JP6743458B2 - 観測システム及び観測システムの制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、観測システム及び観測システムの制御方法等に関する。
従来、構造物の表面状態を判定する手法が知られている。例えば特許文献1には、2波
長の赤外光の吸収を比較することで道路表面の凍結を検知するシステムが開示されている
。また、特許文献2には、誘電体からなるセンサー面への水分の付着を共振周波数変化か
ら検出し、温度情報と合わせて道路表面の凍結を検知する手法が開示されている。
その他、構造物表面の凍結状態、積雪状態を検出する手法は種々知られており、カメラ
を用いて画像から判定する手法や、レーザーを用いて判定する手法等も知られている。
特開平9−318766号公報 特開平10−239111号公報
特許文献1の手法では、検出対象となるのは道路のうちの赤外光が照射される部分に限
定される。また、特許文献2では誘電体に水分が付着したか否かの判定を行っており、当
該誘電体の設けられる部分が検出対象となる。つまり、いずれの凍結検知システムにおい
てもセンシング領域は路面の一部に限定されており、判定結果が、構造物の表面全体の状
態を適切に反映しないことがあった。また、センシング領域を拡大するためには多数の計
測装置が必要となってしまう。
本発明の幾つかの態様によれば、ピーク振動周波数の情報を用いることで、構造物の表
面状態を適切に判定する観測システム及び観測システムの制御方法等を提供できる。
本発明の一態様は、構造物に設置され前記構造物の振動を検出するセンサー部からのセ
ンサー情報を取得する情報取得部と、前記センサー情報に基づいて、前記振動のピーク振
動周波数の情報を求め、前記ピーク振動周波数の情報に基づいて、前記構造物の表面状態
を判定する処理部と、を含む観測システムに関係する。
本発明の一態様では、構造物の振動のピーク振動周波数の情報に基づいて構造物の表面
状態を判定する。ピーク振動周波数は、計測対象である構造物全体の特性によって決定さ
れるものであるため、ピーク振動周波数の情報を用いた判定を行うことで、構造物表面の
広い範囲を対象とした状態判定を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記ピーク振動周波数の変化情報に基づい
て、前記構造物の前記表面状態を判定してもよい。
これにより、表面状態の判定にピーク振動周波数の変化情報を用いることが可能になる
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記ピーク振動周波数の所定期間での変化
幅に基づいて、前記構造物の前記表面状態を判定してもよい。
これにより、表面状態の判定に、ピーク振動周波数の所定期間での変化幅を用いること
が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記所定期間での変化幅が所与の閾値より
も大きい場合には、第1の表面状態と判定し、前記所定期間での変化幅が前記所与の閾値
以下の場合には、前記第1の表面状態とは異なる第2の表面状態と判定してもよい。
これにより、ピーク振動周波数の所定期間での変化幅と所与の閾値との比較処理により
、表面状態を判定することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記所与の閾値を可変に設定してもよい。
これにより、表面状態の判定に用いる閾値を柔軟に設定することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記第1の表面状態は、凍結状態及び積雪状態の少なくと
も一方の状態であってもよい。
これにより、構造物の表面状態の判定として、凍結状態及び積雪状態の少なくとも一方
であるか否かの判定を行うことが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記情報取得部は、前記構造物の周囲温度情報を取得し、
前記処理部は、前記周囲温度情報と、前記ピーク振動周波数の情報に基づいて、前記構造
物の前記表面状態の判定を行ってもよい。
これにより、周囲温度情報とピーク振動周波数とに基づいて表面状態を判定することが
可能になる。
また、本発明の一態様では、前記センサー部と、バッテリーを有する電源供給部と、自
然エネルギーにより、前記バッテリーの充電を行う充電部と、を含み、前記処理部は、前
記センサー部からの前記センサー情報に基づいて、前記構造物の状態の監視処理を行って
もよい。
これにより、自然エネルギーを用いた構造物の状態監視システムを、表面状態の判定に
利用することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記構造物は、橋梁であり、前記処理部は、前記センサー
部からの前記センサー情報に基づいて、前記橋梁の交通量情報の監視処理を行ってもよい
これにより、橋梁の交通量情報の監視システムを、表面状態の判定に利用することが可
能になる。
また、本発明の一態様では、前記センサー部は、前記橋梁の第1の橋脚と第2の橋脚と
に接続される橋桁の、前記第1の橋脚と前記第2の橋脚との間の中央部に設置されてもよ
い。
これにより、振動の検出が容易になり、精度の高い表面状態の判定が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記構造物の前記表面状態の報知処理を行う報知部を含ん
でもよい。
これにより、判定した表面状態の報知を行うことが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記情報取得部は、天候情報を取得し、前記処理部は、前
記天候情報に基づいて、前記構造物の前記表面状態の判定を行うか否かを決定してもよい
これにより、表面状態の判定を行うか否かの決定に天候情報を利用することが可能にな
る。
また、本発明の他の態様は、構造物に設置され前記構造物の振動を検出するセンサー部
からのセンサー情報を取得し、前記センサー情報に基づいて、前記振動のピーク振動周波
数の情報を求め、求められた前記ピーク振動周波数の情報に基づいて、前記構造物の表面
状態を判定する観測システムの制御方法に関係する。
観測システムの構成例。 センサー端末装置の外観例。 観測システムを含むシステムの構成例。 センサー端末装置の橋梁への設置例。 ピーク振動周波数(最大振動周波数)の演算処理を説明するフローチャート。 複数のピーク振動周波数が検出される例。 所与の橋梁の周囲温度情報(気温)の時間変化例。 所与の橋梁のピーク振動周波数の時間変化例。 所与の橋梁のピーク振動周波数の詳細な時間変化例。 所与の橋梁の周囲の降水量の詳細な時間変化例。 所与の橋梁の周囲温度情報(気温)の詳細な時間変化例。 所与の橋梁のピーク振動周波数と周囲温度情報の相関図。 期間に基づく分離を行ったピーク振動周波数と周囲温度情報の相関図。 期間に基づく分離を行ったピーク振動周波数と周囲温度情報の相関図。 ピーク振動周波数の変化幅に基づく分離を行ったピーク振動周波数と周囲温度情報の相関図。 ピーク振動周波数の変化幅に基づく分離を行ったピーク振動周波数と周囲温度情報の相関図。 他の橋梁の周囲温度情報(気温)の時間変化例。 他の橋梁のピーク振動周波数の時間変化例。 他の橋梁のピーク振動周波数と周囲温度情報の相関図。 ピーク振動周波数の変化幅に基づく分離を行ったピーク振動周波数と周囲温度情報の相関図。 ピーク振動周波数の変化幅に基づく分離を行ったピーク振動周波数と周囲温度情報の相関図。 過剰に小さい閾値を用いた場合の分離結果例。 過剰に小さい閾値を用いた場合の分離結果例。 過剰に大きい閾値を用いた場合の分離結果例。 過剰に大きい閾値を用いた場合の分離結果例。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の
