JP2018073946A - 混合粉末及び磁性部品 - Google Patents

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Kenji Yoshida
健二 吉田
高橋 亨
Toru Takahashi
亨 高橋
尾藤 三津雄
Mitsuo Bito
三津雄 尾藤
彰宏 牧野
Akihiro Makino
彰宏 牧野
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Abstract

【課題】ジュール熱が外部に放出しやすい高熱伝導性を有し、大電流を流しても磁気性能が悪化しない混合粉末及びこの混合粉末を用いた磁性部品を提供する。【課題を解決するための手段】アモルファス材料及びナノ結晶材料の少なくとも一方を含む軟磁性合金粉末と、軟磁性合金粉末の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する高熱伝導性粉末とを含む混合粉末である。【選択図】図4

Description

本発明はノート型パソコン、小型携帯機器、薄型ディスプレイなどの電気・電子機器に用いられる磁性部品、及びこの磁性部品を成形するのに好適な磁気特性を有した混合粉末に関する。
低損失が求められる圧粉磁心等の磁性部品には、アモルファス混合粉末やナノ結晶混合粉末が用いられる(特許文献1参照。)。しかしアモルファス混合粉末の初透磁率は、温度に対して負の係数を有するため、従来のリアクトルやモータコア等の磁性部品の導体に大電流を流した際にジュール熱が発生し、磁性部品の飽和磁束密度BsやインダクタンスLの磁気性能が悪化してしまう問題があった。アモルファスコア等の磁性部品においては、インダクタンスLが低下する問題があった。特許文献1に記載されたような従来のナノ結晶材料を用いた磁性部品でも組成によっては、透磁率が温度に対して負の係数を有するため、同様のインダクタンスLが低下する問題があった。
特開2016−27656号公報
本発明はこれら課題を解決するもので、ジュール熱が外部に放出しやすい高熱伝導性を有し、大電流を流しても磁気性能が悪化しない混合粉末及びこの混合粉末を用いた磁性部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、アモルファス材料及びナノ結晶材料の少なくとも一方を含む軟磁性合金粉末と、軟磁性合金粉末の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する高熱伝導性粉末とを含む混合粉末であることを要旨とする。
本発明の第2の態様は、アモルファス材料及びナノ結晶材料の少なくとも一方を含む軟磁性合金粉末と、軟磁性合金粉末の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する高熱伝導性粉末とを含む混合粉末を有し、この混合粉末が結着材により成形された磁性部品であることを要旨とする。
本発明によれば、ジュール熱が外部に放出しやすい高熱伝導性を有し、大電流を流しても磁気性能が悪化しない混合粉末及びこの混合粉末を用いた磁性部品を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る混合粉末のX線回折プロファイルを説明する図である。 X線回折強度の解析方法を説明する模式図で、例示的に粉末X線回折法の回折角2θを20°から90°の範囲として選択して測定したX線回折ピークを示し、このX線回折ピークの面積Sから回折強度が算出されることを示す。 軟磁性合金粉末と高熱伝導性粉末を混合せずに、軟磁性合金粉末を単独で測定した比較例に係る試料のX線回折プロファイルである。 実施例1〜11及び比較例1〜3に対し、XRD強度比I/Iの値、平均結晶粒径の値、軟磁性合金粉末の種類、高熱伝導性粉末の種類、透磁率μの変化率、飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderを、それぞれ示す一覧表である。 図4のデータを基礎に、横軸をXRD強度比、左縦軸を圧粉磁心の透磁率μの変化率とし、右縦軸を飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderとしたグラフである。 図4のデータを基礎に、横軸を平均結晶粒径Dの値、左縦軸を圧粉磁心の透磁率μの変化率とし、右縦軸を飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderとしたグラフである。
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す一実施形態や実施例1〜11等は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(一実施形態)
本発明の一実施形態に係る混合粉末は、アモルファス材料及びナノ結晶材料の少なくとも一方を含む軟磁性合金粉末と、軟磁性合金粉末の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する高熱伝導性粉末とを含む。又、本発明の一実施形態に係る磁性部品は、アモルファス材料及びナノ結晶材料の少なくとも一方を含む軟磁性合金粉末と、軟磁性合金粉末の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する高熱伝導性粉末とを含む混合粉末を有し、混合粉末が結着材により成形された構造を有している。
