本発明は、以下に説明する複数の発明を包含する発明群に属する発明であり、以下に、その発明群の実施の形態として、第1ないし第3の実施の形態について説明するが、そのうち、第3の実施の形態が、本出願人が特許請求の範囲に記載した発明に対応するものである。
以下、本発明の実施の形態に係るホイール式建設機械の代表例として、ホイール式油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図7に従って詳細に説明する。まず、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示している。
図1において、ホイール式油圧ショベル1は、後述する左,右の前車輪15および左,右の後車輪16を有する自走可能なホイール式の下部走行体2と、旋回輪3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられたフロント装置5とにより構成されている。フロント装置5は、ブーム5A、アーム5B、バケット5C、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5F等を含んで構成され、土砂の掘削作業等を行うものである。
上部旋回体4は、後述のシャーシ11上に旋回輪3を介して旋回可能に取付けられた旋回フレーム6を有している。旋回フレーム6は上部旋回体4のベースとなるもので、強固な支持構造体として形成されている。旋回フレーム6の左前側には、運転室を画成するキャブ7が設けられ、旋回フレーム6の後端側には、フロント装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト8が設けられている。
カウンタウエイト8の左,右両側の下側位置には、ホイール式油圧ショベル1が公道を走行するために必要となるテールランプ装置9が設けられている。このテールランプ装置9は、例えばストップランプ(停止灯)、バックアップランプ(後退灯)、ターンシグナルランプ(方向指示灯)等を含んで構成されている。また、カウンタウエイト8の前側には、油圧ポンプを駆動するエンジンが設けられ、これらエンジン、油圧ポンプ等の搭載機器(いずれも図示せず)は外装カバー10によって覆われている。
次に、ホイール式油圧ショベル1の下部走行体2を構成するシャーシ11、左,右の前車輪15、左,右の後車輪16、左,右の前フェンダ17、左,右の後フェンダ18について説明する。
シャーシ11は、下部走行体2のベースを構成するものである。シャーシ11は、前,後方向に水平に延びる上面板11Aと、上面板11Aと上,下方向で対面する下面板(図示せず)と、上面板11Aと下面板との間に配置され左,右方向で対面する左,右の側面板11B(左側のみ図示)とによって囲まれた断面四角形のボックス構造体として形成されている。上面板11Aの前,後方向(長さ方向)の中央部には、大径な円筒状の丸胴11Cが設けられ、この丸胴11C上に旋回輪3が取付けられる構成となっている。
シャーシ11の前端には、シャーシ11の長さ方向と直交する方向に延びる長方形状の前端面板11Dが設けられ、この前端面板11Dがシャーシ11の前側の端面位置となっている。シャーシ11の後端には、前端面板11Dと前,後方向で対面する長方形状の後端面板11Eが設けられ、この後端面板11Eがシャーシ11の後側の端面位置となっている。シャーシ11の前端面板11Dには、例えばバケットホルダ12が取付けられている(図1参照)。バケットホルダ12は、ホイール式油圧ショベル1の走行時にフロント装置5のバケット5Cを保持するものである。一方、シャーシ11の後端面板11Eには後述の排土装置20が設けられている。
シャーシ11の左,右の側面板11Bには、それぞれ前フェンダ取付部材11Fと後フェンダ取付部材11Gとが前,後方向に離間して設けられている(左側のみ図示)。前フェンダ取付部材11Fは、側面板11Bの長さ方向の中央部よりも前側(前端面板11D側)に配置され、後述の前フェンダ17が取付けられる。前フェンダ取付部材11Fは、前車輪15と同等な左,右方向の幅寸法を有する板体からなり、ボルト等を用いてシャーシ11の側面板11Bに取付けられ、前端から後端に向けて斜め下向きに傾斜しつつ側面板11Bから外側に突出している。
