。主面3bは、端縁15beに沿って絶縁膜I2(膜部分I2f)で覆われている領域と、絶縁膜I2から露出している領域とを有している。
電極部13bの第三方向D3での長さL17に対して、膜部分I2eの第三方向D3での長さL16の比率(L16/L17)は、0.3以上である。本変形例では、長さL16は長さL13と同等であり、長さL17は長さL14と同等である。
電極部15bの第二方向D2での長さL18に対する、膜部分I2aの第二方向D2での長さL25の比率(L25/L18)は、0.3以上である。本変形例では、長さL18は長さL15と同等であり、長さL25は長さL23と同等である。
本変形例では、絶縁膜I1が、端縁13ae、端縁13be、及び端縁13ceの全てを連続して覆っていると共に、絶縁膜I2が、端縁15ae、端縁15be、及び端縁15ceの全てを連続して覆っているので、クラックが素体3に発生するのが確実に抑制される。
絶縁膜I1は、端縁13ae、端縁13be、及び端縁13ceの全てに沿って、主面3a、主面3b、及び側面3cを連続して覆っているので、端縁13ae、端縁13be、及び端縁13ceの全てが、絶縁膜I1によって確実に覆われる。絶縁膜I2は、端縁15ae、端縁15be、及び端縁15ceの全てに沿って、主面3a、主面3b、及び側面3cを連続して覆っているので、端縁15ae、端縁15be、及び端縁15ceの全てが、絶縁膜I2によって確実に覆われる。このため、端縁13ae、端縁13ce、端縁15ae、及び端縁15ceがより一層クラックの起点となり難い。
積層貫通コンデンサC6は、主面3aを実装面として実装することも、主面3bを実装面として実装することも、可能となる。したがって、積層貫通コンデンサC6を実装する際の方向性がなくなり、実装の作業性が向上する。
(第3実施形態)
図21〜図23を参照して、第3実施形態に係る積層コンデンサC7の構成を説明する。図21及び図22は、第3実施形態に係る積層コンデンサの平面図である。図23は、第3実施形態に係る積層コンデンサの側面図である。第3実施形態では、電子部品として積層コンデンサC7を例に説明する。
積層コンデンサC7は、素体3と、複数の外部電極21と、複数の内部電極(不図示)を有している。複数の外部電極21は、素体3の外表面に配置されており、互いに離間している。本実施形態では、積層コンデンサC7は、八つの外部電極21を有している。外部電極21の数は、八つに限られない。
各外部電極21は、主面3a上に配置されている電極部21a、主面3b上に配置されている電極部21b、及び側面3c上に配置されている電極部21c、を有している。外部電極21は、一対の主面3a,3b、及び、一つの側面3cの三つの面に形成されている。互いに隣り合う電極部21a,21b,21c同士は、素体3の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
側面3cに配置されている電極部21cは、対応する内部電極の側面3cに露出した端部をすべて覆っている。電極部21cは、対応する内部電極と直接的に接続されている。外部電極21は、対応する内部電極と電気的に接続されている。
外部電極21は、外部電極5,13,15と同じく、焼結金属層を有している。外部電極21も、焼結金属層上に形成されるめっき層を有していてもよい。
積層コンデンサC7も、電子機器に、はんだ実装される。積層コンデンサC7では、主面3aが、電子機器に対向する実装面とされる。
積層コンデンサC7は、図21〜図23に示されるように、複数の絶縁膜I3を備えている。絶縁膜I3は、絶縁膜I,I1,I2と同じく、電気絶縁性を有する材料(たとえば、絶縁性樹脂又はガラスなど)からなる。本実施形態では、絶縁膜I3は、絶縁膜I,I1,I2と同じく、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂からなる。
絶縁膜I3は、電極部21aの端縁21ae及び電極部21cの端縁21ceに沿って、外部電極21の一部と素体3の一部とを覆っている。電極部21b、主面3b、及び一対の端面3eは、絶縁膜I3で覆われていない。
絶縁膜I3は、端縁21aeと端縁21ceの一部(第一方向D1での主面3a寄りの部分)のみとに沿って、端縁21aeと端縁21ceの一部のみとを連続して覆っていると共に、主面3aと側面3cとを連続して覆っている。絶縁膜I3は、電極部21a上に位置している膜部分I3a、電極部21c上に位置している膜部分I3b、主面3a上に位置している膜部分I3c、及び側面3c上に位置している膜部分I3dを有している。各膜部分I3a,I3b,I3c,I3dは、一体的に形成されている。