本発明の一実施形態に係る軟磁性合金粉末及び高熱伝導性粉末の形状は球状であってもよいし非球状であってもよい。非球状である場合には、鱗片状、楕円球状、液滴状、針状等の形状異方性を有する形状でもよいし、特段の形状異方性を有しない不定形でもよい。一実施形態に係る軟磁性合金粉末及び高熱伝導性粉末の形状は、混合粉末を製造する段階で得られる球状、楕円球状、液滴状、針状等の形状であってもよいし、製造された軟磁性合金粉末等を二次加工することにより得られた鱗片状等の形状であってもよい。
本発明の一実施形態に係る混合粉末によれば、熱伝導率の高い無機材料の高熱伝導性粉末を混合粉末中に分散させることで、混合粉末の熱伝導率を高め、ジュール熱を外部に放出しやすくすることができるので、大電流を流しても混合粉末の磁気性能が悪化しない。特に、この混合粉末を含む成形体を用いた磁性部品によれば、熱伝導率の高い無機材料の高熱伝導性粉末が磁性部品中に分散しているので、磁性部品の熱伝導率を高め、ジュール熱を磁性部品の外部に放出しやすくすることで、磁性部品に大電流を流しても磁性部品の磁気性能が悪化しない。
<軟磁性合金粉末の作製>
本発明の一実施形態に係る軟磁性合金粉末の製造に際しては、先ず、純鉄(Fe)、金属シリコン(Si)、フェロボロン(Fe−B)、りん鉄(Fe−P)、純銅(Cu)、グラファイト(C)等の原料を秤量する。そして、目的の合金組成になるように調製された原材料を、高周波誘導加熱法により、アルミナルツボの中で1400℃で溶解して溶融金属(合金溶湯)を生成する。この溶融金属を銅の金型に鋳込むことで冷却し母合金を得る。
そして、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、回転水流アトマイズ法、スプレー法、キャビテーション法、スパークエロージョン法等の各種粉末化法により一実施形態に係る軟磁性合金粉末が製造される。水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、回転水流アトマイズ法等のアトマイズ法は、母合金を高周波誘導加熱装置で溶解し、母合金の溶湯をノズルから高速で噴射してできた合金溶湯の流れに冷却媒体(液体又は気体)を衝突させて、合金溶湯を微細化すると共に急冷し、金属粉末として軟磁性合金粉末を得る方法である。
一実施形態に係る軟磁性合金粉末をこのようなアトマイズ法によって製造することにより、極めて微小な軟磁性合金粉末を効率よく製造することができる。又、アトマイズ法によれば、得られる軟磁性合金粉末の粒子形状が表面張力の作用により球形状に近くなる。このため、軟磁性合金粉末を用いて磁性部品を製造したとき充填率の高いものが得られる。すなわち、アトマイズ法によれば、透磁率μ及び飽和磁束密度Bsの高い磁性部品を製造可能な軟磁性合金粉末を得ることができる。
アトマイズ法のうち、水アトマイズ法を採用すれば、製造装置の大型化が可能で、合金溶湯を高圧で噴出可能であるので量産性を向上でき、又、一般的に水アトマイズ法では、アルゴンなどの不活性ガスや窒素及び空気などの各種気体を用いるガスアトマイズ法と比べて冷却速度が高いので、アモルファス化しやすい。水アトマイズ法においては、高圧の水を採用することができ、高速回転する金属ロールや金属板に合金溶湯を衝突させることにより粉末化することとしてもよい。更には、微細化と急冷とに異なる媒体を用いて実施してもよい。なお、液体急冷法により製造された急冷薄帯であると、アモルファス合金を得やすい半面、薄帯を均一微細な扁平粉に粉砕することが困難であるのでアトマイズ法を使用し、最初から球状粉末状で一実施形態に係る軟磁性合金粉末を製造することが好適である。
図4に示した実施例1〜11等では、回転水流アトマイズ法(高速回転水流アトマイズ法)により軟磁性合金粉末を作製した。回転水流アトマイズ法によれば、溶湯を極めて高速で冷却することができるので、溶融金属における無秩序な原子配置が高度に維持された状態で固化に至らせることができ、アモルファス化度の特に高い軟磁性合金粉末を効率よく製造することができる。例えば、一実施形態に係る軟磁性合金粉末としてFe、Si、B、P、Cu、Cを含む合金粉末が回転水流アトマイズ法により製造できる。軟磁性合金粉末内の元素分布に関わらず、一実施形態に係る軟磁性合金粉末の集合体としてFeSiCuの組成式で表したときに、

79≦a≦86at%、
5≦b≦13at%、
0<c≦8at%、
0<x≦10at%、
0≦y≦5at%、
0.4≦z≦1.4at%、
0.08≦z/x≦1.2

を満たすことが一実施形態に係るとして好ましい。図4に示した実施例1,3〜11等においては、粉末組成a=85.7at%、b=9.5at%、c=0.5at%、x=3.5at%、y=1at%、z=0.8at%、z/x=0.23として(Fe85.7Si0.59.53.5Cu0.899の軟磁性合金粉末を作製した。
