JP6744534B2 - 複合磁性粒及び磁性部品 - Google Patents

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Description

本発明は複合磁性粒、及びこの複合磁性粒を含む成形体を用いた磁性部品に関する。
従来の磁性部品に用いられているアモルファス合金粉末やナノ結晶合金粉末等の軟磁性合金粉末は、高周波励磁される場合において発生する渦電流により鉄損が増大することを防ぐため、軟磁性合金粉末の表面にシリコン酸化膜(SiO),酸化マグネシウム(MgO),アルミナ(Al)などで絶縁層を形成し、鉄損の低減が試みられている。
例えば、結晶化温度Txが420℃〜600℃にあるFe基アモルファス合金薄帯を粉砕した粉砕粉と、Fe基アモルファス合金アトマイズ球状粉とを混合し、成形し熱処理してなる圧粉磁心(コア)において、粉砕粉が平均厚み20μm〜60μm、平均粒径60μm〜80μmの薄板状でその上にSiO皮膜を形成した粒子構造が提案されている(特許文献1参照。)。
しかし、特許文献1等に記載された従来の軟磁性合金粉末の表面に形成されているSiO,MgO,Al等の絶縁層は磁性を示さないため、成形体を構成して圧粉磁心(コア)とした場合においては、軟磁性材料の体積割合が低く、圧粉磁心の飽和磁束密度Bsや初透磁率μが低いという問題があった。
特開2016−27656号公報
本発明は、軟磁性材料の体積割合を高めた成形体を構成することが可能で、成形体の鉄損Pcvを低減でき、初透磁率μ及び飽和磁束密度Bsを高めることができる複合磁性粒、及びこの複合磁性粒を含む成形体を用いた磁性部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、(a)アモルファス合金粉末及びナノ結晶合金粉末の少なくとも一方を含む軟磁性合金粉末と、(b)この軟磁性合金粉末の表面の少なくとも一部に設けられた厚みが1μm以下の柱状結晶層とを備える複合磁性粒であることを要旨とする。
本発明の第2の態様は、第1の態様で述べた複合磁性粒を含む成形体を用いた磁性部品であることを要旨とする。
本発明によれば、軟磁性材料の体積割合を高めた成形体を構成することが可能で、成形体の鉄損Pcvを低減でき、初透磁率μ及び飽和磁束密度Bsを高めることができる複合磁性粒、及びこの複合磁性粒を含む成形体を用いた磁性部品を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る複合磁性粒の構造の概略を説明する模式的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る複合磁性粒の構造の概略を説明する透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 本発明の一実施形態に係る複合磁性粒の酸素濃度の分布を説明する元素マッピング図である。 本発明の一実施形態に係る複合磁性粒の鉄濃度の分布を説明する元素マッピング図である。 本発明の一実施形態に係る軟磁性合金粉末の非熱処理状態のX線回折プロファイルを示す図である。 本発明の一実施形態に係る軟磁性合金粉末の非熱処理状態のTEM写真である。 実施例1〜6の熱処理条件を説明する表である。 本発明の一実施形態に係る軟磁性合金粉末の熱処理後のTEM写真である。 実施例1〜6の成形後の飽和磁束密度Bs、初透磁率μ、圧粉磁心の鉄損Pcvを説明する表である。 比較例1〜3に用いた軟磁性合金粉末の組成等を説明する表である。 比較例1〜3の成形後の飽和磁束密度Bs、初透磁率μ、圧粉磁心の鉄損Pcvを説明する表である。 実施例7〜9及び比較例4〜15の、それぞれの柱状結晶層の厚さ、柱状結晶層の短軸寸法、柱状結晶層の酸素濃度、軟磁性合金粉末の金属組織の酸素濃度等を絶縁層(SiO層)の厚さと共に示す表である。 実施例7〜9及び比較例4〜15の成形後の飽和磁束密度Bs、初透磁率μ、圧粉磁心の鉄損Pcvを説明する表である。 実施例7〜9及び比較例4〜15の飽和磁束密度Bsと柱状結晶層の厚さの関係を示す図である。 実施例7〜9及び比較例4〜15の初透磁率μと柱状結晶層の厚さの関係を示す図である。 実施例7〜9及び比較例4〜15に係る圧粉磁心の鉄損Pcvと柱状結晶層の厚さの関係を5000kW/mの近傍(4500kW/m〜5500kW/m)を拡大して示す図である。 実施例7〜9及び比較例4〜15に係る圧粉磁心の鉄損Pcvと柱状結晶層の厚さの関係を示す図である。 