後フェンダ取付部材11Gは、側面板11Bの長さ方向の中央部よりも後側(後端面板11E側)に配置され、後述の後フェンダ18が取付けられる。後フェンダ取付部材11Gは、後車輪16と同等な左,右方向の幅寸法を有する板体からなり、ボルト等を用いてシャーシ11の側面板11Bに取付けられ、後端から前端に向けて斜め下向きに傾斜しつつ側面板11Bから外側に突出している。
前フェンダ取付部材11Fと後フェンダ取付部材11Gとの間には、乗降ステップ13と工具箱14が設けられている。乗降ステップ13は、オペレータがキャブ7(上部旋回体4)と地上との間を乗降するときの足場を形成するものである。工具箱14は、前フェンダ取付部材11Fと後フェンダ取付部材11Gとの間を前,後方向に延びる箱体からなり、工具類を収容するものである。
左,右の前車輪15は、シャーシ11の前端面板11Dの近傍となる前部位置に設けられている。即ち、左,右の前車輪15は、シャーシ11の前側に左,右方向に延びて設けられたフロントアクスル(図示せず)の先端に取付けられている。左,右の後車輪16は、シャーシ11の後端面板11Eの近傍となる後部位置に設けられている。即ち、左,右の後車輪16は、シャーシ11の後側に左,右方向に延びて設けられたリヤアクスル(図示せず)の先端に取付けられている。左,右の前車輪15および左,右の後車輪16は、シャーシ11に搭載された油圧モータ(図示せず)を動力源として回転駆動(4輪駆動)される。また、左,右の前車輪15は、キャブ7内に設けられたハンドル(図示せず)の回転操作に応じてステアリング操作される。
左,右の前フェンダ17は、左,右の前車輪15の上側を覆うようにシャーシ11の左,右の側面板11Bにそれぞれ設けられている(左側のみ図示)。前フェンダ17は、シャーシ11の側面板11Bおよび前フェンダ取付部材11Fに取付けられ、前フェンダ取付部材11Fの前端から前方に張出している(図1参照)。前フェンダ17は、前車輪15と同等な左,右方向の幅寸法を有する板体からなり、前フェンダ17の基端17Aは、前フェンダ取付部材11Fを介してシャーシ11に固定された固定端となり、前フェンダ17の先端は自由端17Bとなっている。前フェンダ17と前フェンダ取付部材11Fとは、側面板11Bから外側に突出した状態で前車輪15の上方から後方に亘る範囲を覆うことにより、前車輪15によって跳上げられた泥が乗降ステップ13、工具箱14等に飛散するのを抑えるものである。
左,右の後フェンダ18は、左,右の後車輪16の上側を覆うようにシャーシ11の左,右の側面板11Bにそれぞれ設けられている。後フェンダ18は、シャーシ11の側面板11Bおよび後フェンダ取付部材11Gに取付けられ、後フェンダ取付部材11Gの後端から後方に張出している。図2および図3に示すように、後フェンダ18は、後車輪16と同等な左,右方向の幅寸法を有する板体からなり、前,後方向に水平に延びる水平板部18Aと、水平板部18Aの後端から下向きに傾斜しつつ後方に延びる傾斜板部18Bとを含んで構成されている。
後フェンダ18(水平板部18A)の基端18Cは、複数のボルト19を用いて後フェンダ取付部材11Gに固定された固定端となっている。後フェンダ18(傾斜板部18B)の先端は自由端18Dとなり、後フェンダ18の自由端18D側には、裏ナット等を用いた複数(例えば3個)の雌ねじ孔18Eが設けられ、後述のマッドガード取付板25が取付けられる構成となっている。そして、後フェンダ18と後フェンダ取付部材11Gとは、側面板11Bから外側に突出した状態で後車輪16の前方から上方に亘る範囲を覆うことにより、後車輪16によって跳上げられた泥が上部旋回体4等に飛散するのを抑えるものである。
次に、ホイール式油圧ショベル1の下部走行体2に設けられた排土装置20について説明する。
排土装置20は、左,右の後フェンダ18側に位置してシャーシ11の後端面板11Eに設けられている。排土装置20は、後述するリンク機構21と、排土板23と、排土シリンダ(図示せず)とを含んで構成され、排土板23を用いて排土作業、地均し作業等を行うものである。なお、排土装置20は、排土作業等を行うときに上部旋回体4を前,後で反転させることにより、進行方向の前側に配置されるのが一般的である。