回転水流アトマイズ法では、冷却用筒体の内周面に沿って冷却液を噴出供給し、冷却用筒体の内周面に沿って旋回させることにより、内周面に冷却液層を形成する。一方、アモルファス合金の原材料を溶融し、得られた溶融金属を自然落下させつつ、これに液体又は気体のジェットを吹き付ける。これにより溶融金属が飛散させ、飛散した溶融金属は冷却液層に取り込まれる。その結果、飛散して微粉化した溶融金属が急速冷却されて固化し、軟磁性合金粉末が得られる。
<熱処理工程>
次に、軟磁性合金粉末を熱処理することで急速冷却による固化で生じた内部応力を緩和させる。軟磁性合金粉末はΔTx(過冷却液体領域)=Tx(結晶化開始温度)−Tg(ガラス遷移温度)で表される過冷却液体領域を有している。Tg温度近傍で熱処理をすることで応力が完全に緩和し、優れた軟磁気特性が発現する。すなわち、作製された軟磁性合金粉末についてアモルファス状態を維持できる温度、時間で熱処理し、内部応力を緩和することで軟磁気特性を向上させることができる。ただしTg温度近傍での熱処理は必ずしも必要ではない。Tx(結晶化開始温度)近傍での熱処理では、ナノ結晶を析出させることもできる。
軟磁性合金粉末を赤外線ランプ加熱装置にてアルゴン雰囲気中にて熱処理することで、図4に示した実施例1ではアモルファス相中に平均結晶粒径D=23nmの結晶粒(ナノ結晶)を析出させることができる。なお、平均結晶粒径Dは、X線回折法におけるシェラー(Scherrer)の式:

D=Kλ/(βcosθ) ……(1)

ここでKは形状因子、λはX線波長、βはピーク半値全幅(FWHM、ただしラジアン単位)、θはX線回折におけるブラッグ角である。平均結晶粒径Dの精度を上げるため、X線回折法の2θステップ幅を0.01以下にすることが望ましい。同様に、結晶が析出できる温度以上で熱処理することでアモルファス相中に実施例3では平均結晶粒径D=28nm、実施例4では平均結晶粒径D=31nm、実施例5では平均結晶粒径D=29nm、実施例6では平均結晶粒径D=43nm、実施例7では平均結晶粒径D=58nm、実施例8では平均結晶粒径D=20nm、実施例9では平均結晶粒径D=25nm、実施例10では平均結晶粒径D=23nm、実施例11では平均結晶粒径D=27nmの結晶粒を析出させた。
すなわち、熱処理により、図4に示した実施例1,3〜11等ではアモルファス相とα―Feのナノ結晶相の混層組織を有するナノメット(登録商標)と称される軟磁性合金粉末が得られる。熱処理温度が300℃より低いと内部応力が緩和できず、又400℃より低いと、α―Feの結晶相が析出せず、700℃を超えるとα―Feの結晶相の平均結晶粒径Dが60nmを超え、軟磁気特性が低下する。従って、アモルファス状態で用いる場合は300℃〜600℃の範囲で熱処理することが望ましい。実施例2はアモルファス状態である。又α―Feの結晶相の結晶粒を析出させるには、低温でも長時間に亘って保持することにより結晶化は可能であり、400℃〜700℃の範囲で熱処理することが望ましい。熱処理は上記のアルゴン雰囲気の他、例えば真空、窒素、大気中等の雰囲気で行ってもよい。なお、熱処理時間は例えば1分から100分程度である。更に、磁場中あるいは応力下で熱処理を行い、軟磁性合金粉末の磁気特性を調整してもよい。
なお、α―Feの結晶粒の平均粒径が60nmを超えると軟磁気特性の低下を招く。従って、結晶粒の平均粒径は60nm以下であることが望ましく、更には、実施例1,3〜5,8〜11等のように30nm以下であることが望ましい。又急冷状態で結晶粒が析出した場合であっても、平均結晶粒径Dが実施例7の58nm程度であればよい。
図4に示した実施例1〜8では、メディアン径d50=42.71μmのグラファイト粉末を軟磁性合金粉末の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する高熱伝導性粉末として用意し、非熱処理状態の軟磁性合金粉末とグラファイト粉末が、所定の重量比率となるように調合した後、乳鉢で撹拌混合して、一実施形態に係る混合粉末を形成した。同様に、図4に示した実施例9では窒化アルミニウム(AlN)粉末、実施例10では窒化ホウ素(BN)粉末、実施例11では炭化ケイ素(SiC)粉末を軟磁性合金粉末の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する高熱伝導性粉末として用意し、非熱処理状態の軟磁性合金粉末と高熱伝導性粉末が、所定の重量比率となるように調合した後、乳鉢で撹拌混合して、一実施形態に混合粉末を形成した。
<磁性部品の成形>
本発明の一実施形態に係る磁性部品の製造方法は、上記のように、軟磁性合金粉末を作製する粉末作製工程と、軟磁性合金粉末を熱処理して軟磁性合金粉末中にα―Feのナノ結晶相を生成する熱処理工程の後、軟磁性合金粉末と高熱伝導性粉末の混合粉末を用いて磁性部品を作製する成形工程とを含む。すなわち、一実施形態に係る磁性部品は、一実施形態に係る混合粉末と結着材(バインダ)と有機溶媒とを混合し、得られた混合物を成形金型に供給するとともに、加圧・成形して得られる。
磁性部品の作製に用いられる結着材(バインダ樹脂)の構成材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等の有機材料、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カドミウムのようなリン酸塩、ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩(水ガラス)等の熱硬化性無機材料等が挙げられるが、図4に示した実施例1〜11ではフェノール系樹脂を3wt%となるように混合し、造粒粉を得る。これらの結着材樹脂材料は、磁性部品の製造容易性及び耐熱性を高めることができる。