実施例7〜9及び比較例4〜15の試料について、軟磁性合金粉末の表面に設けられる絶縁層の厚さと柱状結晶層の厚さの関係をマトリクス表示した表である。 実施例7〜9及び比較例4〜15の試料について、図18のマトリクス表示に対応させて、それぞれの飽和磁束密度Bsの値をマトリクス表示した表である。 図18のマトリクス表示の試料から、柱状結晶層の厚さが200nmの実施例7、比較例7,比較例12の試料を削除したマトリクスに対応した表として、それぞれの飽和磁束密度Bsの値の星取表である。 実施例7〜9及び比較例4〜15の試料について、図18のマトリクス表示に対応させて、それぞれの初透磁率μの値をマトリクス表示した表である。 図18のマトリクス表示の試料から実施例7、比較例7,比較例12の試料を削除したマトリクスに対応した表として、それぞれの初透磁率μの値の星取表である。 実施例7〜9及び比較例4〜15の試料について、図18のマトリクス表示に対応させて、それぞれの圧粉磁心の鉄損Pcvの値をマトリクス表示した表である。 図18のマトリクス表示の試料から実施例7、比較例7,比較例12の試料を削除したマトリクスに対応した表として、それぞれの圧粉磁心の鉄損Pcvの値の星取表である。
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す一実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(一実施形態)
本発明の一実施形態に係る複合磁性粒1は、図1に示すように、軟磁性合金粉末11の表面の少なくとも一部に厚みが1μm以下の酸化鉄を主成分とする柱状結晶層12を有する複合軟磁性合金粒子である。軟磁性合金粉末11は、アモルファス合金粉末及びナノ結晶合金粉末の少なくとも一方を含む。一実施形態に係る複合磁性粒1の断面をエネルギー分散型X線分光器(EDS)により元素マッピング測定すると、図3に示した酸素(O)のK殻の電子が励起されて放出された特性X線(K線)の2次元画像及び図4に示した鉄(Fe)K線の2次元画像が示すように、柱状結晶層12の酸素濃度が軟磁性合金粉末11の金属組織の酸素濃度よりも高く、柱状結晶層12が酸化鉄を主成分としていることが分かる。
図3には色が表示されていないが、カラーマッピングでは色が濃い部分が元素濃度が濃いことを示す。図3で白黒表示された酸素のカラーマッピングでは、酸化鉄を主成分とする柱状結晶層12に対応する帯状の領域の色の方が、柱状結晶層12よりも内部側の軟磁性合金粉末11に相当する領域の色よりも濃くなっていることが分かる。図2及び図8に示した透過型電子顕微鏡(TEM)写真から分かるように、柱状結晶層12の短軸寸法は200nm以下となるアスペクト比の大きな構造体である。
本発明の一実施形態に係る複合磁性粒1の形状は球状であってもよいし非球状であってもよい。非球状である場合には、鱗片状、楕円球状、液滴状、針状等の形状異方性を有する形状でもよいし、特段の形状異方性を有しない不定形でもよい。一実施形態に係る複合磁性粒1の形状は、複合磁性粒1を製造する段階で得られる球状、楕円球状、液滴状、針状等の形状であってもよいし、製造された複合磁性粒1を二次加工することにより得られた鱗片状等の形状であってもよい。なお、後述するように、図12等において実施例7〜8に係る複合磁性粒1では、球状の軟磁性合金粉末11の表面に設けられた柱状結晶層の厚さ、柱状結晶層の短軸寸法、柱状結晶層の酸素濃度等を例示している。
本発明の一実施形態に係る複合磁性粒1によれば、酸化鉄を主成分とする柱状結晶層12を軟磁性合金粉末11の表面の少なくとも一部に設けているので、軟磁性材料の体積割合を高めた成形体を構成することが可能で、成形体の鉄損Pcvを低減でき、初透磁率μ及び飽和磁束密度Bsを高めることができる複合磁性粒1、及びこの複合磁性粒1を含む成形体を用いた磁性部品を提供することができる。
一実施形態に係る複合磁性粒1は、軟磁性合金粉末11を熱処理することにより、軟磁性合金粉末11の表面を酸化して、軟磁性合金粉末11の表面の少なくとも一部に、厚みが1μm以下の酸化鉄を主成分とする柱状結晶層12を形成することができる。
[軟磁性合金粉末の作製]
本発明の一実施形態に係る複合磁性粒1に用いる軟磁性合金粉末11の製造に際しては、先ず、純鉄(Fe)、金属シリコン(Si)、フェロボロン(Fe−B)、りん鉄(Fe−P)、純銅(Cu)、グラファイト(C)等の原料を秤量する。そして、目的の合金組成になるように調製された原材料を、高周波誘導加熱法により、アルミナルツボの中で1400℃で溶解して溶融金属(合金溶湯)を生成する。この溶融金属を銅の金型に鋳込むことで冷却し母合金を得る。