排土装置20のリンク機構21は、シャーシ11の後端面板11Eと排土板23との間に設けられている。リンク機構21は、シャーシ11の後端面板11Eに取付けられ上,下方向に延びたシャーシ側ブラケット21Aと、排土板23に取付けられ上,下方向に延びた排土板側ブラケット21Bと、一端がシャーシ側ブラケット21Aの上,下方向の中間部位に回動可能にピン結合されると共に他端が排土板側ブラケット21Bの上側部位に回動可能にピン結合された左,右の上リンク21C(左側のみ図示)と、各上リンク21Cの下側に配置され、一端がシャーシ側ブラケット21Aの下側部位に回動可能にピン結合されると共に他端が排土板側ブラケット21Bの下側部位に回動可能にピン結合されたた左,右の下リンク21D(左側のみ図示)とを含んで構成されている。リンク機構21の各上リンク21Cと各下リンク21Dとは平行リンクを構成している。
リンク機構21を構成するシャーシ側ブラケット21Aの上側部位には、油圧シリンダからなる排土シリンダ(図示せず)の一端側(例えばボトム側)が回動可能にピン結合され、排土シリンダの他端側(例えばロッド側)は、各下リンク21Dに回動可能にピン結合されている。従って、排土シリンダを伸縮させることにより、平行リンクを構成する各上リンク21Cおよび下リンク21Dの他端が上,下方向に回動し、排土板側ブラケット21Bは、地面に対してほぼ垂直な姿勢を保った状態で排土板23と一緒に昇降する構成となっている。リンク機構21の上側には排土装置カバー22が設けられ、この排土装置カバー22によって、リンク機構21および排土シリンダが上側から覆われている。
排土板23は、シャーシ11の後フェンダ取付部材11Gにリンク機構21を介して取付けられている。排土板23は、左,右方向に長尺で上,下方向に立上る長方形状の板状に形成され、リンク機構21により排土シリンダの伸縮動作に応じて上,下方向に昇降する。即ち、排土板23は、排土作業および地均し作業等を行うために下側に配置された作業位置(図5の位置)と、道路を走行するために上側に配置された格納位置(図4の位置)との間で移動する。
ここで、排土板23は、左,右方向に延びる長方形の平板状の底板23Aと、底板23Aと上,下方向で間隔をもって対面する長方形の平板状の上板23Bと、上,下方向に立上ると共に左,右方向に長尺な板体からなり底板23Aおよび上板23Bの後端に固着された表板23Cと、表板23Cと前,後方向で対面した状態で底板23Aおよび上板23Bの前端に固着され、リンク機構21の排土板側ブラケット21Bが取付けられる裏板23Dと、これら底板23A、上板23B、表板23Cおよび裏板23Dの左,右の側端部に固着され上,下方向に延びる左,右の側板23E,23Fとにより構成されている。
ここで、排土板23の上板23Bには、断面L字状に屈曲した板体からなる複数(例えば4個)の係合部材24が、上板23Bから上方に向けて突設されている。各係合部材24は、上板23Bのうち左側板23E側に寄った位置に左,右方向で対をなして2個設けられると共に、上板23Bのうち右側板23F側に寄った位置に左,右方向で対をなして2個設けられている。これら各係合部材24は、上板23Bに溶接等の手段を用いて固着された固定部24Aと、固定部24Aの上端から後方に屈曲した屈曲部24Bとを有している。各係合部材24の屈曲部24Bは、後述するマッドガード27の係合孔27Dに係合するものである。
次に、左,右の後フェンダ18の自由端18Dに設けられた左,右のマッドガード取付板25と、左,右の後車輪16と排土板23との間に設けられた左,右のマッドガード27について説明する。
左,右のマッドガード取付板25は、左,右の後フェンダ18の自由端18Dにそれぞれ設けられている。左,右のマッドガード取付板25は同一形状を有している。図3に示すように、マッドガード取付板25は、後フェンダ18の左,右方向の幅寸法と同等の長さ寸法をもって左,右方向に延びる長方形の板体により形成されている。