又、混合粉末に対する結着材の割合は、作製する磁性部品の目的とする飽和磁束密度Bsや機械的特性、許容される鉄損Pcv等に応じて若干異なるが、0.5質量%以上5質量%以下程度であるのが好ましく、1質量%以上3質量%以下程度であるのがより好ましい。これにより、混合粉末の各粒子同士を確実に絶縁しつつ、磁性部品の密度をある程度確保して、磁性部品の飽和磁束密度Bsや透磁率μが著しく低下するのを防止することができる。その結果、より飽和磁束密度Bs及び透磁率μが高く、且つ、より低い鉄損Pcvの磁性部品が得られる。
又、結着材を溶解させる有機溶媒としては、結着材を溶解し得るものであれば特に限定されないが、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル等の各種溶媒が挙げられる。
金型からの脱型性を高めるため潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸ストロンチウム等のステアリン酸金属塩が挙げられる。これらのステアリン酸金属塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて潤滑剤として用いることができる。
図4に示した実施例1〜11では、いわゆるスプリングバックが小さいという観点から、ステアリン酸亜鉛を潤滑剤として用いる。潤滑剤を用いる場合には、その添加量は、好ましくは混合粉末の100重量部に対して、0.1〜0.9重量部であり、より好ましくは混合粉末の100重量部に対して、0.3〜0.7重量部である。潤滑剤が少なすぎると、成形後の金型からの脱型が困難となり、成形クラックが生じやすい傾向にある。
一方、潤滑剤が多すぎると、成形密度の低下を招き、透磁率μが減少してしまう。潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を用いる場合には、得られる磁性部品中の、亜鉛(Zn)の含有量が、0.004〜0.2質量%の範囲内となる、添加量を調整することが好ましい。Znの含有量が多すぎると、磁性部品としての十分な強度が得られない傾向にある傾向がある。
図4に示した実施例1〜11では、乳鉢に混合粉末とエタノールで溶解させたフェノール樹脂を入れ、乳鉢混合により均一に混合し、フェノール系樹脂3wt%の造粒粉を得た後に、エタノールを乾燥させる。なお、金型への充填性を高めるために、粗大な凝集物を乳棒で解砕する。図4に示した実施例1〜11では以下の条件で造粒粉を形成した:

合金粉末: 10g
結着材: 0.53g
潤滑剤: 0.30g

混錬時間: 10分
乾燥温度: 100℃
溶剤揮発時間:30分
本発明の一実施形態に係る磁性部品を圧粉磁心として例示すれば、圧粉磁心の形状としては、トロイダル型、FT型、ET型、EI型、UU型、EE型、EER型、UI型、ドラム型、ポット型、カップ型等が例示できる。実施例1〜11及び比較例1〜3では、トロイダル型の圧粉磁心を製造した。このため、上記の造粒粉を内径8mm,外径13mm,高さ3mmのトロイダル形状の金型に充填し、油圧ハンドプレス装置で1.5GPaの圧力を加えることで圧粉磁心の形状に成形し、磁心厚さ3.5mmの成形体を得た。
次に、得られた成形体を加熱することにより、結着材を硬化させ、圧粉磁心を得る。このとき、加熱温度は、結着材の組成等に応じて若干異なるものの、結着材が有機材料で構成されている場合、好ましくは100℃以上500℃以下程度とされ、より好ましくは120℃以上250℃以下程度とされる。図4に示した実施例1〜11では加熱温度160℃とした。又、加熱時間は、加熱温度に応じて異なるものの、0.5時間以上5時間以下程度とされるが、図4に示した実施例1〜11では加熱時間1時間とした。
<X線回折>
成形体の軟磁性合金粉末と高熱伝導性粉末の粉末X線回折法による回折強度は、以下に説明する方法で測定することができる。図1及び図2にX線回折強度の解析方法を説明する模式図を示す。図1に示すX線回折プロファイルの各X線回折ピークP,P,P,P,Pからの回折強度は、図2に示すような各X線回折ピークの面積Sで求められる。図2は粉末X線回折法の回折角2θを20°から90°の範囲として測定したデータの代表図である。
図3は、軟磁性合金粉末と高熱伝導性粉末を混合せずに軟磁性合金粉末を単独で測定した比較例のX線回折プロファイルである。図1と図3を比較すれば、図1に示したピークPからピークPのうち軟磁性合金粉末からの回折ピークはP,P,Pであり、高熱伝導性粉末からの回折ピークはP,Pであると容易に同定できる。なお、X線回折ピークの位置を示す回折角2θはその材質に依存し、軟磁性合金粉末の組成や軟磁性合金粉末を構成する相、及び高熱伝導性粉末の材質によって決定され、本発明の一実施形態に係る粉末X線回折データは図1のX線回折プロファイルに限られたものではない。
各X線回折ピークP,P,P,P,Pの面積を、S,S,S,S,Sとして、図1に示した回折角2θが20℃から90°の範囲におけるX線回折プロファイルから、図1に示した場合の軟磁性合金粉末からのX線回折強度の和I(=S+S+S)と高熱伝導性粉末からのX線回折強度の和I(=S+S)の比I/Iを以下のように定義する:

/I=(S+S)/(S+S+S) ……(2)
図4には式(2)で定義されるXRD強度比I/Iを、実施例1〜11及び比較例1〜3の試料に対して計算した結果を示している。比較例1は軟磁性合金粉末が実施例2と同様なアモルファス状態であり、比較例1の場合は高熱伝導性粉末が混合されていないので式(2)で定義されるXRD強度比I/Iがゼロである。
比較例2及び3は軟磁性合金粉末が実施例1、3〜11と同様なアモルファス相とα―Feのナノ結晶相の混層組織を有する構造で、高熱伝導性粉末としてグラファイト粉末を混合した試料である。比較例2及び3は、図4から分かるように、XRD強度比I/Iが実施例1〜11のXRD強度比I/Iよりも大きくした試料である。
図4から分かるように実施例1のXRD強度比I/Iは 0.01である。同様に、実施例2のXRD強度比I/Iは0.23であり、実施例3のXRD強度比I/Iは0.18であり、実施例4のXRD強度比I/Iは0.17であり、実施例5のXRD強度比I/Iは0.11であり、実施例5のXRD強度比I/Iが、実施例1〜11の中で最も小さい。又、実施例6のXRD強度比I/Iは0.31であり、実施例7のXRD強度比I/Iは0.25であり、実施例8のXRD強度比I/Iは0.58であり、実施例8のXRD強度比I/Iが、実施例1〜11の中で最も大きい。更に、実施例9のXRD強度比I/Iは0.45であり、実施例10のXRD強度比I/Iは0.33であり、実施例11のXRD強度比I/I は0.2である。
このように実施例1〜11のXRD強度比I/Iが0.17〜0.58であるのに対し、図4に示した比較例2のXRD強度比I/Iは0.76であり、比較例3のXRD強度比I/Iが1.1であるので、比較例2及び3のXRD強度比I/Iは、実施例1〜11のXRD強度比I/Iよりも大きい。
<磁気的特性の測定>
図4には、実施例1〜11及び比較例1〜3に係る圧粉磁心に導電性部材を巻き、透磁率(複素比透磁率の実数部)μの変化率を測定した結果、混合粉末における飽和磁束密度Bsに対する圧粉磁心に成形した状態での飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderも示している。
透磁率μは、実施例1〜11及び比較例1〜3に係る圧粉磁心に直径0.3mmの被覆銅線を導電性部材として巻きつけてコイル部品を作製した後に測定している。被覆銅線による一次巻き線と二次巻き線の巻き数は32ターンであった。アジレント(Agilent)テクノロジー株式会社製のインピーダンスアナライザ4294Aを用いて、測定周波数100kHzにおけるコイル部品のインダクタを測定し、8000A/mの磁界を印加させながらインダクタンスL値を測定し、印加磁界がゼロのときのインダクタンスL値で除した値を透磁率μの変化率とした。
XRD強度比I/Iが実施例1〜11の中で最も小さい実施例1に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は図4に示すように、−0.28であり、実施例1〜11の中で最も大きい。又、実施例2に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.23であり、実施例3に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は―0.21であり、実施例4に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は―0.25であり、実施例5に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.21であり、実施例6に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.12であり、実施例7に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.19である。そして、XRD強度比I/Iが、実施例1〜11の中で最も大きい実施例8に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.1であり、実施例1〜11の中で最も小さい。更に、実施例9に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.15であり、実施例10に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.13であり、実施例11に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.17である。
上述したとおり、実施例5のXRD強度比I/Iは0.11であり、実施例6のXRD強度比I/Iは0.31であり、実施例7のXRD強度比I/Iは0.25であり、実施例8のXRD強度比I/Iは0.58であり、実施例9のXRD強度比I/Iは0.45であり、実施例10のXRD強度比I/Iは0.33であり、実施例1〜4の0.01〜0.23の値に比して大きくなっており、高熱伝導性粉末を多く含みすぎると、圧粉磁心の透磁率μの変化率が大きくなる傾向が認められる。