範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明さ
れる構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。構造物の表面状態、具体的には凍結状態や積
雪状態を判定する種々の手法が知られている。道路や橋梁を構造物とした場合、凍結状態
や積雪状態を検出できれば、道路上を通行する車両の運転手に対してスリップ等の危険性
を通知できる。
しかし、特許文献1や特許文献2のような従来手法では、センシング対象が構造物表面
の一部に限定されてしまう。そのため従来手法では、当該一部だけが凍結している場合に
も、凍結状態との判定結果が得られることになる。上述した車両のスリップ抑止といった
要求を考えれば、検出すべきは、構造物表面の広い範囲が凍結しているか否かといった構
造物の全体の表面状態である。つまり従来手法では、取得される表面状態の判定結果と、
本来取得すべき構造物全体としての表面状態とに乖離が生じる可能性があった。また、こ
のような乖離を抑止しようとすれば、構造物に設けられるセンサーや検知装置の数を増や
す必要があり、設置や維持管理に要する手間やコストが問題となる。
そこで本出願人は、構造物の広い範囲の表面状態判定を少数のセンサーにより精度よく
実現する手法、狭義には構造物全体の表面状態判定を1つのセンサーにより実現する手法
を提案する。本実施形態に係る観測システム100は、図1に示すように、構造物に設置
され構造物の振動を検出するセンサー部140からのセンサー情報を取得する情報取得部
110と、センサー情報に基づいて、振動のピーク振動周波数の情報を求め、ピーク振動
周波数の情報に基づいて、構造物の表面状態を判定する処理部120を含む。
構造物の振動特性は、当該構造物のサイズ、重量、形状、材質等により決定される。つ
まり、構造物の振動周波数のうち、他の周波数に比べて強度(エネルギー)が高い周波数
をピーク振動周波数とした場合、当該ピーク振動周波数は、構造物全体の特性を表す情報
となる。ピーク振動周波数を求める手法の詳細については後述するが、例えば振動強度(
加速度信号)の時間変化波形に対して周波数変換処理を行い、強度が極大値となる周波数
をピーク振動周波数とすればよい。
ここでのピーク振動周波数は、3次元の構造物が持つ1又は複数の振動モードのうちの
いずれかの共振状態に対応していると考えられる。構造物が複数の振動モードを有し、そ
れによりピーク振動周波数として複数の振動周波数が検出される場合、「ピーク振動周波
数の情報」とは複数の振動周波数のうちのいずれか1つの振動周波数(例えば後述する最
大振動周波数)であってもよいし、複数の振動周波数のうちの2以上の振動周波数であっ
てもよい。なお、橋梁の橋桁の振動を計測するような場合においては、橋桁が凍結するこ
とにより固定条件(振動の境界条件)の変化が起こって共振条件が変化あるいは複数モー
ドに分かれることも考えられる。また、一般的に、サイズが大きいほど、また重さが重い
ほど、物体の固有振動周波数は小さくなる傾向にあるため、本実施形態におけるピーク振
動周波数についても同様の傾向を示すと推定される。
本実施形態の手法では、ピーク振動周波数に基づいて構造物の表面状態を判定するため
、判定結果は、従来手法とは異なり構造物全体の表面状態を表すものとなる。結果として
、少ないセンサー(狭義には1つのセンサー)により、構造物全体としての表面状態を判
定することが可能になる。
なお、特許文献2は、あくまで共振器の固有振動数(共振周波数)の変化を検出してい
るに過ぎず、表面状態判定の対象である構造物の、振動のピーク振動周波数を用いる手法
ではない。また、構造物のピーク振動周波数の情報から表面状態の判定が可能であること
について、従来手法には一切の開示が見られない。
以下では、まず本実施形態に係る観測システム100、及び観測システム100を含む
システムの構成例を説明し、その後、ピーク振動周波数を用いて表面状態が判定可能であ
ることを、実測されたデータに基づいて説明する。最後に、幾つかの変形例を説明する。
2.システム構成例
本実施形態に係る観測システム100の構成例は図1に示したとおりであり、観測シス
テム100は、情報取得部110と、処理部120と、構造物の表面状態の報知処理を行
う報知部(出力部)130を含む。ただし、観測システム100は、図1の構成に限定さ
れず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形
実施が可能である。また、図2、図3を用いて後述するセンサー端末装置200により観
測システム100が実現される場合、観測システム100は、センサー部140を含んで
もよい。
情報取得部110は、センサー部140からのセンサー情報を取得する。観測システム
100がセンサー部140を含む場合、情報取得部110は、センサー情報取得用のイン
ターフェース、例えばセンサー部140からのアナログ信号のA/D変換を行うA/D変
換器や増幅処理を行う増幅器として実現されてもよい。或いは、センサー情報が外部機器
において取得される場合、情報取得部110は当該外部機器からの情報の受信を行う受信
処理部として実現される。
処理部120は、情報取得部110が取得したセンサー情報に基づいて、種々の処理を
行う。この処理部120の機能は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(Applicatio
n Specific Integrated Circuit、ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラム
などにより実現できる。具体的には、処理部120は、センサー情報に基づいて、構造物
のピーク振動周波数を求める処理や、求めたピーク振動周波数に基づいて表面状態を判定
する処理を行う。
報知部130は、処理部120における表面状態の判定結果をユーザーに対して報知す
る処理を行う。報知部130は、表示部であり、判定結果を表示してもよい。或いは、報
知部130は振動部や光源部であってもよく、振動や発光により報知を行ってもよい。或
いは、報知部130は通信部(送信処理部)であってもよく、他の機器での報知処理を行
うための報知情報の送信を行ってもよい。
図2は、本実施形態に係る観測システム100を含むシステムに用いられる、センサー
端末装置200の外観図の例である。センサー端末装置200は、筐体10と、センサー
筐体20と、太陽光パネル30と、支柱40とを含む。ただし、センサー端末装置200
は、図2の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追
加するなどの種々の変形実施が可能である。
筐体10は、処理部120が設けられる基板が収容される筐体である。センサー筐体2
0は、筐体10とケーブルにより接続され、センサー部140に含まれる各種センサーを
収容する筐体である。
本実施形態では、センサー部140は構造物の振動のピーク振動周波数を検出するため
、振動センサーを少なくとも含む。振動センサーは、構造物の振動を検出するセンサーで
あり、例えば加速度センサーにより実現できる。振動は加速度の変化として現れるため、
加速度の大きさから振動強度が検出されるし、加速度の周波数特性(例えばFFT(Fast
Fourier Transform)の結果)から振動周波数が検出される。ピーク振動周波数を求める
具体的な手法については後述する。振動センサーは、構造物に対して何らかの力が加えら
れた場合の構造物の振動、例えば道路や橋梁である構造物を車両が通行した際の振動を検
出する。