そして、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、回転水流アトマイズ法、スプレー法、キャビテーション法、スパークエロージョン法等の各種粉末化法により一実施形態に係る軟磁性合金粉末11が製造される。水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、回転水流アトマイズ法等のアトマイズ法は、母合金を高周波誘導加熱装置で溶解し、母合金の溶湯をノズルから高速で噴射してできた合金溶湯の流れに冷却媒体(液体又は気体)を衝突させて、合金溶湯を微細化すると共に急冷し、金属粉末として軟磁性合金粉末11を得る方法である。
一実施形態に係る軟磁性合金粉末11をこのようなアトマイズ法によって製造することにより、極めて微小な軟磁性合金粉末11を効率よく製造することができる。又、アトマイズ法によれば、得られる軟磁性合金粉末11の粒子形状が表面張力の作用により球形状に近くなる。このため、軟磁性合金粉末11を用いて圧粉磁心を製造したとき充填率の高いものが得られる。すなわち、アトマイズ法によれば、透磁率μ及び飽和磁束密度Bsの高い圧粉磁心を製造可能な軟磁性合金粉末11を得ることができる。
アトマイズ法のうち、水アトマイズ法を採用すれば、製造装置の大型化が可能で、合金溶湯の出湯レートを上げることが可能であるので量産性を向上でき、又、一般的に水アトマイズ法では、アルゴンなどの不活性ガスや窒素及び空気などの各種気体を用いるガスアトマイズ法と比べて冷却速度が高いので、アモルファス化しやすい。更には、微細化と急冷とに異なる媒体を用いて実施してもよい。なお、液体急冷法により製造された急冷薄帯であると、アモルファス合金を得やすい半面、薄帯を均一微細な扁平粉に粉砕することが困難であるのでアトマイズ法を使用し、最初から球状粉末状で一実施形態に係る軟磁性合金粉末11を製造することが好適である。
以下の実施例1〜6では、回転水流アトマイズ法(高速回転水流アトマイズ法)により、メディアン径d50=11.0μmの軟磁性合金粉末11を作製した。回転水流アトマイズ法によれば、溶湯を極めて高速で冷却することができるので、溶融金属における無秩序な原子配置が高度に維持された状態で固化に至らせることができ、非晶質化度の特に高い軟磁性合金粉末11を効率よく製造することができる。
例えば、一実施形態に係る軟磁性合金粉末11としてFe、Si、B、P、Cu、Cを含む合金粉末が回転水流アトマイズ法により製造できる。軟磁性合金粉末11内の元素分布に関わらず、一実施形態に係る軟磁性合金粉末11の集合体としてFeSiCuの組成式で表したときに、

79≦a≦86at%、
5≦b≦13at%、
0<c≦8at%、
0<x≦10at%、
0≦y≦5at%、
0.4≦z≦1.4at%、
0.08≦z/x≦1.2

を満たすことが一実施形態に係るとして好ましい。一実施形態に係る実施例1〜6においては、粉末組成a=85.7at%、b=9.5at%、c=0.5at%、x=3.5at%、y=1at%、z=0.8at%、z/x=0.23として(Fe85.7Si0.59.53.5Cu0.899の軟磁性合金粉末11を作製した。
回転水流アトマイズ法では、冷却用筒体の内周面に沿って冷却液を噴出供給し、冷却用筒体の内周面に沿って旋回させることにより、内周面に冷却液層を形成する。一方、非晶質合金の原材料を溶融し、得られた溶融金属を自然落下させつつ、これに液体又は気体のジェットを吹き付ける。これにより溶融金属が飛散させ、飛散した溶融金属は冷却液層に取り込まれる。その結果、飛散して微粉化した溶融金属が急速冷却されて固化し、軟磁性合金粉末11が得られる。
示差走査熱量分析(DSC)による測定では、非熱処理状態(as−Q)の軟磁性合金粉末11のアモルファス化度は83.0〜84.5%であった。図5に示すように、非熱処理状態の軟磁性合金粉末11のX線回折測定結果によれば、軟磁性合金粉末11には非晶質相とαFe相が混在していることを確認できる。又、図6に示すように、非熱処理状態粉末のTEM観察結果によれば、粒径10μm,20μmいずれの軟磁性合金粉末11もデンドライト状の結晶組織とアモルファス組織の混相であった。
[熱処理工程]