ここで、マッドガード取付板25は、後フェンダ18の傾斜板部18Bに取付けられる傾斜板部25Aと、傾斜板部25Aの下端から鉛直下向きに折曲げられ、マッドガード27が取付けられる折曲板部25Bとにより構成されている。傾斜板部25Aには後フェンダ18の各雌ねじ孔18Eに対応する複数(例えば3個)のボルト挿通孔25Cが設けられ、各ボルト挿通孔25Cに挿通したボルト26を後フェンダ18の各雌ねじ孔18Eに螺着することにより、マッドガード取付板25が、後フェンダ18の自由端18Dに取付けられている。また、折曲板部25Bには、裏ナット等を用いて形成された複数(例えば3個)の雌ねじ孔25Dが左,右方向に間隔をもって形成されている。
左,右のマッドガード27は、左,右の後車輪16と排土板23との間にそれぞれ設けられている。左,右のマッドガード27は、ホイール式油圧ショベル1の走行時に後車輪16によって跳上げられた泥が、上部旋回体4側に飛散するのを防ぐものである。左,右のマッドガード27は同一形状を有し、左側のマッドガード27は、左側の後フェンダ18の自由端18Dと排土板23の上板23B(左側板23E側の部位)との間に設けられ、右側のマッドガード27は、右側の後フェンダ18の自由端18Dと排土板23の上板23B(右側板23F側の部位)との間に設けられている。
図3に示すように、マッドガード27は、例えばゴム等の樹脂材料を用いて形成された柔軟性を有する樹脂製シートにより構成されている。マッドガード27は、後フェンダ18の左,右方向の幅寸法と同等の幅寸法を有し、前,後方向が長尺な長方形の平板状に形成されている。マッドガード27の長さ方向(前,後方向)の基端27Aには、マッドガード取付板25の各雌ねじ孔25Dに対応する複数(例えば3個)のボルト挿通孔27Bが形成されている。一方、マッドガード27の長さ方向の先端27Cには、左,右方向に間隔をもって一対の係合孔27Dが設けられている。これら一対の係合孔27Dは左,右方向に延びる長方形の長孔からなり、排土板23の上板23Bに設けられた一対の係合部材24に係合するものである。
押え板28は、マッドガード27の基端27Aを挟んでマッドガード取付板25に取付けられている。押え板28は、マッドガード取付板25の折曲板部25Bと同等の長さ寸法および幅寸法を有する長方形の板体により形成されている。押え板28には、マッドガード取付板25の各雌ねじ孔25Dに対応する複数(例えば3個)のボルト挿通孔28Aが形成されている。
従って、押え板28の各ボルト挿通孔28Aに挿通されたボルト29を、マッドガード取付板25の各雌ねじ孔25Dに螺着することにより、マッドガード27の基端27Aは、マッドガード取付板25の折曲板部25Bと押え板28との間で挟持される。一方、マッドガード27の先端27Cに形成された各係合孔27Dを、排土板23の上板23Bに設けられた各係合部材24の屈曲部24Bに係合させることにより、マッドガード27の先端27Cは、排土板23の上部位置に上,下方向に移動可能な状態で着脱可能に取付けられる。
これにより、排土板23が、図5に示す作業位置と図4に示す格納位置との間で上,下方向に移動したとしても、マッドガード27は、後フェンダ18の自由端18Dと排土板23の上板23Bとの間で撓み変形しつつ排土板23の変位に追従する。これにより、後フェンダ18の自由端18Dと排土板23との間の隙間が、両者間に架け渡されたマッドガード27によって常に閉塞される構成となっている。
この場合、仮にマッドガード27の先端27Cを排土板23の上板23Bにボルトを用いて取付けた場合には、マッドガード27の基端27Aと先端27Cの両端が、いずれもボルトを用いて固定されることになる。この場合には、排土板23が作業位置と格納位置との間を移動してマッドガード27の基端27Aと先端27Cとが接近したときに、マッドガード27が撓み変形し難く、マッドガード27が破損し易くなる。これに対し、第1の実施の形態では、マッドガード27の先端27Cに設けた係合孔27Dを、排土板23の上板23Bに設けた係合部材24に係合させることにより、マッドガード27の先端27Cが、上,下方向に適度な遊びをもって排土板23の上板23Bに取付けられている。これにより、マッドガード27の基端27Aと先端27Cとが接近したときに、マッドガード27が円滑に撓み変形することができるように工夫されている。