ただし、センサー部140は他のセンサーを含んでもよく、例えば構造物の傾斜を検出
する傾斜センサー、水位を検出する水位センサー、構造物を撮像して撮像画像を出力する
撮像センサー等を含んでもよい。そのため、図2ではセンサー筐体20が1つである例を
示しているが、複数のセンサー筐体20が設けられてもよい。例えば、振動センサーや傾
斜センサーは、構造物の表面に設けられ、水位センサーは、測定対象の液体に少なくとも
一部が浸る位置に設けられ、撮像センサーは、構造物の所望の領域を撮像可能な位置、角
度に設けられる。つまり、センサーの種類に応じて望ましい設置位置が異なるため、セン
サー筐体20の数、形状、設置位置、設置手法については種々の変形実施が可能である。
或いは、筐体10に一部のセンサーを収容してもよい。
太陽光パネル30は、太陽光の照射に基づいて電力を生成するパネルであり、複数の太
陽電池素子(セル)の配列により構成される。これは、構造物の表面状態判定(広義には
構造物の状態検出)を行うシステムでは、自立型の装置を用いることが望ましいためであ
る。自立型であれば電源供給や情報通信用のケーブルを設置する工事等が不要であるし、
ケーブルの異常を考慮する必要もない。構造物に異常が生じる状況では、ケーブルにも断
線等の異常が生じる可能性があり、計測が必要な状況において電力が供給されなかったり
、計測した情報を外部に出力できないおそれがあるが、自立型であればこのような可能性
を考慮しなくてよい。
電源供給用のケーブルを設けない場合、計測用の装置にはバッテリーを内蔵する必要が
ある。当該バッテリーとして、ユーザーによる交換や充電を必要とするバッテリーを用い
た場合、ユーザーのメンテナンス負担が大きく好ましくない。よって、ケーブルによる電
源供給及びユーザーによる充電が不要な装置を用いるとよく、自然エネルギーの利用が考
えられる。構造物の状態検出では、いつ発生するかわからない構造物の異常を検出できな
くてはならないため、常時モニタリングが重要であり、その観点からも自然エネルギーに
よる充電を用いる利点は大きい。
支柱40は、筐体10や太陽光パネル30を所望の位置に固定するための部材である。
筐体10及び太陽光パネル30は支柱40に固定され、支柱40が構造物に対して安定し
た姿勢を保持することで、筐体10及び太陽光パネル30を所望の位置姿勢とする。なお
、太陽光パネル30は太陽光の照射を受ける必要があるため、太陽光が当たる位置に設け
るとよく、場合によっては太陽光の照射状況に合わせて姿勢を可変としてもよい。
図3は、本実施形態の観測システム100を含むシステムの構成例である。本実施形態
に係る観測システム100はセンサー端末装置200単体として実現されてもよいが、他
の処理装置300(親機)とともに用いられてもよい。また、親機には、複数のセンサー
端末装置200が接続されてもよい。
図3の例では、第1〜第Nのセンサー端末装置200−1〜200−Nが、ネットワー
クNEを介して処理装置300と接続される。ここでのネットワークNEは、WAN(Wi
de Area Network)、LAN(Local Area Network)、近距離無線通信等、種々のネット
ワークを利用できる。第1〜第Nのセンサー端末装置200−1〜200−Nの各センサ
ー端末装置は、図2に示した構成であり、センサー筐体20に含まれるセンサー(センサ
ー部140)によるセンシングを行い、センサー情報を取得する。
図3の例において、本実施形態に係る観測システム100は、センサー端末装置200
により実現されてもよいし、処理装置300により実現されてもよい。
観測システム100が、センサー端末装置200により実現される場合、観測システム
100の情報取得部110は、観測システム100に含まれるセンサー部140(センサ
ー筐体20に設けられるセンサー)からセンサー情報を取得する。また処理部120は、
筐体10に含まれる基板に実装され、センサー情報に基づいて構造物の表面状態の判定処
理を実行する。報知部130は、例えば通信部(送信処理部)により実現され、表面状態
の判定結果を処理装置300に対して送信する処理を行う。また、センサー端末装置20
0が構造物(道路、橋梁)を通過する車両の運転手から目視可能な表示部や発光部、或い
は運転手に対して充分な音量で報知を実行可能なスピーカーを有する場合、報知部130
は表示部、発光部、スピーカー等により実現されることは妨げられない。
或いは、観測システム100は、図2に示したセンサー端末装置200の一部により実
現されてもよい。例えば、センサー情報を取得するインターフェースと、プロセッサーと
を含むユニット(狭義には筐体10に収容されるユニット)により、本実施形態の観測シ
ステム100を実現してもよい。
また、観測システム100が、処理装置300により実現される場合、観測システム1
00の情報取得部110は、センサー端末装置200に含まれるセンサー部140(セン
サー筐体20に設けられるセンサー)からネットワークNEを介してセンサー情報を取得
する通信部(受信処理部)として実現される。処理部120は、処理装置300に含まれ
るプロセッサーにより実現される。報知部130は、処理装置300に含まれる報知用イ
ンターフェースにより実現され、例えば上述の例と同様に、表示部、発光部、スピーカー
等により実現できる。処理装置300は、センサー端末装置200が設けられる構造物と
距離的に近い位置に設けられるものには限定されない。そのため、この場合の報知は、構
造物を実際に通行するユーザーではなく、構造物の管理者等に対する報知が想定される。
ただし、報知部130での報知は処理装置300で行われるものには限定されず、他の機
器への報知用情報の送信処理も含む。例えば、表面状態の判定結果をセンサー端末装置2
00に送信し、センサー端末装置200において上記の報知処理を行ってもよい。或いは
、車両の運転手を対象とした道路状況通知サービスを行うサーバーシステムとして、処理
装置300を実現してもよく、その場合の報知部130は、サービス利用者の端末(PC
、スマートフォン等)に対する情報の送信処理を行ってもよい。
或いは、本実施形態に係る処理が分散処理により実行されてもよく、その場合、本実施
形態に係る観測システム100は、センサー端末装置200と処理装置300の両方によ
り実現されてもよい。
また、第1〜第Nのセンサー端末装置200−1〜200−Nの各センサー端末装置は
、例えばそれぞれ異なる構造物に配置される。また、図3では全てのセンサー端末装置2
00を同様の構造としたが、設置箇所に応じて形状や、含まれるセンサーの数、種類を変
更してもよい。
観測システム100がセンサー端末装置200により実現される場合、図2を用いて上
述したように、観測システム100は、センサー部140と、バッテリーを有する電源供
給部と、自然エネルギーにより、バッテリーの充電を行う充電部を含んでもよい。電源供
給部(バッテリー)は図2には不図示であるが、例えば筐体10に収容される。また、充
電部は例えば図2の太陽光パネル30や、太陽光パネル30からの電力をバッテリーに対
して供給する各種回路により実現できる。
このようにすれば、自立的に動作可能な観測システム100を実現できる。また、自立
的な観測システム100を実現する場合、監視対象は構造物の表面状態に限定する必要は
なく、構造物の状態を広く監視してもよい。例えば、処理部120は、センサー部140
からのセンサー情報に基づいて、構造物の状態の監視処理を行う。
例えば、構造物は橋梁であり、処理部120は、センサー部140からのセンサー情報
に基づいて、橋梁の交通量情報の監視処理を行ってもよい。
橋梁は、車両が通行することで振動が生じるため、振動を検出することで、車両の通行
の有無や、通行した車両の重量を推定することが可能である。つまり、本実施形態では振