一方、比較例1に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.35であり、実施例1〜11に比較して大きいものの、比較例2に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.2であり、比較例3に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は−0.18と小さな値となっている。比較例2のXRD強度比I/Iは0.76で、比較例3のXRD強度比I/Iが1.1であるので、高熱伝導性粉末を多くなると、圧粉磁心の透磁率μの変化率が大きくなる傾向が分かる。 混合粉末の飽和磁束密度Bspowderの値は、実施例1〜11及び比較例1〜3の混合粉末の試料10mgを採取し、非磁性の粘着テープ上に試料を載せて、この粘着テープを二つ折りにし、縦7mm、横7mmの板状に成形した。次いで、振動試料型磁力計(東英工業社製VSM−5−10)を使用し、最大印加磁界を12000A/m、室温(25℃)で飽和磁化を測定した。そして、この測定値と実施例1〜11及び比較例1〜3の各試料の真比重から飽和磁束密度Bspowderを算出した。
成形体である圧粉磁心の飽和磁束密度Bscoreは、Bspowderに成形体の密度を乗じ、軟磁性合金粉末の真比重でわることで算出した。図4に示す測定では、先ず実施例1〜11及び比較例1〜3の各成形体の外形寸法と重量を測定し、実施例1〜11及び比較例1〜3の各成形体の密度を算出した。
実施例1〜11及び比較例1〜3の各成形体の外形寸法は、ノギスを用いて外形と内径の三点を測定して平均値を算出したものである。測定は、マイクロメータを用いて厚さを三点測定し、平均値を算出している。実施例1〜11及び比較例1〜3の各成形体の相対密度は、各成形体の重量を測定し、成形体の寸法から算出した成形体の体積で除することで成形体の密度を算出した。実施例1〜11及び比較例1〜3の各成形体の密度を混合粉末の真比重で除することで各成形体の相対密度が算出できる。
実施例1,4,5の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderは、0.8であり、実施例1〜11の中で最も大きく、高熱伝導性粉末を含まない比較例1の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderも0.8である。このことは高熱伝導性粉末を含んでも、高熱伝導性粉末を含まない圧粉磁心の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderと同程度にできるということを示している。上述したとおり、実施例1に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は0.72であり、実施例4に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は0.75であり、実施例5に係る圧粉磁心の透磁率μの変化率は0.79であるので、高熱伝導性粉末を含むことより圧粉磁心の透磁率μの変化率が小さくなっている。
又、実施例3の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderは、0.79であり、実施例1〜11の中で2番目に大きい。そして、実施例2,7の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderは、0.77であり、実施例1〜11の中で2番目に大きい。更に、実施例10の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderが0.75、実施例11の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderが0.74、実施例6の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderが0.73となり、実施例8,9の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderは0.71であり、実施例1〜11の中で最も小さい。
一方、比較例2の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderは0.64で、比較例3の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderは0.55であり、実施例1〜11に比して小さな値となっている。比較例2のXRD強度比I/Iは0.76であり、比較例3のXRD強度比I/Iが1.1であるので、高熱伝導性粉末を多く含みすぎると、飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderが小さくなることが分かる。