第1の実施の形態によるホイール式油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、その動作について説明する。
ホイール式油圧ショベル1は、油圧モータ(図示せず)によって左,右の前車輪15および左,右の後車輪16を駆動し、キャブ7内のハンドル(図示せず)によって左,右の前車輪15をステアリング操作することにより、作業現場に向けて公道を走行することができる。この場合、排土装置20の排土板23は、図4に示す格納位置に保持され、後フェンダ18の自由端18Dと排土板23との間に形成される隙間は、マッドガード27によって上側から閉塞する(覆う)ことができる。
このため、後車輪16によって跳上げられた泥が、排土板23に衝突することにより上部旋回体4に向けて跳返ったとしても、この跳返った泥は、後フェンダ18の自由端18Dと排土板23との間の隙間を閉塞するマッドガード27に衝突する。この結果、排土板23に衝突して跳返った泥が、上部旋回体4に向けて飛散するのを抑えることができ、カウンタウエイト8に設けられたテールランプ装置9等が、泥によって汚れるのを確実に防止することができ、テールランプ装置9の視認性を良好に保つことができる。
しかも、マッドガード27の先端27Cは、排土板23の上板23Bに取付けられているので、マッドガード27の先端27Cが自由端となって後車輪16の後側に垂下がることがない。従って、ホイール式油圧ショベル1が走行するときの走行風圧により、マッドガード27の先端27Cが捲れて後車輪16に接触するのを抑えることができる。この結果、マッドガード27の寿命を延ばすことができ、テールランプ装置9等に泥が付着するのを防止する効果を、長期に亘って持続することができる。
一方、ホイール式油圧ショベル1が、作業現場において排土作業、地均し作業等を行うときには、排土装置20の排土板23を、図4の格納位置から図5に示す作業位置に移動させた状態で、ホイール式油圧ショベル1が作業現場を走行する。この場合、排土装置20の排土板23は作業位置に保持され、後フェンダ18の自由端18Dと排土板23との間に形成される隙間は、マッドガード27によって上側から閉塞する(覆う)ことができる。
従って、排土板23が作業位置に保持されている場合においても、後車輪16によって跳上げられ、排土板23に衝突して上部旋回体4側に跳返った泥は、後フェンダ18の自由端18Dと排土板23との間の隙間を閉塞するマッドガード27に衝突する。この結果、排土板23に衝突して跳返った泥が、上部旋回体4に向けて飛散するのを抑えることができ、テールランプ装置9の泥汚れを防止することができる。また、マッドガード27の先端27Cが、作業現場の凹凸等によって捲れることがないので、マッドガード27が後車輪16に接触するのを抑えることができ、その寿命を延ばすことができる。
しかも、マッドガード27の先端27Cには係合孔27Dが設けられ、この係合孔27Dを排土板23の上板23Bに設けた係合部材34に係合させることにより、マッドガード27の先端27Cは、上,下方向に移動可能な状態で排土板23の上板23Bに取付けられている。これにより、マッドガード27の基端27Aと先端27Cとが接近したときに、マッドガード27が円滑に撓み変形することができ、マッドガード27の耐久性を高めることができる。
かくして、第1の実施の形態によるホイール式油圧ショベル1は、左,右の後車輪16の上側を覆うようにシャーシ11の側面板11Bに設けられた左,右の後フェンダ18と、シャーシ11の後端面板11Eに設けられ、図5に示す作業位置と図4に示す格納位置との間で移動可能な排土板23を有する排土装置20とを備え、左,右の後車輪16と排土板23との間には、各後車輪16による泥跳ねを防ぐ左,右のマッドガード27が設けられている。そして、左,右のマッドガード27は、長さ方向の基端27Aが左,右の後フェンダ18の自由端18Dに取付けられ、長さ方向の先端27Cが排土板23の上板23Bに取付けられている。