電極部21aの表面は、端縁21aeに沿って絶縁膜I3(膜部分I3a)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。電極部21cの表面は、端縁21ceに沿って絶縁膜I3(膜部分I3b)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。
主面3aは、端縁21aeに沿って絶縁膜I3(膜部分I3c)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。側面3cは、端縁21ceに沿って絶縁膜I3(膜部分I3d)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。
第3実施形態では、素体3の第一方向D1での長さL2に対する、膜部分I3bの第一方向D1での各長さL31の比率(L31/L2)は、0.1以上0.4以下である。また、電極部21aの第二方向D2での長さL33に対する、膜部分I3aの第二方向D2での長さL32の比率(L32/L33)は、0.3以上である。
絶縁膜I3が、端縁21aeと端縁21ceの一部のみとを連続して覆っているので、はんだフィレットが、端縁21ae、及び、端縁21ceの一部(電極部21cにおける主面3aの近傍に位置する部分の端縁)に達することはない。このため、はんだフィレットを通して積層コンデンサC7に外力が作用する場合でも、端縁21ae,21ceに応力が集中し難く、端縁21ae,21ceがクラックの起点となり難い。したがって、積層コンデンサC7では、クラックが素体3に発生するのが抑制される。
第3実施形態では、絶縁膜I3は、端縁21aeと端縁21ceの一部のみとに沿って、主面3aと側面3cとを連続して覆っているので、端縁21aeと端縁21ceの一部とが、絶縁膜I3によって確実に覆われる。したがって、積層コンデンサC7では、端縁21ae,21ceがより一層クラックの起点となり難い。
第3実施形態では、電極部21cの表面が、絶縁膜I3から露出している領域を有しているので、当該領域にはんだフィレットが形成される。このため、積層コンデンサC7の実装強度が確保される。
第3実施形態では、素体3の長さL2に対する、膜部分I3bの長さL31の比率(L31/L2)は、0.1以上0.4以下である。この場合、クラックの発生を抑制する効果を確保しつつ、絶縁膜I3のサイズが小さくされる。したがって、積層コンデンサC7の低コストが図られる。
第3実施形態では、電極部21aの長さL33に対する、膜部分I3aの長さL32の比率(L32/L33)は、0.3以上である。この場合、端縁21aeにより一層応力が集中し難いので、クラックが素体3に発生するのがより一層抑制される。
次に、図24〜図26を参照して、第3実施形態の変形例に係る積層コンデンサC8の構成を説明する。図24及び図25は、本変形例に係る積層コンデンサの平面図である。図26は、本変形例に係る積層コンデンサの側面図である。
積層コンデンサC8は、積層コンデンサC7と同様に、素体3、複数の外部電極21、複数の内部電極(不図示)を備えている。積層コンデンサC8では、絶縁膜I3の形状が積層コンデンサC7と相違している。
積層コンデンサC8は、図24〜図26に示されるように、複数の絶縁膜I3を備えている。絶縁膜I3は、電極部21aの端縁21ae、電極部21bの端縁21be、及び電極部21cの端縁21ceに沿って、外部電極21の一部と素体3の一部とを覆っている。
絶縁膜I3は、端縁21ae、端縁21be、及び端縁21ceの全てに沿って、端縁21ae、端縁21be、及び端縁21ceを連続して覆っていると共に、主面3aと主面3bと側面3cとを連続して覆っている。絶縁膜I3は、電極部21a上に位置している膜部分I3a、電極部21c上に位置している膜部分I3b、主面3a上に位置している膜部分I3c、側面3c上に位置している膜部分I3d、電極部21b上に位置している膜部分I3e、及び主面3b上に位置している膜部分I3fを有している。各膜部分I3a,I3b,I3c,I3d,I3e,I3fは、一体的に形成されている。