図5は図4を基礎に横軸をXRD強度比とし、左縦軸を圧粉磁心の透磁率μの変化率とし右縦軸を飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderとしたものである。図5において白抜きの○印が比較例1〜3のデータに対応する。比較例1〜3のデータが左縦軸に示された圧粉磁心の透磁率μの変化率として白抜きの○印で示され、白抜きの□印が、比較例1〜3のデータとして右縦軸に示された圧粉磁心の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderの変化率として示されている。図5の一番右側の○印と□印が比較例3のデータを示し、図5の右から2番目の○印と□印が比較例2のデータを示し、図5の一番左側の○印と□印がXRD強度比I/I=0の比較例1のデータを示す。
図5において左上がりのハッチング(斜線)の模様を付した○印が実施例1〜11のデータに対応する。実施例1〜11のデータが左縦軸に示された圧粉磁心の透磁率μの変化率としてハッチングの模様を付した○印で示され、ドット柄の模様を付した□印が、実施例1〜11のデータとしての右縦軸に示された圧粉磁心の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderの変化率として示されている。図5の一番右側の模様を付した○印と□印が実施例8のデータを示し、図5の右から2番目の模様を付した○印と□印が実施例9のデータを示し、図5の右から3番目の模様を付した○印と□印が実施例10のデータを示し、図5の右から4番目の模様を付した○印と□印が実施例6のデータを示す。そして、図5の一番左側の模様を付した○印と□印がXRD強度比I/I=0.01の実施例1のデータを示す。 XRD強度比I/Iの大きな実施例6〜10は 図5の右側に分布し、図5の左側に分布している実施例1〜5よりは圧粉磁心の透磁率μの変化率が大きくなる傾向であり、高熱伝導性粉末を多く含みすぎると、圧粉磁心の透磁率μの変化率が大きくなることが分かる。
図6は図4を基礎に横軸を平均結晶粒径Dとし、左縦軸を圧粉磁心の透磁率μの変化率とし右縦軸を飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderとしたものである。図6において白抜きの○印が、比較例1〜3のデータとしての左縦軸に示された圧粉磁心の透磁率μの変化率であり、白抜きの□印が、比較例1〜3のデータとしての右縦軸に示された圧粉磁心の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderの変化率である。図6の一番右側の○印と□印が比較例2のデータを示し、図6の右から2番目の○印と□印が比較例3のデータを示し、図6の一番左側の○印と□印がアモルファス(平均結晶粒径D=0)の比較例1のデータを示す。
図6において左上がりのハッチングの模様を付した○印が、実施例1〜11のデータとして、左縦軸に示された圧粉磁心の透磁率μの変化率を示す。又、ドット柄の模様を付した□印が、実施例1〜11のデータとして、右縦軸に示された圧粉磁心の飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderの変化率を示す。図6の一番右側の模様を付した○印と□印が実施例7のデータを示し、図6の右から2番目の模様を付した○印と□印が実施例6のデータを示し、図6の一番左側の模様を付した○印と□印がアモルファス(平均結晶粒径D=0)実施例2のデータを示す。又、図6の左から2番目の模様を付した○印と□印が平均結晶粒径D=20nmである実施例8のデータを示し、図6の左から3番目の模様を付した2つの○印と2つの□印が平均結晶粒径D=23nmである実施例1と実施例10の2つの試料のデータを示す。更に、図6の左から4番目の模様を付した○印と□印が平均結晶粒径D=25nmである実施例9のデータを示す。
図6から、平均結晶粒径が20nm以上の実施例1,3〜11であれば、飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderが、比較例2及び3に係る飽和磁束密度Bsの比Bscore/Bspowderよりも大きくなり、大電流を流した際のジュール熱による飽和磁束密度Bsの低下が抑制されていることが分かる。一方、圧粉磁心の透磁率μの変化率に関しては、実施例1(左から3番目)、実施例3(左から6番目)、実施例5(左から7番目)、実施例4(左から8番目)の値が比較例2及び3より小さいので、平均結晶粒径Dは20nm以上且つ31nm以下が、透磁率μの変化率を低く設定する上で好ましい。
以上のとおり、本発明の一実施形態に係る混合粉末及び磁性部品によれば、ジュール熱が外部に放出しやすい高熱伝導性を有した磁性部品が実現できるので、磁性部品を用いた電気・電子機器の導体に大電流を流した際のジュール熱の発生による磁性部品の飽和磁束密度Bsが低下することを抑制でき、又、ジュール熱の発生による磁性部品の透磁率の変化も抑制できるので、信頼性の高い電気・電子機器が提供できる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は一実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、上記の一実施形態の説明では圧粉磁心を本発明の磁性部品と一つとして例示し、圧粉磁心に導電性部材を巻きつけたコイル部品について説明したが、本発明の実施形態に係る磁性部品は圧粉磁心や圧粉磁心を用いたコイル部位品に限定されるものではない。本発明は、リアクトル、トランス、インダクタ、モータ、ノイズフィルタ等ノイズ関連、チョークコイルなどの磁力を利用する各種の磁性部品に適用可能である。