図1に示した本発明の一実施形態に係る複合磁性粒1に用いる柱状結晶層12は、軟磁性合金粉末11を350〜600℃で熱処理することにより、軟磁性合金粉末11の表面を酸かして、酸化鉄を主成分とする柱状結晶層12を形成できる。軟磁性合金粉末11の熱処理においては、この軟磁性粉末11を赤外線ランプ加熱装置にてアルゴン雰囲気中にて、実施例1〜6の試料について、図7に示すような加熱温度(℃)、保持時間(分)で実施し、ナノ結晶化させた。
図7に示すように、加熱温度は実施例1及び実施例4が450℃、実施例2及び実施例5が460℃、実施例3及び実施例6が470℃である。又、保持時間は実施例1〜3が1分、実施例4〜6が10分である。
図8に示すように、一実施形態に係る軟磁性合金粉末11の熱処理後のTEM観察結果によれば、60nm以下の結晶粒と100nm以上の結晶粒の両方の存在が確認できる。又、軟磁性合金粉末11の表面に酸化鉄を主成分とする柱状結晶層12が存在することが確認できる。
[圧粉磁心の成形]
本発明の一実施形態に係る圧粉磁心の形状としては、トロイダル型、FT型、ET型、EI型、UU型、EE型、EER型、UI型、ドラム型、ポット型、カップ型等が例示できるが、これらの圧粉磁心の製造方法は、上記のように、軟磁性合金粉末11を作製する粉末作製工程と、軟磁性合金粉末11を熱処理して複合磁性粒1を作製する熱処理工程の後、複合磁性粒1を用いて圧粉磁心を作製するコア成形工程とを含む。すなわち、一実施形態に係る圧粉磁心は、一実施形態に係る複合磁性粒1と結着材(バインダ)と有機溶媒とを混合し、得られた混合物を成形金型に供給するとともに、加圧・成形して得られる。
圧粉磁心の作製に用いられる結着材(バインダ樹脂)の構成材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等の有機材料、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カドミウムのようなリン酸塩、ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩(水ガラス)等の熱硬化性無機材料等が挙げられるが、以下の実施例ではフェノール系樹脂を3wt%となるように混合し、造粒粉を得る。これらの結着材樹脂材料は、圧粉磁心の製造容易性及び耐熱性を高めることができる。
又、複合磁性粒1に対する結着材の割合は、作製する圧粉磁心の目的とする飽和磁束密度Bsや機械的特性、許容される鉄損Pcv等に応じて若干異なるが、0.5質量%以上5質量%以下程度であるのが好ましく、1質量%以上3質量%以下程度であるのがより好ましい。これにより、複合磁性粒1の各粒子同士を確実に絶縁しつつ、圧粉磁心の密度をある程度確保して、圧粉磁心の飽和磁束密度Bsや透磁率μが著しく低下するのを防止することができる。その結果、より飽和磁束密度Bs及び透磁率μが高く、且つ、より低い鉄損Pcvの圧粉磁心が得られる。
又、結着材を溶解させる有機溶媒としては、結着材を溶解し得るものであれば特に限定されないが、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル等の各種溶媒が挙げられる。
金型からの脱型性を高めるため潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸ストロンチウム等のステアリン酸金属塩が挙げられる。これらのステアリン酸金属塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて潤滑剤として用いることができる。
一実施形態に係る実施例では、いわゆるスプリングバックが小さいという観点から、ステアリン酸亜鉛を潤滑剤として用いる。潤滑剤を用いる場合には、その添加量は、好ましくは複合磁性粒1の100重量部に対して、0.1〜0.9重量部であり、より好ましくは複合磁性粒1の100重量部に対して、0.3〜0.7重量部である。潤滑剤が少なすぎると、成形後の金型からの脱型が困難となり、成形クラックが生じやすい傾向にある。
一方、潤滑剤が多すぎると、成形密度の低下を招き、透磁率μが減少してしまう。潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を用いる場合には、得られる圧粉磁心中の、亜鉛(Zn)の含有量が、0.004〜0.2質量%の範囲内となる、添加量を調整することが好ましい。Znの含有量が多すぎると、圧粉磁心としての十分な強度が得られない傾向にある傾向がある。