動を表すセンサー情報からピーク振動周波数に関する情報を求めることで表面状態を判定
するが、振動を表すセンサー情報から橋梁の交通量情報を検出することも可能である。す
なわち、同様の構成の観測システム100(センサー端末装置200)を、表面状態及び
交通量情報の2つの情報の検出に利用することが可能になる。
或いは、処理部120は、構造物の状態の監視処理として、構造物の異常状態を検出し
てもよい。ここでの異常状態とは、正常状態(構造物を安全に利用可能な状態)とは異な
る状態を表し、例えば崩壊、崩落等の災害が発生する可能性がある状態を表す。この場合
、振動センサーからのセンサー情報に基づいて異常状態か否かを判定する。例えば、平常
時には見られない振動特性(振動強度、振動周波数)が見られた場合に、異常状態である
と判定する。
また、センサー部140が振動センサー以外のセンサーを含む場合、それらを用いて構
造物の状態の監視処理を行ってもよい。例えば、センサー部140が傾斜センサーを有す
る場合、構造物が平常時と大きく異なる傾斜角となっている場合、或いは平常時と大きく
異なる傾斜角となることが予測される場合に異常状態と判定する。その他、水位センサー
や撮像センサーから異常状態を判定する手法は知られており、本実施形態の処理部120
ではそれらの手法により構造物の状態の監視処理を行ってもよい。いずれにせよ、本実施
形態の観測システム100は、構造物の表面状態に限定されない監視処理を行うシステム
を流用することで実現することが可能である。
図4は、構造物が橋梁である場合の、観測システム100(センサー端末装置200)
の設置例を説明する図である。図4は橋梁を水平方向から観察した図であり、図4に示す
ように、橋梁は橋桁60と、橋脚70を含み、図4では橋脚70として、第1の橋脚70
−1と、第2の橋脚70−2を含む例を示している。
この場合、センサー部140は、橋梁の第1の橋脚70−1と第2の橋脚70−2とに
接続される橋桁60のうち、第1の橋脚70−1と第2の橋脚70−2の間の中央部に設
置されることが望ましい。なお、ここでの中央部とは、橋桁60の長手方向における第1
の橋脚70−1と第2の橋脚70−2の中央付近の位置を表す。橋梁は、複数の橋脚70
の各橋脚部分において安定構造である地面(或いは川底、海底面)と接続される。つまり
、橋梁に対して振動要因となる力が加わった場合、振動の大きさ(振幅)は橋脚部分では
小さく、橋脚から離れた部分では大きくなる。振幅が大きいほどノイズに強く精度の高い
処理ができることに鑑みれば、センサー部140は最も振動が大きくなる位置、すなわち
第1の橋脚70−1と第2の橋脚70−2の中央、或いはそれに近い位置に設けられると
よい。例えば、橋桁の長手方向に沿った方向の軸を設定し、当該軸における第1の橋脚7
0−1の座標をx1、第2の橋脚70−2の座標をx2とした場合、(x1+x2)/2
±α(αは所与の定数)となる位置にセンサー部140を設ける。
図4の例では、橋桁60の側面のうち、第1の橋脚70−1と第2の橋脚70−2の中
央となる位置に、センサー部140を含むセンサー筐体20が設置される。また、図4の
例では橋梁は、高欄(欄干)80を含み、センサー端末装置200の支柱40は、欄干8
0の一部に固定される。これにより、センサー筐体20と適切な位置関係に、筐体10や
太陽光パネル30を固定することが可能になる。ただし、センサー端末装置200の構造
物(橋梁)への固定手法は図4に限定されない。
また、本実施形態の観測システム100は、情報(例えばプログラムや各種のデータ)
を記憶するメモリーと、メモリーに記憶された情報に基づいて動作するプロセッサーと、
を含む。プロセッサーは、構造物に設置され構造物の振動を検出するセンサー部140か
らのセンサー情報を取得する処理と、センサー情報に基づいて、振動のピーク振動周波数
の情報を求め、ピーク振動周波数の情報に基づいて、構造物の表面状態を判定する処理と
、を行う。
プロセッサーは、例えば各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよいし、或い
は各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。プロセッサーは、例えばCPU
(Central Processing Unit)であってもよい。ただしプロセッサーはCPUに限定され
るものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、或いはDSP(Digital Signal
Processor)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。またプロセッサーはA
SIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路でもよい
。メモリーは、例えばSRAM、DRAMなどの半導体メモリーであってもよいし、レジ
スターであってもよいし、ハードディスク装置等の磁気記憶装置であってもよいし、光学
ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリーはコンピューターに
より読み取り可能な命令を格納しており、当該命令がプロセッサーにより実行されること
で、画像処理装置の各部の機能が実現されることになる。ここでの命令は、プログラムを
構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサーのハードウェア回路に対して動作を
指示する命令であってもよい。
本実施形態の動作は例えば以下のように実現される。プロセッサーは、センサー部14
0からのセンサー情報を取得し、取得したセンサー情報をメモリーに記憶する。そしてプ
ロセッサーは、メモリーからセンサー情報を読みだし、センサー情報に基づいてピーク振
動周波数を求め、求めたピーク振動周波数をメモリーに記憶する。さらにプロセッサーは
、メモリーからピーク振動周波数を読み出し、ピーク振動周波数に基づいて構造物の表面
状態を判定する。一例としては、プロセッサーはピーク振動周波数の所定期間の変化幅を
求めるとともに、メモリーから所与の閾値を読み出し、変化幅と所与の閾値との大小判定
を行うことで、表面状態を判定すればよい。
また、本実施形態の観測システム100の各部は、プロセッサー上で動作するプログラ
ムのモジュールとして実現される。例えば情報取得部110は、構造物に設置され構造物
の振動を検出するセンサー部140からのセンサー情報を取得する情報取得モジュールと
して実現される。処理部120は、センサー情報に基づいて、振動のピーク振動周波数の
情報を求め、ピーク振動周波数の情報に基づいて、構造物の表面状態を判定する処理モジ
ュールとして実現される。
3.表面状態判定
3.1 ピーク振動周波数の演算
図5は、振動センサーのセンサー情報に基づいて、構造物のピーク振動周波数(最大振
動周波数)を求める処理を説明するフローチャートである。本実施形態の振動センサーは
、加速度センサーにより実現でき、ここでは3軸の加速度センサーであることを想定した
処理の流れを説明する。
この処理が開始されると、処理部120は、まず3軸加速度センサーのX軸、Y軸、Z
軸の各軸の加速度データを取得する(ステップS101〜S103)。そして処理部12
0は、取得した各軸の加速度データに基づいて、加速度の合成値を算出する(ステップS
104)。なお、3軸加速度の合成は種々の手法を利用可能であり、例えば各軸の加速度
データの自乗和や、自乗和の平方根を求めればよい。また、3軸のうちの1つの軸の加速
度データが支配的で3次元(3軸)の加速度を代表できる場合には、その1つの軸を選択
して3軸加速度合成値を代替して以下の処理をしてもよい。