これにより、後車輪16によって跳上げられた泥が、排土板23に衝突することにより上部旋回体4に向けて跳返ったとしても、この跳返った泥は、後フェンダ18の自由端18Dと排土板23の上板23Bとに取付けられたマッドガード27に衝突する。この結果、排土板23に衝突して跳返った泥が、上部旋回体4に向けて飛散するのを抑え、カウンタウエイト8に設けられたテールランプ装置9等が泥によって汚れるのを防止することができる。
しかも、マッドガード27の先端27Cが自由端となって後車輪16の後側に垂下がることがないので、ホイール式油圧ショベル1が走行するときの走行風圧や作業現場の地面の凹凸等によってマッドガード27の先端27Cが捲れるのを抑えることができる。この結果、マッドガード27が後車輪16に接触して破損するのを抑えることができ、マッドガード27の寿命を延ばすことができる。
また、左,右のマッドガード27は、柔軟性を有する長方形状の樹脂製シートとして形成されている。これにより、排土板23は、作業位置(図5の位置)と格納位置(図4の位置)との間で撓み変形しつつ排土板23の変位に円滑に追従することができる。
さらに、左,右のマッドガード27の先端27Cには係合孔27Dが設けられ、排土板23の上板23Bには係合部材24が設けられている。従って、マッドガード27の係合孔27Dを排土板23の係合部材24に係合させることにより、マッドガード27の先端27Cは、排土板23の上板23Bに対して着脱可能な状態で取付けられている。これにより、マッドガード27の先端27Cを排土板23の上板23Bに容易に取付けることができ、その作業性を高めることができる。
次に、図6は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、左,右のマッドガードの先端を磁石を用いて排土板に取付けたことにある。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。また、左,右のマッドガードはそれぞれ同一の構成を有しているため、以下、左側のマッドガードについて説明し、右側についての説明は省略する。
図中、排土板30は、第1の実施の形態による排土板23に代えて第2の実施の形態に用いられるものである。この排土板30は、第1の実施の形態による排土板23と同様に、底板(図示せず)、上板30A、表板30B、裏板30C、左側板30D、右側板(図示せず)によって構成されている。しかし、排土板30は、上板30Aに第1の実施の形態で用いた係合部材24が設けられていない点で、第1の実施の形態による排土板23とは異なるものである。
マッドガード31は、第1の実施の形態によるマッドガード27に代えて第2の実施の形態に用いられるものである。マッドガード31は、第1の実施の形態によるマッドガード27と同様に、ゴム等の樹脂材料を用いて形成された柔軟性を有する樹脂製シートからなり、後フェンダ18の左,右方向の幅寸法と同等の幅寸法を有し、前,後方向が長尺な長方形の平板状に形成されている。ここで、マッドガード31の長さ方向の基端31Aには、マッドガード取付板25の各雌ねじ孔25Dに対応する複数(例えば3個)のボルト挿通孔31Bが形成されている。一方、マッドガード31の長さ方向の先端31Cには、後述の磁石32が取付けられている。
磁石32は、マッドガード31の先端31Cに設けられ、マッドガード31の先端31Cを排土板30の上板30Aに取付けるものである。ここで、磁石32は、例えば永久磁石からなり、マッドガード31の左,右方向の幅寸法と同等の長さ寸法を有する直方体の棒状に形成されている。磁石32は、例えば接着剤等を用いてマッドガード31の先端31Cに固着されている。
従って、後フェンダ18の自由端18Dに固定されたマッドガード取付板25に、ボルト29を用いてマッドガード31の基端31Aを取付けた状態で、マッドガード31の先端31Cに固着した磁石32を排土板30の上板30Aに吸着させることにより、マッドガード31の先端31Cを、排土板30の上板30Aに着脱可能に取付けることができる。これにより、左,右の後フェンダ18の自由端18Dと排土板30の上板30Aとの間に、左,右のマッドガード31を容易に取付けることができる構成となっている。