本発明の一実施形態に係る実施例では、乳鉢に複合磁性粒1とエタノールで溶解させたフェノール樹脂を入れ、乳鉢混合により均一に混合し、フェノール系樹脂3wt%の造粒粉を得た後に、エタノールを乾燥させる。なお、金型への充填性を高めるために、粗大な凝集物を乳棒で解砕する。一実施形態に係る実施例では以下の条件で造粒粉を形成した:

合金粉末: 10g
結着材: 0.53g
潤滑剤: 0.30g

混錬時間: 10分
乾燥温度: 100℃
溶剤揮発時間:30分
そして、造粒粉を内径8mm,外径13mm,高さ3mmのトロイダル形状の金型に充填し、油圧ハンドプレス装置で1.5GPaの圧力を加えることで圧粉磁心の形状に成形し、磁心厚さ3.5mmの成形体を得た。
次に、得られた成形体を加熱することにより、結着材を硬化させ、圧粉磁心を得る。このとき、加熱温度は、結着材の組成等に応じて若干異なるものの、結着材が有機材料で構成されている場合、好ましくは100℃以上500℃以下程度とされ、より好ましくは120℃以上250℃以下程度とされる。一実施形態に係る実施例では加熱温度160℃とした。又、加熱時間は、加熱温度に応じて異なるものの、0.5時間以上5時間以下程度とされるが、一実施形態に係る実施例では加熱時間1時間とした。
[磁気的特性の測定]
熱処理後の圧粉磁心(成形体)の飽和磁束密度Bsを振動試料型磁力計(東英工業社製VSM−5−10)で測定した結果を図9に示す。図9では、実施例1〜6の各成形体の外形寸法と重量を測定し、実施例1〜6の各成形体の密度を算出した。実施例1〜6の各成形体の密度を軟磁性粉末の真比重で除した値に、複合磁性粒1の飽和磁束密度Bsの値を乗算することで成形体の飽和磁束密度Bsを算出している。実施例1〜6の各成形体の外形寸法は、ノギスを用いて外形と内径の三点を測定して平均値を算出したものである。測定は、マイクロメータを用いて厚さを三点測定し、平均値を算出している。実施例1〜6の各成形体の相対密度は、各成形体の重量を測定し、成形体の寸法から算出した成形体の体積で除することで成形体の密度を算出した。
実施例1〜6の各成形体の密度を複合磁性粒1の真比重で除することで各成形体の相対密度が算出できる。複合磁性粒1の飽和磁束密度Bsの値は、実施例1〜6の複合磁性粒1の試料10mgを採取し、非磁性の粘着テープ上に試料を載せて、この粘着テープを二つ折りにし、縦7mm、横7mmの板状に成形した。次いで、振動試料型磁力計(VSM)を使用し、最大印加磁界を12000A/m、室温(25℃)で飽和磁化を測定した。そして、この測定値と実施例1〜6の各試料の真比重から飽和磁束密度Bsを算出した。
図9には、実施例1〜6に係る圧粉磁心に導電性部材を巻き、初透磁率(複素比透磁率の実数部)μ、圧粉磁心の鉄損Pcvを測定した結果も同時に示している。初透磁率μは、実施例1〜6に係る圧粉磁心に直径0.3mmの被覆銅線を導電性部材として巻きつけてコイル部品を作製した後に測定している。被覆銅線による一次巻き線と二次巻き線の巻き数は32ターンであった。アジレント(Agilent)テクノロジー株式会社製のインピーダンスアナライザ4294Aを用いて、測定周波数100kHzにおけるコイル部品のインダクタンスを測定し、実施例1〜6に係る成形体の寸法を用いて初透磁率μを算出した。圧粉磁心の鉄損Pcvの測定に際しては、同様に直径0.3mmの被覆銅線を実施例1〜6に係る圧粉磁心に巻きつけてコイル部品を岩通計測株式会社製の磁気特性測定装置(B−HアナライザSY−8217)を用いて、印加磁界100mT、測定周波数100kHzにおける圧粉磁心の鉄損Pcvを測定した。
図7に示した熱処理の保持時間1分の実施例1〜3に関しては、図9に示すように、実施例1の飽和磁束密度Bs=1.72Tであり、実施例2の飽和磁束密度Bs=1.73で、実施例3の飽和磁束密度Bs=1.76である。一方、図7の保持時間1分の実施例4〜6に関しては、実施例4の飽和磁束密度Bs=1.77であり、実施例5の飽和磁束密度Bs=1.77で、実施例6の飽和磁束密度Bs=1.79である。よって、熱処理の保持時間が長い方が、飽和磁束密度Bsが大きくなる傾向が見られる。
図9に示すように、図7の保持時間1分の実施例1〜3に関しては実施例1の初透磁率μ=14.6であり、実施例2の初透磁率μ=15.1で、実施例3の初透磁率μ=15.6であるので加熱温度が高くなると、初透磁率μが大きくなる傾向が見られる。一方、図7の保持時間1分の実施例4〜6に関しては、実施例4の初透磁率μ=14.0であり、実施例5の初透磁率μ=14.2で、実施例6の初透磁率μ=13.9であるので、保持時間が長い場合は加熱温度による初透磁率μの変化の傾向は認められない。