処理部120は、3軸加速度合成値に対して、FFT(Fast Fourier Transform)を行
う(ステップS105)。FFTの対象となる3軸加速度合成値の範囲は、FFT範囲情
報として入力される。本実施形態では、例えば1時間分の3軸加速度合成値を対象として
、1回のFFTを行う。また、以下では、FFTの処理結果(及び後述するステップS1
06、ステップS107で取得されるピーク振動周波数、最大振動周波数)は1時間に1
回の頻度で取得されるものとするが、この点は種々の変形実施が可能である。
ステップS105のFFTにより、各周波数での強度が求められる。ピーク振動周波数
となる周波数は、他の周波数に比べて強度が高い。よって処理部120は、FFTの結果
からピーク検出を行うことで、強度が極大となる周波数(ピーク)をピーク振動周波数と
して検出する(ステップS106)。
理想的には、FFTの結果から検出されるピークは、構造物の固有振動周波数に対応す
る1つである。しかし本出願人の調査では、FFTの結果から複数のピークが検出される
場合があることがわかった。これは上述したように、構造物が複数の振動モードを有して
いたり、凍結等の要因により振動モードが複数に分かれることに起因すると推定される。
この場合、単純に強度が最大となるピーク振動周波数を処理に用いると、値に不連続性が
発生してしまう。
図6は、1時間に1回取得されるFFT結果から求められるピーク振動周波数の、1年
分の時系列的な変化を表す図である。図6の横軸の1目盛りは30日に対応する。図6か
らわかるように、各タイミングではそれぞれ2つのピーク振動周波数が検出されるが、こ
れらは第1のピーク群(A1)と第2のピーク群(A2)に分類することが可能である。
単純に強度が最大となるピーク振動周波数を採用した場合、A1に含まれるピークが採用
されるタイミングとA2に含まれるピークが採用されるタイミングとが生じ、結果として
ピーク振動周波数の値が連続性を持たない。
そこで本実施形態では、処理部120は、ステップS106のピーク振動周波数の検出
結果に基づいて、処理に用いるピーク振動周波数(最大振動周波数)を決定する処理を行
う。一例としては、図6に示したようにある程度長い期間(例えば1年)でのFFT解析
結果に基づいて、ピーク振動周波数をピーク群に分類する。分類は例えば値の連続性を考
慮して行えばよい。そして、いずれか1つのピーク群(例えば第1のピーク群A1)を処
理に用いるピーク振動周波数(最大振動周波数)を表すピーク群とする。このようにすれ
ば、求められるピーク振動周波数の値が安定するため、精度の高い処理を行うことが可能
になる。
3.2 ピーク振動周波数に基づく表面状態判定
次に上記の処理により求められるピーク振動周波数の情報から、表面状態の判定を行う
手法について説明する。以下で説明する図7〜図16は、いずれも1つの橋梁、或いは当
該橋梁の周辺環境を対象として実測されたデータである。
図7は、気温の時系列的な変化を表す図であり、図8はピーク振動周波数の時系列的な
変化を表す図である。図7、図8はともに約1年分のデータを図示しており、気温及びピ
ーク振動周波数は、1日当たり複数(例えば1時間に1つ)のデータが取得されている。
よって、図7、図8は、気温及びピーク振動周波数の1日の中での変化(変動)、及び季
節による変化の両方を表す図である。図7、図8の横軸の1目盛りは、図6と同様に30
日に対応する。なお、図7に示した気温の情報は、センサー端末装置200に含まれる気
象センサーにより取得してもよいし、インターネット等のネットワークから取得してもよ
い。
図8からわかるように、12月初めから2月中頃にかけて、及び3月中頃にピーク振動
周波数の変化度合いが大きくなっていることがわかる。そして、図7との比較からわかる
ように、この期間は気温がマイナスとなる期間とほぼ一致する。気温がマイナスとなる期
間では、路面が凍結したり(凍結状態)、降った雪が解けずに残る(積雪状態)ことが想
定される。つまり図7、図8から、ピーク振動周波数の変化度合いと構造物の表面状態と
に相関があることが予想される。
図9〜図11を用いてより詳細に検討する。図9は、図8に示したピーク振動周波数の
時系列的な変化のうち、11月下旬から3月中旬までを抽出した詳細なデータである。図
9〜図11の横軸の1目盛りは7日に対応する。図10は図9と同様の期間における降水
量の時系列変化を表す図である。図11は、図9と同様の期間における気温の時系列変化
を表す図であり、図7の一部を抽出した図である。図9のB1、図10のC1、図11の
D1はそれぞれ同じタイミングを表す。同様に、B2、C2、D2は同じタイミング、B
3、C3、D3は同じタイミング、B4、C4、D4は同じタイミングである。
図11に示したように、D1〜D2の期間では気温が0度を下回っている割合が非常に
高い。そのため、同じ期間である図10のC1〜C2の間での降水とは、降雪である可能
性が高い。そして、図9のD1〜D2のデータからわかるように、同じ期間でのピーク振
動周波数は、その変化度合いが大きい。つまり図9〜図11は、ピーク振動周波数の変化
度合いが大きくなるという特性は、積雪状態、或いは凍結状態に起因するものであるとの
推測を裏付けるデータと言える。
なお、ピーク振動周波数は、B2〜B3の期間においても大きく変化しており、変化度
合いが小さくなるのはB3〜B4の期間である。これは、新たな降雪はなかったものの、
それ以前に降った雪が解けずに残り(根雪となり)、B3までの期間で当該根雪が解けた
ものと考えられる。これは、図10のC2〜C3では降水量が0であること、及び図11
のD2〜D3では気温が0度以上となる頻度がD1〜D2の期間に比べて高くなっている
ことから推測される。
また、B4以降では再びピーク振動周波数の変化度合いが大きくなるが、図11のD4
以降では気温が急激に低下しており、ピーク振動周波数の特性変化は構造物表面の凍結、
例えばC4の直前の降水(降雨)による水分の凍結によるものと推測できる。
以上のように、詳細な気象データからも、ピーク振動周波数の変化度合いに基づいて、
構造物の表面状態の判定が可能であるとの推測が成り立つ。以下では、実際にピーク振動
周波数の変化度合いに基づいて、表面状態の判定が可能であること、言い換えれば凍結状
態又は積雪状態と、それ以外の状態とを分離可能であることを説明する。
図12は、1時間のピーク振動周波数の平均値と、平均気温との値の組を、横軸を平均
気温、縦軸を平均のピーク振動周波数としてプロットした図である。なお、図12では1
年分のデータをプロット対象としている。
図12からわかるように、気温とピーク振動周波数との間には、E1に示した一次相関
、及びE2に示した一次相関の2つの相関が見られる。図7〜図11を用いた検討結果か
ら考えれば、E1は構造物の表面状態が第1の表面状態の場合の相関であり、E2は表面
状態が第2の表面状態の相関であると推定される。すなわち、E1の範囲とE2の範囲と
の分離が可能であれば、ピーク振動周波数に基づいて構造物の表面状態を判定できる。
図13及び図14は、データが取得された期間に基づいて、図12に示した各データを
分類した図である。図13は、図12にプロットされたデータのうち、12月1日〜翌年
の3月15日までのデータを抽出した図であり、図14は、図12にプロットされたデー
タのうち、12月1日〜翌年の3月15日以外の期間のデータを抽出した図である。
図12〜図14からわかるように、図13のデータは図12のE1の範囲に含まれるデ
ータに対応し、図14のデータは図12のE2の範囲に含まれるデータに対応する。図7
〜図11を用いて上述したように、12月1日〜翌年の3月15日までの期間では構造物
表面が積雪状態や凍結状態となっていることが多い。つまり、図12のE1が凍結状態又