第2の実施の形態によるホイール式油圧ショベルは、上述の如きマッドガード31を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態によるマッドガード27と格別差異はない。然るに、第2の実施の形態では、マッドガード31の先端31Cを、磁石32の吸着力を利用して排土板30の上板30Aに取付けることができる。これにより、左,右の後フェンダ18の自由端18Dと排土板30の上板30Aとの間に、左,右のマッドガード31を取付けるときの作業性を高めることができる。しかも、排土板30の上板30Aに、第1の実施の形態で用いた係合部材24を設ける必要がないので、排土板30の構成を簡素化することができ、製造コストの低減にも寄与することができる。
次に、図7は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、左,右のマッドガードの先端をヒンジ部材を用いて排土板に取付けたことにある。なお、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。また、左,右のマッドガード、ヒンジ部材はそれぞれ同一の構成を有しているため、以下、左側のマッドガード、ヒンジ部材について説明し、右側についての説明は省略する。
図中、排土板33は、第1の実施の形態による排土板23に代えて第3の実施の形態に用いられるものである。この排土板33は、第1の実施の形態による排土板23と同様に、底板(図示せず)、上板33A、表板33B、裏板33C、左側板33D、右側板(図示せず)によって構成されている。しかし、排土板33の上板33Aには、第1の実施の形態で用いた係合部材24に代えて、後述のヒンジ部材34が設けられている点で、第1の実施の形態による排土板23とは異なるものである。
一対(2個)のヒンジ部材34は、排土板33の上板33Aのうち左側板33D側の部位に左,右方向に離間して設けられている。各ヒンジ部材34は、後述するマッドガード35の先端35Cを排土板33の上板33Aに上,下方向に回動可能に取付けるものである。ここで、各ヒンジ部材34は、ボルト34Aを用いて排土板33の上板33Aに固定された固定板34Bと、固定板34Bに対して支持軸34Cを中心として上,下方向に回動可能となった回動板34Dとにより構成されている。ヒンジ部材34の回動板34Dには、例えば回動板34Dから上方に突出する2本のスタッドボルト34Eが設けられている。
マッドガード35は、第1の実施の形態によるマッドガード27に代えて第3の実施の形態に用いられるものである。マッドガード35は、第1の実施の形態によるマッドガード27と同様に、ゴム等の樹脂材料を用いて形成された柔軟性を有する樹脂製シートからなり、後フェンダ18の左,右方向の幅寸法と同等の幅寸法を有し、前,後方向が長尺な長方形の平板状に形成されている。ここで、マッドガード35の長さ方向の基端35Aには、マッドガード取付板25の各雌ねじ孔25Dに対応する複数(例えば3個)のボルト挿通孔35Bが形成されている。従って、各ボルト挿通孔35Bに挿通したボルト29を、後フェンダ18の自由端18Dに固定されたマッドガード取付板25の雌ねじ孔25Dに螺着することにより、マッドガード35の基端35Aが後フェンダ18の自由端18Dに取付けられる。一方、マッドガード35の長さ方向の先端35Cには、一対のヒンジ部材34にそれぞれ設けられた合計4本のスタッドボルト34Eが挿通される4個のスタッドボルト挿通孔35Dが設けられている。
押え板36は、マッドガード35の先端35Cを挟んで各ヒンジ部材34の回動板34Dに取付けられている。押え板36は、マッドガード35の幅寸法(左,右方向の寸法)と同等の長さ寸法を有する長方形の板体により形成されている。押え板36には、マッドガード35の各スタッドボルト挿通孔35Dに対応する4個のスタッドボルト挿通孔36Aが形成されている。