電極部21aの表面は、端縁21aeに沿って絶縁膜I3(膜部分I3a)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。電極部21cの表面は、端縁21ceに沿って絶縁膜I3(膜部分I3b)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。電極部21bの表面は、端縁21beに沿って絶縁膜I3(膜部分I3e)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。
主面3aは、端縁21aeに沿って絶縁膜I3(膜部分I3c)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。側面3cは、端縁21ceに沿って絶縁膜I3(膜部分I3d)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。主面3bは、端縁21beに沿って絶縁膜I3(膜部分I3f)で覆われている領域と、絶縁膜I3から露出している領域とを有している。
電極部21bの第二方向D2での長さL36に対する、膜部分I3aの第二方向D2での長さL35の比率(L35/L36)は、0.3以上である。本変形例では、長さL35は長さL32と同等であり、長さL36は長さL33と同等である。
本変形例では、絶縁膜I3が、端縁21ae、端縁21be、及び端縁21ceの全てを連続して覆っているので、クラックが素体3に発生するのが確実に抑制される。絶縁膜I3は、端縁21ae、端縁21be、及び端縁21ceの全てに沿って、主面3a、主面3b、及び側面3cを連続して覆っているので、端縁21ae、端縁21be、及び端縁21ceの全てが、絶縁膜I3によって確実に覆われる。このため、端縁21ae、端縁21ce、端縁21ae、及び端縁21ceがより一層クラックの起点となり難い。
積層コンデンサC8は、主面3aを実装面として実装することも、主面3bを実装面として実装することも、可能となる。したがって、積層コンデンサC8を実装する際の方向性がなくなり、実装の作業性が向上する。
次に、図27〜図29を参照して、第3実施形態の変形例に係る積層コンデンサC9の構成を説明する。図27及び図28は、本変形例に係る積層コンデンサの平面図である。図29は、本変形例に係る積層コンデンサの側面図である。
積層コンデンサC9は、積層コンデンサC7,C8と同様に、素体3、複数の外部電極21、複数の内部電極(不図示)を備えている。積層コンデンサC9では、絶縁膜I4を更に備えている点で積層コンデンサC7と相違している。
積層コンデンサC9は、図28及び図29に示されるように、複数の絶縁膜I4を備えている。絶縁膜I4は、絶縁膜I,I1,I2,I3と同じく、電気絶縁性を有する材料(たとえば、絶縁性樹脂又はガラスなど)からなる。本実施形態では、絶縁膜I4は、絶縁膜I,I1,I2,I3と同じく、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂からなる。
絶縁膜I4は、電極部21bの端縁21be及び電極部21cの端縁21ceに沿って、外部電極21の一部と素体3の一部とを覆っている。電極部21a、主面3a、及び一対の端面3eは、絶縁膜I4で覆われていない。
絶縁膜I4は、端縁21beと端縁21ceの一部(第一方向D1での主面3b寄りの部分)のみとに沿って、端縁21beと端縁21ceの一部のみとを連続して覆っていると共に、主面3bと側面3cとを連続して覆っている。絶縁膜I4は、電極部21b上に位置している膜部分I4a、電極部21c上に位置している膜部分I4b、主面3b上に位置している膜部分I4c、及び側面3c上に位置している膜部分I4dを有している。各膜部分I4a,I4b,I4c,I4dは、一体的に形成されている。
電極部21bの表面は、端縁21beに沿って絶縁膜I4(膜部分I4a)で覆われている領域と、絶縁膜I4から露出している領域とを有している。電極部21cの表面は、端縁21ceに沿って絶縁膜I4(膜部分I4b)で覆われている領域と、絶縁膜I4から露出している領域とを有している。
主面3bは、端縁21beに沿って絶縁膜I4(膜部分I4c)で覆われている領域と、絶縁膜I4から露出している領域とを有している。側面3cは、端縁21ceに沿って絶縁膜I4(膜部分I4d)で覆われている領域と、絶縁膜I4から露出している領域とを有している。