本発明の実施例1〜11等では、磁性部材である圧粉磁心(圧粉コア)とコイル状の形状を有する導電性部材とを備える構造を説明したが、本発明の実施形態に係る磁性部材は磁性シートでもよい。他の磁性部品の例としての磁性シートには、両面テープなど他の固定用部材等が含まれていてもよい。又、磁性部材の成形体の内部にコイルが埋設されている構造であっても構わない。導電性部材は、磁性部材の内部に埋設可能であれば、その形状及び組成は限定されない。
本発明の実施形態に係る磁性部品を備えることにより、本発明の実施形態に係る電気・電子機器を構成できる。本発明の実施形態に係る磁性部品がインダクタンス素子からなる場合には、このインダクタンス素子が実装された機器が本発明の実施形態に係る電気・電子機器に対応し、本発明の実施形態に係る磁性部品が磁性シートからなる場合には、この磁性シートが、例えば筐体や基板に貼付された機器が、本発明の実施形態に係る電気・電子機器に対応する。具体的には、スイッチング電源、電圧昇降回路、平滑回路等を備えた電源装置、インバータ装置、ノート型パソコンや携帯電話等の小型情報機器、薄型CRT、フラットパネルディスプレイなどが、本発明の実施形態に係る電気・電子機器として例示される。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
磁気部品を製造する産業分野や、この磁気部品を用いたノート型パソコン、小型携帯機器、薄型ディスプレイなどの電気・電子機器の製造の技術分野に利用可能である。

Claims (9)

  1. アモルファス材料及びナノ結晶材料の少なくとも一方を含む軟磁性合金粉末と、
    前記軟磁性合金粉末の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する高熱伝導性粉末と
    を含むことを特徴とする混合粉末。
  2. 前記高熱伝導性粉末はグラファイト、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、炭化ケイ素(SiC)の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の混合粉末。
  3. 前記軟磁性合金粉末は、結晶相とアモルファス相で構成され、X線回折法におけるシェラー(Scherrer)の式で求められる平均結晶粒径が60nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合粉末。
  4. 前記軟磁性合金粉末はFe、Si、B、P、Cu、Cを含み、粉末の集合体としてFeSiCuの組成式で表したときに、79≦a≦86at%、5≦b≦13at%、0<c≦8at%、0<x≦10at%、0≦y≦5at%、0.4≦z≦1.4at%、及び0.08≦z/x≦1.2の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の混合粉末。
  5. アモルファス材料及びナノ結晶材料の少なくとも一方を含む軟磁性合金粉末と、
    前記軟磁性合金粉末の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する高熱伝導性粉末と
    を含む混合粉末を有し、前記混合粉末が結着材により成形されたことを特徴とする磁性部品。
  6. 回折角2θが、20°≦2θ≦90°の範囲のX線回折プロファイルにおいて、前記軟磁性合金粉末からの回折強度に対する、前記高熱伝導性粉末からの回折強度の比が0.01以上であることを特徴とする請求項5に記載の磁性部品。
  7. 前記高熱伝導性粉末はグラファイト、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、炭化ケイ素(SiC)の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の磁性部品。
  8. 前記軟磁性合金粉末は、結晶相とアモルファス相で構成され、X線回折法におけるシェラー(Scherrer)の式で求められる平均結晶粒径が60nm以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の磁性部品。
  9. 前記軟磁性合金粉末はFe、Si、B、P、Cu、Cを含み、粉末の集合体としてFeSiCuの組成式で表したときに、79≦a≦86at%、5≦b≦13at%、0<c≦8at%、0<x≦10at%、0≦y≦5at%、0.4≦z≦1.4at%、及び0.08≦z/x≦1.2の条件を満たすことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の磁性部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114147217A (zh) * 2020-11-30 2022-03-08 佛山市中研非晶科技股份有限公司 间隙填充的非晶纳米晶混合粉末及其制备方法

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