は積雪状態の場合の相関に対応し、E2が平常状態(積雪でも凍結でもない状態)の場合
の相関に対応すると考えてよい。
ただし、図13及び図14は、E1とE2がそれぞれ異なる表面状態に対応する相関で
ある、ということを確認するデータになるが、E1とE2の分離処理を期間(季節)で行
うことは望ましいと言えない。なぜなら、図13、図14の分離手法では、寒い冬の時期
に凍結、積雪の可能性が高まるという、ごく当たり前の事実を示しているに過ぎず、この
ような結果をユーザーに通知したところで特段の効果は得られない。また、図9〜11の
B3〜B4等の期間に示したように、冬期であっても平常状態となることがありえるため
、そのようなケースを凍結状態或いは積雪状態と分離することが必要である。
図7〜図11を用いて上述したように、ピーク振動周波数の1日の中での変化幅が大き
いことと、構造物表面が凍結状態又は積雪状態であることとは相関があると推測される。
つまり、図12のデータを、ピーク振動周波数の変化幅を用いてE1とE2に分離するこ
とができれば、ピーク振動周波数の変化幅に基づいて表面状態を判定できると言える。
図15及び図16は、ピーク振動周波数の変化幅に基づいて、図12に示した各データ
を分類した図である。図15は、図12にプロットされたデータのうち、ピーク振動周波
数の1日の中での変化幅が所与の閾値Thよりも大きい日のデータを抽出した図であり、
図16は、変化幅が所与の閾値Th以下となる日のデータを抽出した図である。
図15、図16に示したように、ピーク振動周波数の変化幅に基づいて、図12のデー
タをE1とE2に分離可能であることがわかる。特に、図14のF1に示した範囲と、図
16のG1に示した範囲を比較すればわかるように、期間による分離ではE1(凍結状態
又は積雪状態)と判定されていたデータの一部が、ピーク振動周波数の変化幅による分離
ではE2(平常状態)と判定されている。つまり、ピーク振動周波数の変化幅を用いるこ
とで、冬期であるが凍結状態でも積雪状態でもない場合を、適切に検出可能であることが
わかる。
以上のように、処理部120は、ピーク振動周波数の変化情報に基づいて、構造物の表
面状態を判定する。図7、図8に示したように、表面状態とピーク振動周波数の変化情報
には相関があることが実測データから明らかであり、実際に判定が可能であることも図1
2、図15、図16を用いて上述したとおりである。なお、ここでの変化情報とは、ピー
ク振動周波数の時系列的な変化を表す情報である。
より具体的には、処理部120は、ピーク振動周波数の所定期間での変化幅に基づいて
、構造物の表面状態を判定する。
図15、図16の例では上記所定期間として1日を考えている。よって、ピーク振動周
波数の所定期間での変化幅とは、1日に取得される複数のピーク振動周波数の値の変化を
表す情報となる。1時間当たり1つのピーク振動周波数を算出する例であれば、24個の
データの変化幅を求めればよい。一例としては、処理部120は、24個のデータのうち
の最大値と最小値の差分値、或いは差分値に相当する情報を、上記変化幅として求める。
差分値に相当する情報とは、差分値の自乗であってもよいし、差分値をピーク振動周波数
の平均値で正規化した(除算した)値であってもよく、差分値に基づく種々の情報を含む
そして、処理部120は、所定期間での変化幅が所与の閾値Thよりも大きい場合には
、第1の表面状態と判定し、所定期間での変化幅が所与の閾値Th以下の場合には、第1
の表面状態とは異なる第2の表面状態と判定する。
このようにすれば、変化幅と閾値Thとの大小関係に基づいて、表面状態を判定できる
。すなわち、所与の閾値Thを設定できたのであれば、それ以降の表面状態の判定処理は
、ピーク振動周波数の変化幅さえ取得できれば実行でき、表面状態判定を負荷の軽い処理
により実現可能である。言い換えれば、一度閾値Thが求められれば、それ以降は図12
に示したようなプロットデータを作成することは必須でなくなる。そのため、表面状態の
判定処理だけを考えるのであれば、気温情報の取得も必要なく、ピーク振動周波数さえ求
められれば充分となる。
なお、図12〜図16に示したように、ピーク振動周波数の変化幅が閾値Thよりも大
きい第1の表面状態は、凍結状態及び積雪状態の少なくとも一方の状態である。また、第
2の表面状態は、凍結状態及び積雪状態のいずれでもない状態である。ただし広義には、
第1の表面状態は異常状態であり、第2の表面状態は平常状態である。
また、図12、図15、図16ではピーク振動周波数の変化情報として所定期間での変
化幅を用いる例を示したが、図7〜図11に示したように、表面状態はピーク振動周波数
の変化度合いが大きいか否かから判定可能である。よって本実施形態の変化情報は、ピー
ク振動周波数の変化度合いを表す他の情報であってもよい。例えば、所定期間でのピーク
振動周波数の分散等の情報を用いてもよい。
3.3 異なる橋梁でのデータ例
以上では1つの橋梁を対象とした場合に、ピーク振動周波数の変化情報により表面状態
を判定できることを説明した。図17〜図21は、図7〜図16で対象とした橋梁とは異
なる橋梁での実測データ、及び当該異なる橋梁の周辺環境の実測データである。
図17は、気温の時系列的な変化を表す図であり、図18はピーク振動周波数の時系列
的な変化を表す図である。図17、図18の横軸の1目盛りは、図7、図8と同様に30
日に対応する。図17、図18からは、図7、図8の例と同様に、気温が下がる冬期にピ
ーク振動周波数の変化が大きくなることがわかる。すなわち、この橋梁の場合も、ピーク
振動周波数の変化情報により、表面状態を判定できると推測される。
図19は、所定期間(1時間)でのピーク振動周波数の平均値、及び温度の平均値をプ
ロットした図であり、上述した図12に対応する。また、図20及び図21は、ピーク振
動周波数の変化幅に基づいて、図19に示した各データを分類した図である。図20は、
図19にプロットされたデータのうち、ピーク振動周波数の1日の中での変化幅が所与の
閾値Th’よりも大きい日のデータを抽出した図であり、図15に対応する。また、図2
1は、変化幅が所与の閾値Th’以下となる日のデータを抽出した図であり、図16に対
応する。なお、構造物が異なればそのピーク振動周波数も異なるし、変化幅の具体的な値
も異なる。よってここでの所与の閾値Th’は、図7〜図16を用いて上述した橋梁での
閾値Thとは異なる値となることが一般的である。
図19〜図21からわかるように、異なる橋梁を対象とした場合にも、ピーク振動周波
数の平均値と温度の平均値とのプロットデータには2つの一次相関が見られ、ピーク振動
周波数の所定期間での変化幅と閾値Th’との判定処理に基づいて、2つの相関を分離可
能である。すなわち、ピーク振動周波数の変化情報に基づいて、構造物の表面状態を判定
できる。
4.変形例
以下、幾つかの変形例を説明する。
4.1 ピーク振動周波数の変化幅の閾値設定
図12、図15、図16、図19〜図21を用いて上述したように、ピーク振動周波数
の変化幅と所与の閾値Th(或いはTh’)との大小判定に基づいて、構造物の表面状態
を判定できる。ただし、この閾値Thは、任意の値を用いてよいものではなく、第1の状
態(凍結状態、積雪状態)に対応するピーク振動周波数の変化幅と、第2の状態(平常状
態)に対応するピーク振動周波数の変化幅を適切に分離できる値でなくてはならない。
図22は、図12にプロットされたデータのうち、ピーク振動周波数の1日の中での変
化幅が第1の閾値Th1よりも大きい日のデータを抽出した図であり、図23は、変化幅
が第1の閾値Th1以下となる日のデータを抽出した図である。ここでTh1<Thであ
る。図12、図22、図23からわかるように、設定する閾値が小さすぎると、本来E2
(第2の表面状態)に分類すべきデータを、誤ってE1(第1の表面状態)に分類してし