本変形例では、素体3の第一方向D1での長さL2に対する、膜部分I4bの第一方向D1での各長さL37の比率(L37/L2)は、0.1以上0.4以下である。また、電極部21bの第二方向D2での長さL39に対する、膜部分I4aの第二方向D2での長さL38の比率(L38/L39)は、0.3以上である。
積層コンデンサC9も、主面3aを実装面として実装することも、主面3bを実装面として実装することも、可能となる。したがって、積層コンデンサC9を実装する際の方向性がなくなり、実装の作業性が向上する。
主面3bが実装面とされた場合でも、絶縁膜I4が、端縁21beと端縁21ceの一部のみとを連続して覆っているので、はんだフィレットが、端縁21be、及び、端縁21ceの一部(電極部21cにおける主面3bの近傍に位置する部分の端縁)に達することはない。このため、はんだフィレットを通して積層コンデンサC9に外力が作用する場合でも、端縁21be,21ceに応力が集中し難く、端縁21be,21ceがクラックの起点となり難い。したがって、積層コンデンサC9では、クラックが素体3に発生するのが抑制される。
本変形例では、絶縁膜I4は、端縁21beと端縁21ceの一部のみとに沿って、主面3bと側面3cとを連続して覆っているので、端縁21beと端縁21ceの一部とが、絶縁膜I4によって確実に覆われる。したがって、積層コンデンサC9では、端縁21be,21ceがより一層クラックの起点となり難い。
本変形例では、電極部21cの表面が、絶縁膜I4から露出している領域を有しているので、当該領域にはんだフィレットが形成される。このため、積層コンデンサC9の実装強度が確保される。
本変形例では、素体3の長さL2に対する、膜部分I4bの長さL37の比率(L37/L2)は、0.1以上0.4以下である。この場合、クラックの発生を抑制する効果を確保しつつ、絶縁膜I4のサイズが小さくされる。したがって、積層コンデンサC9の低コストが図られる。
本変形例では、電極部21bの長さL39に対する、膜部分I4aの長さL38の比率(L38/L39)は、0.3以上である。この場合、端縁21beにより一層応力が集中し難いので、クラックが素体3に発生するのがより一層抑制される。
次に、図30〜図38を参照して、積層コンデンサC7,C8,C9の変形例の構成を説明する。図30、図31、図33、図34、図36、及び図27は、本変形例に係る積層コンデンサの平面図である。図32、図35、及び図38は、本変形例に係る積層コンデンサの側面図である。
図30〜図38に示されるように、積層コンデンサC7,C8,C9では、絶縁膜I3,I4の間の領域が、絶縁膜I3,I4と同じ電気絶縁性を有する材料(本変形例では、絶縁性樹脂)で覆われていてもよい。図30〜図32に示されるように、積層コンデンサC7の変形例では、主面3a全体が、電気絶縁性を有する材料で覆われている。図33〜図35に示されるように、積層コンデンサC8の変形例では、素体3の外表面のうち外部電極21から露出している領域全体が、電気絶縁性を有する材料で覆われている。図36〜図38に示されるように、積層コンデンサC9の変形例では、主面3a全体と主面3b全体とが、電気絶縁性を有する材料で覆われている。
(第4実施形態)
図39及び図40を参照して、第4実施形態に係る積層コンデンサC10の構成を説明する。図39は、第4実施形態に係る積層コンデンサの平面図である。図40は、第4実施形態に係る積層コンデンサの側面図である。第4実施形態でも、電子部品として積層コンデンサC10を例に説明する。
積層コンデンサC10は、素体3と、複数の外部電極31と、複数の内部電極(不図示)を有している。複数の外部電極31は、素体3の外表面に配置されており、互いに離間している。本実施形態では、積層コンデンサC10は、四つの外部電極31を有している。
素体3の第一方向D1での長さが、素体3の第二方向D2での長さより小さく、かつ、素体3の第三方向D3での長さより小さい。素体3の第二方向D2での長さと、素体3の第三方向D3での長さは同等である。
各外部電極31は、素体3の各角部に配置されている。各外部電極31は、主面3a上に配置されている電極部31a、主面3b上に配置されている電極部31b、及び側面3c上及び端面3e上に配置されている電極部31cを有している。外部電極31は、一対の主面3a,3b、一つの側面3c、及び一つの端面3eの四つの面に形成されている。互いに隣り合う電極部31a,31b,31c同士は、素体3の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