図9から分かるように、図7の熱処理の保持時間1分の実施例1〜3に関しては実施例1に係る圧粉磁心の鉄損Pcv=5344kW/mであり、実施例2に係る圧粉磁心の鉄損Pcv=4945kW/mで、実施例3に係る圧粉磁心の鉄損Pcv=4600kW/mであるので、熱処理の保持時間が短い場合は加熱温度が高くなると、圧粉磁心の鉄損Pcvが減少する傾向が見られる。一方、図7の保持時間1分の実施例4〜6に関しては、実施例4に係る圧粉磁心の鉄損Pcv=5190kW/mであり、実施例5に係る圧粉磁心の鉄損Pcv=5731kW/mで、実施例6に係る圧粉磁心の鉄損Pcv=5710kW/mであるので、熱処理の保持時間が長い場合は加熱温度による圧粉磁心の鉄損Pcvの変化の傾向は認められない。
実施例1〜6に係る圧粉磁心の測定結果と比較するため、図11には図10に分類した比較例1〜3について図9と同様な測定をした結果を示す。比較例1は実施例1〜6と同一の組成のFe85.7Si0.59.53.5Cu0.899であるが、熱処理をしていない軟磁性合金粉末のため、軟磁性合金粉末の上に図1等に示したような柱状結晶層が形成されていない構造である。比較例2は(Fe0.97Cr0.0376(Si0.50.522の組成を有するFe系アモルファス材、比較例2は(Fe0.8Co0.275Si20Nbの組成を有するFe系アモルファス材である。比較例1〜3の試料についても、実施例1〜6と同様に、造粒粉を内径8mm,外径13mm,高さ3mmのトロイダル形状の金型に充填し、油圧ハンドプレス装置で1.5GPaの圧力を加えることで圧粉磁心の形状に成形して、実施例1〜6と同様の測定をした。
図11に示すように、比較例1の圧粉磁心の初透磁率μ=16.5であり、比較例2の圧粉磁心の初透磁率μ=16.2であるので、比較例1及び2に関しては、実施例1〜6よりも初透磁率μが大きい傾向にある。一方、比較例3の圧粉磁心の初透磁率μ=14.6であるので実施例1〜6と同程度の初透磁率μである。図11から分かるように、比較例1に係る圧粉磁心の鉄損Pcv=5986kW/mであり、比較例2に係る圧粉磁心の鉄損Pcv=7850kW/mであり、比較例3に係る圧粉磁心の鉄損Pcv=7881kW/mであるので実施例1〜6に比して、圧粉磁心の鉄損Pcvが大きいことが分かる。
図12には、実施例7〜9及び比較例4〜15の試料について、複合磁性粒1の柱状結晶層の厚さ、柱状結晶層の短軸寸法、柱状結晶層の酸素濃度、軟磁性合金粉末の金属組織の酸素濃度等を絶縁層(SiO層)の厚さと共に示している。実施例7〜9及び比較例4〜5に関しては、軟磁性合金粉末の表面に絶縁層がなく、比較例6〜10は軟磁性合金粉末の表面に設けられた絶縁層の厚さが0.5μmであり、比較例11〜15は絶縁層の厚さが2μmである。比較例4,6,11は複合磁性粒に柱状結晶層が付されていない構造である。図18は、軟磁性合金粉末の表面に設けられる絶縁層の厚さと柱状結晶層の厚さの関係をマトリクス表示した表である。図13には、 図12に示した実施例7〜9及び比較例4〜15の試料について、飽和磁束密度Bs、初透磁率μ、圧粉磁心の鉄損Pcvを測定した結果を示している。
図14は、 図13に示した実施例7〜9及び比較例4〜15の飽和磁束密度Bsと柱状結晶層の厚さの関係を示す図である。図14に示すように、実施例7〜9の飽和磁束密度Bsの値が、比較例4〜15の飽和磁束密度Bsの値よりも大きいことが分かる。実施例7〜9の比較では、柱状結晶層の厚さが厚くなると飽和磁束密度Bsの値が減少する傾向が認められる。又、比較例4〜15の飽和磁束密度Bsの値を比較すると、絶縁層の厚さが0μm、0.5μm、2μmと厚くなるに従い、飽和磁束密度Bsの値が減少する傾向が読める。
図18の絶縁層の厚さと柱状結晶層の厚さとのマトリクス表示から、図19の飽和磁束密度Bsのマトリクス表示を見ても、絶縁層がない実施例7〜9の飽和磁束密度Bsの値が、比較例4〜15の飽和磁束密度Bsの値よりも大きく、絶縁層の厚さが0μm、0.5μm、2μmと厚くなるに従い、飽和磁束密度Bsの値が減少する傾向が分かる。図18のマトリクス表示の試料から、柱状結晶層の厚さが200nmの実施例7、比較例7,比較例12の試料を削除したマトリクスに対応するのが図20に示す表である。図20のマトリクス表示において、飽和磁束密度Bsの値の優劣を◎、○、△、×で示すと、絶縁層がなく、且つ柱状結晶層が付されていない構造の比較例4、及び、絶縁層がなく、柱状結晶層が500nmの実施例8が最も高い。又、絶縁層がなく、柱状結晶層が1000nmの実施例9が次に高く、これらは1.7Tを超えている。これら以外の比較例では、いずれも小さく、1.7Tを下回っている。特に、絶縁層の厚さが2μmである比較例11〜15は、1.37T〜1.43Tと、著しく小さい。