まう。すなわち、閾値が過剰に小さい場合には、表面状態を適切に判定できない。
一方、図24は、図12にプロットされたデータのうち、ピーク振動周波数の1日の中
での変化幅が第2の閾値Th2よりも大きい日のデータを抽出した図であり、図25は、
変化幅が第2の閾値Th2以下となる日のデータを抽出した図である。ここでTh2>T
hである。図12、図24、図25からわかるように、設定する閾値が大きすぎると、本
来E1(第1の表面状態)に分類すべきデータを、誤ってE2(第2の表面状態)に分類
してしまう。すなわち、閾値が過剰に大きい場合にも、表面状態を適切に判定できない。
つまり、本実施形態ではピーク振動周波数の変化幅との比較に用いる閾値を適切に設定
する必要がある。そこで処理部120は、所与の閾値を可変に設定するとよい。このよう
にすれば、表面状態の判定処理に用いる閾値を柔軟に設定できるため、第1の表面状態と
第2の表面状態とを適切に分離する閾値を設定すること、及びそれにより精度のよい表面
状態の判定処理を行うことが可能になる。
橋梁において凍結状態及び積雪状態を判定する場合を例にとって、閾値を設定する具体
的な手法を説明する。まず、降雪、凍結となる可能性が充分低いタイミング(例えば夏〜
秋)に観測システム100が橋梁に対して設置されたとする。
設置時には、観測システム100には、標準ピーク振動周波数、第1の閾値、第2の閾
値のそれぞれの初期値が設定されている。例えば、観測システム100の記憶部が、初期
標準ピーク振動周波数、第1の初期閾値及び第2の初期閾値を記憶しておけばよい。ここ
で、初期標準ピーク振動周波数とは、予想される構造物の標準的なピーク振動周波数であ
る。第1の閾値は、凍結判定のためのピーク振動周波数からの変化幅に対応する閾値であ
り、第2の閾値は、積雪判定のためのピーク振動周波数からの変化幅に対応する閾値であ
る。
観測システム100の設置後、処理部120は、所定時間(例えば15分)ごとにFF
T解析を行ってピーク振動周波数を計測し、1日間の計測データに基づいて、初期ピーク
振動周波数を更新する。上述したように、観測システム100の設置からある程度の期間
は凍結や降雪の可能性が充分低いため、1日間の計測データとして、凍結及び積雪なしで
24時間の温度変化に従ったピーク振動周波数の変化が観測されることになる。つまり1
日間の計測データの平均値や最大最小の中央値等で初期ピーク振動周波数を書き換えるこ
とで、観測対象である橋梁の実際の建設状態、センサーの固定条件、設置場所等を反映し
た標準ピーク振動周波数の修正が行われる。
この標準ピーク振動周波数の書き換え(修正)は、上記のように1日毎で行われてもよ
いが、適当な期間、1週間のデータ、1か月のデータ、1年のデータをそれぞれ寄与度を
変えて加味して、適当な時期に行われてもよい。例えば、1か月後に、1か月分のデータ
平均と、前日1日のデータの平均との加重平均で、標準ピーク振動周波数を更新してもよ
い。
そして処理部120は、標準ピーク振動周波数に基づく所定値域内のピーク振動周波数
が計測されているときは、標準状態(凍結・積雪なし)と判定する。また、計測されたピ
ーク振動周波数と、標準振動周波数との差が第1の閾値(第2の閾値)を超えた場合には
、凍結状態(積雪状態)への変化が起こったと判定する。
また、標準ピーク振動周波数の書き換えに伴って、更新後の標準ピーク振動周波数と初
期標準ピーク振動周波数との差(以下、この差をΔとする)を、第1の閾値及び第2の閾
値に反映させてもよい。例えば、第1の閾値を初期値(第1の初期閾値)+Δに更新し、
第2の閾値を初期値(第2の初期閾値)+Δに更新する。
さらには、観測システム100の設置後、処理部120は、15分ごとにFFT解析を
行ってピーク振動周波数を計測し、1日間の計測データの相関分析によって第1の閾値を
書き換えてもよい。この場合、ピーク振動周波数の計測は、凍結状態が発生しうる条件下
で実行する。このようにすれば、凍結状態と標準状態の変化が、ピーク振動周波数の変化
として温度変化とともに観測される。つまり、橋梁の実際の建設状態、センサーの固定条
件、設置場所等による凍結状態への影響を、第1の判定値(閾値)に反映させる修正が可
能になる。
この第1の閾値の書き換え(修正)は、上記のように1日毎で行われてもよいが、適当
な期間、1週間のデータ、1か月のデータ、1年のデータをそれぞれ寄与度を変えて加味
して、適当な時期行われてもよい。例えば、上記の標準ピーク周波数の修正のように、1
か月後に、1か月分のデータ平均と、前日1日のデータの平均との加重平均で、第1の判
定値を更新してもよい。
また、第2の閾値(積雪状態)の書き換え(修正)も第1の閾値と同様に行うことがで
きる。
なお、以上では第1の閾値、第2の閾値の更新について説明したが、より広義には凍結
判定のための第1の判定値、積雪判定のための第2の判定値に拡張して考えることが可能
である。例えば、第1の判定値とは、凍結状態と判定されるピーク振動周波数の周波数帯
域を表す情報であり、第2の判定値とは、積雪状態と判定されるピーク振動周波数の周波
数帯域を表す情報であってもよい。第1の判定値及び第2の判定値は、上述したように更
新後の標準ピーク振動周波数と初期標準ピーク振動周波数との差Δに基づいて更新されて
もよいし、計測データの相関分析によって更新されてもよい。
処理部120では、標準ピーク振動周波数に基づく所定値域内のピーク振動周波数が計
測されているときは、標準状態(凍結・積雪なし)と判定する。また、処理部120は、
計測されたピーク振動周波数が第1の判定値の範囲内であるか、第2の判定値の範囲内で
あるかの判定に基づいて、凍結状態及び積雪状態を判定する。
4.2 ピーク振動周波数を用いた他の表面状態判定処理
また、以上ではピーク振動周波数の変化情報(変化幅)から表面状態を判定する手法を
説明した。しかし、ピーク振動周波数に基づく表面状態の判定手法はこれに限定されない
例えば、図12、図19からわかるように、第1の表面状態では、第2の表面状態に比
べてピーク振動周波数の値自体も高くなる傾向が見られる。よってピーク振動周波数の値
と所与の閾値との比較処理により表面状態を判定してもよい。ピーク振動周波数の値が閾
値より大きい場合に第1の表面状態、閾値以下の場合に第2の表面状態と判定する。この
場合のピーク振動周波数は、1タイミングでのデータであってもよいし、複数のデータの
平均値等であってもよい。
或いは、情報取得部110は、構造物の周囲温度情報(気温)を取得し、処理部120
は、周囲温度情報と、ピーク振動周波数の情報に基づいて、構造物の表面状態の判定を行
ってもよい。周囲温度情報は、上述したようにセンサー端末装置200が含む気象センサ
ー(温度計)から取得してもよいし、ネットワークを介して受信してもよい。
図12や図19からわかるように、第2の表面状態に対応する範囲であっても、気温が
低くなるほどピーク振動周波数が低くなる傾向が見られる。つまり、ピーク振動周波数と
気温とは相関を有する以上、ピーク振動周波数の値そのものではなく、気温との関係を考
慮して処理を行うことで、判定精度を高くできる。例えば、ピーク振動周波数の値そのも
のと閾値を比較するのではなく、ピーク振動周波数の値を気温の値で正規化し(比を取り
)、正規化後の値と閾値との比較処理を行う。
或いは、図12や図19を用いて上述したように、ピーク振動周波数と気温(周囲温度
情報)との関係を2つの一次相関に分離することができれば、表面状態の判定が可能であ
る。つまり、処理対象となる期間でのピーク振動周波数と周囲温度情報との組が取得でき
れば、当該データが図12や図19においてどのような位置にプロットされるかを判定す
ることで、対象とした期間での構造物の表面状態を判定できる。この場合のピーク振動周