側面3c及び端面3eに配置されている電極部31cは、対応する内部電極の側面3c及び端面3eに露出した端部をすべて覆っている。電極部31cは、対応する内部電極と直接的に接続されている。外部電極31は、対応する内部電極と電気的に接続されている。
外部電極31は、外部電極5,13,15,21と同じく、焼結金属層を有している。外部電極31も、焼結金属層上に形成されるめっき層を有していてもよい。
積層コンデンサC10も、電子機器に、はんだ実装される。積層コンデンサC10では、主面3aが、電子機器に対向する実装面とされる。
積層コンデンサC10は、図39及び図40に示されるように、複数の絶縁膜I5を備えている。絶縁膜I5は、絶縁膜I,I1,I2,I3,I4と同じく、電気絶縁性を有する材料(たとえば、絶縁性樹脂又はガラスなど)からなる。本実施形態では、絶縁膜I5は、絶縁膜I,I1,I2,I3,I4と同じく、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂からなる。
絶縁膜I5は、電極部31aの端縁31ae、及び、電極部31cの端縁31ceに沿って、外部電極31の一部と素体3の一部とを覆っている。電極部31b及び主面3bは、絶縁膜I5で覆われていない。
絶縁膜I5は、端縁31aeと、端縁31ceの一部(第一方向D1での主面3a寄りの部分)のみとに沿って、端縁31aeと端縁31ceの一部のみとを連続して覆っていると共に、主面3aと側面3cと端面3eとを連続して覆っている。絶縁膜I5は、電極部31a上に位置している膜部分I5a、電極部31c上に位置している膜部分I5b、主面3a上に位置している膜部分I5c、及び側面3c上及び端面3e上に位置している膜部分I5dを有している。各膜部分I5a,I5b,I5c,I5dは、一体的に形成されている。
電極部31aの表面は、端縁31aeに沿って絶縁膜I5(膜部分I5a)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。電極部31cの表面は、端縁31ceに沿って絶縁膜I5(膜部分I5b)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。
主面3aは、端縁31aeに沿って絶縁膜I5(膜部分I5d)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。側面3c及び端面3eは、端縁31ceに沿って絶縁膜I5(膜部分I5e)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。
絶縁膜I5が、端縁31aeと端縁31ceの一部のみとを連続して覆っているので、はんだフィレットが、端縁31ae及び端縁31ceの一部(電極部31cにおける主面3aの近傍に位置する部分の端縁)に達することはない。このため、はんだフィレットを通して積層コンデンサC10に外力が作用する場合でも、端縁31ae,31ceに応力が集中し難く、端縁31ae,31ceがクラックの起点となり難い。したがって、積層コンデンサC10では、クラックが素体3に発生するのが抑制される。
第4実施形態では、絶縁膜I5は、端縁31aeと端縁31ceの一部のみとに沿って、主面3aと側面3cと端面3eを連続して覆っているので、端縁31aeと端縁31ceの一部とが、絶縁膜I3によって確実に覆われる。したがって、積層コンデンサC7では、端縁31ae,31ceがより一層クラックの起点となり難い。
第3実施形態では、電極部31cの表面が、絶縁膜I5から露出している領域を有しているので、当該領域にはんだフィレットが形成される。このため、積層コンデンサC10の実装強度が確保される。
第4実施形態では、素体3の第一方向D1での長さL2に対する、膜部分I5b,I5dの第一方向D1での各長さL41の比率(L41/L2)は、0.1以上0.4以下である。この場合、クラックの発生を抑制する効果を確保しつつ、絶縁膜I5のサイズが小さくされる。したがって、積層コンデンサC10の低コストが図られる。
次に、図41〜図43を参照して、第4実施形態の変形例に係る積層コンデンサC11の構成を説明する。図41及び図42は、本変形例に係る積層コンデンサの平面図である。図43は、本変形例に係る積層コンデンサの側面図である。