図15は、 図13に示した実施例7〜9及び比較例4〜15の初透磁率μと柱状結晶層の厚さの関係を示す図である。図15に示すように、実施例7〜9の初透磁率μの値が、比較例4〜15の初透磁率μの値よりも大きいことが分かる。実施例7〜9の比較では、柱状結晶層の厚さが厚くなると初透磁率μの値が減少する傾向が認められる。又、比較例4〜15の初透磁率μの値を比較すると、絶縁層の厚さが0μm、0.5μm、2μmと厚くなるに従い、初透磁率μの値が減少する傾向が読める。
図18の絶縁層の厚さと柱状結晶層の厚さとのマトリクス表示の試料から、図21の初透磁率μのマトリクス表示を見ても、絶縁層がない実施例7〜9の初透磁率μの値が、比較例4〜15の初透磁率μの値よりも大きく、絶縁層の厚さが0μm、0.5μm、2μmと厚くなるに従い、初透磁率μの値が減少する傾向が分かる。図18のマトリクス表示の試料から、柱状結晶層の厚さが200nmの実施例7、比較例7,比較例12の試料を削除したマトリクスに対応するのが図22に示す表である。図22のマトリクス表示において、初透磁率μの値の優劣を◎、○、△、×で示すと、絶縁層がなく、且つ柱状結晶層が500nmの実施例8、が最も高い。絶縁層がなく、柱状結晶層が付されていない比較例4、及び絶縁層が無く、柱状結晶層が1000nmの実施例9が次に大きい。これら以外の比較例では、いずれも小さく、1.5を下回っている。特に、絶縁層の厚さが2μmである比較例11〜15は、11.5〜12.3と、著しく小さい。
図16及び図17は、 図13に示した実施例7〜9及び比較例4〜15に係る圧粉磁心の鉄損Pcvと柱状結晶層の厚さの関係を示す図である。図16は、図17の鉄損Pcvの5000kW/mの近傍(4500kW/m〜5500kW/m)を拡大して示す。図15に示すように、柱状結晶層の厚さが185nmと薄い実施例7の鉄損Pcvの値は、比較例5〜15の鉄損Pcvの値よりも大きいが、柱状結晶層の厚さが515nmの実施例8の鉄損Pcvの値、及び柱状結晶層の厚さが970nmの実施例9の鉄損Pcvの値は、比較例4〜15の鉄損Pcvの最低値のレベルである。ただし、図17に示すように、絶縁層がなく、且つ柱状結晶層が付されていない構造の比較例4の鉄損Pcvの値は、9120kW/mと実施例7〜9の鉄損Pcvよりも大きい。又、比較例5〜15の鉄損Pcvの値を比較すると、絶縁層の厚さが0μm、0.5μm、2μmと厚くなるに従い、鉄損Pcvの値が減少する傾向が読める。
図18の絶縁層の厚さと柱状結晶層の厚さとのマトリクス表示から、図23の鉄損Pcvのマトリクス表示を見ても、絶縁層がなく、且つ柱状結晶層が付されていない構造の比較例4の鉄損Pcvの値が非常に大きいことが分かる。又、柱状結晶層の厚さが185nmと薄い実施例7の鉄損Pcvの値は、比較例5〜15の鉄損Pcvの値よりも大きいが、柱状結晶層の厚さが515nmの実施例8の鉄損Pcvの値、及び柱状結晶層の厚さが970nmの実施例9の鉄損Pcvの値は、比較例14及び15の鉄損Pcvのレベルと同等な最低値であることが分かる。更に、絶縁層の厚さが0μm、0.5μm、2μmと厚くなるに従い、鉄損Pcvの値が減少する傾向が分かる。
図18のマトリクス表示の試料から、柱状結晶層の厚さが200nmの実施例7、比較例7,比較例12の試料を削除したマトリクスに対応するのが図24に示す表である。図24のマトリクス表示において、鉄損Pcvの値の優劣を◎、○、△、×で示すと、絶縁層がなく、且つ柱状結晶層が付されていない構造の比較例4の値が9120kW/mで突出して大きな値である。比較例4以外は、全て5020kW/m以下と小さい値である。