従って、各ヒンジ部材34のスタッドボルト34Eを、マッドガード35の各スタッドボルト挿通孔35Dおよび押え板36の各スタッドボルト挿通孔36Aに挿通した状態で、各スタッドボルト34Eにナット37を螺着することにより、マッドガード35の先端35Cは、一対のヒンジ部材34の回動板34Dと押え板36との間で挟持される。これにより、マッドガード35の先端35Cは、一対のヒンジ部材34を介して排土板33の上板33Aに上,下方向に回動可能に取付けられている。これにより、排土板33が作業位置と格納位置との間で移動する間にマッドガード35の基端35Aと先端35Cとが接近したとしても、マッドガード35の先端35Cがヒンジ部材34によって上,下方向に回動することにより、マッドガード35が円滑に撓み変形することができる構成となっている。
第3の実施の形態によるホイール式油圧ショベルは、上述の如きマッドガード35を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態によるマッドガード27と格別差異はない。然るに、第3の実施の形態では、マッドガード35の先端35Cを、ヒンジ部材34を用いて排土板33の上板33Aに対し上,下方向に回動可能に取付けることができる。これにより、排土板33が作業位置と格納位置との間で移動する間にマッドガード35の基端35Aと先端35Cとが接近したとしても、マッドガード35の先端35Cがヒンジ部材34によって上,下方向に回動することにより、マッドガード35が円滑に撓み変形することができる。この結果、マッドガード35の耐久性を高めることができ、テールランプ装置9等に泥が付着するのを防止する効果を、長期に亘って持続することができる。
なお、第1の実施の形態では、後フェンダ18の自由端18Dにマッドガード取付板25を取付け、このマッドガード取付板25にマッドガード27の基端27Aを取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば後フェンダ18の自由端18Dに直接的にマッドガード27の基端27Aを取付ける構成としてもよい。このことは、第2,第3の実施の形態についても同様である。
第1の実施の形態では、マッドガード27の先端27Cを排土板23の上板23Bに取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば排土板23を構成する裏板23Dの上側部位にマッドガード27の先端を取付ける構成としてもよい。このことは、第2,第3の実施の形態についても同様である。
第2の実施の形態では、マッドガード31の先端31Cに接着剤を用いて磁石32を固着した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばボルト、ナット等を用いて磁石32を取付ける構成としてもよい。
第3の実施の形態では、排土板33の上板33Aとマッドガード35の先端35Cとの間に2個のヒンジ部材34を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1個、または3個以上のヒンジ部材を用いてマッドガード35の先端35Cを排土板33に取付ける構成としてもよい。
第3の実施の形態では、ヒンジ部材34の回動板34Dにスタッドボルト34Eを設け、このスタッドボルト34Eに螺着したナット37によって、マッドガード35の先端35Cをヒンジ部材34の回動板34Dに取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばヒンジ部材34の回動板34Dにボルト挿通孔を形成し、このボルト挿通孔に挿通されたボルトを用いて、マッドガード35の先端35Cをヒンジ部材34の回動板34Dに取付ける構成としてもよい。
さらに、実施の形態では、シャーシ11の後端面板11Eに排土装置20を設け、後フェンダ18と排土装置20の排土板23との間にマッドガード27を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばシャーシ11の前端面板11Dに排土装置20を設け、前フェンダ17と排土装置20の排土板23との間にマッドガードを設ける構成としてもよい。