積層コンデンサC11は、積層コンデンサC10と同様に、素体3、複数の外部電極31、複数の内部電極(不図示)を備えている。積層コンデンサC11では、絶縁膜I5の形状が積層コンデンサC10と相違している。
積層コンデンサC11は、図41〜図43に示されるように、複数の絶縁膜I5を備えている。絶縁膜I5は、電極部31aの端縁31ae、電極部31cの端縁31ce、及び電極部31bの端縁31beに沿って、外部電極31の一部と素体3の一部とを覆っている。
絶縁膜I5は、端縁31ae、端縁31be、及び端縁31ceの全てに沿って、端縁31ae、端縁31be、及び端縁31ceを連続して覆っていると共に、主面3aと主面3bと側面3cと端面3eを連続して覆っている。絶縁膜I5は、電極部31a上に位置している膜部分I5a、電極部31c上に位置している膜部分I5b、主面3a上に位置している膜部分I5c、側面3c及び端面3e上に位置している膜部分I5d、電極部31b上に位置している膜部分I5e、及び主面3b上に位置している膜部分I5fを有している。各膜部分I5a,I5b,I5c,I5d,I5e,I5fは、一体的に形成されている。
電極部31aの表面は、端縁31aeに沿って絶縁膜I5(膜部分I5a)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。電極部31cの表面は、端縁31ceに沿って絶縁膜I5(膜部分I5b)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。電極部31bの表面は、端縁31beに沿って絶縁膜I5(膜部分I5e)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。
主面3aは、端縁31aeに沿って絶縁膜I5(膜部分I5c)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。側面3c及び端面3eは、端縁31ceに沿って絶縁膜I5(膜部分I5d)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。主面3bは、端縁31beに沿って絶縁膜I5(膜部分I5f)で覆われている領域と、絶縁膜I5から露出している領域とを有している。
本変形例では、絶縁膜I5が、端縁31ae、端縁31be、及び端縁31ceの全てを連続して覆っているので、クラックが素体3に発生するのが確実に抑制される。絶縁膜I5は、端縁31ae、端縁31be、及び端縁31ceの全てに沿って、主面3a、主面3b、側面3c、及び端面3eを連続して覆っているので、端縁31ae、端縁31be、及び端縁31ceの全てが、絶縁膜I5によって確実に覆われる。このため、端縁31ae、端縁31be、及び端縁31ceがより一層クラックの起点となり難い。
積層コンデンサC11は、主面3aを実装面として実装することも、主面3bを実装面として実装することも、可能となる。したがって、積層コンデンサC11を実装する際の方向性がなくなり、実装の作業性が向上する。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
積層コンデンサC2,C4,C11及び積層貫通コンデンサC6では、絶縁膜I,I1,I2,I5は、図27〜図29に示された積層コンデンサC9のように、第一方向D1で二つの部分に分かれていてもよい。すなわち、絶縁膜I,I1,I2,I5は、主面3a寄りに位置している部分と、主面3b寄りに位置している部分と、に分かれていてもよい。
積層コンデンサC1〜C4,C10,C11及び積層貫通コンデンサC5,C6では、図30〜図38に示された積層コンデンサC7〜C9のように、絶縁膜I,I1,I2,I5の間の領域が、絶縁膜I,I1,I2,I5と同じ電気絶縁性を有する材料(たとえば、絶縁性樹脂)で覆われていてもよい。
図30〜図38に示された積層コンデンサC7,C8,C9では、端面3eが絶縁膜I3,I4で覆われていなくてもよい。すなわち、端面3e全体が絶縁膜I3,I4から露出していてもよい。
本実施形態では、電子部品として積層コンデンサC1〜C4,C7〜C11及び積層貫通コンデンサC5,C6を例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コンデンサ及び積層貫通コンデンサに限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。