以上のとおり、飽和磁束密度Bs、初透磁率μi、鉄損Pcvの3つの特性を併せ持つ条件は、絶縁層なしで、柱状結晶層があり、その厚さが1μm以下の場合である。本発明の一実施形態に係る磁性部品によれば、表面を絶縁層で覆われておらず、酸化鉄を主成分とする厚みが1μm以下の柱状結晶層12を軟磁性合金粉末11の表面の少なくとも一部に設けた複合磁性粒1を主成分として含んでいるので、成形体を構成した場合に軟磁性材料の体積割合を高めることができる。よって、本発明の一実施形態に係る磁性部品によれば、成形体を構成した場合に、成形体の鉄損Pcvを低減でき、初透磁率μ及び飽和磁束密度Bsを高めることができる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は一実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、上記の一実施形態の説明では圧粉磁心を本発明の磁性部品と一つとして例示し、圧粉磁心に導電性部材を巻きつけたコイル部品について説明したが、本発明の実施形態に係る磁性部品は圧粉磁心や圧粉磁心を用いたコイル部位品に限定されるものではない。本発明は、リアクトル、トランス、インダクタ、モータ、ノイズフィルタ等ノイズ関連、チョークコイルなどの磁力を利用する各種の磁性部品に適用可能である。
本発明の実施例1〜9等では、磁性部材である圧粉磁心(圧粉コア)とコイル状の形状を有する導電性部材とを備える構造を説明したが、本発明の実施形態に係る磁性部材は磁性シートでもよい。他の磁性部品の例としての磁性シートには、両面テープなど他の固定用部材等が含まれていてもよい。又、磁性部材の成形体の内部にコイルが埋設されている構造であっても構わない。導電性部材は、磁性部材の内部に埋設可能であれば、その形状及び組成は限定されない。
本発明の実施形態に係る磁性部品を備えることにより、本発明の実施形態に係る電気・電子機器を構成できる。本発明の実施形態に係る磁性部品がインダクタンス素子からなる場合には、このインダクタンス素子が実装された機器が本発明の実施形態に係る電気・電子機器に対応し、本発明の実施形態に係る磁性部品が磁性シートからなる場合には、この磁性シートが、例えば筐体や基板に貼付された機器が、本発明の実施形態に係る電気・電子機器に対応する。具体的には、スイッチング電源、電圧昇降回路、平滑回路等を備えた電源装置、インバータ装置、ノート型パソコンや携帯電話等の小型情報機器、薄型CRT、フラットパネルディスプレイなどが、本発明の実施形態に係る電気・電子機器として例示される。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
磁気部品を製造する産業分野や、この磁気部品を用いたノート型パソコン、小型携帯機器、薄型ディスプレイなどの電気・電子機器の製造の技術分野に利用可能である。
1…複合磁性粒
11…軟磁性合金粉末
12…柱状結晶層

Claims (6)

  1. 非晶質相とナノ結晶であるαFe相とを含む軟磁性合金粉末と、
    該軟磁性合金粉末の表面の少なくとも一部に設けられた厚みが1μm以下の柱状結晶層と、
    を備え、前記柱状結晶層は、酸化鉄を含むことを特徴とする複合磁性粒。
  2. 前記複合磁性粒の断面に対するエネルギー分散型X線分光器による元素マッピング測定において、前記柱状結晶層の酸素濃度が、前記軟磁性合金粉末の金属組織の酸素濃度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の複合磁性粒。
  3. 前記柱状結晶層の短軸寸法が200nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合磁性粒。
  4. 前記軟磁性合金粉末では、酸素濃度が2.2at%以下に制限され、前記柱状結晶層では、前記厚みが185nm〜970nmであり、短軸寸法が80nm〜95nmであり、酸素濃度が36.1at%以上であり、前記柱状結晶層の表面上では、SiO を含む絶縁層の厚さが0.5μm未満に制限されることを特徴とする請求項1に記載の複合磁性粒。
  5. 前記軟磁性合金粉末はFe、Si、B、P、Cu、Cを含み、粉末の集合体としてFeSiCuの組成式で表したときに、79≦a≦86at%、5≦b≦13at%、0<c≦8at%、0<x≦10at%、0≦y≦5at%、0.4≦z≦1.4at%、及び0.08≦z/x≦1.2の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の複合磁性粒。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の前記複合磁性粒を成形体の主成分として含んだことを特徴とする磁性部品。
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