波数及び周囲温度情報は1タイミングでのデータであってもよいし、複数のデータの平均
値等であってもよい。
一例としては、処理部120は、処理対象となるデータがプロットされた点とE1に対
応する直線との距離、及びプロットされた点とE2に対応する直線との距離を求め、距離
が近い方の一次相関を処理対象データが属する相関であると判定すればよい。
また、本実施形態及び変形例で上述したピーク振動周波数の情報に基づき表面状態を判
定する手法は、いずれか1つを用いればよいがこれには限定されず、複数の手法を組み合
わせて用いてもよい。
4.3 表面状態の判定処理を行うタイミングの設定例
また、以上では表面状態の判定処理を行うタイミングは限定されておらず、例えば季節
を問わず判定処理を実行してもよい。ただし、凍結状態や積雪状態は、水分が凍結する、
降雨ではなく降雪となるといったように、気温が非常に低い状態で発生することが想定さ
れる。そのため、気温が0度よりも充分高い夏季等では、そもそも本実施形態に係る表面
状態の判定を実施する必要性が低い。
よって情報取得部110は、天候情報を取得し、処理部120は、天候情報に基づいて
、構造物表面状態の判定を行うか否かを決定してもよい。天候情報とは、晴れ曇り雨とい
った情報には限定されず、気温、降水量、湿度、風速や風向等、種々の気象に関する情報
を含む。ただし、表面状態として、凍結状態及び積雪状態の少なくとも一方を判定する例
であれば、天候情報とは気温が0度以下、若しくはそれに近い程度に低くなるか、又は降
雨降雪があるかといった情報を用いるとよい。
このようにすれば、表面状態が異常状態となる可能性が高い場合を対象として表面状態
の判定処理を実行できる。言い換えれば、判定処理の必要性が低い場合には、判定処理を
行わないことになるため、処理負荷や消費電力の低減が可能になる。
ただし、夏季等、異常状態の発生確率が低いと考えられる期間で、表面状態の判定処理
を行うことは妨げられない。ピーク振動周波数の値は、気温等の変化要因があるとは言え
、その変化度合いも含めて、構造物に依存した特性を有する。そのため、凍結や積雪と行
った異常が生じていないにもかかわらず、ピーク振動周波数の特性が大きく変化したとす
れば、測定対象の構造物には何らかの異常(特に凍結や積雪とは異なる異常)が発生して
いる可能性がある。つまり、凍結や積雪の可能性が非常に低い状況で、あえて表面状態の
判定処理を行うことで、凍結や積雪とは異なる異常を検出することが可能になる。
なお、ピーク振動周波数の情報からでは具体的な異常を特定することは容易でないと推
定される。そのため、異常検出時には、ユーザーに対して構造物の状態確認を促す報知を
行ったり、センサー端末装置200の他のセンサーを駆動して異常特定用の計測を行った
りするとよい。
以上、本発明を適用した実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、各
実施形態やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を
逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施
形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の
発明を形成することができる。例えば、各実施形態や変形例に記載した全構成要素からい
くつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成
要素を適宜組み合わせてもよい。また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より
広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所に
おいても、その異なる用語に置き換えることができる。このように、発明の主旨を逸脱し
ない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
NE…ネットワーク、10…筐体、20…センサー筐体、30…太陽光パネル、
40…支柱、60…橋桁、70…橋脚、80…欄干、100…観測システム、
110…情報取得部、120…処理部、130…報知部、140…センサー部、
200…センサー端末装置、300…処理装置

Claims (12)

  1. 構造物に設置され前記構造物の振動を検出するセンサー部からのセンサー情報と前記構造物の周囲温度情報を取得する情報取得部と、
    前記センサー情報に基づいて、前記振動のピーク振動周波数の情報を求め、前記周囲温度情報と前記ピーク振動周波数の情報に基づいて、前記構造物の表面状態を判定する処理部と、
    を含むことを特徴とする観測システム。
  2. 請求項1において、
    前記処理部は、
    前記ピーク振動周波数の変化情報に基づいて、前記構造物の前記表面状態を判定することを特徴とする観測システム。
  3. 請求項2において、
    前記処理部は、
    前記ピーク振動周波数の所定期間での変化幅に基づいて、前記構造物の前記表面状態を判定することを特徴とする観測システム。
  4. 請求項3において、
    前記処理部は、
    前記所定期間での変化幅が所与の閾値よりも大きい場合には、第1の表面状態と判定し、前記所定期間での変化幅が前記所与の閾値以下の場合には、前記第1の表面状態とは異なる第2の表面状態と判定することを特徴とする観測システム。
  5. 請求項4において、
    前記処理部は、
    前記所与の閾値を可変に設定することを特徴とする観測システム。
  6. 請求項4又は5において、
    前記第1の表面状態は、凍結状態及び積雪状態の少なくとも一方の状態であることを特徴とする観測システム。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記センサー部と、
    バッテリーを有する電源供給部と、
    自然エネルギーにより、前記バッテリーの充電を行う充電部と、
    を含み、
    前記処理部は、
    前記センサー部からの前記センサー情報に基づいて、前記構造物の状態の監視処理を行うことを特徴とする観測システム。
  8. 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
    前記構造物は、橋梁であり、
    前記処理部は、
    前記センサー部からの前記センサー情報に基づいて、前記橋梁の交通量情報の監視処理を行うことを特徴とする観測システム。
  9. 請求項8において、
    前記センサー部は、
    前記橋梁の第1の橋脚と第2の橋脚とに接続される橋桁の、前記第1の橋脚と第2の橋脚との間の中央部に設置されることを特徴とする観測システム。
  10. 請求項1乃至9のいずれかにおいて、
    前記構造物の前記表面状態の報知処理を行う報知部を含むことを特徴とする観測システム。
  11. 請求項1乃至10のいずれかにおいて、
    前記情報取得部は、
    天候情報を取得し、
    前記処理部は、
    前記天候情報に基づいて、前記構造物の前記表面状態の判定を行うか否かを決定することを特徴とする観測システム。
  12. 構造物に設置され前記構造物の振動を検出するセンサー部からのセンサー情報と前記構造物の周囲温度情報を取得し、
    前記センサー情報に基づいて、前記振動のピーク振動周波数の情報を求め、
    記周囲温度情報と前記ピーク振動周波数の情報に基づいて、前記構造物の表面状態を判定することを特徴とする観測システムの制御方法。
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